JP4351654B2 - 灯油 - Google Patents

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Description

本発明は灯油に関し、特に石油ストーブや石油ファンヒーター等の暖房機器などに好適に用いられる低硫黄灯油に関する。
環境問題への関心が社会的に高まる中、室内暖房機器の分野では、暖房機器から排出される臭気物質(炭化水素等)を低減する技術が検討されている。臭気物質の低減方法としては、暖房機器の燃焼部の改善、排出ガス浄化装置の装着等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、昨今の環境問題への取り組みから燃料油中の硫黄分を低減することが望まれており、灯油においても低硫黄化が進められているが、灯油中の硫黄分を過酷な条件で除去すると、酸化安定性、貯蔵安定性が低下してしまう懸念がある。
一方、安定性の良くない灯油を長期にわたって使用すると、正常な燃焼が起こりにくくなり、燃料消費率の低下、さらには装置の不具合の原因となり得るとの報告がある(例えば、非特許文献1参照。)。
特公昭59−16814号公報 内田紘一郎,「ペトロテック(PETROTECH)」,石油学会,第17巻,第11号,1994年,p.37−42
本発明は、上記問題を解決するものであり、酸化安定性、貯蔵安定性が確保された低硫黄灯油を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、灯油基材から硫黄化合物を除去する工程中にジエン価で表される特定の化合物が生成し、これが灯油の安定性を低下させることが分かり、この化合物を特定の濃度以下に抑えることで上記課題が解決されることを見出して本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、硫黄分が10質量ppm以下で、ジエン価が0.2以下であることを特徴とする灯油に関する。
本発明の灯油は、上記のとおり硫黄分を10質量ppm以下、かつジエン価を0.2以下とすることにより、灯油の酸化劣化を抑制することができたものであり、その結果、酸化劣化物に起因する燃焼不良やノズル詰まり等を引き起こすことがないため、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能となる。
また、本発明は、蒸留性状における初留点が150℃以上、97容量%留出温度が265℃以下、97%留出温度と終点との温度差が10℃以下、50容量%留出温度が190℃以上205℃以下であり、引火点が40℃以上、芳香族分が5容量%以上25容量%以下、二環以上の芳香族分が0.5容量%以下、15℃における密度が770kg/m以上820kg/m以下、30℃における動粘度が1.0mm/s以上1.7mm/s以下、煙点が21mm以上であることを特徴とする前記記載の灯油に関する。
このように、蒸留性状における初留点、97容量%留出温度、97容量%留出温度と終点との温度差、50容量%留出温度、引火点、芳香族分、二環以上の芳香族分、15℃における密度、30℃における動粘度、及び煙点がそれぞれ上記特定条件を満たすことによって、灯油の燃料消費率を一層向上させることができ、さらに、安定性、引火性、安全性、並びに暖房機器に対する適合性を改善することができる。従って、かかる灯油を暖房機器に用いることにより、燃焼性の向上、臭気物質の排出量の低減、暖房機器への負荷の低減などが実現可能となり、その結果、暖房機器を一層安定的に運転することが可能となる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の灯油の硫黄分は、燃焼排出ガス中の硫黄酸化物の抑制、及び暖房用機器に装着されている排ガス後処理用触媒の長寿命化の観点から、10質量ppm以下であることが必要であり、5質量ppm以下であることが好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。
なお、本発明でいう硫黄分とは、通常はJIS K2541「硫黄分試験方法」により測定される硫黄含有量を意味するが、硫黄分が1質量ppm未満となる場合は、ASTM D4045−96「Standard Test Method for Sulfur in Petroleum Products by Hydrogenolysis and Rateometric Colorimetry」により測定される硫黄含有量を意味する。
本発明の灯油のジエン価は、0.2以下であることが必要であり、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがさらに好ましい。ジエン価が0.2より大きくなると、酸化劣化を起こし易くなり、その結果、過酸化物による燃焼不良やファンヒーターにおいてはノズル詰まり等が起こり易くなる。
なお、本発明でいうジエン価とは、無水マレイン酸付加反応によるジエン価を表し、次に示すような手順により算出される値である。
(試薬)
水:イオン交換水または蒸留水を意味する。
無水マレイン酸トルエン溶液:無水マレイン酸60gを温トルエンに溶解する。冷却後1L容量フラスコに移し、標線までトルエンで希釈する。この溶液を1日以上静置しておき、使用する前に定性ろ紙でろ過する。
フェノールフタレイン指示薬溶液:フェノールフタレイン1gを変性エチルアルコール100mLに溶解する。
水酸化ナトリウム溶液:1.0M
(手順)
適当な量の試料(通常5〜20g)を乾燥した250mLエルレンマイヤーフラスコに精評する。ろ過した無水マレイン酸トルエン溶液20mLをピペットにより加え、突沸を防止するため数個のカーボランダム片を加える。エルレンマイヤーフラスコにコンデンサーを取り付け、ホットプレート上で3時間還流する。
室温で放冷し、コンデンサーの頂部からエルレンマイヤーフラスコに5mLの水を流し込み、付加反応を進めるために15分間内容物を静かに沸騰させる。室温で放冷し、コンデンサーの頂部から5mLのt−ブチルメチルエーテルを、次に20mLの水を加える。
コンデンサーを取り外し、エルレンマイヤーフラスコ内の内容物を200mL分液漏斗に移し、エルレンマイヤーフラスコを20mLのt−ブチルメチルエーテルで3回、次に25mLの水で3回洗浄し、それぞれの洗液を分液漏斗に加える。
分液漏斗内の内容物を4〜5分混合し、2層に分離するまで静置した後、水層を250mLエルレンマイヤーフラスコに抜き取る。分液漏斗中の残液を25mL、10mL、10mLの水で3回に分けて繰り返し抽出し、それぞれの抽出水を先に抜き取った水層の入った250mLエルレンマイヤーフラスコに加える。フェノールフタレインを指示薬として、抽出水を標準水酸化ナトリウム溶液により滴定する。
試料を入れずに同様の操作(空試験)を行い、次の式によりジエン価を求める。
ジエン価=(B−A)×N×12.69/W
ここで、A=試料の滴定に要した水酸化ナトリウム溶液の容量(mL)
B=空試験の滴定に要した水酸化ナトリウム溶液の容量(mL)
N=水酸化ナトリウム溶液の規定度
W=試料採取重量(g)
本発明の灯油は、硫黄分が10質量ppm以下であり、ジエン価が0.2以下であればその他の性状は特に制限されないが、後述する性状を有していることが好ましい。
本発明の灯油の蒸留性状に関しては、初留点は150℃以上であり、97容量%留出温度は265℃以下であり、97%留出温度と終点との温度差は10℃以下であり、50容量%留出温度は190℃以上205℃以下であることがそれぞれ好ましい。
初留点は、引火点低下による安全性への影響から、150℃以上であることが好ましく、153℃以上であることがより好ましく、155℃以上であることがさらに好ましい。一方、低温時の着火特性維持の観点から、170℃以下であることが好ましく、165℃以下であることがより好ましい。
また、97容量%留出温度(T97)は、265℃以下であることが好ましく、260℃以下であることがより好ましく、255℃以下であることがさらに好ましい。
また、T97と終点との温度差は10℃以下であることが好ましく、8℃以下であることがより好ましく、6℃以下であることがさらに好ましい。T97が265℃を超えたり、T97と終点との温度差が10℃を超えると、点火時にススが発生しやすく、特に、芯式ストーブに使用した場合に芯にタールが付着しやすくなる傾向にある。
また、50容量%留出温度(T50)は190℃以上であることが好ましく、192℃以上であることがより好ましく、195℃以上であることがさらに好ましい。T50が190℃未満の場合は燃料消費率が不十分となる傾向にある。一方、燃焼性の観点から、205℃以下であることが好ましく、203℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
また、30容量%留出温度(T30)は、給油時の臭気低減および発熱量の観点から、175℃以上であることが好ましく、178℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。一方、低温時の着火性の観点から、195℃以下であることが好ましく、190℃以下であることがより好ましく、185℃以下であることがさらに好ましい。
70容量%留出温度(T70)は、発熱量の観点から、200℃以上であることが好ましく、205℃以上であることがより好ましく、210℃以上であることがさらに好ましい。一方、燃焼性の観点から、230℃以下であることが好ましく、225℃以下であることがより好ましく、220℃以下であることがさらに好ましい。
95容量%留出温度(T95)は、燃焼性の観点から、255℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましい。
なお、本発明でいう初留点、T30、T50、T70、T95、T97、終点とは、それぞれ、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の灯油の引火点は、取り扱い上の安全性の観点から、40℃以上であることが好ましい。
なお、本発明でいう引火点とは、JIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」のタグ密閉式で測定される値を意味する。
本発明の灯油の芳香族分(全芳香族分)は、発熱量の観点から、5容量%以上であることが好ましく、7容量%以上であることがより好ましい。また、燃焼性の観点から、25容量%以下であることが好ましく、22容量%以下であることがより好ましく、18容量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明でいう芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される全芳香族分の含有量の値を意味する。
また、芳香族分のうち、二環以上の芳香族分は、0.5容量%以下であることが好ましく、0.4容量%以下であることがより好ましく、0.3容量%以下であることがさらに好ましい。二環以上の芳香族分が0.5容量%を超えると、燃焼性が低下したり、貯蔵安定性が低下する傾向にある。
なお、本発明でいう二環以上の芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される二環芳香族分および三環以上芳香族分の含有量の総和を意味する。
本発明の灯油の飽和分は、燃焼性の観点から、70容量%以上が好ましく、75容量%以上がより好ましく、80容量%以上がさらに好ましい。
なお、ここでいう飽和分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される飽和炭化水素の含有量を意味する。
本発明の灯油のオレフィン分は、貯蔵安定性の観点から、5容量%以下が好ましく、3容量%以下がより好ましく、1容量%以下がさらに好ましい。
なお、ここでいうオレフィン分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定されるオレフィン系炭化水素の含有量を意味する。
本発明の灯油の15℃における密度は、燃料消費率の観点から、770Kg/m以上であることが好ましく、780Kg/m以上であることがより好ましい。一方、燃焼性の観点から、820Kg/m以下であることが好ましく、810Kg/m以下であることがより好ましい。
なお、本発明でいう15℃における密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」で測定される値を意味する。
本発明の灯油の30℃における動粘度は、芯式ストーブにおける芯への染み込み性などの観点から、1.7mm/s以下であることが好ましく、1.6mm/s以下であることがより好ましい。一方、芯式ストーブ消火後の余熱による芯からの染み出し防止などの観点から、1.0mm/s以上であることが好ましく、1.1mm/s以上であることがより好ましい。
なお、本発明でいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油の煙点は、芯式ストーブにおけるすすの発生や不完全燃焼を防止する点から、21mm以上であることが好ましい。
なお、本発明でいう煙点とは、JIS K2537「石油製品−航空タービン燃料油及び灯油−煙点試験方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油のセーボルト色は、不純物の識別等安全性への影響を考慮し、+27以上であることが好ましい。
なお、ここでいうセーボルト色とは、JIS K2580「石油製品−色試験方法」中のセーボルト色試験方法で測定される値を意味する。
本発明の灯油の銅板腐食(50℃、3h)は、1以下であることが好ましく、1aであることがより好ましい。銅板腐食が1を越える場合は、金属部材を腐食する可能性があり好ましくない。
なお、ここでいう銅板腐食とは、JIS K2513「石油製品−銅板腐食試験方法」(試験温度50℃、試験時間3時間)に準拠して測定した値を意味する。
本発明の灯油に用いられる基材としては、例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油を水素化精製して得られる水素化脱硫灯油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油留分を水素化精製して得られる水素化精製灯油、減圧軽油留分を水素化分解した水素化分解灯油、減圧軽油留分又は脱硫重油を接触分解して得られる接触分解灯油、直留重質油を熱分解して得られる熱分解灯油、熱分解灯油を水素化精製して得られる水素化脱硫灯油、残査油を水素化精製して得られる水素化脱硫灯油、直留灯油及び/又は水素化精製灯油を原料とし、水素化触媒存在下で深度水素化処理することによって得られる超低硫黄灯油、直留灯油又は水素化脱硫灯油又は水素化精製灯油の抽出によりノルマルパラフィン分を除去した残分である脱ノルマルパラフィン灯油、天然ガス等を一酸化炭素と水素に分解した後にF−T(Fischer−Tropsch)合成で得られるGTL(Gas to Liquids)の灯油留分及び/又はその水素化分解物等の基材が挙げられる。
上記灯油基材の水素化精製条件は、本発明の所定の性状を有する灯油を得られれば特に限定されるものではないが、水素化触媒の存在下で反応温度100〜350℃、水素圧力1〜10MPa、LHSV0.1〜10h−1、水素/油比10〜500NL/Lであることが好ましい。
水素化触媒は、特に限定されるものではないが、水素化活性金属を多孔質担体に担持したものが挙げられる。
多孔質担体としては無機酸化物が好ましく用いられる。無機酸化物としては、具体的には、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらのうち、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカおよびゼオライトから選ばれる少なくとも1種類とアルミナとによって構成される多孔質担体が本発明において特に好適に用いられる。
水素化活性金属としては周期律表第6族金属及び第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属であることが好ましい。より好ましくはRu、Rd、Ir、Pd、Pt、Ni、Co、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種類である。活性金属としてはこれらの金属を組み合わせたものでもよく、例えば、Pt−Pd、Pt−Rh、Pt−Ru、Ir−Pd、Ir−Rh、Ir−Ru、Pt−Pd−Rh、Pt−Rh−Ru、Ir−Pd−Rh、Ir−Rh−Ru、Co−Mo、Ni−Mo、Ni−Wなどの組み合わせを採用することができる。
上記の性状を有する本発明の灯油は、引火性、燃焼性、安全性、並びに暖房機器に対する適合性の全てがバランスよく高められたものであり、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能なものである。従って、本発明の方法で製造された灯油は、石油ストーブ(例えば、芯式ストーブ)や石油ファンヒーター等の暖房機器に使用される暖房用灯油として非常に有用である。
本発明の灯油は、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、フェノール系、アミン系化合物などの酸化防止剤、シッフ型、チオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン系化合物などの表面着火剤、コハク酸アミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコール若しくはそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステル、1−メトキシ−2−アセトキシプロパンなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アゾ染料などの着色剤、クマリン等の識別剤などが挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの添加剤の添加量は任意であるが、その合計添加量は、灯油組成物全量基準で、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。
上述の添加剤としては、常法に従い合成したものを用いてもよく、また市販の添加剤を用いてもよい。なお、市販されている添加剤は、その添加剤が目的としている効果に寄与する有効成分を適当な溶剤で希釈している場合もある。有効成分が希釈されている市販添加剤を使用する場合には、灯油組成物中の当該有効成分の含有量が上述の範囲になるように市販添加剤を添加することが好ましい。
本発明の灯油は、酸化劣化が抑制されるため、酸化劣化物に起因する燃焼不良やノズル詰まり等が引き起こされず、長期にわたって安定な暖房運転を行うことが可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<灯油サンプル(1)>
硫黄分1600質量ppm、初留点165℃、T95=240℃の未精製油をコバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度320℃、水素分圧3.5MPa、LHSV1.5h−1、水素/油比120NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油サンプル(1)を得た。この灯油サンプル(1)の一般性状を表1に示す。
<灯油サンプル(2)>
硫黄分170質量ppm、初留点150℃、T95=242℃の炭化水素基材をニッケル−タングステン担持アルミナ触媒を用い、反応温度290℃、水素分圧8.8MPa、LHSV1.6h−1、水素/油比110NL/Lの条件下で水素化脱硫処理を行い、得られた処理油の軽質分25容量%をストリップ(除去)した。次いで、温度190℃、圧力2MPaの条件下でモレキュラーシーブ5Aにより直鎖飽和炭化水素を30容量%抽出除去し、さらに先にストリップ(除去)した軽質分の90容量%を再び混合して、灯油サンプル(2)を得た。この灯油サンプル(2)の一般性状を表1に示す。
<灯油サンプル(3)>
硫黄分2400質量ppm、初留点160℃、T95=258℃の未精製油をコバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度305℃、水素分圧3.2MPa、LHSV2.5h−1、水素/油比100NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油サンプル(3)を得た。この灯油サンプル(3)の一般性状を表1に示す。
<比較灯油サンプル(1)>
硫黄分2000質量ppm、初留点158℃、T95=267℃の未精製油をコバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度375℃、水素分圧11MPa、LHSV0.7h−1、水素/油比700の条件下で水素化精製を行い、比較灯油サンプル(1)を得た。この比較灯油サンプル(1)の一般性状を表1に示す。
<比較灯油サンプル(2)>
減圧蒸留軽油をゼオライト系触媒を用い、反応圧力11MPa、反応温度410℃で水素化分解を行い、比較灯油サンプル(2)を得た。この比較灯油サンプル(2)の一般性状を表1に示す。
[実施例1〜3及び比較例1〜2]
灯油サンプル(1)〜(3)および比較サンプル(1)〜(2)を43℃恒温槽にて2週間貯蔵した後、下記の燃焼試験を実施した。43℃恒温槽における2週間貯蔵は、常温で灯油を数ヶ月間保存した状態に相当し、安定性の悪い灯油は酸化劣化が進んだ状態となる。
(燃料試験)
試験用暖房機器として、芯上下式ストーブ(コロナ社製SX−E261Y:開放式石油ストーブ芯式自然通気形、排ガス浄化装置あり)、及び石油ファンヒーター(ダイニチ社製ブルーヒーターFW−3070E:開放式石油ストーブ気化式強制通気形、排ガス浄化装置なし)に試料油を充填し、「点火→5時間の定常運転→消火」を1サイクルとし、これらの工程を100サイクル(500時間)繰り返した。
本燃料試験においては、1回目のサイクルにおける燃料消費率(以下、「燃料消費率1」という)、並びに最終サイクルにおける燃料消費率(以下、「燃料消費率2」という)を測定し、両者の差Δ(燃料消費率1−燃料消費率2)を求めた。得られた結果を表2に示す。
表2に示した燃料消費率1、2はいずれも比較例1の燃料消費率1を100としたときの相対値で示したものである。燃料消費率1の場合、その値が大きいほど燃費が悪いことを意味する。また、サイクル数が増加すると、燃焼部への固着物(例えば酸化劣化物)の付着等により暖房効率が悪化するため、通常、燃料消費率2は燃料消費率1よりも小さくなる。両者の差Δ(燃料消費率1−燃料消費率2)は、燃焼部への固着物の付着量及びTHC(Total HydroCarbon)濃度の指標となり、値が小さいほど燃焼が良好であること(燃料消費率の低下を抑制すること)を意味する。
表2の結果から、本発明の灯油に係る実施例1〜3を用いることで、いずれも燃料消費率の低下を抑制できることが分かる。
これに対して、比較例1〜2の場合は、表2に示したように、500時間試験後の燃料消費率低下が著しく、また石油ファンヒーターにおいては燃焼不良による失火が起きている。この結果は、比較例1〜2の灯油を用いた場合に、本発明の灯油に比べ燃焼部に酸化劣化による固着物が生成し、燃焼不良が起こりやすくなることを示唆するものである。
Figure 0004351654
Figure 0004351654

Claims (1)

  1. 硫黄分が10質量ppm以下、ジエン価が0.2以下であり、蒸留性状における初留点が150℃以上、97容量%留出温度が265℃以下、97容量%留出温度と終点との温度差が10℃以下、50容量%留出温度が190℃以上205℃以下、引火点が40℃以上、芳香族分が5容量%以上25容量%以下、二環以上の芳香族分が0.5容量%以下、15℃における密度が770kg/m 以上820kg/m 以下、30℃における動粘度が1.0mm /s以上1.7mm /s以下、煙点が21mm以上であることを特徴とする灯油。
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