JP5205642B2 - 燃料油組成物 - Google Patents

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、燃料油組成物に関し、更に詳しくは、酸化安定性や色相安定性に優れる航空機用燃料油組成物に関する。
燃料油の中でも、航空機用燃料、特に航空タ−ビン用燃料は、航空機の翼中に貯蔵され、エンジンへの供給に際してエンジンからの排熱と熱交換することにより効率を上げると共に、エンジンの冷却も担っている。従って、航空機用燃料は、高温度に長時間さらされることになり、その結果、変色及び分解が生じてガム分、粒状物質のような不溶性物質を生成する場合があるため、航空機用燃料において酸化安定性は重要な要求項目である。
従来から、航空機用燃料の悪化の原因物質としては、フェノ−ル、ナフテン酸塩、硫黄化合物等が知られており、その他、ピロ−ル類、インド−ル類などN−H含有複素環式芳香族化合物が熱安定性に悪影響を及ぼすので、それらを低減することも知られている(特許文献1参照)。
また、航空機用燃料の熱安定性を向上させるための方法として、ヒドロキシルアミンなどを添加することにより高温での分解に対し安定化させることが知られている(特許文献2参照)。
更にまた、航空機用燃料には、2,6−ditertiary−butyl−phenolや2,6−ditertiary−butyl−4−metyl−phenolなどのフェノ−ル系の酸化防止剤が一般に添加されることになっている(非特許文献1参照)。
特表2005−529197号公報 特開2005−163034号公報 JET A−1 共同利用貯油施設向け統一規格(Issue 20)
しかしながら、上記のような熱安定性に悪影響を及ぼす原因物質の低減を図ったり、上記のような熱安定性向上剤や酸化防止剤を添加した場合においても、従来の航空機用燃料においては、輸送や燃料タンク貯蔵中にしばしば色相を悪化させる着色物質やガム分などの不溶性物質が生じるなど課題が残され、それらが噴射ノズルを詰まらせるトラブルが生じる懸念がある。
上記問題点に鑑み、本発明の目的は、貯蔵中の酸化安定性と色相安定性に優れた燃料油組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、航空用燃料の酸化安定性には原油由来のフェノール、およびアルキルフェノール類が大きく影響することを突き止め、これらの含有量を規定することで燃料油自体の酸化安定性を改善することが可能になるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す特徴を有する燃料油組成物を提供するものである。
(1)フェノール系酸化防止剤を添加することなく、原油由来のフェノールおよび下記式(1)で表されるアルキルフェノール類を含み、前記フェノールおよび前記アルキルフェノール類の総含有量が0.2〜30質量ppmであり、硫黄分の含有量が380質量ppm〜0.3質量%であり、チオフェン類由来の硫黄分が1〜110質量ppm以下であり、臭素価が0.1〜0.6であることを特徴とする燃料油組成物。
Figure 0005205642
[上記式(1)中、R1〜5のうち1〜4個はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を表し、他は水素原子を表す。]
(2)前記チオフェン類がアルキル基の総炭素数が1〜3であるアルキルチオフェンであることを特徴とする上記(1)に記載の燃料油組成物。
(3)アニリン類の含有量が0.5質量ppm以下であり、窒素分の含有量が2質量ppm以下であり、引火点が40℃以上、セ−ボルト色が+15以上、芳香族分の含有量が25容量%以下、オレフィン分の含有量が5容量%以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の燃料油組成物。
(4)前記アニリン類が、アルキル基の総炭素数が1〜3であるアルキルアニリンであることを特徴とする上記(3)に記載の燃料油組成物。
本発明によれば、燃料油組成物自体の酸化安定性が改善され、酸化安定性と色相安定性に優れた燃料油組成物を提供することができる。
以下、本発明の内容を更に詳しく説明する。
本発明の燃料油組成物において、フェノールおよび下記式(1)で表されるアルキルフェノール類の総含有量は0.2〜30質量ppm、好ましくは0.2〜20質量ppm、更に好ましくは0.5〜20質量ppmである。
Figure 0005205642
上記式(1)中、R1〜5のうち1〜4個はそれぞれ独立して炭素数1〜4、好ましくは炭素数1のアルキル基を表し、他は水素原子を表す。また、アルキル基の総炭素数は1〜4であることが好ましい。式(1)で表されるアルキルフェノール類(以下、単に「アルキルフェノール類」とも言う。)においては、アルキル基の総炭素数が1である場合とは、1つのメチル基が置換している状態を意味し、総炭素数が2もしくは3である場合とは、1つのエチル基もしくはプロピル基が置換している状態、または2〜3個のメチル基が置換している状態を意味する。このようなアルキルフェノール類の具体例としては、p−クレゾール、2,6−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノールなどが挙げられる。フェノールおよびアルキルフェノール類は酸化時に発生するラジカルを捕捉してラジカル発生を抑える作用を有し、極微量であっても強力なラジカル捕捉剤となることから、燃料油の酸化安定性を向上させる効果を与える。フェノールとアルキルフェノール類の含有量が0.2質量ppm以上であれば、酸化安定性に優れ、室温で1年間貯蔵した場合などよりも、より過酷な燃料機器の高温下にさらされるような条件、例えば、100℃で20時間貯蔵してもスラッジの発生を抑制することができる。また、30質量ppm以下であれば、これらの物質が急性毒性や腐食性を有するため、人体や環境に与える影響を抑制できる。
また、本発明における、燃料油組成物中のフェノールとアルキルフェノール類の総含有量は、試料を水酸化ナトリウム溶液と混合・振とう後、静置して2層に分離させた後の水酸化ナトリウム溶液層にUVを照射し、292nmの吸光度を測定することで定量できる。
本発明の燃料油組成物において、硫黄分は0.3質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下である。硫黄分が0.3質量%以下であれば、燃焼時に亜硫酸ガスが発生しにくくなり、燃焼系統の腐食を低減できるため好ましい。
なお、硫黄分は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」によって定量できる。
本発明の燃料油組成物において、チオフェン類の含有量は1〜110質量ppm以下であり、好ましくは1〜100質量ppm以下である。チオフェン類とはここではアルキル基の総炭素数が1〜3であるアルキルチオフェンを示す。チオフェン類は、過酸化物分解反応の阻害のためスラッジを不活性な化合物に分解して連鎖反応への寄与を切断する作用を持っており、極微量であっても強力な過酸化物分解剤となる。これにより、フェノールおよびアルキルフェノール類程ではないが、燃料油組成物の酸化安定性を向上させる効果を与える。チオフェン類由来の硫黄分量が1質量ppm以上であれば、酸化安定性に優れ、室温で1年間貯蔵した場合などよりも、より過酷な燃料機器の高温下にさらされるような条件、例えば、100℃で20時間貯蔵してもスラッジの発生を抑制することができる。
また、本発明におけるチオフェン類由来の硫黄分量は、ガスクロマトグラフ法−硫黄化学発光法(GC−SCD)により、灯油組成物中の硫黄化合物のタイプ別分析を行い、硫黄化合物中のチオフェン類の割合を算出する。ここで得られた割合を微量電量滴定式酸化法(JIS K 2541)により求めた灯油組成物中の全硫黄分量に乗ずることで求めることができる。
本発明の燃料油組成物において、臭素価は0.1〜0.6であり、好ましくは0.1〜0.5である。臭素価とは、熱安定性に悪影響を与えると考えられる微量なオレフィンなどの2重結合が燃料油組成物中にどれだけ含まれているかを示す指標であり、0.6以下であれば、燃料油組成物の熱安定性は保たれる。
なお、臭素価はJIS K 2605「石油製品-臭素価試験方法-電気滴定法」により定量できる。
本発明の燃料油組成物において、アニリン類の含有量は0.5質量ppm以下であり、好ましくは0.3質量ppm以下である。アニリン類とは、アニリン、およびアニリン中のベンゼン環の水素原子をアルキル基もしくはハロゲンで置換した化合物、すなわちアルキルアニリンもしくはハロゲン化アニリンを指す。これらのアニリン類は、光や熱などで変色し、着色する性質があり、燃料油に対して色相の劣化を生じさせることがある。そこで、アニリン類の含有量が0.5質量ppm以下ならば、燃料油への着色の影響が少ないため、長期タンクに貯蔵していても色相劣化が顕著になることがなく、色相の安定性が図れる。なお、本発明の燃料油組成物におけるアニリン類の含有量は、少ないほど好ましく、0質量ppmが最も好ましい。
アニリン類の具体例としては、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N−トリメチルアニリン、N−エチルアニリン、p−プロピルアニリン等のアルキル基を側鎖に持つアルキルアニリン、およびo−クロロアニリン、o−ブロモアニリン等のハロゲン化アニリンなどが挙げられる。アニリン類の中でも、アルキルアニリンは燃料油基材中に含有されるケ−スが多いため、本発明の燃料油組成物では、これらのアルキルアニリンの低減が特に重要となる。なお、アルキルアニリン中のアルキル基の総炭素数は1〜3であることが好ましい。またベンゼン環におけるアルキル基の置換位置や数は特に制限されるものではない。アルキル基の総炭素数が1である場合とは、1つのメチル基が置換している状態を意味し、総炭素数が2もしくは3である場合とは、1つのエチル基もしくはプロピル基が置換している状態、または2〜3個のメチル基が置換している状態を意味する。アルキルアニリンの具体例としては、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン等が挙げられる。
上記アニリン類の含有量は、GC−NCD(ガスクロマトグラフ/化学発光窒素検出器)分析やGC−MS(ガスクロマトグラフ/質量分析計)分析によって定量することができる。
本発明の燃料油組成物において、窒素分の含有量は、2質量ppm以下であり、好ましくは1質量ppm以下である。窒素分が2質量ppm以下であれば、色相の安定性が図れて、また、熱による安定性悪化を低減できる。また、窒素分の含有量は、少ないほど好ましく、0質量ppmが最も好ましい。
なお、窒素分は、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」によって定量できる。
更には、本発明の燃料油組成物において、15℃における密度、引火点、及び煙点は下記の範囲であることが好ましい。
15℃における密度は、0.78〜0.81g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.79〜0.81g/cmである。15℃における密度が0.78g/cm以上であれば、燃費を良好に保てるので好ましい。
なお、密度は、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法」で求めることができる。
引火点は、40℃以上であることが好ましく、より好ましくは40〜60℃であり、更に好ましくは41〜60℃である。引火点が40℃以上であれば、常温で可燃性蒸気が発生することがなく、静電気などで着火する危険性を低減できるので好ましい。
なお、引火点は、JIS K 2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」で求めることができる。
煙点は、21〜27mmであることが好ましく、23〜27mmであることがより好ましい。煙点が21mm以上であれば、燃焼性が良好であるので好ましい。
なお、煙点は、JIS K 2537「石油製品−燃料油及び航空タービン燃料油−煙点試験方法」で求めることができる。
本発明の燃料油組成物において、セ−ボルト色は+15以上であり、好ましくは+15以上+30以下、更に好ましくは+20以上+30以下である。セ−ボルト色が+15以上ならば、品質上の面、外観、貯蔵劣化によるスラッジ生成などの問題が発生しにくいため好ましい。
なお、セ−ボルト色は、JIS K 2580「石油製品−色試験方法」によって測定できる。
また、本発明の燃料油組成物において、芳香族分の含有量は25容量%以下であり、好ましくは5容量%以上25容量%以下、更に好ましくは5容量%以上20容量%以下である。芳香族分が25容量%以下ならば、燃焼性の悪化を防止し、吹き消え(ブロ−アウト)が起こる危険性を低減できる。
なお、芳香族分は、JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法(HPLC)」に基づいて定量できる。
そして、本発明の燃料油組成物において、オレフィン分の含有量は5容量%以下であり、好ましくは3容量%以下である。オレフィン分が5容量%以下ならば、熱による安定性悪化を防止できるため好ましい。また、オレフィン分は少ないほど好ましく、0容量%が最も好ましい。
なお、オレフィン分は、JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法(HPLC)」に基づいて定量できる。
本発明の燃料油組成物において、蒸留性状は、初留点135〜170℃、好ましくは140〜170℃、50%留出温度165〜220℃、好ましくは195〜220℃、70%留出温度170〜240℃、好ましくは205〜240℃、90%留出温度215〜265℃、好ましくは220〜260℃、95%留出温度230〜270℃、好ましくは240〜270℃である。初留点が170℃より低ければ、着火し難い等の問題が生じる可能性が少ないため好ましい。初留点が135℃より高ければ、引火点が高くなりJIS K 2203で定められる燃料油の引火点規格値である40℃を下回る可能性が少なくなるため好ましい。また、50%留出温度が220℃、70%留出温度が240℃、90%留出温度が265℃、95%留出温度が270℃より低ければ、着火し難く定常燃焼に至るまでに時間がかかる等の問題が生じる可能性が少なくなるため好ましい。また50%留出温度が165℃、70%留出温度が170℃、90%留出温度が215℃、95%留出温度が230℃より高ければ、安定した燃焼状態が保て、また、消火の際に鎮火し難い等の問題が起きる可能性が少なくなるため好ましい。
なお、蒸留性状はJIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」によって測定できる。
本発明の燃料油組成物の製造に用いる基材は、原油を常圧蒸留して得られるナフサ留分、灯油留分及びそれらを脱硫した脱硫ナフサ、脱硫灯油を用いることができる。また、灯油留分を脱蝋処理した留分や、水素化脱硫装置や水素化分解装置、接触分解装置、熱分解装置などから得られるナフサから灯油までの留分を用いることもできるし、それらを直接水素化処理した基材や、処理原油を常圧蒸留して得られるナフサから灯油までの留分を混合したものを更に脱硫処理などした基材も利用できる。更に、各種原料をガス化して得られる合成ガス(COと水素)からFT反応により合成したナフサ、灯油留分なども利用できて、本発明の燃料油組成物の製造には各種燃料油基材を任意に用いることができる。
特に、脱硫処理に当たって脱硫反応後の精製油中のフェノールとアルキルフェノール類の総含有量が0.2〜30質量ppm、アニリン類の含有量が0.5質量ppm以下となるように、選択的な脱硫触媒、及び反応条件(温度、水素分圧など)、更には反応方式(2段脱硫など)を適切に設定し脱硫することが好ましい。
さらに、より好ましい製造方法としては、燃料油基材にフェノール、アルキルフェノール類を本発明の規定を満たすように添加することで得ることができ、また、アニリン類を除去するため、燃料油基材を酸系の吸着剤、例えば、モレキュラ−シ−ブスに通油させる方法がある。この操作を実施することで、アニリン類のない燃料油基材を得ることができる。
別の方法として市販溶剤を混合した混合溶剤や、合成ガスからフィッシャー・トロプシュ合成で得られたパラフィン系炭化水素類等に、特定の化合物としてフェノールとアルキルフェノール類を本発明の規定を満たすように添加することでも得ることができる。
また、本発明の燃料油組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を適宜配合することができる。このような添加剤としては、氷結防止剤、酸化防止剤、金属不活性剤、静電気防止剤、潤滑性向上剤、など公知の燃料添加剤を用いることができる。これらの添加剤は、一種を単独で又は数種を組み合わせて添加することができる。
次に、本発明を実施例、比較例により更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
実施例、比較例において、燃料油組成物の性状測定や、その酸化安定性の評価のための貯蔵試験は次のように行った。
燃料油組成物の引火点、蒸留性状、硫黄分、煙点は、JIS K 2203に定められる方法に準拠し、臭素価はJIS K 2605に準拠して測定を行った。
測定を行なった。
〔貯蔵試験:セーボルト色およびスラッジ生成量の測定〕
貯蔵試験は、従来の酸化安定性の評価よりも更に過酷な燃料機器の高温下にさらされるような条件、100℃で20時間貯蔵した際のセーボルト色の変化とスラッジの発生について試験を行った。
貯蔵試験方法、その条件を下記に示す。
試験温度:100℃、試料量:300ml、容器材質:ほう珪酸ガラス、
容器容量:500ml、雰囲気:酸素常圧密閉、光の有無:暗所、
鋼片(SPCC):1×20×50mmを1枚入れる
試験期間:20時間
貯蔵試験前後のセーボルト色の測定はJIS K 2580に、スラッジ測定は、JIS K 2276に準拠して行なった。
〔フェノールおよびアルキルフェノール類の総含有量の測定〕
燃料油組成物中のフェノールとアルキルフェノール類の総含有量は、試料を水酸化ナトリウム溶液と混合し、振とう・静置することで得られた水酸化ナトリウム溶液層にUVを照射させ、292nmの吸光度を測定することで定量できる。UV分析装置及び分析条件の一例を以下に示す。
装置:紫外可視分光光度計 UV2500PC(商品名、株式会社島津製作所製)
測定吸光度:292nm
試料量:100mL
10%水酸化ナトリウム溶液量:5mL
振とう条件:300rpm 5min
〔窒素化合物含有量の測定〕
窒素化合物の含有量は、試料をヘキサン、クロロホルム、アセトンの順で固相抽出をし、アセトンの溶出液を濃縮して、GC−NCD、GC−MSで分析を実施することで定量した。GC−NCDの測定には、GC−2010(商品名、株式会社島津製作所製)と7090N(商品名、ANTEK社製)を用いた。GC−MSの測定には、Agilent 6890N及びAgilent 5973 四重極質量分析計(いずれも商品名、Agilent社製)を用いた。各分析条件を表1および表2に示す。
Figure 0005205642
Figure 0005205642
〔芳香族分、オレフィン分の測定〕
燃料油組成物の芳香族分とオレフィン分の割合は、JPI−5S−49−97「石油製品-炭化水素タイプ試験方法-高速液体クロマトグラフ(HPLC)」に準拠し求めた。分析条件を以下に示す。
装置:株式会社島津製作所製 HPLC−10Avpシリーズ
システムコントローラー:SCL−10Avp
送液ポンプ:LC−10ADvp
デガッサー:DGV−14A
オートサンプラー:SIL−10ADvp
検出器:示差屈折率検出器 RID−10A
カラムオーブン:CTO−10Avp
移動相:n−ヘキサン
流量:1.0ml/min
カラム:硝酸銀含浸シリカカラム(4.6mmI.D.*70mmL. 株式会社センシュー科学製AgNO3−1071−Y)
アミン修飾カラム(4.0mmI.D.*250mmL.2本 株式会社センシュー科学製 NH2−0251−N)
カラム温度:35℃
試料濃度:10vol.%(移動相溶媒で希釈)
注入量:5μL
〔チオフェン類由来の硫黄分量の測定〕
燃料油組成物のチオフェン類由来の硫黄分量は、GC−SCDにより硫黄化合物のタイプ別分析を行い、そこで得られたチオフェン類割合を微量電量滴定式酸化法により求めた全硫黄分量に乗ずることで求めた。GC−SCDの分析条件を下記に示す。
装置:GC;GC−2010(商品名、株式会社島津製作所製)
SCD;7090S(商品名、ANTEK社製)
カラム:HP−1MS(Polydimethyl siloxane)
カラム温度:40℃(1min)−(10℃/min)−300℃(3min)
測定時間:30min
Inlet温度:300℃、検出器温度:300℃
キャリアガス:He;80kPa、2.62ml/min、40.3cm/sec
制御モード:線速度
Total flow:34.4ml/min、Purge flow:3.0ml/min
注入モード:Split、Split ratio:11:1
Sample size:0.5μl
(実施例1)
原油を常圧蒸留することで得られた直留灯油留分を用いて、表3に示す性状の航空機用燃料油組成物(ジェット燃料・JET(1))を得た。なお、表3において、Aniline+C1〜C3とは、アルキル基の総炭素数が1〜3であるアルキルアニリンの意味である(以下の表においても同様)。その性状と貯蔵試験の結果を同じく表3に示す。
参考例1
原油を常圧蒸留することで得られた直留灯油留分を脱硫処理して得られた脱硫灯油留分を用いて、表3に示す性状の航空機用燃料油組成物(ジェット燃料・JET(2))を得た。その性状と貯蔵試験の結果を同じく表3に示す。
(実施例
原油を常圧蒸留することで得られた直留灯油留分を脱硫処理して得られた脱硫灯油留分を用いて、表3に示す性状の航空機用燃料油組成物(ジェット燃料・JET(3))を得た。その性状と貯蔵試験の結果を同じく表3に示す。
(比較例1)
実施例1で得たものと同様の、原油を常圧蒸留することで得られた直留灯油留分を用いて得た航空機用燃料油組成物より、モレキュラーシーブスによりフェノール、アルキルフェノール類を除去した後、Aniline+C3(アルキル基の総炭素数が3であるアルキルアニリン)である2,4,6−トリメチルアニリンを添加し、アルキルアニリンを含むアニリン類の含有量が本発明の範囲から逸脱した、航空機用燃料油組成物(ジェット燃料・JET(4))を得た。その性状と貯蔵試験の結果を同じく表3に示す。
(比較例2)
原油を常圧蒸留することで得られた直留灯油留分を用いて、窒素分、アルキルアニリンを含むアニリン類の含有量と、セ−ボルト色が本発明の範囲から逸脱した、航空機用燃料油組成物(ジェット燃料・JET(5))を得た。その性状と貯蔵試験の結果を同じく表3に示す。
(比較例3)
参考例1で得たものと同様の、原油を常圧蒸留することで得られた直留灯油留分を脱硫処理して得られた脱硫灯油留分に、流動接触分解装置より得られた沸点範囲が55〜200℃である留分を添加し、フェノール、アルキルフェノール類と、窒素分、アルキルアニリンを含むアニリン類、セ−ボルト色、オレフィン分、アロマ分(芳香族分)の含有量が本発明の範囲から逸脱した、航空機用燃料油組成物(ジェット燃料・JET(6))を得た。その性状と貯蔵試験の結果を同じく表3に示す。
Figure 0005205642
表3から明らかなように、実施例1、2で得た、本発明の規定を満たす燃料油組成物は、試験後、色相の変化がなく、スラッジは生成しなかった。
比較例1で得た、フェノール、アルキルフェノール類とアルキルアニリンを含むアニリン類の含有量が本発明の範囲から逸脱した燃料油組成物は、試験後、色相が5ポイント低下し、スラッジは3.0mg/L生成した。
比較例2で得た、フェノール、アルキルフェノール類と窒素分、アルキルアニリンを含むアニリン類の含有量と、セ−ボルト色が本発明の範囲から逸脱した燃料油組成物は、試験後、色相が4ポイント低下し、スラッジが3.0mg/L生成した。
比較例3で得た、フェノール、アルキルフェノール類と窒素分、アルキルアニリンを含むアニリン類、オレフィン分、アロマ分の含有量と、セ−ボルト色が本発明の範囲から逸脱した燃料油組成物は、試験後、セ−ボルト色が29ポイント低下し、スラッジが10.0mg/L生成した。
これらのことから、フェノール、アルキルフェノール類と窒素分、アルキルアニリンを含むアニリン類、硫黄分、オレフィン分、芳香族分の含有量や、引火点や、セ−ボルト色を本発明の規定の範囲内にすることで、色相及び酸化安定性に優れた燃料油組成物を提供することができることは、明らかである。

Claims (4)

  1. フェノール系酸化防止剤を添加することなく、原油由来のフェノールおよび下記式(1)で表されるアルキルフェノール類を含み、前記フェノールおよび前記アルキルフェノール類の総含有量が0.2〜30質量ppmであり、硫黄分の含有量が380質量ppm〜0.3質量%であり、チオフェン類由来の硫黄分が1〜110質量ppm以下であり、臭素価が0.1〜0.6であることを特徴とする燃料油組成物。
    Figure 0005205642

    [上記式(1)中、R1〜5のうち1〜4個はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を表し、他は水素原子を表す。]
  2. 前記チオフェン類がアルキル基の総炭素数が1〜3であるアルキルチオフェンであることを特徴とする請求項1に記載の燃料油組成物。
  3. アニリン類の含有量が0.5質量ppm以下であり、窒素分の含有量が2質量ppm以下であり、引火点が40℃以上、セ−ボルト色が+15以上、芳香族分の含有量が25容量%以下、オレフィン分の含有量が5容量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料油組成物。
  4. 前記アニリン類が、アルキル基の総炭素数が1〜3であるアルキルアニリンであることを特徴とする請求項3に記載の燃料油組成物。
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