JP2008074998A - 高オクタン価ガソリン基材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】沸点範囲が70〜210℃の範囲に含まれる分解ガソリンを原料として、高オクタン価ガソリン基材を製造する方法であって、前記原料分解ガソリン全体の30〜90容量%を水素化処理し、次いで該水素化処理で得た生成油を接触改質処理して接触改質処理油を得、該接触改質処理油に、前記原料分解ガソリンの残部を全量混合することを特徴とする高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
【選択図】なし
Description
高オクタン価ガソリンは、一般に分解ガソリン、改質ガソリンなどの高オクタン価基材を用いて製造されており、例えば、特許文献1には、接触分解ガソリン、接触改質ガソリン、アルキレートガソリンなどから成るリサーチ法オクタン価(RON)96以上の無鉛高オクタン価ガソリンを製造する技術が開示されている。
分解ガソリンは、減圧軽油あるいは常圧残油等を接触分解して、分解生成物を回収、蒸留することによって得られる沸点範囲約30〜210℃の蒸留生成物である。そして、この分解ガソリン中の高オクタン価成分であるオレフィン分は、比較的沸点の低い軽質留分に多く含まれていることから、こういったオレフィン分を多く含む軽質留分は分解ガソリンから蒸留等の処理によって抜き出され、高オクタン価基材として多用されている。そのため、軽質留分が抜き出された後の分解ガソリンは必然的にオクタン価が低下するため、高オクタン価基材としての価値が低下し有効に活用することができない。
本発明の目的は、接触改質処理の際の液収率の低下を抑制してオクタンバレルの損失を抑えつつ効率良く分解ガソリンのオクタン価を向上させ、分解ガソリンから効率良く高オクタン価ガソリン基材を製造する方法を提供することにある。
(1)沸点範囲が70〜210℃の範囲に含まれる分解ガソリンを原料として、高オクタン価ガソリン基材を製造する方法であって、原料分解ガソリン全体の30〜90容量%を水素化処理し、次いで該水素化処理で得た生成油を接触改質処理して接触改質処理油を得、該接触改質処理油に、原料分解ガソリンの残部を全量混合することを特徴とする高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
(2)前記接触改質処理で得た接触改質処理油のオクタン価が、前記原料分解ガソリンのオクタン価より6〜20向上されていることを特徴とする(1)に記載の高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
原料油は、沸点範囲がこの範囲に含まれる留分であれば、80〜180℃や90〜170℃等、どのような沸点範囲のものでも用いることができるが、210℃を超える留分は水素化処理や接触改質処理の際にコーク生成による触媒劣化を生じるため好ましくない。また、沸点範囲は180℃以下とすることで、水素化処理や接触改質処理の際のコーク生成による触媒劣化を一層抑制することができるため、さらに好ましい原料となる。
なお、分解ガソリン全留分の内、本発明の原料油としては供しない、より軽質な留分またはより重質な留分は、比較的オクタン価が高いため(通常、RON92〜97程度)、接触改質処理を行うことなく、適宜、本発明で得られた高オクタン価ガソリン基材と混合することができる。
原料分解ガソリンの処理比率を90容量%以下とすることで、オクタンバレル(オクタン価と基材量の積)の損失を抑制することができ、また、処理比率を30容量%以上とすることで、より高オクタン価の基材を得ることが可能となる。この処理比率は、好ましくは30〜80容量%、さらに好ましくは40〜70容量%、最も好ましくは40〜60容量%とすることで、より効率良くオクタンバレルの損失を抑制しつつ、高オクタン価ガソリン基材を得ることができる。
また、連続再生式の場合には、反応温度510〜530℃、反応圧力0.35〜1MPa、水素油比140〜530NL/L、LHSV:1〜4h−1であることが好ましい。反応温度が510℃以上であれば、得られる接触改質処理油のオクタン価を所期のように向上させることができ、530℃以下であれば、水素化分解が進行して液収率が低下することや、コークの生成により触媒活性が低下することを抑制できる。反応圧力が0.35MPa以上であれば、コークの生成を抑制することができる。
また、必要に応じて、未処理の原料分解ガソリンの残部を水素化脱硫処理し、硫黄分を除いた後に、接触改質処理で得た接触改質処理油、又は上記脱ベンゼン処理した後の接触改質処理で得た接触改質処理油に混合することができる。この際、ガソリン脱硫処理には、公知の技術を用いることができる。その例として、OCTGAIN、ISAL、SCANfining、PRIME-G,G+、CD-Hydro、S-Zorb、S-Brain OATSプロセス等が挙げられる。
図1〜3は、本発明の実施態様の基本的な一例を概念的に示すプロセス・フローシートである。
この原料分解ガソリンは、その全体に対する比率で30〜90容量%に相当する量が水素化処理工程を経て、さらに接触改質処理工程で処理されて、オクタン価が向上された接触改質処理油となる。また、原料分解ガソリン全体に対する比率で10〜70容量%に相当する残部は未処理の原料分解ガソリンであり、オクタン価が向上された接触改質処理油と混合することによって、高オクタン価ガソリン基材が製造される。そして、この得られた混合物に、分離工程で分離されたオクタン価の高い軽質留分の一部又は全量を混合して、高オクタン価ガソリン基材が製造される。なお、この軽質留分は、マーロックス(Merox)処理等により、メルカプタン分を除去した後に、混合することが好ましい。
また、図1に示す実施態様においては、必要に応じて、接触改質処理油を、脱ベンゼン工程(図示省略)で処理した後に、残部の未処理の原料分解ガソリンと混合することができる。さらに、必要に応じて、原料分解ガソリンは、常圧蒸留塔から留出する重質ナフサ留分と混合してから水素化処理工程に供することができる。
なお、この重質ナフサは、この図における水素化処理工程とは別の水素化処理工程により脱硫した後に、本発明の水素化処理後の原料油に混合して接触改質処理を行うこともできる。
また、図3に示す実施態様においても、必要に応じて、原料分解ガソリンは、常圧蒸留塔から留出する重質ナフサ留分と混合してから水素化処理工程に供することができる。
なお、この重質ナフサは、この図における水素化処理工程とは別の水素化処理工程により脱硫した後に、本発明の水素化処理後の原料油に混合して接触改質処理を行うこともできる。
オクタンバレル =(オクタン価)×(基材量)
オクタンバレル損失改善率=(「得られたガソリン基材のオクタンバレル」−「同じオクタン価向上幅で100%処理した場合のオクタンバレル」)÷(同じオクタン価向上幅で100%処理した場合のオクタンバレル)
また、本発明では、接触改質処理直後または最終基材から、脱ベンゼン処理をすることもできる。
以下の各実施例、比較例では、原料分解ガソリンとして、表1に示す性状を有する接触分解ガソリンを用いた。
水素化処理条件 :高圧固定床流通式反応装置
使用触媒 市販Ni/Mo系水素化触媒
反応温度 307℃
反応圧力 4.0 MPa
液空間速度(LHSV)1.6h−1
水素/油 200 NL/L
接触改質処理条件:高圧固定床流通式反応装置
使用触媒 市販Pt/アルミナ系改質触媒
反応温度* 484〜528℃
反応圧力 1.6 MPa
液空間速度(LHSV) 2.0h−1
水素/油 760 NL/L
*反応温度を変化させることで、反応前後でのオクタン価の向上幅を変化させた。
得られた高オクタン価ガソリン基材の収率(液収率)、オクタン価、オクタンバレル及び同損失改善率を表2〜5に記載した。ここで、オクタンバレル及び同損失改善率は以下のように定義した。
オクタンバレル =(オクタン価)×(基材量)
オクタンバレル損失改善率=(「得られたガソリン基材のオクタンバレル」−「同じオクタン価向上幅で100%処理した場合のオクタンバレル」)÷(同じオクタン価向上幅で100%処理した場合のオクタンバレル)
実施例1、2:オクタン価向上幅約8、原料分解ガソリンの処理比率(以下、水素化処理とそれに続く接触改質処理を総称して単に「処理」という)52容量%又は71容量%の条件で処理をした場合、得られたガソリン基材のオクタン価はいずれも92以上と高オクタン価基材を得るのに十分なレベルであり、かつ、オクタンバレル損失改善率はいずれも5%以上であった。
比較例1:処理比率を20.2容量%にしたこと以外、実施例1、2と同じ条件で処理をした場合、オクタンバレル損失改善率は実施例を上回ったが、得られたガソリン基材のオクタン価は89.8であり、高オクタン価基材を得ることはできなかった。
比較例2:処理比率を95.2容量%にしたこと以外、実施例と同じ条件で処理をした場合、得られたガソリン基材のオクタン価は96.0と高い値を示したが、オクタンバレル損失は殆ど改善されかった。
比較例3:オクタン価向上幅は実施例と同じ条件で、原料分解ガソリン全量を処理をした場合である。オクタンバレル損失改善率の比較基準とした。
実施例3〜6:オクタン価向上幅が約13.5、原料分解ガソリンの処理比率が本願発明の範囲内である38.2〜80.0容量%の場合、得られたガソリン基材のオクタン価はいずれも92以上と高オクタン価基材を得るのに十分なレベルであり、かつ、オクタンバレル損失改善率はいずれも5%以上であった。
比較例4:処理比率を20.2容量%にし、オクタン価向上幅が実施例と同じになる条件で処理をした場合、オクタンバレル損失改善率は実施例を上回ったが、得られたガソリン基材のオクタン価は90.4であり、高オクタン価基材を得ることはできなかった。
比較例5:処理比率を95.1容量%にし、オクタン価向上幅が実施例と同じになる条件で処理をした場合、得られたガソリン基材のオクタン価は101.1と高い値を示したが、オクタンバレル損失は殆ど改善されかった。
比較例6:オクタン価向上幅は実施例と同じ条件で、原料分解ガソリン全量を処理をした場合である。オクタンバレル損失改善率の比較基準とした。
実施例7〜10:オクタン価向上幅が約18、原料分解ガソリンの処理比率が32 容量%〜85容量%の場合、得られたガソリン基材のオクタン価はいずれも92以上と高オクタン価基材を得るのに十分なレベルであり、かつ、オクタンバレル損失改善率はいずれも5%以上であった。
比較例7:処理比率が20.1容量%であること以外、実施例と同じ条件で処理をした場合、オクタンバレル損失改善率は実施例を上回ったが、得られたガソリン基材のオクタン価は90.9と低かった。
比較例8:オクタン価向上幅は実施例と同じ条件で、原料分解ガソリン全量を処理した場合である。オクタンバレル損失改善率の比較基準とした。
実施例11〜13:オクタン価向上幅が約19、原料分解ガソリンの処理比率が31.8 容量%〜72.0容量%の場合、得られたガソリン基材のオクタン価はいずれも92以上と高オクタン価基材を得るのに十分なレベルであり、かつ、オクタンバレル損失改善率はいずれも10%以上であった。
比較例9:処理比率が20容量%であること以外、実施例と同じ条件で処理をした場合、オクタンバレル損失改善率は実施例を上回ったが、得られたガソリン基材のオクタン価は91と低かった。
比較例 10:処理比率を95.2容量%に上げたこと以外、実施例と同じ条件で処理をした場合、得られたガソリン基材のオクタン価は106と高い値を示したが、オクタンバレル損失は殆ど改善されかった。
比較例11:オクタン価向上幅は実施例と同じ条件で、原料分解ガソリン全量を処理した場合である。オクタンバレル損失改善率の比較基準とした。
Claims (2)
- 沸点範囲が70〜210℃の範囲に含まれる分解ガソリンを原料として、高オクタン価ガソリン基材を製造する方法であって、原料分解ガソリン全体の30〜90容量%を水素化処理し、次いで該水素化処理で得た生成油を接触改質処理して接触改質処理油を得、該接触改質処理油に、原料分解ガソリンの残部を全量混合することを特徴とする高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
- 前記接触改質処理で得た接触改質処理油のオクタン価が、前記原料分解ガソリンのオクタン価より6〜20向上されていることを特徴とする請求項1に記載の高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
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WO2012036186A1 (ja) * | 2010-09-14 | 2012-03-22 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | 芳香族炭化水素の製造方法 |
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-
2006
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