JP5108328B2 - 灯油組成物 - Google Patents

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は灯油組成物に関し、さらに詳しくは、従来重油基材として利用されてきた、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、プロパン脱れきアスファルト、あるいは流動接触分解装置(以下、FCC装置と略記することがある。)から得られるライトサイクルオイル(LCO)などを灯油の原料基材として用いてなる、貯蔵安定性に優れる灯油組成物に関するものである。
現在、灯油は、灯火用、暖房用、厨房用などに用いられ、その大半が一般家庭で使用されている。そのため、灯油の性状は、室内環境の観点から硫黄分、燃焼性の観点から煙点および酸化開始温度、安全性の観点から引火点および貯蔵安定性が、各々一定の範囲にあることが望ましい。これらの条件を満足するため、従来は原油を蒸留して得られる沸点範囲145〜280℃の留分を水素化精製処理されて得られる水素化精製灯油が用いられてきた。
一方、環境改善の観点から、重油の需要が減少してきており、その結果、重油の基材として用いられてきた常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、プロパン脱れきアスファルトなどの有効活用が問題となってきている。また、FCC装置から得られるLCO留分は、低セタン価、高オレフィン分及び高硫黄分であるため、灯油・軽油基材には不適であることから、従来重油基材として利用されてきたが、重油の需要減少に伴い、その活用先が課題となっている。
ところで、コーカー装置は、減圧蒸留残渣やプロパン脱れきアスファルトなどから、灯油・軽油留分を得ることが可能な設備であるが、コーカー設備から得られる留分に、前記LCOを混合した基材を脱硫・脱窒素処理したのち、蒸留により灯油留分を取り出しても、安定性に問題がある。
他方、近年の石油製品の需要構造の変化を考慮した灯油の製造方法として、減圧蒸留軽油、接触分解軽油、熱分解軽油および脱れき油から選ばれる1種以上を、CAT(触媒平均温度)400℃以下で水素化分解する工程と、その灯油留分を回収する工程を有することを特徴とする灯油の製造方法(例えば、特許文献1参照)が開示されている。
しかしながら、この技術においては、灯油の原料として、コーカーなどの熱分解装置から得られる熱分解軽油を挙げているが、この熱分解軽油を得るために、熱分解装置に供給される基材についてはなんら言及されていない。
特開2003−105349号公報
本発明は、このような状況下で、従来、重油基材として利用されてきた、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、プロパン脱れきアスファルト、あるいはFCC装置から得られるLCOなどを灯油の原料基材として用いてなる、貯蔵安定性に優れる灯油組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、石油精製プラントの各装置から得られる特定の重質油の中から選ばれる少なくとも1種を熱分解処理して得られた軽質留分と、FCC装置から得られるライトサイクルオイル(LCO)とを特定の割合で含む混合基材の脱硫及び脱窒素処理油から得られた灯油留分に、酸化防止剤を特定の割合で含有させた灯油組成物により、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(a)原油の常圧蒸留残渣、(b)前記常圧蒸留残渣を減圧蒸留処理して得られた減圧蒸留残渣、(c)前記減圧蒸留残渣をプロパン脱れき処理して得られたプロパン脱れきアスファルト及び(d)流動接触分解装置のボトム留分の中から選ばれる少なくとも1種を熱分解処理して得られた軽質留分(A)と、流動接触分解装置から得られるライトサイクルオイル(B)とを、容量比100:0〜50:50の割合で含む混合基材の脱硫及び脱窒素処理油から得られた灯油留分、及び組成物1L当たり、酸化防止剤3〜30mgを含むことを特徴とする灯油組成物、及び
(2)さらに、脱硫処理した直留灯油を、組成物全量基準で、0.1〜98容量%の割合で含む上記(1)に記載の灯油組成物、
を提供するものである。
本発明によれば、従来、重油基材として利用されてきた、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、プロパン脱れきアスファルト、あるいはFCC装置から得られるLCOなどを灯油の原料基材として用いてなる、貯蔵安定性に優れる灯油組成物を提供することができる。
本発明の灯油組成物は、石油精製プラントの各装置から得られる下記の(a)〜(d)で示される重質油の中から選ばれる少なくとも1種を熱分解処理して得られた軽質留分(A)と、流動接触分解装置から得られるライトサイクルオイル(LCO)(B)とを、容量比100:0〜50:50の割合で含む混合基材の脱硫及び脱窒素処理油から得られた灯油留分、及び組成物1L当たり、酸化防止剤3〜30mgを含むことを特徴とする。
次に、本発明の灯油組成物について、添付図面に従って説明する。
図1は、本発明の灯油組成物を製造する方法の1例を示す工程図である。
本発明においては、コーカー4に供給して熱分解処理する重質油として、(a)原油の常圧蒸留残渣、(b)前記常圧蒸留残渣を減圧蒸留処理して得られた減圧蒸留残渣、(c)前記減圧蒸留残渣をプロパン脱れき処理して得られたプロパン脱れきアスファルト及び(d)流動接触分解装置のボトム留分の中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
具体的には、前記(a)の原油の常圧蒸留残渣(AR)は、原油を常圧蒸留装置1に供給し、常圧蒸留処理して得られた残渣を指す。(b)の減圧蒸留残渣(VR)は、前記(a)の常圧蒸留残渣(AR)を減圧蒸留装置2に供給し、減圧蒸留して得られた残渣を指す。
また、(c)のプロパン脱れきアスファルト(PDAS)は、前記(b)の減圧蒸留残渣(VR)を、プロパン脱れき装置3に供給し、プロパン脱れき処理して得られたアスファルトを指す。
一方、(d)のFCC装置のボトム留分(CLO)は、直留重質軽油、減圧軽油、プロパン脱れき油、常圧蒸留残渣、原油などを一部混合したものなどをFCC装置5に供給し、流動接触分解処理して得られた接触分解残渣油を指し、このFCC装置5から出る後述のライトサイクルオイル(LCO)よりも重質である。
本発明においては、コーカー4に供給して熱分解処理する重質油として、前記(a)、(b)、(c)及び(d)をそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宣組み合わせて用いてもよい。
本発明において、前記(a)〜(d)の中から選ばれる少なくとも1種の重質油を熱分解処理するコーカー4としては、特に制限はなく、従来公知のコーカーの中から任意のものを適宣使用することができる。例えばディレードコーカー、フルードコーカーなどが用いられる。これらのコーカーの中で、ディレードコーカーの使用が大半を占めている。これは、ディレードコーカーのコークスは塊状であり、その結晶構造に起因する物理的性状の優位性から、利用価値が高いこと、及びディレードコーカーは構造並びに運転が簡単である上、ビスブレーカーとしても運転できるなどの利点を有するからである。
ディレードコーカーの反応条件としては、温度は、通常450〜530℃程度、好ましくは480〜510℃、圧力は、通常1MPa程度以下、好ましくは0.2〜0.6MPaである。
本発明においては、前記コーカー4により、重質油を熱分解処理したのち、この熱分解処理油の蒸留により、重質軽油留分(CHGO)を除いた残りの軽質留分[ナフサ留分(CN)、軽質軽油留分(CLGO)]に、前記FCC装置5から得られるライトサイクルオイル(LCO)を、該軽質留分とLCOとの容量
比が100:0〜50:50になるように混合した基材を、水素化処理装置6に供給し、脱硫及び脱窒素処理する。また、前記コーカー4から、コークス(Coke)を取り出す。
前記混合基材中の軽質留分とLCOとの含有割合が、上記の範囲にあれば、脱硫及び脱窒素処理の反応条件がマイルドとなり、水素消費量を低減でき、水素化処理触媒の寿命を長くすることができ経済的である。また、処理後の留分の安定性が良好であり、有利である。好ましい含有割合は、容量比で95:5〜50:50である。
なお、FCC装置から得られるLCOは、オレフィン分及び芳香族分に富んでいるため、セタン価が低く、灯油・軽油基材には不向きであり、従来、主としてA重油基材として使用されてきた。
また、前記(a)〜(d)の中から選ばれる少なくとも1種の重質油を、コーカーを使用して熱分解処理する場合、該重質油中に含まれる金属分、アスファルテンなどの不純物等を、製品コークス中に濃縮して取り出すことができ、かつ中間留分への分解率が比較的高いが、分解油は不安定なオレフィン類を含むため、本発明のように最終製品としての灯油組成物を目的とする場合には、該オレフィン類は水素化されることが好ましい。
前記水素化処理装置6は、コーカー4からの軽質留分とFCC装置5からのLCOとの混合基材の脱硫及び脱窒素処理を行い得ると共に、該混合基材中のオレフィン類を水素化し得る装置であればよく、水素化処理(水素化精製)により脱硫及び脱窒素処理が行われる。このような装置としては、特に制限はないが、例えば、多段反応塔を用い、第1の反応塔で、混合基材中のオレフィン類の水素化処理を行ったのち、第2の反応塔で該混合基材の脱硫処理又は脱窒素処理を行い、次いで第3の反応塔で脱窒素処理又は脱硫処理を行ってもよい。あるいは、第1の反応塔で混合基材中のオレフィン類の水素化処理を行ったのち、脱硫触媒充填ゾーンと脱窒素触媒充填ゾーンを設けた第2の反応塔で、該混合基材の脱硫処理と脱窒素処理を同時に行ってもよい。なお、各反応塔の設置順序については、特に制限はない。
本発明においては、このようにして、当該混合基材を、水素化処理装置6にて、脱硫及び脱窒素処理したのち、蒸留により、ナフサ留分、灯油留分及び軽油留分を取り出すことができる。
本発明においては、前記灯油留分に、組成物1L当たり、酸化防止剤3〜30mgを添加することにより、目的の灯油組成物が得られる。この酸化防止剤の添加量が3mg未満では、貯蔵安定性が不充分であり、30mgを超えるとその量の割には貯蔵安定性の向上効果が発揮されにくく、経済的に不利となる。酸化防止剤の好ましい添加量は、組成物1L当たり5〜15mgである。
前記酸化防止剤としては、通常燃料油に使用されるものであれば、特に限定されず、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤のいずれも用いることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール;2,6−ジ−tert−アミル−4−メチルフェノール;n−オクタデシル3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネートなどの単環フェノール類、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などの多環フェノール類などが挙げられる。
一方、アミン系酸化防止剤としては、例えばジフェニルアミン系のもの、具体的にはジフェニルアミンやモノオクチルジフェニルアミン;モノノニルジフェニルアミン;4,4’−ジブチルジフェニルアミン;4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン;4,4’−ジオクチルジフェニルアミン;4,4’−ジノニルジフェニルアミン;テトラブチルジフェニルアミン;テトラヘキシルジフェニルアミン;テトラオクチルジフェニルアミン:テトラノニルジフェニルアミンなどの炭素数3〜20のアルキル基を有するアルキル化ジフェニルアミンなど、及びナフチルアミン系のもの、具体的にはα−ナフチルアミン;フェニル−α−ナフチルアミン、さらにはブチルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン;オクチルフェニル−α−ナフチルアミン;ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどの炭素数3〜20のアルキル置換フェニル−α−ナフチルアミンなどが挙げられる。
本発明においては、前記フェノール系酸化防止剤を1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記アミン系酸化防止剤を1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、さらには、フェノール系酸化防止剤1種以上とアミン系酸化防止剤1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
本発明の灯油組成物においては、さらに脱硫処理した直留灯油を、組成物全量基準で、0.1〜98容量%、好ましくは30〜95容量%の割合で含有することができる。なお、前記脱硫処理した直留灯油とは、原油を蒸留することにより得られる直留灯油を、水素化処理装置などにより脱硫処理した灯油を指す。
〔灯油組成物の性状〕
本発明の灯油組成物は、下記の性状を有することが好ましい。
まず、15℃における密度については特に制限はないが、燃料消費率の観点から、0.780g/cm3以上であることが好ましく、0.790〜0.830g/cm3であることがより好ましい。なお、該密度は、JIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される値である。
引火点は、安全性の観点から、40℃以上が好ましく、43℃以上がより好ましい。なお、該引火点は、JIS K 2265「タグ密閉式引火点試験方法」により、測定される値である。
硫黄分は、芯式ストーブ若しくはファンヒーターにて燃焼した際のSOx発生量を抑制する観点から、10質量ppm以下が好ましく、6質量ppm以下がより好ましい。なお、該硫黄分は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により、測定される値である。
窒素分は、芯式ストーブ若しくはファンヒーターにて燃焼した際のNOx発生量を抑制する観点から、5質量ppm以下が好ましく、3質量ppm以下がより好ましい。なお、該窒素分は、化学発光法により、測定される値である。
煙点は、芯式ストーブを使用した際のススの発生を抑制する観点から、23mm以上が好ましく、24mm以上がより好ましい。なお、該煙点は、JIS K 2537により、測定される値である。
セーボルト色は+27以上が好ましい。該セーボルト色は、JIS K 2580により、測定される値である。
銅板腐食は、燃焼機器の腐食抑制の観点から、1以下が好ましい。なお、該銅板腐食は、JIS K 2513により、測定される値である。
〈蒸留性状〉
本発明の灯油組成物は、以下に示す蒸留性状を有することが好ましい。
初留点(IBP) :140〜165℃
10容量%留出温度(T10) :160〜190℃
30容量%留出温度(T30) :170〜200℃
50容量%留出温度(T50) :180〜220℃
70容量%留出温度(T70) :190〜240℃
90容量%留出温度(T90) :210〜265℃
95容量%留出温度(T95) :215〜270℃
蒸留終点(EP) :230〜280℃
初留点(IBP)は、引火点低下による安全性への悪影響を防ぐ観点から140℃以上が好ましく、145℃以上がより好ましい。一方、低温時の着火特性の観点から165℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましい。
10は、引火点低下による安全性への好ましくない影響を防ぐと共に、給油時の臭気低減の観点から、好ましくは162℃以上、より好ましくは165℃以上であり、一方、低温時の着火特性の観点から、好ましくは185℃以下、より好ましくは180℃以下である。
30は、給油時の臭気低減及び発熱量の観点から、好ましくは172℃以上、より好ましくは175℃以上であり、一方、低温時の着火特性の観点から、好ましくは195℃以下、より好ましくは190℃以下である。
また、発熱量及び燃焼性のバランスの観点から、T50は、好ましくは182〜210℃、より好ましくは185〜205℃であり、T70は、好ましくは192〜230℃、より好ましくは195〜225℃であり、T90は好ましくは212〜260℃、より好ましくは215〜255℃である。
95は、芯式ストーブで燃焼させた際に、芯に灯油の未燃分が残存して不具合が発生するのを防ぐ観点から、270℃以下が好ましく、268℃以下がより好ましく、265℃以下がさらに好ましい。一方、発熱量の観点から、220℃以上が好ましく、225℃以上がより好ましい。
蒸留終点(EP)は、安定性や燃焼性の観点から、280℃以下が好ましく、275℃以下がより好ましい。一方、石油ファンヒーターで燃焼させた際の燃料消費率の悪化を防ぐ観点から、232℃以上が好ましく、235℃以上がより好ましい。
なお、前記蒸留性状は、JIS K 2254「蒸発法蒸留試験方法」により、測定される値である。
<120℃加速劣化試験>
以下に示す方法で120℃加速劣化試験を行い、セーボルト色(JIS K 2580により測定)及び実在ガム量(JIS K 2261により測定)を測定した。
120℃加速劣化試験方法:
冷却管及び空気吹き込み管を備えたガラス管に試料を200mL及び鉄片(6×6×0.3mm)を入れる。その容器を120℃の恒温槽に浸し、5L/hの割合で乾燥空気を2時間吹き込む。
加速劣化試験後の試料の諸特性については、セ−ボルト色は+28以上であることが好ましい。実在ガム量は0.5mg/100mL以下であることが好ましく、0.1mg/100mL以下であることがより好ましい。
本発明の灯油組成物は、従来、重油基材として利用されてきた、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、プロパン脱れきアスファルト、あるいはFCC装置から得られるLCOなどを灯油の原料基材として用いてなる、貯蔵安定性に優れるものであって、重油の需要減少など、近年の石油製品の需要構造の変化に対応した有利な石油製品である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における灯油及びLCOの性状は、下記の方法に従って測定した。
(1)密度、引火点、硫黄分、窒素分、煙点、セーボルト色、銅板腐食及び蒸留性状の測定、並びに120℃加速劣化試験は、明細書本文に記載した方法に従って実施した。
(2)ドクター試験
JIS K2276に従って、ドクター試験を行った。
製造例1
重質油として、減圧蒸留残渣をディレードコーカーに供給し、温度480℃、圧力0.17MPaの条件で熱分解処理した。次いで、得られた熱分解油を蒸留処理し、重質軽油留分(CHGO)を取り除いた軽質留分を得た。
比較例1
製造例1で得られたディレードコーカーからの軽質留分57容量%と、FCC装置から得られるライトサイクルオイル(LCO)43容量%とからなる混合基材を常法に従って水素化処理して、脱硫・脱窒素したのち、蒸留により灯油留分を得た。この灯油留分(以下、LCO含有灯油留分と称する。)の性状を第1表に示す。
実施例1
比較例1で得られたLCO含有灯油留分に、酸化防止剤(化学名:2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール)を、組成物1L当たり、10mgになるように添加して、灯油組成物を調製した。この灯油組成物の性状を第1表に示す。
実施例2
比較例1で得られたLCO含有灯油留分50容量%と脱硫直留灯油50容量%とからなる混合物に、実施例1で用いたものと同じ酸化防止剤を、組成物1L当たり、10mgになるように添加して、灯油組成物を調製した。この灯油組成物の性状を第1表に示す。
参考例1
比較例1で使用したLCOの性状を第1表に示す。
参考例2
市販灯油の性状を第1表に示す。
Figure 0005108328
Figure 0005108328
[注]
1)LCO含有灯油留分:ディレードコーカーからの軽質留分57容量%と、FCC装置からのLCO43容量%とからなる混合基材を、水素化処理して、脱硫・脱窒素したのち、蒸留により得られた灯油留分を指す。
2)酸化防止剤:2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール
第1表から分かるように、LCO含有灯油留分、又はLCO含有灯油留分と脱硫直留灯油との混合物に酸化防止剤を添加した実施例1及び実施例2は、酸化防止剤を添加していない比較例1に比べて、貯蔵安定性に優れることは、明らかである。
本発明の灯油組成物は、従来、重油基材として利用されてきた、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、プロパン脱れきアスファルト、あるいはFCC装置から得られるLCOなどを灯油の原料基材として用いたものであって、貯蔵安定性に優れている。
本発明の灯油組成物を製造する方法の1例を示す工程図である。
符号の説明
1 常圧蒸留装置
2 減圧蒸留装置
3 プロパン脱れき装置
4 コーカー
5 FCC装置
6 水素化処理装置

Claims (4)

  1. (a)原油の常圧蒸留残渣、(b)前記常圧蒸留残渣を減圧蒸留処理して得られた減圧蒸留残渣、(c)前記減圧蒸留残渣をプロパン脱れき処理して得られたプロパン脱れきアスファルト及び(d)流動接触分解装置のボトム留分の中から選ばれる少なくとも1種を熱分解処理して得られた軽質留分(A)と、流動接触分解装置から得られるライトサイクルオイル(B)とを、容量比95:5〜50:50の割合で含む混合基材の脱硫及び脱窒素処理油から得られた灯油留分、及び組成物1L当たり、酸化防止剤3〜30mgを含むことを特徴とする灯油組成物。
  2. さらに、脱硫処理した直留灯油を、組成物全量基準で、0.1〜98容量%の割合で含む請求項1に記載の灯油組成物。
  3. (a)原油の常圧蒸留残渣、(b)前記常圧蒸留残渣を減圧蒸留処理して得られた減圧蒸留残渣、(c)前記減圧蒸留残渣をプロパン脱れき処理して得られたプロパン脱れきアスファルト及び(d)流動接触分解装置のボトム留分の中から選ばれる少なくとも1種を熱分解処理して得られた軽質留分(A)と、流動接触分解装置から得られるライトサイクルオイル(B)とを、容量比95:5〜50:50の割合で含む混合基材を脱硫及び脱窒素処理し、得られた灯油留分に、組成物1L当たり、酸化防止剤3〜30mgを含有させることを特徴とする灯油組成物の製造方法
  4. さらに、脱硫処理した直留灯油を、組成物全量基準で、0.1〜98容量%の割合で含有させる請求項3に記載の灯油組成物の製造方法
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