JP3803258B2 - 高電圧貫通型コンデンサ及びマグネトロン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高電圧貫通型コンデンサ及びこの高電圧貫通型コンデンサでなるフィルタを有するマグネトロンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の高電圧貫通型コンデンサは、例えば、特開平8−316099号公報、実開平4ー40524号公報等でよく知られている。その一般的な構造は次のようなものである。コンデンサを構成する誘電体磁器に、2つの貫通孔を間隔をおいて形成する。誘電体磁器の貫通孔を開口させた両面に、互いに独立した個別電極及び個別電極に対して共通となる共通電極を設ける。共通電極は、接地金具の浮き上り部上に半田付け等の手段によって固着される。コンデンサの貫通孔及び接地金具の貫通孔を通って、貫通導体を貫通させる。この貫通導体は、コンデンサの個別電極に、電極接続体等を用いて半田付けされる。接地金具の浮き上り部の外周に、コンデンサを包囲するように、絶縁ケースが挿着される。接地金具の他面側に、貫通導体を包囲するように、絶縁カバーが挿着される。絶縁カバーは接地金具の浮き上り部の内周面に密着するように装着される。そして、絶縁ケース及び絶縁ケースで包囲されたコンデンサの内外に、エポキシ樹脂等の熱硬化性絶縁樹脂が充填され、それによって耐湿性及び絶縁性が確保される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の高電圧貫通型コンデンサは、電子レンジのマグネトロンのフィルタとしての重要な用途があり、湿気や塵埃の多い環境で使用されることが多いため、高度な加湿耐電圧性能が要求される。
【0004】
高電圧貫通型コンデンサがマグネトロンに実装された場合、接地金具はアースされ、貫通導体に、例えば10kV程度の高電圧が印加される。絶縁ケースは、貫通導体から接地金具に至る経路内に位置するので、絶縁ケースには、上述した高電圧が印加される。従って、絶縁ケースには、高度な加湿耐電圧性能が要求される。また、絶縁ケースには、難撚性、耐トラッキング性、靭性、撥水性等も要求される。
【0005】
これらの性能を満たし得る絶縁ケースの材料として、従来は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレートあるいは変性メラミン等が用いられていた。しかしながら、充分な加湿耐電圧性能を得ることができなかった。
【0006】
また、この種の高電圧貫通型コンデンサは、マグネトロンに組み込む都合上、絶縁ケースの高さ寸法は小さい方が望ましい。しかし、絶縁ケースの高さ寸法を小さくすると、貫通導体から絶縁ケースの表面を経由して接地金具に至る沿面距離が短くなり、加湿耐電圧性能が低下する。
【0007】
本発明の課題は、加湿耐電圧性能を含めて優れた耐電圧性能を有する高電圧貫通型コンデンサ、及び、この高電圧貫通型コンデンサでなるフィルタを有するマグネトロンを提供することである。
【0008】
本発明のもう一つの課題は、絶縁ケースの高さ寸法が小さく、かつ、耐電圧性能が加湿耐電圧性能を含めて優れた高電圧貫通型コンデンサ、及び、この高電圧貫通型コンデンサでなるフィルタを有するマグネトロンを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係る高電圧貫通型コンデンサは、少なくとも1つの接地金具と、少なくとも1つのコンデンサと、少なくとも1つの貫通導体と、少なくとも1つの絶縁チューブと、少なくとも1つの絶縁ケースと、少なくとも1つの絶縁カバーと、絶縁樹脂とを含む。
【0010】
前記接地金具は、一面側に浮き上り部を有し、前記浮き上り部は前記一面側から他面側に貫通する少なくとも1つの貫通孔を有している。前記コンデンサは、少なくとも1つの貫通孔を有する誘電体磁器を含み、前記誘電体磁器の前記貫通孔の開口する両面に電極を備えて構成され、前記電極の一方が前記接地金具に導通接続されている。
【0011】
前記貫通導体は、前記コンデンサ及び前記接地金具を貫通し、前記電極の他方に導通接続されている。前記絶縁チューブは、前記貫通導体に被せて設けられている。
【0012】
前記絶縁ケースは、前記接地金具の前記一面側に備えられている。前記絶縁カバーは、前記接地金具の前記他面側に備えられている。前記絶縁樹脂は、前記絶縁ケースの内部及び前記絶縁カバーの内部に充填されるとともに、前記コンデンサの周りに充填されている。
【0013】
前記絶縁ケースは、ポリブチレンテレフタレートと無機物との混合物でなる。前記無機物は、ガラス粉とセラミック粉とから成り、前記ガラス粉および前記セラミック粉は、混合物の全量に対する含有量が、それぞれ、15wt%である。
【0014】
上記構造の高電圧貫通型コンデンサによれば、電子レンジのマグネトロンに使用した場合、貫通導体を給電端子とし、この貫通導体と、アース電位となる接地金具との間にコンデンサを接続し、貫通導体を通るノイズをコンデンサのフィルタ作用によって吸収することができる。
【0015】
また、接地金具は、貫通孔を有しており、コンデンサも誘電体磁器を貫通する貫通孔を有しているから、アースに対して高電位となる貫通導体を、アース電位となる接地金具及びコンデンサの電極の一方との間に、貫通孔による充分な電気絶縁を確保して、取り付けることができる。
【0016】
さらに、絶縁樹脂がコンデンサの周りに充填されているから、高温負荷試験や耐湿負荷試験等の信頼性試験または高温多湿の環境で使用された場合等の信頼性が向上する。
【0017】
高電圧貫通型コンデンサをマグネトロンに使用した場合、接地金具はアースされ、貫通導体に高電圧が印加される。絶縁ケースは、貫通導体から接地金具に至る経路内に位置するので、絶縁ケースには、上述の高電圧が印加される。従って、絶縁ケースには、高度な加湿耐電圧性能が要求される。
【0018】
本発明の高電圧貫通型コンデンサでは、絶縁ケースが、ポリブチレンテレフタレートと無機物との混合物でなる。無機物は、ガラス粉とセラミック粉とから成り、前記ガラス粉および前記セラミック粉は、混合物の全量に対する含有量が、それぞれ、15wt%である。本発明者らの実験によれば、絶縁ケースが上述の構成の場合、高電圧貫通型コンデンサの加湿耐電圧性能が大幅に向上する。
【0019】
しかも、本発明の高電圧貫通型コンデンサは、絶縁ケースが上述の構成なので、高度な加湿耐電圧性能を有する。従って、絶縁ケースの高さ寸法が小さくなり、貫通導体から絶縁ケースの表面を経由して接地金具に至る沿面距離が短くなった場合でも、優れた加湿耐電圧性能を確保できる。
【0020】
好ましくは、絶縁ケースは、一端が前記浮き上り部の外周側に挿着され、高さ寸法が12mm以上である。本発明者らの実験において、絶縁ケースの高さ寸法が12mm以上であれば、必要な加湿耐電圧性能を確保できることがわかった。
【0021】
また、好ましい高電圧貫通型コンデンサにおいて、貫通導体は、丸棒の成形体でなり、タブ部が丸棒のプレス加工により形成される。かかる構造の貫通導体では、コンデンサを貫通する貫通部と、タブ部とを接続するかしめ等の接続部が不要となる。従って、絶縁ケースの高さ寸法の小さな高電圧貫通型コンデンサを実現できる。
【0022】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付された図面は単なる例示に過ぎない。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る高電圧貫通型コンデンサの一実施例を示す正面断面図、図2は図1に示した高電圧貫通型コンデンサの分解斜視図である。図示のように、本発明に係る高電圧貫通型コンデンサは、接地金具1と、コンデンサ2と、貫通導体4、5と、絶縁チューブ10、11と、絶縁ケース6と、絶縁カバー9と、絶縁樹脂7、8とを含む。接地金具1は、一面側に浮き上り部111を有し、浮き上り部111は、一面側から他面側に貫通する貫通孔112を有している。
【0024】
コンデンサ2は、貫通孔211、212を有する誘電体磁器210を含む。コンデンサ2は、誘電体磁器210の貫通孔211、212の開口する両面に電極213〜215を備えて構成される。コンデンサ2は、電極215が接地金具1に導通接続されている。詳しくは、コンデンサ2は、接地金具1の浮き上り部111上に配置され、電極215が浮き上り部111に半田付け等の手段によって固着されている。コンデンサ2を構成する誘電体磁器210の組成は周知である。具体例としては、BaTi03ーBaZrO3ーCaTiO3ーMgTiO3を主成分とし、一種または複数種を添加物を含む組成をあげることができる。
【0025】
貫通導体4、5は、コンデンサ2及び接地金具1を貫通し、それぞれ、電極213、214に導通接続されている。具体的には、貫通導体4は、貫通孔211及び貫通孔112の内部を貫通し、電極213に電極接続体12を介して導通接続されている。貫通導体5は、貫通孔212及び貫通孔112の内部を貫通し、電極214に電極接続体13を介して導通接続されている。図示の貫通導体4は、コンデンサ2を貫通する貫通部42と、タブ接続子として用いられるタブ部41とを有する。貫通部42とタブ部41とは、かしめ43により接続されている。同様に、図示の貫通導体5も貫通部52とタブ部51とを有しており、貫通部52とタブ部51とがかしめ53により接続されている。
【0026】
絶縁チューブ10、11は、貫通導体4、5の、貫通孔211、212内に位置する部分に被せて設けられている。絶縁チューブ10、11は、シリコーン等により構成される。
【0027】
絶縁ケース6は、接地金具1の一面側に備えられている。この絶縁ケース6は、一端が浮き上り部111の外周側に挿着されている。
【0028】
絶縁カバー9は、接地金具1の他面側に備えられている。この絶縁カバー9は、一端が浮き上り部111の内周側に挿着されている。絶縁カバー9はポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレートあるいは変性メラミン等で構成できる。
【0029】
絶縁樹脂7、8は、絶縁ケース6の内部及び絶縁カバー9の内部に充填されるとともに、コンデンサ2の周りに充填されている。詳説すれば、絶縁樹脂7は、接地金具1の一面側でコンデンサ2の周りに充填され、誘電体磁器210の表面に密着している。絶縁樹脂8は、接地金具1に備えられた浮き上り部111の内側及びコンデンサ2の貫通孔211、212内に充填され、誘電体磁器210の表面に密着している。絶縁樹脂7、8は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で構成できる。更に、フェノール樹脂やシリコン樹脂等も用いることができる。
【0030】
図示実施例において、絶縁カバー9の一端面92は、接地金具1の浮き上り部111の内面(天面)113と、間隔g1を隔てて対向させてあり、間隔g1の内部には絶縁樹脂8が充填されている。
【0031】
上述した高電圧貫通型コンデンサにおいて、コンデンサ2は電極215が接地金具1の一面上に固着されて、接地金具1上に備えられている。貫通導体4、5は、コンデンサ2及び接地金具1を貫通し、電極213、214に導通接続されている。従って、電子レンジのマグネトロンに使用した場合、貫通導体4、5を給電端子とし、この貫通導体4、5と、アース電位となる接地金具1との間にコンデンサ2を接続し、貫通導体4、5を通るノイズをコンデンサ2のフィルタ作用によって吸収する高電圧貫通型コンデンサが得られる。
【0032】
接地金具1は、少なくとも一つの貫通孔112を有しており、コンデンサ2は誘電体磁器210を貫通する少なくとも一つの貫通孔211、212を有しているから、アースに対して高電位となる貫通導体4、5を、アース電位となる接地金具1及びコンデンサ2の電極215との間に、貫通孔211、212による充分な電気絶縁を確保することができる。
【0033】
絶縁樹脂7、8がコンデンサ2の周りに充填されているから、高温負荷試験や耐湿負荷試験等の信頼性試験または高温多湿の環境で使用された場合等の信頼性が向上する。
【0034】
高電圧貫通型コンデンサをマグネトロンに使用した場合、接地金具1はアースされ、貫通導体4、5に高電圧が印加される。絶縁ケース6は、貫通導体4、5から接地金具1に至る経路内に位置するので、絶縁ケース6には、上述の高電圧が印加される。従って、絶縁ケース6には、高度な加湿耐電圧性能が要求される。
【0035】
本発明では、絶縁ケース6の加湿耐電圧性能を向上させる手段として、絶縁ケース6を、ポリブチレンテレフタレートと無機物との混合物により構成してある。本発明の範囲ではないが、無機物は、ガラス粉とセラミック粉とを含み、混合物の全量に対する含有量が15wt%〜45wt%の範囲、好ましくは20wt%〜40wt%、更に好ましくは30wt%前後であってもよい。
【0036】
混合物の全量に対する無機物の含有量が15wt%未満の場合、充分な加湿耐電圧性能が得られない。また、無機物の含有量が45wt%を越えた場合、ポリブチレンテレフタレートの含有量が55wt%未満となり、絶縁ケースの機械的強度が不充分となる。
【0037】
ガラス粉としては、通常の工業用ガラス粉を用いることができる。セラミック粉としては、SiO2粉、Al2O3粉、もしくはこれらの混合物を用いることができる。
【0038】
実施例の絶縁ケース6において、無機物は、ガラス粉及びセラミック粉により構成され、混合物の全量に対する含有量が30wt%である。ガラス粉及びセラミック粉は、ともに、混合物の全量に対する含有量が15wt%である。
【0039】
本発明者らの実験によれば、絶縁ケース6が上述の構成の場合、高電圧貫通型コンデンサの加湿耐電圧性能が大幅に向上する。
【0040】
本発明者らは、実施例の高電圧貫通型コンデンサの外部絶縁性能を確認するため、加湿耐電圧試験を行った。表1は加湿耐電圧試験の結果を示している。加湿耐電圧試験において、高電圧貫通型コンデンサの絶縁ケース6を、ポリブチレンテレフタレートと無機物との混合物を加熱成型して構成した。無機物は、ガラス粉及びセラミック粉により構成し、混合物の全量に対する含有量を30wt%とした。ガラス粉及びセラミック粉は、ともに、混合物の全量に対する含有量を15wt%とした。
【0041】
比較のため、従来の高電圧貫通型コンデンサにも加湿耐電圧試験を行った。試験に供された従来高電圧貫通型コンデンサは、三菱レイヨン株式会社製の高品質ポリブチレンテレフタレート樹脂G2930により絶縁ケースを構成した点を除けば、実施例の高電圧貫通型コンデンサと同じ構成である。
【0042】
加湿耐電圧試験に当たっては、アクリルボックス内に高電圧貫通型コンデンサを設置し、加湿器によりアクリルボックス内を常時加湿した。そして、電子レンジ電源により高電圧貫通型コンデンサに電圧を印加した。具体的には、10秒間ON−5秒間OFFを1印加サイクルとして、高電圧貫通型コンデンサに直流電圧10kVを印加し、高電圧貫通型コンデンサが焼損導通するまでこの印加サイクルを繰り返した。焼損導通したときの印加サイクル数(以下、導通印加サイクル数と称する)を表1に示してある。但し、この導通印加サイクル数は、絶縁ケースの高さごとに10個のサンプルを投入し、10個のサンプルのうち、最も少ない印加サイクル数で焼損導通したサンプルの印加サイクル数である。導通印加サイクル数が大きい程、加湿耐電圧性能が優れていると解釈できる。
【0043】
表1において、実施例の高電圧貫通型コンデンサと従来の高電圧貫通型コンデンサにおいて、同じ高さ寸法で導通印加サイクル数を比較する。従来の高電圧貫通型コンデンサに比較して、実施例の高電圧貫通型コンデンサは、加湿耐電圧性能が大幅に向上していることがわかる。
【0044】
しかも、本発明の高電圧貫通型コンデンサは、絶縁ケース6が上述の構成なので、高度な加湿耐電圧性能を有する。従って、絶縁ケース6の高さ寸法h0が小さくなり、貫通導体4、5から絶縁ケース6の表面を経由して接地金具1に至る経路a(沿面距離)が短くなった場合でも、優れた加湿耐電圧性能を確保できる。表1を参照すれば、本発明の高電圧貫通型コンデンサは、絶縁ケース6の高さ寸法h0を12mmとした場合でも、185回の導通印加サイクル数に相当する加湿耐電圧性能を確保している。
【0045】
一般に、高電圧貫通型コンデンサは、マグネトロンに組み込む都合上、絶縁ケースの高さ寸法が20mm以下である。表1に示すように、従来の高電圧貫通型コンデンサは、高さ寸法を20mmとしたとき、導通印加サイクル数は182回である。
【0046】
好ましい高電圧貫通型コンデンサにおいて、絶縁ケース6は、高さ寸法h0が12mm以上である。表1に示すように、本発明の高電圧貫通型コンデンサにおいて絶縁ケース6の高さ寸法h0を12mm以上とした場合、従来の高電圧貫通型コンデンサ(絶縁ケースの高さ寸法h0=20mm)と比較して同等以上の加湿耐電圧性能を得ることができる。
【0047】
図3は、本発明に係る高電圧貫通型コンデンサの別の実施例を示す正面断面図である。図示において、図1、図2と同一の参照符号は、図1に示した高電圧貫通型コンデンサと同一の構成部分を示している。図3に示した高電圧貫通型コンデンサの特徴は、貫通導体4が、丸棒の成形体でなり、丸棒のプレス加工により形成されたタブ部41を有することである。貫通導体4と同様に、貫通導体5も、丸棒の成形体でなり、丸棒のプレス加工により形成されたタブ部51を有する。図示の貫通導体4、5は、直径2mmの丸棒の成形体でなり、直径2mmの丸棒をプレス加工することにより、幅5.2mm、厚さ0.5mmのタブ部41、51を形成してある。図示のタブ部41、51以下の断面積を有するタブ部ならば、直径2mmの丸棒をプレス加工することにより形成できる。例えば、幅4.75mm、厚さ0.6mmのタブ部を形成することもできる。
【0048】
図3に示した高電圧貫通型コンデンサにおいて、貫通導体4、5は、丸棒の成形体でなり、タブ部41、51が丸棒のプレス加工により形成される。かかる構造の貫通導体4では、コンデンサ2を貫通する貫通部42、52と、タブ部41、51とを接続するかしめ等の接続部が不要となる。従って、絶縁ケース6の高さ寸法h0の小さな高電圧貫通型コンデンサを実現できる。
【0049】
図4は、本発明に係る高電圧貫通型コンデンサをフィルタとして組込んだマグネトロンの部分破断面図である。図示において、15は陰極ステム、16はフィルタボックス、17、18はインダクタ、19はインダクタ17、18と共にフィルタとして使用された本発明に係る高電圧貫通型コンデンサである。フィルタボックス16は陰極ステム15を覆うように配置してあり、また高電圧貫通型コンデンサ19は、フィルタボックス16の側面板161に設けた貫通孔を通して、絶縁樹脂7が外部に出るように貫通して設けられ、接地金具1の部分で、フィルタボックス16の側面板161に取付け固定されている。インダクタ17、18はフィルタボックス16の内部において、陰極ステム15の陰極端子と、高電圧貫通型コンデンサ19の貫通導体4、5との間に直列に接続されている。21は冷却フィン、22はガスケット、23はRF出力端、24は磁石である。
【0050】
電子レンジのマグネトロンを発振させるために、商用周波数または20kHz〜40kHzの周波数を持つ4kV0ーP程度の電圧が、高電圧貫通型コンデンサ19の貫通導体4、5に供給される。供給された高電圧は、貫通導体4、5からインダクタ17、18を通してマグネトロンに供給される。貫通導体4、5を通るノイズはコンデンサ2及びインダクタ17、18のフィルタ作用によって吸収される。
【0051】
また、絶縁樹脂7、8がコンデンサ2の周りに充填されているから、高温多湿の環境である電子レンジに使用された場合も、充分な信頼性を確保できる。
【0052】
更に、高電圧貫通型コンデンサ19は、絶縁ケース6が上述の構成なので、優れた加湿耐電圧性能を有する。従って、本発明の高電圧貫通型コンデンサ19を、高温多湿の環境である電子レンジのマグネトロンに組み込んだ場合、マグネトロンの信頼性が向上する。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)加湿耐電圧性能を含めて優れた耐電圧性能を有する高電圧貫通型コンデンサ、及び、この高電圧貫通型コンデンサでなるフィルタを有するマグネトロンを提供することができる。
(b)絶縁ケースの高さ寸法が小さく、かつ、耐電圧性能が加湿耐電圧性能を含めて優れた高電圧貫通型コンデンサ、及び、この高電圧貫通型コンデンサでなるフィルタを有するマグネトロンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高電圧貫通型コンデンサの一実施例を示す正面断面図である。
【図2】図1に示した高電圧貫通型コンデンサの分解斜視図である。
【図3】本発明に係る高電圧貫通型コンデンサの別の実施例を示す正面断面図である。
【図4】本発明に係る高電圧貫通型コンデンサをフィルタとして組込んだマグネトロンの部分破断面図である。
【符号の説明】
1 接地金具
111 浮き上り部
2 コンデンサ
210 誘電体磁器
213〜215 電極
4、5 貫通導体
10、11 絶縁チューブ
6 絶縁ケース
9 絶縁カバー
7、8 絶縁樹脂
Claims (2)
- 少なくとも1つの接地金具と、少なくとも1つのコンデンサと、少なくとも1つの貫通導体と、少なくとも1つの絶縁チューブと、少なくとも1つの絶縁ケースと、少なくとも1つの絶縁カバーと、絶縁樹脂とを含む高電圧貫通型コンデンサであって、
前記接地金具は、一面側に浮き上り部を有し、前記浮き上り部は前記一面側から他面側に貫通する少なくとも1つの貫通孔を有しており、
前記コンデンサは、少なくとも1つの貫通孔を有する誘電体磁器を含み、前記誘電体磁器の前記貫通孔の開口する両面に電極を備えて構成され、前記電極の一方が前記接地金具に導通接続されており、
前記貫通導体は、前記コンデンサ及び前記接地金具を貫通し、前記電極の他方に導通接続されており、
前記絶縁チューブは、前記貫通導体に被せて設けられており、
前記絶縁ケースは、前記接地金具の前記一面側に備えられ、一端が前記浮き上り部の外周側に挿着され、高さ寸法が12mm以上20mm以下であり、
前記絶縁カバーは、前記接地金具の前記他面側に備えられており、
前記絶縁樹脂は、前記絶縁ケースの内部及び前記絶縁カバーの内部に充填されるとともに、前記コンデンサの周りに充填されており、
前記絶縁ケースは、ポリブチレンテレフタレートと無機物との混合物でなり、
前記貫通導体は、丸棒の成形体でなり、丸棒のプレス加工により形成されたタブ部を有しており、
前記無機物は、ガラス粉とセラミック粉から成り、前記ガラス粉および前記セラミック粉は、混合物の全量に対する含有量が、それぞれ、15wt%である、
高電圧貫通型コンデンサ。 - 高電圧貫通型コンデンサをフィルタとして組込んだマグネトロンであって、前記高電圧貫通型コンデンサは、請求項1に記載されたものでなるマグネトロン。
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