JP6591212B2 - 銅合金材 - Google Patents
銅合金材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6591212B2 JP6591212B2 JP2015118966A JP2015118966A JP6591212B2 JP 6591212 B2 JP6591212 B2 JP 6591212B2 JP 2015118966 A JP2015118966 A JP 2015118966A JP 2015118966 A JP2015118966 A JP 2015118966A JP 6591212 B2 JP6591212 B2 JP 6591212B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copper alloy
- alloy material
- less
- mass
- rolling
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Conductive Materials (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
Description
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、
導電率が75%IACS以上であり、
0.2%耐力が500MPa以上であり、
板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が40以下である銅合金材が提供される。
本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明者が得た知見について説明する。
(1)リードフレーム、コネクタの構成
まず、本発明の一実施形態にかかるリードフレーム、コネクタの構成について説明する。
以下に、上述のリードフレーム、コネクタに好適に用いられる銅合金材の構成について説明する。
次に、本実施形態にかかる銅合金材の製造方法について、溶解鋳造法を例示して説明する。
まず、母材としての例えば純度が99.9%以上である無酸素銅を例えば高周波溶解炉を用いて窒素雰囲気下で溶解して銅の溶湯を生成する。続いて、銅の溶湯中にCr及びZrを添加して銅合金の溶湯を生成する。なお、Crの含有量が例えば0.1質量%以上0.4質量%以下になり、Zrの含有量が例えば0.02質量%以上0.2質量%以下になるように、Cr及びZrの添加量を調整する。また、銅(銅合金)の溶湯中に上述のSn等を添加してもよい。この場合、Sn等の含有量が例えば0.3質量%以下になるように、Sn等の添加量を調整する。このように生成した銅合金の溶湯を鋳型に注いで(出湯して)冷却し、所定の組成を有する所定形状の鋳塊を鋳造する。
鋳造工程が終了した後、鋳塊を所定温度(例えば900℃以上1000℃以下、好ましくは950℃)で所定時間(例えば2時間)加熱して、所定の加工度(例えば総加工度が90%以上95%以下)で熱間圧延を行い、所定厚さ(例えば8mm)の熱間圧延材を形成する。その後、熱間圧延材に対して、所定の加工度の冷間圧延と、時効を目的とする熱処理(時効処理)と、をそれぞれ交互に所定回数繰り返して行い、所定厚さ(例えば0.3mm)の冷間圧延材を形成する。
圧延工程が終了した後、冷間圧延材に対して、所定温度(例えば300℃)で所定時間(例えば1分間)加熱する歪み取り焼鈍を行い、銅合金材を形成する。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
(試料1)
まず、高周波溶解炉が備える坩堝内に、母材としての無酸素銅と、0.25質量%のCrと、0.1質量%のZrとを投入し、高周波溶解炉を用いて窒素雰囲気下で坩堝内を加熱して銅合金の溶湯を溶製した。溶製した銅合金の溶湯を所定形状の鋳型に注いで厚さが25mm、幅が30mm、長さが150mmの鋳塊(インゴット)を鋳造した。
試料2〜19では、銅合金材(インゴット)の組成が下記の表1に示す通りになるように、Cr、Zr、Sn、Mg、Ti、Fe、Siの添加量(投入量)を調整した。その他は、上述の試料1と同様にして、厚さが0.3mmである銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料2〜19とした。
試料20〜25ではそれぞれ、最終圧延前の熱処理温度、最終圧延の加工度を下記の表1に示す通りにした。具体的には、最終圧延前の熱処理温度を400℃〜540℃にし、最終圧延の加工度を40%〜75%にした。その他は、上述の試料1と同様にして銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料20〜25とした。なお、最終圧延の加工度を40%にすると、銅合金材(第3の冷間圧延材)の厚さは0.3mmになり、最終圧延の加工度を75%にすると、銅合金材の厚さは0.125mmになる。
試料1〜25の銅合金材についてそれぞれ、金属組織、導電性、強度、プレス加工性及び曲げ加工性の評価を行った。
各試料を構成する金属組織の評価は、各試料の金属組織が有する結晶粒の板厚方向の粒径(粒径a)と、圧延方向の粒径(粒径b)と、をそれぞれ測定し、粒径aの最大値と、b/aの平均値とを求めることで行った。粒径a及び粒径bの測定はそれぞれ、JIS H0501に準拠した切断法により行った。具体的には、各試料の圧延方向に平行な断面に対して研磨及びエッチングを行った。その後、各試料の研磨及びエッチングを行った面の150μm×100μmの所定領域を光学顕微鏡により600倍の倍率で撮影して金属組織写真を得た。得られた金属組織写真についてそれぞれ、結晶粒の板厚方向に1本の直線を引き、その直線で切断される各結晶粒におけるその切断長さを測定し、この切断長さを各結晶粒の粒径aとした。そして、測定した粒径aの最大値をそれぞれ、各試料の粒径aの最大値とした。また、上記直線で切断された各結晶粒についてそれぞれ圧延方向の長さを測定し、この長さをそれぞれ各結晶粒の圧延方向における粒径bとした。また、上記直線で切断される結晶粒の個数を数えた。そして、各結晶粒のb/aを算出し、その平均値を算出した。各試料の粒径aの最大値、b/aの平均値を表1に示す。
導電性の評価は、各試料の導電率を測定することで行った。導電率は、JIS H0505に準拠した導電率測定方法により測定した。測定結果を表1に示す。
強度の評価は、各試料の引張強さ、0.2%耐力を測定することで行った。引張強さ、0.2%耐力はそれぞれ、JIS Z2241に準拠した引張試験方法により測定した。測定結果を表1に示す。
プレス加工性の評価は、各試料に対してプレス打ち抜き加工を行った際に形成される打ち抜き断面におけるせん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合を測定することで行った。具体的には、所定形状の金型を用い、クリアランス8%の条件下で各試料に対してプレス打ち抜き加工を行い、各試料をそれぞれ直径が10mmである円板状に打ち抜いた。プレス打ち抜き加工を行うことで形成された打ち抜き断面の任意の4箇所を光学顕微鏡を用いて200倍の倍率で撮影して外観写真を得た。得られた外観写真についてそれぞれ、せん断面の面積と、破断面の面積と、を測定した。そして、せん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合を算出した。各試料の任意の4箇所のせん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合の平均値を算出し、この平均値を、打ち抜き断面におけるせん断面の面積割合とした。算出結果を表1に示す。
曲げ加工性の評価は、各試料についてW曲げ試験を行い、割れが発生しない最小曲げ半径Rと板厚tとの比率R/tの値を測定することで行った。W曲げ試験はJIS H3100に準拠した方法により測定した。具体的には、Badway(曲げ軸が圧延方向と同一方向)のW曲げ試験を行った。まず、所定の曲げ半径を有するW字型の治具に各試料を挟んで、各試料をW字型に曲げた。次に、各試料における中央の曲げ部分の外側の表面に割れが発生していないか否かを、目視で観察した。中央の曲げ部分に割れが発生していない場合は、より小さい曲げ半径を有するW字型の治具に試料を挟んで、上述した目視観察を行った。そして、各試料の表面(外側表面)に割れが発生しない曲げ半径の最小値、つまり最小曲げ半径Rを測定した。そして、各試料についてそれぞれ最小曲げ半径Rと板厚t(各試料の厚さt)との比率R/tの値を算出した。R/tの値が小さいほど、厳しい曲げでも割れが生じず、良好な曲げ加工性を有することになる。W曲げ試験のR/tの算出結果をそれぞれ表1に示す。
試料1〜10、25から、Cu−Cr−Zr系合金の銅合金材において、組成制御に加えて組織制御を行うことで、高導電性及び高強度をバランス良く両立させつつ、プレス加工性及び曲げ加工性を向上させることができることを確認した。
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の一態様によれば、
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、
導電率が75%IACS以上であり、
0.2%耐力が500MPa以上であり、
板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が40以下である銅合金材が提供される。
付記1の銅合金材であって、好ましくは、
スズ、マグネシウム、チタン、鉄およびシリコンからなる群から選択した1種以上の成分が0.3質量%以下の範囲で含有されている。
付記1又は2の銅合金材であって、好ましくは、
プレス打ち抜き加工を行った際に形成される打ち抜き断面において、せん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合が50%以下である。
付記1ないし3のいずれかの銅合金材であって、好ましくは、
W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径Rと板厚tとの比R/tの値が0.5以下である。
本発明の他の態様によれば、
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含有し、残部が銅および不可避不純物からなる鋳塊を鋳造する鋳造工程と、
前記鋳塊に対して熱間圧延を行って熱間圧延材を形成し、前記熱間圧延材に対して冷間圧延と、熱処理と、をそれぞれ所定回数交互に行い銅合金材を形成する圧延工程と、を有する銅合金材の製造方法が提供される。
付記5の銅合金材の製造方法であって、好ましくは、
前記熱処理は、350℃以上450℃以下の条件で行う時効処理である。
付記5又は6の銅合金材の製造方法であって、好ましくは、
前記圧延工程では、最終の前記冷間圧延の前に行う前記熱処理の温度を350℃以上450℃以下の条件で行う。
付記5ないし7の銅合金材の製造方法であって、好ましくは、
前記圧延工程では、最終の前記冷間圧延の加工度を60%未満にする。
本発明のさらに他の態様によれば、
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、導電率が75%IACS以上であり、0.2%耐力が500MPa以上であり、板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が40以下である銅合金材がリードフレーム基材として用いられているリードフレームが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、導電率が75%IACS以上であり、0.2%耐力が500MPa以上であり、板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が40以下である銅合金材で形成された導体部を備えるコネクタが提供される。
Claims (4)
- 0.1質量%以上0.4質量%以下のクロムと、0.02質量%以上0.2質量%以下のジルコニウムと、を含み、残部が銅および不可避不純物からなり、
導電率が75%IACS以上であり、
0.2%耐力が500MPa以上であり、
板厚方向の結晶粒の粒径をa、圧延方向の結晶粒の粒径をbとしたとき、aの最大値が3μm以下であり、b/aの平均値が20以上40以下である
銅合金材。 - スズ、マグネシウム、チタン、鉄およびシリコンからなる群から選択した1種以上の成分の合計含有量が0.3質量%以下である
請求項1に記載の銅合金材。 - プレス打ち抜き加工を行った際に形成される打ち抜き断面において、せん断面及び破断面の合計面積に対するせん断面の面積の割合が50%以下である
請求項1又は2に記載の銅合金材。 - W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径Rと板厚tとの比R/tの値が0.5以下である
請求項1ないし3のいずれかに記載の銅合金材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015118966A JP6591212B2 (ja) | 2015-06-12 | 2015-06-12 | 銅合金材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015118966A JP6591212B2 (ja) | 2015-06-12 | 2015-06-12 | 銅合金材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017002368A JP2017002368A (ja) | 2017-01-05 |
JP6591212B2 true JP6591212B2 (ja) | 2019-10-16 |
Family
ID=57753477
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015118966A Active JP6591212B2 (ja) | 2015-06-12 | 2015-06-12 | 銅合金材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6591212B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2022270195A1 (ja) * | 2021-06-22 | 2022-12-29 | ||
CN115491542B (zh) * | 2022-09-28 | 2023-05-23 | 中色正锐(山东)铜业有限公司 | 一种蚀刻型均温板铜铬锆合金带材及其加工方法和应用 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4171735B2 (ja) * | 2005-03-31 | 2008-10-29 | 日鉱金属株式会社 | クロム含有銅合金の製造方法、クロム含有銅合金および伸銅品 |
-
2015
- 2015-06-12 JP JP2015118966A patent/JP6591212B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017002368A (ja) | 2017-01-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4596493B2 (ja) | 導電性ばね材に用いられるCu−Ni−Si系合金 | |
JP5320642B2 (ja) | 銅合金の製造方法及び銅合金 | |
JP5117604B1 (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
JP4857395B1 (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
KR101369693B1 (ko) | 전자 기기용 구리 합금, 전자 기기용 구리 합금의 제조 방법, 및 전자 기기용 구리 합금 압연재 | |
JP3699701B2 (ja) | 易加工高力高導電性銅合金 | |
WO2017043551A1 (ja) | 電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、及び、バスバー | |
TWI429768B (zh) | Cu-Co-Si based copper alloy for electronic materials and method for producing the same | |
KR102114517B1 (ko) | 전자·전기 기기용 구리 합금, 전자·전기 기기용 구리 합금 박판, 전자·전기 기기용 도전 부품 및 단자 | |
KR20220107184A (ko) | 구리 합금, 구리 합금 소성 가공재, 전자·전기 기기용 부품, 단자, 버스 바, 방열 기판 | |
KR101917416B1 (ko) | 전자 재료용 Cu-Co-Si 계 합금 | |
TW201704490A (zh) | 銅合金材料及其製造方法 | |
TW201736615A (zh) | 電子材料用銅合金 | |
JP6222885B2 (ja) | 電子材料用Cu−Ni−Si−Co系銅合金 | |
JP5703975B2 (ja) | 電子機器用銅合金、電子機器用銅合金の製造方法及び電子機器用銅合金圧延材 | |
JP6228725B2 (ja) | Cu−Co−Si系合金及びその製造方法 | |
JP6591212B2 (ja) | 銅合金材 | |
JP6155407B1 (ja) | 電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用部品、端子、及びバスバー | |
JP2016199808A (ja) | Cu−Co−Si系合金及びその製造方法 | |
JP4175920B2 (ja) | 高力銅合金 | |
JP6246174B2 (ja) | 電子部品用Cu−Co−Ni−Si合金 | |
JP6246454B2 (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
JP4154131B2 (ja) | フォーク型コンタクト用の高強度りん青銅及びその製造方法 | |
JP2016211078A (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
JP2016183418A (ja) | 電子材料用Cu−Ni−Si−Co系銅合金 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180524 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190319 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190320 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190425 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190917 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190918 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6591212 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |