JP2007070569A - 灯油 - Google Patents

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Katsuhiko Haji
勝彦 土師
Kazuki Fukuda
一樹 福田
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

【課題】 灯油自体の臭気を低減することで給油等の取り扱い時の不快感を抑えることが可能な灯油を提供する。
【解決手段】 25℃におけるヘッドスペースガス中のn−ヘキサンよりも軽質な留分の割合が20容量%以下、25℃におけるヘッドスペースガス中のオレフィン分の割合が5容量%以下、分子量150以下の硫黄化合物に由来する硫黄分割合が全硫黄分の50質量%以下であることを特徴とする灯油。
【選択図】なし

Description

本発明は灯油に関する。詳しくは、取り扱い時における臭気の少ない高性能灯油に関する。
灯油は家庭用の暖房用燃料として広く使われているが、ストーブ、ファンヒーターへの給油等の灯油を取り扱う際の石油臭や、点火時・消火時に発生する臭気が使用者に嫌われる欠点があった。
こうした問題を解決する方法として、暖房機器から排出される臭気物質(炭化水素等)を低減する技術が検討されている。臭気物質の低減方法としては、暖房機器の燃焼部の改善、排出ガス浄化装置の装着等が提案されている(特許文献1参照)。
また、灯油自体の臭いを低減する方法としては、n−パラフィンおよびイソパラフィン類よりなる灯油(特許文献2参照)や、組成と性状を限定した灯油(特許文献3参照)などが挙げられる。
しかしながら、n−パラフィンおよびイソパラフィン類よりなる灯油では、ブルーフレームになったり煙点が高くなりすぎるために、制御のための検知が十分にできなくなり、燃焼機器が正常に作動しなくなる等の不具合がある。
また、組成や性状を限定した灯油では、ある程度の効果があるものの十分ではなく、さらに製造量が限定されるため、需要が多い冬期などには十分に供給できないといった問題がある。
特公昭59−16814号公報 特開昭63−150380号公報 特公平7−103384号公報
本発明は、上記問題を解決するものであり、灯油自体の臭気を低減することで給油時の不快感を抑えることができる灯油を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、灯油の臭いの強弱が常温(取り扱う温度)での灯油の蒸気中に含まれる特定成分によるものであり、この特定成分の割合を一定レベル以下に抑えることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の灯油は、25℃におけるヘッドスペースガス中のn−ヘキサンよりも軽質な留分の割合が20容量%以下、25℃におけるヘッドスペースガス中のオレフィン分の割合が5容量%以下、分子量150以下の硫黄化合物に由来する硫黄分割合が全硫黄分の50質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明の前記灯油は、25℃におけるヘッドスペースガス中の炭素数6以下のオレフィン分の割合が1容量%以下であることが好ましい
このように、25℃におけるヘッドスペースガス中のn−ヘキサンよりも軽質な留分の割合、オレフィン分の割合、炭素数6以下のオレフィン分の割合、灯油中の分子量150以下の硫黄化合物に由来する硫黄濃度がそれぞれ上記特定条件を満たすことによって、パラフィン臭、オレフィン臭、硫黄臭といった普段嗅ぎ慣れない臭いによる給油等の取り扱い時に与える不快感を低減することが可能となる。
本発明の灯油は灯油自体の臭気を低減できるため、給油等の取り扱い時の不快感を抑えることが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の灯油は、25℃におけるヘッドスペースガス中のn−ヘキサンよりも軽質な留分の割合が20容量%以下であることが必要であり、10容量%以下であることが好ましく、5容量%以下であることがより好ましく、2容量%以下であることがさらに好ましい。
25℃におけるヘッドスペースガス中のn−ヘキサンよりも軽質な留分の割合が20容量%を超えると灯油の臭いが強くなり不快と感じることが多くなる。
なお、本発明でいう25℃におけるヘッドスペースガス中のn−ヘキサンよりも軽質な留分の割合とは、次に示すような方法により算出される値である。
(算出方法)
容量20mLのセプタム付きサンプル瓶に試料を15mL入れ、25℃の恒温槽中で一晩静置する。このサンプルの気相部分をシリンジで0.1mL採取し、次に示す条件でガスクロマトグラフ分析を行い、検出された全ピークを帰属し、n−ヘキサンより先に検出された化合物の合計容量を算出することにより、この算出値を25℃におけるヘッドスペースガス中のn−ヘキサンよりも軽質な留分の割合と定義する。
(ガスクロマトグラフ分析条件)
ガスクロモデル :GC−17AAFW(島津製作所社製)
カラム :J&W DB−5 0.25mmφ×5m
Petrocol DH 0.25mmφ×100m
キャリアガス :He 277kPa
検出器 :FID
インジェクション温度:250℃
オーブン温度 :0℃で5分間保持後、1.6℃/分で50℃まで昇温し、5
0℃で43分間保持した後、5℃/分で250℃まで昇温。
検出器温度 :250℃
サンプル量 :0.1mL (スプリット比=1:15)
また、検出されたピークの総面積(総カウント数)は、ヘッドスペースガス中の炭化水素濃度に対応しており、これは灯油の蒸気圧特性を示す指標として使用することができる。すなわち、検出されたピークの総面積が大きいほど、灯油の揮発性が高くなるため、炭化水素濃度が高くなり臭気が強くなるといえる。
本測定では、各ピークの面積をカウント数で表すことができ、灯油の臭気低減のためにはその総カウント数は2,000,000以下であることが好ましく、1,500,000以下であることがより好ましい。
本発明の灯油は、25℃におけるヘッドスペースガス中のオレフィン分の割合が5容量%以下であることが必要であり、3容量%以下であることが好ましく、2容量%以下であることがより好ましい。
また、本発明の灯油は、25℃におけるヘッドスペースガス中の炭素数6以下のオレフィン分の割合が1容量%以下であることが好ましく、0.5容量%以下であることがより好ましく、0.3容量%以下であることがさらに好ましい。
25℃におけるヘッドスペースガス中のオレフィン分の割合が5容量%を超えたり、炭素数6以下のオレフィン分の割合が1容量%を超えたりすると、オレフィン臭が強くなり異臭と感じることがあり好ましくない。
なお、本発明でいう25℃におけるヘッドスペースガス中のオレフィン分の割合とは、前記したヘッドスペースガスのガスクロマトグラフ分析で検出された化合物の各ピークをパラフィン分、オレフィン分、ナフテン分、芳香族分に分類し、各成分の合計量に対するオレフィン分の割合を算出した値である。
また、25℃におけるヘッドスペースガス中の炭素数6以下のオレフィン分の割合とは、前記したヘッドスペースガスのガスクロマトグラフ分析で検出されたオレフィン化合物の各ピークから炭素数6以下のオレフィン化合物のピークを取り出し、全成分の合計量に対する炭素数6以下のオレフィン分の割合を算出した値である。
本発明の灯油の硫黄分は、分子量150以下の硫黄化合物に由来する硫黄分割合が、硫黄元素として、全硫黄分の50質量%以下であることが必要であり、25質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
分子量が150以下の軽質な硫黄化合物が50質量%より多く存在すると硫黄臭が強くなり異臭と感じることがあり好ましくない。
分子量が150以下の硫黄化合物としては、炭素数が8以下のメルカプタン類、チオフェン、アルキル基として合計で1〜4個の炭素が付加したチオフェン類、ベンゾチオフェン、メチルベンゾチオフェン等が挙げられるが、特に臭いが強いメルカプタン類は、測定検出限界以下であることが好ましい。
なお、本発明でいう硫黄化合物は、ガスクロマトグラフ分析で次の条件により同定および定量される。
(A)メルカプタン類の定量条件
ガスクロモデル :HP−G2350A(ヒューレットパッカード社製)
カラム :ウルトラアロイ−HT 0.25mmφ×30m
キャリアガス :He 55kPa
検出器 :AED
インジェクション温度:250℃
オーブン温度 :35℃で5分間保持後、5℃/分で250℃まで昇温。
Xfer Line :300℃
Cavity :300℃
サンプル量 :0.1mL(スプリットレス)
(B)チオフェン類の定量条件
ガスクロモデル :GC−2010(島津製作所社製)
カラム :J&W DB−1 0.25mmφ×30m
キャリアガス :He 80kPa
検出器 :硫黄選択検出器
インジェクション温度:250℃
オーブン温度 :30℃で5分間保持後、5℃/分で250℃まで昇温。
検出器温度 :950℃
サンプル量 :0.2μL (スプリット比=1/10)
また、灯油中の硫黄分の含有量については、特に制限はないが、硫黄分含有量が多くなると相対的に臭いは強くなる傾向があり、さらに燃焼排出ガス中の硫黄酸化物の抑制、及び暖房用機器に装着されている排ガス後処理用触媒の長寿命化の点から、10質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明でいう硫黄分とは、JIS K2541「硫黄分試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の灯油は、25℃におけるヘッドスペースガス中のn−ヘキサンよりも軽質な留分の割合が20容量%以下、25℃におけるヘッドスペースガス中のオレフィン分の割合が5容量%以下、灯油中の分子量150以下の硫黄化合物に由来する硫黄分割合が全硫黄分の50質量%以下であればその他の性状は特に制限されないが、後述する性状を有していることが好ましい。
本発明の灯油の蒸留性状に関しては、以下の性状を有することが好ましい。
初留点は、引火点低下による安全性への影響から、140℃以上であることが好ましく、143℃以上であることがより好ましく、145℃以上であることがさらに好ましい。一方、低温時の着火特性維持の観点から、175℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。
30容量%留出温度(T30)は、発熱量の観点から、170℃以上であることが好ましく、175℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。一方、低温時の着火性の観点から、210℃以下であることが好ましく、205℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
50容量%留出温度(T50)は180℃以上であることが好ましく、185℃以上であることがより好ましく、190℃以上であることがさらに好ましい。T50が180℃未満の場合は燃料消費率が不十分となる傾向にある。一方、燃焼性の観点から、230℃以下であることが好ましく、225℃以下であることがより好ましい。
70容量%留出温度(T70)は、発熱量の観点から、190℃以上であることが好ましく、195℃以上であることがより好ましい。一方、燃焼性の観点から、250℃以下であることが好ましく、245℃以下であることがより好ましい。
95容量%留出温度(T95)は、燃焼性の観点から、270℃以下であることが好ましく、268℃以下であることがより好ましい。
終点は、300℃以下であることが好ましく、290℃以下であることがより好ましい。終点が300℃を超えると、点火時にススが発生しやすく、特に、芯式ストーブに使用した場合に芯にタールが付着しやすくなる傾向にある。
さらに、臭いの観点から軽質分に注目すると、ガスクロ蒸留における初留点は、100℃以上であることが好ましい。
なお、ここでいう初留点、T30、T50、T70、T95、終点とは、それぞれJIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法蒸留試験方法」により測定される値を意味する。また、ガスクロ蒸留による初留点とは、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−ガスクロマトグラフ法蒸留試験方法」により測定される初留点を意味する。
本発明の灯油の引火点は、取り扱い上の安全性の観点から、40℃以上であることが好ましい。
なお、ここでいう引火点とは、JIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」のタグ密閉式で測定される値を意味する。
本発明の灯油の芳香族分は、燃焼性の観点から、25容量%以下であることが好ましく、20容量%以下であることがより好ましい。
なお、ここでいう芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される全芳香族分の含有量を意味する。
また、上記芳香族分のうち、二環以上の芳香族分は、1.5容量%以下であることが好ましく、1.0容量%以下であることがより好ましく、0.5容量%以下であることがさらに好ましい。二環以上の芳香族分が1.5容量%を超えると、燃焼性が低下したり、貯蔵安定性が低下する傾向にある。
なお、ここでいう二環以上の芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される二環芳香族分および三環以上芳香族分含有量の総和を意味する。
本発明の灯油の15℃における密度は、燃料消費率の観点から、770Kg/m以上であることが好ましく、780Kg/m以上であることがより好ましい。一方、燃焼性の観点から、820Kg/m以下であることが好ましく、810Kg/m以下であることがより好ましい。
なお、ここでいう15℃における密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」で測定される値を意味する。
本発明の灯油の30℃における動粘度は、芯式ストーブにおける芯への染み込み性などの観点から、1.7mm/s以下であることが好ましく、1.6mm/s以下であることがより好ましい。一方、芯式ストーブ消火後の余熱による芯からの染み出し防止などの観点から、1.0mm/s以上であることが好ましく、1.1mm/s以上であることがより好ましい。
なお、ここでいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油の煙点は、芯式ストーブにおけるすすの発生や不完全燃焼を防止する観点から、21mm以上であることが好ましい。
なお、ここでいう煙点とは、JIS K2537「石油製品−航空タービン燃料油及び灯油−煙点試験方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油の飽和分は、燃焼性の観点から、68容量%以上であることが好ましく、72容量%以上がより好ましく、75容量%以上がさらに好ましい。
なお、ここでいう飽和分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される飽和炭化水素の含有量を意味する。
本発明の灯油のオレフィン分は、貯蔵安定性の観点から、5容量%以下であることが好ましく、3容量%以下がより好ましく、1容量%以下がさらに好ましい。
なお、ここでいうオレフィン分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定されるオレフィン系炭化水素の含有量を意味する。
本発明の灯油のセーボルト色は、不純物の識別等安全性への影響を考慮し、+25以上であることが好ましい。
なお、ここでいうセーボルト色とは、JIS K2580「石油製品−色試験方法」中のセーボルト色試験方法で測定される値を意味する。
本発明の灯油の銅板腐食(50℃、3h)は1以下であることが好ましく、1aであることがより好ましい。銅板腐食が1を越える場合は、金属部材を腐食する可能性があり好ましくない。
なお、ここでいう銅板腐食とは、JIS K2513「石油製品−銅板腐食試験方法」(試験温度50℃、試験時間3時間)に準拠して測定した値を意味する。
上記性状を有する本発明の灯油は、臭気低減、引火性、燃焼性、安全性、並びに暖房機器に対する適合性の全てがバランスよく高められたものであり、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能なものである。従って、本発明の灯油は、石油ストーブ(例えば、芯式ストーブ)や石油ファンヒーター等の暖房機器に使用される暖房用灯油として非常に有用である。
本発明の灯油に用いられる灯油基材としては、例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油を水素化精製して得られる水素化脱硫灯油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油留分を水素化精製して得られる水素化精製灯油、減圧軽油留分を水素化分解した水素化分解灯油、減圧軽油留分又は脱硫重油を接触分解して得られる接触分解灯油、直留重質油を熱分解して得られる熱分解灯油、熱分解灯油を水素化精製して得られる水素化脱硫灯油、残査油を水素化精製して得られる水素化脱硫灯油、直留灯油及び/又は水素化精製灯油を原料として水素化触媒存在下で深度水素化処理することによって得られる超低硫黄灯油、直留灯油又は水素化脱硫灯油又は水素化精製灯油の抽出によりノルマルパラフィン分を除去した残分である脱ノルマルパラフィン灯油、天然ガス等を一酸化炭素と水素に分解した後にF−T(Fischer−Tropsch)合成で得られるGTL(Gas to Liquids)の灯油留分及び/又はその水素化分解物等の基材が挙げられる。
上記灯油基材の製造における水素化精製条件は、所定の性状を有する灯油を得られれば特に限定されるものではないが、水素化触媒存在下で反応温度100〜350℃、水素圧力1〜10MPa、LHSV0.1〜10h−1、水素/油比10〜500NL/Lであることが好ましい。
水素化触媒は、特に限定されるものではないが、水素化活性金属を多孔質担体に担持したものが挙げられる。多孔質担体としては無機酸化物が好ましく用いられる。具体的な無機酸化物としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、ゼオライトなどが挙げられる。また、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカおよびゼオライトから選ばれる少なくとも1種類とアルミナから構成される無機酸化物も本発明において好適に用いられる。
水素化処理に用いる触媒の活性金属としては周期律表第6族金属及び第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属であることが好ましい。より好ましくはRu、Rd、Ir、Pd、Pt、Ni、Co、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種類である。活性金属としてはこれらの金属を組み合わせたものでもよく、例えば、Pt−Pd、Pt−Rh、Pt−Ru、Ir−Pd、Ir−Rh、Ir−Ru、Pt−Pd−Rh、Pt−Rh−Ru、Ir−Pd−Rh、Ir−Rh−Ru、Co−Mo、Ni−Mo、Ni−Wなどの組み合わせを採用することができる。
本発明の灯油は、必要に応じて、灯油基材の他に各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、フェノール系、アミン系化合物などの酸化防止剤、シッフ型、チオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン系化合物などの表面着火剤、アルケニルコハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコールやそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステル、1−メトキシ−2−アセトキシプロパンなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アゾ染料などの着色剤、クマリン等の識別剤などが挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら添加剤の添加量は任意であるが、その合計添加量は、灯油全量に対して、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。
上述の添加剤としては、常法に従い合成したものを用いてもよく、また市販の添加剤を用いてもよい。なお、市販されている添加剤は、その添加剤が目的としている効果に寄与する有効成分を適当な溶剤で希釈している場合もある。有効成分が希釈されている市販添加剤を使用する場合には、灯油中の当該有効成分の含有量が上述の範囲になるように市販添加剤を添加することが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
硫黄分1600質量ppm、初留点155℃、T95=264℃の未精製油をコバルト−モリブデン担持アルミナ系触媒を用い、反応温度(CAT)310℃、水素分圧3.5MPa、LHSV4.5h−1、水素/油比130NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油サンプル1を得た。この灯油サンプル1の一般性状を表1に示す。
(実施例2)
硫黄分800質量ppm、初留点152℃、T95=255℃の未精製油をコバルト−モリブデン担持アルミナ系触媒を用い、反応温度(CAT)290℃、水素分圧4.0MPa、LHSV2.5h−1、水素/油比80NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油サンプル2を得た。この灯油サンプル2の一般性状を表1に示す。
(実施例3)
硫黄分1500質量ppm、初留点156℃、T95=258℃の未精製油をコバルト−モリブデン担持アルミナ系触媒を用い、反応温度(CAT)310℃、水素分圧3.3MPa、LHSV3.0h−1、水素/油比80NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油サンプル3を得た。この灯油サンプル3の一般性状を表1に示す。
(比較例1)
硫黄分2200質量ppm、初留点160℃、T95=260℃の未精製油をコバルト−モリブデン担持アルミナ系触媒を用い、反応温度(CAT)320℃、水素分圧4.5MPa、LHSV5.5h−1、水素/油比70の条件下で水素化精製を行い、比較灯油サンプル1を得た。この比較灯油サンプル1の一般性状を表1に示す。
(比較例2)
中国から輸入した製品灯油を比較灯油サンプル2とした。この比較灯油サンプル2の一般性状を表1に示す。
(比較例3)
ガソリンスタンドで購入した灯油を比較灯油サンプル3とした。この比較灯油サンプル3の一般性状を表1に示す。
[臭気試験]
灯油の臭気を下記の方法により官能検査を行い評価した。
(1)評価サンプル
上記灯油サンプル1〜3および比較灯油サンプル1〜3のそれぞれ9Lを18L灯油ポリタンクに入れセプタムで蓋をし、25℃に設定した室内に24時間静置した後、ポリタンク内の気相をサンプリングした。
(2)検査人数:70人
(3)検査方法
検査方法は3点比較式臭い袋法を用いた。試験方法は以下の通りである。
(a)3つの臭い袋がいっぱいになるまで無臭空気を満たしておく。
無臭空気としてボンベの圧縮空気Aグレードを用いた。
(b)上記(a)の一つに所定希釈倍率(3倍)になるように、サンプルガスを一定量
注入する。サンプルガスは注射器に採って、袋に刺して注入し、セロハンテープで 塞ぐ。
(c)残りの二つの袋は注射器のみで穴を開けて同様にセロハンテープで塞ぎ、上記 (b)の袋と一緒にパネラーに渡す。
(d)パネラーにどの袋から臭いがするかを当ててもらう。
(e)パネラーが正確に答えた場合は、順次約3倍ずつ希釈倍率を上げ、同様な試験を
行い、不正解になったところで終了する。
(f)以下のようにして、閾値Xおよび臭気指数Yを求める。
パネラーAの閾値をXaとすると、
Xa=(LogA1+LogA2)/2
A1:パネラーAの答えが正解であった最大希釈倍率
A2:パネラーAの答えが不正解になった希釈倍率
こうして求めた各パネラーの閾値の最大値と最小値を除いて、その他を平均した
ものを全体の閾値Xとする。
次式により臭気指数Yを求める。
Y=10
臭気指数は、「何倍希釈したところまで臭気の判断が出来るか」に対する統計的な指標であるので、この値が小さいほど臭気が弱いことを示す。
今回の試験は希釈倍率を3倍、10倍、30倍、100倍、300倍、1000倍・・と約3倍ごとに希釈倍率を上げていった。
各パネラーが不正解となったところで試験を終了するので、例えば、パネラーAが灯油サンプル1について、100倍まで正解し、300倍で不正解となった場合は、Aに対する試験はここで終了し、A1=100、A2=300となる。続いて灯油サンプル2、3、比較灯油サンプル1〜3についても同様の試験を行い、全パネラーの値を元に臭気指数を求めた。その結果を表1に併記した。
表1の結果から、本発明の灯油に係る実施例1〜3を用いることで、いずれも臭いを低減できることがわかる。これに対して、比較例1〜3の場合は、灯油の臭気が強く、給油等の取り扱い時に取扱者がその臭いを嗅ぐことで不快に感じる可能性を示唆するものである。
Figure 2007070569

Claims (2)

  1. 25℃におけるヘッドスペースガス中のn−ヘキサンよりも軽質な留分の割合が20容量%以下、25℃におけるヘッドスペースガス中のオレフィン分の割合が5容量%以下、分子量150以下の硫黄化合物に由来する硫黄分割合が全硫黄分の50質量%以下であることを特徴とする灯油。
  2. 25℃におけるヘッドスペースガス中の炭素数6以下のオレフィン分の割合が1容量%以下であることを特徴とする請求項1記載の灯油。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009040952A (ja) * 2007-08-10 2009-02-26 Japan Energy Corp 高性能燃料組成物
JP2011084675A (ja) * 2009-10-16 2011-04-28 Jx Nippon Oil & Energy Corp 石油燃焼機器用燃料組成物及びその製造方法

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