JP5320642B2 - 銅合金の製造方法及び銅合金 - Google Patents
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Description
(銅合金)
本実施の形態に係る銅合金は、一例として、圧延加工を経て製造されるCu−Zr系銅合金である。そして、当該銅合金は、ジルコニウム(Zr)と、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物とから形成される。また、銅合金は、スズ(Sn)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、及びシリコン(Si)からなる群から選択される少なくとも1種類の材料を更に含むことができる。銅としては、無酸素銅が挙げられる。
r値は材料の異方性を表す特性値である。具体的にr値は、材料の長さ方向に一様な伸びを与えた時の幅方向の対数歪εwと厚さ方向の対数歪εtとの比で表される。すなわち、r=εw/εtからr値は算出される。
Zrを添加したCu合金、すなわち、Cu−Zr系銅合金は、Cuの高い導電率を維持したまま当該材料の耐熱性を向上させることができると共に、良好な耐応力緩和性を有する材料である。ここで、Zrは、Cuの母相中に粒子が析出することにより、Cu−Zr系銅合金の強度の向上に寄与する。なお、Zrの含有量は合金中に形成される析出粒子の量、及び大きさに影響を与える。これにより、Cu−Zr系銅合金の導電率と強度とのバランスが変化する。本実施の形態においてはZrの添加量を0.05質量%以上0.3質量%以下にすることにより、良好な導電率と良好な強度との双方の特性が発揮される(すなわち、導電率と強度とのバランスの良い)銅合金を提供できる。
Sn、Ag、Mg、Zn、及びSiは、母相である銅中に固溶することによりCu−Zr系銅合金の強度を向上させる機能を有する。これらの元素をZrと共に銅中に添加することにより、銅合金の機械的強度を向上させることができる。ここで、本実施の形態に係る銅合金は、銅合金の機械的強度を十分に向上させるべく、総量で0.03質量%以上のSn、Ag、Mg、Zn、及びSiから選択される少なくとも1種類の元素が添加される。また、本実施の形態に係る銅合金は、十分な導電性を維持すると共に、良好な曲げ加工性を銅合金が発揮できることを目的として、総量で0.2質量%以下のSn、Ag、Mg、Zn、及びSiから選択される少なくとも1種類の元素が添加される。
図1は、本発明の実施の形態に係る銅合金の製造の流れの一例を示す。
本発明の実施の形態に係る銅合金は、所定量のZrがCuに添加され、r値が所定の値以上になるように制御されているので、高い導電率、耐熱性、耐応力緩和特性を有すると共に、良好な曲げ加工性を有しており、高い強度をも有する電気・電子部品(例えば、コネクタ、端子等、又は車載用コネクタ等の高温環境で使用される部品)用の銅合金を提供できる。そして、本実施の形態に係る銅合金は、高い導電率、耐熱性、耐応力緩和特性を有すると共に、良好な曲げ加工性を有しており、高い強度をも有するので、電気・電子部品の小型化、高機能化に資することができる。
実施例1に係る銅合金は以下のようにして製造した。まず、0.15質量%のZrと、残部が無酸素銅及び不可避的不純物とからなる銅合金を母材にして、高周波溶解炉において溶製することにより、厚さ70mm、幅200mm、長さ500mmのインゴットを鋳造した(鋳造工程)。次に、得られたインゴットを950℃に加熱して厚さ10mmまで熱間圧延することにより板状部材を形成した(板状部材形成工程)。続いて、この板状部材に冷間圧延加工を施して、厚さ1mmの第1の板材を形成した(冷間圧延工程)。
表1に示す組成を有するインゴットを実施例1に係るインゴットと同様に鋳造した。そして、鋳造して得られたインゴットから、実施例1と同様の工程により実施例2〜8(試料No.2〜8)に係る銅合金を製造した。そして、実施例2〜8に係る銅合金のそれぞれについて、実施例1と同様にして引張強さ、伸び、及び導電率の各特性値を測定した。測定結果を表2に示す。
比較例1〜5(試料No.9〜13)に係る銅合金として、表1に示した組成を有するインゴットをそれぞれ鋳造した。そして、実施例と同様に、インゴットに所定の加工、熱処理等を施して比較例1〜5に係る銅合金を製造した。そして、比較例1〜5に係る銅合金のそれぞれについて、実施例と同様にして、引張強さ、伸び、及び導電率の各特性値を測定した。測定結果を表2に示す。
Claims (6)
- 金属元素を含む銅合金を準備する原料準備工程と、
前記金属元素を含む銅合金を溶製してインゴットを鋳造する鋳造工程と、
前記インゴットから板状部材を形成する板状部材形成工程と、
前記板状部材を冷間圧延して第1の板材を形成する冷間圧延工程と、
前記第1の板材に加熱処理を施して加熱処理済み第1板材を形成する第1の熱処理工程と、
前記加熱処理済み第1板材に、1パスあたりの予め定められた加工度で冷間圧延を施して第2の板材を形成する圧延工程と、
前記第2の板材に張力を加えつつ加熱処理を施す第2の熱処理工程と
を備え、
前記第2の熱処理工程は、前記第2の板材に10MPa以上80MPa以下の張力を加えつつ加熱処理を施し、
前記原料準備工程は、前記金属元素としてZrを用い、
前記原料準備工程は、前記Zrを0.05質量%以上0.3質量%以下含む前記銅合金を準備し、
前記第2の熱処理工程は、400℃以上500℃以下の温度で0.5分以上5分以下の時間、前記第2の板材に加熱処理を施し、
前記第1の熱処理工程は、550℃以上650℃以下の温度で1分以上10分以下の時間、前記第1の板材に加熱処理を施し、
前記圧延工程は、1パスあたりの最小加工度を20%以上に設定し、総加工度を50%以上70%以下に設定して前記加熱処理済み第1板材を冷間圧延する
銅合金の製造方法。 - 前記原料準備工程は、前記金属元素としてSn、Ag、Mg、Zn、及びSiからなる群から選択される少なくとも1種類の金属元素を総量で0.03質量%以上0.2質量%以下更に含む銅合金を準備する請求項1に記載の銅合金の製造方法。
- 圧延加工を経て製造される銅合金であって、
0.05質量%以上0.3質量%以下のZrと、残部がCu及び不可避的不純物とからなり、
前記圧延加工の圧延方向に平行な方向に伸びを与えた場合のランクフォード値が0.7以上である銅合金。 - 90%IACS以上の導電率を有し、480MPa以上の引張強さ、及び8%以上の伸びを有する請求項3に記載の銅合金。
- Sn、Ag、Mg、Zn、及びSiからなる群から選択される少なくとも1種類の材料を総量で0.03質量%以上0.2質量%以下、更に含有する請求項3に記載の銅合金。
- 85%IACS以上の導電率を有し、500MPa以上の引張強さ、及び8%以上の伸びを有する請求項5に記載の銅合金。
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