JP6591212B2 - 銅合金材 - Google Patents

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本発明は、銅合金材に関する。
従来より、リードフレーム、端子、コネクタなどには、銅合金材が用いられている。このような銅合金材として、例えばCu−Fe−P系合金からなる銅合金材が用いられることがある(例えば特許文献1参照)。
特開2012−1781号公報
しかしながら、リードフレームやコネクタ等のさらなる小型化、高機能化の観点から、リードフレームやコネクタ等に用いられる銅合金材には、より高い導電性及び高い強度を有していることが要求されている。上述のCu−Fe−P系の銅合金材では、高導電性及び高強度をバランス良く両立させることができないことがある。
本発明は、上記課題を解決し、リードフレームやコネクタ等のさらなる小型化、高機能化を図ることができる技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、
導電率が75%IACS以上であり、
0.2%耐力が500MPa以上であり、
板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が40以下である銅合金材が提供される。
本発明によれば、例えばリードフレームやコネクタ等のさらなる小型化、高機能化を図ることができる。
本発明の一実施形態にかかる銅合金材にプレス打ち抜き加工を行うことで形成される打ち抜き断面の正面概略図(正面図)及び側面概略図(側面図)を示す。
<発明者等の得た知見>
本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明者が得た知見について説明する。
上述したように、半導体パッケージに用いられるリードフレームや、自動車の電気系統に用いられるコネクタや端子等には、例えばCu−Fe−P系合金からなる銅合金材が用いられている。Cu−Fe−P系合金として、例えば、2.1質量%以上2.6質量%以下のFeと、0.015質量%以上0.15質量%以下のPと、0.05質量%以上0.20質量%以下のZnとを含有する銅合金(C19400合金)や、0.05質量%以上0.15質量%以下のFeと、0.025質量%以上0.04質量%以下のPとを含有する銅合金(C19210合金)が用いられている。
近年、リードフレームやコネクタ等に用いられる銅合金材には、小型化、高機能化の観点から、より高い導電性及び高い強度を有していることが要求されている。例えば、リードフレームに用いられる銅合金材には、銅合金材の厚さ(板厚)をより薄くした場合であっても割れ等が発生することがない強度を有するとともに、十分な放熱性を確保することができる導電性を有していることが要求されている。また、コネクタに用いられる銅合金材には、例えばコネクタに接続された電線を流れる電流値が増加した場合であっても、ジュール熱の発生が少ない導電性を有するとともに、より高いばね性を満足できる強度を有していることが要求されている。
しかしながら、上述のC19400合金は、0.2%耐力が500MPa前後と高く、高強度を有するものの、導電率が65%IACS程度と低く、要求される導電性を有さないことがある。上述のC19210合金は、導電率は90%IACS前後と高く、高導電性を有するものの、0.2%耐力を450MPaより高くすることは難しく、要求される強度を有さないことがある。
そこで、例えば70%IACSを超える導電率を有するとともに高い強度(例えば優れた耐応力緩和性)を有する、つまり高導電性及び高強度をバランス良く両立させたCu−Cr−Zr系合金が提案されている。このようなCu−Cr−Zr系合金は、自動車の電気系統に用いられるコネクタに好適に用いることができる。
上述のリードフレームやコネクタ、端子等は、銅合金材にプレス打ち抜き加工や曲げ加工を行うことで形成されている。このため、リードフレームやコネクタ等に用いられる銅合金材には、プレス打ち抜き加工を行った際に形成される打ち抜き断面にバリやダレ等が発生していないこと、曲げ加工を行った際に曲げ部分の表面(外表面)に割れが生じていないことが要求されている。つまり、リードフレームやコネクタ等に用いられる銅合金材には、優れたプレス加工性(打ち抜き加工性、プレス打ち抜き加工性)と優れた曲げ加工性とを有することが要求されている。
上述のCu−Cr−Zr系合金は、高導電性及び高強度を有するものの、近年のプレス加工性及び曲げ加工性に対する要求を満足することができないことがある。
そこで、本発明者等は、Cu−Cr−Zr系合金において、高導電性及び高強度を維持しつつ、プレス加工性及び曲げ加工性をより向上させるべく鋭意研究を行った。その結果、Cu−Cr−Zr系合金において、組成の制御に加えて金属組織を制御することで、上記課題を解決することができることを見出した。本発明は、本発明者等が見出した上記知見に基づくものである。
<本発明の一実施形態>
(1)リードフレーム、コネクタの構成
まず、本発明の一実施形態にかかるリードフレーム、コネクタの構成について説明する。
本実施形態にかかるリードフレームは、半導体素子が載置されるダイパッドと、半導体素子に電気的に接続されるリードと、を備えている。つまり、リードフレームは、リードフレーム基材として板状の銅合金材を用い、リードフレーム基材に例えばプレス打ち抜き加工を行ってダイパッドとリードとを形成することで構成されている。
本実施形態にかかるコネクタ(端子)は、例えば、電子機器側(相手側)のコネクタ(端子)に電気的に接続される導体部と、導体部が収容されるハウジング(収容部)と、を備えている。コネクタの導体部は、例えば銅合金材により形成されている。
(2)銅合金材の構成
以下に、上述のリードフレーム、コネクタに好適に用いられる銅合金材の構成について説明する。
本実施形態にかかる銅合金材は、所定量のクロム(Cr)と、所定量のジルコニウム(Zr)と、を含み、残部が銅(Cu)及び不可避不純物からなっている。銅合金材は、例えば圧延加工等を行うことで板状に形成されている。
銅合金材の母材であるCuとしては、例えば純度が99.9%以上の無酸素銅(OFC:Oxygen Free Copper)等を用いることが好ましい。
銅合金材にCrを含ませることで、母相中にCrが析出する。Crは、単独で、つまり他の金属(例えばCu、Zr)と化合物を作ることなく、母相中に析出する。母相中にCrが析出することで、銅合金材の強度を向上させることができる。また、銅合金材の耐熱性を向上させることもできる。
銅合金材にZrを含ませることで、母相中にZrとCuとの化合物(以下、Cu−Zr化合物ともいう)が析出する。Zrは、Cuと化合物を作って母相中に析出する。母相中にCu−Zr化合物が析出することで、銅合金材の強度をより向上させることができる。また、銅合金材の耐熱性をより向上させることができる。
銅合金材に、所定量のCrと所定量のZrとを含ませることで、CrとZrとの相乗効果により、Cr、Zrのそれぞれの含有量を増やすことなく、つまり銅合金材の導電率を低下させることなく、銅合金材の強度を向上させることができる。つまり、Cr及びZrの合計含有量を、Cr(又はZr)のみを含有させたときのCr(又はZr)の含有量よりも少なくしても、Cr(又はZr)のみを含有させた銅合金材よりも強度を向上させることができる。また、Cr及びZrの合計含有量を少なくすることで、導電性の低下を抑制することができる。
銅合金材中のCr、Zrの含有量によって、母相中に析出する析出物(析出粒子、例えばCr、Cu−Zr化合物)の量や、析出物の大きさが変化する。そこで、銅合金材中のCr、Zrの含有量をそれぞれ以下のようにするとよい。
銅合金材中のCrの含有量は、例えば0.1質量%以上0.4質量%以下、好ましくは0.2質量%以上0.3質量%以下であるとよい。
銅合金材中のCrの含有量が0.1質量%未満であると、母相中に析出するCrの量が少ないことがある。このため、Zrの含有量を増やさなければ、銅合金材の強度を充分に向上させることができないことがある。例えば、銅合金材の0.2%耐力が500MPa未満になることがある。また、後述の粒径aの最大値が3μmを超えることがあり、プレス加工性が低下することがある。
Crの含有量を0.1質量%以上にすることで、母相中に充分な量のCrを析出させることができる。従って、Zrの含有量を増やすことなく、銅合金材の強度を充分に向上させることができる。例えば、銅合金材の0.2%耐力を500MPa以上にすることができる。また、後述の粒径aの最大値を3μm以下にすることができ、プレス加工性を向上させることができる。Crの含有量を0.2質量%以上にすることで、母相中に析出するCrの量を増やすことができる。これにより、銅合金材の強度をより確実に向上させることができるとともに、後述の粒径aの最大値を3μm以下に確実にすることができる。
しかしながら、Crの含有量が0.4質量%を超えると、母相中に析出する析出物(Crの析出物)の大きさが大きくなることがある。つまり、母相中に粗大な析出物が析出することがある。粗大な析出物は、銅合金材の強度を向上させることができず、また銅合金材に対して曲げ加工を行った際に発生する割れの起点になりやすい。つまり、銅合金材中に粗大な析出物が析出すると、銅合金材の強度を充分に向上させることができないとともに、曲げ加工性が低下することがある。例えば、銅合金材の0.2%耐力が500MPa未満になったり、後述のR/tの値が0.5を超えることがある。
Crの含有量を0.4質量%以下にすることで、母相中に粗大な析出物が析出することを抑制することができる。これにより、銅合金材の強度を充分に向上させることができるとともに、曲げ加工性の低下を抑制することができる。例えば、銅合金材の0.2%耐力を500MPa以上にすることができるとともに、後述のR/tの値を0.5以下にすることができる。Crの含有量を0.3質量%以下にすることで、母相中に粗大な析出物が析出することをより確実に抑制することができる。これにより、銅合金材の強度を充分に向上させつつ、曲げ加工性をより向上させることができる。
銅合金材中のZrの含有量は、例えば0.02質量%以上0.2質量%以下、好ましくは0.05質量%以上0.1質量%以下であるとよい。
Zrの含有量が0.02質量%未満であると、母相中に析出するCu−Zr化合物の量が少ないことがある。このため、Crの含有量を増やさなければ、銅合金材の強度を充分に向上させることができないことがある。例えば、銅合金材の0.2%耐力が500MPa未満になることがある。
Zrの含有量を0.02質量%以上にすることで、母相中に充分な量のCu−Zr化合物を析出させることができる。従って、Crの含有量を増やすことなく、銅合金材の強度を充分に向上させることができる。例えば、銅合金材の0.2%耐力を500MPa以上にすることができる。Zrの含有量を0.05質量%以上にすることで、母相中により多くのCu−Zr化合物を析出させることができ、銅合金材の強度をより確実に向上させることができる。
しかしながら、Zrの含有量が0.2質量%を超えると、母相中に粗大な析出物(Cu−Zr化合物)が析出することがある。上述したように、母相中に粗大な析出物が析出すると、銅合金材の強度を充分に向上させることができないとともに、曲げ加工性が低下することがある。例えば、銅合金材の0.2%耐力が500MPa未満になったり、後述のR/tの値が0.5を超えることがある。
Zrの含有量を0.2質量%以下にすることで、母相中に粗大な析出物が析出することを抑制することができる。これにより、銅合金材の強度を充分に向上させることができるとともに、曲げ加工性の低下を抑制することができる。例えば、銅合金材の0.2%耐力を500MPa以上にすることができるとともに、後述のR/tの値を0.5以下にすることができる。Zrの含有量を0.1質量%以下にすることで、母相中に粗大な析出物が析出することをより確実に抑制することができる。これにより、銅合金材の強度を充分に向上させつつ、曲げ加工性をより向上させることができる。
銅合金材には、上述のCr及びZrに加え、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)およびシリコン(Si)からなる群から選択した1種以上の成分が例えば0.3質量%以下、好ましくは0.05質量%以上0.20質量%以下の範囲で含有されているとよい。なお、上述のSn等からなる群から2種以上の成分を選択して銅合金材中に含有する場合は、2種以上の成分の合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
上述のSn等は、銅合金材の強度を向上させる特性を有している。特に、Cr、Zrと共にSn等を銅合金材中に含ませることで、Cr、Zrとの相乗効果により、Sn等が有する上述の特性をより発揮させやすくなる。これにより、銅合金材の強度をより向上させることができる。
しかしながら、Sn等の含有量が0.3質量%を超えると、銅合金材の導電性が低下することがある。例えば、銅合金材の導電率が75%IACS未満になることがある。
Sn等の含有量を0.3質量%以下にすることで、Sn等による銅合金材の導電性の低下を抑制することができる。例えば、銅合金材の導電率を75%IACS以上にすることができる。Sn等の含有量を0.20質量%以下にすることで、銅合金材の導電性の低下をより抑制することができる。
なお、Sn等の含有量が0.05質量%未満であると、Sn等を含有させる効果が充分に得られないことがある。Sn等の含有量を0.05質量%以上にすることで、Sn等を含有させる効果を充分に得ることができ、銅合金材の強度をより向上させることができる。
銅合金材は、高導電性及び高強度を維持しつつ、プレス加工性、曲げ加工性を向上させる観点から、微細な結晶粒を有する金属組織(結晶組織)で構成されていることが好ましい。
銅合金材を構成する金属組織(以下、金属組織ともいう)は、銅合金材の板厚方向における結晶粒の粒径を粒径aとしたとき、粒径aの最大値が例えば3μm以下であるとよい。なお、粒径aの最大値の下限値は特に限定されない。
粒径aの最大値が3μmを超えると、結晶粒の大きさが大きくなる傾向にある。結晶粒の大きさが大きくなると、銅合金材にプレス打ち抜き加工を行っている際に1つの結晶粒内でせん断変形が進行するため、結晶粒が大きくせん断変形することがある。これにより、プレス加工性が低下することがある。例えばプレス打ち抜き加工を行った際に形成される打ち抜き断面(以下、打ち抜き断面ともいう。)にせん断変形が発生しやすくなる。その結果、銅合金材にプレス打ち抜き加工を行った際の初期の段階で(例えば破断が始まるまで)生じるせん断すべりによる打ち抜き断面の変形量が大きくなる、つまりせん断面の面積が大きくなることがある。例えば、打ち抜き断面において、せん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合(以下、打ち抜き断面におけるせん断面の面積割合ともいう。)が50%を超えることがある。その結果、例えば図1に示すような打ち抜き断面における上部に発生するダレや、打ち抜き断面における下部に発生するバリが大きくなることがある。
なお、プレス打ち抜き加工の初期の段階では、銅合金材は、主にせん断すべりによって変形する。このとき、打ち抜き断面には、凹凸が少なく、比較的滑らかな面であるせん断面が形成される。さらにプレス打ち抜き加工が進行して、銅合金材が破断し始めると、細かな凹凸を有する面である破断面が形成される。つまり、図1に示すように、打ち抜き断面にはせん断面と破断面とが形成される。
粒径aの最大値を3μm以下にすることで、結晶粒の大きさを充分に小さくすることができる。具体的には、結晶粒の大きさを、打ち抜き断面にせん断変形が発生しにくくなる程度まで充分に小さくすることができる。例えば、結晶粒の大きさを、プレス打ち抜き加工を行っている際、転位が結晶粒界に集積し、それを起点として破断が起き、大きなせん断変形が起こることを抑制できる大きさにすることができる。
これにより、プレス加工性を向上させることができる。例えばプレス打ち抜き加工を行った際に打ち抜き断面にせん断変形が発生することを抑制することができ、打ち抜き断面を、破断面よりもせん断面の割合が小さな面にすることができる。例えば打ち抜き断面におけるせん断面の面積割合を50%以下にすることができる。打ち抜き断面におけるせん断面の面積の割合が小さくなるほど、せん断すべりによる打ち抜き断面の変形量が小さいことになる。その結果、打ち抜き断面における上部に発生するダレや、打ち抜き断面における下部に発生するバリを小さくすることができる。
金属組織は、銅合金材の圧延方向(長手方向)における結晶粒の粒径を粒径bとしたとき、上述の粒径aに対する粒径bの比率(b/a)の平均値が例えば40以下であるとよい。なお、b/aの平均値の下限値は特に限定されない。
b/aの平均値が40を超えると、結晶粒の形状が圧延方向に長い形状、つまり結晶粒が過度に引き延ばされた状態になる。このため、曲げ加工性が低下することがある。具体的には、曲げ軸が圧延方向と同一方向となるようにして銅合金材に対して曲げ加工を行った際、銅合金材の表面(外表面)に結晶粒界に沿った割れが発生することがある。例えば、JIS H3100に規定されるW曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径Rと板厚(銅合金材の厚さ)tとの比率R/tの値が0.5を超えることがある。
b/aの平均値を40以下にすることで、結晶粒の形状を所定の形状にでき、曲げ加工性を向上させることができる。例えば上述のR/tの値を0.5以下にすることができる。R/tの値が小さいほど、厳しい曲げでも割れが生じず、良好な曲げ加工性を有するということになる。
上述の金属組織の制御、つまり粒径a、粒径bの制御はそれぞれ、後述の圧延条件、時効処理の条件等を制御することで行うことができる。
(3)銅合金材の製造方法
次に、本実施形態にかかる銅合金材の製造方法について、溶解鋳造法を例示して説明する。
(鋳造工程)
まず、母材としての例えば純度が99.9%以上である無酸素銅を例えば高周波溶解炉を用いて窒素雰囲気下で溶解して銅の溶湯を生成する。続いて、銅の溶湯中にCr及びZrを添加して銅合金の溶湯を生成する。なお、Crの含有量が例えば0.1質量%以上0.4質量%以下になり、Zrの含有量が例えば0.02質量%以上0.2質量%以下になるように、Cr及びZrの添加量を調整する。また、銅(銅合金)の溶湯中に上述のSn等を添加してもよい。この場合、Sn等の含有量が例えば0.3質量%以下になるように、Sn等の添加量を調整する。このように生成した銅合金の溶湯を鋳型に注いで(出湯して)冷却し、所定の組成を有する所定形状の鋳塊を鋳造する。
(圧延工程)
鋳造工程が終了した後、鋳塊を所定温度(例えば900℃以上1000℃以下、好ましくは950℃)で所定時間(例えば2時間)加熱して、所定の加工度(例えば総加工度が90%以上95%以下)で熱間圧延を行い、所定厚さ(例えば8mm)の熱間圧延材を形成する。その後、熱間圧延材に対して、所定の加工度の冷間圧延と、時効を目的とする熱処理(時効処理)と、をそれぞれ交互に所定回数繰り返して行い、所定厚さ(例えば0.3mm)の冷間圧延材を形成する。
熱間圧延、冷間圧延等の圧延(圧延加工)を行うことで、鋳塊中の鋳造組織を微細な金属組織(結晶組織)へと変化させることができる。つまり、圧延加工により、被圧延材を構成する金属組織が有する結晶粒を引き伸ばすことができ、結晶粒の微細化を図ることができる。また、圧延加工により結晶粒の微細化を図ることで、最終的に形成される銅合金材の強度をより向上させることができる。
圧延工程は、冷間圧延と時効処理とを交互に所定回数繰り返した後、冷間圧延で終了するとよい。圧延工程では、複数回(2回、好ましくは3回以上)の冷間圧延と、1回又は複数回の時効処理と、を行うことが好ましい。これにより、微細な結晶粒を有する金属組織で構成される銅合金材を安定して形成することができる。
時効処理は、被処理材を所定温度で所定時間加熱することで行われる。時効処理は、比較的低温(例えば350℃以上450℃以下)で行うことが好ましい。
時効処理の温度が高くなるほど、被処理材を構成する金属組織が有する結晶粒が成長して大きくなるため、最終的に形成される銅合金材の上述の粒径aが大きくなる。例えば、時効処理が450℃を超える条件で行われると、粒径aの最大値が3μmを超えやすくなる。
時効処理を450℃以下の条件で行うことで、結晶粒が大きく成長することを抑制することができ、粒径aの最大値を例えば3μm以下に確実にすることができる。
しかしながら、時効処理を350℃未満の条件で行うと、銅合金材中にCrや、Cu−Zr化合物を充分に析出(分散析出)させることができないことがある。従って、銅合金材の強度を充分に高めることができないことがある。例えば、銅合金材の0.2%耐力が500MPa未満になることがある。
時効処理を350℃以上の条件で行うことで、銅合金材中にCrや、Cu−Zr化合物を充分に析出させることができる。従って、CrやZrの含有量を増加させることなく、銅合金材の強度を充分に高めることができる。例えば、銅合金材の0.2%耐力を500MPa以上に確実にすることができる。
特に、最終の冷間圧延(最後に行う冷間圧延)の前(直前)に行う時効処理を例えば350℃以上450℃以下の条件で行うことが好ましい。これにより、上述の粒径aの最大値を3μm以下により確実にすることができる。
また、最終の冷間圧延の加工度が高くなるほど、上述のb/aの平均値が大きくなる。従って、最終の冷間圧延の加工度を例えば60%未満、好ましくは40%以上50%以下にするとよい。最終の冷間圧延の加工度が75%以上であると、上述のb/aの平均値が40を超えることがある。最終の冷間圧延の加工度を60%未満にすることで、b/aの平均値を40以下にすることができる。最終の冷間圧延の加工度を50%以下にすることで、b/aの平均値を40以下により確実にすることができる。しかしながら、最終の冷間圧延の加工度が40%未満になると、銅合金材の生産性が低下することがある。最終の冷間圧延の加工度を40%以上にすることで、銅合金材の生産性が低下することを抑制することができる。
(歪み取り焼鈍工程)
圧延工程が終了した後、冷間圧延材に対して、所定温度(例えば300℃)で所定時間(例えば1分間)加熱する歪み取り焼鈍を行い、銅合金材を形成する。
(4)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)Cu−Cr−Zr系合金において、組成制御に加えて組織制御を行うことで、高導電性及び高強度を維持しつつ、プレス加工性及び曲げ加工性を向上させることができる。
(b)つまり、Cu−Cr−Zr系合金において、0.1質量%以上0.4質量%以下のCrと、0.02質量%以上0.2質量%以下のZrと、を含むように組成制御を行うことで、銅合金材を高導電性及び高強度を有するものにすることができる。例えば、銅合金材の導電率を75%IACS以上にするとともに、0.2%耐力を500MPa以上にすることができる。
(c)また、銅合金材を構成する金属組織が有する結晶粒の板厚方向の粒径を粒径a、圧延方向の粒径を粒径bとしたとき、粒径aの最大値が3μm以下になり、b/aの平均値が40以下になるように金属組織の制御(組織制御)を行うことで、高導電性及び高強度を維持しつつ、プレス加工性及び曲げ加工性を向上させることができる。例えば打ち抜き断面におけるせん断面の面積割合を50%以下にすることができる。また、W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径Rと板厚tとの比率R/tの値を0.5以下にすることができる。
(d)Cu−Cr−Zr系合金においてCrの組成制御(Crの含有量の調整)を行うことで、粒径aの最大値を例えば3μm以下により確実にすることができる。その結果、b/aの平均値を例えば40以下により確実にすることができる。これにより、プレス加工性をより向上させることができるとともに、R/tの値を0.5以下により確実にすることができ、曲げ加工性をより向上させることができる。
(e)プレス加工性を向上させることで、破断が始まるまでの時間を短縮することができ、プレス打ち抜き加工を行う際に用いられる金型の摩耗を低減することができる。
(f)圧延工程で行う時効処理を、比較的低温(例えば350℃以上450℃以下)で行うことで、金属組織が有する結晶粒が大きく成長することを抑制することができる。例えば、上述の粒径aの最大値を3μm以下により確実にすることができる。また、微細な結晶粒を有する金属組織で構成される銅合金材を安定して形成することができる。
ここで、参考までに、従来のCu−Cr−Zr系合金からなる銅合金材の製造方法について説明する。従来の製造方法では、通常、圧延工程において、高温の熱処理を行っている。例えば、鋳塊に対して所定の熱間圧延を行って形成した熱間圧延材に対して、溶体化を目的として例えば800℃以上で被処理材を加熱する熱処理(溶体化処理)と、時効を目的として例えば400〜700℃程度で被処理材を加熱する熱処理(時効処理)と、をそれぞれ冷間圧延をはさんで行っている。このように溶体化処理や時効処理の熱処理を高温で行うと、金属組織が有する結晶粒が大きくなりやすくなる。つまり、上述の粒径aの最大値が例えば3μm以下になるように、金属組織を制御することが難しくなる。
これに対し、上述の実施形態では、圧延工程で行う熱処理を、従来よりも低温で行っている。具体的には、圧延工程において、溶体化処理を行わず、時効処理も例えば350℃〜450℃程度の低温で行っている。これにより、圧延工程で行う熱処理により、金属組織が有する結晶粒が大きくなることを抑制することができる。
(g)本実施形態にかかる銅合金材は、銅合金材の厚さ(板厚)を例えば0.3mm程度と薄くした場合であっても、高導電性及び高強度を維持しつつ、優れたプレス加工性及び優れた曲げ加工性を有している。従って、本実施形態にかかる銅合金材が例えばリードフレームに用いられた場合、十分な放熱性を確保しつつ、リードフレームのさらなる小型化、高機能化を図ることができる。また、本実施形態にかかる銅合金材が例えばコネクタ(コネクタの導体部)に用いられた場合、コネクタに接続された電線を流れる電流値が増加した場合であっても、ジュール熱の発生が少ない導電性を有するとともに、より高いばね性を満足することができ、コネクタのさならる小型化、さらなる高機能化を図ることができる。このように、本実施形態にかかる銅合金材は、リードフレームやコネクタの導体部に用いられる場合に特に有効である。
(h)本実施形態にかかる銅合金材は、高い耐熱性も有するので、自動車内の高温環境で使用されるような用途に特に有効である。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、高周波溶解炉を用いて溶湯(銅の溶湯、銅合金の溶湯)を生成したが、これに限定されない。例えば、原料を加熱して溶解して溶湯を生成することが可能な種々の溶解炉を用いることができる。
上述の実施形態では、銅合金材がリードフレーム、コネクタに用いられる場合について説明したが、これに限定されない。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試料の作製>
(試料1)
まず、高周波溶解炉が備える坩堝内に、母材としての無酸素銅と、0.25質量%のCrと、0.1質量%のZrとを投入し、高周波溶解炉を用いて窒素雰囲気下で坩堝内を加熱して銅合金の溶湯を溶製した。溶製した銅合金の溶湯を所定形状の鋳型に注いで厚さが25mm、幅が30mm、長さが150mmの鋳塊(インゴット)を鋳造した。
得られたインゴットを950℃に加熱した後、インゴットに対して被圧延材の厚さが8mmになるように熱間圧延を行って熱間圧延材を形成した。
熱間圧延材に対して被圧延材の厚さが1mmになるように冷間圧延(第1の冷間圧延)を行って第1の冷間圧延材を形成した。第1の冷間圧延材を420℃の条件下で4時間加熱(加熱保持)して熱処理(時効処理)を行った。
時効処理後の第1の冷間圧延材に対して、被圧延材の厚さが0.5mmになるように冷間圧延(第2の冷間圧延)を行って第2の冷間圧延材を形成した。第2の冷間圧延材を400℃の条件下で4時間加熱して熱処理(時効処理)を行った。なお、本試料では、この時効処理を最終圧延前の熱処理とし、この時効処理の温度を最終圧延前の熱処理温度とする。
時効処理後の第2の冷間圧延材に対して、被圧延材の厚さが0.3mmになるように加工度が40%の冷間圧延(第3の冷間圧延、本試料では最終の冷間圧延(最終圧延))を行って第3の冷間圧延材を形成した。
第3の冷間圧延材を300℃の条件下で1分間加熱して歪み取り焼鈍を行って銅合金材を作製した。この銅合金材を試料1とした。
(試料2〜19)
試料2〜19では、銅合金材(インゴット)の組成が下記の表1に示す通りになるように、Cr、Zr、Sn、Mg、Ti、Fe、Siの添加量(投入量)を調整した。その他は、上述の試料1と同様にして、厚さが0.3mmである銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料2〜19とした。
(試料20〜25)
試料20〜25ではそれぞれ、最終圧延前の熱処理温度、最終圧延の加工度を下記の表1に示す通りにした。具体的には、最終圧延前の熱処理温度を400℃〜540℃にし、最終圧延の加工度を40%〜75%にした。その他は、上述の試料1と同様にして銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料20〜25とした。なお、最終圧延の加工度を40%にすると、銅合金材(第3の冷間圧延材)の厚さは0.3mmになり、最終圧延の加工度を75%にすると、銅合金材の厚さは0.125mmになる。
<評価>
試料1〜25の銅合金材についてそれぞれ、金属組織、導電性、強度、プレス加工性及び曲げ加工性の評価を行った。
(金属組織の評価)
各試料を構成する金属組織の評価は、各試料の金属組織が有する結晶粒の板厚方向の粒径(粒径a)と、圧延方向の粒径(粒径b)と、をそれぞれ測定し、粒径aの最大値と、b/aの平均値とを求めることで行った。粒径a及び粒径bの測定はそれぞれ、JIS H0501に準拠した切断法により行った。具体的には、各試料の圧延方向に平行な断面に対して研磨及びエッチングを行った。その後、各試料の研磨及びエッチングを行った面の150μm×100μmの所定領域を光学顕微鏡により600倍の倍率で撮影して金属組織写真を得た。得られた金属組織写真についてそれぞれ、結晶粒の板厚方向に1本の直線を引き、その直線で切断される各結晶粒におけるその切断長さを測定し、この切断長さを各結晶粒の粒径aとした。そして、測定した粒径aの最大値をそれぞれ、各試料の粒径aの最大値とした。また、上記直線で切断された各結晶粒についてそれぞれ圧延方向の長さを測定し、この長さをそれぞれ各結晶粒の圧延方向における粒径bとした。また、上記直線で切断される結晶粒の個数を数えた。そして、各結晶粒のb/aを算出し、その平均値を算出した。各試料の粒径aの最大値、b/aの平均値を表1に示す。
(導電性の評価)
導電性の評価は、各試料の導電率を測定することで行った。導電率は、JIS H0505に準拠した導電率測定方法により測定した。測定結果を表1に示す。
(強度の評価)
強度の評価は、各試料の引張強さ、0.2%耐力を測定することで行った。引張強さ、0.2%耐力はそれぞれ、JIS Z2241に準拠した引張試験方法により測定した。測定結果を表1に示す。
(プレス加工性の評価)
プレス加工性の評価は、各試料に対してプレス打ち抜き加工を行った際に形成される打ち抜き断面におけるせん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合を測定することで行った。具体的には、所定形状の金型を用い、クリアランス8%の条件下で各試料に対してプレス打ち抜き加工を行い、各試料をそれぞれ直径が10mmである円板状に打ち抜いた。プレス打ち抜き加工を行うことで形成された打ち抜き断面の任意の4箇所を光学顕微鏡を用いて200倍の倍率で撮影して外観写真を得た。得られた外観写真についてそれぞれ、せん断面の面積と、破断面の面積と、を測定した。そして、せん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合を算出した。各試料の任意の4箇所のせん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合の平均値を算出し、この平均値を、打ち抜き断面におけるせん断面の面積割合とした。算出結果を表1に示す。
(曲げ加工性の評価方法)
曲げ加工性の評価は、各試料についてW曲げ試験を行い、割れが発生しない最小曲げ半径Rと板厚tとの比率R/tの値を測定することで行った。W曲げ試験はJIS H3100に準拠した方法により測定した。具体的には、Badway(曲げ軸が圧延方向と同一方向)のW曲げ試験を行った。まず、所定の曲げ半径を有するW字型の治具に各試料を挟んで、各試料をW字型に曲げた。次に、各試料における中央の曲げ部分の外側の表面に割れが発生していないか否かを、目視で観察した。中央の曲げ部分に割れが発生していない場合は、より小さい曲げ半径を有するW字型の治具に試料を挟んで、上述した目視観察を行った。そして、各試料の表面(外側表面)に割れが発生しない曲げ半径の最小値、つまり最小曲げ半径Rを測定した。そして、各試料についてそれぞれ最小曲げ半径Rと板厚t(各試料の厚さt)との比率R/tの値を算出した。R/tの値が小さいほど、厳しい曲げでも割れが生じず、良好な曲げ加工性を有することになる。W曲げ試験のR/tの算出結果をそれぞれ表1に示す。
なお、表1に記載のそれぞれの銅合金材を構成する元素以外の残部はCuおよび不可避不純物からなる。
<評価結果>
試料1〜10、25から、Cu−Cr−Zr系合金の銅合金材において、組成制御に加えて組織制御を行うことで、高導電性及び高強度をバランス良く両立させつつ、プレス加工性及び曲げ加工性を向上させることができることを確認した。
例えば、試料1〜10と、試料11〜19と、の比較から、Cu−Cr−Zr系合金において、組成制御を行うことで、導電率を75%IACS以上にすることができるとともに、0.2%耐力を500MPa以上にすることができることを確認した。
また、例えば、試料1、20と、試料21〜25と、の比較から、Cu−Cr−Zr系合金において、組成制御に加えて金属組織の制御を行うことで、良好なバランスで高導電性及び高強度を維持しつつ、プレス加工性及び曲げ加工性を向上させることができることを確認した。つまり、銅合金材に例えばプレス打ち抜き加工を行った際に形成される打ち抜き断面がせん断変形することを抑制し、打ち抜き断面を破断面よりもせん断面の割合が小さな面にすることができることを確認した。例えば、打ち抜き断面におけるせん断面の面積割合を例えば50%以下にすることができることを確認した。また、W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径Rと板厚tとの比率R/tの値を0.5以下にすることができることを確認した。
また、例えば試料1、試料20〜25から、最終圧延前の熱処理温度、最終圧延の加工度を調整することで、金属組織の制御を行うことができることを確認した。例えば、最終圧延前の熱処理温度を低くすることで、結晶粒の板厚方向の結晶粒の粒径aの最大値を小さくすることができることを確認した。また例えば、最終圧延の加工度を低くすることで、b/aの平均値を小さくすることができることを確認した。
試料11、試料13から、Crの含有量が0.1質量%未満であったり、Zrの含有量が0.02質量%未満であると、銅合金材の強度が低くなることがあることを確認した。例えば、0.2%耐力が500MPaより低くなることがあることを確認した。
また、試料11、試料13から、Crの含有量が0.2質量%未満であると、金属組織が所定の組織にならないことがあることを確認した。例えば、金属組織が有する結晶粒の板厚方向の粒径aの最大値が3μmを超えることがあることを確認した。これにより、プレス加工性が低下することがあることを確認した。例えば打ち抜き断面におけるせん断面の面積割合が50%を超えることがあることを確認した。
試料12、試料14から、Crの含有量が0.4質量%を超えたり、Zrの含有量が0.2質量%を超えると、銅合金材を、高い強度を有するものにすることができるものの、導電性が低くなることがあることを確認した。例えば、0.2%耐力を500MPa以上にすることができる一方で、導電率が75%IACS未満になることがあることを確認した。
試料15〜19から、Sn等の含有量が0.3質量%を超えると、高い導電性を維持することができないことがあることを確認した。例えば、導電率が75%IACS未満になることがあることを確認した。
試料11、13、21、22から、金属組織が有する結晶粒の板厚方向の粒径aの最大値が3μmを超えると、プレス加工性が低下することがあることを確認した。例えば打ち抜き断面におけるせん断面の面積割合が50%を超えることがあることを確認した。
試料23〜試料25から、b/aの平均値が40を超えると、曲げ加工性が低下することがあることを確認した。例えば、W曲げ試験におけるR/tの値が0.5を超えることがあることを確認した。
<好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、
導電率が75%IACS以上であり、
0.2%耐力が500MPa以上であり、
板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が40以下である銅合金材が提供される。
[付記2]
付記1の銅合金材であって、好ましくは、
スズ、マグネシウム、チタン、鉄およびシリコンからなる群から選択した1種以上の成分が0.3質量%以下の範囲で含有されている。
[付記3]
付記1又は2の銅合金材であって、好ましくは、
プレス打ち抜き加工を行った際に形成される打ち抜き断面において、せん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合が50%以下である。
[付記4]
付記1ないし3のいずれかの銅合金材であって、好ましくは、
W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径Rと板厚tとの比R/tの値が0.5以下である。
[付記5]
本発明の他の態様によれば、
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含有し、残部が銅および不可避不純物からなる鋳塊を鋳造する鋳造工程と、
前記鋳塊に対して熱間圧延を行って熱間圧延材を形成し、前記熱間圧延材に対して冷間圧延と、熱処理と、をそれぞれ所定回数交互に行い銅合金材を形成する圧延工程と、を有する銅合金材の製造方法が提供される。
[付記6]
付記5の銅合金材の製造方法であって、好ましくは、
前記熱処理は、350℃以上450℃以下の条件で行う時効処理である。
[付記7]
付記5又は6の銅合金材の製造方法であって、好ましくは、
前記圧延工程では、最終の前記冷間圧延の前に行う前記熱処理の温度を350℃以上450℃以下の条件で行う。
[付記8]
付記5ないし7の銅合金材の製造方法であって、好ましくは、
前記圧延工程では、最終の前記冷間圧延の加工度を60%未満にする。
[付記9]
本発明のさらに他の態様によれば、
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、導電率が75%IACS以上であり、0.2%耐力が500MPa以上であり、板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が40以下である銅合金材がリードフレーム基材として用いられているリードフレームが提供される。
[付記10]
本発明のさらに他の態様によれば、
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、導電率が75%IACS以上であり、0.2%耐力が500MPa以上であり、板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が40以下である銅合金材で形成された導体部を備えるコネクタが提供される。

Claims (4)

  1. 0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、
    導電率が75%IACS以上であり、
    0.2%耐力が500MPa以上であり、
    板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が20以上40以下である
    銅合金材。
  2. スズ、マグネシウム、チタン、鉄およびシリコンからなる群から選択した1種以上の成分の合計含有量が0.3質量%以下である
    請求項1に記載の銅合金材。
  3. プレス打ち抜き加工を行った際に形成される打ち抜き断面において、せん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合が50%以下である
    請求項1又は2に記載の銅合金材。
  4. W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径Rと板厚tとの比R/tの値が0.5以下である
    請求項1ないし3のいずれかに記載の銅合金材。
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