JP5520101B2 - 軽油組成物 - Google Patents

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本発明は、軽油組成物、特には、酸化安定性が良好な軽油組成物に関するものである。
ディーゼルエンジン用燃料等に使用される軽油は、酸化すると変色、沈澱性の重合物(スラッジ)の生成、粘度上昇等が認められ、また、酸化によって生じた過酸化物(ペルオキシド)は、燃料系統の部材(ゴムや金属等)を劣化させることが知られている。そのため、軽油の酸化安定性は、その品質安定性を評価する上で重要な指標の一つとなっており、高い酸化安定性を有する軽油が望まれている。近年、ディーゼルエンジンにおいては、排気ガスの規制強化により、コモンレールによる燃料噴射の高圧化が一段と進むことで軽油への熱負荷が増大し、従来以上に軽油の酸化安定性を高めることが求められている。また、排気ガス浄化触媒の被毒防止の観点から、硫黄分の殆どない、いわゆるサルファーフリーの燃料油が2005年1月から市場に投入されている。更に、燃費規制や二酸化炭素排出量低減、排ガス中の環境負荷物質低減を背景に、軽油の硫黄分は10質量ppmよりもさらに低下させることが要求されている。硫黄分を除去するためには、高温高圧下の軽油に水素を吹き込んで固体触媒に接触させ、水素化分解反応によって硫黄分を硫化水素として除去する水素化脱硫処理が一般に行われている。しかしながら、硫黄分を高度に除去する過程において高温で熱負荷を受けることにより、軽油中に不安定な物質が生成されやすく、酸化安定性を悪化させる場合が多い。
そこで、軽油の硫黄分を除去する反応において温度を下げて、酸素に対して不安定な炭化水素構造を持つ物質の生成を抑える手法が考えられるが、水素化脱硫の触媒活性が低下してくると硫黄分の除去が困難になり、また、一般に原料油に用いられる接触分解軽油や熱分解軽油等に多く含まれるインドール類のような含窒素化合物が水素化脱硫後も製品に残留しやすくなり、やはり酸化安定性を悪化させる。
そこで、軽油の酸化安定性を向上させるために、古くからアミン系及びフェノール系の種々の酸化防止剤等を軽油に添加する手法が行われている。硫黄分を10質量ppm以下に低減した軽油に酸化防止剤を添加する手法は、例えば、特開2004−225000号公報(特許文献1)に開示されている。ここでは、アミン系酸化防止剤としてN,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等、またフェノール系酸化防止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等の使用が可能であると記載されている。
しかしながら、特にディーゼルエンジンの高圧噴射化に伴う軽油への熱負荷増大により、軽油に対する酸化安定性の要求レベルが上がり、これに伴って、酸化安定性評価試験の温度も高くなっている。所望の効果を得るために必要な酸化防止剤の量は、酸化安定性の悪い軽油組成物ほど多くなるため、製造コストを引き上げることとなる。その上、酸化防止剤の量が多くなると、温度低下により酸化防止剤が析出し易くなる。逆に、酸化防止剤の添加量が少ないと、酸化時に酸化防止効果の失活により、その結果、顕著に軽油の酸化安定性を悪化させることになり、エンジン清浄性の低下や金属材料の腐食等の悪影響を及ぼす。
これに対し、特開2006−137922号公報(特許文献2)では、酸化防止剤を添加せずに軽油の酸化安定性を維持する軽油組成物が提案されている。具体的には、酸化安定性の悪い物質としてフルオレン類とナフテンベンゼン類に着目し、これら化合物の含有量を、酸化安定性が良好な物質であるナフタレン類の含有量とのバランスにより特定の範囲に限定して、酸化安定性を確保している。
特開2004−225000号公報 特開2006−137922号公報
本発明者の研究によれば、特許文献2に記載の発明の通りにフルオレン類、ナフテンベンゼン類及びナフタレン類の含有量を調整しても、充分な酸化安定性を示さない場合があることが判明し、上記成分以外にも酸化安定性に著しく影響を与える成分の存在が予想された。
そこで、本発明の目的は、軽油の酸化安定性に対して著しく影響を及ぼすその他の物質を突き止め、酸化安定性に関与する物質の含有量を特定範囲に最適化することで、酸化安定性が良好な軽油組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、酸化安定性に関与する物質の含有量を低減することが可能な軽油組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、軽油組成物中に含まれる1環ナフテン分、2環ナフテン分、ナフテンベンゼン分、2環芳香族分及び3環以上の芳香族分が酸化安定性に関与しており、これら含有量を特定の範囲に制御することで、酸化安定性を向上できることを見出した。詳細には、軽油組成物中の硫黄分を10質量ppm以下まで高度に脱硫する場合、硫黄分と同時に2環芳香族分及び3環以上の芳香族分も減少することになるが、2環芳香族分及び3環以上の芳香族分の含有量が低過ぎると、酸化安定性が悪くなることから、2環芳香族分及び3環以上の芳香族分は酸化安定性が良好な成分であるといえ、それらの含有量の合計をある程度確保する必要がある。一方、1環ナフテン分及び2環ナフテン分のナフテン分やナフテンベンゼン分の含有量が高過ぎても、酸化安定性が悪くなることから、該ナフテン分及びナフテンベンゼン分は酸化安定性を阻害する成分であるといえ、それらの含有量を低く設定する必要がある。また、本発明者は、軽油基材を活性白土で処理することにより、ナフテン分及びナフテンベンゼン分を容易に低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の軽油組成物は、15℃での密度が0.81〜0.86g/cm、硫黄分が10質量ppm以下、90%留出温度が280〜355℃、1環ナフテン分が15容量%以下、2環ナフテン分が6.0容量%以下、ナフテンベンゼン分が6容量%以下、1環ナフテン分と2環ナフテン分とナフテンベンゼン分との合計が12〜23容量%、2環芳香族分と3環以上の芳香族分との合計が0.1〜0.5容量%であることを特徴とする。
本発明の軽油組成物は、炭素数15〜26の1環ナフテン分が10容量%以下、炭素数11〜20の2環ナフテン分が5容量%以下、炭素数11〜20のナフテンベンゼン分が6容量%以下であることが好ましい。
また、本発明の軽油組成物の製造方法は、15℃での密度が0.81〜0.86g/cm、硫黄分が10質量ppm以下、90%留出温度が280〜355℃、1環ナフテン分が15容量%を超え30容量%以下、2環ナフテン分が6.0容量%を超え20容量%以下、ナフテンベンゼン分が6容量%を超え20容量%以下、1環ナフテン分と2環ナフテン分とナフテンベンゼン分との合計が27容量%を超え50容量%以下、2環芳香族分と3環以上の芳香族分との合計が0.1〜0.6容量%の軽油基材を活性白土と15〜50℃の温度にて接触させることを特徴とする。
本発明の軽油組成物は、酸化安定性が良好であるという効果を奏する。このため、本発明の軽油組成物は、酸化防止剤の添加量を減少又は排除することができる。従って、酸化環境下で酸化防止剤が消費された後に急激に増加する酸化劣化物の生成を抑制し、更には、低温時に酸化防止剤が析出するというトラブルを軽減又は排除するという格別な効果を奏する。
<密度>
本発明の軽油組成物は、15℃での密度が0.81〜0.86g/cmである。粒子状物質(PM)を低減する観点から、15℃での密度は0.86g/cm以下であり、好ましくは0.85g/cm以下、更に好ましくは0.840g/cm以下である。一方、容量基準の発熱量を維持して燃費や出力を良好にするため、15℃での密度は0.81g/cm以上であり、好ましくは0.82g/cm以上、更に好ましくは0.825g/cm以上である
<硫黄分>
本発明の軽油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下である。燃焼によって生ずる亜硫酸ガス等に基づく悪臭や環境負荷を低減するため、硫黄分は10質量ppm以下であり、好ましくは5質量ppm以下、更に好ましくは1質量ppm以下である。
<蒸留性状>
本発明の軽油組成物においては、燃費を良好に維持する観点から、90%留出温度を280〜355℃の範囲にする必要がある。なお、該90%留出温度は、更なる燃費の向上の観点から、300〜355℃の範囲が好ましく、340〜355℃の範囲が特に好ましい。また、本発明の軽油組成物は、燃焼及び排気ガスの性状を良好に維持する観点から、50%留出温度を好ましくは200〜300℃、更に好ましくは250〜300℃、特に好ましくは280〜300℃の範囲とする。
<1環ナフテン分、2環ナフテン分>
本発明の軽油組成物は、1環ナフテン分が15容量%以下であることが必要である。酸化安定性を良好にするため、1環ナフテン分は15容量%以下であり、好ましくは13容量%、更に好ましくは12容量%以下である。なお、1環ナフテン分とは、シクロヘキサンを骨格とした炭化水素化合物群であり、該シクロヘキサンが置換基を持つ場合、該置換基の炭素数は1〜30である。また、本発明の軽油組成物は、酸化安定性をより良好にする観点から、炭素数15〜26の1環ナフテン分が10容量%以下であることが好ましく、9.5容量%以下が更に好ましく、7容量%以下が特に好ましい。
また、本発明の軽油組成物は、2環ナフテン分が6.0容量%以下であることが必要である。酸化安定性を良好にするため、2環ナフテン分は6.0容量%以下であり、好ましくは5容量%以下、更に好ましくは4.5容量%以下である。なお、2環ナフテン分とは、デカリンを骨格とした炭化水素化合物群であり、該デカリンが置換基を持つ場合、該置換基の炭素数は1〜25である。また、本発明の軽油組成物は、酸化安定性をより良好にする観点から、炭素数11〜20の2環ナフテン分が5容量%以下であることが好ましく、4.5容量%以下が更に好ましく、4.2容量%以下が特に好ましい。
なお、上記1環ナフテン分及び2環ナフテン分は、その炭素数が大き過ぎると、酸化安定性を低下させるおそれがあることから、本発明の軽油組成物において、1環ナフテン分の炭素数は、35以下が好ましく、28以下が更に好ましく、一方、2環ナフテン分の炭素数は、35以下が好ましく、30以下が更に好ましい。
<ナフテンベンゼン分>
本発明の軽油組成物は、ナフテンベンゼン分が6容量%以下である。酸化安定性を良好にするため、ナフテンベンゼン分は6容量%以下であり、好ましくは5容量%以下、特に好ましくは4.8容量%以下である。なお、ナフテンベンゼン分とは、テトラリンを骨格とした炭化水素化合物群であり、該テトラリンが置換基を持つ場合、該置換基の炭素数は1〜25である。また、本発明の軽油組成物は、酸化安定性をより良好にする観点から、炭素数11〜20のナフテンベンゼン分が6容量%以下であることが好ましく、5容量%以下が更に好ましく、4.5容量%以下が特に好ましい。なお、ナフテンベンゼン分は、その炭素数が大き過ぎると、酸化安定性を低下させるおそれがあることから、本発明の軽油組成物において、ナフテンベンゼン分の炭素数は、35以下が好ましく、30以下が更に好ましい。
<1環ナフテン分、2環ナフテン分、及びナフテンベンゼン分の合計>
上述のように、1環ナフテン分、2環ナフテン分及びナフテンベンゼン分は、いずれも酸化安定性を阻害する成分であるため、本発明の軽油組成物においては、1環ナフテン分と2環ナフテン分とナフテンベンゼン分との合計を23容量%以下に抑える必要がある。一方、軽油中の密度、動粘度が下がる事により、エンジン駆動力の低下、加速性の悪化、さらには潤滑性の悪化の懸念が考えられ、当該観点から、1環ナフテン分、2環ナフテン分及びナフテンベンゼン分の合計をある程度確保する必要もあり、本発明の軽油組成物は、1環ナフテン分と2環ナフテン分とナフテンベンゼン分との合計が12〜23容量%である。なお、酸化安定性の向上効果と、エンジン駆動力、加速性及び潤滑性の維持の観点から、本発明の軽油組成物は、1環ナフテン分と2環ナフテン分とナフテンベンゼン分との合計が、好ましくは12〜22容量%、特に好ましくは18〜22容量%である。
なお、上記成分含有量(1環ナフテン分、2環ナフテン分及びナフテンベンゼン分)の分析には、Agilent Technologies社製HP−6890N型FID検出器付きGC及び日本電子社製AccuTOF JMS−T100GC飛行時間型質量分析計からなるGCシステムを用いた。詳細な分析条件は次の通りである。
1次カラム:微極性カラム(Supelco社製PTE−5、長さ30m、内径0.25mm、フィルム厚0.25μm)
モジュレータ中空カラム:長さ2m、内径0.25mm
2次カラム:高極性カラム(Supelco社製SpelcoWAX10、長さ2m、内径0.25mm、フィルム厚0.25μm)
昇温条件:10℃/分(50℃(5分保持)から280℃(27分保持))
注入口温度:280℃
注入量:1.0μl
スプリット比:100:1
キャリアガス:ヘリウム(He)、1.0ml/分
モジュレータ温度:下記のコールド温度、ホット温度を繰り返す。
ホットジェットガス温度:150℃(5分保持)から320℃(33分保持)に10℃/分で昇温。
コールドジェットガス温度:約−140℃
モジュレータ頻度:6秒間で0.3秒間ホット温度、その後5.7秒間コールド温度。
インターフェイス中空カラム:長さ0.5m、内径0.25mm
FIDガス条件:水素(45mL/分)、空気(450mL/分)、メークアップヘリウム(25mL/分)
ここで、上記GCシステムは、炭素数7〜44の化合物を測定することが可能であり、測定したピーク(山形)の溶出時間とマススペクトルから、それぞれのピーク(山形)に対応する化合物を同定する。同定された全ピーク(山形)の合計を含有量合計(100ピーク体積%)とし、それぞれのピーク(山形)から対応するそれぞれの化合物の含有量をピーク体積%として算出し、これを容量%とする。また、炭素数15〜26の1環ナフテン分、炭素数11〜20の2環ナフテン分、及び炭素数11〜20のナフテンベンゼン分は、上述の測定結果から、各成分毎に特定の炭素数の範囲における容量%を求めた。
<2環芳香族分及び3環以上の芳香族分の合計>
上述のように、2環芳香族分及び3環以上の芳香族分は、酸化安定性が良好な成分であるため、本発明の軽油組成物においては、2環芳香族分と3環以上の芳香族分との合計を0.1〜0.6容量%の範囲にする必要がある。つまり、酸化安定性が良好な成分である2環芳香族分及び3環以上の芳香族分が少なすぎると、酸化安定性を悪化させることから、2環芳香族分と3環以上の芳香族分との合計は、0.1%以上であり、好ましくは0.3容量%以上、更に好ましくは0.4容量%以上である。一方、2環芳香族分と3環以上の芳香族分との合計が多すぎると、これら化合物が酸化活性種と反応して該酸化活性種を安定化させた後に、2環芳香族分や3環以上の芳香族分を構成する分子同士の結合によって、分子量が大きいスラッジ状物質が生成し易くなり、更にはディーゼルエンジンでの燃焼時に煤が発生し易くなり、窒素酸化物排出量も増加し易くなることから、2環芳香族分と3環以上の芳香族分との合計は、0.6容量%以下であり、好ましくは0.5容量%以下、更に好ましくは0.45容量%以下である。
<添加剤>
本発明の軽油組成物は、酸化防止剤を必要に応じて添加してもよい。この場合、当業者であれば、目的とする酸化安定性に応じて、酸化防止剤の添加量を適宜調整することができ、例えば、酸化防止剤の添加量は、1〜10質量ppmであるが、必要に応じて10質量ppmを超えてもよい。
ここで、上記酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系の中で特に制限なく使用できるが、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤や、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
更に、本発明の軽油組成物には、低温流動性向上剤、耐摩耗性向上剤、セタン価向上剤等の公知の燃料添加剤を添加してもよい。低温流動性向上剤としては、エチレン共重合体などを用いることができるが、特には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどの飽和脂肪酸のビニルエステルが好ましく用いられる。耐摩耗性向上剤としては、例えば長鎖脂肪酸(炭素数12〜24)又はその脂肪酸エステルが好ましく用いられる。該耐摩耗性向上剤の添加量が10〜500質量ppm、好ましくは50〜100質量ppmの範囲内であれば、十分に耐摩耗性が向上する。
<軽油組成物の製造方法>
本発明の軽油組成物は、1環ナフテン分、2環ナフテン分及びナフテンベンゼン分の含有量が高い軽油基材を活性白土と15〜50℃の温度にて接触させることにより得られる。例えば、活性白土が充填されたカラムに軽油基材を通すことで、該軽油基材中に含まれる1環ナフテン分、2環ナフテン分及びナフテンベンゼン分を低減することができる。なお、活性白土による処理温度は、低すぎると反応が遅く、また、高すぎても脱離反応が進んで1環ナフテン及び2環ナフテンを除去し難くなるため、該処理温度は、15〜50℃であり、20〜40℃が好ましい。また、特に制限されるものではないが、軽油基材を常圧で活性白土に接触させることが好ましく、LHSVは、0.5〜20h−1が好ましく、1〜10h−1が更に好ましい。
(活性白土)
本発明で用いる活性白土は、特に限定されるものではなく、市販品を好適に使用できる。なお、活性白土とは、酸性白土を酸処理することによりその吸着性能を向上させた粘土の一種であり、吸着剤や石油精製工程での触媒などに用いられる。
(軽油基材)
本発明で用いる軽油基材は、15℃での密度が0.81〜0.86g/cmであり、好ましくは0.82〜0.85g/cmである。また、上記軽油基材の硫黄分は、10質量ppm以下であり、好ましくは5質量ppm以下である。更に、上記軽油基材の90%留出温度は、280〜355℃であり、好ましくは300〜355℃である。また更に、上記軽油基材において、1環ナフテン分は、15容量%を超え30容量%以下、好ましくは17〜25容量%の範囲であり、2環ナフテン分は、6.0容量%を超え20容量%以下、好ましくは6.0を超え15容量%以下の範囲であり、ナフテンベンゼン分は、6容量%を超え20容量%以下、好ましくは8〜15容量%の範囲であり、1環ナフテン分と2環ナフテン分とナフテンベンゼン分との合計は、27容量%を超え50容量%以下、好ましくは30〜50容量%の範囲である。更にまた、上記軽油基材において、2環芳香族分と3環以上の芳香族分との合計は、0.1〜0.6容量%、好ましくは0.3〜0.5容量%の範囲である。
上記軽油基材には、石油精製工程から得られる軽油留分などの留分の他、該留分と1種又は2種以上の化合物との混合物を使用することもできる。具体的には、原料油として、例えば、常圧蒸留装置、接触分解装置、熱分解装置等から得られる軽油留分、すなわち初留点から終点までの沸点範囲(以下、沸点範囲という)が140〜400℃の範囲で留出する留分を用いて、水素化脱硫することにより得られるが、酸化安定性に悪影響を及ぼすスチレン類やジエン類の含有量を抑えるため、水素化脱硫する原料油に、これらの化合物を多く含まない原料油、例えばアスファルトを熱分解した油の混合比率を抑えた原料油を選択することが有効である。また、これら化合物の生成を抑える為、反応温度を低くし、水素分圧を上げたり、水素/オイル比を高くしたりすることも有効である。なお、水素分圧を上げたり、水素/オイル比を高くしたりすることにより、酸化安定性の向上効果を持つ縮合多環芳香族炭化水素の含有量が減少することになるため、2環芳香族分及び3環以上の芳香族分の含有量を増加させるため、該芳香族分を多く含有する接触分解軽油等の重質留分を軽油基材に多く混合させることも有効である。なお、接触分解軽油等の重質留分は、難脱硫成分も多く含有することから、水素化脱硫にあたっては硫黄分を選択的に除去する触媒を用いることが好ましい。また、縮合多環芳香族分を多く含有し、硫黄分の少ない基材を、水素化脱硫した軽油留分に混合して、本発明で用いる軽油基材とすることも有効である。上記縮合多環芳香族分を多く含有し且つ硫黄分の少ない基材としては、接触改質装置から留出される炭素数11以上の成分などが挙げられる。
上記水素化脱硫は、水素化脱硫触媒として、Co、Mo及びNiの1種以上を含有し、又所望によりPを担持したものを用い、反応温度270〜380℃、好ましくは295〜360℃、反応圧力2.5〜8.5MPa、好ましくは2.7〜7.0MPa、LHSV0.9〜6.0h−1、好ましくは0.9〜5.4h−1、水素/オイル比130〜300Nm/kL(±5Nm/kL程度の変動は許容される)の条件の範囲で適宜選択して、上記の性状を満たす軽油基材が得られるようにする。特に、LHSV、水素分圧、水素/オイル比は大きい方が良いが、あまり大きいと縮合多環芳香族成分が水素化されるため、許容上限を超えないようにすることが好ましい。また、酸化安定性の悪いスチレン類やジエン類の生成を抑えるためには、反応温度を低めにするのがよい。なお、上記方法で得られた軽油基材は、低温流動性を改善するために酸化安定性が良好な灯油組成物や、2環芳香族化合物及び3環以上の芳香族化合物を多く含有する接触改質装置からの留出油である炭素数11以上の成分と、適宜の割合で混合して得ることもできる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
本発明に用いる物性測定方法及び評価方法は、次に示した方法に従って行われる。なお、1環ナフテン分、2環ナフテン分、及びナフテンベンゼン分については、上述の方法に従って測定される。
1)密度:JIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法」に規定された方法。
2)蒸留性状:JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」に規定された方法。
3)硫黄分:JIS K2541−6「原油及び石油製品−硫黄分試験方法(紫外蛍光法)」に規定された方法。
4)芳香族分:JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に規定された方法。
5)全酸価(TAN):JIS K2276「石油製品−航空燃料油試験方法」に規定された方法で、試料1g中に含まれる全酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数。
6)酸価増加量(ΔTAN):JIS K2290に規定されたB5軽油の酸化安定性試験方法で、軽油を酸化劣化させた前後における全酸価の差。
7)過酸化物価(POV):JPI−5S−46−96「灯油の過酸化物価試験方法」に記載された方法。
8)過酸化物価増加量(ΔPOV):JIS K2290に規定されたB5軽油の酸化安定性試験方法で、軽油を酸化劣化させた前後における過酸化物価の差。
9)セタン指数及びセタン価:JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に規定された方法。
<軽油組成物の調製>
以下のように調製した軽油組成物(供試軽油1〜6)を評価した。これら軽油組成物の分析結果を表1に示す。
・供試軽油1:常圧蒸留装置から留出した沸点範囲220〜370℃の留分を、Co、Mo、Pを担持した市販触媒を用い、反応温度350℃、反応圧力5.9MPa、水素/オイル比250±5Nm/kL、LHSV0.8h−1、水素純度94%の条件下で水素化精製して得た。
・供試軽油2:ガラスカラムに活性白土(ENGELAHRD製 Grade f−24)50gを充填し、500mlの上記供試軽油1を25℃、LHSV4.0h−1にて通油して、1環ナフテン分、2環ナフテン分、ナフテンベンゼン分を除去した。
・供試軽油3:常圧蒸留装置から留出した沸点範囲220〜370℃の留分を、Co、Mo、Pを担持した市販触媒を用い、反応温度370℃、反応圧力5.9MPa、水素/オイル比250±5Nm/kL、LHSV0.36h−1、水素純度94%の条件下で水素化精製して得た。
・供試軽油4:ガラスカラムに活性白土(ENGELAHRD製 Grade f−24)50gを充填し、500mlの上記供試軽油3を25℃、LHSV4.0h−1にて通油して、1環ナフテン分、2環ナフテン分、ナフテンベンゼン分を除去した。
・供試軽油5:常圧蒸留装置から留出した沸点範囲140〜370℃の留分を、Co、Mo、Pを担持した市販触媒を用い、反応温度350℃、反応圧力7.2MPa、水素/オイル比300±5Nm/kL、LHSV1.0h−1、水素純度94%の条件下で水素化精製して得た。
・供試軽油6:常圧蒸留装置から留出した沸点範囲220〜370℃の留分を、Ni、Mo、Pを担持した市販触媒を用い、反応温度350℃、反応圧力16.5MPa、水素/オイル比500±5Nm/kL、LHSV0.5h−1、水素純度94%の条件下で水素化精製して得た。
次に、上記供試軽油1〜6を用いて、BDF混合軽油に適用される品質確保法の酸化安定性試験方法に準じ、各供試軽油300mLを耐圧容器に入れ、酸素を3L/hr吹き込みながら、115℃の恒温槽で16時間保持して強制的に軽油を劣化させた。軽油を強制的に劣化させた後、恒温槽から上記の容器を取り出し、室温にまで降温して劣化前後の全酸価及び過酸化物価を測定して、酸価増加量(ΔTAN)及び過酸化物価増加量(ΔPOV)を算出した。ΔTAN及びΔPOVを表1に示す。なお、ΔTAN及びΔPOVは、いずれも値が小さいほど酸化安定性が良好である。
Figure 0005520101
表1の結果から、本発明の軽油組成物である実施例1及び2の供試軽油は、比較例1〜4の供試軽油と比較して、ΔTAN及びΔPOVが小さいことが分かる。従って、本発明の軽油組成物である実施例1及び2の供試軽油は、比較例1〜4の供試軽油と比較して、酸化安定性に優れることが分かる。

Claims (3)

  1. 15℃での密度が0.81〜0.86g/cm、硫黄分が10質量ppm以下、90%留出温度が280〜355℃、1環ナフテン分が15容量%以下、2環ナフテン分が6.0容量%以下、ナフテンベンゼン分が6容量%以下、1環ナフテン分と2環ナフテン分とナフテンベンゼン分との合計が12〜23容量%、2環芳香族分と3環以上の芳香族分との合計が0.1〜0.5容量%であることを特徴とする軽油組成物。
  2. 炭素数15〜26の1環ナフテン分が10容量%以下、炭素数11〜20の2環ナフテン分が5容量%以下、炭素数11〜20のナフテンベンゼン分が6容量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の軽油組成物。
  3. 15℃での密度が0.81〜0.86g/cm、硫黄分が10質量ppm以下、90%留出温度が280〜355℃、1環ナフテン分が15容量%を超え30容量%以下、2環ナフテン分が6.0容量%を超え20容量%以下、ナフテンベンゼン分が6容量%を超え20容量%以下、1環ナフテン分と2環ナフテン分とナフテンベンゼン分との合計が27容量%を超え50容量%以下、2環芳香族分と3環以上の芳香族分との合計が0.1〜0.6容量%の軽油基材を活性白土と15〜50℃の温度にて接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載の軽油組成物の製造方法。
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