JP6155407B1 - 電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用部品、端子、及びバスバー - Google Patents

電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用部品、端子、及びバスバー Download PDF

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Abstract

Mgを0.5mass%以上3.0mass%以下の範囲内で含み、残部がCuおよび不可避不純物からなり、引張試験において、真応力σtと真ひずみεtとで定義されるdσt/dεtを縦軸とし、真ひずみεtを横軸とした場合に、前記dσt/dεtの傾きが正となるひずみ領域を有していることを特徴とする。

Description

本願発明は、コネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品に適した電子・電気機器用銅合金、及び、この電子・電気機器用銅合金からなる電子・電気機器用部品、端子、及びバスバーに関するものである。
本願は、2015年9月9日に、日本に出願された特願2015−177742号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、コネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品には、導電性の高い銅又は銅合金が用いられている。
これらの電子・電気機器用部品は、一般に、厚みが0.05〜3.0mm程度の圧延板に打ち抜き加工を施すことによって所定の形状とし、その少なくとも一部に曲げ加工を施すことによって製造される。このような電子・電気機器用部品を構成する材料には、優れた曲げ加工性、高い強度が要求される。
ここで、コネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品に使用される材料として、例えば特許文献1にはCu−Mg合金が提案されている。このCu−Mg合金は、強度、導電率、曲げ加工性のバランスに優れており、電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
日本国特開2011−241412号公報(A)
ところで、最近では、電子・電気機器用部品に対して大電流大電圧が負荷されることがあり、電子・電気機器用部品の素材として、厚さが0.5mm、1mm、2mm、3mmといった比較的厚い銅合金材が提供されている。このため、上述の電子・電気機器用銅合金には、様々な厚さにおいて曲げ加工性に優れていることが求められている。
本願発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、曲げ加工性に特に優れるとともに、高い0.2%耐力を有する電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用部品、端子及びバスバーを提供することを目的とする。
本願発明者らが鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。厚さが比較的薄い銅合金材に対して曲げ加工を行う場合、小さな金型で曲げ加工が施されるため、曲げ加工される領域が狭く、変形が局所的に起こる。このため、曲げ加工性は局所伸びに影響されることになる。一方、厚さが比較的厚い銅合金材に対して曲げ加工を行う場合、大きな金型で曲げ加工が施されるため、曲げ加工される領域が広くなる。このため、曲げ加工性は局所伸びよりも均一伸びに影響されることになる。
ここで、通常の銅合金材においては、材料の破断に至るまで引張試験を行った場合、弾性変形及び塑性変形の領域において、ひずみの増加とともに加工硬化率に相当するdσ/dε(σ:真応力、ε:真ひずみ)の値が単調に減少することになる。しかしながら、本願発明者ら鋭意検討した結果、銅合金材に対して特定の熱処理を行うことで、上述のdσ/dεが塑性変形後に上昇することを見出した。
そして、dσ/dεが塑性変形後に上昇する場合には、均一伸びが向上することになり、銅合金材の厚さが比較的厚い場合であっても曲げ加工性が向上するとの知見を得た。
本願発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本願発明の一態様の電子・電気機器用銅合金(以下、「本願発明の電子・電気機器用銅合金」と称する)は、Mgを0.5mass%以上3.0mass%以下の範囲内で含み、残部がCuおよび不可避不純物からなり、引張試験において、真応力σと真ひずみεとで定義されるdσ/dεを縦軸とし、真ひずみεを横軸とした場合に、前記dσ/dεの傾きが正となるひずみ領域を有していることを特徴としている。
上述の構成の電子・電気機器用銅合金によれば、引張試験において、真応力σと真ひずみεとで定義されるdσ/dεを縦軸とし、真ひずみεを横軸とした場合に、前記dσ/dεの傾きが正となるひずみ領域を有し、塑性変形後にdσ/dεが上昇することによって、均一伸びが向上する。これにより、銅合金材の厚さが比較的厚い場合であっても曲げ加工性を向上させることができる。
また、Mgを0.5mass%以上3.0mass%以下の範囲内で含んでいるので、耐熱性に優れており、前記dσ/dεの傾きが正となるひずみ領域を有するために特定の熱処理を行った場合でも、0.2%耐力が大きく低下することを抑制でき、高い0.2%耐力を確保することができる。
ここで、本願発明の電子・電気機器用銅合金においては、仕上げ熱処理後の0.2%耐力が400MPa以上であることが好ましい。
この場合、仕上げ熱処理後の0.2%耐力が400MPa以上であるので、上述の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
また、本願発明の電子・電気機器用銅合金においては、前記dσ/dεの上昇量が30MPa以上とされていることが好ましい。
この場合、前記dσ/dεの上昇量が30MPa以上とされているので、均一伸びが確実に向上しており、特に優れた曲げ加工性を得ることができる。
また、本願発明の電子・電気機器用銅合金においては、さらにPを0.001mass%以上0.1mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
この場合、Pを0.001mass%以上含んでいるので、鋳造性を向上させることが可能となる。また、Pの含有量が0.1mass%以下とされているので、Pを添加した場合であっても導電率が大きく低下することを抑制できる。
また、本願発明の電子・電気機器用銅合金においては、さらにSnを0.1mass%以上2.0mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
この場合、Snを0.1mass%以上含んでいるので、耐熱性をさらに向上させることができ、熱処理後の0.2%耐力の低下を確実に抑制することができる。また、Snの含有量が2.0mass%以下とされているので、Snを添加した場合であっても導電率が大きく低下することを抑制できる。
本願発明の他態様の電子・電気機器用部品(以下、「本願発明の電子・電気機器用部品」と称する)は、上述の電子・電気機器用銅合金からなることを特徴としている。なお、本願発明における電子・電気機器用部品とは、コネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等を含むものである。
この構成の電子・電気機器用部品は、上述の電子・電気機器用銅合金を用いて製造されているので、曲げ加工が良好に行われており、信頼性に優れている。
本願発明の他態様の端子(以下、「本願発明の端子」と称する)は、上述の電子・電気機器用銅合金からなることを特徴としている。
また、本願発明の他態様のバスバー(以下、「本願発明のバスバー」と称する)は、上述の電子・電気機器用銅合金からなることを特徴としている。
本願発明の端子及びバスバーは、上述の電子・電気機器用銅合金を用いて製造されているので、曲げ加工が良好に行われており、信頼性に優れている。
本願発明によれば、曲げ加工性に特に優れるとともに、高い0.2%耐力を有する電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用部品、端子及びバスバーを提供することができる。
本実施形態である電子・電気機器用銅合金におけるdσ/dε(加工硬化率)とε(真ひずみ)との関係を示すグラフである。 本実施形態である電子・電気機器用銅合金の製造方法のフロー図である。
以下に、本願発明の一実施形態である電子・電気機器用銅合金について説明する。
本実施形態である電子・電気機器用銅合金は、Mgを0.5mass%以上3.0mass%以下の範囲内で含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する。
なお、本実施形態である電子・電気機器用銅合金においては、さらにPを0.001mass%以上0.1mass%以下の範囲内、Snを0.1mass%以上2.0mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
そして、本実施形態である電子・電気機器用銅合金においては、材料が破断に至るまでの引張試験において、真応力σと真ひずみεとで定義されるdσ/dε(加工硬化率)を縦軸とし、真ひずみεを横軸とした場合に、dσ/dεの傾き(d(dσ/dε)/dε)が正となるひずみ領域を有している。
また、本実施形態では、このdσ/dεの上昇量が30MPa以上とされている。
ここで、図1を用いて、dσ/dε(加工硬化率)とε(真ひずみ)の関係について説明する。
本実施形態である電子・電気機器用銅合金においては、図1に示すように、dσ/dεが塑性加工後に上昇することになる。なお、dσ/dεは、図1に示すように上昇に転じた後に上下動する場合があるが、塑性変形後において上昇する領域を有していればよい。また、dσ/dεの上昇量は、図1に示すように、dσ/dεの極小値と極大値との差と定義する。
ここで言うdσ/dεの極小値は、上記グラフ上で、極大値よりも小さな真ひずみεの領域にあり、かつ、傾きが負から正に変わる点である。仮にこの極小値が複数ある場合は、これらのうちで最もdσ/dεが低い極小値の値をdσ/dεの上昇量の算出に用いる。
ここで言うdσ/dεの極大値は、上記グラフ上で、傾きが正から負に変わる点である。仮にこの極大値が複数ある場合は、これらのうちで最もdσ/dεが高い極大値の値をdσ/dεの上昇量の算出に用いる。
また、本実施形態である電子・電気機器用銅合金は、仕上げ熱処理後の0.2%耐力が400MPa以上、導電率が15%IACS以上、といった特性を有している。また、JCBA T315:2002「銅及び銅合金板条の焼鈍軟化特性試験」に従い、各温度で1時間の熱処理を行ったときの半軟化温度が300℃以上とされている。
ここで、上述のように成分組成、dσ/dεを規定した理由について以下に説明する。
(Mg:0.5mass%以上3.0mass%以下)
Mgは、0.2%耐力を向上させる効果を有する元素である。
ここで、Mgの含有量が0.5mass%未満の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることができなくなる。一方、Mgの含有量が3.0mass%を超える場合には、溶体化熱処理等において、CuとMgを主成分とする金属間化合物が残存してしまい、その後の圧延加工等で割れが発生してしまうおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Mgの含有量を0.5mass%以上3.0mass%以下の範囲内に設定している。
なお、確実に0.2%耐力を向上させるためには、Mgの含有量の下限を0.55mass%以上とすることが好ましく、0.6mass%以上とすることがさらに好ましい。
また、圧延加工性をさらに向上させるためには、Mgの含有量の上限を2.8mass%以下とすることが好ましく、2.5mass%以下とすることがさらに好ましい。
(P:0.001mass%以上0.1mass%以下)
Pは、鋳造性を向上させる作用効果を有することから、使用用途に応じて適宜添加してもよい。
ここで、Pの含有量が0.001mass%未満の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、Pの含有量が0.1mass%を超える場合には、導電率が大幅に低下してしまうおそれがある。
以上のことから、本実施形態においてPを添加する場合には、Pの含有量を0.001mass%以上0.1mass%以下の範囲内に設定している。なお、確実に鋳造性を向上させるためには、Pの含有量の下限を0.002mass%以上とすることが好ましく、0.003mass%以上とすることがさらに好ましい。また、導電率の低下を確実に抑制するためには、Pの含有量の上限を0.09mass%以下とすることが好ましく、0.08mass%以下とすることがさらに好ましい。
(Sn:0.1mass%以上2.0mss%以下)
Snは、0.2%耐力及び耐熱性をさらに向上させる作用効果を有することから、使用用途に応じて適宜添加してもよい。
ここで、Snの含有量が0.1mass%未満の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、Snの含有量が2.0mass%を超える場合には、導電率が大幅に低下してしまうおそれがある。
以上のことから、本実施形態においてSnを添加する場合には、Snの含有量を0.1mass%以上2.0mass%以下の範囲内に設定している。なお、確実に0.2%耐力及び耐熱性を向上させるためには、Snの含有量の下限を0.12mass%以上とすることが好ましく、0.15mass%以上とすることがさらに好ましい。また、導電率の低下を確実に抑制するためには、Snの含有量の上限を1.8mass%以下とすることが好ましく、1.6mass%以下とすることがさらに好ましい。
(不可避不純物:0.1mass%以下)
なお、不可避不純物としては、B,Cr,Ti,Fe,Co,O,S,C,(P),Ag,(Sn),Al,Zn,Ca,Te,Mn,Sr,Ba,Sc,Y,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Os,Se,Rh,Ir,Pd,Pt,Au,Cd,Ga,In,Li,Ge,As,Sb,Tl,Pb,Be,N,H,Hg,Tc,Na,K,Rb,Cs,Po,Bi,ランタノイド、Ni、Si、Zr等が挙げられる。これらの不可避不純物は、導電率を低下させる効果があるため、少ないことが望ましく、スクラップを原料として用いた場合であっても、総量で0.1mass%以下とすることが好ましく、(0.09)mass%以下とすることがより好ましく、(0.08)mass%以下とすることがさらにより好ましい。
なお、各元素の上限値は200massppm以下が望ましく、100massppm以下が更に好ましく、より好ましくは50massppm以下である。
(dσ/dε
通常、一般の銅合金においては、材料が破断に至るまでの引張試験を行った際にdσ/dεは単調に低下することになる。これに対して、本実施形態である電子・電気機器用銅合金においては、図1に示すように、dσ/dεが塑性加工後に上昇する領域を有している。このような構成とするためには、後述するように、結晶粒径及びその均一性を制御した状態で、通常よりも高温、長時間の条件で仕上げ熱処理を行う必要がある。
結晶粒径及びその均一性を制御した状態で、通常よりも高温、長時間の条件で仕上げ熱処理を行うと、材料中の転位構造が安定な転位構造へと変化する。この安定な転位構造に塑性変形が加えられると、塑性変形の開始に伴いdσ/dεが一旦低下する。そして、dσ/dεが低下した後に、転位同士の相互作用が通常よりも強くなり、dσ/dεが上昇することになる。
ここで、このdσ/dεの上昇量を30MPa以上とすることにより、均一伸びがさらに向上し、優れた曲げ加工性を有することが可能となる。なお、均一伸びをさらに向上させるためには、dσ/dεの上昇量は、50MPa以上であることが好ましく、100MPa以上とすることがさらに好ましく、200MPa以上とすることがより好ましく、300MPa以上とすることが特に好ましい。
(仕上げ熱処理後の0.2%耐力:400MPa以上)
本実施形態である電子・電気機器用銅合金においては、仕上げ熱処理後の0.2%耐力が400MPa以上とすることにより、コネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品の素材として特に適するものとなる。
なお、本実施形態では、圧延方向に対して直交方向に引張試験を行った際の仕上げ熱処理後の0.2%耐力が400MPa以上とされている。
ここで、0.2%耐力は425MPa以上であることが好ましく、450MPa以上であることがさらに好ましい。
(導電率:15%IACS以上)
本実施形態である電子・電気機器用銅合金において、導電率を15%IACS以上に設定することにより、コネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品として良好に使用することができる。
なお、導電率は20%IACS以上であることが好ましく、30%IACS以上であることがさらに好ましい。
次に、このような構成とされた本実施形態である電子・電気機器用銅合金の製造方法について、図2に示すフロー図を参照して説明する。
(溶解・鋳造工程S01)
まず、銅原料を溶解して得られた銅溶湯に、前述の元素を添加して成分調整を行い、銅合金溶湯を製出する。なお、各種元素の添加には、元素単体や母合金等を用いることができる。また、上述の元素を含む原料を銅原料とともに溶解してもよい。また、本合金のリサイクル材およびスクラップ材を用いてもよい。ここで、銅溶湯は、純度が99.99mass%以上とされたいわゆる4NCuとすることが好ましい。添加元素については、純度が99.9mass%以上のものを用いることが好ましい。また、溶解には、大気雰囲気炉を用いてもよいが、添加元素の酸化を抑制するために、真空炉、不活性ガス雰囲気又は還元性雰囲気とされた雰囲気炉を用いてもよい。
そして、成分調整された銅合金溶湯を鋳型に注入して鋳塊を製出する。なお、量産を考慮した場合には、連続鋳造法または半連続鋳造法を用いることが好ましい。
(熱処理工程S02)
次に、得られた鋳塊の均質化および溶体化のために熱処理を行う。鋳塊を加熱することで、鋳塊内において、添加元素を均質に拡散させる、あるいは、添加元素を母相中に固溶させる。
ここで、熱処理工程S02においては、熱処理方法を特に限定しないが、析出物の生成を抑えるために400℃以上900℃以下の保持温度、1時間以上10時間以下の保持時間で、非酸化性雰囲気又は還元性雰囲気中で実施することが好ましい。また、加熱後の冷却方法は、特に限定しないが、水焼入など冷却速度が200℃/min以上となる方法を採用することが好ましい。
さらに、粗加工の効率化と組織の均一化のために、熱処理後に熱間加工を実施してもよい。加工方法は特に限定されないが、例えば圧延、線引き、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。なお、最終形状が板、条の場合は圧延を採用することが好ましい。また、熱間加工時の温度も特に限定されないが、400℃以上900℃以下の範囲内とすることが好ましい。
(第1中間加工工程S03)
次に、熱処理工程S02後の材料を必要に応じて切断するとともに、酸化スケール等を除去するために必要に応じて表面研削を行う。その後、所定の形状へと塑性加工を行う。
なお、この第1中間加工工程S03における温度条件は特に限定はないが、冷間または温間加工となる−200℃から200℃の範囲内とすることが好ましい。また、加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、30%以上とすることが好ましく、35%以上とすることがさらに好ましく、40%以上とすることがさらに好ましい。また、塑性加工方法は特に限定されないが、例えば圧延、線引き、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。
(第1中間熱処理工程S04)
第1中間加工工程S03後に、溶体化の徹底、再結晶組織化または加工性向上のための軟化を目的として熱処理を実施する。
熱処理の方法は特に限定はないが、好ましくは400℃以上900℃以下の保持温度、10秒以上10時間以下の保持時間で、非酸化雰囲気または還元性雰囲気中で熱処理を行う。また、加熱後の冷却方法は、特に限定しないが、水焼入など冷却速度が200℃/min以上となる方法を採用することが好ましい。
(第2中間加工工程S05)
第1中間熱処理工程S04で生成された酸化スケール等を除去するために必要に応じて表面研削を行う。そして、所定の形状へと塑性加工を行う。
なお、この第2中間加工工程S05における温度条件は特に限定はないが、冷間または温間加工となる−200℃から200℃の範囲内とすることが好ましい。また、加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、20%以上とすることが好ましく、30%以上とすることがさらに好ましい。また、塑性加工方法は特に限定されないが、例えば圧延、線引き、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。
(第2中間熱処理工程S06)
第2中間加工工程S05後に、溶体化の徹底、再結晶組織化または加工性向上のための軟化を目的として熱処理を実施する。熱処理の方法は特に限定はないが、好ましくは400℃以上900℃以下の保持温度、10秒以上10時間以下の保持時間で、非酸化雰囲気または還元性雰囲気中で熱処理を行う。また、加熱後の冷却方法は、特に限定しないが、水焼入など冷却速度が200℃/min以上となる方法を採用することが好ましい。
なお、本実施形態においては、後述する仕上げ加工工程S07及び仕上げ熱処理工程S08を実施する前に、結晶粒径及びその均一性を制御するために、上述の第2中間加工工程S05及び第2中間熱処理工程S06を必要回繰り返し行う。
具体的には、平均結晶粒径dが1μm以上、かつ、結晶粒径の標準偏差が平均結晶粒径d以下となるまで、上述の第2中間加工工程S05及び第2中間熱処理工程S06を繰り返し行うことになる。
ここで、仕上げ加工工程S07前において、平均結晶粒径を1μm以上とすることにより、仕上げ熱処理工程S08の際の軟化温度を上げることができ、熱処理条件を高温、長時間に設定することができ、均一伸びを向上させることが可能となる。なお、仕上げ加工工程S07前における平均結晶粒径は、5μm〜80μmが好ましく、8μm〜20μmがさらに好ましい。
また、仕上げ加工工程S07前に、結晶粒径の標準偏差が平均結晶粒径d以下とされている場合には、仕上げ加工工程S07において均一にひずみを付与することができるため、材料中の転位同士の相互作用を均一に強くすることができ、dσ/dεを確実に上昇させることができる。なお、仕上げ加工工程S07前における結晶粒径の標準偏差は、平均結晶粒径dが80μm以下の場合には、2d/3以下が望ましい。更に望ましくはd/2以下である。
(仕上げ加工工程S07)
第2中間熱処理工程S06後の銅素材を所定の形状に仕上げ加工を行う。なお、この仕上げ加工工程S07における温度条件は特に限定はないが、析出を抑制するために、冷間または温間加工となる−200℃から200℃の範囲内とすることが好ましい。
また、仕上げ加工工程S07における加工率(圧延率)は50%以上とすることにより、0.2%耐力を向上させることが可能となる。なお、さらに0.2%耐力を向上させるためには、加工率(圧延率)を55%以上とすることがさらに好ましく、60%以上とすることがより好ましい。
(仕上げ熱処理工程S08)
次に、仕上げ加工工程S07によって得られた銅素材に対して、仕上げ熱処理を実施する。仕上げ熱処理温度は、300℃以上で行うことが好ましく、例えば300℃の場合には保持時間を1min以上、500℃の場合には保持時間を5sec以上とすることが好ましい。また、非酸化雰囲気または還元性雰囲気で行うことが好ましい。
また、加熱後の冷却方法は、特に限定しないが、水焼入など冷却速度が60℃/min以上となる方法を採用することが好ましい。
なお、上述の仕上げ加工工程S07と仕上げ熱処理工程S08とを、複数回繰り返し実施してもよい。
このようにして、本実施形態である電子・電気機器用銅合金及び電子・電気機器用銅合金塑性加工材が製出されることになる。この電子・電気機器用銅合金塑性加工材は、そのまま電子・電気機器用部品に使用してもよいが、板面の一方、もしくは両面に、膜厚0.1〜10μm程度のSnめっきを施して、めっき付き銅合金部材としてもよい。
さらに、本実施形態である電子・電気機器用銅合金(電子・電気機器用銅合金塑性加工材)を素材として、打ち抜き加工や曲げ加工等を施すことにより、例えばコネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバーといった電子・電気機器用部品が成形される。
以上のような構成とされた本実施形態である電子・電気機器用銅合金によれば、引張試験において、真応力σと真ひずみεとで定義されるdσ/dε(加工硬化率)を縦軸とし、真ひずみεを横軸とした場合に、dσ/dεの傾きが正となるひずみ領域を有し、塑性変形後にdσ/dεが上昇することによって、均一伸びが向上することになり、曲げ加工性に特に優れる。
特に、本実施形態においては、dσ/dεの上昇量が30MPa以上とされているので、均一伸びを確実に向上させることができ、曲げ加工性をさらに向上させることが可能となる。
また、本実施形態においては、Mgを0.5mass%以上3.0mass%以下の範囲内で含んでいるので、高い0.2%耐力を有することができる。
なお、本実施形態において、Pを0.001mass%以上0.1mass%以下の範囲内で含有する場合には、導電率を大きく低下させることなく、鋳造性を向上させることができる。
また、本実施形態において、Snを0.1mass%以上2.0mass%以下の範囲内で含有する場合には、導電率を大きく低下させることなく、さらなる耐熱性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態である電子・電気機器用銅合金においては、圧延方向に対して直交方向に引張試験を行った際の0.2%耐力が400MPa以上、導電率が15%IACS以上とされているので、コネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
また、本実施形態である電子・電気機器用銅合金においては、JCBA T315:2002「銅及び銅合金板条の焼鈍軟化特性試験」に従い、各温度で1時間の熱処理を行ったときの半軟化温度が300℃以上とされているので、仕上げ熱処理工程S08において0.2%耐力が低下することを抑制できる。
また、本実施形態である電子・電気機器用銅合金塑性加工材は、上述の電子・電気機器用銅合金で構成されていることから、この電子・電気機器用銅合金塑性加工材に曲げ加工等を行うことで、コネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品を製造することができる。
また、表面にSnめっきを施した電子・電気機器用銅合金塑性加工材においては、各種電子・電気機器用部品の素材として適用可能である。
さらに、本実施形態である電子・電気機器用部品(コネクタやプレスフィット等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等)は、上述の電子・電気機器用銅合金で構成されているので、信頼性に優れている。
以上、本願発明の実施形態である電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子及びバスバーについて説明したが、本願発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、電子・電気機器用銅合金の製造方法の一例について説明したが、電子・電気機器用銅合金の製造方法は、実施形態に記載したものに限定されることはなく、既存の製造方法を適宜選択して製造してもよい。
以下に、本願発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
純度99.99mass%以上の無酸素銅(ASTM B152 C10100)からなる銅原料を準備し、これを高純度グラファイト坩堝内に装入して、Arガス雰囲気とされた雰囲気炉内において高周波溶解した。得られた銅溶湯内に、各種添加元素を添加して表1に示す成分組成に調製し、カーボンモールドに注湯して鋳塊を製出した。なお、鋳塊の大きさは、厚さ約80mm×幅約150mm×長さ約70mmとした。
この鋳塊の鋳肌近傍を面削し、最終製品の板厚が0.5mm、1.0mm、2.0mmとなるように、鋳塊を切り出してサイズを調整した。
得られた鋳塊に対して、均質化と溶体化のために、Arガス雰囲気中において表1に記載の保持温度及び保持時間で熱処理工程を実施し、その後、水焼き入れを実施した。
熱処理後の材料を切断するとともに、酸化スケールを除去するために表面研削を実施した。
次に、第1中間加工工程として、表1に示す圧延率で冷間圧延を行った後に、第1中間熱処理としてソルトバスを用いて表1に示す温度及び保持時間で熱処理を行った。なお、表1においては、第1中間加工工程を「中間圧延1」、第1中間熱処理工程を「中間熱処理1」と表記した。
次に、第2中間加工工程として、表1に示す圧延率で冷間圧延を行った後に、第2中間熱処理としてソルトバスを用いて表1に示す温度及び保持時間で熱処理を行った。なお、表1においては、1回目の第2中間加工工程を「中間圧延2」、1回目の第2中間熱処理工程を「中間熱処理2」と表記した。
さらに、2回目の第2中間加工工程として、表1に示す圧延率で冷間圧延を行った後に、2回目の第2中間熱処理としてソルトバスを用いて表1に示す温度及び保持時間で熱処理を行った。なお、表1においては、2回目の第2中間加工工程を「中間圧延3」、2回目の第2中間熱処理工程を「中間熱処理3」と表記した。
そして、仕上げ加工工程前の結晶粒径を測定した。2回目の第2中間熱処理工程が終了した材料からサンプルを採取し、圧延方向に直交する断面を観察し、結晶粒径の平均値及び標準偏差を測定した。耐水研磨紙、ダイヤモンド砥粒を用いて機械研磨を行った後、コロイダルシリカ溶液を用いて仕上研磨を行った。そして、EBSD測定装置(FEI社製Quanta FEG 450,EDAX/TSL社製(現 AMETEK社) OIM Data Collection)と、解析ソフト(EDAX/TSL社製(現 AMETEK社)OIM Data Analysis ver.5.3)によって、電子線の加速電圧20kV、測定間隔0.1μmステップで1000μm以上の測定面積で
、各結晶粒の方位差の解析を行った。解析ソフトOIMにより各測定点のCI値を計算し、結晶粒径の解析からはCI値が0.1以下のものは除外した。結晶粒界は、二次元断面観察の結果、隣り合う2つの結晶間の配向方位差が15°以上となる測定点間から、双晶を除くものを結晶粒界として結晶粒界マップを作成した。結晶粒径の測定方法は、結晶粒の長径(途中で粒界に接しない条件で粒内に最も長く引ける直線の長さ)と短径(長径と直角に交わる方向で、途中で粒界に接しない条件で粒内に最も長く引ける直線の長さ)の平均値を結晶粒径とした。この方法により、各サンプルについて200個の結晶粒の測定を行い、結晶粒径の平均値及び標準偏差を算出した。結果を表2に示す。
次に、2回目の第2中間熱処理工程が終了した材料に対して、表2に示す圧延率で仕上げ圧延を実施し、表2記載の板厚(厚さ0.5mm、1.0mm、2.0mm)、幅150mm、長さ200mm以上の圧延板を作製した。
次に、Arガス雰囲気中で、表2に記載の温度と保持時間で仕上げ熱処理を実施し、特性評価用条材を作成した。
(機械的特性評価)
仕上げ熱処理前の材料及び仕上げ熱処理後の特性評価用条材から、JIS Z 2201に規定される13B号試験片を採取し、JIS Z 2241のオフセット法により、0.2%耐力を測定した。その際、ひずみ速度は0.7mm/sで実施し、試験力および試験片の変位のデータは0.01sごとに取得した。なお、試験片は、引張試験の引張方向が特性評価用条材の圧延方向に対して直交するように採取した。測定結果を表2に示す。
また、特性評価用条材の引張試験の結果から、真応力σ及び真ひずみεを評価した。荷重をF、試験片初期断面積をS、初期平行部長さをL、試験中の初期からの伸びをΔLとする。荷重Fを、試験片初期断面積Sで割ったものを公称応力σ、伸びΔLを初期平行部長さLで割ったものを公称ひずみεとする。
これに対し、変形中における試験片の断面積を考慮した応力を真応力σ、変形中における平行部長さを考慮したひずみを真ひずみεとし、以下の式に従い算出した。
σ=σ(1+ε
ε=ln(1+ε
(dσ/dε
上述のようにして得られた真応力σ及び真ひずみεのデータから、dσ/dεを計算し、εを横軸、dσ/dεを縦軸として、図1に示すようなグラフを作製した。ここで、0.01sごとの真ひずみεの変位量をdεと定義し、0.01sごとの真応力σの変化をdσとした。dσ/dεが上昇した領域が存在するものを「A」、存在しないものを「B」と評価した。評価結果を表2に示す。
また、dσ/dεの傾きを求め、傾きが正から0になったときのdσ/dεの値の中で最大となるものを極大値として求めた。また、極大値よりも小さな真ひずみεの領域にあり、かつ、傾きが負から0になったときのdσ/dεの値の中で最小となるものを極小値として求めた。この極大値と極小値との差をdσ/dεの上昇量とした。評価結果を表2に示す。
(導電率)
特性評価用条材から幅10mm×長さ150mmの試験片を採取し、4端子法によって電気抵抗を求めた。また、マイクロメータを用いて試験片の寸法測定を行い、試験片の体積を算出した。そして、測定した電気抵抗値と体積とから、導電率を算出した。なお、試験片は、その長手方向が特性評価用条材の圧延方向に対して平行になるように採取した。
評価結果を表2に示す。
(曲げ加工性)
日本伸銅協会技術標準JCBA−T307:2007の4試験方法に準拠して曲げ加工を行った。
曲げ軸が圧延方向に対して平行となるように、特性評価用条材から幅10mm×長さ30mmの試験片を複数採取し、曲げ角度が90度、曲げ半径がそれぞれの板厚の2倍とされたW型の治具を用い、W曲げ試験を行った。目視で割れが確認された場合を「B」、割れが観察されなかった場合を「A」と評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 0006155407
Figure 0006155407
比較例1は、Mgの含有量が本願発明の範囲よりも少なく、0.2%耐力が低かった。
比較例2は、リン青銅であるが、耐熱性が不十分なため、仕上げ熱処理後に0.2%耐力が大きく低下した。
比較例3は、Mgの含有量が本願発明の範囲よりも多く、製造途中で割れが生じたため、評価を中断した。
比較例4は、第2中間加工及び第2中間熱処理を実施しておらず、仕上げ加工及び仕上げ熱処理前の結晶粒径の標準偏差が平均結晶粒径dを超えており、dσ/dεが上昇する領域が認められなかった。このため、曲げ加工性が不十分であった。
これに対して、本発明例においては、仕上げ加工及び仕上げ熱処理前の平均結晶粒径が1μm以上とされ、結晶粒径の標準偏差が平均結晶粒径d以下となっていた。そして、仕上げ熱処理後において、dσ/dεが上昇する領域が認められ、曲げ加工性が良好であった。
以上のことから、本発明例によれば、曲げ加工性に特に優れるとともに、高い0.2%耐力を有する電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用銅合金塑性加工材を提供できることが確認された。
曲げ加工性に特に優れるとともに、高い導電率を有する電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、及び、バスバーを提供することができる。
S05 第2中間加工工程
S06 第2中間熱処理工程
S07 仕上げ加工工程
S08 仕上げ熱処理工程

Claims (8)

  1. Mgを0.5mass%以上3.0mass%以下の範囲内で含み、残部がCuおよび不可避不純物からなり、
    引張試験において、真応力σと真ひずみεとで定義されるdσ/dεを縦軸とし、真ひずみεを横軸とした場合に、前記dσ/dεの傾きが正となるひずみ領域を有していることを特徴とする電子・電気機器用銅合金。
  2. 仕上げ熱処理後の0.2%耐力が400MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子・電気機器用銅合金。
  3. 前記dσ/dεの上昇量が30MPa以上とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子・電気機器用銅合金。
  4. さらにPを0.001mass%以上0.1mass%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子・電気機器用銅合金。
  5. さらにSnを0.1mass%以上2.0mass%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子・電気機器用銅合金。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された電子・電気機器用銅合金からなることを特徴とする電子・電気機器用部品。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された電子・電気機器用銅合金からなることを特徴とする端子。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された電子・電気機器用銅合金からなることを特徴とするバスバー。
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