JP2015183030A - 灯油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】灯油増産時においても、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能な灯油を提供する。【解決手段】石油精製の製造方法の一貫としての流動接触分解工程から得られる分解灯油基材0.2容量%以上19.5容量%以下と、原油を常圧蒸留装置で処理して得られる直留灯油基材80.5容量%以上99.8容量%以下を混合し、水素化処理することにより製造される灯油組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、灯油組成物に関し、特に石油ストーブや石油ファンヒーター等の暖房機器などに好適に用いられる灯油組成物に関する。
ストーブや給湯器等の家庭用燃焼機器に使用される石油燃焼機器用燃料は、需要時期の冬季に不足することから、従来常圧蒸留装置の灯油留分の沸点範囲を拡大して水素化脱硫することにより灯油を増産することが行われている。しかしながら、この方法はガソリンから軽油までの供給バランスを変化させ、ガソリンや軽油の需要構造変化に対して柔軟に対応することが困難となる。また、軽油から灯油留分を大きくカットすると、軽油の低温流動性問題が生じるため、必ずしも灯油の大幅な増産には繋がらない。
また、天然ガスを原料として、フィッシャー・トロプシュ合成により生産される硫黄分や芳香族分を含有しない、石油系灯油と同等の蒸留性状に調製された、いわゆるGTL(Gas to liquid)灯油が市場に投入されている。しかしながら、GTL灯油を生産する為にはエネルギー投資が大きい上、生産設備コスト、運転コストがともに大きいことから、その供給量は当分限定的であるものと見込まれる。また、石油燃焼機器にGTL灯油を用いた場合、石油系燃料に比較して燃料消費量が大きいという問題がある。
石油精製の製造方法の一貫としての流動接触分解工程から得られる分解灯油基材には、灯油留分が含まれるため、これをさらに脱硫して利用することで、灯油を増産することも可能である。しかし、流動接触分解工程から得られる分解灯油基材は常圧蒸留装置から得られる灯油留分と比較して芳香族分の割合が多く、脱硫して灯油として利用する際には、製造される灯油のナフテノベンゼン類の割合が増加する。灯油中のナフテノベンゼン類の増加は、暖房機器を長期にわたって安定的に運転する妨げになることが報告されており、分解灯油基材の活用時には、ナフテノベンゼン類の割合を管理する必要がある(例えば、特許文献1参照)が、ナフテノベンゼン類の分析は、煩雑で時間がかかるため、製造現場でナフテノベンゼン類の割合を管理することは困難であるという問題がある(例えば、特許文献2参照)。
灯油増産時において、流動接触分解工程から得られる分解灯油基材を脱硫することで灯油として利用できる可能性があることは分かっているものの、その管理に必要な分析方法が煩雑であるため、実行が困難である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、灯油増産時においても、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能な灯油を提供することを目的とする。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、灯油増産時においても、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能な灯油を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の分解灯油基材と特定の直留灯油基材を所定の混合割合で混合して水素化することで、暖房機器を長期にわたって安定的に運転可能な灯油を製造できることを見出して本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、流動接触分解工程から得られる分解灯油基材0.2容量%以上19.5容量%以下と、原油を常圧蒸留装置で処理して得られる直留灯油基材80.5容量%以上99.8容量%以下を混合し、水素化処理することにより製造される灯油組成物に関する。
また、本発明は、分解灯油基材が、蒸留性状における5容量%留出温度が140℃以上、95容量%留出温度が290℃以下、終点が300℃以下であり、全芳香族分が90容量%以下、2環以上の芳香族分が40容量%以下、15℃における密度が800kg/m3以上920kg/m3以下、30℃における動粘度が0.7mm2/s以上1.7mm2/s以下、煙点が5mm以上であり、直留灯油基材が、蒸留性状における初留点が140℃以上、95容量%留出温度が290℃以下、終点が300℃以下であり、引火点が40℃以上、全芳香族分が5容量%以上25容量%以下、2環以上の芳香族分が5容量%以下、15℃における密度が770kg/m3以上820kg/m3以下、30℃における動粘度が1.0mm2/s以上1.7mm2/s以下、煙点が21mm以上であることを特徴とする前記記載の灯油組成物に関する。
また、本発明は、ナフテノベンゼン類の割合が11.0%未満(イオン強度)、ベンゼン環を1個とナフテン環を2個有するナフテノベンゼン類(2環ナフテノベンゼン類)の割合が1.2%以下(イオン強度)、2環ナフテノベンゼン類と環の総数が3以上のシクロパラフィン類の合計割合が1.5%以下(イオン強度)であることを特徴とする前記記載の灯油組成物に関する。
また、本発明は、蒸留性状における初留点が140℃以上、50容量%留出温度が170℃以上230℃以下、終点が300℃以下であり、引火点が40℃以上、硫黄分が10質量ppm以下、15℃における密度が770kg/m3以上820kg/m3以下、30℃における動粘度が1.0〜1.7mm2/s、煙点が21mm以上、過酸化物価が1質量ppm以下であることを特徴とする前記記載の灯油組成物の灯油組成物に関する。
また、本発明は、全芳香族分が26.0容量%以下、二環以上の芳香族分が1.5容量%以下であることを特徴とする前記記載の灯油組成物の灯油組成物に関する。
本発明の灯油組成物は十分に高い安定性を有するため、当該灯油組成物を暖房機器に用いることで、長期にわたって安定な暖房運転を行うことが可能となる。
以下、本発明について説明する。
本発明の灯油組成物は、石油精製の製造方法の一貫としての流動接触分解工程から得られる分解灯油基材と、原油を常圧蒸留装置で処理して得られる直留灯油基材を含有する。
分解灯油基材を直留灯油基材に混合する割合は、0.2容量%以上19.5容量%以下であることが必要であり、0.2容量%以上18.0容量%以下であることが好ましく、0.2容量%以上17.0容量%以下であることがより好ましい。分解灯油基材の混合割合が19.5容量%を超えると、脱硫後得られる灯油の安定性が低下し、芯式ストーブの芯等においてコーキングを起こし易くなり、その結果、長期運転実施後に燃料消費率が低下して燃焼不良が起こりやすくなる。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する分解灯油基材の5容量%留出温度(T5)は、140℃以上であることが好ましく、142℃以上であることがより好ましく、144℃以上であることがさらに好ましい。T5が140℃未満の場合は引火点低下による安全性への影響があるため好ましくない。一方、低温時の着火特性維持の観点から、175℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する分解灯油基材の95容量%留出温度(T95)は、燃焼性の観点から、290℃以下であることが好ましく、285℃以下であることがより好ましく、280℃以下であることがさらに好ましい。T95が290℃を超えると、長期燃焼時に燃焼性が悪化し、芯式ストーブに使用した場合に芯にタールが付着しやすくなる傾向にある。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する分解灯油基材の終点は、300℃以下であることが好ましく、295℃以下であることがより好ましく、290℃以下であることがさらに好ましい。終点が300℃を超えると、点火時にススが発生しやすく、特に、芯式ストーブに使用した場合に芯にタールが付着しやすくなる傾向にある。
なお、本発明でいうT5、T95、終点とは、それぞれJIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法蒸留試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する分解灯油基材の全芳香族分は、燃焼性の観点から、90容量%以下であることが好ましく、85容量%以下であることがより好ましく、80容量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明でいう全芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される全芳香族分の含有量を意味する。
なお、本発明でいう全芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される全芳香族分の含有量を意味する。
また、上記芳香族分のうち、二環以上の芳香族分は、40容量%以下であることが好ましく、35容量%以下であることがより好ましく、32容量%以下であることがさらに好ましい。二環以上の芳香族分が40容量%を超えると、燃焼性が低下したり、貯蔵安定性が低下する。
なお、本発明でいう二環以上の芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される二環芳香族分および三環以上芳香族分含有量の総和を意味する。
なお、本発明でいう二環以上の芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される二環芳香族分および三環以上芳香族分含有量の総和を意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する分解灯油基材の15℃における密度は、800kg/m3以上920kg/m3以下であることが好ましく、810kg/m3以上910kg/m3以下であることがより好ましく、820kg/m3以上900kg/m3以下であることがより好ましい。15℃における密度が800kg/m3未満の場合には、燃料消費率の観点から好ましくなく、また920kg/m3を超える場合には、燃焼性の観点から好ましくない。
なお、本発明でいう15℃における密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度の求め方」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう15℃における密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度の求め方」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する分解灯油基材の30℃における動粘度は、0.7mm2/s以上1.7mm2/s以下であることが好ましく、0.8mm2/s以上1.6mm2/s以下であることがより好ましく、0.9mm2/s以上1.5mm2/s以下であることがさらに好ましい。30℃における動粘度が0.7mm2/s未満の場合には、芯式ストーブにおける芯への染み込み性などの観点から好ましくなく、一方、1.7mm2/sを超える場合には、芯式ストーブ消火後の余熱による芯からの染み出し防止などの観点から好ましくない。
なお、本発明でいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する分解灯油基材の煙点は、5mm以上であることが好ましく、6mm以上であることがより好ましく、7mm以上であることがさらに好ましい。煙点が5mm未満の場合には、芯式ストーブにおけるすすの発生や不完全燃焼を防止する観点から好ましくない。
なお、本発明でいう煙点とは、JIS K2537「石油 製品−灯油及び航空タービン燃料油−煙点試験方法」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう煙点とは、JIS K2537「石油 製品−灯油及び航空タービン燃料油−煙点試験方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する直留灯油基材の初留点は、140℃以上であることが好ましく、145℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。初留点が140℃未満の場合は引火点低下による安全性への影響があるため好ましくない。一方、低温時の着火特性維持の観点から、175℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する直留灯油基材の95容量%留出温度(T95)は、燃焼性の観点から290℃以下であることが好ましく、285℃以下であることがより好ましく、280℃以下であることがさらに好ましい。T95が290℃を超えると、長期燃焼時に燃焼性が悪化し、芯式ストーブに使用した場合に芯にタールが付着しやすくなる傾向にある。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する直留灯油基材の終点は、300℃以下であることが好ましく、295℃以下であることがより好ましく、290℃以下であることがさらに好ましい。終点が300℃を超えると、点火時にススが発生しやすく、特に、芯式ストーブに使用した場合に芯にタールが付着しやすくなる傾向にある。
なお、本発明でいう初留点、T95、終点とは、それぞれJIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法蒸留試験方法」により測定される値を
意味する。
意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する直留灯油基材の引火点は、40℃以上であることが好ましく、41℃以上であることがより好ましく、42℃以上であることがさらに好ましい。引火点が40℃未満の場合には取り扱い上の安全性の観点から好ましくない。
なお、本発明でいう引火点とは、JIS K2265「引火点の求め方」のタグ密閉式で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう引火点とは、JIS K2265「引火点の求め方」のタグ密閉式で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する直留灯油基材の全芳香族分は、燃焼性の観点から、5容量%以上25容量%以下であることが好ましく、7容量%以上23容量%以下であることがより好ましく、9容量%以上21容量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明でいう全芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される全芳香族分の含有量を意味する。
なお、本発明でいう全芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される全芳香族分の含有量を意味する。
また、上記芳香族分のうち、二環以上の芳香族分は、5容量%以下であることが好ましく、4容量%以下であることがより好ましく、3容量%以下であることがさらに好ましい。二環以上の芳香族分が5容量%を超えると、燃焼性が低下したり、貯蔵安定性が低下する。
なお、本発明でいう二環以上の芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される二環芳香族分および三環以上芳香族分含有量の総和を意味する。
なお、本発明でいう二環以上の芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される二環芳香族分および三環以上芳香族分含有量の総和を意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する直留灯油基材の15℃における密度は、770kg/m3以上820kg/m3以下であることが好ましく、775kg/m3以上815kg/m3以下であることがより好ましく、780kg/m3以上810kg/m3以下であることがさらに好ましい。15℃における密度が770kg/m3未満の場合には、燃料消費率の観点から好ましくなく、また820kg/m3を超える場合には、燃焼性の観点から好ましくない。
なお、本発明でいう15℃における密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度の求め方」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう15℃における密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度の求め方」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する直留灯油基材の30℃における動粘度は、1.0mm2/s以上1.7mm2/s以下であることが好ましく、1.1mm2/s以上1.65mm2/s以下であることがより好ましく、1.2mm2/s以上1.6mm2/s以下であることがさらに好ましい。30℃における動粘度が1.0mm2/s未満の場合には、芯式ストーブにおける芯への染み込み性などの観点から好ましくなく、一方、1.7mm2/sを超える場合には、芯式ストーブ消火後の余熱による芯からの染み出し防止などの観点から好ましくない。
なお、本発明でいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物を製造する際に使用する直留灯油基材の煙点は、21mm以上であることが好ましく、22mm以上であることがより好ましく、23mm以上であることがさらに好ましい。煙点が21mm未満の場合には、芯式ストーブにおけるすすの発生や不完全燃焼を防止する観点から好ましくない。
なお、本発明でいう煙点とは、JIS K2537「石油製品−灯油及び航空タービン燃料油−煙点試験方法」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう煙点とは、JIS K2537「石油製品−灯油及び航空タービン燃料油−煙点試験方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物は、前述の分解灯油基材と直留灯油基材を所定割合で混合し、水素化処理することにより製造される。
前記灯油基材の製造における水素化条件は、所定の性状を有する灯油を得られれば特に限定されるものではないが、水素化触媒存在下で反応温度100〜350℃、水素圧力1〜10MPa、LHSV0.1〜10h−1、水素/油比10〜500NL/Lであることが好ましい。
水素化触媒は、特に限定されるものではないが、水素化活性金属を多孔質担体に担持したものが挙げられる。多孔質担体としては無機酸化物が好ましく用いられる。具体的な無機酸化物としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、ゼオライトなどが挙げられる。また、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカおよびゼオライトから選ばれる少なくとも1種類とアルミナから構成される無機酸化物も本発明において好適に用いられる。
水素化処理に用いる触媒の活性金属としては周期律表第6族金属及び第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属であることが好ましい。より好ましくはRu、Rd、Ir、Pd、Pt、Ni、Co、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種類である。活性金属としてはこれらの金属を組み合わせたものでもよく、例えば、Pt−Pd、Pt−Rh、Pt−Ru、Ir−Pd、Ir−Rh、Ir−Ru、Pt−Pd−Rh、Pt−Rh−Ru、Ir−Pd−Rh、Ir−Rh−Ru、Co−Mo、Ni−Co−Mo、Ni−Mo、Ni−Wなどの組み合わせを採用することができる。
水素化処理に用いる触媒の活性金属としては周期律表第6族金属及び第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属であることが好ましい。より好ましくはRu、Rd、Ir、Pd、Pt、Ni、Co、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種類である。活性金属としてはこれらの金属を組み合わせたものでもよく、例えば、Pt−Pd、Pt−Rh、Pt−Ru、Ir−Pd、Ir−Rh、Ir−Ru、Pt−Pd−Rh、Pt−Rh−Ru、Ir−Pd−Rh、Ir−Rh−Ru、Co−Mo、Ni−Co−Mo、Ni−Mo、Ni−Wなどの組み合わせを採用することができる。
本発明の灯油組成物中のナフテノベンゼン類の割合は、11.0%未満(イオン強度)であることが好ましく、10.5%以下(イオン強度)であることがより好ましく、10.0%以下(イオン強度)であることがさらに好ましい。ナフテノベンゼン類の割合が11.0%(イオン強度)以上の場合は安定性が低下し、ノズル等においてコーキングを起こし易くなり、その結果、長期運転実施後に燃料消費率が低下して燃焼不良が起こりやすくなる。
本発明の灯油組成物中の2環ナフテノベンゼン類の割合は、1.2%以下(イオン強度)であることが好ましく、1.1%以下(イオン強度)であることがより好ましく、1.0%以下(イオン強度)であることがさらに好ましい。
また、2環ナフテノベンゼン類と環の総数が3以上のシクロパラフィン類の合計割合は、1.5%以下(イオン強度)であることが好ましく、1.4%以下(イオン強度)であることがより好ましく、1.3%以下(イオン強度)であることがさらに好ましい。
環の総数が3以上のナフテノベンゼン類の割合が1.2%(イオン強度)を超えたり、環の総数が3以上のナフテノベンゼン類と環の総数が3以上のシクロパラフィン類の合計割合が1.5%(イオン強度)を超えると、特に安定性が低下し、長期運転実施後に燃料消費率が低下して燃焼不良が起こりやすくなる。
また、2環ナフテノベンゼン類と環の総数が3以上のシクロパラフィン類の合計割合は、1.5%以下(イオン強度)であることが好ましく、1.4%以下(イオン強度)であることがより好ましく、1.3%以下(イオン強度)であることがさらに好ましい。
環の総数が3以上のナフテノベンゼン類の割合が1.2%(イオン強度)を超えたり、環の総数が3以上のナフテノベンゼン類と環の総数が3以上のシクロパラフィン類の合計割合が1.5%(イオン強度)を超えると、特に安定性が低下し、長期運転実施後に燃料消費率が低下して燃焼不良が起こりやすくなる。
なお、本発明でいうナフテノベンゼン類といった炭化水素のタイプは、次に示すような
シリカゲルクロマト分別により得た飽和分および芳香族分について、GC/TOFMS分析を行い炭化水素のタイプ分析を行った結果得られるものである。
シリカゲルクロマト分別により得た飽和分および芳香族分について、GC/TOFMS分析を行い炭化水素のタイプ分析を行った結果得られるものである。
[分析条件]
(分別条件)
シリカゲル :ワコーシルC200 36g
試料量 :1.6g
飽和分溶出溶媒 :n−ペンタン 100mL
芳香族分溶出溶媒 :ジエチルエーテル 80mL
溶媒除去 :ロータリーエバポレーター(30℃水浴)
(GC条件)
カラム :phenomenex社製 ZB-1MS(30m×φ0.25mm、0.25μm-film)
オーブン温度 :50℃(5min保持)−(5℃/min)→230℃−(20℃/min)→340℃
注入法 :スプリット
注入部温度 :340℃
GCインターフェース温度:350℃
キャリアガス :He
キャリアガス流量 :1.4mL/min(一定)
(TOFMS条件)
装置 :日本電子社製JMS−T100GC
対向電極電圧 :−10kV
イオン化法 :FI(電界イオン化)
イオン源温度 :室温
質量数測定範囲 :m/z 35〜500
(分別条件)
シリカゲル :ワコーシルC200 36g
試料量 :1.6g
飽和分溶出溶媒 :n−ペンタン 100mL
芳香族分溶出溶媒 :ジエチルエーテル 80mL
溶媒除去 :ロータリーエバポレーター(30℃水浴)
(GC条件)
カラム :phenomenex社製 ZB-1MS(30m×φ0.25mm、0.25μm-film)
オーブン温度 :50℃(5min保持)−(5℃/min)→230℃−(20℃/min)→340℃
注入法 :スプリット
注入部温度 :340℃
GCインターフェース温度:350℃
キャリアガス :He
キャリアガス流量 :1.4mL/min(一定)
(TOFMS条件)
装置 :日本電子社製JMS−T100GC
対向電極電圧 :−10kV
イオン化法 :FI(電界イオン化)
イオン源温度 :室温
質量数測定範囲 :m/z 35〜500
上記条件で灯油サンプルの質量分析を行い、得られたマススペクトルから各ピークをCnH2n+zのタイプで分類し、分子イオン強度の百分率として各割合を求めた。
なお、ここでは式CnH2n+zのz=+2はパラフィン類、z=0は1環シクロパラフィン類、z=−2は2環シクロパラフィン類、z=−4は3環シクロパラフィン類、z=−6はアルキルベンゼン類、z=−8はテトラヒドロナフタレンのような1環のナフテノベンゼン類、z=−10はオクタヒドロフェナントレンのような2環のナフテノベンゼン類と定義している。
なお、ここでは式CnH2n+zのz=+2はパラフィン類、z=0は1環シクロパラフィン類、z=−2は2環シクロパラフィン類、z=−4は3環シクロパラフィン類、z=−6はアルキルベンゼン類、z=−8はテトラヒドロナフタレンのような1環のナフテノベンゼン類、z=−10はオクタヒドロフェナントレンのような2環のナフテノベンゼン類と定義している。
本発明の灯油組成物の蒸留性状に関しては、以下の性状を有することが好ましい。
初留点は、140℃以上であることが好ましく、143℃以上であることがより好ましく、145℃以上であることがさらに好ましい。初留点が140℃未満の場合は引火点低下による安全性への影響があるため好ましくない。一方、低温時の着火特性維持の観点から、175℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。
30容量%留出温度(T30)は、170℃以上であることが好ましく、175℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。T30が170℃未満の場合は発熱量の観点から好ましくない。一方、低温時の着火性の観点から、210℃以下であることが好ましく、205℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
50容量%留出温度(T50)は170℃以上であることが好ましく、175℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。T50が170℃未満の場合は燃料消費率が不十分となる傾向にある。一方、燃焼性の観点から、230℃以下であることが好ましく、225℃以下であることがより好ましい。
70容量%留出温度(T70)は、発熱量の観点から、190℃以上であることが好ましく、195℃以上であることがより好ましい。一方、燃焼性の観点から、250℃以下であることが好ましく、245℃以下であることがより好ましい。
95容量%留出温度(T95)は、燃焼性の観点から、270℃以下であることが好ましく、268℃以下であることがより好ましい。
終点は、300℃以下であることが好ましく、295℃以下であることがより好ましく、290℃以下であることがさらに好ましい。終点が300℃を超えると、点火時にススが発生しやすく、特に、芯式ストーブに使用した場合に芯にタールが付着しやすくなる傾向にある。
なお、本発明でいう初留点、T30、T50、T70、T95、終点とは、それぞれJIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法蒸留試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物の引火点は、40℃以上であることが好ましく、41℃以上であることがより好ましく、42℃以上であることがさらに好ましい。引火点が40℃未満の場合には取り扱い上の安全性の観点から好ましくない。
なお、本発明でいう引火点とは、JIS K2265「引火点の求め方」のタグ密閉式で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう引火点とは、JIS K2265「引火点の求め方」のタグ密閉式で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物の硫黄分は、10質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることがさらに好ましい。硫黄分含有量が多くなると相対的に臭いは強くなる傾向があり、さらに燃焼排出ガス中の硫黄酸化物の抑制、及び暖房用機器に装着されている排ガス後処理用触媒の長寿命化の点から10質量ppmを超えない事が好ましい。
なお、本発明でいう硫黄分とは、JIS K2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定される値を意味する。
なお、本発明でいう硫黄分とは、JIS K2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物の15℃における密度は、770kg/m3以上820kg/m3以下であることが好ましく、775kg/m3以上815kg/m3以下であることがより好ましく、780kg/m3以上810kg/m3以下であることがより好ましい。15℃における密度が770kg/m3未満の場合には、燃料消費率の観点から好ましくなく、また820kg/m3を超える場合には、燃焼性の観点から好ましくない。
なお、本発明でいう15℃における密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度の求め方」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう15℃における密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度の求め方」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物の30℃における動粘度は、1.0mm2/s以上1.7mm2/s以下であることが好ましく、1.1mm2/s以上1.65mm2/s以下であることがより好ましく、1.2mm2/s以上1.6mm2/s以下であることがさらに好ましい。30℃における動粘度が1.0mm2/s未満の場合には、芯式ストーブにおける芯への染み込み性などの観点から好ましくなく、一方、1.7mm2/sを超える場合には、芯式ストーブ消火後の余熱による芯からの染み出し防止などの観点から好ましくない。
なお、本発明でいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物の煙点は、21mm以上であることが好ましく、22mm以上であることがより好ましく、23mm以上であることがさらに好ましい。煙点が21mm未満の場合には、芯式ストーブにおけるすすの発生や不完全燃焼を防止する観点から好ましくない。
なお、本発明でいう煙点とは、JIS K2537「石油製品−灯油及び航空タービン燃料油−煙点試験方法」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう煙点とは、JIS K2537「石油製品−灯油及び航空タービン燃料油−煙点試験方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物の過酸化物価は、1質量ppm以下であることが好ましい。過酸化物価が1質量ppmを超える場合には、過酸化物の生成による燃焼不良への懸念が生じる。
なお、本発明でいう過酸化物価とは、石油学会法JPI−5S−46−96「灯油の過酸化物価試験方法」で測定される値を意味する。
なお、本発明でいう過酸化物価とは、石油学会法JPI−5S−46−96「灯油の過酸化物価試験方法」で測定される値を意味する。
本発明の灯油組成物の全芳香族分は、燃焼性の観点から、26.0容量%以下であることが好ましく、25.5容量%以下であることがより好ましく、25.0容量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明でいう全芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される全芳香族分の含有量を意味する。
なお、本発明でいう全芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される全芳香族分の含有量を意味する。
また、上記芳香族分のうち、二環以上の芳香族分は、1.5容量%以下であることが好ましく、1.3容量%以下であることがより好ましく、1.1容量%以下であることがさらに好ましい。二環以上の芳香族分が1.5容量%を超えると、燃焼性が低下したり、貯蔵安定性が低下する。
なお、本発明でいう二環以上の芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される二環芳香族分および三環以上芳香族分含有量の総和を意味する。
なお、本発明でいう二環以上の芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される二環芳香族分および三環以上芳香族分含有量の総和を意味する。
本発明の灯油組成物の飽和分は、燃焼性の観点から、68容量%以上であることが好ましく、72容量%以上がより好ましく、74容量%以上がさらに好ましい。
なお、本発明でいう飽和分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される飽和炭化水素の含有量を意味する。
なお、本発明でいう飽和分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される飽和炭化水素の含有量を意味する。
本発明の灯油組成物のオレフィン分は、貯蔵安定性の観点から、5容量%以下であることが好ましく、3容量%以下がより好ましく、1容量%以下がさらに好ましい。
なお、本発明でいうオレフィン分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定されるオレフィン系炭化水素の含有量を意味する。
なお、本発明でいうオレフィン分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定されるオレフィン系炭化水素の含有量を意味する。
前記性状を有する本発明の灯油組成物は、安定性、臭気低減、引火性、燃焼性、安全性、並びに暖房機器に対する適合性の全てがバランスよく高められたものであり、暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能なものである。したがって、本発明の灯油は、石油ストーブ(例えば、芯式ストーブ)や石油ファンヒーター等の暖房機器に使用される暖房用灯油として非常に有用である。
本発明の灯油組成物は、必要に応じて、灯油基材の他に各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、フェノール系、アミン系化合物などの酸化防止剤、シッフ型、チオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン系化合物などの表面着火剤、アルケニルコハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコールやそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステル、1−メトキシ−2−アセトキシプロパンなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アゾ染料などの着色剤、クマリン等の識別剤などが挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら添加剤の添加量は任意であるが、その合計添加量は、灯油全量に対して、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。
上述の添加剤としては、常法に従い合成したものを用いてもよく、また市販の添加剤を用いてもよい。なお、市販されている添加剤は、その添加剤が目的としている効果に寄与する有効成分を適当な溶剤で希釈している場合もある。有効成分が希釈されている市販添加剤を使用する場合には、灯油中の当該有効成分の含有量が上述の範囲になるように市販添加剤を添加することが好ましい。
上述の添加剤としては、常法に従い合成したものを用いてもよく、また市販の添加剤を用いてもよい。なお、市販されている添加剤は、その添加剤が目的としている効果に寄与する有効成分を適当な溶剤で希釈している場合もある。有効成分が希釈されている市販添加剤を使用する場合には、灯油中の当該有効成分の含有量が上述の範囲になるように市販添加剤を添加することが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた分解灯油基材の性状を表1に、直留灯油基材の性状を表2に示す。また、実施例1〜6である灯油(1)〜(6)、比較例1〜2である比較灯油(1)〜(2)の調製方法は以下に記載の通りであり、各灯油の性状を表3に示す。
<灯油(1)>
直留灯油基材1と分解灯油基材(軽質)を、容量比99.8:0.2で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度307℃、水素分圧3.3MPa、LHSV2.1h−1、水素/油比88NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(1)を得た。
直留灯油基材1と分解灯油基材(軽質)を、容量比99.8:0.2で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度307℃、水素分圧3.3MPa、LHSV2.1h−1、水素/油比88NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(1)を得た。
<灯油(2)>
直留灯油基材1と分解灯油基材(軽質)を、容量比80.5:19.5で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度308℃、水素分圧3.3MPa、LHSV2.1h−1、水素/油比88NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(2)を得た。
直留灯油基材1と分解灯油基材(軽質)を、容量比80.5:19.5で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度308℃、水素分圧3.3MPa、LHSV2.1h−1、水素/油比88NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(2)を得た。
<灯油(3)>
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比99.8:0.2で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度306℃、水素分圧3.0MPa、LHSV1.6h−1、水素/油比128NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(3)を得た。
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比99.8:0.2で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度306℃、水素分圧3.0MPa、LHSV1.6h−1、水素/油比128NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(3)を得た。
<灯油(4)>
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比91.4:8.6で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度302℃、水素分圧3.1MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比129NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(4)を得た。
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比91.4:8.6で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度302℃、水素分圧3.1MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比129NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(4)を得た。
<灯油(5)>
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比83.8:16.2で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度302℃、水素分圧3.0MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比134NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(5)を得た。
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比83.8:16.2で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度302℃、水素分圧3.0MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比134NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(5)を得た。
<灯油(6)>
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比82:18で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度303℃、水素分圧3.0MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比136NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(6)を得た。
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比82:18で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度303℃、水素分圧3.0MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比136NL/Lの条件下で水素化精製を行い、灯油(6)を得た。
<比較灯油(1)>
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比80.2:19.8で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度303℃、水素分圧3.1MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比136NL/Lの条件下で水素化精製を行い、比較灯油(1)を得た。
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比80.2:19.8で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度303℃、水素分圧3.1MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比136NL/Lの条件下で水素化精製を行い、比較灯油(1)を得た。
<比較灯油(2)>
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比76:24で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度303℃、水素分圧3.2MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比140NL/Lの条件下で水素化精製を行い、比較灯油(2)を得た。
直留灯油基材2と分解灯油基材(重質)を、容量比76:24で混合し、ニッケル−コバルト−モリブデン担持アルミナ触媒を用い、反応温度303℃、水素分圧3.2MPa、LHSV1.3h−1、水素/油比140NL/Lの条件下で水素化精製を行い、比較灯油(2)を得た。
(燃料の評価試験)
試験用暖房機器として、芯上下式ストーブ(コロナ社製:放射型芯式ストーブ)に試料油(灯油(1)〜(6)、比較灯油(1)〜(2))を充填し、「点火→2時間の定常運転→2時間弱火運転→消火」を1サイクルとし、これらの工程を200サイクル(800時間)繰り返した。800時間後の燃料消費量の評価結果を表3に示す。なお、表中の『○』、『△』、『×』はそれぞれ800時間後の燃料消費低下(%)が『10以下』、『10を超え15未満』、『15以上』を表す。
試験用暖房機器として、芯上下式ストーブ(コロナ社製:放射型芯式ストーブ)に試料油(灯油(1)〜(6)、比較灯油(1)〜(2))を充填し、「点火→2時間の定常運転→2時間弱火運転→消火」を1サイクルとし、これらの工程を200サイクル(800時間)繰り返した。800時間後の燃料消費量の評価結果を表3に示す。なお、表中の『○』、『△』、『×』はそれぞれ800時間後の燃料消費低下(%)が『10以下』、『10を超え15未満』、『15以上』を表す。
この結果から、特定の分解灯油基材と特定の直留灯油基材を所定の混合割合で混合して脱硫し灯油に利用することで、暖房機器を長期にわたって安定的に運転可能な灯油を製造できることを見出し、灯油増産時においても、特に石油ストーブや石油ファンヒーター等の暖房機器を長期にわたって安定的に運転することが可能な灯油を提供することができるという格別の効果を奏することがわかった。
Claims (5)
- 流動接触分解工程から得られる分解灯油基材0.2容量%以上19.5容量%以下と、原油を常圧蒸留装置で処理して得られる直留灯油基材80.5容量%以上99.8容量%以下を混合し、水素化処理することにより製造される灯油組成物。
- 分解灯油基材が、蒸留性状における5容量%留出温度が140℃以上、95容量%留出温度が290℃以下、終点が300℃以下であり、全芳香族分が90容量%以下、2環以上の芳香族分が40容量%以下、15℃における密度が800kg/m3以上920kg/m3以下、30℃における動粘度が0.7mm2/s以上1.7mm2/s以下、煙点が5mm以上であり、直留灯油基材が、蒸留性状における初留点が140℃以上、95容量%留出温度が290℃以下、終点が300℃以下であり、引火点が40℃以上、全芳香族分が5容量%以上25容量%以下、2環以上の芳香族分が5容量%以下、15℃における密度が770kg/m3以上820kg/m3以下、30℃における動粘度が1.0mm2/s以上1.7mm2/s以下、煙点が21mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の灯油組成物。
- ナフテノベンゼン類の割合が11.0%未満(イオン強度)、ベンゼン環を1個とナフテン環を2個有するナフテノベンゼン類(2環ナフテノベンゼン類)の割合が1.2%以下(イオン強度)、2環ナフテノベンゼン類と環の総数が3以上のシクロパラフィン類の合計割合が1.5%以下(イオン強度)であることを特徴とする請求項1または2に記載の灯油組成物。
- 蒸留性状における初留点が140℃以上、50容量%留出温度が170℃以上230℃以下、終点が300℃以下であり、引火点が40℃以上、硫黄分が10質量ppm以下、15℃における密度が770kg/m3以上820kg/m3以下、30℃における動粘度が1.0〜1.7mm2/s、煙点が21mm以上、過酸化物価が1質量ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の灯油組成物。
- 全芳香族分が26.0容量%以下、二環以上の芳香族分が1.5容量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の灯油組成物。
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