JP3407527B2 - 電子機器用銅合金材 - Google Patents
電子機器用銅合金材Info
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Description
どの電子機器に用いられる電気機器用銅合金材に係り、
特に、高強度で、電気・熱伝導性に優れた電子機器用銅
合金材に関するものである。
に変形および破損しない強度、耐熱姓、打ち抜き加工お
よび曲げ加工に対する加工性、発生する熱を外部に放出
するための熱伝導性、メッキ性、ハンダ付け性、耐食性
等の特性が要求されると共に、低コストであることが望
まれている。特に、リードフレーム材のような用途にお
いては、これらの特性の中でも、素子の小型化・高集積
化に対応した特性が強く要求されている。
の発生量が増加しているため、より高強度で、十分な放
熱性を確保できる良好な電気・熱伝導性を有した材料が
求められており、このような要求を満たす材料として、
高強度銅合金材が注目されており、種々の材料が開発さ
れている。その中でも特に、Cu−Ni−Si系合金
(コルソン合金)を基本とする合金は、引張強度が約7
00MPaの高強度を期待できるため、開発の対象とさ
れている。
型の合金であり、通常800℃程度の高温から急冷する
溶体化処理と、300〜500℃程度に加熱保持する時
効処理とを施すことによって、合金元素をNi2 Siの
化合物の形でCu母相中に析出させ、転位が運動する際
の障害物としているため、合金強度が高いという特徴が
ある。また、Cu−Ni−Si系合金は、合金元素を母
相中に積極的に析出させているため、固溶状態にある合
金と比較して電気・熱伝導性を良好に保ちやすいという
特徴がある。
Ni−Si系合金を、通常の単純な溶体化処理および時
効処理によって作製した場合、強度面では引張強度が約
700MPaの高強度が得られるものの、導電率が30
〜40%IACS程度しか得られないという問題があっ
た。この程度の導電率では、Cu−Ni−Si系合金を
QFP(Quad Flat Package )リードフレーム等に用い
た場合、十分とは言えない。
られないのは、母相中に析出することなく、固溶状態で
残留している合金元素の量が多いためである。そこで、
十分な析出を起こさせるために時効処理温度を上昇させ
ると、導電率を向上させることができる。しかし、その
場合、析出物が粗大になるために強度が低下してしまう
という問題があった。すなわち、微細なNi2 Siの化
合物が、多量に析出したCu−Ni−Si系合金は存在
していなかった。
強度で、電気・熱伝導性に優れた電子機器用銅合金材を
提供することにある。
に請求項1の発明は、Cu−Ni−Si系の電子機器用
銅合金材において、化学組成が、 Ni:1.0〜5.0mass%、 Si:0.2〜1.0mass%、 Zn:0.1〜5.0mass%、 P:0.003〜0.05mass%、 残部がCuおよび不可避不純物からなると共に、Ni/
Siの重量比が4.5〜5.5であり、引張強さが72
0MPa以上、導電率が48%IACS以上である。
率40%以下の圧延を施し、その後、400〜500℃
で30min〜3hrの第1次時効処理を施し、その後
さらに、350〜450℃で30min〜3hrの第2
次時効処理を施す請求項1記載の電子機器用銅合金材で
ある。
した理由は、時効処理後の固溶元素(Ni2 Si)の量
を減少させるためであり、上記範囲より添加量が少ない
と十分な強度が得られず、逆に、上記範囲より添加量が
多いと析出しきれない固溶元素の量が増加するためであ
る。
れるために添加されており、添加量を上記範囲に限定し
た理由は、上記範囲より添加量が少ないと界面剥離性の
改善が十分に図れず、逆に、上記範囲より添加量が多い
と様々な悪影響を及ぼし、特に導電率が低下するためで
ある。
を防止するための脱酸剤として添加されており、添加量
を上記範囲に限定した理由は、上記範囲より添加量が少
ないと脱酸剤としての効果が十分に得られず、逆に、上
記範囲より添加量が多いと様々な悪影響を及ぼし、特に
導電率が低下するためである。
理由は、固溶元素であるNi2 Siの析出が十分に起っ
た時に、余剰分として存在するNiまたはSiの量を少
なくするためである。
工率が40%を越える場合、時効処理工程で析出するN
i2 Siが粗大化し易くなり、期待する強度が得られな
いためである。
を多量に析出させるために施されており、時効処理温度
および時効処理時間を400〜500℃、30min〜
3hrと限定した理由は、上記範囲より低温・短時間で
は固溶元素であるNi2 Siの析出が十分に起こらず、
強度および導電率共に十分な値が得られず、逆に、上記
範囲より高温・長時間ではNi2 Siの粗大化が起こっ
て十分な強度が得られないためである。
たNi2 Siを粗大化させることなく、新たに、微細な
Ni2 Siを追加析出させるために第1次時効処理より
も低温で施されており、時効処理温度および時効処理時
間を350〜450℃、30min〜3hrと限定した
理由は、上記範囲より低温・短時間では固溶元素である
Ni2 Siの追加析出が十分に起こらず、逆に、上記範
囲より高温・長時間では第1次時効処理で析出したNi
2 Siが粗大化したり、新たに粗大なNi2 Siが析出
するためである。
の電子機器用銅合金材において、Ni、Siなどの化学
組成を限定すると共に、Ni/Siの重量比を限定し、
さらに時効処理を2段階に分けて行うため、引張強さが
720MPa以上、導電率が48%IACS以上の電子
機器用銅合金材を得ることができる。
する。
が、 Ni:1.0〜5.0mass%、 Si:0.2〜1.0mass%、 Zn:0.1〜5.0mass%、 P:0.003〜0.05mass%、 残部がCuおよび不可避不純物からなる合金を、700
〜1,000℃に加熱した後に急冷して溶体化処理を施
し、その後、加工率40%以下の冷間圧延を施し、その
後、400〜500℃で30min〜3hrの第1次時
効処理を施し、その後さらに、350〜450℃で30
min〜3hrの第2次時効処理を施してなるのもので
ある。
行うと、溶体化された材料の結晶格子内に適度な格子欠
陥を導入することができる。この格子欠陥は、析出物形
成の核として働くため、適当な条件の冷間圧延を行うこ
とで、析出物を微細な形状でより均一に、より多量に析
出させることができる。ここで、冷間圧延の加工率を高
くすると、多量の格子欠陥が導入されるために析出の進
行は早くなるが、析出物の粗大化も急速に進行し易くな
る。
は、上記の範囲に特に限定されるものではないが、上記
範囲を外れた場合、固溶状態で残留する元素量が多くな
る。化学組成は、 Ni:1.5〜2.5mass%、 Si:0.3〜0.5mass%、 Ni/Sino重量比:4.5〜5.5 Zn:0.1〜5.0mass%、 P:0.003〜0.05mass%、 残部がCuおよび不可避不純物の範囲がより望ましい。
び加工条件は、上記の範囲に特に限定されるものではな
いが、第1次時効処理は440〜470℃、また第2次
時効処理は400〜430℃の範囲で行うことがより望
ましい。
つ、Ni/Siの重量比が5.0の合金を、無酸素銅を
母材として高周波溶解炉で溶製し、直径30mm、長さ
250mmのインゴットに鋳造した。これを850℃に
加熱した後に熱間押出加工を施し、幅20mm、厚さ8
mmの合金板を作製する。この合金板に冷間圧延および
中間焼鈍を繰り返して、厚さ0.38mmの合金薄板を
作製する。この合金薄板を800℃に加熱した後に水中
に投入して急冷し、溶体化処理を行い、合金Aを作製す
る。
つ、Ni/Siの重量比が5.0の合金を用いて、実施
例1と同様にして合金Bを作製する。
つ、Ni/Siの重量比が5.0の合金を用いて、実施
例1と同様にして合金Cを作製する。
つ、Ni/Siの重量比が4.0の合金を用いて、実施
例1と同様にして合金Dを作製する。
つ、Ni/Siの重量比が6.0の合金を用いて、実施
例1と同様にして合金Eを作製する。
3における合金A〜Eの化学組成、Ni/Siの重量比
を示す。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を420℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
370℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料1を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが775MP
a、導電率が48.6%IACSであった。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を470℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
370℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料2を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが730Pa、
導電率が49.8%IACSであった。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を470℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
410℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料3を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが726MP
a、導電率が51.0%IACSであった。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を470℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
330℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料4を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが744MP
a、導電率が41.4%IACSであった。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を380℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
370℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料5を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが620MP
a、導電率が32.6%IACSであった。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を520℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
370℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料6を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが665MP
a、導電率が47.4%IACSであった。
(加工率50%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を470℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
410℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料7を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが638MP
a、導電率が48.0%IACSであった。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を470℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
410℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料8を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが733MP
a、導電率が50.2%IACSであった。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を470℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
410℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料9を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが718MP
a、導電率が37.8%IACSであった。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を470℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
410℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料10を作製する。
および導電率を測定した結果、引張強さが645MP
a、導電率が46.0%IACSであった。
(加工率35%)、厚さを0.25mmにする。その
後、この合金薄板を470℃に加熱した後に、1時間保
持し、焼鈍を行う第1次時効処理を施し、その後、更に
410℃に加熱した後に、1時間保持し、焼鈍を行う第
2次時効処理を施して、試料11を作製する。
さおよび導電率を測定した結果、引張強さが740MP
a、導電率が42.4%IACSであった。
10における試料1〜11の加工率(%)、第1次およ
び第2次の時効処理温度(℃)、引張強さ(MPa)、
導電率(%IACS)を示す。
〜3および8は、使用合金の組成比、Ni/Siの重量
比が本発明で規定した範囲内であり、溶体化後の加工率
が40%以下であると共に、第1次時効処理の温度が4
00〜500℃の範囲内、かつ、第2次時効処理の温度
が350〜450℃の範囲内であるため、引張強さが7
20MPa以上、導電率が48%IACS以上の電子機
器用銅合金材を得ることができる。
次時効処理の温度が低すぎてNi2 Siの追加析出が十
分に起こらないため、引張強さは744MPaと十分で
あるが、導電率が41.4%IACSと低い。
度が低すぎてNi2 Siの析出が十分に起こらないた
め、引張強さ(620MPa)、導電率(32.6%I
ACS)共に十分な値が得られない。
度が高すぎてNi2 Siの粗大化が起こるため、導電率
は良好である(47.4%IACS)が、引張強さが6
65MPaと低い。
大きすぎて時効処理で析出するNi2 Siの粗大化を招
くため、導電率は十分である(48.0%IACS)
が、引張強さが638MPaと低い。
量が多すぎて、母相中に析出することなく、固溶状態で
残留しているNi2 Siの量が増加するため、引張強さ
は良好である(718MPa)が、導電率が37.8%
IACSと低い。
Siの重量比が小さすぎて、Ni2 Siの析出が十分に
起こった際の余剰Siの量が多いため、導電率は良好で
ある(46.0%IACS)が、引張強さが645MP
aと低い。
/Siの重量比が大きすぎて、Ni2 Siの析出が十分
に起こった際の余剰Niの量が多いため、引張強さは十
分である(740MPa)が、導電率が42.4%IA
CSと低い。
子機器用銅合金材に比べて高強度・高導電率であるた
め、リードフレーム材として用いた場合、より小型の、
より多ピンの、或いはより高速のICへの対応が可能で
あり、QFPなどの多ピンリードフレーム製造技術の向
上に対して有益に利用することができる。
な優れた効果を発揮する。
兼ね備えた電子機器用銅合金材を比較的容易に得ること
ができる。
に高密度で多ピン化したICリードフレームなどの電子
機器用銅合金材を比較的安価に供給することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 Cu−Ni−Si系の電子機器用銅合金
材において、 化学組成が、 Ni:1.0〜5.0mass%、 Si:0.2〜1.0mass%、 Zn:0.1〜5.0mass%、 P:0.003〜0.05mass%、 残部がCuおよび不可避不純物からなると共に、Ni/
Siの重量比が4.5〜5.5であり、引張強さが72
0MPa以上、導電率が48%IACS以上であること
を特徴とする電子機器用銅合金材。 - 【請求項2】溶体化処理の後、加工率40%以下の圧延
を施し、その後、400〜500℃で30min〜3h
rの第1次時効処理を施し、その後さらに、350〜4
50℃で30min〜3hrの第2次時効処理を施して
なる請求項1記載の電子機器用銅合金材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03667596A JP3407527B2 (ja) | 1996-02-23 | 1996-02-23 | 電子機器用銅合金材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03667596A JP3407527B2 (ja) | 1996-02-23 | 1996-02-23 | 電子機器用銅合金材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09227971A JPH09227971A (ja) | 1997-09-02 |
JP3407527B2 true JP3407527B2 (ja) | 2003-05-19 |
Family
ID=12476439
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03667596A Expired - Lifetime JP3407527B2 (ja) | 1996-02-23 | 1996-02-23 | 電子機器用銅合金材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3407527B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8361255B2 (en) | 2005-09-02 | 2013-01-29 | Hitachi Cable, Ltd. | Copper alloy material and method of making same |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7182823B2 (en) | 2002-07-05 | 2007-02-27 | Olin Corporation | Copper alloy containing cobalt, nickel and silicon |
JP4493267B2 (ja) * | 2002-11-27 | 2010-06-30 | 日鉱金属株式会社 | リチウム二次電池用負極材料 |
-
1996
- 1996-02-23 JP JP03667596A patent/JP3407527B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8361255B2 (en) | 2005-09-02 | 2013-01-29 | Hitachi Cable, Ltd. | Copper alloy material and method of making same |
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JPH09227971A (ja) | 1997-09-02 |
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