JPH0551673A - 曲げ性及び応力緩和特性に優る電子機器用高力高導電性銅合金 - Google Patents
曲げ性及び応力緩和特性に優る電子機器用高力高導電性銅合金Info
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- JPH0551673A JPH0551673A JP23386591A JP23386591A JPH0551673A JP H0551673 A JPH0551673 A JP H0551673A JP 23386591 A JP23386591 A JP 23386591A JP 23386591 A JP23386591 A JP 23386591A JP H0551673 A JPH0551673 A JP H0551673A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 強度,導電性,曲げ性,応力緩和性,半田付
け性等の特性が共に優れる安価な電子機器用高力高導電
性銅合金を提供する。 【構成】 電子機器用高力高導電銅合金を、 Cr:0.05〜 0.8%, Zr:0.05〜 0.4%, Ti:0.05〜
1.0%,Ni: 0.1〜 2.0% を含むか、或いは更に Zn:0.05〜 2.0%,Sn,In,Mn,P,Mg及びSiの1種以
上:総量で0.01〜 1.0% のうちの1種又は2種以上をも含有すると共に、残部が
Cu及び不可避的不純物から成る成分組成とし、かつ平均
結晶粒径が35〜100μmに調整された構成とする。
け性等の特性が共に優れる安価な電子機器用高力高導電
性銅合金を提供する。 【構成】 電子機器用高力高導電銅合金を、 Cr:0.05〜 0.8%, Zr:0.05〜 0.4%, Ti:0.05〜
1.0%,Ni: 0.1〜 2.0% を含むか、或いは更に Zn:0.05〜 2.0%,Sn,In,Mn,P,Mg及びSiの1種以
上:総量で0.01〜 1.0% のうちの1種又は2種以上をも含有すると共に、残部が
Cu及び不可避的不純物から成る成分組成とし、かつ平均
結晶粒径が35〜100μmに調整された構成とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体集積回路(I
C)のリ−ドフレ−ム材や、各種端子,コネクタ−リレ
−,スイッチ等における導電性ばね材として好適な電子
機器用銅合金に関するものである。
C)のリ−ドフレ−ム材や、各種端子,コネクタ−リレ
−,スイッチ等における導電性ばね材として好適な電子
機器用銅合金に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】従来、半導体機器のリ−ド材と
しては、熱膨張率が低く、半導体素子及びセラミックス
との接着性や封着性の良好なコバ−ル(Fe-29Ni-16Co)や
42合金(Fe-42Ni)等の高ニッケル合金が好んで使われ
てきた。しかし、近年、半導体回路の集積度が向上して
消費電力の高いICが多くなったことや、封止材料とし
て樹脂が多用されると同時に素子とリ−ドフレ−ムの接
着にも改良が加えられたことにより、使用されるリ−ド
材も放熱性の良好な“銅合金”が使われるようになって
きた。
しては、熱膨張率が低く、半導体素子及びセラミックス
との接着性や封着性の良好なコバ−ル(Fe-29Ni-16Co)や
42合金(Fe-42Ni)等の高ニッケル合金が好んで使われ
てきた。しかし、近年、半導体回路の集積度が向上して
消費電力の高いICが多くなったことや、封止材料とし
て樹脂が多用されると同時に素子とリ−ドフレ−ムの接
着にも改良が加えられたことにより、使用されるリ−ド
材も放熱性の良好な“銅合金”が使われるようになって
きた。
【0003】ところで、半導体機器のリ−ド材には、一
般に次の特性が必要であるとされている。 a) リ−ドが電気信号伝達部であると同時に、パッケ−
ジング工程中及び回路使用中に発生する熱を外部に放出
する機能をも果たすことから、優れた熱及び電気の伝導
性を示すこと, b) 「半導体素子の保護」という観点からリ−ドとモ−
ルドとの密着性が重要であるが、そのためリ−ド材はモ
−ルド材に近い熱膨張係数を示すこと, c) パッケ−ジング時に種々の加熱工程を経るため、耐
熱性が良好であること, d) リ−ドの製造に際しリ−ド材には打ち抜き加工,曲
げ加工が施される場合が殆どであるため、これらの加工
性が良好であること, e) リ−ドとして使用するに際して表面に貴金属のメッ
キを施されるのが一般的であるが、そのため上記貴金属
メッキとの密着性が良好であること, f) パッケ−ジング後も封止材の外に露出する所謂“ア
ウタ−リ−ド部”に半田付けが施される場合が多いた
め、良好な半田付け性を示し、かつ長時間の使用によっ
ても半田の剥離現象が起きないこと, g) 機器の信頼性や寿命に大きく影響する耐食性が良好
であること, h) 価格が低廉であること。
般に次の特性が必要であるとされている。 a) リ−ドが電気信号伝達部であると同時に、パッケ−
ジング工程中及び回路使用中に発生する熱を外部に放出
する機能をも果たすことから、優れた熱及び電気の伝導
性を示すこと, b) 「半導体素子の保護」という観点からリ−ドとモ−
ルドとの密着性が重要であるが、そのためリ−ド材はモ
−ルド材に近い熱膨張係数を示すこと, c) パッケ−ジング時に種々の加熱工程を経るため、耐
熱性が良好であること, d) リ−ドの製造に際しリ−ド材には打ち抜き加工,曲
げ加工が施される場合が殆どであるため、これらの加工
性が良好であること, e) リ−ドとして使用するに際して表面に貴金属のメッ
キを施されるのが一般的であるが、そのため上記貴金属
メッキとの密着性が良好であること, f) パッケ−ジング後も封止材の外に露出する所謂“ア
ウタ−リ−ド部”に半田付けが施される場合が多いた
め、良好な半田付け性を示し、かつ長時間の使用によっ
ても半田の剥離現象が起きないこと, g) 機器の信頼性や寿命に大きく影響する耐食性が良好
であること, h) 価格が低廉であること。
【0004】しかしながら、半導体機器のリ−ド材とし
て従来適用されていた合金は上記各種の要求特性に対し
一長一短を有しており、全てをバランス良く満足するも
のが見出されていないのが現状であった。
て従来適用されていた合金は上記各種の要求特性に対し
一長一短を有しており、全てをバランス良く満足するも
のが見出されていないのが現状であった。
【0005】一方、端子,コネクタ−,リレ−又はスイ
ッチといったばね材に対しては、従来、安価な“黄
銅”,優れたばね特性を有する“りん青銅”或いは優れ
たばね特性と耐食性を有する“洋白”が適用されてい
た。ところが、黄銅は強度及びばね特性が劣っており、
また、ばね特性が優れるりん青銅は多量のSnを含むた
め、そして強度及びばね特性が共に優れる洋白は多量の
Niを含むために何れも原料コストが高い上、熱間加工性
の悪化から製造時に加工上の制約が加わる等の問題もあ
って製品価格の不利を余儀無くされるものであった。し
かも、要求性能が益々高度化しつつある電子機器部材へ
の適用を考えた場合には、これらの材料は電気伝導度の
点で必ずしも満足できるとは言えず、またコネクタ−と
しての性能面からは「接触部において応力緩和特性が悪
い」という欠点が指摘されていた。
ッチといったばね材に対しては、従来、安価な“黄
銅”,優れたばね特性を有する“りん青銅”或いは優れ
たばね特性と耐食性を有する“洋白”が適用されてい
た。ところが、黄銅は強度及びばね特性が劣っており、
また、ばね特性が優れるりん青銅は多量のSnを含むた
め、そして強度及びばね特性が共に優れる洋白は多量の
Niを含むために何れも原料コストが高い上、熱間加工性
の悪化から製造時に加工上の制約が加わる等の問題もあ
って製品価格の不利を余儀無くされるものであった。し
かも、要求性能が益々高度化しつつある電子機器部材へ
の適用を考えた場合には、これらの材料は電気伝導度の
点で必ずしも満足できるとは言えず、またコネクタ−と
しての性能面からは「接触部において応力緩和特性が悪
い」という欠点が指摘されていた。
【0006】特に、近年、電子機器類及びその部品の小
型化,薄肉化傾向に伴って材料の加工性が一段と重要視
されるようになり、中でも曲げ性(曲げ加工性)のより
優れたものが要求されるようになってきているが、この
ため、優れた導電性を有することは勿論、ばね特性や曲
げ性にも優れた安価な電子機器用合金の出現が待たれて
いた。
型化,薄肉化傾向に伴って材料の加工性が一段と重要視
されるようになり、中でも曲げ性(曲げ加工性)のより
優れたものが要求されるようになってきているが、この
ため、優れた導電性を有することは勿論、ばね特性や曲
げ性にも優れた安価な電子機器用合金の出現が待たれて
いた。
【0007】ただ、このような中にあって、“Cu−Ti系
合金”或いは“Cu−Cr系合金”は上述した電子機器材料
としての要求特性をかなりの程度で満足することから、
これに第3,第4の元素を添加して特性の更なる改善を
図った新合金も幾つか開発された。
合金”或いは“Cu−Cr系合金”は上述した電子機器材料
としての要求特性をかなりの程度で満足することから、
これに第3,第4の元素を添加して特性の更なる改善を
図った新合金も幾つか開発された。
【0008】しかし、最近、半導体回路の高集積度化,
高信頼度化は従来にも増して加速度的に進行しており、
それに伴いリ−ドフレ−ムはより多ピン化され、薄肉化
されつつあるため、リ−ドフレ−ム材に要求される強度
レベルは一層高度化する様相を見せている。また、例え
ばコネクタ−に目を注いだ場合にも、その信頼性及び放
熱性の向上といった観点からベリリウム銅にも匹敵する
高強度材が要求され始めている(つまり、 放熱性の向上
に薄肉化も有効な手段となるからである)。従って、Cu
−Ti系やCu−Cr系を基にした新しい銅合金が幾つか開発
されたものの、これまで開発された銅合金では上記要求
を十分に満たすに至らなかった。
高信頼度化は従来にも増して加速度的に進行しており、
それに伴いリ−ドフレ−ムはより多ピン化され、薄肉化
されつつあるため、リ−ドフレ−ム材に要求される強度
レベルは一層高度化する様相を見せている。また、例え
ばコネクタ−に目を注いだ場合にも、その信頼性及び放
熱性の向上といった観点からベリリウム銅にも匹敵する
高強度材が要求され始めている(つまり、 放熱性の向上
に薄肉化も有効な手段となるからである)。従って、Cu
−Ti系やCu−Cr系を基にした新しい銅合金が幾つか開発
されたものの、これまで開発された銅合金では上記要求
を十分に満たすに至らなかった。
【0009】このようなことから、本発明が目的とした
のは、導電性に優れることは勿論、高強度ばね材に匹敵
する強度を有していてリ−ドフレ−ムの多ピン化にも十
分対応することができ、しかも従来の電子機器用銅合金
と同等かそれ以上の応力緩和特性及び曲げ性等を示す安
価な電子機器用の高導電性銅合金を提供することであっ
た。
のは、導電性に優れることは勿論、高強度ばね材に匹敵
する強度を有していてリ−ドフレ−ムの多ピン化にも十
分対応することができ、しかも従来の電子機器用銅合金
と同等かそれ以上の応力緩和特性及び曲げ性等を示す安
価な電子機器用の高導電性銅合金を提供することであっ
た。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、「合金成分として
厳密に制限された特定の割合でCr,Zr,Ti及びNiを含有
させると共に、 溶体化処理時の条件選定等により平均結
晶粒径を特に35〜100μmの範囲内に調整した銅合
金は、強度,導電性,曲げ性,応力緩和性等の諸特性を
今後の電子機器用として望まれる高いレベルでバランス
良く兼備する上、 これに適量のZn,Sn,In,Mn,P,Mg
及びSiを添加すれば半田付け特性や強度特性の更なる改
善も可能である」との新しい知見を得ることができた。
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、「合金成分として
厳密に制限された特定の割合でCr,Zr,Ti及びNiを含有
させると共に、 溶体化処理時の条件選定等により平均結
晶粒径を特に35〜100μmの範囲内に調整した銅合
金は、強度,導電性,曲げ性,応力緩和性等の諸特性を
今後の電子機器用として望まれる高いレベルでバランス
良く兼備する上、 これに適量のZn,Sn,In,Mn,P,Mg
及びSiを添加すれば半田付け特性や強度特性の更なる改
善も可能である」との新しい知見を得ることができた。
【0011】本発明は、上記知見事項等を基にして完成
されたものであり、 「電子機器用高力高導電銅合金を、 Cr:0.05〜 0.8%(以降、 成分割合を表す%は重量%と
する),Zr:0.05〜 0.4%, Ti:0.05〜 1.0%, Ni:
0.1〜 2.0% を含むか、 或いは更に Zn:0.05〜 2.0%,Sn,In,Mn,P,Mg及びSiの1種以
上:総量で0.01〜 1.0% のうちの1種又は2種以上をも含有すると共に、 残部が
Cu及び不可避的不純物から成る成分組成とし、 かつ平均
結晶粒径が35〜100μmに調整された構成とするこ
とにより、 高導電性,高強度,優れた曲げ性や応力緩和
特性,良好な半田付け性等を兼備せしめた点」 に大きな特徴を有している。
されたものであり、 「電子機器用高力高導電銅合金を、 Cr:0.05〜 0.8%(以降、 成分割合を表す%は重量%と
する),Zr:0.05〜 0.4%, Ti:0.05〜 1.0%, Ni:
0.1〜 2.0% を含むか、 或いは更に Zn:0.05〜 2.0%,Sn,In,Mn,P,Mg及びSiの1種以
上:総量で0.01〜 1.0% のうちの1種又は2種以上をも含有すると共に、 残部が
Cu及び不可避的不純物から成る成分組成とし、 かつ平均
結晶粒径が35〜100μmに調整された構成とするこ
とにより、 高導電性,高強度,優れた曲げ性や応力緩和
特性,良好な半田付け性等を兼備せしめた点」 に大きな特徴を有している。
【0012】以下、本発明合金の成分組成並びに結晶粒
度を前記の如くに数値限定した理由を、その作用と共に
詳述する。
度を前記の如くに数値限定した理由を、その作用と共に
詳述する。
A) 成分割合Cr Crは、合金を時効処理した際に母材中に析出して強度及
び耐熱性を向上させる作用を有しているが、その含有量
が0.05%未満では前記作用による所望の効果が期待でき
ず、一方 0.8%を超えてCrを含有させると溶体化処理後
にも未固溶Crが母材中に残留するようになって導電率及
び加工性を著しく低下させることから、Cr含有量は0.05
〜 0.8%と定めた。
び耐熱性を向上させる作用を有しているが、その含有量
が0.05%未満では前記作用による所望の効果が期待でき
ず、一方 0.8%を超えてCrを含有させると溶体化処理後
にも未固溶Crが母材中に残留するようになって導電率及
び加工性を著しく低下させることから、Cr含有量は0.05
〜 0.8%と定めた。
【0013】Zr Zrには、時効処理によりCuと化合物を形成して母材中に
析出しこれを強化する作用があるが、その含有量が0.05
%未満では前記作用による所望の効果が得られず、一方
0.4%を超えてZrを含有させると、溶体化処理後にも未
固溶Zrが母材中に残留するようになって導電率及び加工
性の著しい低下を招くことから、Zr含有量は0.05〜 0.4
%と定めた。
析出しこれを強化する作用があるが、その含有量が0.05
%未満では前記作用による所望の効果が得られず、一方
0.4%を超えてZrを含有させると、溶体化処理後にも未
固溶Zrが母材中に残留するようになって導電率及び加工
性の著しい低下を招くことから、Zr含有量は0.05〜 0.4
%と定めた。
【0014】Ti Tiには、合金を時効処理した際、母材中にNiとの金属間
化合物を形成し、この析出物を通じて非常に高い強度を
確保する作用があるが、その含有量が0.05%未満では前
記作用による所望の効果が期待できず、一方 1.0%を超
えてTiを含有させると逆に強度低下を招く上、加工性や
電気伝導度も低下することから、Ti含有量は0.05〜 1.0
%と定めた。
化合物を形成し、この析出物を通じて非常に高い強度を
確保する作用があるが、その含有量が0.05%未満では前
記作用による所望の効果が期待できず、一方 1.0%を超
えてTiを含有させると逆に強度低下を招く上、加工性や
電気伝導度も低下することから、Ti含有量は0.05〜 1.0
%と定めた。
【0015】Ni Niは、合金の時効処理時に前述したTiとの金属間化合物
を母材中に形成し、この析出物を通じて非常に高い強度
を確保する作用があるが、その含有量が 0.1%未満であ
ると前記作用による所望の効果が得られず、一方、 2.0
%を超えてNiを含有させると強度,加工性並びに電気伝
導度の低下を招くことから、Ni含有量は0.1 〜2.0 %と
定めた。なお、より優れた電気伝導度を確保するために
は、TiとNiの含有比率を1:2に調整することが好まし
い。
を母材中に形成し、この析出物を通じて非常に高い強度
を確保する作用があるが、その含有量が 0.1%未満であ
ると前記作用による所望の効果が得られず、一方、 2.0
%を超えてNiを含有させると強度,加工性並びに電気伝
導度の低下を招くことから、Ni含有量は0.1 〜2.0 %と
定めた。なお、より優れた電気伝導度を確保するために
は、TiとNiの含有比率を1:2に調整することが好まし
い。
【0016】Zn Znは半田の耐剥離性を向上させる作用を有しているため
必要により添加される成分であるが、その含有量が0.05
%未満では前記作用による所望の効果が得られず、一方
2.0%を超えてZnを含有させると電気伝導性並びに応力
緩和特性が劣化することから、Zn含有量は0.05〜2.0%
と定めた。
必要により添加される成分であるが、その含有量が0.05
%未満では前記作用による所望の効果が得られず、一方
2.0%を超えてZnを含有させると電気伝導性並びに応力
緩和特性が劣化することから、Zn含有量は0.05〜2.0%
と定めた。
【0017】Sn,In,Mn,P,Mg及びSi これらの成分は、何れも合金の導電性を大きく低下させ
ずに主として固溶強化により強度を向上させる作用を有
しており、従って必要により1種又は2種以上の添加が
なされるが、その含有量が総量で0.01%未満であると前
記作用による所望の効果が得られず、一方、総量で 1.0
%を超える含有量になると合金の導電性及び加工性を著
しく劣化する。このため、単独添加或いは2種以上の複
合添加がなされるSn,In,Mn,P,Mg及びSiの含有量は
総量で0.01〜 1.0%と定めた。
ずに主として固溶強化により強度を向上させる作用を有
しており、従って必要により1種又は2種以上の添加が
なされるが、その含有量が総量で0.01%未満であると前
記作用による所望の効果が得られず、一方、総量で 1.0
%を超える含有量になると合金の導電性及び加工性を著
しく劣化する。このため、単独添加或いは2種以上の複
合添加がなされるSn,In,Mn,P,Mg及びSiの含有量は
総量で0.01〜 1.0%と定めた。
【0018】B) 結晶粒度(平均結晶粒径) 合金の組織を平均結晶粒径が35〜100μmのものと
限定したのは、曲げ性及び応力緩和特性を勘案してのこ
とである。一般に、曲げ性の観点からは結晶粒度が小さ
いほど好ましく、一方、応力緩和特性の観点からは結晶
粒度は大きい方が望ましいとされている。しかるに、本
発明に係わる成分組成の銅合金では、結晶粒度が平均結
晶粒径で35〜100μmの範囲内に調整されると優れ
た曲げ性と優れた応力緩和特性とが同時に発揮されるよ
うになる。即ち、平均結晶粒径が35μm未満では曲げ
性は更に良好になるが応力緩和が起こりやすくなり、ま
た平均結晶粒径が100μmを超えると逆に応力緩和は
しにくくなるものの曲げ性が劣化し、何れも電子機器用
としての特性に劣るようになる。
限定したのは、曲げ性及び応力緩和特性を勘案してのこ
とである。一般に、曲げ性の観点からは結晶粒度が小さ
いほど好ましく、一方、応力緩和特性の観点からは結晶
粒度は大きい方が望ましいとされている。しかるに、本
発明に係わる成分組成の銅合金では、結晶粒度が平均結
晶粒径で35〜100μmの範囲内に調整されると優れ
た曲げ性と優れた応力緩和特性とが同時に発揮されるよ
うになる。即ち、平均結晶粒径が35μm未満では曲げ
性は更に良好になるが応力緩和が起こりやすくなり、ま
た平均結晶粒径が100μmを超えると逆に応力緩和は
しにくくなるものの曲げ性が劣化し、何れも電子機器用
としての特性に劣るようになる。
【0019】なお、合金の結晶粒度調整は溶体化処理時
に実施するのが良く、処理温度や処理時間等の調節によ
って適宜の粒度を実現することができる。
に実施するのが良く、処理温度や処理時間等の調節によ
って適宜の粒度を実現することができる。
【0020】続いて、本発明の効果を実施例により更に
具体的に説明する。
具体的に説明する。
【実施例】まず、電気銅或いは無酸素銅を原料とし、高
周波溶解炉にて表1に示す各種成分組成の銅合金インゴ
ット(厚さ30mm)を不活性雰囲気中溶製した。次に、
これら各インゴットに熱間圧延,溶体化処理及び冷間圧
延の各処理を順次施し、その後600℃で時効処理して
から再び冷間圧延及び歪取り焼鈍を施して板材を得た。
周波溶解炉にて表1に示す各種成分組成の銅合金インゴ
ット(厚さ30mm)を不活性雰囲気中溶製した。次に、
これら各インゴットに熱間圧延,溶体化処理及び冷間圧
延の各処理を順次施し、その後600℃で時効処理して
から再び冷間圧延及び歪取り焼鈍を施して板材を得た。
【0021】
【表1】
【0022】そして、得られた板材から各種の試験片を
採取して材料試験を行い、“リ−ドフレ−ム材”及び
“ばね材”としての特性を評価した。なお、“リ−ドフ
レ−ム材”並びに“ばね材”としての特性は、 「強度」,
「伸び」, 「導電性(放熱性)」, 「ばね性」, 「半田耐熱剥
離性」, 「曲げ性」 及び 「応力緩和特性」 を調査すること
によって評価した。
採取して材料試験を行い、“リ−ドフレ−ム材”及び
“ばね材”としての特性を評価した。なお、“リ−ドフ
レ−ム材”並びに“ばね材”としての特性は、 「強度」,
「伸び」, 「導電性(放熱性)」, 「ばね性」, 「半田耐熱剥
離性」, 「曲げ性」 及び 「応力緩和特性」 を調査すること
によって評価した。
【0023】そして、 「強度」 並びに 「伸び」 は引張試
験により測定し、 「導電性」 は導電率(%IACS)を測定
して求めた。また、「ばね性」についてはばね限界値(K
b)を測定した。
験により測定し、 「導電性」 は導電率(%IACS)を測定
して求めた。また、「ばね性」についてはばね限界値(K
b)を測定した。
【0024】「半田耐熱剥離性」の調査は、素材に5μ
m厚の半田(90%Sn−10%Pb)メッキを施した後、150℃
の高温槽に1000時間まで保持し、この間100時間
毎に取り出して90°曲げ往復1回を施して半田剥離の
開始時間を調べる手法によった。なお、1000時間ま
で剥離のなかったものは調査結果を「1000hr」と表
示した。
m厚の半田(90%Sn−10%Pb)メッキを施した後、150℃
の高温槽に1000時間まで保持し、この間100時間
毎に取り出して90°曲げ往復1回を施して半田剥離の
開始時間を調べる手法によった。なお、1000時間ま
で剥離のなかったものは調査結果を「1000hr」と表
示した。
【0025】「曲げ性」については、W曲げ試験機によ
って曲げ加工を施し、その曲げ部を目視観察することに
より“肌荒れの程度”及び“割れの有無”を調査して評
価した。なお、評価結果は、 ○:肌荒れ及び割れの発生なし, ×:肌荒れ又は割れが発生, で表示した。
って曲げ加工を施し、その曲げ部を目視観察することに
より“肌荒れの程度”及び“割れの有無”を調査して評
価した。なお、評価結果は、 ○:肌荒れ及び割れの発生なし, ×:肌荒れ又は割れが発生, で表示した。
【0026】「応力緩和特性」については、短冊状試験
片の一旦を固定すると共に他端に応力を負荷して曲げ応
力を加え、この状態で150°に1000時間保持した
後、応力を開放した際にもなお残留する歪を測定した。
これらの調査結果を表2に示す。
片の一旦を固定すると共に他端に応力を負荷して曲げ応
力を加え、この状態で150°に1000時間保持した
後、応力を開放した際にもなお残留する歪を測定した。
これらの調査結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2に示される結果からは次のことが明ら
かである。即ち、本発明合金1〜20は、何れも強度,導
電性,曲げ性,応力緩和特性が共に優れており、またそ
の他の特性についても十分に良好な評価が得られるもの
である。
かである。即ち、本発明合金1〜20は、何れも強度,導
電性,曲げ性,応力緩和特性が共に優れており、またそ
の他の特性についても十分に良好な評価が得られるもの
である。
【0029】これに対して、比較合金21及び27はNiの添
加がなされていないので、また比較合金22及び24はTiの
添加がなされていないため、何れも十分な強度が確保さ
れていない。また、比較合金25及び28はNi含有量が上限
値を超えており、比較合金26はTi含有量及びZn含有量が
上限値を超えているため、何れも電気伝導度が低くなっ
ている。更に、比較合金23はNi含有量が低すぎるために
十分な強度が得られていない。
加がなされていないので、また比較合金22及び24はTiの
添加がなされていないため、何れも十分な強度が確保さ
れていない。また、比較合金25及び28はNi含有量が上限
値を超えており、比較合金26はTi含有量及びZn含有量が
上限値を超えているため、何れも電気伝導度が低くなっ
ている。更に、比較合金23はNi含有量が低すぎるために
十分な強度が得られていない。
【0030】そして、比較合金22,24及び26は、結晶粒
度(平均結晶粒径)が下限値より小さく、それ故に曲げ
性は良好であるけれども応力緩和特性が劣る結果となっ
ている。逆に、比較合金21,23,27及び28は、結晶粒度
が上限値より大きいので曲げ性が劣る結果を示してい
る。
度(平均結晶粒径)が下限値より小さく、それ故に曲げ
性は良好であるけれども応力緩和特性が劣る結果となっ
ている。逆に、比較合金21,23,27及び28は、結晶粒度
が上限値より大きいので曲げ性が劣る結果を示してい
る。
【0031】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、強度,導電性,曲げ性,応力緩和特性等が共に優れ
ていてリ−ドフレ−ム材やばね材等の電子機器部材用と
して好適な高力高導電銅合金を実現することができ、電
子機器類の性能向上に大きく寄与し得るなど、産業上極
めて有用な効果がもたらされる。
ば、強度,導電性,曲げ性,応力緩和特性等が共に優れ
ていてリ−ドフレ−ム材やばね材等の電子機器部材用と
して好適な高力高導電銅合金を実現することができ、電
子機器類の性能向上に大きく寄与し得るなど、産業上極
めて有用な効果がもたらされる。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量割合にて Cr:0.05〜 0.8%, Zr:0.05〜 0.4%, Ti:0.
05〜 1.0%,Ni: 0.1〜 2.0% を含有すると共に、残部がCu及び不可避的不純物で構成
され、かつ平均結晶粒径が35〜100μmに調整され
て成ることを特徴とする、曲げ性及び応力緩和特性の優
れた電子機器用高力高導電性銅合金。 - 【請求項2】 重量割合にて Cr:0.05〜 0.8%, Zr:0.05〜 0.4%, Ti:0.
05〜 1.0%,Ni: 0.1〜 2.0%, Zn:0.05〜 2.0% を含有すると共に、残部がCu及び不可避的不純物で構成
され、かつ平均結晶粒径が35〜100μmに調整され
て成ることを特徴とする、曲げ性及び応力緩和特性の優
れた電子機器用高力高導電性銅合金。 - 【請求項3】 重量割合にて Cr:0.05〜 0.8%, Zr:0.05〜 0.4%, Ti:0.
05〜 1.0%,Ni: 0.1〜 2.0% を含み、更に Sn,In,Mn,P,Mg及びSiの1種以上:総量で0.01〜
1.0% をも含有すると共に、残部がCu及び不可避的不純物で構
成され、かつ平均結晶粒径が35〜100μmに調整さ
れて成ることを特徴とする、曲げ性及び応力緩和特性の
優れた電子機器用高力高導電性銅合金。 - 【請求項4】 重量割合にて Cr:0.05〜 0.8%, Zr:0.05〜 0.4%, Ti:0.
05〜 1.0%,Ni: 0.1〜 2.0%, Zn:0.05〜 2.0% を含み、更に Sn,In,Mn,P,Mg及びSiの1種以上:総量で0.01〜
1.0% をも含有すると共に、残部がCu及び不可避的不純物で構
成され、かつ平均結晶粒径が35〜100μmに調整さ
れて成ることを特徴とする、曲げ性及び応力緩和特性の
優れた電子機器用高力高導電性銅合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23386591A JPH0551673A (ja) | 1991-08-21 | 1991-08-21 | 曲げ性及び応力緩和特性に優る電子機器用高力高導電性銅合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23386591A JPH0551673A (ja) | 1991-08-21 | 1991-08-21 | 曲げ性及び応力緩和特性に優る電子機器用高力高導電性銅合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0551673A true JPH0551673A (ja) | 1993-03-02 |
Family
ID=16961783
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23386591A Pending JPH0551673A (ja) | 1991-08-21 | 1991-08-21 | 曲げ性及び応力緩和特性に優る電子機器用高力高導電性銅合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0551673A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0666931A1 (en) * | 1992-11-04 | 1995-08-16 | Olin Corporation | Copper alloy having high strength and conductivity and method of manufacturing thereof |
US5565045A (en) * | 1992-11-04 | 1996-10-15 | Olin Corporation | Copper base alloys having improved bend formability |
CN103382535A (zh) * | 2013-07-10 | 2013-11-06 | 河南科技大学 | 一种高强、高导电、高延伸性铜合金及其制备方法 |
CN103388090A (zh) * | 2013-07-10 | 2013-11-13 | 河南科技大学 | 一种高强、高导电、高延伸性稀土铜合金及其制备方法 |
CN105568039A (zh) * | 2015-12-22 | 2016-05-11 | 宁波博威合金材料股份有限公司 | 高强度高导电铜铬锆合金及其板带的制备方法 |
CN112281021A (zh) * | 2020-10-26 | 2021-01-29 | 有研工程技术研究院有限公司 | 一种超高强耐应力松弛、优良折弯成形导电铜合金及其制备方法和应用 |
WO2022062335A1 (zh) * | 2020-09-25 | 2022-03-31 | 宁波博威合金板带有限公司 | 一种铜铬合金带材及其制备方法 |
-
1991
- 1991-08-21 JP JP23386591A patent/JPH0551673A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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EP0666931A4 (ja) * | 1992-11-04 | 1995-09-27 | ||
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