JP5082138B2 - 直接脱硫装置の運転方法 - Google Patents

直接脱硫装置の運転方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5082138B2
JP5082138B2 JP2008020682A JP2008020682A JP5082138B2 JP 5082138 B2 JP5082138 B2 JP 5082138B2 JP 2008020682 A JP2008020682 A JP 2008020682A JP 2008020682 A JP2008020682 A JP 2008020682A JP 5082138 B2 JP5082138 B2 JP 5082138B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
desulfurization
catalyst
direct
oil
direct desulfurization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008020682A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009179735A (ja
Inventor
享 西沢
隆史 奥山
洋 水谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
Cosmo Oil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cosmo Oil Co Ltd filed Critical Cosmo Oil Co Ltd
Priority to JP2008020682A priority Critical patent/JP5082138B2/ja
Publication of JP2009179735A publication Critical patent/JP2009179735A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5082138B2 publication Critical patent/JP5082138B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、二基の直接脱硫装置を用いる直接脱硫装置の運転方法において、触媒の初期劣化を防止し触媒寿命の延長を図ると共に、流動接触分解装置の原料として最適な原料を供給できる直接脱硫装置の運転方法に関する。
近年、環境負荷低減の観点から、低硫黄ガソリン、軽油及び重油の必要性がますます高まっている。特に、ガソリン基材の中で流動接触分解装置(Fluid Catalytic Cracking;FCC)で生成されるガソリン(FCCガソリン)に対しては、その硫黄濃度が高いことから、より一層硫黄分を低減することが求められている。流動接触分解装置の原料油の一部には、常圧残油や減圧残油を直接脱硫装置で水素化処理して得られる生成油が用いられることから、接触分解ガソリンの低硫黄化を達成するために、直接脱硫装置における水素化処理には過酷な運転条件が強いられる。一方、直接脱硫装置生成油の一部は電力向けのC重油等、産業用燃料としても使用される。したがって、産業用燃料としての硫黄分には制限があり、更には原油の重質化も伴い、この面でも直接脱硫装置における水素化処理において低硫黄重質油を得る運転条件は、特に運転終期(End of RUN;EOR)ではますます厳しくなっている。
このような状況下、重質炭化水素油を水素化処理する目的で、水素化処理触媒の高活性化、高寿命化に関する研究が盛んに行われている。これまでにも触媒劣化を引き起こすニッケル及びバナジウム等の重金属化合物を含有するアスファルテン分の触媒内部への拡散性を向上させることを考慮して触媒上の細孔分布に特徴を持たせた触媒設計がなされており、例えば、特許文献1〜3でその検討がなされている。
特開昭57-201533号 特開昭62−78148号 特開昭62−74455号
しかし、いずれの特許文献においても、重質炭化水素油の拡散性を促進するために、細孔径を調製するなどして脱硫活性を上げているが、直接脱硫装置の運用によって触媒を保護する検討はなされていない。
また、直接脱硫装置から得られる生成油は、主として流動接触分解装置の原料となるか、重油(特に低硫黄なC重油)として用いられるものであるが、前述の通り、流動接触分解装置で生成されるガソリンに対しては、一層の硫黄分の低減が求められていることから、流動接触分解装置の原料としては水素分を多く含み、硫黄分、残炭分が少ない油が好適である。
他方の重油に対しては、硫黄分が規定値を満たしておれば流動接触分解装置に求められるほどの低残炭は必要としないことから、流動接触分解装置の原料として用いるか重油として用いるかの運用に検討の余地がある。
本発明の目的は、上記従来の状況に鑑み、第一および第二の直接脱硫装置を用いる直接脱硫装置の運転方法において、触媒の初期劣化を防止し触媒寿命の延長を図ると共に、流動接触分解装置の原料として最適な原料を供給できる直接脱硫装置の運転方法を提供するものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、直接脱硫装置の効率的な運用方法として、直接脱硫装置の運転時期を運転初期(Start of RUN;SOR)、運転中期(Middle of RUN;MOR)、運転終期(End of RUN;EOR)の3つに区分し、それぞれの時期における脱硫触媒の触媒劣化のメカニズムを検討して見ると、SOR、MOR、EORにおいてそれぞれ劣化のメカニズムは異なっており、特にSORにおいて触媒の活性が十分に安定するまでは重質な原料を処理しないほうがその後のMOR、EORの運転において反応が優位に進み、結果的に触媒寿命の延長が図れることを見出した。
そこで、直接脱硫装置で処理される原料油の種類を切り換え、かつ直接脱硫装置の触媒交換を伴う整備工程による運転停止時期を第一、第二の直接脱硫装置間で異ならせることで、運転初期の触媒劣化を防止すると共に、通年にわたって流動接触分解装置へ最適な原料を供給できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、以下の直接脱硫装置の運転方法を提供するものである。
[1]第一の直接脱硫装置および第二の直接脱硫装置を備え、これらの直接脱硫装置をそれぞれ用いて、運転開始から少なくとも初期触媒活性が安定する時期までの期間は常圧残油のみを原料とする脱硫処理Aを行い、続いて常圧残油及び減圧残油を原料とする脱硫処理Bを行い、その後運転を停止して脱硫触媒の交換を含む整備を行い、これらの工程を順次繰り返す直接脱硫装置の運転方法であって、
前記第一の直接脱硫装置においては脱硫処理Aを、前記第二の直接脱硫装置においては脱硫処理Bを、並行して行い、
前記第二の直接脱硫装置における脱硫処理Bを停止しかつ第二の直接脱硫装置の整備を終了するまでに、前記第一の直接脱硫装置における脱硫処理Aを終了し、
その後第一の直接脱硫装置では脱硫処理Bに、第二の直接脱硫装置では脱硫処理Aに切換えて脱硫処理を行い、
前記切換えを、第一および第二の直接脱硫装置において互いに順次行うことで、第一および第二の直接脱硫装置の整備のための停止期間を異ならせ、脱硫触媒の初期劣化を低減させることを特徴とする直接脱硫装置の運転方法。
[2]前記脱硫処理Aで得られる生成油は流動接触分解装置の原料として使用し、前記脱硫処理Bで得られる生成油は低硫黄重油として使用することを特徴とする上記[1]に記載の直接脱硫装置の運転方法。
[3]前記初期触媒活性が安定する時期が、運転開始から少なくとも100日であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の直接脱硫装置の運転方法。
本発明のように第一および第二の2基の直接脱硫装置があれば、第一の直接脱硫装置における運転初期(SOR)では軽質な常圧残油を処理する一方、第ニの直接脱硫装置では運転中期(MOR)に達しているため重質な減圧残油を混合して処理することが可能となる。第ニの直接脱硫装置が触媒を交換するまでは重質油を処理し、触媒交換後は逆の運用をすれば、常にSORにおいては重質油を処理することを避けることが可能となる。その結果、触媒の初期劣化を防止することができる。
また、重質油を処理した生成油は重油として使用し、軽質油を処理した生成油は流動接触分解装置の原料として使用すれば、流動接触分解装置の原料として好適な油を通年にわたって供給することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
一般に、原油は図1に示すように常圧蒸留装置にて常圧で蒸留を行い、LPG、ナフサ、灯油、軽油、常圧残油を得る。常圧残油はさらに減圧蒸留装置で真空条件下で蒸留を行い、減圧軽油、減圧残油を得る。直接脱硫装置は常圧残油または一部の減圧残油との混合物を原料とし、水素とともに脱硫反応を行い硫黄分を低減した生成油を製造する装置である。
本発明では第一の直接脱硫装置および第二の直接脱硫装置を備える製油所が対象となる。本発明の運転方法では、図2に示すように、第一、第二の直接脱硫装置それぞれにおいて、運転開始から少なくとも初期触媒活性が安定する時期までの期間は常圧残油のみを原料とする脱硫処理Aを行い、続いて常圧残油及び減圧残油を原料とする脱硫処理Bを行い、その後運転を停止して脱硫触媒の交換を含む整備を行う。そしてこれらの一連の工程を順次繰り返す運転方法を採用する。
初期触媒活性が安定する時期について説明する。SOR(運転初期)における触媒の劣化は、コークが触媒上の活性点に堆積し活性点が減少することで生じる。特に残油中に存在する比較的高分子量の多環芳香族成分はコーク前駆体として触媒上に強く吸着し、活性点を被覆する。吸着した多環芳香族成分の一部は触媒上で水素化され離脱するが、この反応は縮合炭化反応と競争しており、コークの生成速度は水素化条件に依存する。つまり、SORにおいては、水素化反応と縮合炭化反応が同時に起こりながら徐々にコークに被覆されていき、触媒が一定量のコークに被覆され活性が安定するある時期までは、活性点は主としてコークの堆積により被覆されることとなる。この反応時期が初期触媒活性が安定する時期である。
初期触媒活性が安定する時期までに重質な原料を処理すると触媒表面上に吸着した多環芳香族成分が水素化反応による離脱をするよりも吸着したコークによる被覆が支配的となり、結果的に活性点を早くに塞ぐこととなるため、活性点が安定するまでは多環芳香族成分を多量に有する重質な油を処理することは避けることが重要となる。
本発明においては、直接脱硫装置の初期触媒活性が安定する時期は運転開始から少なくとも100日である。直接脱硫装置の処理量、水素分圧等の水素化条件に加えて、触媒の組成などによっても初期触媒活性が安定する時期は異なるものの、100日間連続運転を続けた後ならば、水素化反応と縮合炭化反応は安定時期を向かえ、初期活性も安定となる。
脱硫処理Aは、運転開始から少なくとも上記初期触媒活性が安定する時期までの期間に行う。SORにおける触媒の活性点が安定した後ならば、減圧残油を原料に加えても初期活性が安定しているため、重質油の処理が可能となる。SORにおいて重質油を処理しない本発明によれば、初期触媒活性が安定する時期までの劣化を防止できるため、MORにおける触媒劣化による温度上昇を防止でき、触媒の寿命を延長させることが可能となる。常圧残油と減圧残油の配合比率は、減圧残油の比率として5〜60容量%が好ましく、より好ましくは20〜50容量%である。この範囲で減圧残油を配合することで重質油からの触媒劣化を防止でき、触媒寿命の延長を図ることができる。
続いて脱硫処理Bを行い、脱硫触媒が寿命に達した後は、直接脱硫装置の運転を停止して脱硫触媒の交換を含む整備を行う。なお、脱硫処理Aから脱硫処理Bに切換える時期は、運転開始から上記初期触媒活性が安定する時期以降であって、他方の直接脱硫装置の整備を終えて運転を再開するまでとすることが得策である。
さらに、本発明の運転方法では、上記一連の脱硫・整備工程を、第一および第二の直接脱硫装置において重ならないように運用する。
すなわち、図2に示すように、第一の直接脱硫装置においては脱硫処理Aを、第二の直接脱硫装置においては脱硫処理Bを、並行して行う。そして前記第二の直接脱硫装置における脱硫処理Bを停止しかつ第二の直接脱硫装置の整備を終了するまでに、前記第一の直接脱硫装置における脱硫処理Aを終了する。その後第一の直接脱硫装置では脱硫処理Bに、第二の直接脱硫装置では脱硫処理Aに切換えて脱硫処理を行う。このように、切換えを、第一および第二の直接脱硫装置において互いに順次行うことで、第一および第二の直接脱硫装置の整備のための停止期間を異ならせることができる。
その結果、本発明の運転方法においては、第一の直接脱硫装置の初期触媒活性が安定した後は常圧残油及び減圧残油に原料を切り換えるが、その時第ニの直接脱硫装置は触媒交換を行いSORとなっているため、常圧残油のみを原料とした運転を行うこととなる。この運用を繰り返す事でSORは常に軽質な原料を供給することが可能となり触媒劣化を防止することが可能となる。
さらに、本発明においては、常圧残油のみを処理している脱硫処理Aの期間の直接脱硫装置生成油は流動接触分解装置の原料とし、同時期の他方の直接脱硫装置における脱硫処理Bの期間の生成油は重油として使用することが好ましい。
流動接触分解装置で生成されるガソリン(FCCガソリン)は、製品ガソリンとしての硫黄分が規制されているため、流動接触分解装置の原料硫黄分は低いことが望ましい。常圧残油は減圧残油に比べ硫黄分、金属分などが低いため、常圧残油のみを直接脱硫装置で脱硫した生成油は減圧残油を原料とする場合よりも流動接触分解装置に対しては好適である。
一方、重油として使用する場合は、流動接触分解装置の原料として使用するよりも制約が少ないため、減圧残油を原料とした生成油であっても問題ない。
この運用を行うことで、流動接触分解装置の原料は通年、好適な原料を供給することが可能となる。
なお、直接脱硫装置は反応が高温、高圧下で行われるため、触媒も1年で交換する運用を行うのが通常である。また、石油精製プラントは連続的に運転を行うため、本発明のように直接脱硫装置を2基用いる運転方法の場合、図2に示すように触媒交換を含む整備時期が重ならないように運用するが、その交換時期が他方の装置の運転期間(脱硫処理A)における半分程度の時期に行うことが好ましい。
以後は本発明の実施をする上で必要となる条件を記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明における脱硫処理Aおよび脱硫処理Bで使用される常圧残油に関しては特に制限はなく、従来の重油直接脱硫装置の原料油として使用されている常圧蒸留装置によって分留された残渣成分であり、沸点範囲が320℃以上で硫黄分が2.0〜4.5質量% 、ニッケル及びバナジウムの含有量が10〜150質量ppmである常圧残油を好適に使用することができる。
本発明における脱硫処理Bで原料油として使用される減圧残油としても特に制限はなく、減圧蒸留装置によって分留された成分であり、硫黄分が2.0〜6.0質量%である減圧残油が好適に使用することができる。
本発明における脱硫処理A及び脱硫処理Bでは、上記原料油を高温加圧下、脱硫触媒の共存下で水素化処理を行う。
脱硫触媒の耐火性無機酸化物担体としてはアルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア等が単独であるいは混合物として用いられ、更にこれらにジルコニア、酸化ホウ素、酸化亜鉛等の各種酸化物やYゼオライト、ZSM−5ゼオライト等の各種ゼオライトを混合したものも使用することができる。担持する水素化活性成分としてはモリブデン、タングステン等の周期律表第6族金属やコバルト、ニッケル等の周期律表第8族金属を使用することができ、また必要に応じてこれらの金属の他、リンや鉄、白金等を使用することもできる。
脱硫触媒においては、平均細孔直径が5〜15nm、好ましくは6〜12nmである。平均細孔径がこの範囲にあれば、安定した耐金属性能を有し、十分な脱硫性能を得ることができる。脱硫触媒の比表面積は150〜350m/g、好ましくは200〜320m/gである。比表面積がこの範囲にあれば、十分な脱硫性能を得ることができる。脱硫触媒の平均細孔直径±1.5nmの細孔が占める容積が全細孔容積の少なくとも50%以上、好ましくは60%以上必要である。50%以上ならば十分な脱硫活性を示すことができる。
本発明における脱硫処理では、上記脱硫触媒に加えて、重質油から金属分を除去する脱金属触媒を組合せて使用してもよい。その際、脱金属触媒の下流に、脱硫触媒を充填する。
脱金属触媒は、硫黄分、アスファルテン分、ニッケルやバナジウム等の重金属分を含有する重質炭化水素油から効果的に除去するために、触媒床前段部分に充填する。耐火性無機酸化物担体としてはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ等が単独であるいは混合物として用いられ、更にこれらに酸化ホウ素、酸化亜鉛等の各種金属を混合したものも使用することができる。担持する水素化活性成分としてはモリブデン、タングステン等の周期律表第6族金属やコバルト、ニッケル等の周期律表第8族金属を使用することができる。
脱金属触媒においては、平均細孔直径が15〜25nm、好ましくは18〜23nmである。平均細孔直径が15nm未満では十分な脱金属活性が得られず、25nmを越えると水素化処理活性及び触媒強度が低下する。脱金属触媒の細孔容積は0.6〜0.8ml/g、好ましくは0.65〜0.8ml/gである。細孔容積がこの範囲にあれば、十分な触媒寿命と触媒強度を有し、安定した運転が可能となる。
触媒強度はSCS(Side Crushing Strength)で9N/mm以上、好ましくは13N/mm以上である。SCSは、触媒を横置きにして過重を加え、触媒が破壊される荷質量を求め、触媒長さで割った値であり、触媒単位長さ当たりの破壊強度を示している。SCSが9N/mm以上であれば、反応装置内での触媒割れが起こりにくくなり、継続的な運転が可能となる。
上記重質油の脱金属触媒及び脱硫触媒としては、特に新触媒、再生触媒等の違いに関係なく使用可能である。また、重質油の脱金属触媒及び脱硫触媒の充填割合は、その運転条件に合わせて適時比率を変更することができ、脱金属触媒の比率を増加させると金属による活性劣化を防ぐことが可能となり、脱硫触媒の比率を増加させると脱硫活性の向上を図ることができる。
本発明における直接脱硫装置の運転条件としては、脱硫処理Aおよび脱硫処理Bともに、反応温度が300〜500℃ 、好ましくは350〜450℃ 、水素分圧が3〜20MPa 、好ましくは5〜17MPa、より好ましくは8〜15MPa、水素/油比が400〜3000m/m、好ましくは500〜 1800m/m、液空間速度が0.1〜3.0h−1、好ましくは0.15〜2.0h−1であり、かかる反応条件から目標とする生成油硫黄量と触媒活性とを考慮して適時反応条件を選定すればよい。
反応温度が300℃以上であれば、水素化処理装置に充填された水素化処理触媒の活性が十分発揮され、500℃以下であれば、重質油の熱分解が進行しすぎることなく水素化処理装置の運転を円滑に行うことができ、また水素化処理触媒の活性劣化を抑制できる。
水素分圧が3MPa以上であれば、水素化反応が十分に進行し、20MPa以下にすれば、装置建設費用及び運転費用の増大を避けることができ、経済的である。
水素/油比が400m/m以上であれば、水素化処理触媒の水素化活性が発揮され、3000m/m以下にすれば、経済性の著しい低下を防ぐことができる。
液空間速度が0.1h−1以上であれば、経済性を確保でき、3.0h−1以下であれば、水素化処理触媒の水素化活性が十分に発揮される。
本発明により得られる水素化処理油中の硫黄分含有量は0.3質量%以下が好ましい。硫黄分含有量が0.3質量%未満であれば、流動接触分解装置の原料として最適なものを供給できる。
また、水素化処理油中のニッケル及びバナジウムの含有量は10質量ppm以下が好ましく、1質量ppm以下がより好ましい。10質量ppm以上では、流動接触分解プロセスで用いられる触媒の被毒物質となり触媒の活性を低下させる。
<実施例>
原料油として、表1に示す常圧残油(硫黄分濃度:3.2質量%)と減圧残油(硫黄分濃度:3.9質量%)とを使用し、水素分圧=12MPa、水素/油比=800Nm/kl、LHSV=0.26h−1、の条件下、水素化処理を実施した。
その際、通油開始から100日までは常圧残油のみを原料とし、すなわち脱硫処理Aを行い、100日以降は常圧残油と減圧残油を65:35(容量比)の割合で原料とした、すなわち脱硫処理Bを行った。
脱硫反応に際しては、反応器に脱金属触媒及び脱硫触媒2種類を前段、中段、後段触媒とし、それらを組み合わせて充填した。それぞれの触媒の充填比率は、前段触媒/中段触媒/後段触媒が20/30/50(容量%)となるよう充填した。
重質油から金属分を除去する脱金属触媒としては、アルミナ担体に、ニッケル、モリブデンを担持した触媒(平均細孔直径が21nm、細孔容積が0.74ml/g、比表面積が132m/g)を用いた。中段の脱硫触媒としてはアルミナ担体にニッケル、モリブデンを担持した触媒(平均細孔直径が8nm、細孔容積が0.63ml/g、比表面積が280m/g)を用いた。後段の脱硫触媒としてはアルミナ担体にニッケル、モリブデンを担持した触媒(平均細孔直径が8nm、細孔容積が0.52ml/g、比表面積が255m/g)を用いた。
<比較例>
比較例として、表1に示す常圧残油(硫黄分濃度:3.2質量%)と減圧残油(硫黄分濃度:3.9質量%)とを運初期から65:35(容量比)の割合で原料とし、水素分圧=12MPa、水素/油比=800Nm/kl、LHSV=0.26h−1、の条件下、水素化処理を実施した。
Figure 0005082138
さらに、実施例および比較例について、運転開始から150日程度までの期間における反応温度の推移を図3に示す。なお、当該推移は生成油の硫黄分を0.3質量%としたときのものであり、縦軸は運転開始時の温度に対する温度上昇、横軸は運転日数である。図3において、ARは常圧蒸留残油、VRは減圧蒸留残油を意味する。なお、図3には、実施例および比較例に加え、常圧蒸留残油のみを原料とした参考例の各温度推移も合わせて示した。
図3に示すように、常圧残油のみの原料から減圧残油を配合することで反応温度は約8〜0℃ほど上昇した。そして、運転初期は常圧残油のみを処理し、触媒活性が安定後は減圧残油を配合する運転をする実施例では、運転初期から常圧残油に減圧残油を配合して運転した比較例に比べ反応温度を2〜3℃低く運転することが可能となり、その結果、触媒の寿命を延長させることが可能となることが分かった。
また、常圧残油を原料として使用した生成油は流動接触分解装置の原料とし、減圧残油を配合した原料を処理した生成油は重油として使用することで流動接触分解装置の原料として好適な油を供給することが可能となることが分かった。
石油精製の工程を示す図である。 本発明に係る、直接脱硫装置の運転方法を模式的に示す図である。 直接脱硫装置の運転開始から150日程度までの期間における反応温度の推移を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 第一の直接脱硫装置および第二の直接脱硫装置を備え、これらの直接脱硫装置をそれぞれ用いて、運転開始から少なくとも初期触媒活性が安定する時期までの期間は常圧残油のみを原料とする脱硫処理Aを行い、続いて常圧残油及び減圧残油を原料とする脱硫処理Bを行い、その後運転を停止して脱硫触媒の交換を含む整備を行い、これらの工程を順次繰り返す直接脱硫装置の運転方法であって、
    前記第一の直接脱硫装置においては脱硫処理Aを、前記第二の直接脱硫装置においては脱硫処理Bを、並行して行い、
    前記第二の直接脱硫装置における脱硫処理Bを停止しかつ第二の直接脱硫装置の整備を終了するまでに、前記第一の直接脱硫装置における脱硫処理Aを終了し、
    その後第一の直接脱硫装置では脱硫処理Bに、第二の直接脱硫装置では脱硫処理Aに切換えて脱硫処理を行い、
    前記切換えを、第一および第二の直接脱硫装置において互いに順次行うことで、第一および第二の直接脱硫装置の整備のための停止期間を異ならせ、脱硫触媒の初期劣化を低減させることを特徴とする直接脱硫装置の運転方法。
  2. 前記脱硫処理Aで得られる生成油は流動接触分解装置の原料として使用し、前記脱硫処理Bで得られる生成油は重油として使用することを特徴とする請求項1に記載の直接脱硫装置の運転方法。
  3. 前記初期触媒活性が安定する時期が、運転開始から少なくとも100日であることを特徴とする請求項1または2に記載の直接脱硫装置の運転方法。
JP2008020682A 2008-01-31 2008-01-31 直接脱硫装置の運転方法 Active JP5082138B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008020682A JP5082138B2 (ja) 2008-01-31 2008-01-31 直接脱硫装置の運転方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008020682A JP5082138B2 (ja) 2008-01-31 2008-01-31 直接脱硫装置の運転方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009179735A JP2009179735A (ja) 2009-08-13
JP5082138B2 true JP5082138B2 (ja) 2012-11-28

Family

ID=41033952

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008020682A Active JP5082138B2 (ja) 2008-01-31 2008-01-31 直接脱硫装置の運転方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5082138B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5912299B2 (ja) * 2011-06-03 2016-04-27 Jxエネルギー株式会社 軽油留分の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51144402A (en) * 1975-06-06 1976-12-11 Nippon Mining Co Ltd A hydrogenation desulfurization method
US4017382A (en) * 1975-11-17 1977-04-12 Gulf Research & Development Company Hydrodesulfurization process with upstaged reactor zones
JP4866579B2 (ja) * 2005-08-02 2012-02-01 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 石油精製における廃油処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009179735A (ja) 2009-08-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5622736B2 (ja) 高エネルギー留出燃料組成物及びそれを作製する方法
US8372267B2 (en) Process for the sequential hydroconversion and hydrodesulfurization of whole crude oil
EP2880132B1 (en) Residue hydrocracking
JPS5850636B2 (ja) 重質炭化水素油の脱硫処理方法
EP0752460A1 (en) Method of hydrotreating hydrocarbon oil and fuel oil composition
WO2006022419A1 (ja) 重質炭化水素油の水素化処理方法
JP5912299B2 (ja) 軽油留分の製造方法
JPWO2016194686A1 (ja) 水素化処理油の製造方法及び接触分解油の製造方法
JP6181378B2 (ja) 水素化処理方法
JP5082138B2 (ja) 直接脱硫装置の運転方法
JP5563491B2 (ja) 重質炭化水素油の水素化処理方法
JP5439245B2 (ja) 軽油留分の水素化精製方法
JP4766940B2 (ja) 炭化水素油の製造方法
JP6812265B2 (ja) 熱分解重質軽油の処理方法
JP5751876B2 (ja) 重質油の水素化精製方法
JP5371327B2 (ja) 炭化水素油の製造方法
JP4217336B2 (ja) 燃料油の脱硫方法および燃料油の脱硫システム
JP5108329B2 (ja) 灯油組成物
JP6025657B2 (ja) 潤滑油基油の製造方法
JP5314355B2 (ja) 炭化水素油の製造方法
JP2000265177A (ja) 重質油の水素化処理方法
JP4931052B2 (ja) ガソリン基材の製造方法
JP2008074998A (ja) 高オクタン価ガソリン基材の製造方法
JP2024051525A (ja) 流動接触分解用原料油及び流動接触分解方法
JP5168509B2 (ja) 水素化脱硫触媒の再生方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120807

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120815

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5082138

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150914

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250