JP3791966B2 - 軽油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は軽油組成物に関する。より詳しくは、特に分配型燃料ポンプに対する高潤滑性を維持し、ポンプの駆動トルクの増加、ポンプの摩耗、フリクション増大などを防止する効果を持つ軽油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在検討されているディーゼル自動車の排ガス規制に伴い、この規制に対応するためのエンジン側からの対策として、EGR(排ガス再循環)、SOF(可溶性有機物質)触媒や、現在開発が進められているNOX 還元触媒などの採用が検討されている。
【0003】
しかしながら、硫黄含有量の高い軽油を用いて、これらの対策の施されたエンジンを運転した場合、たとえばEGRを行うと、排ガス中の硫酸イオンがエンジンの腐食を起こし、また触媒被毒が起こってNOX およびSOFの浄化率が落ち、充分な効果が得られないことが判明している。そのため、これらの排出ガス対策を行ったディーゼルエンジンに対応することを目的として、平成9年以降、国内で販売される軽油中の硫黄分が0.05質量%以下に下げられることがすでに決定している。
【0004】
現在、この条件を満たす軽油を製造するため、国内の各石油会社で水素化脱硫装置を用いて、硫黄分を大幅に低減させた軽油の製造が試験的に行われている。しかしながら、硫黄分を極端に低減させた水素化脱硫軽油を分配型燃料ポンプを持つ小型自動車用ディーゼル機関に用いた場合、ディーゼルエンジンの運転中に分配型燃料ポンプの駆動トルクが増大し、最終的にはポンプの摩耗、フリクションの増加などの現象が起こり、エンジンの運転不良に至る場合があるということが報告されている。
【0005】
そこで、この問題を解決するため、水素化脱硫軽油に対して潤滑性向上剤等の燃料添加剤を添加し、その潤滑性能や耐摩耗性を改善するという方法が提案されている(例えば特開平7−62363号など)。
ところが、ここで使用されている潤滑性向上剤は、軽油のコストアップにつながるため好ましくないだけでなく、ディーゼル燃料油一般に常用されている軽油添加剤、例えば、セタン価向上剤との混合安定性が悪くなる可能性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実状に鑑みなされたものであり、その目的は潤滑性向上剤のような燃料添加剤を添加することなく、分配型燃料ポンプの潤滑性能を維持し、低硫黄軽油の使用によって起こる分配型燃料ポンプの駆動トルク増、分配型燃料ポンプの摩耗、フリクション増大を防止する効果を持つ軽油組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、硫黄含有量が0.05質量%以下、アルカリ抽出分含有量が0.005〜1質量%である軽油組成物であって、かつ該軽油組成物が、原油または原油から得られる石油留分のいずれかを、溶剤抽出処理して得られる溶剤抽出分を含有するものであることを特徴とする軽油組成物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の軽油組成物は、硫黄含有量が0.05質量%以下であることが必要であって、この量を超えた場合は、排ガス中の硫酸イオンがエンジンを腐食させ、また排ガス浄化触媒を短時間で劣化させる恐れがある。
本発明でいう硫黄含有量とは、すべてASTM D 5453-93に規定する“Standard Test Method for Determination of Total Sulfur in Light Hydrocarbons,Motor Fuels and Oils by Ultraviolet Fluorescence”に準拠して測定される硫黄含有量を意味する。
【0009】
また、本発明の軽油組成物のアルカリ抽出分含有量は、0.005〜1質量%の範囲にある。本発明でいうアルカリ抽出分とは、軽油組成物からアルカリで抽出される成分を意味し、その含有量は以下の方法により測定される。
(アルカリ抽出分含有量測定法)
▲1▼:分液漏斗に試料(軽油組成物)500mlと10%NaOH水溶液50mlを加えて30分間振とうした後、静置して油層と水層とに分け、油層を採取する。この第1回分液で得た油層と10%NaOH水溶液50mlを再度分液漏斗に入れて30分間振とうし、静置後油層を採取する。この第2回分液で得た油層と10%NaOH水溶液50mlを再び分液漏斗に入れて30分間振とうし、静置後油層を採取する。
▲2▼:▲1▼の第3回分液で得た油層を純水100mlで2回洗浄する。
▲3▼:▲1▼の第1〜第3回分液操作で得た各水層と、▲2▼の洗浄操作で得た水層を全て混合し、これに10%H2 SO4 水溶液を加えて、酸性(pH=5以下)にする。
▲4▼:▲3▼で得られた酸性溶液を適量のベンゼンで抽出し、一旦ベンゼン抽出された酸性溶液を再度適量のベンゼンで抽出する操作を、都合3回繰り返す。
▲5▼:▲4▼で得られた3回分のベンゼン溶液からエバポレーターでベンゼン、水分を除去する。(石油学会規格JPI−5S−22−83「アスファルトのカラムクロマトグラフィーによる組成分析法」の7.11のA法に準拠)。
▲6▼:適当な容器内で▲5▼の残留物を30mlのベンゼンに溶かし、試料溶液を準備する。
▲7▼:図1に示すような概略形状を有するクロマトグラム用カラムに、活性化されたアルミナゲル75gを入れ、カラム外側からバイブレーターを60秒間かけてアルミナゲルを均一に詰める(アルミナゲルの活性化は、JPI−5S−22−83の6.1に、クロマトグラム用カラムの準備は、JPI−5S−22−83の6.2にそれぞれ準拠して行う。)
▲7▼−1:ベンゼン70mlをガラス棒を用いてカラム上部から内壁づたいにカラム内に流し込み、ゲルを湿潤させる。カラム内に注入した70mlのベンゼンの最終液面がゲル層上面に達したのを確認してから、▲6▼で準備した試料溶液をカラム内に注ぐ。試料が付着した容器をベンゼン25mlで洗浄し、カラムに注入した試料溶液の最終液面がゲル層上面に達したら直ちにカラム上部からベンゼン洗浄液をカラム内に注ぐ。この洗浄操作を更にもう1回繰り返し、容器内の試料を完全にカラム内に移す。
▲7▼−2:カラム内に注入した2回目のベンゼン洗浄液の最終液面がゲル層上面に達したら、直ちにカラム上部からベンゼン250mlを連続的にカラム内に流し入れ、このベンゼンの最終液面がゲル層上面に達したら直ちにカラム出口にアルカリ抽出分採取用の受器を取り付ける。
▲7▼−3:次いでカラム上部からメタノール270mlを連続的にカラム内に流し入れ、カラムからメタノールの流出が完全に止まるまでカラム流出物を受器に採取する。
▲7▼−4:採取した上記のカラム流出物をJPI−5S−22−83の7.11のA法に従って処理し、カラム流出物からメタノール及びベンゼンを完全に除去して恒量化し、冷却後秤量してアルカリ抽出分の質量を求め、その値と試料500mlの質量から、次式によって試料(軽油組成物)中のアルカリ抽出分含有量を求める。
【0010】
【数1】
【0011】
本発明の軽油組成物において、上記の方法により求めたアルカリ抽出分の含有量は、その上限値が1質量%、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.08質量%、最も好ましくは0.06質量%であり、下限値は0.005質量%、好ましくは0.006質量%、より好ましくは0.007質量%である。軽油組成物のアルカリ抽出分含有量を1質量%を上回る程増量させても、軽油組成物の潤滑性をさらに向上させることができない。一方、軽油組成物のアルカリ抽出分の含有量が0.005質量%に満たない場合は、ディーゼルエンジンの運転中に分配型燃料ポンプの駆動トルク増ないしは摩耗、エンジンのフリクション増などを招く虞がある。
【0012】
また、本発明の軽油組成物の、硫黄含有量やアルカリ抽出分含有量以外の性状は任意である。
【0013】
しかし該組成物の沸点は、通常、150〜400℃、好ましくは160〜380℃の範囲内であるのが望ましい。なお、本発明でいう石油留分の沸点範囲とは、JIS K 2254に規定する「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して測定される初留点から終点までの温度範囲を意味する。
また該組成物のセタン価は、通常、45以上、好ましくは50以上であるのが望ましい。なお、本発明でいうセタン価とは、JIS K 2280 6に規定する「セタン価試験方法」に準拠して測定されるセタン価を意味する。
また該組成物の色相は、通常、セーボルト値で0以上、好ましくは10以上であるのが望ましい。なお、本発明でいう色相とは、JISK 2580 4.2に規定する「セーボルト色試験方法」に準拠して測定される値を意味する。
また該組成物の成分組成は、通常、飽和分含有量が60〜95容量%、好ましくは70〜85容量%、オレフィン分含有量が0〜5容量%、好ましくは0〜1容量%、芳香族分含有量が5〜40容量%、好ましくは15〜30容量%であることが望ましい。なお、本発明でいう飽和分含有量、オレフィン分含有量および芳香族分含有量とは、JIS K 2536に規定する「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定される飽和分、オレフィン分および芳香族分の容量百分率(容量%)を意味する。
またさらに、本発明の軽油組成物は、通常、JISK 2204「軽油」で規定する特1号、1号、2号、3号または特3号に該当する性状を有するものが好ましい。
【0014】
本発明の軽油組成物は、上記のような性状を有すると共に、溶剤抽出分を含有するものである。本発明でいう溶剤抽出分とは、原油または原油から得られる石油留分を原料油とし、該原料油を溶剤抽出処理して得られるものである。なお、溶剤抽出処理することによって、通常、原料油中の極性化合物、すなわちアルコール、フェノール化合物、カルボン酸等の含酸素化合物、含窒素化合物、硫黄化合物などが溶剤抽出分として得られる。本発明においては、溶剤抽出分中のこれら極性化合物の種類および含有量についてはなんら制限はなく、この抽出分を含有してなる軽油組成物が、硫黄含有量が0.05質量%以下、アルカリ抽出分含有量が0.005〜1質量%であれば、任意のものが使用できる。
【0015】
また、ここでいう石油留分とは、原油を各種の蒸留装置にかけて得られる留出油、残油等だけでなく、得られたこれらを水素化(脱硫、分解)などの各種精製処理を行ったもの等も含まれる。しかしながら、溶剤抽出処理をする原料油としては、該原料油中に含まれる極性化合物が減少してしまうため、水素化処理を行っていないものが好ましい。溶剤抽出処理をする原料油としては、具体的には例えば、パラフィン基原油、ナフテン基原油、混合基原油、特殊原油などの原油;原油の常圧蒸留によって得られる留出油(例えば直留軽油、重質軽油);原油の常圧蒸留から得られる残油(例えば常圧残油);常圧蒸留残油の減圧蒸留によって得られる留出油(例えば減圧軽油);常圧蒸留残油の減圧蒸留から得られる残油(例えば減圧残油);重質油等の接触分解(例えばFCC)油の蒸留により得られる留出油(例えば接触分解軽油);重質油等の熱分解油の蒸留により得られる留出油(例えば熱分解軽油);などを単独で、またはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0016】
また、溶剤抽出処理をする原料油の沸点範囲は、通常、150〜550℃であり、好ましくは150〜500℃、さらに好ましくは160〜470℃、さらに特に好ましくは170〜430℃、最も好ましくは180〜400℃である。沸点が低すぎると極性化合物の含有量が少なくなり、溶剤抽出処理の効率が悪くなる。沸点が高すぎると、軽油留分との相溶性が低下するとともに、得られる製品の色相や保存安定性が低下する。また通常、沸点の高い石油留分は硫黄含有量が多く、このような石油留分から得られる溶剤抽出分中の硫黄含有量も増加し、したがって本発明の組成物への溶剤抽出分の添加量が極端に制限される恐れがある。
【0017】
本発明において溶剤抽出処理に用いられる溶剤としては、任意のものが使用可能であり、原料油の性状に応じて適宜選択されて用いられる。通常用いることのできる溶剤としてはフルフラール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の炭素数が4〜8のエーテル、フェノール、クレゾール、炭素数が1〜4の脂肪族アルコール、水、スルフォラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピルグリコール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド、フォルミルモルフォリン、メチルカーバメート、フルフリルアルコール、ジグリコールアミンなどがあげられる。好ましくはフルフラール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の炭素数が4〜8のエーテル、フェノール、クレゾール、炭素数が1〜4の脂肪族アルコール、水、スルフォラン、N−メチルピロリドンであり、さらに好ましくはフルフラール、炭素数が1〜4の脂肪族アルコール、水、N−メチルピロリドンであり、さらに特に好ましくはフルフラール、炭素数が1〜4の脂肪族アルコール、水である。最も好ましくはフルフラール、メタノールである。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤を混合して用いても良い。
【0018】
上記したような溶剤を用いて、原料油を溶剤抽出処理する方法はなんら限定はされず、任意の方法が使用可能である。本発明においては、抽出の方法は連続式でも回分式でも良い。連続式に抽出を行う場合には、溶剤と原料油の流れは平行流、向流のいずれでも良いが、向流が好ましい。抽出器の形式はミキサー・セトラー型、充填塔、多孔板塔、回転円盤塔などがあげられる。
【0019】
抽出条件は原料油及び溶剤の性状により異なるが、具体的には例えば溶剤としてフルフラールを用いた場合は、温度は通常、常温〜200℃、好ましくは30〜180℃、さらに好ましくは40〜150℃である。また、溶剤としてメタノールを用いた場合は、温度は通常、0〜50℃、好ましくは10〜40℃である。なお、抽出器内に温度分布がある場合、上記の温度は最高温度を意味する。圧力は通常、0.1〜2MPa、好ましくは0.1〜1MPa、さらに好ましくは0.1〜0.5MPaである。なお、抽出器内で圧力分布がある場合、上記の圧力は最低圧力を意味する。溶剤と原料油の容積比は通常、100:1〜1:100、好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは10:1〜1:10、さらに特に好ましくは1:1〜1:5である。
【0020】
本発明における溶剤抽出分とは、上記したような方法で溶剤抽出処理を行った後、原料油と溶剤とからなる混合物から溶剤除去分を含有する溶剤部分(抽出液)を分離し、抽出液から蒸留などの方法で溶剤を除去することによって得られるものである。本発明において上記の分離の方法、溶剤の回収法は任意である。
また上記した溶剤抽出分をさらに溶剤抽出しても良い。複数回溶剤抽出する際の溶剤は同一の溶剤でもよく、異なる溶剤を用いても良い。
【0021】
本発明の軽油組成物は、一般的には、硫黄含有量が0.05質量%以下の低硫黄軽油に、溶剤抽出分を添加することによって得ることができる。そして、硫黄含有量が0.05質量%以下の低硫黄軽油は、当業界で公知の任意の軽油製造基材の1種もしくは2種以上を適宜配合して得ることができる。
【0022】
使用可能な軽油製造基材としては、原油を常圧蒸留装置にかけて得られる直留軽油;常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残渣油を減圧蒸留装置にかけて得られる減圧軽油;減圧蒸留装置から得られる減圧軽油を水素化精製して得られる水素化精製軽油;直留軽油を通常の水素化精製より過酷な条件で一段階または多段階で水素化脱硫して得られる水素化脱硫軽油;脱硫または未脱硫の減圧軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を接触分解して得られる接触分解軽油;原油の常圧蒸留により得られる直留灯油;直留灯油を水素化精製して得られる水素化精製灯油;原油の常圧蒸留によって得られる軽油留分を分解して得られる分解灯油などを例示できる。これらの各軽油製造基材の1種もしくは2種を混合した際に、そのものの硫黄含有量が0.05質量%を越えている場合には、水素化精製などの適当な手段で硫黄含有量を0.05質量%にしなければならないことは言うまでもない。
【0023】
本発明の軽油組成物は、硫黄含有量およびアルカリ抽出分含有量に関する条件を満足し、かつ溶剤抽出分を含有するものであるが、さらにレジン分含有量の下限値が0.15質量%、好ましくは0.18質量%、より好ましくは0.20質量%であり、レジン分の上限値は1.0質量%、好ましくは0.75質量%、より好ましくは0.5質量%であることが望ましい。レジン分含有量が0.15質量%に満たない場合は、ディーゼルエンジンの運転中に分配型燃料ポンプの駆動トルクが増大し、最終的にはポンプの摩耗、フリクションの増加などの現象が起こる可能性がある。また、レジン分含有量が1.0質量%を越えた場合は、軽油組成物の貯蔵安定性が低下し、スラッジを生成し易くなる可能性がある。
【0024】
ここで、レジン分含有量とは、石油学会規格JPI−5S−22−83「アスファルトのカラムクロマトグラフィーによる組成分析法」を改良して軽油に適用し、以下の手順で測定される値を意味する。測定に使用する装置、器具および試薬は、すべてJPI−5S−22−83の規定を適用する。
【0025】
なお、本明細書に記載するレジン分含有量は、すべて以下に記載する測定法で測定された値である。
▲1▼:図1に示すような概略形状を有するクロマトグラム用カラムに、活性化されたアルミナゲル75gを入れ、カラム外側からバイブレーターを60秒間かけてアルミナゲルを均一に詰める(アルミナゲルの活性化はJPI−5S−22−83の6.1、クロマトグラム用カラムの準備はJPI−5S−22−83の6.2に準拠した)。
▲2▼:300mlの三角フラスコに2.0±0.2gの試料(軽油組成物)を0.001gまではかりとる。これに30mlのn−ヘプタンを加え、試料を均一に溶解させる。
▲3▼:n−ヘプタン70mlをガラス棒を用いてカラム上部から内壁づたいにカラム内に流し込み、ゲルを湿潤させる。また恒温水槽の温水をポンプでカラムジャケット部に循環させ、カラムの温度を50±2℃に保つ。
▲4▼:▲3▼で準備したカラム中のn−ヘプタンの最終液面がゲル層上面に達したのを確認してから、▲2▼で得られた試料溶液をカラム中に注ぐ。試料溶液が付着したフラスコはn−ヘプタン25mlで洗浄し、試料溶液の最終液面がゲル層上面に達したら、直ちにカラム上部からn−ヘプタン洗浄液をカラム内に注ぐ。この洗浄操作をさらにもう1回繰り返し、フラスコ中の試料を完全にカラム内に移す。
▲5▼:▲4▼の2回目のn−ヘプタン洗浄液の最終液面がゲル上面に達したら直ちにカラム上部からn−ヘプタン250mlを連続的にカラム内に流し入れる。
▲6▼:▲5▼のn−ヘプタンの最終液面がゲル層上面に達したら直ちに、▲4▼で使用したフラスコにトルエン30mlを入れ、n−ヘプタン不溶解分を完全に溶解し、カラム内に流し入れる。この最終液面がゲル層上面に達したら、引き続きカラム上部からトルエン270mlを連続的にカラム内に流し入れる。
▲7▼:▲6▼のトルエンの最終液面がゲル層上面に達したら直ちにカラム出口にレジン分採取用の受器を用意する。次いでカラム上部からメタノール80mlをカラム内に流し入れ、この最終液面がゲル層上面に達したら、同様にトルエン80ml、最後にメタノール100mlをカラム内に流し入れ、カラムから溶剤が完全に流出しなくなるまで採取し、これをレジン分溶液とする。
▲8▼:▲7▼で採取したレジン分溶液をJPI−5S−22−83の7.11のA法に準拠して、溶剤を完全に除去、恒量化し、その後冷却秤量し、レジン分の質量を求める。
▲9▼:▲8▼で得られたレジン分の質量に基づき、次式により試料の軽油のレジン分含有量を求める。
【0026】
【数2】
【0027】
本発明の軽油組成物には、その性能をさらに高める目的でその他の公知の燃料油添加剤を単独で、または数種類組み合わせて添加することもできる。これら添加剤としては、例えば、硝酸エステルや有機過酸化物などのセタン価向上剤;エチレン−酢酸ビニル共重合体、アルケニルコハク酸アミドなどの低温流動性向上剤;フェノール系、アミン系などの酸化防止剤;サリチリデン誘導体などの金属不活性化剤;アルケニルコハク酸イミド、ポリアルキルアミンなどの清浄分散剤;ポリグリコールエーテルなどの氷結防止剤;脂肪族アミン、アルケニルコハク酸エステルなどの腐食防止剤;アニオン系、カチオン系、両性系界面活性剤などの帯電防止剤;アゾ染料などの着色剤;などを挙げることができる。
【0028】
これらその他の添加剤の添加量は任意に決めることができるが、添加剤個々の添加量は、軽油組成物全量基準でそれぞれ0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下であるのが通常である。
【0029】
【実施例】
次に実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0030】
まず、実施例、比較例で用いる直留軽油、減圧軽油および低硫黄軽油の性状を表1に示す。なお、各軽油はそれぞれ以下の方法により得られたものである。
直留軽油
アラビアンライト原油を常圧蒸留装置にかけて、表1に示す性状を有する直留軽油を得た。
減圧軽油
アラビアンライト原油を常圧蒸留装置にかけて得られる常圧残油を、減圧蒸留装置にかけて、表1に示す性状を有する減圧軽油を得た。
低硫黄軽油
表1の直留軽油を、連続した2段階の工程で水素化精製処理して得られた軽油であり、第一工程での留出油の温度を下げた後、そのまま連続して第二工程の水素化精製処理を行った。
水素化精製処理の第一工程の水素分圧は5.4MPa、反応温度は378℃、原料油(直留軽油)の供給量(液空間速度)(LHSV)は5.0h-1、水素/油比は253Nm3 /m3 であり、一方、第二工程の水素分圧は5.4MPa、反応温度は250℃、LHSVは10.0h-1であった。両工程とも、アルミナ担体にコバルトおよびモリブデンを担持した触媒を使用した。
【0031】
【表1】
表中、「IBP」は初留点、「FBP」は終点、「T10」は10%留出温を表す。
【0032】
続いて、以下の方法により原料油を溶剤抽出処理して、溶剤抽出分1〜3を得た。
溶剤抽出分1
恒温槽中に設置した容量3Lのガラス製ポット容器に、表1の直留軽油1Lとフルフラール1Lを入れた。遮光した状態で、窒素ガスを容器中に吹き込んで液を撹拌させながら加熱し120℃で10分間置いた。窒素ガスの吹き込みを止めて静置して油層とフルフラール層とに分け、油層を採取した。この第1回抽出で得た油層と、フルフラール1Lを再度容器に入れ、同様の操作を行った。さらにこの第2回抽出で得た油層と、フルフラール1Lを再度容器に入れ、同様の操作を行った。計3回の抽出操作で得られたフルフラール層全量をガラス製丸底フラスコに移し、これを減圧蒸留してフルフラールを除去して、溶剤抽出分1を得た。
溶剤抽出分2
直留軽油の代わりに表1の減圧軽油を用いた以外は、溶剤抽出分1と同様な方法で溶剤抽出分2を得た。
溶剤抽出分3
フルフラールの代わりにメタノールを用いた以外は、溶剤抽出分1と同様な方法で溶剤抽出分3を得た。ただし、抽出操作は20℃で行った。
実施例1〜9および比較例1
上記の溶剤抽出分1〜3および低硫黄軽油を表2に示す割合で混合して得られた軽油組成物(実施例1〜9)、および低硫黄軽油(比較例1)について、HFRR(High Frequency Reciprocating Rig)試験を行い摩耗痕直径(WSD)を測定した。結果を表2に示す。
【0033】
[HFRR試験方法]
以下の条件でHFRR試験を行い、試験後の試験球についた円状の傷の振動方向の直径と振動方向に垂直な方向の直径を測定し、その平均値を摩耗痕直径(WSD)とした。
【0034】
試験球
材質:ANSI 52100
硬度:645HV30
表面粗さ:0.1μmRa以下
直径:6.25nm
試験板
材質:ANSI 52100
硬度:180HV30
表面粗さ:0.1μmRa以下
荷重:2N
試験温度:60℃
ストローク:1.0mm
振動数:50Hz
時間:75分
【0035】
【表2】
【0036】
表2の結果から明らかなように、本発明の軽油組成物である実施例1〜9の軽油組成物は、WSDの値が小さく、従って分配型燃料ポンプに用いた場合にポンプ内部が焼き付く心配がない。これに対して、硫黄含有量が0.05質量%以下であっても、アルカリ抽出分が0.005質量%に満たない低硫黄軽油(比較例1)では、WSDの値が大きくポンプ内部が焼き付く恐れがある。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の軽油組成物は、潤滑性向上剤のような燃料添加剤を添加することなく分配型燃料ポンプの潤滑性能を維持し、低硫黄軽油の使用によって起こる分配型燃料ポンプの駆動トルク増、分配型燃料ポンプの摩耗、フリクション増大を防止する効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クロマトグラム用カラムの概略図。
【符号の説明】
1:カラム、2:ジャケット、3:保温水入口、4:保温水出口、5:脱脂綿充填部。
Claims (1)
- 硫黄含有量が0.05質量%以下、アルカリ抽出分含有量が0.005〜1質量%である軽油組成物であって、かつ該軽油組成物が、原油または原油から得られる石油留分のいずれかを溶剤抽出処理して得られる溶剤抽出分を含有するものであることを特徴とする軽油組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13142596A JP3791966B2 (ja) | 1996-04-26 | 1996-04-26 | 軽油組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13142596A JP3791966B2 (ja) | 1996-04-26 | 1996-04-26 | 軽油組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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