JP3802994B2 - 油圧式動力伝達継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の駆動力配分に使用され、特に発進時のロックショックをなくす油圧式動力伝達継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の油圧式動力伝達継手としては、例えば下記のようなものがある。
【0003】
この油圧式動力伝達継手は、相対回転可能な入出力軸間に設けられ、前記一方の軸に連結され、内側面に2つ以上の山を有するカム面に形成したカムハウジングと;
前記他方の軸に連結されるとともに、前記カムハウジング内に回転自在に収納され、複数のプランジャー室を軸方向に形成したロータと;
前記複数のプランジャー室のそれぞれに、リターンスプリングの押圧を受けて往復移動自在に収納されるとともに、前記両軸の相対回転時に前記カム面によって駆動される複数のプランジャーと;
前記ロータに形成され、前記プランジャー室に通じる吸入吐出孔と;
前記ロータの端面に回転自在に摺接するとともに、前記カムハウジングとの間で所定の関係に位置決めされ、前記吸入吐出孔との位置関係によって吸入弁および吐出弁の作用をする複数の吸入ポート、吐出ポートを表面に形成したロータリバルブと、
前記プランジャーの駆動による吐出油の流動により流動抵抗を発生する流動抵抗発生手段を備え;
前記両軸の回転速度差に応じたトルクを伝達する。
【0004】
この従来の油圧式動力伝達継手にあっては、前後輪の差動回転に応じて油圧にトルクを発生し、油圧がある所定値に達すると、流動抵抗を生ずるオリフィスを閉止してロックするようにしている。
【0005】
すなわち、図8に示すように、前後輪差動回転数ΔNが所定値に達しないときは、油圧は小さく、ロータリバルブ100に形成した吐出ポート101に連通する高圧室102に収納したカラー部材103の収納室104の油圧によるロックピン部材105を押す力よりもスプリング106によるロックピン部材105を押す力が大きいため、ロックピン部材105によりボール107が保持され、オイルはオリフィス108を通過する。オリフィス108を通過したオイルは、収納孔109に開口する低圧孔110より低圧側に流出する。
【0006】
したがって、このときのトルク特性は、図9のAで示されるような通常のトルク特性となる。
【0007】
次に、前後輪差動回転数ΔNが所定値を越えると、収納室104の油圧が上昇し、収納室104の油圧によるロックピン部材105を押す力がスプリング106によるロックピン部材105を押す力より大きくなるため、ロックピン部材105が右方向に移動し、スプリング106が縮み、ボール107がフリーとなり、ボール107は弁座111に着座し、オリフィス108を閉止する。このときのトルク特性は、図9のBに示すようなロック特性となる。
【0008】
ロックピン部材105の背後の収納孔109は、低圧側に連通しており、図9に示すように、ロックポイントCに達すると、ロックピン部材105は、遅延なく右方向に移動し、ボール107がフリーとなり、弁座111に着座してオリフィス108を閉止する。こうして、ロックの状態になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の油圧式動力伝達継手にあっては、砂地、深雪地など高い駆動力が必要な路面ではロックすることにより優れた走破性が得られるが、氷結路、圧雪路などの低μ路では高い駆動力は必要でないのに、発進時に一瞬ピークトルクが発生し、ロックにより体にショックを感じるという問題があった。
【0010】
すなわち、砂地、深雪地などの路面が荒れているので、発進時のロックによるショックを感じないが、氷結路、圧雪路などの低μ路では路面が荒れていないのでロックによるショックを体に感じるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、発進時にはロックしないためロックによるショックを感じることがない油圧式動力伝達継手を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、次のように構成する。
【0013】
請求項1の発明は、相対回転可能な入出力軸間に設けられ、前記一方の軸に連結され、内側面に2つ以上の山を有するカム面に形成したカムハウジングと;
前記他方の軸に連結されるとともに、前記カムハウジング内に回転自在に収納され、複数のプランジャー室を軸方向に形成したロータと;
前記複数のプランジャー室のそれぞれに、リターンスプリングの押圧を受けて往復移動自在に収納されるとともに、前記両軸の相対回転時に前記カム面によって駆動される複数のプランジャーと;
前記ロータに形成され、前記プランジャー室に通じる吸入吐出孔と;
前記ロータの端面に回転自在に摺接するとともに、前記カムハウジングとの間で所定の関係に位置決めされ、前記吸入吐出孔との位置関係によって吸入弁および吐出弁の作用をする複数の吸入ポート、吐出ポートを表面に形成したロータリバルブと、
前記プランジャーの駆動による吐出油の流動により流動抵抗を発生する流動抵抗発生手段を備え;
前記両軸の回転速度差に応じたトルクを伝達する油圧式動力伝達継手において、
油圧が所定値以上に上昇すると移動して保持していた弁体をフリーとして前記流動抵抗発生手段としてのオリフィスを閉止させるロックピン部材と、
該ロックピン部材を収納する収納孔を閉止しロックピン部材を付勢するスプリングを保持するプラグ部材と、を備え、該プラグ部材にロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるオリフィスを設けた。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の油圧式動力伝達継手において、
前記オリフィスの代りに、前記プラグ部材の端面に、前記ロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるスリットを形成した。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1記載の油圧式動力伝達継手において、
前記オリフィスの代りに、前記ロックピン部材に設けたシール部材の外周部に、前記ロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるスリットを形成した。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1〜3記載の油圧式動力伝達継手において、
前記ロックピン部材の移動を遅らせる時間を、前記オリフィスの断面積または前記スリットの断面積により可変とする。
【0017】
本発明によれば、油圧が所定値以上に上昇すると移動して保持していた弁体をフリーとして流動抵抗発生手段としてのオリフィスを閉止させるロックピン部材と、ロックピン部材を収納する収納孔を閉止しロックピン部材を付勢するスプリングを保持するプラグ部材と、を備え、プラグ部材にロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるオリフィスを設けたので、低μ路の発進時にピークトルクが発生してもその瞬間はロックしないので、ロックショックを感ずることはない。また、高い駆動力が必要な場合には、所定の遅延後にロックするため、走破性が保持される。
【0018】
また、オリフィスの代りに、プラグ部材の端面に、ロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるスリットを形成した場合も前記のような効果が得られる。
【0019】
また、オリフィスの代りに、ロックピン部材に設けたシール部材の外周部に、ロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるスリットを形成した場合にも前記と同様な効果が得られる。
【0020】
さらに、ロックピン部材の移動を遅らせる時間を、オリフィスの断面積またはスリットの断面積により可変とすることができ、ロックまでの時間を自由に制御することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態を示す断面図である。
【0022】
図1において、1は内側面に2つ以上の山を有するカム面2を形成したカムであり、カム1は図示しない出力軸に連結され、出力軸と一体で回転する。また、カム1は溶接部3でカムハウジング4に固定され、カム1はカムハウジング4と一体で回転する。
【0023】
5はカムハウジング4内に回転自在に収納されたロータであり、ロータ5は入力軸6に結合され、入力軸6と一体で回転する。
【0024】
ロータ5には、軸方向に複数個のプランジャー室7が形成され、プランジャー室7内は複数個のプランジャー8がリターンスプリング9を介して摺動自在に収納されている。また、ロータ5には複数の吸入吐出孔10が各プランジャー室7に通じるように形成されている。
【0025】
11は表面に吸入ポート12、吸入路13および吐出ポート14が形成されたロータリバルブであり、このロータリバルブ11の裏面には吐出ポート14のそれぞれに連通する連通溝15が形成されている。また、前記裏面には密着して蓋部材16が設けられ、連通溝15を閉止している。
【0026】
また、ロータリバルブ11はカムハウジング4の内周に形成した切欠き17に係合する位置決め用の突起18を有する。
【0027】
ロータリバルブ11は、吸入吐出孔10の開閉タイミングを決定するタイミング部材を構成し、切欠き17と突起18がカム1とロータリバルブ11の位相関係を規制する位置決め機構を構成している。
【0028】
プランジャー8が吸入工程にある場合は、ロータリバルブ11の吸入ポート12とロータ5の吸入吐出孔10が通じる位置関係となり、吸入ポート12、吸入路13、ロータ5の吸入吐出孔10を通じて、プランジャー室7に油を吸入することができる。
【0029】
また、プランジャー8が吐出工程にある場合は、吸入工程と逆の関係となり、ロータ5の吸入吐出孔10はロータリバルブ11の吐出ポート14を介して連通溝15に通じる。
【0030】
19はカムハウジング4と一体で回転するベアリングリテーナーであり、ベアリング20を介して入力軸6を支持している。ベアリングリテーナー19とロータリバルブ11との間にはスラストニードルベアリング21が介装され、このスラストニードルベアリング21側のフリクショントルクはロータ5とロータリバルブ11の間のフリクショントルクより小さくなるように設定されている。
【0031】
したがって、差動回転の方向が変わると、ロータリバルブ11はロータ5とともにつれ回りし、ロータリバルブ11の位置決め用の突起18がカムハウジング4の切欠き17に当たるまで回転した後、カムハウジング4と一体で回転する。これにより、正転時または逆転時にも所定のタイミングで吸入吐出孔10は強制的に切替わる。
【0032】
ベアリングリテーナー19と入力軸6の間にはオイルシール22が設けられ、また、入力軸6の内部には油の熱膨張・収縮を吸収するためのアキュムレータピストン23が摺動自在に収納されている。24はアキュムレータ室25のOリング摺動部への泥水の侵入を防止する蓋部材である。
【0033】
アキュムレータ室25は油路26,27を介して継手の内部に連通している。なお、30は注油孔、31はニードルベアリング、32はねじ孔、33,34はOリング、35,36はスナップリング、37は取付孔である。
【0034】
図2はロータリバルブ11の一部分を示す図である。
【0035】
図2において、11はロータリバルブであり、ロータリバルブ11には吐出ポート14が形成されている。また、ロータリバルブ11には通孔38を介して吐出ポート14の連通する高圧室28が形成され、高圧室28内には硬化したカラー部材39が収納され、カラー部材39に続いてプラグ29がねじ止めされている。
【0036】
カラー部材39内には弁体としてのボール40が移動自在に収納される収納室41が形成されている。収納室41は開口部42を介して通孔38に連通し、開口部43を介して連通孔44に連通している。
【0037】
連通孔44は、ロックピン部材45を収納する収納孔46に連通し、収納孔46内にはロックピン部材45が摺動自在に収納される。ロックピン部材45は小径のピン部47と大径の基端部48とストッパ部49を有し、ボール40はロックピン部材45によりその位置が制御される。
【0038】
基端部48の外周には溝50が形成され、溝50にはオイルシール51が介装されている。また、基端部48にはストッパ部49が突出して形成されており、ロックピン部材45の移動量は、ストッパ部49により規制されている。
【0039】
ピン部47と連通孔44との間の間隙は、流動抵抗発生手段としてのオリフィス52になっている。したがって、連通孔44の孔径は大きく形成することができる。
【0040】
ボール40がロックピン部材45により保持されているときは、オリフィス52は開放されているが、ボール40がフリーになると、ボール40はカラー部材39の開口部43に形成された弁座53に着座し、オリフィス52を閉止する。
【0041】
収納孔46は、プラグ(プラグ部材)54により閉止され、プラグ54とロックピン部材45の基端部48との間にはスプリング55が介装されている。プラグ54にはロックピン部材45の移動を遅らせるためのオリフィス56が形成され、ロックピン部材45の背後の収納孔46はオリフィス56を介して低圧側に連通している。収納孔46内にはオイルが充満しており、ロックピン部材45が右方向に移動するときは、オイルはオリフィス56を介して低圧側に排出される。
【0042】
収納孔46内に収納されたロックピン部材45はスプリング55により付勢されて、ボール40を保持し、ボール40を収納する収納室41内の油圧がある所定値以上に上昇すると、ロックピン部材45はスプリング55に抗して右方向に移動しようとするが、収納孔46内にはオイルが充満しており、オリフィス56によりその移動は遅延するようになっている。高トルクが持続する場合には、ロックピン部材45は数秒後には、ストッパ部49がプラグ54に当接して、一定距離以上の移動が防止される。なお、ロックピン部材45のオリフィス52側の収納孔46にはオリフィス52を通過したオイルが排出される低圧孔57が形成されている。
【0043】
図3は図2の要部断面図である。
【0044】
図3において、ロータリバルブ11には吐出ポート14に連通する高圧室28が形成され、高圧室28内にはカラー部材39が収納される。カラー部材39にはボール40を収納する収納室41が形成され、収納室41は通孔38を介して吐出ポート14に連通している。収納室41は、連通孔44を介してロックピン部材45が移動自在に収納される収納孔46に連通している。ロックピン部材45のピン部47と連通孔44との間隙は、流動抵抗発生手段としてのオリフィス52になっている。収納孔46を閉止するプラグ54と溝50にオイルシール51を介装したロックピン部材45の基端部48との間にはスプリング55が介装され、ロックピン部材45はスプリング55により左方向に付勢され、ボール40を保持している。
【0045】
プラグ54には、ロックピン部材45の移動を遅らせるオリフィス56が形成され、オリフィス56を介して、ロックピン部材45の背後の収納孔46と低圧側とは連通している。収納孔46内にはオイルが充満しており、低μ路での発進時にピークトルクが発生してもその瞬間はオリフィス56の作用によりロックしないようにしている。
【0046】
オリフィス56の面積を変えることによりロックピン部材45の移動時間を規制するようにしている。
【0047】
ロックピン部材45の基端部48の面積をSA、ロックピン部材45の移動ストロークをS、発生トルクをΔT、オリフィス56の面積をaとすると、ロックまでの時間Δtは、
Δt ∝ (SA×S)/(√ΔT×a)
の関係がある。したがって、オリフィス56の面積aを大きくすると、ロックするまでの時間Δtは短くなり、オリフィス56の面積aを小さくすると、ロックするまでの時間Δtは長くなる。
【0048】
次に、作用を説明する。
【0049】
図1において、カム1とロータ5との間に回転差が生じないときは、プランジャー8は作動せず、トルクは伝達されない。なお、このとき、プランジャー8はリターンスプリング9によりカム面2に押し付けられている。
【0050】
次に、カム1とロータ5との間に回転差が生じると、吐出行程にあるプランジャー8はカム1のカム面2により軸方向に押し込まれる。
【0051】
この時、吸入吐出孔10は吐出ポート14と通じているため、プランジャー8はプランジャー室7の油を吸入吐出孔10からロータリバルブ11の吐出ポート14に押し出す。
【0052】
吐出ポート14に押し出された油は、オリフィスを通って吸入路13から吸入ポート12に供給される。このとき、オリフィスの抵抗により吐出ポート14、プランジャー室7などの油圧が上昇し、プランジャー8に反力が発生する。
【0053】
このプランジャー反力に逆ってカム1を回転させることによりトルクが発生し、カム1とロータ5との間でトルクが伝達される。なお、吐出ポート14は連通溝15で連通されているため、吐出行程にあるすべてのプランジャー室7の油圧は等しくなる。
【0054】
さらに、カム1が回転すると、吸入行程となり、吸入吐出孔10は吸入ポート12と通じるため、吸入路13の油は、吸入ポート12、吸入吐出孔10を介してプランジャー室7に吸入され、プランジャー8はカム1のカム面2に沿って戻る。
【0055】
図2,図3において、前後輪差動回転数ΔNが所定値に達しないときは、油圧は小さく、収納室41の油圧によるロックピン部材45を押す力よりもスプリング55によるロックピン部材45を押す力が大きいため、ロックピン部材45によりボール40が保持され、オイルはオリフィス52を通過する。したがって、このときのトルク特性は、図9のAで示されるような通常のトルク特性となる。
【0056】
次に、前後輪差動回転数ΔNが所定値を越えると、収納室41の油圧が上昇し、収納室41の油圧によるロックピン部材45を押す力がスプリング56によるロックピン部材45を押す力より大きくなるため、ロックピン部材45が右方向に移動しようとするが、ロックピン部材45の背後の収納孔46内にはオイルが充満しており、オイルはオリフィス56を通過するため、ロックピン部材45の移動は遅れる。
【0057】
したがって、低μ路の発進時にピークトルクが発生してもその瞬時にはロックピン部材45は右方向に移動しないため、ロックしない。その結果、ロックショックを感じることはない。
【0058】
一方、高い駆動力が必要な場合(高トルクが接続する場合)では、ロックピン部材45の背後の収納孔46内に充満しているオイルは、オリフィス56を通過して低圧側に排出され、ロックピン部材45は、遅延して数秒後には矢印で示す右方向に移動するため、ロックピン部材45によって保持されていてボール40はフリーとなり、弁座53に着座してオリフィス52を閉止する。このときのトルク特性は、図9のBに示すようなロック特性となる。したがって、このロック状態においては、車両の走破性は保持される。
【0059】
このように、低μ路の発進時にはその瞬間はロックしないため、ロックショックを感じることはない。また、高い駆動力が必要な場合には、数秒後にロックして走破性は保持される。また、ロックするまでは時間は、オリフィス56の面積を変えることにより、規制することができる。
【0060】
図4は本発明の第2の実施形態を示す要部断面図である。
【0061】
図4において、図2,図3のオリフィス56の代りにプラグ54の端面にスリット58を形成した。図5に示すように、スリット58はプラグ54の端面に形成される。スリット58はロックピン部材45の移動を遅らせるために設けられ、通孔59を介して低圧側に連通している。すなわち、ロックピン部材45の背後の収納孔46は、スリット58および通孔59を介して低圧側に連通している。ロックピン部材45の背後の収納孔46内にはオイルが充満しており、低μ路での発進時にピークトルクが発生しても、その瞬間には、ロックピン部材45は移動しないので
、ロックしない。
【0062】
スリット58の面積をbとすると、ロックするまでの時間Δtは、
Δt ∝ (SA×S)/(√ΔT×b)
の関係があり、スリット58の面積bを変えることにより、ロックするまでの時間Δtを規制することができる。高い駆動力が必要な場合(高トルクが接続する場合)には数秒後にロックして走破性は保持される。
【0063】
その他の構成は図3と同様になっている。
【0064】
図6は本発明の第3の実施形態を示す要部断面図である。
【0065】
図6において、図2,図3のオリフィス56の代りにオイルシール51の外周部にスリット60を形成した。
【0066】
ロックピン部材45の基端部48の溝50には図7に示すような円筒状のオイルシール(シール部材)51が介装され、オイルシール51の外周部には、軸方向にスリット60が形成される。スリット60は、ロックピン部材45の移動を遅らせるために設けられたものであり、ロックピン部材45の背後の収納孔46とロックピン部材45のオリフィス52側の収納孔46は、スリット60を介して連通している。
【0067】
ロックピン部材45の背後の収納孔46内にはオイルが充満しており、ロックピン部材45が矢印で示す右方向に移動すると、オイルはスリット60、収納孔46の内壁と基端部48との間隙を通ってオリフィス52側の収納孔46に入り、低圧孔57から低圧側に排出される。
【0068】
低μ路での発進時にピークトルクが発生しても、その瞬間にはロックピン部材45の移動を遅らせるスリット60によりロックピン部材45は移動しないので、ロックしない。スリット60の面積をcとすると、ロックするまでの時間Δtは、
Δt ∝ (SA×S)/(√ΔT×c)
の関係があり、スリットの面積cを変えることにより、ロックするまでの時間Δtを規制することができる。高い駆動力が必要な場合(高トルクが接続する場合)には数秒後にロックして走破性は保持される。
【0069】
その他の構成は図3と同様になっている。
【0070】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、油圧が所定値以上に上昇すると移動して保持していた弁体をフリーとして流動抵抗発生手段としてのオリフィスを閉止させるロックピン部材と、ロックピン部材を収納する収納孔を閉止しロックピン部材を付勢するスプリングを保持するプラグ部材と、を備え、プラグ部材にロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるオリフィスを設けたため、低μ路の発進時にピークトルクが発生してもその瞬間はロックしないので、ロックショックを感ずることはない。また、高い駆動力が必要な場合には、所定の遅延後にロックするため、走破性は保持される。
【0071】
また、オリフィスの代りに、プラグ部材の端面に、ロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるスリットを形成した場合も前記のような効果が得られる。
【0072】
また、オリフィスの代りに、ロックピン部材に設けたシール部材の外周部に、ロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるスリットを形成した場合にも前記と同様な効果が得られる。
【0073】
さらに、ロックピン部材の移動を遅らせる時間を、オリフィスの断面積またはスリットの断面積により可変とすることができ、ロックまでの時間を自由に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図
【図2】ロータリバルブの部分断面図
【図3】図2の要部断面図
【図4】本発明の第2の実施形態を示す要部断面図
【図5】プラグの部分斜視図
【図6】本発明の第3の実施形態を示す要部断面図
【図7】シール部材の部分斜視図
【図8】従来例を示す図
【図9】トルク特性を示す図
【符号の説明】
1:カム
2:カム面
3:溶接部
4:カムハウジング
5:ロータ
6:入力軸
7:プランジャー室
8:プランジャー
9:リターンスプリング
10:吸入吐出孔
11:ロータリバルブ
12:吸入ポート
13:吸入路
14:吐出ポート
15:連通溝
16:蓋部材
17:切欠き
18:突起
19:ベアリングリテーナー
20:ベアリング
21:スラストニードルベアリング
22:オイルシール
23:アキュムレータピストン
24:蓋部材
25:アキュムレータ室
26,27:油路
28:高圧室
29:プラグ
30:注油孔
31:ニードルベアリング
32:ねじ孔
33,34:Oリング
35,36:スナップリング
37:取付孔
38:通孔
39:カラー部材
40:ボール
41:収納室
42,43:開口部
44:連通孔
45:ロックピン部材
46:収納孔
47:ピン部
48:基端部
49:ストッパ部
50:溝
51:オイルシール(シール部材)
52:オリフィス(流動抵抗発生手段)
53:弁座
54:プラグ(プラグ部材)
55:スプリング
56:オリフィス
57:低圧孔
58,60:スリット
59:通孔

Claims (4)

  1. 相対回転可能な入出力軸間に設けられ、前記一方の軸に連結され、内側面に2つ以上の山を有するカム面に形成したカムハウジングと;
    前記他方の軸に連結されるとともに、前記カムハウジング内に回転自在に収納され、複数のプランジャー室を軸方向に形成したロータと;
    前記複数のプランジャー室のそれぞれに、リターンスプリングの押圧を受けて往復移動自在に収納されるとともに、前記両軸の相対回転時に前記カム面によって駆動される複数のプランジャーと;
    前記ロータに形成され、前記プランジャー室に通じる吸入吐出孔と;
    前記ロータの端面に回転自在に摺接するとともに、前記カムハウジングとの間で所定の関係に位置決めされ、前記吸入吐出孔との位置関係によって吸入弁および吐出弁の作用をする複数の吸入ポート、吐出ポートを表面に形成したロータリバルブと、
    前記プランジャーの駆動による吐出油の流動により流動抵抗を発生する流動抵抗発生手段を備え;
    前記両軸の回転速度差に応じたトルクを伝達する油圧式動力伝達継手において、
    油圧が所定値以上に上昇すると移動して保持していた弁体をフリーとして前記流動抵抗発生手段としてのオリフィスを閉止させるロックピン部材と、
    該ロックピン部材を収納する収納孔を閉止しロックピン部材を付勢するスプリングを保持するプラグ部材と、を備え、該プラグ部材にロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるオリフィスを設けたことを特徴とする油圧式動力伝達継手。
  2. 請求項1記載の油圧式動力伝達継手において、
    前記オリフィスの代りに、前記プラグ部材の端面に、前記ロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるスリットを形成したことを特徴とする油圧式動力伝達継手。
  3. 請求項1記載の油圧式動力伝達継手において、
    前記オリフィスの代りに、前記ロックピン部材に設けたシール部材の外周部に、前記ロックピン部材の背後の油充満の収納孔と低圧側とを連通しロックピン部材の移動を遅らせるスリットを形成したことを特徴とする油圧式動力伝達継手。
  4. 請求項1〜3記載の油圧式動力伝達継手において、
    前記ロックピン部材の移動を遅らせる時間を、前記オリフィスの断面積または前記スリットの断面積により可変とすることを特徴とする油圧式動力伝達継手。
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