JPH0423310Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、高周波大電力装置、例えば電子レン
ジ、放送用のマグネトロンまたはＸ線管等のノイ
ズフイルタとして使用される高耐電圧の貫通形コ
ンデンサに関し、接地金具の一面上に固着された
貫通コンデンサの内外に絶縁樹脂を充填し、外部
充填絶縁樹脂の接地金具とは反対側の端部に、熱
硬化性絶縁または磁器でなるキヤツプを一体的に
取付けることにより、耐熱性、耐トラツキング
性、耐アーク性及び耐焼損性に優れ、耐電圧特性
の良好な貫通形コンデンサが得られるようにした
ものである。

従来の技術 第６図は従来の貫通形コンデンサの分解斜視
図、第７図は同じく正面部分断面図、第８図は同
じく側面部分断面図を示し、貫通孔２，３を開口
させた両面に、互いに独立した電極４，５及び共
通電極６を有する貫通磁器コンデンサ１の共通電
極６を、接地金具７の浮上り部７１上に半田付け
等の手段によつて固着すると共に、貫通磁器コン
デンサ１の貫通孔２，３及び接地金具７の貫通孔
８を通つて、絶縁チユーブ９，１０を被せた貫通
導体１１，１２を貫通させ、この貫通導体１１，
１２を、貫通磁器コンデンサ１の電極４，５上に
半田付け固定された電極接続体１３，１４に、半
田付け等の手段によつて挿着してある。

接地金具７は、鉄板等の金属板材に対して絞り
成形加工を施すことにより、一面側の中間部に、
平面状外周縁から適当な高さで立上がる浮上り部
７１を突出させ、浮上り部７１の外周に、貫通磁
器コンデンサ１を包囲するように、絶縁ケース１
７を嵌合挿着すると共に、他面側に、貫通導体１
１，１２を包囲するように、絶縁カバー１８を嵌
合挿着させてある。そして、絶縁ケース１７及び
絶縁カバー１８で包囲された貫通磁器コンデンサ
１の内外に、エポキシ樹脂等でなる外部充填絶縁
樹脂１５及び内部充填絶縁樹脂１６を充填し、耐
湿性及び絶縁性を確保してある。

貫通導体１１，１２の絶縁ケース１７側の端部
には、フアストンタブ接続端子型の端子部１１
１，１２１を同体に形成してある。端子部１１
１，１２１は外部コネクタが接続し易いように、
絶縁ケース１７の端部より高く突出させてある。

絶縁ケース１７はPBT等の熱可塑性絶縁樹脂
で形成するか、またはポリエステル等の熱硬化性
樹脂もしくは磁器によつて形成する。

考案が解決しようとする問題点 上述したように、従来は、絶縁ケース１７を、
PBT等の熱可塑性絶縁樹脂で形成するか、また
はポリエステル等の熱硬化性樹脂もしくは磁器に
よつて形成していた。しかし、何れの場合にも、
次のような問題点があつた。

(イ) 絶縁樹脂１７を熱可塑性絶縁樹脂で形成した
場合の問題点 当該貫通形コンデンサを、電子レンジのマグ
ネトロン等に使用した場合、その使用環境が台
所や厨房等のように、湿度が高く、油煙、ゴ
ミ、チリ等の多い場所となる。ところが、従来
の貫通形コンデンサにおいては、高電圧が印加
される端子部１１１，１２１及び接地金具７が
大気中に露出されており、しかも端子部１１
１，１２１と接地金具７との間において、大気
中に絶縁ケース１７が露出している。このよう
に、使用環境が悪い上に、高電圧が印加されて
静電的力が発生するため、絶縁ケース１７の表
面に大気中の油煙、ゴミチリが付着する。これ
に周囲温度変化による結露が加わつた場合、絶
縁ケース１７の表面が吸湿性となつて、その表
面抵抗が著しく低下してしまい、端子部１１
１，１２１から外部充填絶縁樹脂１５の表面１
５１及び絶縁ケース１７の表面を通り、接地金
具７に至る経路で、沿面放電を発生し、熱可塑
性樹脂でなる絶縁ケース１７の焼損事故を発生
するという問題点があつた。

(ロ) 絶縁ケース１７を熱硬化性樹脂または磁器で
形成した場合の問題点 絶縁ケース１７を熱硬化性樹脂または磁器で
形成した場合は、耐アーク性、耐トラツキング
性及び耐熱性に優れ、耐焼損性の高い貫通形コ
ンデンサが得られる。しかし、絶縁ケース１７
を熱硬化性樹脂や磁器で形成した場合には、エ
ポキシ樹脂でなる外部充填絶縁樹脂１５の充填
硬化処理工程において、絶縁ケース１７の内面
に外部充填絶縁樹脂１５が強く密着し、第８図
に示すように、外部充填絶縁樹脂１５に絶縁ケ
ース１７の方向に向う引張り応力P₁が発生す
る。このため、外部充填絶縁樹脂１５と貫通磁
器コンデンサ１との界面に剥離を発生し、耐圧
不良を生じてしまうという問題点があつた。

問題点を解決するための手段 上述した従来の問題点を解決するため、本考案
は、接地金具と、相対向する両面に形成された電
極の一方を前記接地金具の一面上に対接させて固
着した貫通コンデンサと、前記貫通コンデンサを
貫通して設けられ前記貫通コンデンサの前記電極
の他方に導通させた貫通導体と、前記貫通コンデ
ンサの内外に充填された絶縁樹脂とを備える貫通
形コンデンサにおいて、前記貫通コンデンサの外
部に充填された外部充填絶縁樹脂は熱硬化性絶縁
樹脂でなり、前記外部充填絶縁樹脂の前記接地金
具とは反対側の端部に、前記貫通導体を導出した
端面から前記貫通導体を包囲して突出するよう
に、熱硬化性樹脂または磁器でなる筒状キヤツプ
を一体的に取付けたことを特徴とする。

作 用 本考案に係る貫通形コンデンサは、高圧発生部
となる貫通端子から接地金具までの経路が、熱硬
化性の外部充填絶縁樹脂、その端部に突出して取
付けられた熱硬化性樹脂または磁器でなる筒状キ
ヤツプで形成される。熱硬化性絶縁樹脂及び磁器
は、前述したように、耐熱性、耐トラツキング
性、耐アーク性及び耐焼損性に優れている。従つ
て、外周面に油煙、ゴミもしくはチリ等が付着し
た場合でも、焼損事故を確実に防止できる。

しかも、外部充填絶縁樹脂を覆う熱硬化性の絶
縁ケースを持たないから、ヒートサイクル試験時
等に外部充填絶縁樹脂に引張応力が発生する余地
がなく、外部充填絶縁樹脂と貫通磁器コンデンサ
との間に界面剥離が発生するのを阻止し、耐圧不
良の問題点を解決できる。外部充填絶縁樹脂の充
填に当つては、エポキシ樹脂でなる絶縁樹脂に対
して非接着性となる型取りケースを取付けてお
き、充填硬化後にこの型取りケースを除去する工
程をとることにより、外部充填絶縁樹脂の充填硬
化処理時の引張応力による界面剥離も防止でき
る。

更に、キヤツプは、貫通導体を導出した端面か
ら貫通導体を包囲して突出するように取付けてあ
るから、充分な沿面距離が確保でき、耐電圧特性
が向上する。

実施例 第１図は本考案に係る貫通形コンデンサの分解
斜視図、第２図は同じく正面部分断面図、第３図
は同じくその側面部分断面図である。図におい
て、第６図〜第８図と同一の参照符号は同一性あ
る構成部分を示している。１９はポリエステル樹
脂等の熱硬化性絶縁樹脂または磁器でなるキヤツ
プである。絶縁キヤツプ１９は中空筒状に形成さ
れ、貫通磁器コンデンサ１のまわりに充填された
エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂でなる外部充填絶
縁樹脂１５の端部に一体的に密着して装着させて
ある。キヤツプ１９は、接地金具７とは反対側の
外部充填絶縁樹脂１５の端部において、貫通導体
１１，１２を導出した端面１５１から、貫通導体
１１，１２を包囲して突出するように取付けてあ
る。従つて、従来のような絶縁ケースは持たず、
高圧発生部となる貫通端子１１，１２の端子部１
１１，１２１から接地金具７までの経路が、熱硬
化性の外部充填絶縁樹脂１５、その端部に突出し
て取付けられた熱硬化性樹脂または磁器でなるキ
ヤツプ１９で形成される。熱硬化性絶縁樹脂及び
磁器は、前述したように、耐熱性、耐トラツキン
グ性、耐アーク性及び耐焼損性に優れている。従
つて、キヤツプ１９及び外部充填絶縁樹脂１５の
外周面に油煙、ゴミもしくはチリ等が付着した場
合でも、焼損事故を確実に防止できる。

しかも、外部充填絶縁樹脂１５を覆う絶縁ケー
スを持たないから、ヒートサイクル試験時等に外
部充填絶縁樹脂１５に引張応力が発生する余地が
なく、外部充填絶縁樹脂１５と貫通磁器コンデン
サ１との間に界面剥離が発生するのを阻止し、耐
圧不良の問題点を解決できる。

また、キヤツプ１９は、貫通導体１１，１２を
導出した端面１５１から、貫通導体１１，１２の
端子部１１１，１２１を包囲して、突出するよう
に取付けてあるから、充分な沿面距離が確保で
き、耐電圧特性が向上する。

外部充填絶縁樹脂１５の充填に当つては、第４
図に示すように、エポキシ樹脂でなる外部充填絶
縁樹脂１５に対して非接着性となるポリプロピレ
ン樹脂等でなる型取りケース２０を取付け、この
型取りケース２０の上端部内周面にキヤツプ１９
を挿着させておく。次に、第５図に示すように、
型取りケース２０及びキヤツプ１９を利用して外
部充填絶縁樹脂１５を充填して硬化させる。これ
により、キヤツプ１５が外部充填絶縁樹脂１５に
よつて一体的に接着固定される。型取りケース２
０は外部充填樹脂１５に対して非接着性であるか
ら、外部充填絶縁樹脂１５の充填硬化処理時の引
張応力による界面剥離が防止できる。上述のよう
にして充填硬化させた後、型取りケース２０を除
去する。

考案の効果 以上述べたように、本考案によれば、次のよう
な効果が得られる。

(a) 高圧発生部となる貫通端子から接地金具まで
の経路を、熱硬化性の外部充填絶縁樹脂及び熱
硬化性樹脂または磁器でなるキヤツプで形成
し、耐熱性、耐トラツキング性、耐アーク性及
び耐焼損性を向上させ、焼損事故を確実に防止
できる。

(b) 外部充填絶縁樹脂を覆う熱硬化性の絶縁ケー
スを持たないから、ヒートサイクル試験時等に
外部充填絶縁樹脂に引張応力が発生する余地が
なく、外部充填絶縁樹脂と貫通磁器コンデンサ
との間に界面剥離が発生するのを阻止し、耐圧
不良の問題点を解決できる。

(c) 外部充填絶縁樹脂の充填に当つては、エポキ
シ樹脂でなる絶縁樹脂に対して非接着性となる
型取りケースを取付けておき、充填硬化後にこ
の型取りケースを除去する工程をとることによ
り、外部充填絶縁樹脂の硬化処理時の引張応力
による界面剥離も防止できる。

(d) キヤツプは、貫通導体を導出した端面から貫
通導体を包囲して突出するように取付けてある
から、充分な沿面距離が確保でき、耐電圧特性
が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る貫通形コンデンサの分解
斜視図、第２図は同じく正面部分断面図、第３図
は同じくその側面部分断面図、第４図及び第５図
は本考案に係る貫通形コンデンサの製造工程の一
部を示す図、第６図は従来の貫通形コンデンサの
分解斜視図、第７図は同じく正面部分断面図、第
８図は同じく側面部分断面図である。 １……貫通コンデンサ、４，５，６……電極、
７……接地金具、１１，１２……貫通導体、１５
……外部充填絶縁樹脂、１９……キヤツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 接地金具と、相対向する両面に形成された電極
   の一方を前記接地金具の一面上に対接させて固着
   した貫通コンデンサと、前記貫通コンデンサを貫
   通して設けられ前記貫通コンデンサの前記電極の
   他方に導通させた貫通導体と、前記貫通コンデン
   サの内外に充填された絶縁樹脂とを備える貫通形
   コンデンサにおいて、前記貫通コンデンサの外部
   に充填された外部充填絶縁樹脂は熱硬化性絶縁樹
   脂でなり、前記外部充填絶縁樹脂の前記接地金具
   とは反対側の端部に、前記貫通導体を導出した端
   面から前記貫通導体を包囲して突出するように、
   熱硬化性樹脂または磁器でなる筒状キヤツプを一
   体的に取付けたことを特徴とする貫通形コンデン
   サ。