JP3788667B2 - シリンダブロックの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミ基複合材を材料として用いたシリンダブロックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンのシリンダブロックは、一般にシリンダライナをアルミ合金で鋳包んで製造される。
そして、シリンダライナの製造法として特開昭59−206154号に開示される方法がある。この方法は、Al2O3、SiC或いはSi3N4等のセラミック繊維をAl合金の溶湯中に分散させてインゴットを製作し、このインゴットを押出し成形してパイプ部材とし、このパイプ部材を所定寸法に切断することでシリンダライナとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
セラミックス強化材を含んだアルミ基複合材は強化材を含まない合金と比べ、強度は大幅に向上している。しかしながら、アルミ基複合材を含めMMC(金属基複合材)自体の変形抵抗は極めて大きく伸び率は低い。そのため、前記した先行技術のように押出し成形によってシリンダライナを成形しても、押出し成形性が悪く、押出比を大きくすることはできず、高品質のシリンダライナを得ることはできない。
【0004】
即ち、押出比を大きくすると、塑性変形量が大きくなり強化材(セラミック繊維)とマトリクス金属(Al合金)との界面に大きな剪断応力が発生し、界面において剥離やずれが発生し、スリーブの品質低下を招いてしまう。
このため、押出比は小さくしなければならないが、押出比が小さいと鋳造の際に発生した鋳造欠陥を押出し成形で完全に回復することができず、引張強度、耐力を充分に高めることができない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明に係るシリンダブロックの製造方法は、Al2O3等の金属酸化物からなる強化材を窒化マグネシウム(Mg3N2)と接触せしめ、窒化マグネシウムの還元作用によって強化材の少なくとも一部に金属を露出せしめ、この状態でAl合金を強化材に浸透させてAl基複合材を製造し、次いでこのAl基複合材を押出し成形して円筒状部材とし、この円筒状部材を所定長さに切断してシリンダライナとし、このシリンダライナを金型にセットしてAl合金で鋳包むようにした。
【0006】
図1はAl合金としてAl−Mg系合金(JIS 5056)を原料として鋳造されたAl基複合材を押出し成形した場合の、押出比と引張強度及び耐力との関係を示すグラフであり、このグラフから押出比が3未満では引張強度及び耐力とも不足し、また40を超えてもそれ以上の効果がないことが分る。したがって、押出比は3以上40以下とするのが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図2はアルミ基複合材料の製造装置の構成概要図であり、製造装置は、加熱炉1と、この加熱炉1内に雰囲気ガスを導入する雰囲気ガス注入手段2と、加熱炉1内の圧力を減ずる減圧手段3と、加熱炉1を加熱する加熱手段4から構成されている。
【0008】
そして前記雰囲気ガス注入手段2は、窒素(N2)ガスを供給するための窒素ガスボンベ2a及び同バルブ2bと、アルゴン(Ar)ガスを供給するためのアルゴンガスボンベ2c及び同バルブ2dを備えており、前記減圧手段3は真空ポンプ3aを備えている。また、前記加熱手段4は、加熱炉1の周囲に配設されるヒータ4aと、不図示の温度調節器を備えている。
【0009】
上記装置によって複合材を製造するには、先ず、図2及び図3に示すように、坩堝5内にセラミック強化材を成形したプリフォーム6をセットし、次いでこの上にアルミニウム合金ブロック7(JIS5056相当)を載せ、更に別の坩堝8内にマグネシウム発生源9を入れる。尚、マグネシウム発生源9は坩堝5に入れるようにしてもよい。また、プリフォーム6をセットする代りに、セラミック強化材の粒子を坩堝5に充填してもよい。
【0010】
ここで、セラミック強化材からなるプリフォーム6としては、アルミナ(Al2O3)繊維又はアルミナ(Al2O3)粒子からなる例えば体積含有率(Vf)20%程度のものとし、また、マグネシウム発生源9としては、例えば純マグネシウム(Mg)、又はマグネシウム合金、又はアルミニウム−マグネシウム合金等を使用する。
【0011】
そして雰囲気ガス注入手段2のアルゴンガスボンベ2c、及び同バルブ2dから雰囲気炉1内にアルゴン(Ar)ガスを導入して置換し、加熱手段4によって雰囲気炉1内を加熱すると、マグネシウム発生源9からマグネシウムが昇華し、マグネシウム蒸気がプリフォーム6の内部に浸透・分散する。
【0012】
この後、雰囲気ガス注入手段2の窒素ガスボンベ2a、及び同バルブ2bから雰囲気炉1内に窒素(N2)ガスを導入すると、昇華したマグネシウムと窒素ガスが反応して窒化マグネシウム(Mg3N2)が生成され、この窒化マグネシウム(Mg3N2)がプリフォーム6の繊維又は粒子表面のアルミナ(Al2O3)に接触して還元反応が進行し、Al2O3から酸素原子が奪い取られ、金属(Al)が露出する。
【0013】
この露出した金属は極めて活性であり、アルミニウム溶湯との濡れ性が良くなるため、プリフォーム6の内部にアルミニウム溶湯が浸透し、ケミカルコンタクトによって複合化されたアルミ基複合材(ビレット)10が得られる。
【0014】
次いで、アルミ基複合材10を取り出し、表面を機械加工によって除去した後に、図4及び図5に示す押出し成形機にて円筒状に成形する。
押出し成形機は本体11の内部にオス型ダイス12とメス型ダイス13を設け、本体11内にセットしたアルミ基複合材10をステム14にて加圧することで、オス型ダイス12によってアルミ基複合材10は3本に分けられ、この分割されたアルミ基複合材10は押出されながら圧着一体化してパイプ状部材15を得る。
【0015】
尚、図示例ではホロー押出しを行う例を示したが、マンドレル方式にて押出し成形してもよい。
【0016】
この後、図6に示すように、治具16でパイプ状部材15を所定寸法に切断してシリンダライナ17を得る。そして図7に示すように、シリンダライナ17の表面に周方向の溝18を形成し、鋳包んだ後のシリンダライナ17の抜けを確実に防止するようにしている。
【0017】
この後、シリンダライナ17を金型内にセットし、Al合金を注湯することで、図8に示すようなシリンダライナ17とAl合金ブロック19とが一体となったシリンダブロックが形成される。
【0018】
図9はシリンダライナ17の別実施例を示す図であり、押出し成形機のダイス形状を変更することで、図8に示すような4連のシリンダライナを得ることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、還元雰囲気において、セラミック強化材にアルミ合金の溶湯を含浸せしめるようにした為、アルミ合金と強化材との界面はケミカルコンタクトによって強固に結合され、この事がその後に行う押出し成形性を大幅に向上させており、押出比の大きな押出し成形を行うことができる。
そして、本発明の押出し成形によって、引張強度と耐力に優れた高品質のシリンダライナを得ることができる。
また、押出し成形性が大幅に向上したので、ホローダイスを用いた圧着一体化成形も可能となり、材料の歩留りが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】押出比と引張強度及び耐力との関係を示すグラフ
【図2】アルミ基複合材料の製造装置の構成概要図
【図3】アルミ基複合材料を鋳造にて得るまでの工程を説明した図
【図4】押出し成形機の断面図
【図5】図4のA−A方向矢視図
【図6】円筒状部材を切断してシリンダライナとする状態を示す図
【図7】シリンダライナの外周面に溝を形成した状態を示す斜視図
【図8】シリンダブロックの一部を拡大して示した斜視図
【図9】シリンダライナの別実施例を示す平面図
【符号の説明】
1…加熱炉、2…雰囲気ガス注入手段、3…減圧手段、4…加熱手段、5,8…坩堝、6…プリフォーム、7…アルミニウム合金ブロック、9…マグネシウム発生源、10…アルミ基複合材(ビレット)、15…パイプ状部材、17…シリンダライナ。
Claims (2)
- 金属酸化物からなる強化材を窒化マグネシウムと接触せしめ、窒化マグネシウムの還元作用によって強化材の少なくとも一部に金属を露出せしめた状態でAl合金を強化材に浸透させてAl基複合材を製造し、次いでこのAl基複合材を、ホローダイスを用いてA l 基複合材を複数本に分割して押出しながら圧着一体化する押出し成形によって円筒状部材とし、この円筒状部材を所定長さに切断してシリンダライナとし、このシリンダライナを金型にセットしてAl合金で鋳包むことを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
- 請求項1に記載のシリンダブロックの製造方法において、前記Al基複合材を押出し成形して円筒状部材とする際の押出比を3〜40としたことを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
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