JP4072488B2 - 灯油組成物及びその選別方法 - Google Patents

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Description

本発明は、灯油組成物及びその選別方法に関する。詳しくは、石油ストーブや石油ファンヒーター等の暖房機器などに用いられる灯油組成物及びその選別方法に関する。
環境問題への関心が社会的に高まる中、室内暖房機器の分野では、暖房機器から排出される臭気物質(炭化水素等)を低減する技術が検討されている。臭気物質の低減方法としては、暖房機器の燃焼部の改善、排出ガス浄化装置の装着等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、安定性の良くない灯油を長期にわたって使用すると、正常な燃焼が起こりにくくなり、燃料消費率の低下、さらには装置の不具合の原因となり得るとの報告がある(例えば、非特許文献1参照)。従って、臭気物質の低減の観点からは、安定な灯油を用いることが望ましい。
特公昭59−16814号公報 内田紘一郎、PETROTECH、石油学会、第17巻、第11号(1994)、p.37−42
灯油の安定性を評価する一般的な手法としては、色相、オレフィン分含有量、過酸化物価等の指標に基づく方法が挙げられる。しかし、このような評価方法は精度の点で必ずしも十分ではない。また、上記指標に基づいて良好な安定性を有すると評価された灯油であっても、暖房機器の運転が不安定化することがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能な灯油組成物及びその選別方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、先ず、暖房機器を安定的に運転するための灯油組成物の評価方法について検討した。その結果、高圧示差走査熱量計を用いて特定条件下で測定される酸化開始温度が灯油組成物の特性評価の指標として好適であることを見出した。そして、かかる酸化開始温度が特定温度以上である灯油組成物を暖房機器に用いた場合に上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の灯油組成物は、高圧示差走査熱量計を用いて測定される、4MPaの空気雰囲気下、30℃から500℃まで20℃/分で昇温したときの酸化開始温度が205℃以上であることを特徴とする。
本発明の灯油組成物によれば、上記酸化開始温度を205℃以上とすることで、燃焼性と燃費とが高水準でバランスよく両立されるため、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能となる。
また、本発明の灯油組成物においては、蒸留性状における初留点が140℃以上、終点が300℃以下、50容量%留出温度が190℃以上230℃以下であり、引火点が40℃以上、芳香族分が25容量%以下、二環以上の芳香族分が1容量%以下、硫黄分が50質量ppm以下、15℃における密度が770kg/m以上820kg/m以下、30℃における動粘度が1.0〜1.7mm/s、煙点が21mm以上であることが好ましい。
このように、蒸留性状における初留点、終点及び50容量%留出温度、引火点、芳香族分、二環以上の芳香族分、硫黄分、15℃における密度、30℃における動粘度、並びに煙点がそれぞれ上記特定条件を満たすことによって、灯油組成物の燃料消費率を向上させることができ、さらに、安定性、引火性、安全性、並びに暖房機器に対する適合性を改善することができる。従って、かかる灯油組成物を暖房機器に用いることにより、燃焼性の向上、臭気物質の排出量の低減、暖房機器への負荷の低減などが実現可能となり、その結果、暖房機器を一層安定的に運転することが可能となる。
また、本発明の灯油組成物においては、電量滴定法により測定される過酸化物価が0.1meq/kg未満であることが好ましい。灯油組成物の過酸化物価が0.1meq/kg未満であると、過酸化物の生成による燃焼不良を抑制することができる。
また、本発明の灯油組成物の選別方法は、高圧示差走査熱量計を用いて、4MPaの空気雰囲気下、30℃から500℃まで20℃/分で灯油組成物を昇温したときの酸化開始温度を測定し、当該酸化開始温度が205℃以上である灯油組成物を選別することを特徴とする。
このように、上記酸化開始温度を測定し、当該温度が205℃以上の灯油組成物を選別することで、暖房機器の安定的な運転が可能な灯油組成物を容易に且つ確実に得ることができる。
本発明の灯油組成物は十分に高い安定性を有するため、当該灯油組成物を暖房機器に用いることで、長期にわたって安定な暖房運転を行うことが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(酸化開始温度)
本発明の灯油組成物の酸化開始温度は、205℃以上であることが必要であり、好ましくは208℃以上、さらに好ましくは210℃以上である。酸化開始温度が205℃未満の場合、安定性が不十分となり、その結果、長期運転実施後に燃料消費率が低下して燃焼不良が起こりやすくなる。
本発明でいう酸化開始温度は、高圧示差走査熱量計(High−Pressure Differential Scanning Calorimeter、以下、「高圧DSC」という)を用いて測定されるものである。より具体的には、DSC加圧セル(例えばメトラードレド社製)に試料を導入し、4MPaの空気雰囲気下、試料を30℃から500℃まで20℃/分で昇温することにより、発熱量と温度との相関曲線が得られる。そして、かかる相関曲線の最初に発現する発熱ピークに基づいて酸化開始温度が決定される。
図1は高圧DSCを用いて測定される発熱量と温度との相関曲線の一例を示すグラフであり、後述する実施例5の灯油組成物についての測定結果を示したものである。図1中、縦軸は発熱量、横軸は温度である。また、図2は図1に示した曲線の微分曲線を示すグラフである。図1中、直線lは単位時間当たりの発熱量が最大となる点(図2中の点Bに相当する点)における接線を示している。また、図1中のlは発熱の開始点(曲線が立ち上がる点)における接線を示している。そして、lとlとの交点Aに対応する温度が本発明で規定する酸化開始温度である。
このようにして得られる酸化開始温度に基づいて灯油組成物を選別することにより、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能な灯油組成物を、容易に且つ確実に得ることができる。
(灯油基材)
本発明の灯油組成物を調製する際には、1種又は2種以上の灯油基材を好適に用いることができる。この場合、調製後の組成物の酸化開始温度が205℃以上となるように、基材を選択し、また配合量を調整する。
なお、灯油組成物の酸化開始温度が205℃以上であれば、酸化開始温度が205℃未満の基材が灯油組成物に含まれていてもよい。一方、基材について予め酸化開始温度を測定し、酸化開始温度が205℃以上である基材を選定して灯油組成物の調製に用いると、所望の特性を有する灯油組成物を効率よく且つ確実に得ることができる。
灯油基材としては、具体的には例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油を水素化精製して得られる水素化脱硫灯油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油留分を水素化精製して得られる水素化精製灯油、減圧軽油留分を水素化分解した水素化分解灯油、減圧軽油留分又は脱硫重油を接触分解して得られる接触分解灯油、直留重質油を熱分解して得られる熱分解灯油、熱分解灯油を水素化精製して得られる水素化脱硫灯油、残査油を水素化精製して得られる水素化脱硫灯油、直留灯油及び/又は水素化精製灯油を原料とし、水素化触媒存在下で深度水素化処理することによって得られる超低硫黄灯油、直留灯油又は水素化脱硫灯油又は水素化精製灯油の抽出によりノルマルパラフィン分を除去した残分である脱ノルマルパラフィン灯油、天然ガス等を一酸化炭素と水素に分解した後にF−T(Fischer−Tropsch)合成で得られるGTL(Gas to Liquids)の灯油留分及び/又はその水素化分解物等の基材が挙げられる。
上記灯油基材の水素化精製条件は、所定の性状を有する灯油を得られれば特に限定されるものではないが、水素化触媒存在下で反応温度100〜350℃、水素圧力1〜10MPa、LHSV0.1〜10h−1、水素/油比10〜500NL/Lであることが好ましい。
水素化触媒は、特に限定されるものではないが、水素化活性金属を多孔質担体に担持したものが挙げられる。多孔質担体としては無機酸化物が好ましく用いられる。具体的な無機酸化物としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、あるいはゼオライトが挙げられ、このうちチタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、ゼオライトのうち少なくとも1種類とアルミナによって構成されているものが本発明において好適に用いられる。
水素化処理に用いる触媒の活性金属としては周期律表第6族及び/または第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属であることが好ましい。より好ましくはRu,Rd,Ir,Pd,Pt,Ni,Co,Mo,Wから選ばれる少なくとも1種類である。活性金属としてはこれらの金属を組み合わせたものでもよく、例えばPt−Pd,Pt−Rh,Pt−Ru,Ir−Pd,Ir−Rh,Ir−Ru,Pt−Pd−Rh,Pt−Rh−Ru,Ir−Pd−Rh,Ir−Rh−Ru,Co−Mo,Ni−Mo,Ni−Wなどの組み合わせを採用することができる。
(添加剤)
本発明の灯油組成物は、必要に応じて、灯油基材の他に各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、フェノール系、アミン系化合物などの酸化防止剤、シッフ型、チオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン系化合物などの表面着火剤、コハク酸アミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコールおよびそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステル、1−メトキシ−2−アセトキシプロパンなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤およびアゾ染料などの着色剤、クマリン等の識別剤などが挙げられる。これらの燃料油添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら燃料油添加剤の添加量は任意であるが、その合計添加量は、灯油組成物全量に対して、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。
上述の添加剤としては、常法に従い合成したものを用いてもよく、また市販の添加剤を用いてもよい。なお、市販されている添加剤は、その添加剤が目的としている効果に寄与する有効成分を適当な溶剤で希釈している場合もある。有効成分が希釈されている市販添加剤を使用する場合には、灯油組成物中の当該有効成分の含有量が上述の範囲になるように市販添加剤を添加することが好ましい。
本発明の灯油組成物は、酸化開始温度が205℃以上であればその他の性状は特に制限されないが、後述する性状を有していることが好ましい。
(蒸留性状)
本発明の灯油組成物の蒸留性状に関し、その初留点は140℃以上、終点は300℃以下、50容量%留出温度は190℃以上230℃以下であることがそれぞれ好ましい。
初留点は、引火点低下による安全性への影響から、140℃以上であることが好ましく、143℃以上であることがより好ましく、145℃以上であることがさらに好ましい。一方、低温時の着火特性維持の点から、初留点は、175℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。
また、終点は、300℃以下であることが好ましく、290℃以下であることがより好ましい。終点が300℃を超えると、点火時にススが発生しやすく、特に、芯式ストーブに使用した場合に芯にタールが付着しやすくなる傾向にある。
また、50容量%留出温度(以下、「T50」という)は180℃以上であることが好ましく、185℃以上であることがより好ましく、190℃以上であることがさらに好ましい。T50が180℃未満の場合は燃料消費率が不十分となる傾向にある。一方、燃焼性の点から、T50は、230℃以下であることが好ましく、225℃以下であることがより好ましい。
また、30容量%留出温度(以下、「T30」という)は、給油時の臭気低減および発熱量の点から、170℃以上であることが好ましく、175℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。一方、低温時の着火性の点から、T30は、210℃以下であることが好ましく、205℃以下であることがより好ましく、200℃であることがさらに好ましい。
70容量%留出温度(以下、「T70」という)は、発熱量の点から、190℃以上であることが好ましく、195℃以上であることがより好ましい。一方、燃焼性の点から、T70は、250℃以下であることが好ましく、245℃以下であることがより好ましい。
95容量%留出温度(以下、「T95」という)は、燃焼性の点から、270℃以下であることが好ましく、268℃以下であることがより好ましい。
なお、本発明でいう初留点、T30、T50、T70、T95、終点とは、それぞれJIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」により測定される値を意味する。
(引火点)
本発明の灯油組成物の引火点は、取り扱い上の安全性の点から、40℃以上であることが好ましい。
なお、本発明でいう引火点とは、JIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」のタグ密閉式で測定される値を意味する。
(芳香族分)
本発明の灯油組成物の芳香族分は、燃焼性の点から、25容量%以下であることが好ましく、20容量%以下であることがより好ましく、17容量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明でいう芳香族分含有量とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される全芳香族分の値を意味する。
また、上記芳香族分のうち、二環以上の芳香族分は、1容量%以下であることが好ましく、0.8容量%以下であることがより好ましく、0.5容量%以下であることがさらに好ましい。二環以上の芳香族分が1容量%を超えると、燃焼性が著しく低下する傾向にある。
なお、本発明でいう二環以上の芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される二環芳香族分および三環以上芳香族分含有量の総和を意味する。
(硫黄分)
本発明の灯油組成物の硫黄分は、燃焼排出ガス中の硫黄酸化物の抑制、及び暖房用機器に装着されている排ガス後処理用触媒の長寿命化の点から、50質量ppm以下であることが好ましく、30質量ppm以下であることがより好ましく、10質量ppm以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明でいう硫黄分とは、JIS K 2541「硫黄分試験方法」により測定される値を意味する。
(密度)
本発明の灯油組成物の15℃における密度は、燃料消費率の点から、770Kg/m以上であることが好ましく、780Kg/m以上であることがより好ましい。一方、燃焼性の点から、当該密度は、820Kg/m以下であることが好ましく、810Kg/m以下であることがより好ましい。
なお、本発明でいう密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」で測定される値を意味する。
(動粘度)
本発明の灯油組成物の30℃における動粘度は、芯式ストーブにおける芯への染み込み性などの点から、30℃で1.7mm/s以下であることが好ましく、1.6mm/sであることがより好ましい。一方、芯式ストーブ消火後の余熱による芯からの染み出し防止などの点から、30℃で1.0mm/s以上であることが好ましく、1.1mm/s以上であることがより好ましい。
なお、本発明でいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法」で測定される値を意味する。
(煙点)
本発明の灯油組成物の煙点は、芯式ストーブにおけるすすの発生や不完全燃焼を防止する点から、21mm以上であることが好ましい。
なお、本発明でいう煙点とは、JIS K2537「石油製品−航空タービン燃料油及び灯油−煙点試験方法」で測定される値を意味する。
(過酸化物価)
本発明の灯油組成物の過酸化物価は、過酸化物の生成による燃焼不良への懸念から、0.1meq/kg未満であることが好ましく、0.08meq/kg以下であることがより好ましく、0.05meq/kg以下であることがさらに好ましい。
本発明でいう過酸化物価とは、電量滴定法により測定される値をいう。より具体的には、日本油化学会法が制定している過酸化価をPOV計(例えば、飯島電子工業製IP−200)により求められる値である。すなわち、POV計を用い、試料を酢酸/イソオクタン混合溶媒(3/2)に溶かし、よう化カリウム水溶液と混合して過酸化物を還元し、遊離したよう素を所定量のチオ硫酸ナトリウム標準液と反応させ、残存チオ硫酸ナトリウムを電量滴定することによって、過酸化物価が求められる。過酸化物価の計算式は下記式(1)で表される。
POV=(A×F×10)/B (1)
[式(1)中、POVは過酸化物価(meq/kg)を示し、Aは0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液の使用量(ml)を示し、Bは試料の秤取量(g)を示し、Fは0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液に固有の係数を示す。]
(飽和分)
本発明の灯油組成物の飽和分は、燃焼性の面から、68容量%以上が好ましく、72容量%以上がより好ましく、75容量%以上がさらに好ましい。
本発明でいう飽和分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される飽和炭化水素の含有量を意味する。
(オレフィン分)
本発明の灯油組成物のオレフィン分は、貯蔵安定性の面から、5容量%以下が好ましく、3容量%以下がより好ましく、1容量%以下がさらに好ましい。
本発明でいうオレフィン分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定されるオレフィン系炭化水素の含有量(容量%)を意味する。
(セーボルト色)
本発明の灯油組成物のセーボルト色は、不純物の識別等安全性への影響を考慮し、+25以上であることが好ましい。
本発明でいうセーボルト色とは、JIS K2580「石油製品−色試験方法」中のセーボルト色試験方法で測定される値を意味する。
(銅板腐食)
本発明の灯油組成物の銅板腐食(50℃、3h)は、1以下であることが好ましく、1aであることがより好ましい。銅板腐食が1を越える場合は、金属部材を腐食する可能性があり好ましくない。
本発明でいう銅板腐食とは、JIS K 2513「石油製品−銅板腐食試験方法」(試験温度50℃、試験時間3時間)に準拠して測定した値を意味する。
上記構成を有する本発明の灯油組成物は引火性、燃焼性、安全性、並びに暖房機器に対する適合性の全てがバランスよく高められたものであり、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能なものである。従って、本発明の灯油組成物は、石油ストーブ(例えば芯式ストーブ)や石油ファンヒーター等の暖房機器に使用される暖房用燃料組成物として非常に有用である。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜7、比較例1〜4]
実施例1〜7及び比較例1〜4においては、未精製油、減圧軽油又は常圧残油(水素化処理後に分留したもの)を表1〜3に示す条件で水素化処理して灯油基材を得た。各灯油基材の諸性状を表1〜3に示す。
実施例1、2、5、7及び比較例1、3では、得られた灯油基材をそのまま試料油として以下の試験に供した。また、実施例3及び比較例4では、得られた灯油基材にアミン系酸化防止剤(N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン)を添加し、得られた灯油組成物を試料油とした。また、実施例4、6及び比較例2では得られた灯油基材にフェノール系酸化防止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)を添加し、得られた灯油組成物を試料油とした。
Figure 0004072488
Figure 0004072488
Figure 0004072488
[燃焼試験]
次に、実施例1〜7及び比較例1〜4の各試料油を用いて燃焼試験を実施した。具体的には、試験用暖房機器として、芯上下式ストーブ(開放式石油ストーブ芯式自然通気形、排ガス浄化装置あり、コロナ製 SX−E261Y)、及び石油ファンヒーター(開放式石油ストーブ気化式強制通気形、排ガス浄化装置なし、三菱電機製 KD−F32C)に試料油を充填し、点火−5時間の定常運転−消火を1サイクルとし、これらの工程を100サイクル(500時間)繰り返した。
本試験においては、1回目のサイクルにおける燃料消費率(以下、「燃料消費率1」という)、並びに最終サイクルにおける燃料消費率(以下、「燃料消費率2」という)を測定し、両者の差Δ(燃料消費率1−燃料消費率2)を求めた。得られた結果を表4〜6に示す。
表4に示した燃料消費率1、2はいずれも比較例1の燃料消費率1を100としたときの相対値で示したものである。燃料消費率1の場合、その値が大きいほど燃費が悪いことを意味する。また、サイクル数が増加すると、燃焼部への固着物(例えば酸化劣化物)の付着等により暖房効率が悪化するため、通常、燃料消費率2は燃料消費率1よりも小さくなる。両者の差Δ(燃料消費率1−燃料消費率2)は、燃焼部への固着物の付着量及びTHC(Total HydroCarbon)濃度の指標となる。
Figure 0004072488
Figure 0004072488
Figure 0004072488
表4〜5の結果から、本発明の灯油組成物に係る実施例1〜7を用いることで、いずれも燃料消費率の低下を抑制できることが分かる。
これに対して、比較例1〜4の場合は、表6に示したように、500時間試験後の燃料消費率低下が著しい。この結果は、比較例1〜4の灯油組成物を用いた場合に、本発明の灯油組成物に比べ燃焼部に酸化劣化による固着物が生成し、燃焼不良が起こりやすくなることを示唆するものである。
高圧示差走査熱量計を用いて測定される灯油組成物の発熱量と温度との相関曲線の一例を示すグラフである。 図1に示した相関曲線の微分曲線を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 高圧示差走査熱量計を用いて測定される、4MPaの空気雰囲気下、30℃から500℃まで20℃/分で昇温したときの酸化開始温度が205℃以上であることを特徴とする灯油組成物。
  2. 蒸留性状における初留点が140℃以上、終点が300℃以下、50容量%留出温度が190℃以上230℃以下であり、引火点が40℃以上、芳香族分が25容量%以下、二環以上の芳香族分が1容量%以下、硫黄分が50質量ppm以下、15℃における密度が770kg/m以上820kg/m以下、30℃における動粘度が1.0〜1.7mm/s、煙点が21mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の灯油組成物。
  3. 電量滴定法により測定される過酸化物価が0.1meq/kg未満であることを特徴とする、請求項1に記載の灯油組成物。
  4. 高圧示差走査熱量計を用いて、4MPaの空気雰囲気下、30℃から500℃まで20℃/分で灯油組成物を昇温したときの酸化開始温度を測定し、前記酸化開始温度が205℃以上である灯油組成物を選別することを特徴とする灯油組成物の選別方法。
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