JP3738092B2 - 軽油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は硫黄分含有量の少ない軽油組成物に関するもので、より詳しくは、硫黄分含有量が少なく、分配型燃料ポンプに対して潤滑性が高く、ポンプの駆動トルクの増加、ポンプの摩耗、フリクション増大などを効果的に防止し得る軽油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼル自動車の排ガス規制は、現在検討されている段階にあるが、その規制が実施された場合の対策として、EGR(排ガス再循環装置)やSOF触媒(有機溶剤可溶分酸化触媒)を搭載したディーゼルエンジンが開発されている。また、エンジン排ガスの浄化に役立つNOx還元触媒などの採用も検討されている。
ところで、現在ディーゼルエンジンの燃料として使用されている軽油は、硫黄分含有量が比較的高いため、これを燃料油に用いて上記のような対策を講じたディーゼルエンジンを運転した場合には様々な問題が派生する。例えば、EGRを搭載したディーゼルエンジンにあっては、排ガス中の硫酸イオンによってエンジンが腐食を起こし、またSOF触媒を搭載したエンジンにあっては、触媒被毒により浄化率が低下することが判明している。
こうした事情から、平成9年以降、国内で販売される軽油はその硫黄分含有量を0.05質量%以下に下げられることがすでに決定しており、これに適合する軽油の製造を目指して、国内の石油精製各社では、水素化脱硫装置を用いて硫黄分を大幅に低減させた軽油の製造が試験的に行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高度に水素化脱硫した軽油は、潤滑性が不十分であるがために、分配型燃料ポンプを備えた小型自動車用ディーゼルエンジンの燃料油として使用すると、エンジン運転中に分配型燃料ポンプの駆動トルクが増大し、最終的にはポンプの摩耗、フリクションの増加などを招き、エンジンを運転不良に至らしめる虞がある。
従って、軽油の硫黄分含有量を低減させた場合には、上記の不都合を解消する手段を講じる必要があり、その手段としてある種の潤滑性向上剤を水素化脱硫軽油に添加して、軽油の潤滑性を向上させ、ポンプなどの摩耗を防止することが、特開平7−62363号公報で提案されている。
ところが、ここで使用されている潤滑性向上剤は、ディーゼル燃料油一般に常用されている軽油添加剤、例えば、セタン価向上剤との混合安定性が悪くなる可能性があり、また、燃料ポンプに列型ポンプを採用したディーゼルエンジンでは、ポンプの潤滑油と反応してスラッジが生成する問題がある。
そこで、本発明は、かかる実状に鑑みて開発されたものであり、その目的は、硫黄分含有量が少なく、しかも従来の軽油に配合されていた潤滑性向上剤の助けをかりなくても、分散型燃料ポンプの駆動トルク増や摩耗を伴うことなく、フリクション増を招くこともない軽油組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の軽油組成物は、組成物全量基準で硫黄分含有量が0.05質量%以下、アルカリ抽出分含有量が0.005〜1質量%であることを特徴とするものであり、この軽油組成物は、一般的には、硫黄分含有量が0.05質量%以下である軽油に、後述する如きアルカリ抽出分を所定量混合することによって調製される。
【0005】
軽油組成物の硫黄分含有量は0.05質量%以下であることが必要であって、この量を超えた場合は、排ガス中の硫酸イオンがエンジンを腐食させ、また排ガス浄化触媒を短時間で劣化させる虞がある。
本発明でいう硫黄分含有量とは、すべてASTM D 5453-93に規定する”Standard Test Method for Determination of Total Sulfur in Light Hydrocarbons, Motor Fuels and Oils by Ultraviolet Fluorescence”に準拠して測定される硫黄分含有量を意味する。
また、軽油組成物のアルカリ抽出分含有量は、0.005〜1質量%の範囲にある。本発明でいうアルカリ抽出分とは、軽油組成物からアルカリで抽出される成分を意味し、その含有量は以下の方法により測定される。
(アルカリ抽出分含有量測定法)
▲1▼:分液漏斗に試料(軽油組成物)500mlと10%NaOH水溶液50mlを加えて30分間振とうした後、静置して油層と水層とに分け、油層を採取する。この第1回分液で得た油層と10%NaOH水溶液50mlを再度分液漏斗に入れて30分間振とうし、静置後油層を採取する。この第2回分液で得た油層と10%NaOH水溶液50mlを再び分液漏斗に入れて30分間振とうし、静置後油層を採取する。
▲2▼:▲1▼の第3回分液で得た油層を純水100mlで2回洗浄する。
▲3▼:▲1▼の第1〜第3回分液操作で得た各水層と、▲2▼の洗浄操作で得た水層を全て混合し、これに10%H2 SO4 水溶液を加えて、酸性(pH=5以下)にする。
▲4▼:▲3▼で得られた酸性溶液を適量のベンゼンで抽出し、一旦ベンゼン抽出された酸性溶液を再度適量のベンゼンで抽出する操作を、都合3回繰り返す。
▲5▼:▲4▼で得られた3回分のベンゼン溶液からエバポレーターでベンゼン、水分を除去する。(石油学会規格JPI−5S−22−83「アスファルトのカラムクロマトグラフィーによる組成分析法」の7.11のA法に準拠)。
▲6▼:適当な容器内で▲5▼の残留物を30mlのベンゼンに溶かし、試料溶液を準備する。
▲7▼:図1に示すような概略形状を有するクロマトグラム用カラムに、活性化されたアルミナゲル75gを入れ、カラム外側からバイブレーターを60秒かけてアルミナゲルを均一に詰める(アルミナゲルの活性化は、JPI−5S−22−83の6.1に、クロマトグラム用カラムの準備は、JPI−5S−22−83の6.2にそれぞれ準拠して行う。)
▲7▼−1:ベンゼン70mlをガラス棒を用いてカラム上部から内壁づたいにカラム内に流し込み、ゲルを湿潤させる。カラム内に注入した70mlのベンゼンの最終液面がゲル層上面に達したのを確認してから、▲6▼で準備した試料溶液をカラム内に注ぐ。試料が付着した容器をベンゼン25mlで洗浄し、カラムに注入した試料溶液の最終液面がゲル層上面に達したら直ちにカラム上部からベンゼン洗浄液をカラム内に注ぐ。この洗浄操作を更にもう1回繰り返し、容器内の試料を完全にカラム6内に移す。
▲7▼−2:カラム内に注入した2回目のベンゼン洗浄液の最終液面がゲル層上面に達したら、直ちにカラム上部からベンゼン250mlを連続的にカラム内に流し入れ、このベンゼンの最終液面がゲル層上面に達したら直ちにカラム出口にアルカリ抽出分採取用の受器を取り付ける。
▲7▼−3:次いでカラム上部からメタノール270mlを連続的にカラム内に流し入れ、カラムからメタノールの流出が完全に止まるまでカラム流出物を受器に採取する。
▲7▼−4:採取した上記のカラム流出物をJPI−5S−22−83の7.11のA法に従って処理し、カラム流出物からメタノール及びベンゼンを完全に除去して恒量化し、冷却後秤量してアルカリ抽出分の質量を求め、その値と試料500mlの質量から、次式によって試料(軽油組成物)中のアルカリ抽出分含有量を求める。
アルカリ抽出分(質量%)=
[アルカリ抽出分質量(g)/試料採取量(g)]×100
本発明の軽油組成物において、上記の方法により求めたアルカリ抽出分の含有量は、その上限値が1質量%、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.08質量%、最も好ましくは0.06質量%であり、下限値は0.005質量%、好ましくは0.006質量%、より好ましくは0.007質量%である。軽油組成物のアルカリ抽出分含有量が1質量%を上回る程増量させても、軽油組成物の潤滑性をさらに向上させることができない。一方、軽油組成物のアルカリ抽出分の含有量が0.005質量%に満たない場合は、ディーゼルエンジンの運転中に分配型燃料ポンプの駆動トルク増ないしは摩耗、フリクション増など招く虞がある。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の軽油組成物は、一般的には、硫黄分含有量が0.05質量%以下の低硫黄軽油に、所定量のアルカリ抽出分を添加することによって得ることができる。そして、硫黄分含有量が0.05質量%以下の低硫黄軽油は、当業界で公知の任意の軽油製造基材の1種もしくは2種以上を適宜配合して得ることができる。
使用可能な軽油製造基材としては、原油の常圧蒸留装置から得られる直留軽油;常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置にかけて得られる減圧軽油;減圧蒸留装置から得られる減圧軽油を水素化精製して得られる水素化精製軽油;直留軽油を通常の水素化精製より苛酷な条件で一段階または多段階で水素化脱硫して得られる水素化脱硫軽油;脱硫または未脱硫の減圧軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を接触分解して得られる接触分解軽油;原油の常圧蒸留により得られる直留灯油;直留灯油を水素化精製して得られる水素化精製灯油;原油の常圧蒸留によって得られる軽油留分を分解して得られる分解灯油などを例示できる。これらの各軽油製造基材の1種もしくは2種以上を混合した際に、そのものの硫黄分含有量が0.05質量%を越えている場合には、水素化精製などの適当な手段で硫黄分含有量を0.05質量%以下にしなければならないことは言うまでもない。
【0007】
硫黄分含有量が0.05質量%以下である低硫黄軽油に添加するアルカリ抽出分には、各種石油精製装置から得られる任意の留出油を、アルカリ処理して得られるアルカリ処理分が利用される。アルカリ処理の対象となる典型的な留出油を、限定的な意味でなく例示すると、直留軽油、減圧軽油、直留灯油、重油留分、潤滑油基油などが挙げられる。これらの各留出油は水素化精製処理を受けていないので、本発明で利用可能なアルカリ処理分を比較的多く含有している。
留出油からアルカリ処理分を取得するには、任意の方法が採用可能であるが、好ましくは以下に示す方法が用いられる。
(1)pHが8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、最も好ましく14以上である水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液と石油留出油を混合して十分攪拌した後、水層を分離する。
(2)得られた水性溶液を、硫酸、塩酸、硝酸等を用いてpH=7未満、好ましくは6.5以下、より好ましくは5以下の酸性にする。
(3)続いて、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、軽油などの溶媒を用いて上記酸性水性溶液からアルカリ処理分を抽出回収する。
ここで得られたアルカリ処理分は、そのまま低硫黄軽油に添加してもよいが、通常は蒸留などの方法によって溶媒を除去してから添加される。
アルカリ処理によって留出油から回収されるアルカリ処理分は、通常、幾つかの酸性有機化合物からなり、具体的には、芳香族環に直接結合した水酸基(フェノール性OH基)を少なくとも1個有する化合物およびカルボン酸が主成分として含まれている。
先に説明した通り、本発明の軽油組成物を調製するに当たっては、上記のアルカリ処理分を添加しても差し支えないが、石油留分から回収されるアルカリ処理分に頼ることなく、任意の手段で入手されるフェノール化合物の1種または2種以上を、硫黄分含有量が0.05質量%以下である低硫黄軽油に添加して、本発明の軽油組成物を得ることもできる。
【0008】
ここでいうフェノール化合物としては、具体的には下記一般式(1)で表される化合物が好ましく用いられる。
(R1 )a−Ar−(OH)b (1)
(上記式(1)中、R1は炭素数1〜30の有機残基を示し、Arは炭素数6〜15の芳香族環または芳香族性を有する炭素数5〜15の複素環を示し、aは0〜8の整数であり、bは1〜10の整数であり、かつa+bは1〜10の整数である。ただし、a≧2の場合はR1は同種であっても異種であっても差し支えない。)
上記式(1)におけるR1は炭素数1〜30の有機残基を示すが、このような有機残基としては、
(a)炭素数1〜30の炭化水素基
(b)下記一般式(2)で表される含窒素炭化水素基
【化1】
(式中、R2およびR3はそれぞれ別個に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R4は炭素数0〜10のアルキレン基を示す。ただし、R2、R3およびR4の合計炭素数は1〜30である。)
(c)ピリジル基またはアルキルピリジル基
(d)下記一般式(3)で表される含酸素炭化水素基
R5−O−R6− (3)
(式中、R5は炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のアシル基を示し、R6は炭素数0〜15のアルキレン基を示す。ただし、R5およびR6の合計炭素数は1〜30である。)
(e)炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアルキルシクロアルキル基の中から選ばれる炭化水素基の任意の1〜4個の水素原子が水酸基で置換された有機残基
などが挙げられる。
【0009】
(a)炭素数1〜30の炭化水素基には、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜30のアルキルアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基等が挙げられる。
炭素数1〜30のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状または分岐状のブチル基、直鎖状または分岐状のペンチル基、直鎖状または分岐状のヘキシル基、直鎖状または分岐状のヘプチル基、直鎖状または分岐状のオクチル基、直鎖状または分岐状のノニル基、直鎖状または分岐状のデシル基、直鎖または分枝のウンデシル基、直鎖または分枝のドデシル基、直鎖または分枝のトリデシル基、テトラデシル基テトラデシル基直鎖または分枝のテトラデシル基、直鎖または分枝のペンタデシル基、直鎖または分枝のヘキサデシル基、直鎖または分枝のヘプタデシル基、直鎖または分枝のオクタデシル基、直鎖または分枝のノナデシル基、直鎖または分枝のイコシル基、直鎖または分枝のヘンイコシル基、直鎖または分枝のトリコシル基、直鎖または分枝のテトラコシル基、直鎖または分枝のペンタコシル基、直鎖または分枝のヘキサコシル基、直鎖または分枝のヘプタコシル基、直鎖または分枝のオクタコシル基、直鎖または分枝のノナコシル基、直鎖または分枝のトリアコンチル基等が挙げられる。
炭素数2〜30のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、直鎖状または分岐状のプロペニル基、直鎖状または分岐状のブテニル基、直鎖状または分岐状のペンテニル基、直鎖状または分岐状のヘキセニル基、直鎖状または分岐状のヘプテニル基、直鎖状または分岐状のオクテニル基、直鎖状または分岐状のノネニル基、直鎖状または分岐状のデセニル基、直鎖または分枝のウンデセニル基、直鎖または分枝のドデセニル基、直鎖または分枝のトリデセニル基、直鎖または分枝のテトラデセニル基、直鎖または分枝のペンタデセニル基、直鎖または分枝のヘキサデセニル基、直鎖または分枝のヘプタデセニル基、直鎖または分枝のオクタデセニル基、直鎖または分枝のノナデセニル基、直鎖または分枝のイコセニル基、直鎖または分枝のヘンイコセニル基、直鎖または分枝のトリコセニル基、直鎖または分枝のテトラコセニル基、直鎖または分枝のペンタコセニル基、直鎖または分枝のヘキサコセニル基、直鎖または分枝のヘプタコセニル基、直鎖または分枝のオクタコセニル基、直鎖または分枝のノナコセニル基、直鎖または分枝のトリアコンテニル基等が挙げられる。
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる
炭素数6〜30のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、ジメチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、エチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、ジエチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、メチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、ジメチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、エチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、メチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)、ジメチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)、エチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
炭素数7〜30のアルキルアリール基としては、例えば、トリル基(全ての置換異性体を含む)、キシリル基(全ての置換異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての置換異性体を含む)、直鎖または分枝のプロピルフェニル基(全ての置換異性体を含む)、直鎖または分枝のブチルフェニル基(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
炭素数7〜30のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む)等が挙げられる。
【0010】
(b)は上記式(2)で表される含窒素炭化水素基である。R2およびR3はそれぞれ別個に、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示すが、このような炭化水素基には、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアルキルアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基等が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状または分岐状のブチル基、直鎖状または分岐状のペンチル基、直鎖状または分岐状のヘキシル基、直鎖状または分岐状のヘプチル基、直鎖状または分岐状のオクチル基、直鎖状または分岐状のノニル基、直鎖状または分岐状のデシル基等が挙げられる。
炭素数2〜10のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、直鎖状または分岐状のプロペニル基、直鎖状または分岐状のブテニル基、直鎖状または分岐状のペンテニル基、直鎖状または分岐状のヘキセニル基、直鎖状または分岐状のヘプテニル基、直鎖状または分岐状のオクテニル基、直鎖状または分岐状のノネニル基、直鎖状または分岐状のデセニル基等が挙げられる。
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる
炭素数6〜10のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、ジメチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、エチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、ジエチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、メチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、ジメチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、エチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、メチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)、ジメチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)、エチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
炭素数7〜10のアルキルアリール基としては、例えば、トリル基(全ての置換異性体を含む)、キシリル基(全ての置換異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての置換異性体を含む)、直鎖または分枝のプロピルフェニル基(全ての置換異性体を含む)、直鎖または分枝のブチルフェニル基(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
炭素数7〜10のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む)等が挙げられる。
この中でも、R2およびR3としては炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
一般式(2)におけるR4は炭素数0〜10のアルキレン基を示すが、炭素数0のアルキレン基とは、一般式(2)の窒素原子が一般式(1)のArに直接結合することを表す。また、炭素数1〜10のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基等の炭素数1のアルキレン基;メチルメチレン基(エチリデン基)、エチレン基等の炭素数2のアルキレン基;エチルメチレン基(プロピリデン基)、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、メチルエチレン基(プロピレン基)、トリメチレン基等の炭素数3のアルキレン基;n−プロピルメチレン基(ブチリデン基)、イソプロピルメチレン基(イソブチリデン基)、エチルメチルメチレン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数4のアルキレン基;n−ブチルメチレン基(ペンチリデン基)、sec−ブチルメチレン基、イソブチルメチレン基(イソペンチリデン基)、tert−ブチルメチレン基、n−プロピルメチルメチレン基、イソプロピルメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、n−プロピルエチレン基、イソプロピルエチレン基、1−エチル−1−メチルエチレン基、1−エチル−2−メチルエチレン基、トリメチルエチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数5のアルキレン基;1−メチルペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数6のアルキレン基(全ての炭素数6のアルキレン基を含む);1−メチルヘキサメチレン基、2−メチルヘキサメチレン基、3−メチルヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等の炭素数7のアルキレン基(全ての炭素数7のアルキレン基を含む);1−メチルヘプタメチレン基、2−メチルヘプタメチレン基、3−メチルヘプタメチレン基、4−メチルヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素数8のアルキレン基(全ての炭素数8のアルキレン基を含む);1−メチルオクタメチレン基、2−メチルオクタメチレン基、3−メチルオクタメチレン基、4−メチルオクタメチレン基、ノナメチレン基等の炭素数9のアルキレン基(全ての炭素数9のアルキレン基を含む);1−メチルノナメチレン基、2−メチルノナメチレン基、3−メチルノナメチレン基、4−メチルノナメチレン基、5−メチルノナメチレン基、デカメチレン基等の炭素数10のアルキレン基(全ての炭素数10のアルキレン基を含む)等が挙げられる。
なお、一般式(2)においては、R2、R3およびR4の合計炭素数が1〜30であることが必要である。
【0011】
(c)はピリジル基またはアルキルピリジル基であるが、ピリジル基としては具体的には、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられる。また、アルキルピリジル基としては、上記ピリジル基の任意の水素原子を炭素数1〜10のアルキル基で置換したものが挙げられる。
(d)は上記式(3)で表される含酸素炭化水素基を表す。R5は炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のアシル基を示す。炭素数1〜20の炭化水素基としては、具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状または分岐状のブチル基、直鎖状または分岐状のペンチル基、直鎖状または分岐状のヘキシル基、直鎖状または分岐状のヘプチル基、直鎖状または分岐状のオクチル基、直鎖状または分岐状のノニル基、直鎖状または分岐状のデシル基、直鎖または分枝のウンデシル基、直鎖または分枝のドデシル基、直鎖または分枝のトリデシル基、テトラデシル基テトラデシル基直鎖または分枝のテトラデシル基、直鎖または分枝のペンタデシル基、直鎖または分枝のヘキサデシル基、直鎖または分枝のヘプタデシル基、直鎖または分枝のオクタデシル基、直鎖または分枝のノナデシル基、直鎖または分枝のイコシル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、直鎖状または分岐状のプロペニル基、直鎖状または分岐状のブテニル基、直鎖状または分岐状のペンテニル基、直鎖状または分岐状のヘキセニル基、直鎖状または分岐状のヘプテニル基、直鎖状または分岐状のオクテニル基、直鎖状または分岐状のノネニル基、直鎖状または分岐状のデセニル基、直鎖または分枝のウンデセニル基、直鎖または分枝のドデセニル基、直鎖または分枝のトリデセニル基、直鎖または分枝のテトラデセニル基、直鎖または分枝のペンタデセニル基、直鎖または分枝のヘキサデセニル基、直鎖または分枝のヘプタデセニル基、直鎖または分枝のオクタデセニル基、直鎖または分枝のノナデセニル基、直鎖または分枝のイコセニル基等が挙げられる。
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる
炭素数6〜20のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、ジメチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、エチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、ジエチルシクロペンチル基(全ての置換異性体を含む)、メチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、ジメチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、エチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての置換異性体を含む)、メチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)、ジメチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)、エチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
炭素数7〜20のアルキルアリール基としては、例えば、トリル基(全ての置換異性体を含む)、キシリル基(全ての置換異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての置換異性体を含む)、直鎖または分枝のプロピルフェニル基(全ての置換異性体を含む)、直鎖または分枝のブチルフェニル基(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
炭素数7〜20のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む)等が挙げられる。
また炭素数1〜20のアシル基としては、具体的には、アセチル基、直鎖または分岐のプロピオニル基、直鎖または分岐のブタノイル基、直鎖または分岐のペンタノイル基、直鎖または分岐のヘキサノイル基、直鎖または分岐のヘプタノイル基、直鎖または分岐のオクタノイル基、直鎖または分岐のノナノイル基、直鎖または分岐のデカノイル基、直鎖または分岐のウンデカノイル基、直鎖または分岐のドデカノイル基、直鎖または分岐のトリデカノイル基、直鎖または分岐のテトラデカノイル基、直鎖または分岐のペンタデカノイル基、直鎖または分岐のヘキサデカノイル基、直鎖または分岐のヘプタデカノイル基、直鎖または分岐のオクタデカノイル基、直鎖または分岐のノナデカノイル基、直鎖または分岐のイコサノイル基、プロペノイル基、直鎖または分岐のブテノイル基、直鎖または分岐のペンテノイル基、直鎖または分岐のヘキセノイル基、直鎖または分岐のヘプテノイル基、直鎖または分岐のオクテノイル基、直鎖または分岐のノネノイル基、直鎖または分岐のデセノイル基、直鎖または分岐のウンデセノイル基、直鎖または分岐のドデセノイル基、直鎖または分岐のトリデセノイル基、直鎖または分岐のテトラデセノイル基、直鎖または分岐のペンタデセノイル基、直鎖または分岐のヘキサデセノイル基、直鎖または分岐のヘプタデセノイル基、直鎖または分岐のオクタデセノイル基、直鎖または分岐のノナデセノイル基、直鎖または分岐のイコセノイル基等が挙げられる。
式(3)中、R6は炭素数0〜15のアルキレン基を示すが、炭素数0のアルキレン基とは、一般式(3)の酸素原子が一般式(1)のArに直接結合することを表す。また、炭素数1〜15のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基等の炭素数1のアルキレン基;メチルメチレン基(エチリデン基)、エチレン基等の炭素数2のアルキレン基;エチルメチレン基(プロピリデン基)、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、メチルエチレン基(プロピレン基)、トリメチレン基等の炭素数3のアルキレン基;n−プロピルメチレン基(ブチリデン基)、イソプロピルメチレン基(イソブチリデン基)、エチルメチルメチレン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数4のアルキレン基;n−ブチルメチレン基(ペンチリデン基)、sec−ブチルメチレン基、イソブチルメチレン基(イソペンチリデン基)、tert−ブチルメチレン基、n−プロピルメチルメチレン基、イソプロピルメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、n−プロピルエチレン基、イソプロピルエチレン基、1−エチル−1−メチルエチレン基、1−エチル−2−メチルエチレン基、トリメチルエチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数5のアルキレン基;1−メチルペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数6のアルキレン基(全ての炭素数6のアルキレン基を含む);1−メチルヘキサメチレン基、2−メチルヘキサメチレン基、3−メチルヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等の炭素数7のアルキレン基(全ての炭素数7のアルキレン基を含む);1−メチルヘプタメチレン基、2−メチルヘプタメチレン基、3−メチルヘプタメチレン基、4−メチルヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素数8のアルキレン基(全ての炭素数8のアルキレン基を含む);1−メチルオクタメチレン基、2−メチルオクタメチレン基、3−メチルオクタメチレン基、4−メチルオクタメチレン基、ノナメチレン基等の炭素数9のアルキレン基(全ての炭素数9のアルキレン基を含む);1−メチルノナメチレン基、2−メチルノナメチレン基、3−メチルノナメチレン基、4−メチルノナメチレン基、5−メチルノナメチレン基、デカメチレン基等の炭素数10のアルキレン基(全ての炭素数10のアルキレン基を含む);1−メチルデカメチレン基、2−メチルデカメチレン基、3−メチルデカメチレン基、4−メチルデカメチレン基、5−メチルデカメチレン基、ウンデカメチレン基等の炭素数11のアルキレン基(全ての炭素数11のアルキレン基を含む);1−メチルウンデカメチレン基、2−メチルウンデカメチレン基、3−メチルウンデカメチレン基、4−メチルウンデカメチレン基、5−メチルウンデカメチレン基、6−メチルウンデカメチレン基、ドデカメチレン基等の炭素数12のアルキレン基(全ての炭素数12のアルキレン基を含む);1−メチルドデカメチレン基、2−メチルドデカメチレン基、3−メチルドデカメチレン基、4−メチルドデカメチレン基、5−メチルドデカメチレン基、6−メチルドデカメチレン基、トリデカメチレン基等の炭素数13のアルキレン基(全ての炭素数13のアルキレン基を含む);1−メチルトリデカメチレン基、2−メチルトリデカメチレン基、3−メチルトリデカメチレン基、4−メチルトリデカメチレン基、5−メチルトリデカメチレン基、6−メチルトリデカメチレン基、7−メチルトリデカメチレン基、テトラデカメチレン基等の炭素数14のアルキレン基(全ての炭素数14のアルキレン基を含む);1−メチルテトラデカメチレン基、2−メチルテトラデカメチレン基、3−メチルテトラデカメチレン基、4−メチルテトラデカメチレン基、5−メチルテトラデカメチレン基、6−メチルテトラデカメチレン基、7−メチルテトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基等の炭素数15のアルキレン基(全ての炭素数15のアルキレン基を含む)等が挙げられる。
【0012】
(e)は炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアルキルシクロアルキル基の中から選ばれる炭化水素基の任意の1〜4個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個の水素原子が、水酸基で置換された有機残基であるが、その置換位置についてはなんら制限はない。しかしながら、溶解性に優れる点から、一般式 (1)のArにより近い位置の水素原子が水酸基で置換されていることが好ましい。
また、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアルキルシクロアルキル基としては、具体的には、上記(A)の炭素数1〜30の炭化水素基として列挙したものが例示できる。この中でも、溶解性に優れる点から、炭素数5〜30のアルキル基、炭素数5〜30のアルケニル基が好ましく、炭素数5〜30の直鎖アルキル基、炭素数5〜30の直鎖アルケニル基がより好ましい。
(e)の有機残基としては、具体的には例えば、ヒドロキシペンチル基(全てのペンチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシヘキシル基(全てのヘキシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシヘプチル基(全てのヘプチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシオクチル基(全てのオクチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシノニル基(全てのノニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシデシル基(全てのデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシウンデシル基(全てのウンデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシドデシル基(全てのドデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシトリデシル基(全てのトリデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシテトラデシル基(全てのテトラデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシペンタデシル基(全てのペンタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシヘキサデシル基(全てのヘキサデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシヘプタデシル基(全てのヘプタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシオクタデシル基(全てのオクタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシノナデシル基(全てのノナデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシイコシル基(全てのイコシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシペンチル基(全てのペンチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシヘキシル基(全てのヘキシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシヘプチル基(全てのヘプチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシオクチル基(全てのオクチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシノニル基(全てのノニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシデシル基(全てのデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシウンデシル基(全てのウンデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシドデシル基(全てのドデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシトリデシル基(全てのトリデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシテトラデシル基(全てのテトラデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシペンタデシル基(全てのペンタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシヘキサデシル基(全てのヘキサデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシヘプタデシル基(全てのヘプタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシオクタデシル基(全てのオクタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシノナデシル基(全てのノナデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシイコシル基(全てのイコシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシペンテニル基(全てのペンテニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシヘキセニル基(全てのヘキセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシヘプテニル基(全てのヘプテニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシオクテニル基(全てのオクテニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシノネニル基(全てのノネニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシデセニル基(全てのデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシウンデセニル基(全てのウンデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシドデセニル基(全てのドデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシトリデセニル基(全てのトリデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシテトラデセニル基(全てのテトラデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシペンタデセニル基(全てのペンタデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシヘキサデセニル基(全てのヘキサデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシヘプタデセニル基(全てのヘプタデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシオクタデセニル基(全てのオクタデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシノナデセニル基(全てのノナデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヒドロキシイコセニル基 (全てのイコセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシペンテニル基(全てのペンテニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシヘキセニル基(全てのヘキセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシヘプテニル基(全てのヘプテニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシオクテニル基(全てのオクテニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシノネニル基(全てのノネニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシデセニル基(全てのデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシウンデセニル基(全てのウンデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシドデセニル基(全てのドデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシトリデセニル基(全てのトリデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシテトラデセニル基(全てのテトラデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシペンタデセニル基(全てのペンタデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシヘキサデセニル基(全てのヘキサデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシヘプタデセニル基(全てのヘプタデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシオクタデセニル基(全てのオクタデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシノナデセニル基(全てのノナデセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ジヒドロキシイコセニル基(全てのイコセニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。これらの中でも、1−位および/または2−位に水酸基が結合したものが好ましい。
【0013】
上記した(a)〜(e)の中でも、R1としては(a)炭素数1〜30の炭化水素基が好ましい。また、a≧2である場合R1は同種でも異種でも差し支えない。
また、R1の結合位置は任意であるが、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、R1はOH基が結合している炭素原子に隣接している炭素原子に結合していないことが好ましい。
さらに、上記式(1)において、OH基は芳香族環に直接結合してさえいればその結合位置は任意であるが、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、OH基はR1が結合している炭素原子に隣接している炭素原子に結合していないことが好ましい。また、b≧2の場合は、少なくとも2つのOH基が互いに隣接した炭素原子に結合していることが好ましい。
また、上記式(1)におけるArは炭素数6〜15の芳香族環、または芳香族性を有する炭素数5〜15の複素環を示すが、ここでいう炭素数6〜15の芳香族環としては、具体的には、
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
等が挙げられる。
また、芳香族性を有する炭素数5〜15の複素環としては、具体的には例えば、
【化7】
等が挙げられる。
本発明においてArとしては、上記した中でも特にベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、キノリン環などが好ましい。
【0014】
また、本発明でいうフェノール化合物としては、一般式(1)で表される化合物の任意の水素原子がアミノ基で置換された化合物も含まれる。
一般式(1)で表される化合物のうち、Arがベンゼン環である場合に好ましい化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【化8】
(式(4)中、R1は式(1)で定義したものであり 、cは0〜5の整数、好ましくは1〜3の整数であり、dは1〜6の整数、好ましくは1〜4の整数であり、かつc+dが1〜6の整数、好ましくは1〜4となるような整数である。)
一般式(4)で表される化合物のうち、c=0かつd=1のものとして、フェノールがある。
一般式(4)で表される化合物のうち、c=0かつd=2のものとしては、例えば、1,2−ベンゼンジオール(ピロカテコール)、1,3−ベンゼンジオール(レゾルシノール)、1,4−ベンゼンジオール(ヒドロキノン)等がある。
c=0かつd=3のものとしては、例えば、ピロガロール、フロログルシノール等が挙げられる。
【0015】
一般式(4)で表される化合物のうち、R1が(a)炭素数1〜30の炭化水素基である化合物としては、c=1かつd=1のものとして、例えば、メチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、エチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、n−プロピルフェノール(全ての置換異性体を含む)、イソプロピルフェノール(全ての置換異性体を含む)、ブチルフェノール(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンチルフェノール(全てのペンチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキシルフェノール(全てのヘキシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプチルフェノール(全てのヘプチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクチルフェノール(全てのオクチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノニルフェノール(全てのノニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、デシルフェノール(全てのデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ウンデシルフェノール(全てのウンデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ドデシルフェノール(全てのドデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、トリデシルフェノール(全てのトリデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、テトラデシルフェノール(全てのテトラデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンタデシルフェノール(全てのペンタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキサデシルフェノール(全てのヘキサデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプタデシルフェノール(全てのヘプタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクタデシルフェノール(全てのオクタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノナデシルフェノール(全てのノナデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、イコシルフェノール(全てのイコシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、シクロペンチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、シクロヘキシルフェノール(全ての置換異性体を含む)、フェニルフェノール(全ての置換異性体を含む)、トリルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(エチルフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(プロピルフェニル)フェノール(全てのプロピル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ブチルフェニル)フェノール(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、キシリルフェノール(全ての置換異性体を含む)、ベンジルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(メチルベンジル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(エチルベンジル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルベンジル)フェノール(全ての置換異性体を含む)等がある。
c=2かつd=1のものとしては、例えば、ジメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、エチルメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、n−プロピルメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、イソプロピルメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、ジエチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、シクロペンチルメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、シクロヘキシルメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、フェニルメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、フェニルエチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、トリルメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、トリルエチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(エチルフェニル)メチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(エチルフェニル)エチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、キシリルメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、キシリルエチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、ベンジルメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、ベンジルエチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(メチルベンジル)メチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(メチルベンジル)エチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(エチルベンジル)メチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(エチルベンジル)エチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルベンジル)メチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルベンジル)エチルフェノール(全ての置換異性体を含む)等がある。
c=3かつd=1のものとしては、例えば、トリメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、エチルジメチルフェノール(全ての置換異性体を含む)等があり、c=4かつd=1のものとしては、テトラメチルフェノール(全ての置換J異性体を含む)等が挙げられる。
c=1かつd=2のものとしては、例えば、メチルジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、エチルジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、n−プロピルジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、イソプロピルジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、ブチルジヒドロキシベンゼン(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンチルジヒドロキシベンゼン(全てのペンチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキシルジヒドロキシベンゼン(全てのヘキシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプチルジヒドロキシベンゼン(全てのヘプチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクチルジヒドロキシベンゼン(全てのオクチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノニルジヒドロキシベンゼン(全てのノニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、デシルジヒドロキシベンゼン(全てのデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ウンデシルジヒドロキシベンゼン(全てのウンデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ドデシルジヒドロキシベンゼン(全てのドデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、トリデシルジヒドロキシベンゼン(全てのトリデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、テトラデシルジヒドロキシベンゼン(全てのテトラデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンタデシルジヒドロキシベンゼン(全てのペンタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキサデシルジヒドロキシベンゼン(全てのヘキサデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプタデシルジヒドロキシベンゼン(全てのヘプタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクタデシルジヒドロキシベンゼン(全てのオクタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノナデシルジヒドロキシベンゼン(全てのノナデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、イコシルジヒドロキシベンゼン(全てのイコシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、フェニルジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、トリルジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(エチルフェニル)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(プロピルフェニル)ジヒドロキシベンゼン(全てのプロピル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ブチルフェニル)ジヒドロキシベンゼン(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、キシリルジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、ベンジルジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(メチルベンジル)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(エチルベンジル)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルベンジル)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
c=2かつd=2のものとしては、例えば、ジメチルジヒドロキシベンゼン (全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
【0016】
また、一般式(4)で表される化合物のうち、R1が(b)含窒素炭化水素基である化合物としては、例えば、(ジブチルアミノ)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(ジオクチルアミノ)フェノール(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)ブチル]フェノール(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)オクチル]フェノール(全ての置換異性体を含む)、[(ジオクチルアミノ)ブチル]フェノール(全ての置換異性体を含む)、(ジブチルアミノ)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(ジオクチルアミノ)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)ブチル]ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)オクチル]ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、[(ジオクチルアミノ)ブチル]ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
また、一般式(4)で表される化合物のうち、R1が(c)ピリジル基またはアルキルピリジル基である化合物としては、例えば、ピリジルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(メチルピリジル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(エチルピリジル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(プロピルピリジル)フェノール(全てのプロピル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ブチルピリジル)フェノール(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ピリジルジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(メチルピリジル)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(エチルピリジル)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(プロピルピリジル)ジヒドロキシベンゼン(全てのプロピル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ブチルピリジル)ジヒドロキシベンゼン(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
また、一般式(4)で表される化合物のうち、R1が(d)含酸素炭化水素基である化合物としては、例えば、(ブトキシブチル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(オクトキシオクチル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(ペントキシデシル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(ブトキシブチル)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(オクトキシオクチル)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)、(ペントキシデシル)ジヒドロキシベンゼン(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
また、一般式(4)で表される化合物のうち、R1が(e)有機残基である化合物としては、例えば、(1−ヒドロキシドデシル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシオクタデシル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシドデシル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシオクタデシル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシドデシル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシオクタデシル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシドデセニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシオクタデセニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシドデセニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシオクタデセニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシドデセニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシオクタデセニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
【0017】
上記した一般式(4)で表される化合物の中でも、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、R1が(a)炭素数1〜30の炭化水素基である化合物が好ましい。また、R1が(a)炭素数1〜30の炭化水素基である化合物の中でも、
(a1)c≧1かつd=1であり、かつc個のR1のうち少なくとも1つがアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である化合物
(a2)c≧1かつd≧2である化合物
がより好ましい。
さらに、(a2)の化合物の中でも、c=1、d=2であり、2つのOH基が互いに隣接した炭素原子に結合しており、R1が炭素数1〜20のアルキル基であり、R1はOH基が結合している炭素原子に隣接した炭素原子に結合していない化合物、つまり4−アルキル−1,2−ジヒドロキシベンゼン(アルキル基の炭素数は1〜20)がより好ましい。
【0018】
一般式(1)で表される化合物のうち、Arがナフタレン環である場合に好ましい化合物としては、下記の一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【化9】
(式中、R1は式(1)で定義したものであり 、eは0〜7の整数、好ましくは0〜3の整数であり、fは1〜8の整数、好ましくは1〜4の整数であり、かつe+fが1〜6の整数、好ましくは1〜4となるような整数である。)
一般式(5)で表される化合物のうち、e=0かつf=1のものとして、ナフトール(全ての置換異性体を含む)がある。
一般式(5)で表される化合物のうち、e=0かつf=2のものとしては、例えば、ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
一般式(5)で表される化合物のうち、R1が(a)炭素数1〜30の炭化水素基である化合物としては、e=1かつf=1のものとしては、例えば、メチルナフトール(全ての置換異性体を含む)、エチルナフトール(全ての置換異性体を含む)、n−プロピルナフトール(全ての置換異性体を含む)、イソプロピルナフトール(全ての置換異性体を含む)、ブチルナフトール(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンチルナフトール(全てのペンチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキシルナフトール(全てのヘキシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプチルナフトール(全てのヘプチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクチルナフトール(全てのオクチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノニルナフトール (全てのノニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、デシルナフトール(全てのデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ウンデシルナフトール(全てのウンデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ドデシルナフトール(全てのドデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、トリデシルナフトール(全てのトリデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、テトラデシルナフトール(全てのテトラデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンタデシルナフトール(全てのペンタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキサデシルナフトール(全てのヘキサデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプタデシルナフトール(全てのヘプタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクタデシルナフトール(全てのオクタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノナデシルナフトール(全てのノナデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、イコシルナフトール(全てのイコシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
e=2かつf=1のものとしては、例えば、ジメチルナフトール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
e=1かつf=2のものとしては、例えば、メチルジヒドロキシナフタレン (全ての置換異性体を含む)、エチルジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、n−プロピルジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、イソプロピルジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、ブチルジヒドロキシナフタレン(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンチルジヒドロキシナフタレン(全てのペンチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキシルジヒドロキシナフタレン(全てのヘキシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプチルジヒドロキシナフタレン(全てのヘプチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクチルジヒドロキシナフタレン(全てのオクチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノニルジヒドロキシナフタレン(全てのノニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、デシルジヒドロキシナフタレン(全てのデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ウンデシルジヒドロキシナフタレン(全てのウンデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ドデシルジヒドロキシナフタレン(全てのドデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、トリデシルジヒドロキシナフタレン(全てのトリデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、テトラデシルジヒドロキシナフタレン(全てのテトラデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンタデシルジヒドロキシナフタレン(全てのペンタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキサデシルジヒドロキシナフタレン(全てのヘキサデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプタデシルジヒドロキシナフタレン(全てのヘプタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクタデシルジヒドロキシナフタレン(全てのオクタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノナデシルジヒドロキシナフタレン(全てのノナデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、イコシルジヒドロキシナフタレン(全てのイコシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
e=2かつf=2のものとしては、例えば、ジメチルジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
【0019】
また、一般式(5)で表される化合物のうち、R1が(b)含窒素炭化水素基である化合物としては、例えば、(ジブチルアミノ)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(ジオクチルアミノ)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)ブチル]ナフトール(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)オクチル]ナフトール(全ての置換異性体を含む)、[(ジオクチルアミノ)ブチル]ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(ジブチルアミノ)ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、(ジオクチルアミノ)ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)ブチル]ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)オクチル]ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、[(ジオクチルアミノ)ブチル]ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
【0020】
また、一般式(5)で表される化合物のうち、R1が(c)ピリジル基またはアルキルピリジル基である化合物としては、例えば、ピリジルナフトール(全ての置換異性体を含む)、(メチルピリジル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(エチルピリジル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(プロピルピリジル)ナフトール(全てのプロピル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ブチルピリジル)ナフトール(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ピリジルジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、(メチルピリジル)ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、(エチルピリジル)ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、(プロピルピリジル)ジヒドロキシナフタレン(全てのプロピル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ブチルピリジル)ジヒドロキシナフタレン(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
さらに、一般式(5)で表される化合物のうち、R1が(d)含酸素炭化水素基である化合物としては、例えば、(ブトキシブチル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(オクトキシオクチル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(ペントキシデシル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(ブトキシブチル)ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、(オクトキシオクチル)ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)、(ペントキシデシル)ジヒドロキシナフタレン(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
【0021】
また、一般式(5)で表される化合物のうち、R1が(e)有機残基である化合物としては、例えば、(1−ヒドロキシドデシル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシオクタデシル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシドデシル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシオクタデシル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシドデシル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシオクタデシル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシドデセニル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシオクタデセニル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシドデセニル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシオクタデセニル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシドデセニル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシオクタデセニル)ナフトール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
一般式(5)において、R1とOH基は異なる環に結合した形で記載したが、R1とOH基は異なる環に限らず同じ環に結合していても良い。しかしながら、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、R1はOH基が結合している炭素原子に隣接している炭素原子に結合していないことが好ましく、R1はOH基が結合している環とは異なる環に結合していることがより好ましい。
また、上記した一般式(5)で表される化合物の中でも、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、e=0である化合物、またはe=1であり、かつR1が(a)炭素数1〜30の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である化合物が望ましい。また、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、f≧2である化合物が好ましい。
【0022】
一般式(1)で表される化合物のうち、Arがビフェニル環である場合に好ましい化合物としては、下記の一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【化10】
(式中、R1は式(1)で定義したものであり 、gは0〜8の整数、好ましくは0〜3の整数であり、hおよびiはそれぞれ別個に1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数であり、かつg+h+iが2〜10の整数、好ましくは2〜6となるような整数である。)
一般式(6)で表される化合物のうち、g=0かつh=i=1のものとして、ビフェニルジオール(全ての置換異性体を含む)がある。
また、一般式(6)で表される化合物のうち、R1が(a)炭素数1〜30の炭化水素基である化合物としては、g=1かつh=i=1のものとしては、例えば、(ヒドロキシフェニル)クレゾール(全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)エチルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)n−プロピルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)イソプロピルフェノール(全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ブチルフェノール(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ペンチルフェノール(全てのペンチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ヘキシルフェノール(全てのヘキシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ヘプチルフェノール(全てのヘプチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)オクチルフェノール(全てのオクチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ノニルフェノール(全てのノニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)デシルフェノール(全てのデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ウンデシルフェノール(全てのウンデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ドデシルフェノール(全てのドデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)トリデシルフェノール(全てのトリデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)テトラデシルフェノール(全てのテトラデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ペンタデシルフェノール(全てのペンタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ヘキサデシルフェノール(全てのヘキサデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ヘプタデシルフェノール(全てのヘプタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)オクタデシルフェノール(全てのオクタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)ノナデシルフェノール(全てのノナデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ヒドロキシフェニル)イコシルフェノール(全てのイコシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
g=2かつh=i=1のものとしては、例えば、(ヒドロキシフェニル)キシレノール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
【0023】
また、一般式(6)で表される化合物のうち、R1が(b)含窒素炭化水素基である化合物としては、例えば、(ジブチルアミノ)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(ジオクチルアミノ)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)ブチル](ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)オクチル](ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、[(ジオクチルアミノ)ブチル](ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
また、一般式(6)で表される化合物のうち、R1が(c)ピリジル基またはアルキルピリジル基である化合物としては、例えば、ピリジル(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(メチルピリジル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(エチルピリジル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(プロピルピリジル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全てのプロピル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ブチルピリジル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
さらに、一般式(6)で表される化合物のうち、R1が(d)含酸素炭化水素基である化合物としては、例えば、(ブトキシブチル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(オクトキシオクチル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(ペントキシデシル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
また、一般式(6)で表される化合物のうち、R1が(e)有機残基である化合物としては、例えば、(1−ヒドロキシドデシル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシオクタデシル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシドデシル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシオクタデシル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシドデシル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシオクタデシル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシドデセニル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシオクタデセニル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシドデセニル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシオクタデセニル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシドデセニル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシオクタデセニル)(ヒドロキシフェニル)フェノール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
【0024】
一般式(6)において、2個以上のR1は同じベンゼン環に結合する形で記載したが、2個以上のR1は同じベンゼン環に限らず、異なるベンゼン環に結合していても良い。また、h+i個のOH基の結合位置も限定されず、一般式(6)で表されるように2つのベンゼン環それぞれに少なくとも1つのOH基が結合していればよい。
しかしながら、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、R1はOH基が結合している炭素原子に隣接している炭素原子に結合していないことが好ましい。また、2つのOH基がそれぞれ、2−位および2’−位に結合しているものが好ましい。
また、上記した一般式(6)で表される化合物の中でも、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、好ましくはR1が(a)炭素数1〜30の炭化水素基、より好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である化合物が望ましい。
【0025】
一般式(1)で表される化合物のうち、Arがキノリン環である場合に好ましい化合物としては、下記の一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【化11】
(式中、R1は式(1)で定義したものであり 、jは0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数であり、kは1〜6の整数、好ましくは1〜3の整数であり、かつj+kが1〜6の整数、好ましくは1〜4となるような整数である。)
一般式(7)で表される化合物のうち、j=0かつk=1のものとして、キノリノール(全ての置換異性体を含む)がある。
一般式(7)で表される化合物のうち、R1が(a)炭素数1〜30の炭化水素基である化合物としては、j=1かつk=1のものとして、例えば、メチルキノリノール(全ての置換異性体を含む)、エチルキノリノール(全ての置換異性体を含む)、n−プロピルキノリノール(全ての置換異性体を含む)、イソプロピルキノリノール(全ての置換異性体を含む)、ブチルキノリノール(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンチルキノリノール(全てのペンチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキシルキノリノール(全てのヘキシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプチルキノリノール(全てのヘプチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクチルキノリノール(全てのオクチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノニルキノリノール(全てのノニル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、デシルキノリノール(全てのデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ウンデシルキノリノール(全てのウンデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ドデシルキノリノール(全てのドデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、トリデシルキノリノール(全てのトリデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、テトラデシルキノリノール(全てのテトラデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ペンタデシルキノリノール(全てのペンタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘキサデシルキノリノール(全てのヘキサデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ヘプタデシルキノリノール(全てのヘプタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、オクタデシルキノリノール(全てのオクタデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ノナデシルキノリノール(全てのノナデシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、イコシルキノリノール(全てのイコシル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
また、一般式(7)で表される化合物のうち、R1が(b)含窒素炭化水素基である化合物としては、例えば(ジブチルアミノ)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(ジオクチルアミノ)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、[(ジブチルアミノ)ブチル]キノリノール(全ての置換異性体を含む)、
[(ジブチルアミノ)オクチル]キノリノール(全ての置換異性体を含む)、
[(ジオクチルアミノ)ブチル]キノリノール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
また、一般式(7)で表される化合物のうち、R1が(c)ピリジル基またはアルキルピリジル基である化合物としては、例えば、ピリジルキノリノール(全ての置換異性体を含む)、(メチルピリジル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(エチルピリジル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(プロピルピリジル)キノリノール(全てのプロピル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、(ブチルピリジル)キノリノール(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
さらに、一般式(7)で表される化合物のうち、R1が(d)含酸素炭化水素基である化合物としては、例えば、(ブトキシブチル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(オクトキシオクチル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(ペントキシデシル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
また、一般式(7)で表される化合物のうち、R1が(e)有機残基である化合物としては、例えば、(1−ヒドロキシドデシル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシオクタデシル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシドデシル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシオクタデシル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシドデシル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシオクタデシル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシドデセニル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1−ヒドロキシオクタデセニル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシドデセニル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1,1−ジヒドロキシオクタデセニル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシドデセニル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)、(1,2−ジヒドロキシオクタデセニル)キノリノール(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
一般式(7)において、R1およびOH基は窒素原子を有しない環の炭素原子に結合する形で記載したが、R1およびOH基は窒素原子を有する環の炭素原子に結合していても良い。
しかしながら、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、OH基が8−位に結合した8−キノリノール類がより好ましい。
また、上記した一般式(7)で表される化合物の中でも、特に軽油の潤滑性を向上させる効果が高いことから、j=0である化合物、またはj=1であり、かつR1が(a)炭素数1〜30の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である化合物が望ましい。またR1が、窒素原子およびOH基が結合している炭素原子に隣接した炭素原子に結合していないものが好ましい。
【0026】
上記式(1)で表されるフェノール化合物の1種または2種以上を、硫黄分含有量が0.05質量%以下である低硫黄軽油に添加して本発明の軽油組成物を調製するにあたっては、その添加量の上限値が軽油組成物全量基準で、1質量%、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.08質量%、最も好ましくは0.06質量%であり、また下限値が軽油組成物全量基準で0.005質量%、好ましくは0.006質量%、より好ましくは0.007質量%であることが望ましい。しかしながら、この場合においても、軽油組成物中のアルカリ抽出分の含有量が0.005〜1質量%となるように添加しなければならないことは言うまでもない。
【0027】
また、本発明の軽油組成物を製造する際に用いられる硫黄分0.05質量%以下である低硫黄軽油中にも、通常上記式(1)で表されるフェノール化合物が含まれている。したがって、このような低硫黄軽油を用いて得られる軽油組成物中の式(1)で表されるフェノール化合物の含有量は、低硫黄軽油中にもともと存在していた量と添加した量との合計量となる。本発明の軽油組成物中の式(1)で表されるフェノール化合物の含有量の上限値は、組成物全量基準で、1質量%、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.08質量%、最も好ましくは0.06質量%、下限値が軽油組成物全量基準で0.005質量%、好ましくは0.006質量%、より好ましくは0.007質量%となるようにすることが望ましい。
【0028】
さらに、本発明においては、分子中に少なくとも1つの芳香族環を有するカルボン酸の1種または2種以上を、硫黄分含有量が0.05質量%以下である低硫黄軽油に添加して、本発明の軽油組成物を得ることができる。
上記芳香族環としては、具体的には例えば、一般式(1)のArが示す芳香族環として列挙したものなどが挙げられるが、この中でもベンゼン環またはナフタレン環が好ましい。
分子中にベンゼン環を有するカルボン酸として好ましい化合物は、下記一般式(8)で表されるものが例示できる。
【化12】
(上記式(8)において、R12は同一分子中で同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜5のアルキル基を示し、tは0〜5の整数である。)
一般式(8)に包含されるカルボン酸の具体例を例示すると、ベンゼンカルボン酸(安息香酸)、メチルベンゼンカルボン酸(全ての置換異性体を含む)、エチルベンゼンカルボン酸(全ての置換異性体を含む)、プロピルベンゼンカルボン酸(全てのプロピル基の異性体および全ての置換異性体を含む)、ブチルベンゼンカルボン酸(全てのブチル基の異性体および全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
また、上記一般式(8)で表されるもののほかに、シクロペンチルフェニル酢酸、シクロヘキシルフェニル酢酸なども本発明の軽油組成物を得るにあたって使用できる。
分子中にナフタレン環を有するカルボン酸として好ましい化合物は、下記一般式(9)で表されるものが例示できる。
【化13】
(上記式(9)において、R13は同一分子中で同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜5のアルキル基を示し、uは0〜7の整数である。)
一般式(9)に包含されるカルボン酸の具体例を例示すると、ナフタレンカルボン酸(ナフトエ酸)、メチルナフタレンカルボン酸(全ての置換異性体を含む)、エチルナフタレンカルボン酸(全ての置換異性体を含む)等が挙げられる。
分子中に少なくとも1つの芳香族環を有するカルボン酸の1種または2種以上を、硫黄分含有量が0.05質量%以下である低硫黄軽油に添加して本発明の軽油組成物を調製するにあたっては、その添加量の上限値が軽油組成物全量基準で、1質量%、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.08質量%、最も好ましくは0.06質量%であり、また下限値が軽油組成物全量基準で0.005質量%、好ましくは0.006質量%、より好ましくは0.007質量%であることが望ましい。しかしながら、この場合においても、軽油組成物中のアルカリ抽出分の含有量が0.005〜1質量%となるように添加するしなければならないことは言うまでもない。
【0029】
また、本発明の軽油組成物を製造する際に用いられる硫黄分0.05質量%以下である低硫黄軽油中にも、通常分子中に少なくとも1つの芳香族環を有するカルボン酸が含まれている。したがって、このような低硫黄軽油を用いて得られる軽油組成物中の分子中に少なくとも1つの芳香族環を有するカルボン酸の含有量は、低硫黄軽油中にもともと存在していた量と添加した量との合計量となる。本発明の軽油組成物中の分子中に少なくとも1つの芳香族環を有するカルボン酸の含有量の上限値は、組成物全量基準で、1質量%、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.08質量%、最も好ましくは0.06質量%、下限値が軽油組成物全量基準で0.005質量%、好ましくは0.006質量%、より好ましくは0.007質量%となるようにすることが望ましい。
【0030】
また、石油留分から回収されるアルカリ処理分や上記した酸性有機化合物を利用する代わりに、本発明でいうアルカリ抽出分を0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%含有する石油留分を低硫黄軽油に直接添加して本発明の軽油組成物を調製することもできる。このような石油留分としては、250〜400℃の沸点範囲を有することが望ましい。沸点が400℃を越える留分を添加した場合、軽油組成物の貯蔵安定性が低下しスラッジが生成しやすくなる、ディーゼルエンジン用の燃料として用いた場合、排出ガスに悪影響を及ぼすなどして好ましくない。また、このような石油留分としては、40℃における動粘度が4〜8mm2/s の潤滑油留分であることが望ましい。なお、このような性状を有する潤滑油留分は、例えば、Duri原油、Wandoo原油、Tia Juana原油等を蒸留して得られる。また、スピンドル油の基油の脱硫処理前の原料油等の潤滑油留分も使用可能である。
念のため付言すると、一般に石油留分の硫黄分含有量は、当該石油留分を水素化精製することにより減少させることができるが、同時に本発明で言うアルカリ抽出分の含有量も還元によって減少する。しかし、マイルドな条件で水素化精製を行えば、アルカリ抽出分の減少を少量に抑えることができる。また、本来的に硫黄分含有量が少ない原油から得られる直留軽油は、通常、硫黄分含有量が0.1質量%以下で、アルカリ抽出分含有量が0.01〜0.50質量%程度である。
従って、比較的マイルドな条件で水素化精製された石油留分や、硫黄分含有量が少ない原油から得られる直留軽油を、低硫黄軽油に配合して本発明の軽油組成物を調製することも可能である。
しかし、いずれにしても、最終的に得られる軽油組成物の硫黄分含有量は、
0.05質量%以下に、アルカリ抽出分含有量は0.005〜1質量%の範囲にされなければならない。
【0031】
本発明の軽油組成物は、硫黄分含有量およびアルカリ抽出分含有量に関する条件を満足することに加えて、レジン分含有量が所定値以下であることが好ましい。レジン分含有量が増大すると、軽油組成物の貯蔵安定性が低下し、スラッジを生成し易くなるからである。本発明の軽油組成物で許容されるレジン分含有量の上限値は、1質量%、好ましくは0.75質量%、より好ましくは0.5質量%、さらにより好ましくは0.3質量%、最も好ましくは0.15質量%である。
ここで、レジン分含有量とは、石油学会規格JPI−5S−22−83「アスファルトのカラムクロマトグラフィーによる組成分析法」を改良して軽油に適用し、以下の手順で測定される値を意味する。測定に使用する装置、器具および試薬は、すべてJPI−5S−22−83の規定を適用する。
なお、本明細書に記載するレジン分含有量は、すべてここに記載する測定法で測定された値である。
▲1▼:図1に示すような概略形状を有するクロマトグラム用カラムに、活性化されたアルミナゲル75gを入れ、カラム外側からバイブレーターを60秒間かけてアルミナゲルを均一に詰める(アルミナゲルの活性化はJPI−5S−22−83の6.1、クロマトグラム用カラムの準備はJPI−5S−22−83の6.2に準拠した)。
▲2▼:300mlの三角フラスコに2.0±0.2gの試料(軽油組成物)を0.001gまではかりとる。これに30mlのn−ヘプタンを加え、均一に溶解させる。
▲3▼:n−ヘプタン70mlをガラス棒を用いてカラム上部から内壁づたいにカラム内に流し込み、ゲルを湿潤させる。また恒温水槽の温水をポンプでカラムジャケット部に循環させ、カラムの温度を50±2℃に保つ。
▲4▼:▲3▼で準備したカラム中のn−ヘプタンの最終液面がゲル層上面に達したのを確認してから、▲2▼で得られた試料溶液をカラム中に注ぐ。試料溶液が付着したフラスコはn−ヘプタン25mlで洗浄し、試料溶液の最終液面がゲル層上面に達したら、直ちにカラム上部からn−ヘプタン洗浄液をカラム内に注ぐ。この洗浄操作をさらにもう1回繰り返し、フラスコ中の試料を完全にカラム内に移す。
▲5▼:▲4▼の2回目のn−ヘプタン洗浄液の最終液面がゲル上面に達したら直ちにカラム上部からn−ヘプタン250mlを連続的にカラム内に流し入れる。
▲6▼:▲5▼のn−ヘプタンの最終液面がゲル層上面に達したら直ちに、▲4▼で使用したフラスコにトルエン30mlを入れ、n−ヘプタン不溶解分を完全に溶解し、カラム内に流し入れる。この最終液面がゲル層上面に達したら、引き続きカラム上部からトルエン270mlを連続的にカラム内に流し入れる。
▲7▼:▲6▼のトルエンの最終液面がゲル層上面に達したら直ちにカラム出口にレジン分採取用の受器を用意する。次いでカラム上部からメタノール80mlをカラム内に流し入れ、この最終液面がゲル層上面に達したら、同様にトルエン80ml、最後にメタノール100mlをカラム内に流し入れ、カラムから溶剤が完全に留出しなくなるまで採取し、これをレジン分溶液とする。
▲8▼:▲7▼で採取したレジン分溶液をJPI−5S−22−83の7.11のA法に準拠して、溶剤を完全に除去、恒量化し、その後冷却秤量し、レジン分の質量を求める。
▲9▼:▲8▼で得られたレジン分に質量に基づき、次式により試料の軽油のレジン分含有量を求める。
【0032】
さらに言えば、本発明の軽油組成物は、その沸点範囲が通常150〜400℃、好ましくは160〜380℃であることが望ましい。ここで言う沸点範囲とは、JIS K 2254に規定する「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して測定される初留点から終点までの温度範囲を意味する。
また、本発明の軽油組成物のセタン価は、通常45以上、好ましくは50以上であることが望ましい。ここで言うセタン価とは、JIS K 2280 6に規定する「セタン価試験方法」に準拠して測定されるセタン価を意味する。
本発明の軽油組成物の色相は、通常、セーボルト値で0以上、好ましくは10以上であることが望ましい。ここで言う色相とは、JIS K 2580 4.2に規定する「セーボルト色試験方法」に準拠して測定される値を意味する。
本発明の軽油組成物の成分組成は、通常、飽和分含有量が60〜95容量%、好ましくは70〜85容量%、オレフィン分含有量が0〜5容量%、好ましくは0〜1容量%、芳香族分含有量が5〜40容量%、好ましくは15〜30容量%である。ここで言う飽和分含有量、オレフィン分含有量および芳香族分含有量は、JIS K 2536に規定する「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定される飽和分、オレフィン分および芳香族分の容量百分率(容量%)を意味する。
本発明の軽油組成物は、潤滑性をより高めるため、全酸価が0.01mgKOH/g以上であることが望ましい。また、軽油組成物の貯蔵安定性の点から、全酸価が2mgKOH/g以下、好ましくは1mgKOH/g以下であることが望ましい。なお、ここでいう全酸価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の電位差滴定法に準拠して測定される全酸価を意味する。
さらに、本発明の軽油組成物は、通常、JIS K 2204「軽油」で規定する特1号、1号、2号、3号または特3号に該当する性状を有していることが好ましい。
【0033】
本発明の軽油組成物には、その性能をさらに高める目的でその他の公知の燃料油添加剤を単独で、または数種類組み合わせて添加することもできる。これら添加剤としては、例えば、硝酸エステルや有機過酸化物などのセタン価向上剤;エチレン−酢酸ビニル共重合体、アルケニルコハク酸アミドなどの低温流動性向上剤;フェノール系、アミン系などの酸化防止剤;サリチリデン誘導体などの金属不活性化剤;アルケニルコハク酸イミド、ポリアルキルアミンなどの清浄分散剤;ポリグリコールエーテルなどの氷結防止剤;脂肪族アミン、アルケニルコハク酸エステルなどの腐食防止剤;アニオン系、カチオン系、両性系界面活性剤などの帯電防止剤;アゾ染料などの着色剤;などを挙げることができる。
これらその他の添加剤の添加量は任意に決めることができるが、添加剤個々の添加量は、軽油組成物全量基準でそれぞれ0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下であるのが通常である。
【0034】
【実施例】
以下に実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
まず、実施例、比較例で用いた軽油製造基材の性状を表1に示し、これら基材の製法を以下に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
水素化脱硫軽油
アラビアンライト軽油を常圧蒸留装置にかけて得られる軽油留分を、連続した2段階の工程で水素化脱硫処理して得られた軽油。第一工程での留出油の温度を下げた後、そのまま連続して第二工程の水素化脱硫処理を行った。
水素化脱硫処理の第一工程の水素分圧は5.4MPa 、反応温度は375℃、原料油の供給量(液空間速度)(LHSV)は5.0h-1、水素/油比は253Nm3/m3であり、一方、第二工程の水素分圧は5.4MPa 、反応温度は250℃、LHSVは10.0h-1であった。両工程とも、アルミナ担体にコバルトおよびモリブデンを担持した触媒を使用した。
水素化精製灯油
アラビアンライト原油を常圧蒸留装置にかけて得られる灯油留分を、水素化精製処理して得られた灯油。
水素化精製処理の水素分圧は3.0MPa 、反応温度は290℃、LHSVは8.0、水素/油比は84Nm3/m3であり、アルミナ担体にコバルトおよびモリブデンを担持した触媒を使用した。
低硫黄軽油
上記の水素化脱硫軽油70容量%と水素化精製灯油30容量%との混合物。
【0037】
[実施例1〜5および比較例1]
直留軽油から以下の方法によりアルカリ処理分をアルカリ抽出で回収し、これを表1に示す低硫黄軽油に添加して、表2の実施例1〜5、比較例1、参考例1,2の各欄に示す性状に従って各種の(アルカリ抽出分含有量が異なる)軽油組成物を調製した。得られた各種の軽油組成物についてHFRR試験を行い、摩耗痕直径(WSD)を測定し、その結果を表2の下欄に示した。
試験に供した各軽油組成物の性状および試験結果を表2に示す。なお、表2に示す比較例1は、アルカリ処理分を添加していない低硫黄軽油を試料油としたものであり、参考例1はアラビアンライト原油を常圧蒸留装置にかけて得られた直留軽油を試料油としたもであり、参考例2はアラビンアンライト原油由来の直留軽油からアルカリ処理分を除去した油を試料油としたものである。
アルカリ抽出分抽出方法
▲1▼:直留軽油500mlに10%NaOH水溶液50ml加え、これを分液ろうとに入れて30分振とうしたのち、油層と水層とに分離する。これを3回繰り返す。
▲2▼:▲1▼の油層を純水100mlで2回洗浄する。
▲3▼:▲1▼▲2▼で得られた水層を全て混合し、これに10%H2SO4水溶液を加えて、酸性(pH=5)にする。
▲4▼:▲3▼で得られた溶液をベンゼンで3回抽出する。
▲5▼:▲4▼で得られたベンゼン溶液からエバポレーターでベンゼン、水分を除去する。
HFRR試験方法
以下の条件でHFRR試験を行い、試験後の試験球についた円状の傷の振動方向の直径と振動方向に垂直な方向の直径を測定し、その平均値を摩耗痕直径(WSD)とした。
試験球
材質:ANSI 52100
硬度:645HV30
表面粗さ:0.1μmRa以下
直径:6.25nm、
試験板
材質:ANSI 52100
硬度:180HV30
表面粗さ:0.1μmRa以下
荷重:2N
試験温度:60℃
ストローク:1.0mm
振動数:50Hz
時間:75分
【0038】
【表2】
表2から明らかなように、硫黄分が0.05質量%以下、アルカリ抽出分含有量が0.005〜1質量%である実施例1〜5の軽油組成物は、いずれもWSDの値が小さく、従ってポンプ内部が焼き付く心配がない。これに対して、硫黄分含有量が0.05質量%以下であっても、アルカリ抽出分が0.005質量%に満たない軽油組成物(比較例1参照)では、WSDの値が大きくポンプ内部が焼き付く恐れがある。
【0039】
[実施例6〜53]
表1に示した低硫黄軽油に下記の化合物を所定量添加して、表3〜表8の実施例6〜53の各欄に示す性状に従って各種の軽油組成物を調製し、得られた各種の軽油組成物について先の実施例と同様なHFRR試験を行った。その結果を表3〜表8の下欄に示した。
(A)2−イソプロピルフェノール
(B)2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール
(C)2−ナフトール
(D)p−フェニルフェノール
(E)2−ナフトエ酸
(F)シクロペンチルフェニル酢酸
(G)4−テトラデシル−1,2−ジヒドロキシベンゼン
(H)7−ドデシル−8−キノリノ−ル
(I)7−ブチル−1,2−ジヒドロキシナフタレン
(J)7−ブチル−2,3−ジヒドロキシナフタレン
(K)4−(6′−ブチル−3′−ピリジル)−1,2−ジヒドロキシベンゼン
(L)4−(4′−ブチルフェニル)−1,2−ジヒドロキシベンゼン
(M)4−(10′−ペントキシデシル)−1,2−ジヒドロキシベンゼン
(N)4−[(4′−ジオクチルアミノ)ブチル]−1,2−ジヒドロキシベンゼン
(O)2,2′−ビフェニルジオ−ル
(P)4−(1′,2′−ジヒドロキシオクチル)−1,2−ジヒドロキシベンゼン
[実施例54〜56]
Duri系原油を常圧蒸留および減圧蒸留して、表1に示す性状を有する潤滑油留分(@40℃、6.35mm2/s)を得た。この潤滑油留分を低硫黄軽油に所定量添加し、表9の実施例54〜56の各欄に示す性状に従って各種の軽油組成物を調製し、得られた各種の軽油組成物について先の実施例と同様なHFRR試験を行った。その結果を表9の下欄に示した。
【0040】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0041】
表3〜表9の結果から明らかなように、フェノール化合物、芳香族環を有するカルボン酸または潤滑油留分を所定量添加した各実施例の軽油組成物は、いずれも未添加の軽油組成物(表2の比較例1参照)に比較して、WSDの値が小さく、従ってポンプ内部が焼き付く心配がない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、硫黄分含有量が0.05質量%以下で、アルカリ抽出分含有量が0.005〜1質量%の範囲に規定することにより、硫黄分含有量が少なく、分配型燃料ポンプに対して潤滑性が高く、しかもポンプの駆動トルク増や摩耗、フリクション増を招くこともない軽油組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルカリ抽出分含有量の測定およびレジン分含有量の測定に使用されるクロマトグラム用カラムの概略図である。
Claims (1)
- 硫黄分含有量が0.05質量%以下の軽油に、(A)2−イソプロピルフェノール、(B)2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール、(C)2−ナフトール、および(D)p−フェニルフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種のフェノール化合物及び/又は分子中に少なくとも1つの芳香環を有するカルボン酸を添加してなるアルカリ抽出分含有量が0.005〜1質量%であることを特徴とする軽油組成物。
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