JPH09296186A - 軽油組成物 - Google Patents

軽油組成物

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JPH09296186A
JPH09296186A JP13142596A JP13142596A JPH09296186A JP H09296186 A JPH09296186 A JP H09296186A JP 13142596 A JP13142596 A JP 13142596A JP 13142596 A JP13142596 A JP 13142596A JP H09296186 A JPH09296186 A JP H09296186A
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一八 那須野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑性向上剤のような燃料添加剤を添加する
ことなく、分配型燃料ポンプの潤滑性能を維持し、低硫
黄軽油の使用によって起こる分配型燃料ポンプの駆動ト
ルク増、分配型燃料ポンプの摩耗、フリクション増大を
防止する効果を持つ軽油組成物を提供する。 【解決手段】 硫黄含有量が0.05質量%以下、アル
カリ抽出分含有量が0.005〜1質量%である軽油組
成物であって、かつ該軽油組成物が、原油または原油か
ら得られる石油留分のいずれかを溶剤抽出処理して得ら
れる溶剤抽出分を含有するものであることを特徴とする
軽油組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軽油組成物に関す
る。より詳しくは、特に分配型燃料ポンプに対する高潤
滑性を維持し、ポンプの駆動トルクの増加、ポンプの摩
耗、フリクション増大などを防止する効果を持つ軽油組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在検討されているディーゼル自動車の
排ガス規制に伴い、この規制に対応するためのエンジン
側からの対策として、EGR(排ガス再循環)、SOF
(可溶性有機物質)触媒や、現在開発が進められている
NOX 還元触媒などの採用が検討されている。
【0003】しかしながら、硫黄含有量の高い軽油を用
いて、これらの対策の施されたエンジンを運転した場
合、たとえばEGRを行うと、排ガス中の硫酸イオンが
エンジンの腐食を起こし、また触媒被毒が起こってNO
X およびSOFの浄化率が落ち、充分な効果が得られな
いことが判明している。そのため、これらの排出ガス対
策を行ったディーゼルエンジンに対応することを目的と
して、平成9年以降、国内で販売される軽油中の硫黄分
が0.05質量%以下に下げられることがすでに決定し
ている。
【0004】現在、この条件を満たす軽油を製造するた
め、国内の各石油会社で水素化脱硫装置を用いて、硫黄
分を大幅に低減させた軽油の製造が試験的に行われてい
る。しかしながら、硫黄分を極端に低減させた水素化脱
硫軽油を分配型燃料ポンプを持つ小型自動車用ディーゼ
ル機関に用いた場合、ディーゼルエンジンの運転中に分
配型燃料ポンプの駆動トルクが増大し、最終的にはポン
プの摩耗、フリクションの増加などの現象が起こり、エ
ンジンの運転不良に至る場合があるということが報告さ
れている。
【0005】そこで、この問題を解決するため、水素化
脱硫軽油に対して潤滑性向上剤等の燃料添加剤を添加
し、その潤滑性能や耐摩耗性を改善するという方法が提
案されている(例えば特開平7−62363号など)。
ところが、ここで使用されている潤滑性向上剤は、軽油
のコストアップにつながるため好ましくないだけでな
く、ディーゼル燃料油一般に常用されている軽油添加
剤、例えば、セタン価向上剤との混合安定性が悪くなる
可能性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる実状
に鑑みなされたものであり、その目的は潤滑性向上剤の
ような燃料添加剤を添加することなく、分配型燃料ポン
プの潤滑性能を維持し、低硫黄軽油の使用によって起こ
る分配型燃料ポンプの駆動トルク増、分配型燃料ポンプ
の摩耗、フリクション増大を防止する効果を持つ軽油組
成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、硫黄
含有量が0.05質量%以下、アルカリ抽出分含有量が
0.005〜1質量%である軽油組成物であって、かつ
該軽油組成物が、原油または原油から得られる石油留分
のいずれかを、溶剤抽出処理して得られる溶剤抽出分を
含有するものであることを特徴とする軽油組成物を提供
するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の軽油組成物は、硫黄含有量が0.05質量%以
下であることが必要であって、この量を超えた場合は、
排ガス中の硫酸イオンがエンジンを腐食させ、また排ガ
ス浄化触媒を短時間で劣化させる恐れがある。本発明で
いう硫黄含有量とは、すべてASTM D 5453-93に規定する
“Standard Test Method for Determination of Total
Sulfur in Light Hydrocarbons,MotorFuels and Oils b
y Ultraviolet Fluorescence”に準拠して測定される硫
黄含有量を意味する。
【0009】また、本発明の軽油組成物のアルカリ抽出
分含有量は、0.005〜1質量%の範囲にある。本発
明でいうアルカリ抽出分とは、軽油組成物からアルカリ
で抽出される成分を意味し、その含有量は以下の方法に
より測定される。 (アルカリ抽出分含有量測定法) :分液漏斗に試料(軽油組成物)500mlと10%
NaOH水溶液50mlを加えて30分間振とうした
後、静置して油層と水層とに分け、油層を採取する。こ
の第1回分液で得た油層と10%NaOH水溶液50m
lを再度分液漏斗に入れて30分間振とうし、静置後油
層を採取する。この第2回分液で得た油層と10%Na
OH水溶液50mlを再び分液漏斗に入れて30分間振
とうし、静置後油層を採取する。 :の第3回分液で得た油層を純水100mlで2回
洗浄する。 :の第1〜第3回分液操作で得た各水層と、の洗
浄操作で得た水層を全て混合し、これに10%H2 SO
4 水溶液を加えて、酸性(pH=5以下)にする。 :で得られた酸性溶液を適量のベンゼンで抽出し、
一旦ベンゼン抽出された酸性溶液を再度適量のベンゼン
で抽出する操作を、都合3回繰り返す。 :で得られた3回分のベンゼン溶液からエバポレー
ターでベンゼン、水分を除去する。(石油学会規格JP
I−5S−22−83「アスファルトのカラムクロマト
グラフィーによる組成分析法」の7.11のA法に準
拠)。 :適当な容器内での残留物を30mlのベンゼンに
溶かし、試料溶液を準備する。 :図1に示すような概略形状を有するクロマトグラム
用カラムに、活性化されたアルミナゲル75gを入れ、
カラム外側からバイブレーターを60秒間かけてアルミ
ナゲルを均一に詰める(アルミナゲルの活性化は、JP
I−5S−22−83の6.1に、クロマトグラム用カ
ラムの準備は、JPI−5S−22−83の6.2にそ
れぞれ準拠して行う。) −1:ベンゼン70mlをガラス棒を用いてカラム上
部から内壁づたいにカラム内に流し込み、ゲルを湿潤さ
せる。カラム内に注入した70mlのベンゼンの最終液
面がゲル層上面に達したのを確認してから、で準備し
た試料溶液をカラム内に注ぐ。試料が付着した容器をベ
ンゼン25mlで洗浄し、カラムに注入した試料溶液の
最終液面がゲル層上面に達したら直ちにカラム上部から
ベンゼン洗浄液をカラム内に注ぐ。この洗浄操作を更に
もう1回繰り返し、容器内の試料を完全にカラム内に移
す。 −2:カラム内に注入した2回目のベンゼン洗浄液の
最終液面がゲル層上面に達したら、直ちにカラム上部か
らベンゼン250mlを連続的にカラム内に流し入れ、
このベンゼンの最終液面がゲル層上面に達したら直ちに
カラム出口にアルカリ抽出分採取用の受器を取り付け
る。 −3:次いでカラム上部からメタノール270mlを
連続的にカラム内に流し入れ、カラムからメタノールの
流出が完全に止まるまでカラム流出物を受器に採取す
る。 −4:採取した上記のカラム流出物をJPI−5S−
22−83の7.11のA法に従って処理し、カラム流
出物からメタノール及びベンゼンを完全に除去して恒量
化し、冷却後秤量してアルカリ抽出分の質量を求め、そ
の値と試料500mlの質量から、次式によって試料
(軽油組成物)中のアルカリ抽出分含有量を求める。
【0010】
【数1】
【0011】本発明の軽油組成物において、上記の方法
により求めたアルカリ抽出分の含有量は、その上限値が
1質量%、好ましくは0.1質量%、より好ましくは
0.08質量%、最も好ましくは0.06質量%であ
り、下限値は0.005質量%、好ましくは0.006
質量%、より好ましくは0.007質量%である。軽油
組成物のアルカリ抽出分含有量を1質量%を上回る程増
量させても、軽油組成物の潤滑性をさらに向上させるこ
とができない。一方、軽油組成物のアルカリ抽出分の含
有量が0.005質量%に満たない場合は、ディーゼル
エンジンの運転中に分配型燃料ポンプの駆動トルク増な
いしは摩耗、エンジンのフリクション増などを招く虞が
ある。
【0012】また、本発明の軽油組成物の、硫黄含有量
やアルカリ抽出分含有量以外の性状は任意である。
【0013】しかし該組成物の沸点は、通常、150〜
400℃、好ましくは160〜380℃の範囲内である
のが望ましい。なお、本発明でいう石油留分の沸点範囲
とは、JIS K 2254に規定する「石油製品−蒸
留試験方法」に準拠して測定される初留点から終点まで
の温度範囲を意味する。また該組成物のセタン価は、通
常、45以上、好ましくは50以上であるのが望まし
い。なお、本発明でいうセタン価とは、JIS K 2
280 6に規定する「セタン価試験方法」に準拠して
測定されるセタン価を意味する。また該組成物の色相
は、通常、セーボルト値で0以上、好ましくは10以上
であるのが望ましい。なお、本発明でいう色相とは、J
ISK 2580 4.2に規定する「セーボルト色試
験方法」に準拠して測定される値を意味する。また該組
成物の成分組成は、通常、飽和分含有量が60〜95容
量%、好ましくは70〜85容量%、オレフィン分含有
量が0〜5容量%、好ましくは0〜1容量%、芳香族分
含有量が5〜40容量%、好ましくは15〜30容量%
であることが望ましい。なお、本発明でいう飽和分含有
量、オレフィン分含有量および芳香族分含有量とは、J
IS K 2536に規定する「石油製品−炭化水素タ
イプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定され
る飽和分、オレフィン分および芳香族分の容量百分率
(容量%)を意味する。またさらに、本発明の軽油組成
物は、通常、JISK 2204「軽油」で規定する特
1号、1号、2号、3号または特3号に該当する性状を
有するものが好ましい。
【0014】本発明の軽油組成物は、上記のような性状
を有すると共に、溶剤抽出分を含有するものである。本
発明でいう溶剤抽出分とは、原油または原油から得られ
る石油留分を原料油とし、該原料油を溶剤抽出処理して
得られるものである。なお、溶剤抽出処理することによ
って、通常、原料油中の極性化合物、すなわちアルコー
ル、フェノール化合物、カルボン酸等の含酸素化合物、
含窒素化合物、硫黄化合物などが溶剤抽出分として得ら
れる。本発明においては、溶剤抽出分中のこれら極性化
合物の種類および含有量についてはなんら制限はなく、
この抽出分を含有してなる軽油組成物が、硫黄含有量が
0.05質量%以下、アルカリ抽出分含有量が0.00
5〜1質量%であれば、任意のものが使用できる。
【0015】また、ここでいう石油留分とは、原油を各
種の蒸留装置にかけて得られる留出油、残油等だけでな
く、得られたこれらを水素化(脱硫、分解)などの各種
精製処理を行ったもの等も含まれる。しかしながら、溶
剤抽出処理をする原料油としては、該原料油中に含まれ
る極性化合物が減少してしまうため、水素化処理を行っ
ていないものが好ましい。溶剤抽出処理をする原料油と
しては、具体的には例えば、パラフィン基原油、ナフテ
ン基原油、混合基原油、特殊原油などの原油;原油の常
圧蒸留によって得られる留出油(例えば直留軽油、重質
軽油);原油の常圧蒸留から得られる残油(例えば常圧
残油);常圧蒸留残油の減圧蒸留によって得られる留出
油(例えば減圧軽油);常圧蒸留残油の減圧蒸留から得
られる残油(例えば減圧残油);重質油等の接触分解
(例えばFCC)油の蒸留により得られる留出油(例え
ば接触分解軽油);重質油等の熱分解油の蒸留により得
られる留出油(例えば熱分解軽油);などを単独で、ま
たはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0016】また、溶剤抽出処理をする原料油の沸点範
囲は、通常、150〜550℃であり、好ましくは15
0〜500℃、さらに好ましくは160〜470℃、さ
らに特に好ましくは170〜430℃、最も好ましくは
180〜400℃である。沸点が低すぎると極性化合物
の含有量が少なくなり、溶剤抽出処理の効率が悪くな
る。沸点が高すぎると、軽油留分との相溶性が低下する
とともに、得られる製品の色相や保存安定性が低下す
る。また通常、沸点の高い石油留分は硫黄含有量が多
く、このような石油留分から得られる溶剤抽出分中の硫
黄含有量も増加し、したがって本発明の組成物への溶剤
抽出分の添加量が極端に制限される恐れがある。
【0017】本発明において溶剤抽出処理に用いられる
溶剤としては、任意のものが使用可能であり、原料油の
性状に応じて適宜選択されて用いられる。通常用いるこ
とのできる溶剤としてはフルフラール、テトラヒドロフ
ラン、ジエチルエーテル等の炭素数が4〜8のエーテ
ル、フェノール、クレゾール、炭素数が1〜4の脂肪族
アルコール、水、スルフォラン、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロ
ピルグリコール、N−メチルピロリドン、ジメチルスル
フォキシド、フォルミルモルフォリン、メチルカーバメ
ート、フルフリルアルコール、ジグリコールアミンなど
があげられる。好ましくはフルフラール、テトラヒドロ
フラン、ジエチルエーテル等の炭素数が4〜8のエーテ
ル、フェノール、クレゾール、炭素数が1〜4の脂肪族
アルコール、水、スルフォラン、N−メチルピロリドン
であり、さらに好ましくはフルフラール、炭素数が1〜
4の脂肪族アルコール、水、N−メチルピロリドンであ
り、さらに特に好ましくはフルフラール、炭素数が1〜
4の脂肪族アルコール、水である。最も好ましくはフル
フラール、メタノールである。これらの溶剤は単独で用
いてもよく、2種類以上の溶剤を混合して用いても良
い。
【0018】上記したような溶剤を用いて、原料油を溶
剤抽出処理する方法はなんら限定はされず、任意の方法
が使用可能である。本発明においては、抽出の方法は連
続式でも回分式でも良い。連続式に抽出を行う場合に
は、溶剤と原料油の流れは平行流、向流のいずれでも良
いが、向流が好ましい。抽出器の形式はミキサー・セト
ラー型、充填塔、多孔板塔、回転円盤塔などがあげられ
る。
【0019】抽出条件は原料油及び溶剤の性状により異
なるが、具体的には例えば溶剤としてフルフラールを用
いた場合は、温度は通常、常温〜200℃、好ましくは
30〜180℃、さらに好ましくは40〜150℃であ
る。また、溶剤としてメタノールを用いた場合は、温度
は通常、0〜50℃、好ましくは10〜40℃である。
なお、抽出器内に温度分布がある場合、上記の温度は最
高温度を意味する。圧力は通常、0.1〜2MPa、好
ましくは0.1〜1MPa、さらに好ましくは0.1〜
0.5MPaである。なお、抽出器内で圧力分布がある
場合、上記の圧力は最低圧力を意味する。溶剤と原料油
の容積比は通常、100:1〜1:100、好ましくは
50:1〜1:50、さらに好ましくは10:1〜1:
10、さらに特に好ましくは1:1〜1:5である。
【0020】本発明における溶剤抽出分とは、上記した
ような方法で溶剤抽出処理を行った後、原料油と溶剤と
からなる混合物から溶剤除去分を含有する溶剤部分(抽
出液)を分離し、抽出液から蒸留などの方法で溶剤を除
去することによって得られるものである。本発明におい
て上記の分離の方法、溶剤の回収法は任意である。また
上記した溶剤抽出分をさらに溶剤抽出しても良い。複数
回溶剤抽出する際の溶剤は同一の溶剤でもよく、異なる
溶剤を用いても良い。
【0021】本発明の軽油組成物は、一般的には、硫黄
含有量が0.05質量%以下の低硫黄軽油に、溶剤抽出
分を添加することによって得ることができる。そして、
硫黄含有量が0.05質量%以下の低硫黄軽油は、当業
界で公知の任意の軽油製造基材の1種もしくは2種以上
を適宜配合して得ることができる。
【0022】使用可能な軽油製造基材としては、原油を
常圧蒸留装置にかけて得られる直留軽油;常圧蒸留装置
から得られる直留重質油や残渣油を減圧蒸留装置にかけ
て得られる減圧軽油;減圧蒸留装置から得られる減圧軽
油を水素化精製して得られる水素化精製軽油;直留軽油
を通常の水素化精製より過酷な条件で一段階または多段
階で水素化脱硫して得られる水素化脱硫軽油;脱硫また
は未脱硫の減圧軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を
接触分解して得られる接触分解軽油;原油の常圧蒸留に
より得られる直留灯油;直留灯油を水素化精製して得ら
れる水素化精製灯油;原油の常圧蒸留によって得られる
軽油留分を分解して得られる分解灯油などを例示でき
る。これらの各軽油製造基材の1種もしくは2種を混合
した際に、そのものの硫黄含有量が0.05質量%を越
えている場合には、水素化精製などの適当な手段で硫黄
含有量を0.05質量%にしなければならないことは言
うまでもない。
【0023】本発明の軽油組成物は、硫黄含有量および
アルカリ抽出分含有量に関する条件を満足し、かつ溶剤
抽出分を含有するものであるが、さらにレジン分含有量
の下限値が0.15質量%、好ましくは0.18質量
%、より好ましくは0.20質量%であり、レジン分の
上限値は1.0質量%、好ましくは0.75質量%、よ
り好ましくは0.5質量%であることが望ましい。レジ
ン分含有量が0.15質量%に満たない場合は、ディー
ゼルエンジンの運転中に分配型燃料ポンプの駆動トルク
が増大し、最終的にはポンプの摩耗、フリクションの増
加などの現象が起こる可能性がある。また、レジン分含
有量が1.0質量%を越えた場合は、軽油組成物の貯蔵
安定性が低下し、スラッジを生成し易くなる可能性があ
る。
【0024】ここで、レジン分含有量とは、石油学会規
格JPI−5S−22−83「アスファルトのカラムク
ロマトグラフィーによる組成分析法」を改良して軽油に
適用し、以下の手順で測定される値を意味する。測定に
使用する装置、器具および試薬は、すべてJPI−5S
−22−83の規定を適用する。
【0025】なお、本明細書に記載するレジン分含有量
は、すべて以下に記載する測定法で測定された値であ
る。 :図1に示すような概略形状を有するクロマトグラム
用カラムに、活性化されたアルミナゲル75gを入れ、
カラム外側からバイブレーターを60秒間かけてアルミ
ナゲルを均一に詰める(アルミナゲルの活性化はJPI
−5S−22−83の6.1、クロマトグラム用カラム
の準備はJPI−5S−22−83の6.2に準拠し
た)。 :300mlの三角フラスコに2.0±0.2gの試
料(軽油組成物)を0.001gまではかりとる。これ
に30mlのn−ヘプタンを加え、試料を均一に溶解さ
せる。 :n−ヘプタン70mlをガラス棒を用いてカラム上
部から内壁づたいにカラム内に流し込み、ゲルを湿潤さ
せる。また恒温水槽の温水をポンプでカラムジャケット
部に循環させ、カラムの温度を50±2℃に保つ。 :で準備したカラム中のn−ヘプタンの最終液面が
ゲル層上面に達したのを確認してから、で得られた試
料溶液をカラム中に注ぐ。試料溶液が付着したフラスコ
はn−ヘプタン25mlで洗浄し、試料溶液の最終液面
がゲル層上面に達したら、直ちにカラム上部からn−ヘ
プタン洗浄液をカラム内に注ぐ。この洗浄操作をさらに
もう1回繰り返し、フラスコ中の試料を完全にカラム内
に移す。 :の2回目のn−ヘプタン洗浄液の最終液面がゲル
上面に達したら直ちにカラム上部からn−ヘプタン25
0mlを連続的にカラム内に流し入れる。 :のn−ヘプタンの最終液面がゲル層上面に達した
ら直ちに、で使用したフラスコにトルエン30mlを
入れ、n−ヘプタン不溶解分を完全に溶解し、カラム内
に流し入れる。この最終液面がゲル層上面に達したら、
引き続きカラム上部からトルエン270mlを連続的に
カラム内に流し入れる。 :のトルエンの最終液面がゲル層上面に達したら直
ちにカラム出口にレジン分採取用の受器を用意する。次
いでカラム上部からメタノール80mlをカラム内に流
し入れ、この最終液面がゲル層上面に達したら、同様に
トルエン80ml、最後にメタノール100mlをカラ
ム内に流し入れ、カラムから溶剤が完全に流出しなくな
るまで採取し、これをレジン分溶液とする。 :で採取したレジン分溶液をJPI−5S−22−
83の7.11のA法に準拠して、溶剤を完全に除去、
恒量化し、その後冷却秤量し、レジン分の質量を求め
る。 :で得られたレジン分の質量に基づき、次式により
試料の軽油のレジン分含有量を求める。
【0026】
【数2】
【0027】本発明の軽油組成物には、その性能をさら
に高める目的でその他の公知の燃料油添加剤を単独で、
または数種類組み合わせて添加することもできる。これ
ら添加剤としては、例えば、硝酸エステルや有機過酸化
物などのセタン価向上剤;エチレン−酢酸ビニル共重合
体、アルケニルコハク酸アミドなどの低温流動性向上
剤;フェノール系、アミン系などの酸化防止剤;サリチ
リデン誘導体などの金属不活性化剤;アルケニルコハク
酸イミド、ポリアルキルアミンなどの清浄分散剤;ポリ
グリコールエーテルなどの氷結防止剤;脂肪族アミン、
アルケニルコハク酸エステルなどの腐食防止剤;アニオ
ン系、カチオン系、両性系界面活性剤などの帯電防止
剤;アゾ染料などの着色剤;などを挙げることができ
る。
【0028】これらその他の添加剤の添加量は任意に決
めることができるが、添加剤個々の添加量は、軽油組成
物全量基準でそれぞれ0.5質量%以下、好ましくは
0.2質量%以下であるのが通常である。
【0029】
【実施例】次に実施例および比較例により本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら
限定されるものではない。
【0030】まず、実施例、比較例で用いる直留軽油、
減圧軽油および低硫黄軽油の性状を表1に示す。なお、
各軽油はそれぞれ以下の方法により得られたものであ
る。直留軽油 アラビアンライト原油を常圧蒸留装置にかけて、表1に
示す性状を有する直留軽油を得た。減圧軽油 アラビアンライト原油を常圧蒸留装置にかけて得られる
常圧残油を、減圧蒸留装置にかけて、表1に示す性状を
有する減圧軽油を得た。低硫黄軽油 表1の直留軽油を、連続した2段階の工程で水素化精製
処理して得られた軽油であり、第一工程での留出油の温
度を下げた後、そのまま連続して第二工程の水素化精製
処理を行った。水素化精製処理の第一工程の水素分圧は
5.4MPa、反応温度は378℃、原料油(直留軽
油)の供給量(液空間速度)(LHSV)は5.0
-1、水素/油比は253Nm3 /m3 であり、一方、
第二工程の水素分圧は5.4MPa、反応温度は250
℃、LHSVは10.0h-1であった。両工程とも、ア
ルミナ担体にコバルトおよびモリブデンを担持した触媒
を使用した。
【0031】
【表1】 表中、「IBP」は初留点、「FBP」は終点、
「T10」は10%留出温を表す。
【0032】続いて、以下の方法により原料油を溶剤抽
出処理して、溶剤抽出分1〜3を得た。溶剤抽出分1 恒温槽中に設置した容量3Lのガラス製ポット容器に、
表1の直留軽油1Lとフルフラール1Lを入れた。遮光
した状態で、窒素ガスを容器中に吹き込んで液を撹拌さ
せながら加熱し120℃で10分間置いた。窒素ガスの
吹き込みを止めて静置して油層とフルフラール層とに分
け、油層を採取した。この第1回抽出で得た油層と、フ
ルフラール1Lを再度容器に入れ、同様の操作を行っ
た。さらにこの第2回抽出で得た油層と、フルフラール
1Lを再度容器に入れ、同様の操作を行った。計3回の
抽出操作で得られたフルフラール層全量をガラス製丸底
フラスコに移し、これを減圧蒸留してフルフラールを除
去して、溶剤抽出分1を得た。溶剤抽出分2 直留軽油の代わりに表1の減圧軽油を用いた以外は、溶
剤抽出分1と同様な方法で溶剤抽出分2を得た。溶剤抽出分3 フルフラールの代わりにメタノールを用いた以外は、溶
剤抽出分1と同様な方法で溶剤抽出分3を得た。ただ
し、抽出操作は20℃で行った。実施例1〜9および比較例1 上記の溶剤抽出分1〜3および低硫黄軽油を表2に示す
割合で混合して得られた軽油組成物(実施例1〜9)、
および低硫黄軽油(比較例1)について、HFRR(Hi
gh Frequency Reciprocating Rig)試験を行い摩耗痕直
径(WSD)を測定した。結果を表2に示す。
【0033】[HFRR試験方法]以下の条件でHFR
R試験を行い、試験後の試験球についた円状の傷の振動
方向の直径と振動方向に垂直な方向の直径を測定し、そ
の平均値を摩耗痕直径(WSD)とした。
【0034】試験球 材質:ANSI 52100 硬度:645HV30 表面粗さ:0.1μmRa以下 直径:6.25nm 試験板 材質:ANSI 52100 硬度:180HV30 表面粗さ:0.1μmRa以下 荷重:2N 試験温度:60℃ ストローク:1.0mm 振動数:50Hz 時間:75分
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果から明らかなように、本発明の
軽油組成物である実施例1〜9の軽油組成物は、WSD
の値が小さく、従って分配型燃料ポンプに用いた場合に
ポンプ内部が焼き付く心配がない。これに対して、硫黄
含有量が0.05質量%以下であっても、アルカリ抽出
分が0.005質量%に満たない低硫黄軽油(比較例
1)では、WSDの値が大きくポンプ内部が焼き付く恐
れがある。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の軽油組成
物は、潤滑性向上剤のような燃料添加剤を添加すること
なく分配型燃料ポンプの潤滑性能を維持し、低硫黄軽油
の使用によって起こる分配型燃料ポンプの駆動トルク
増、分配型燃料ポンプの摩耗、フリクション増大を防止
する効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クロマトグラム用カラムの概略図。
【符号の説明】
1:カラム、2:ジャケット、3:保温水入口、4:保
温水出口、5:脱脂綿充填部。
フロントページの続き (72)発明者 吉村 匡史 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地日本石油 株式会社中央技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硫黄含有量が0.05質量%以下、アルカ
    リ抽出分含有量が0.005〜1質量%である軽油組成
    物であって、かつ該軽油組成物が、原油または原油から
    得られる石油留分のいずれかを溶剤抽出処理して得られ
    る溶剤抽出分を含有するものであることを特徴とする軽
    油組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001098286A (ja) * 1999-09-30 2001-04-10 Nippon Mitsubishi Oil Corp 軽油組成物
JP2008101214A (ja) * 2007-10-24 2008-05-01 Japan Energy Corp 環境対応軽油の製造方法
JP2008528252A (ja) * 2005-01-20 2008-07-31 トータル・フランス 水素化処理触媒、その製造方法、およびその使用

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