JP2956696B1 - 高強度・高導電性銅合金およびその加工方法 - Google Patents

高強度・高導電性銅合金およびその加工方法

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Abstract

【要約】 【課題】 良好な鋳造性を有し、 且つ42合金とほゞ同レ
ベルである600MPa前後の高い引張強度と60%I
ACS以上の高い導電率とを備え、しかも、溶解鋳造の
困難さからくる高コスト化の問題のない銅合金と、この
銅合金から優れた特性を引き出すための加工方法とを提
供する。 【解決手段】 それぞれ0.1〜0.5重量%のFeと
Ni、0.03〜0.2重量%のP、0.1〜1.0重
量%のZn、0.01〜0.2重量%のMg、および残
部がCuから成り、FeとNiの合計量とPの量を重量
比で(Fe+Ni)/P=3〜10に設定し、さらに、
FeとNiの重量比をFe/Ni=0.8〜1.2に設
定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度・高導電性
銅合金およびその加工方法に関し、特に、良好な鋳造性
を有し、且つ42合金とほゞ同レベルの高い引張強度と
60%IACS以上の高い導電率と経済性とを兼ね備え
た銅合金と、この銅合金から優れた特性を引き出すため
の加工方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、IC、LSI等の半導体素子を搭
載するリードフレームのための構成材料としては、たと
えば、鉄系材料の42合金、あるいは、コルソン系と呼
ばれる銅系のCu‐Ni‐Si系合金、Cu‐Sn系合
金、Cu‐Cr系合金などが使用されている。
【0003】銅系材料は、鉄系材料に比べて高い導電性
を有していることから、リードフレームにとっては好ま
しい熱放散性を備えているが、反面では強度が低く、こ
の点の改善が強く望まれている。
【0004】これは、200ピンを越えるような多ピン
のLSIパッケージが製造されるようになり、これに伴
ってリード材をより薄く、インナーリードやアウターリ
ードの幅をより狭くする要求が強くなり、リードそのも
のゝ機械的強度が重要視されてきたことによる。
【0005】また、一方では、半導体素子の高集積化と
高速化の潮流は益々大きく、これに伴い半導体チップの
発熱量はより増大化する傾向にあるが、これに対処する
ため、半導体パッケージからの合理的且つ効率的な熱の
放出が重要課題としてクローズアップされてきている。
【0006】半導体パッケージの放熱経路としては、絶
縁モールドを通しての放熱、あるいはヒートシンクを取
り付けてこれに放熱させる等の手段以外に、リード材を
通した配線基盤への放熱も考えられ、この場合には、リ
ード材を構成する材質自体の熱伝導率(導電率により評
価可能)が高いことが、半導体パッケージの放熱性に好
影響を与えることになる。
【0007】この点に関して云えば、従来の42合金の
場合には、約3%IACSという極端に低い導電率しか
備えておらず、当然、放熱特性が問題となる。
【0008】このため、42合金から銅系への材質転換
が行われているが、この転換のなかで重要視されている
材料特性のひとつに機械的強度があり、42合金と同等
の高レベルの特性が要求されている。
【0009】一方、42合金に代わる材料としては、前
述したコルソン系の合金を代表例として挙げることがで
きるが、これらの合金には導電性とコスト面での問題が
ある。
【0010】たとえば、Cu‐Ni‐Si系の場合、そ
の導電率は50%IACS程度と必ずしも充分とは云え
ず、さらに、これがCu‐Sn系になると、SnをCu
に固溶させて強度向上を図っている関係上、30%IA
CS程度の極めて低い導電率しか得られない。
【0011】Cu‐Cr系の場合には、70%IACS
以上という高い導電率を有しているが、強度が不充分で
あるうえにCrが難溶解材であり、さらには、耐火材の
カーボンと反応しやすい性質を有していることから、溶
解と鋳造が難しく、従って、コストが高くなるという問
題を抱えている。
【0012】発明者らは先に、以上の諸合金系の問題点
を解決できる合金として、FeとNiを合計で1〜4.
5重量%含有し、Pを0.1〜0.8重量%含有する銅
合金において、FeとNiの合計重量とPの重量とを
(Fe+Ni)/P=3〜10となるように設定し、さ
らに、FeとNiの重量比をFe/Ni=0.8〜1.
2に設定した新しい銅合金を特願平9−105982と
して提案した。
【0013】このCu‐Ni‐Fe‐P系の銅合金は、
高い導電率と高い強度特性と低コストによる経済性とを
同時に具備したことによって特長づけられる材料であ
り、半導体搭載用リードフレームの新しい構成材料とし
て有望視されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この新しいタ
イプの銅合金によると、前述した組成範囲内において、
特に、Pの量が多い場合に、鋳造条件によっては鋳塊に
割れを発生させる恐れがある。
【0015】従って、本発明の目的は、良好な鋳造性を
有し、且つ42合金とほゞ同レベルである600MPa
前後の高い引張強度と60%IACS以上の高い導電率
とを備え、しかも、溶解鋳造の困難さからくる高コスト
化の問題のない銅合金と、この銅合金から優れた特性を
引き出すための加工方法とを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、0.1〜0.5重量%のFe、0.1〜
0.5重量%のNi、0.03〜0.2重量%のP、
0.1〜1.0重量%のZn、0.01〜0.2重量%
のMg、および残部のCuから成り、前記Feと前記N
iの合計重量と前記Pの重量の比が(Fe+Ni)/P
=3〜10であり、前記Feの重量と前記Niの重量の
比がFe/Ni=0.8〜1.2であることを特徴とす
る高強度・高導電性銅合金を提供するものである。
【0017】また、本発明は、上記の目的を達成するた
め、0.1〜0.5重量%のFe、0.1〜0.5重量
%のNi、0.03〜0.2重量%のP、0.1〜1.
0重量%のZn、0.01〜0.2重量%のMg、およ
び残部のCuから成り、前記Feと前記Niの合計重量
と前記Pの重量の比が(Fe+Ni)/P=3〜10で
あり、前記Feの重量と前記Niの重量の比がFe/N
i=0.8〜1.2である合金素材を準備し、前記合金
素材を700〜900℃に加熱した後、これに毎分25
℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱
処理を施し、前記第1の熱処理をされた前記合金素材を
冷間圧延し、冷間圧延された前記合金素材に、400〜
500℃に加熱して30分〜5時間保持する第2の熱処
理を施すことを特徴とする高強度・高導電性銅合金の加
工方法を提供するものである。
【0018】本発明における銅合金の組成規定には、3
つの要点がある。まず、その第1の要点は、この点は特
願平9−105982においても明確にしたことである
が、Fe、Ni、Pの含有量について、FeとNiの合
計量とPとの重量比率、およびFeとNiの重量比率を
特定の範囲内に設定し、これにより強度と導電率を実用
上好ましいレベルにまで改良した点にある。
【0019】即ち、FeとNiはそれぞれPとの化合物
を形成し、強度および導電率を向上させる性質を有して
いるが、この化合物形成による効果を充分に得るために
は、FeとNiの合計重量とPの重量の比率を(Fe+
Ni)/P=3〜10となるように設定する必要があ
る。
【0020】設定値がこの範囲よりも下廻るときにはP
が過剰となり、逆に、この範囲を超えるときにはFe、
Niが過剰となることから、化合物形成に関与しないこ
れら過剰の元素が、Cuの中に固溶状態で存在すること
になり、その結果、導電率が阻害されるようになる。
【0021】FeとNi間の最適な比率は、強度と導電
率のバランスを考慮して決める必要がある。Feは強度
向上への貢献は少ないが、導電率を向上させる性質を有
しており、一方、Niは強度向上に効果大である反面、
導電率の点ではFeに比べて高いものを得にくい。
【0022】従って、強度および導電率に調和のとれた
材料を設計するためには、両者を1対1の重量比にする
必要があり、さらに、厳密な配合組成下での運転が必ず
しも充分であるとは云い難い量産設備による溶解鋳造作
業に配慮するときには、これをFe/Ni=0.8〜
1.2の範囲内に設定する必要がある。
【0023】量産設備による溶解鋳造作業において、F
e/Niが0.8未満になると、Ni過剰のために導電
率が不充分なものとなり、逆に、1.2を超過するとき
には、Feが過剰になって強度が不足するようになる。
【0024】本発明における第2の要点は、Pの含有量
を特願平9−105982よりも低いレベルに設定し、
これによって特願平9−105982が抱えていた鋳造
性の問題を解決した点にある。
【0025】Fe、Ni、Pの中でPの含有量が多くな
ると、結晶粒界にCuとPの化合物が偏析し、鋳塊割れ
を起こす原因となることが発明者らによって解明され、
これに基づいて検討を進めた結果、Pの量を特定の水準
以下に設定したときに、鋳塊割れの恐れのない高強度・
高導電性の銅合金を提供できることが見いだされたもの
である。
【0026】即ち、その設定値は0.2重量%を上限と
するものであり、P量をこの値以下に設定する限り、鋳
造時の冷却条件の影響を受けない安定した銅合金を提供
することができる。
【0027】また、前述したFeまたはNiとの化合物
生成による強度および導電率の向上を図るため、その下
限値は0.03重量%に設定する必要があり、これを下
廻るときには、強度および導電率の向上を期待できなく
なる。
【0028】さらに、0.03〜0.2重量%のPに対
応して、FeとNiの量はいずれも0.1〜0.5重量
%の範囲内に設定する必要があり、FeとNiの量がこ
れよりも少なくなると、Pが過剰になるために導電率が
低下するようになり、逆に、上限を超えてFe、Niが
過剰になるときにも、同様に導電率は低下するようにな
る。
【0029】本発明における第3の要点は、上記各元素
に加えて特定量のZnとMgを添加することによって、
銅合金の強度を向上させた点にある。
【0030】即ち、第2の要点のP少量化による鋳造性
の改良は、一方においては前述した元素間の化合物形成
による強度向上効果の喪失をもたらすものでもあり、従
って、この現象の防止を目的として他の元素の添加につ
いて検討を進めたところ、多くの元素の中から、特に、
ZnとMgを選択することでこの問題に対処できること
が発見された。
【0031】さらに、これらZnとMgとは、前者が
0.1〜1.0重量%、後者が0.01〜0.2重量%
のときに、強度低下の問題に効果的に対処できることも
併せて見いだされたものである。
【0032】そして、ここに設定された添加量について
は、ZnもMgも、それぞれの設定範囲未満になると強
度向上の面で充分な結果が得られなくなり、逆に、規定
範囲を超過するときには導電率を阻害するようになる。
【0033】また、Znについては、銅合金のはんだ付
け性を改良するうえにおいて有効であり、上記した添加
量の設定範囲はこの場合にも好ましい範囲となる。
【0034】以上、各元素の添加量と重量比の規定につ
いて説明したが、本発明を実施するに当たってのより好
ましい実施形態は、FeおよびNiがともに0.2〜
0.5重量%、Pが0.05〜0.2重量%、Znが
0.1〜0.5重量%、Mgが0.05〜0.1重量
%、および残部がCuであって、FeとNiの合計量と
P量との重量比率を(Fe+Ni)/P=4〜6に設定
し、さらに、FeとNiの重量比率をFe/Ni=0.
8〜1.2に設定したときであり、この組み合わせのと
きに最良の結果を得ることができる。
【0035】なお、本発明の銅合金においては、発明の
目的に反しないかぎり他の成分の混入は可能であり、ま
た、上記した諸成分以外に不可避的な各種不純物を含有
することもさしつかえない。
【0036】
【0017】の加工方法は、以上の銅合金素材から優れ
た特性を引き出すためのものであるが、まず、銅合金素
材を700〜900℃に加熱後、これを25℃/分以上
の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱処理を
施す理由は、均一な化合物を生成させるための前段階と
して、一旦、合金元素をCu中に固溶させるためであ
る。
【0037】加熱温度を700〜900℃に限定する理
由は、合金元素を充分に固溶させるとともに、結晶粒の
粗大化を防止するためであり、もし、加熱温度が600
℃よりも低くなる場合には、合金元素の固溶が不充分に
なり、逆に、加熱温度が900℃を超えると結晶粒の粗
大化が起こって、強度や曲げ加工性に悪影響を及ぼすよ
うになる。
【0038】第1の加熱処理における降温速度を毎分2
5℃以上に設定する理由は、固溶状態を維持するためで
あり、冷却速度がこれよりも遅くなると、固溶した合金
元素が再び化合物を形成するようになり、好ましくな
い。
【0039】冷間圧延は、化合物相形成の起点となる格
子欠陥を導入し、これによって、第2の熱処理段階での
微細な化合物相形成を促進させるために行われる。
【0040】400〜500℃に加熱された銅合金素材
の温度を30分〜5時間のあいだ保持する第2の熱処理
は、Fe、NiとPとの化合物相をCu母相中に均一且
つ微細な形で形成させるために行われる。
【0041】この熱処理が上記の設定条件よりも低温、
短時間下に行われる場合には、化合物相の形成が充分に
進まなくなることから、良好な強度と導電性が得られな
くなり、逆に、温度と時間が上記規定よりも高温、長時
間となるときには、強度の向上効果の少ない粗大な化合
物相が形成されるとともに、結晶粒度が大きくなって強
度および曲げ加工性に悪影響を及ぼすようになる。
【0042】第2の熱処理後に、再び冷間圧延を行うこ
とは好ましく、このようにするときには、より一層の強
度向上が期待できることから、本発明の実施形態におい
ては多くの場合に採用される。
【0043】本発明により得られる銅合金の用途として
は、半導体チップを搭載するためのリードフレーム以外
に、各種の電気機器に使用される端子やコネクタ等が考
えられる。
【0044】
【発明の実施の形態】次に、本発明による高強度・高導
電性銅合金とその加工方法の実施の形態について説明す
る。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示されたFe、Ni、P、Zn、M
gの各量と残部無酸素銅とから成る各実施例および比較
例の合金素材を対象として、まず、これらを高周波溶解
炉で溶解し、これを鋳造することにより、直径30mm
×長さ250mmのインゴットを製造し、次いで、これ
らのインゴットを850℃に加熱して押出加工し、幅2
0mm、厚さ8mmの板状に成型した後、これを厚さ
0.7mmにまで冷間圧延した。
【0047】次に、この冷間圧延材を800℃に加熱し
て10分間保持した後、これを水中に投じ、毎分300
℃の降温速度で25℃まで冷却した(第1の熱処理)。
【0048】冷却後、本発明に規定する冷間圧延によっ
てこの材料を0.3mmの厚さまで圧延し、次いで、こ
れを460℃に加熱してその温度のまゝ2時間保持する
第2の熱処理を行った後、再び冷間圧延を行うことによ
って、厚さ0.15mmの銅合金シートを製造した。
【0049】以上により製造された各実施例および比較
例の銅合金シートを対象として実施した引張強度と導電
率の測定試験結果と、各例における鋳造性の観察結果を
表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】この表2によれば、本発明による実施例1
〜3が、いずれもほゞ42合金なみの600MPa前後
(590MPa以上)の高い引張強度と60%IACS
以上の良好な導電率を示しているのに比べ、比較例の場
合には、鋳造性、引張強度、導電率のうちのいずれかの
特性において不充分な結果しか得られていない。
【0052】即ち、P量を本発明の規定値を超えて含有
させ、さらに、これに対応した量のFeとNiを含む比
較例1には、P量過剰による鋳塊割れが発生しており、
また、比較例2においては、逆に、P量が不足している
ことから、不充分な引張強度しか得られず、さらに、比
較例3と4の場合には、FeとNiの合計量とP量との
対比において、前者がP過剰、後者がFe、Ni過剰の
ために、いずれも引張強度と導電率が低くなっている。
【0053】比較例5と6は、FeとNiの対比におい
て、前者がNi過剰の例、後者がFe過剰の例を示した
ものであるが、前者の導電率と後者の引張強度に充分な
結果が得られず、また、ZnとMgのない比較例7の場
合には、引張強度が不充分な結果となっている。
【0054】そして、ZnとMgの量が本発明の規定値
を超える比較例8と9の場合には、低い導電率しか得ら
れないなど、以上の表2の試験結果は、本発明による効
果を如実に示している。
【0055】しかも、表1から明らかであるように、本
発明による銅合金の場合には、難溶解性であったり、耐
火材と反応したりするような成分とは一切無縁であり、
従って、従来のCu‐Cr系合金におけるような溶解と
鋳造の難しさを原因とした高コスト化の問題もない。
【0056】表3は、表1の実施例1の銅合金素材を使
用して、本発明による加工方法を適用したときの加工条
件の違いによる特性の変化をまとめたもので、
【0046】〜
【0048】の加工において、第1の熱処理時の加熱温
度と、第2の熱処理における加熱温度と同温度での保持
時間とを変化させたときに、これら要因の変化が引張強
度と導電率にどのように影響するかをまとめたものであ
る。
【0057】
【表3】
【0058】この表3によれば、本発明による実施例4
〜6の場合には、いずれも42合金とほゞ同等レベルで
ある600MPa前後の優れた引張強度を示し、さら
に、60%IACS以上の高い導電率を示しているのに
比べ、比較例10〜13の場合には、引張強度または導
電率のいずれか、あるいは双方の特性において不充分な
結果しか得られていない。
【0059】即ち、比較例10の場合には、第1の熱処
理における加熱温度が低いために充分な引張強度が得ら
れず、また、第2の熱処理時の加熱保持時間の短い比較
例11の場合には、引張強度および導電率の両面で特性
が不足していることが認められる。
【0060】さらに、比較例12は、第2の熱処理時の
加熱温度を本発明の設定温度よりも高くした例である
が、この場合には高い導電率が得られる反面、引張強度
が大きく低下しており、さらには、第2の熱処理時の加
熱温度を本発明の規定よりも低く設定した比較例12の
場合には、引張強度および導電率の両特性が充分でない
など、この表3からは、本発明による加工方法の有用性
を明確に認めることができる。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明による高強度・高
導電性銅合金とその加工方法によれば、Fe、Ni、
P、ZnおよびMgをCuに含有させ、これら元素にそ
れぞれ特定の重量比率を設定し、さらに、Fe、Niの
合計重量とPの重量、およびFeとNiの重量をそれぞ
れ特定の比率に設定することによって、42合金にほゞ
匹敵する高レベルの引張強度と60%IACS以上の高
い導電率とを同時に備え、しかも、Crのような難溶解
性で耐火材と反応するような成分を一切使用することな
く、高導電率を確保することのできるコスト的に有利な
銅合金を提供し、併せて、この銅合金から優れた特性を
引き出すための加工方法をも提供するものであり、従っ
て、たとえば、半導体素子の高集積化に対応するための
小型・多ピンのリードフレームを提供するうえにおい
て、本発明がもたらす効果は大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 661 C22F 1/00 661A 685 685Z 686 686Z 691 691B 691C (72)発明者 佐々木 元 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電 線株式会社 システムマテリアル研究所 内 (56)参考文献 特開 平4−231445(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 9/00 - 9/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.1〜0.5重量%のFe、0.1〜
    0.5重量%のNi、0.03〜0.2重量%のP、
    0.1〜1.0重量%のZn、0.01〜0.2重量%
    のMg、および残部のCuから成り、 前記Feと前記Niの合計重量と前記Pの重量の比が
    (Fe+Ni)/P=3〜10であり、 前記Feの重量と前記Niの重量の比がFe/Ni=
    0.8〜1.2であることを特徴とする高強度・高導電
    性銅合金。
  2. 【請求項2】0.1〜0.5重量%のFe、0.1〜
    0.5重量%のNi、0.03〜0.2重量%のP、
    0.1〜1.0重量%のZn、0.01〜0.2重量%
    のMg、および残部のCuから成り、 前記Feと前記Niの合計重量と前記Pの重量の比が
    (Fe+Ni)/P=3〜10であり、 前記Feの重量と前記Niの重量の比がFe/Ni=
    0.8〜1.2である合金素材を準備し、 前記合金素材を700〜900℃に加熱した後、これに
    毎分25℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する
    第1の熱処理を施し、 前記第1の熱処理を施された前記合金素材を冷間圧延
    し、 冷間圧延された前記合金素材に、400〜500℃に加
    熱して30分〜5時間保持する第2の熱処理を施すこと
    を特徴とする高強度・高導電性銅合金の加工方法。
  3. 【請求項3】前記合金素材は、前記第2の熱処理の後に
    冷間圧延されることを特徴とする請求項第2項記載の高
    強度・高導電性銅合金の加工方法。
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KR20160001634A (ko) 2014-06-27 2016-01-06 가부시키가이샤 에스에이치 카퍼프로덕츠 구리합금재, 구리합금재의 제조방법, 리드프레임 및 커넥터
KR20160003555A (ko) 2014-07-01 2016-01-11 가부시키가이샤 에스에이치 카퍼프로덕츠 구리합금재, 구리합금재의 제조방법, 리드프레임 및 커넥터

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