JP3787038B2 - 弾性支持装置、車両用弾性支持装置及び車両用サスペンション装置のための制御装置 - Google Patents

弾性支持装置、車両用弾性支持装置及び車両用サスペンション装置のための制御装置 Download PDF

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    • B60G2600/18Automatic control means
    • B60G2600/184Semi-Active control means

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両を構成する部材を弾性的に支持する車両用弾性支持装置、具体的には車両のばね上部材とばね下部材との間に設けられたサスペンション装置など、物体を弾性的に支持する弾性支持装置に組み込まれたダンパの減衰力(又は減衰係数)を制御する弾性支持装置のための制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種の弾性支持装置、例えば車両のサスペンション装置においては、車両のばね上部材、ばね下部材などの運動状態量を検出するとともに、同検出した運動状態量に基づいて目標減衰力又は目標減衰係数を決定して、サスペンション装置に組み込んだダンパの減衰力又は減衰係数を前記決定した目標減衰力又は目標減衰係数に設定することはよく知られている。例えば特開平10−119528号公報に示されている装置においては、スカイフック理論に基づいて、ばね上部材の上下加速度と、ばね下部材に対するばね上部材の相対速度とにより目標減衰係数を決定し、同決定した目標減衰係数を用いてサスペンション装置の減衰力を制御している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記サスペンション装置のような弾性支持装置においては、ダンパの減衰力は、ダンパの両側の部材間の相対速度(例えばばね下部材に対するばね上部材の相対速度)と減衰係数との積により与えられるものであるとともに、減衰係数は前記相対速度に応じて非線形に変化するものであるので、制御系の設計が非常に困難である。例えば、このような弾性支持装置(例えはサスペンション装置)に対して状態空間表現されるプラントを想定して、制御系の設計を試みることが考えられる。しかし、この場合でも、プラントが双線形であるので、このような双線形システムに線形理論をそのまま適用しても、制御入力を弾性支持装置(例えばサスペンション装置)にて実現できない領域については近似則を用いることになり、理論的には設計時に与えた制御仕様(ノルム条件)を満たす保証がなくなり、また制御入力が不連続になるために制御に違和感が出てしまうという問題があり、現在までの制御は妥協の上に成立したものであって充分に満足できるものではなかった。
【0004】
【発明の大略】
本発明は上記課題に対処するためになされたもので、その目的は、減衰力又は減衰係数を変更可能なダンパを備えて上記のように双線形システムとなる弾性支持装置(例えば、車両用支持装置、車両用サスペンション装置など)に対して従来にない良好な制御を行えるようにしたことにある。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、物体を弾性的に支持するとともに減衰力(又は減衰係数)を変更可能なダンパを組み込んだ弾性支持装置に適用され、ダンパの減衰力(又は減衰係数)を、非線形なプラントを扱えて周波数領域で設計仕様を与えることができる制御理論に基づいて計算した目標減衰力(又は目標減衰係数)に設定することにある。この場合、弾性支持装置は、例えば、車体、エンジンなどの車両を構成する部材を弾性的に支持する車両用弾性支持装置である。より具体的には、例えば車両のサスペンション装置である。また、前記制御理論として、非線形H∞制御理論を採用できる。さらに、非線形H∞制御理論として、非線形H∞状態フィードバック制御、非線形H∞出力フィードバック制御及びカルマンフィルタを用いた非線形H∞制御のうちのいずれか一つを採用することができる。
【0006】
これによれば、双線形システムとなる弾性支持装置(例えば、車両用支持装置、車両用サスペンション装置など)においても、設計時に与えた制御仕様(ノルム条件)を満たし、かつ制御入力が連続的に変化して、制御に違和感を与えない良好な制御装置が弾性支持装置(車両用弾性支持装置、車両用サスペンション装置)のダンパに対して実現される。
【0007】
また、前記本発明を車両用サスペンション装置のための制御装置に適用した場合、制御装置は、ばね上部材及びばね下部材の上下方向の運動に関係した状態量を検出する状態量検出手段と、非線形なプラントを扱えて周波数領域で設計仕様を与えることができる制御理論(例えば、非線形H∞制御理論)に基づいて求めた正定対称解を記憶しておき、同記憶しておいた正定対称解及び前記検出された状態量を用いて前記目標減衰力(又は前記目標減衰係数)を計算する目標減衰力計算手段(又は目標減衰係数計算手段)とにより構成するとよい。
【0008】
また、一方では、前記制御装置は、ばね上部材及びばね下部材の上下方向の運動に関係した複数の状態量のうちの一部の状態量を検出する状態量検出手段と、複数の状態量のうちの他の状態量をオブザーバ(観測器)を用いて推定する状態量推定手段と、前記制御理論に基づいて求めた正定対称解を記憶しておき、同記憶しておいた正定対称解、前記検出された状態量及び前記推定された状態量を用いて目標減衰力(又は目標減衰係数)を計算する目標減衰力計算手段(又は目標減衰係数計算手段)とにより構成するとよい。
【0009】
この場合、前記状態量としては、ばね上部材、ばね下部材の上下方向の運動に関する種々の物理量を利用できるが、タイヤの上下方向の変位量、ばね下部材に対するばね上部材の上下方向の相対変位量、ばね下部材の上下方向速度及びばね上部材の上下方向速度を状態量とすることが好ましい。
【0010】
これによれば、ばね下部材に対するばね上部材の相対速度と、同相対速度に応じて変化する減衰係数との積により与えられる減衰力を扱う双線形制御システムにおいても、設計時に与えた制御仕様(ノルム条件)を満たし、かつ制御入力が連続的に変化して、制御に違和感を与えない良好なサスペンション装置の制御装置が実現される。その結果、車両の走行安定性が良好になったり、車両の乗り心地が良好となる。
【0011】
また、本発明の他の構成上の特徴は、弾性支持装置(車両用弾性支持装置又は車両用サスペンション装置)のための制御装置が、ダンパの減衰係数を予め定めた線形部分と非線形部分との2つに分けて扱うものであり、同制御装置が、前記非線形部分を前記制御理論(例えば非線形H∞制御理論)に基づいて計算する非線形部分計算手段と、前記予め定めた線形部分と前記計算した非線形部分とを合成して前記目標減衰係数を計算する目標減衰係数計算手段とにより構成されていることにある。さらに、車両用サスペンション装置のための制御装置において、目標減衰力を計算する場合には、ばね下部材に対するばね上部材の相対速度を検出又は推定して、この相対速度に前記計算された目標減衰係数を乗じて同目標減衰力を計算するようにすればよい。このように、サスペンション装置の減衰係数を予め定めた線形部分と非線形部分との2つに分けて扱うことにより、プラントを安定にし、所望の特性が得られるように制御することが可能となる。
【0012】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記制御装置が、ダンパの減衰係数を線形部分と非線形部分との2つに分けて扱うものであって、前記計算した目標減衰力がダンパにより発生可能な減衰力の範囲内にほぼ納まるように、前記線形部分と前記非線形部分のゲインを規定したものである。また、目標減衰係数を計算する場合には、線形部分と非線形部分を合成した目標減衰係数による減衰力がダンパにより発生可能な減衰の範囲内にほぼ納まるように、前記線形部分と前記非線形部分のゲインを規定する。より具体的に、前記線形部分と非線形部分とを合成した減衰係数が前記線形部分を挟んで変化するように、前記非線形部分を変化させるものである。
【0013】
このように、目標減衰力がダンパにより発生可能な減衰力の範囲内にほぼ納まるようしたので、すなわち図5(A)に示すように、目標減衰力をサスペンション装置にて実現し得る最小減衰力と最大減衰力との間にほぼ納まるようにしたので、設計時に与えた制御仕様(ノルム条件)を満たし、かつ制御入力が連続的に変化して、制御に違和感を与えない良好な弾性支持装置の制御が確実に行えるようになる。また、この場合、前記線形部分と前記非線形部分のゲインとを規定したり、前記線形部分と非線形部分とを合成した減衰係数が前記線形部分を挟んで変化するようにようにしたので、簡単に上記制御仕様を満たすことが実現される。
【0014】
また、本発明の他の構成上の特徴は、ダンパが、その減衰力(又は減衰係数)を複数段のいずれかの段に切り換えるように構成されてなり、前記制御装置が、ダンパの減衰係数を線形部分と非線形部分との2つに分けて扱うものであって、前記線形部分により決定される減衰力が、同減衰力の小さな範囲でダンパの複数段のうちの所定の1つの段により発生される減衰力にほぼ等しくなるように、前記線形部分を設定したことにある。減衰力の小さな範囲では減衰力の相対速度に対する線形性は強く、同相対速度に対して非線形に変化する非線形部分をほぼ「0」とすることができる。したがって、前記構成によれば、ダンパにおいては前記所定の1つの段に維持される可能性が高くなり、すなわちダンパの減衰力(減衰係数)の切り換え頻度を低く抑えることができるので、ダンパにおける減衰力切り換え機構の耐久性が高く保たれる。
【0015】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記制御装置が、ダンパの減衰係数を線形部分と非線形部分との2つに分けて扱うとともに、前記非線形部分を制御入力とする一般化プラントを想定して前記目標減衰力(又は目標減衰係数)を計算するものであって、前記制御入力に対して所定の周波数重みを付与するものである。この種の制御装置にあっては、プラントのモデル化誤差、減衰係数切り換え機構内のアクチュエータの応答速度、同機構における減衰力の立ち遅れ、状態量を検出するためのセンサノイズなどの理由により、制御周波数帯域が高くなればなるほど制御効果が薄れる。しかし、前記構成によれば、前記各種原因によって制御効果の薄れる周波数帯域で制御入力を追従させないようにできるので、より良好な制御を実現できる。また、前記アクチュエータの無駄な動きも減少するので、同アクチュエータの耐久性が向上するとともに、前記減衰係数切り換え機構から発生する異音を抑制できる。
【0016】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記車両用サスペンションを制御するための制御装置が、ばね上部材及びばね下部材の上下方向の運動に関する物理量を評価出力とする一般化プラントを想定して前記目標減衰力(又は前記目標減衰係数)を計算するものであって、前記物理量に対して所定の周波数重みを付与するものである。この場合、前記物理量としては、ばね上部材の共振に影響するばね上部材の上下加速度、ばね上部材の上下速度、ばね上部材の上下変位量などの物理量、ばね下部材の共振に影響するばね下部材の上下速度、ばね上部材に対するばね下部材の相対速度、タイヤ変位量などの物理量、乗員の乗り心地(ゴツゴツ感)に影響するばね上部材の上下加速度などの物理量を利用できる。そして、好ましくは、ばね上部材の共振に影響する物理量としてばね上部材の上下方向速度を利用し、ばね下部材の共振に影響する物理量としてばね下部材に対するばね上部材の相対速度を利用し、乗員の乗り心地の悪化(ゴツゴツ感)に影響する物理量としてばね上部材の上下方向加速度を利用するようにするとよい。これによれば、評価出力として前記各種物理量を採用することにより、周波数帯域に応じて前記各種物理量が与える車両への悪影響をより良好に抑制することができる。
【0017】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記物理量は複数種類であり、同複数種類の物理量に対する各周波数重みの最大領域が互いに干渉しないようにしたことにある。これによれば、各種物理量が車両用サスペンション装置に与える各悪影響を同悪影響毎に独立して抑制することができ、他の物理量の周波数重みによる抑制効果に影響を与えないので、前記各悪影響を良好に抑制することができる。
【0018】
そして、好ましくは、前記物理量は、ばね上部材の上下方向速度、ばね下部材に対するばね上部材の相対速度、ばね上部材の上下方向加速度のうちの少なくとも2つ以上にするとよい。これによれば、ばね上部材の共振、ばね下部材の共振及び乗員の乗り心地の悪化(ゴツゴツ感)のうちの少なくとも2つが解消される。
【0019】
また、本発明の他の構成上の特徴は、車両のばね上部材とばね下部材との間に設けられて減衰力を変更可能なダンパを組み込んだサスペンション装置に適用され、前記ダンパの減衰係数を線形部分と非線形部分との2つに分けて扱い、前記ダンパの減衰力を、非線形なプラントを扱えて周波数領域で設計仕様を与えることができる制御理論に基づいて計算した目標減衰力に設定する車両用サスペンション装置のための制御装置であって、車速又はばね上質量を検出し、前記検出した車速又はばね上質量に応じて前記減衰係数の線形部分を変更制御するようにしたことにある。
【0020】
これによれば、ダンパの減衰係数の線形部分が、車速又はばね上質量に応じて変更されるので、車速又はばね上質量の変化によって生じる車両要求性能の変化に対応することができ、官能上の評価が良好になる。
【0021】
また、本発明の他の構成上の特徴は、車両のばね上部材とばね下部材との間に設けられて減衰力を変更可能なダンパを組み込んだサスペンション装置に適用され、非線形なプラントを扱えて周波数領域で設計仕様を与えることができる制御理論に基づいて、一般化プラントを想定して前記ダンパの目標減衰力を計算するとともに、前記ダンパの減衰力を前記計算した目標減衰力に設定する車両用サスペンション装置のための制御装置であって、車速又はばね上質量を検出し、前記検出した車速又はばね上質量に応じて前記一般化プラントにおける周波数重みを変更制御するようにしたことにある。
【0022】
これによれば、想定した一般化プラントにおける周波数重みが車速又はばね上質量に応じて変更されるので、車速又はばね上質量の変化によって生じる車両要求性能の変化に対応することができ、官能上の評価が良好になる。
【0023】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記のように、ダンパの減衰係数の線形部分が、車速、ばね上質量などの車両の状態に応じて変更されたり、一般化プラントにおける周波数重みが、車速、ばね上質量などの車両の状態に応じて変更されたりする場合、前記変更に伴って計算された目標減衰力が所定値よりも大きく変化したとき、前記ダンパの減衰係数の線形部分及び一般化プラントにおける周波数重みの変更を禁止するようにしたことにある。
【0024】
これにより、ダンパの減衰係数の線形部分又は一般化プラントにおける周波数重みの変更により、ダンパにて設定される目標減衰力が急激に大きく変化すること、すなわち目標減衰力の不連続を解消することができるので、減衰力制御の違和感をなくすことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
a.モデル及び制御系設計の問題点
まず、サスペンション装置のモデルを考えて、同装置の状態空間表現を図る。図1は、車両の車輪一輪当たりのサスペンション装置の機能図である。Mbは車体すなわちばね上部材10の質量であり、Mwはロアアーム、車輪などのばね下部材11の質量であり、Ktはタイヤ12のばね定数である。Ksはばね上部材10とばね下部材11との間に介装されたサスペンション装置内に設けたばね13のばね定数であり、Csは同サスペンション装置内に設けたダンパの減衰係数Cのうちの線形部分(以下、線形減衰係数といい、後述する第1〜第3実施例では定数部分として扱われ、第1〜第4変形例においては車両の状態に応じて変更される)であり、Cvは同減衰係数Cのうちの非線形部分(以下、非線形減衰係数といい、後述する第1〜第3実施例では可変部分として扱われる)である。これらの線形減衰係数Csと可変減衰係数Cvとの合計が、ダンパ14の総合的な減衰係数である(C=Cs+Cv)。15は路面であり、ばね上部材10、ばね下部材11及び路面15の各変位量をxpb,xpw,xprとすれば、下記数1,2の運動方程式が成立する。
【0026】
【数1】
Figure 0003787038
【0027】
【数2】
Figure 0003787038
【0028】
なお、上記数1,2及び後述する各数式における記号「'」は1回微分を表し、記号「''」は2回微分を表している。
【0029】
このサスペンション装置における制御入力uは可変減衰係数Cvである。そこで、路面外乱w1を路面速度xpr'とするとともに、可変減衰係数Cvを制御入力uとしてサスペンション装置を状態空間表現すると、下記数3のようになる。
【0030】
【数3】
p'=App+Bp11+Bp2(xp)u
ただし、上記数3中、xp,Ap,Bp1,Bp2(xp)は下記数4〜7のとおりである。
【0031】
【数4】
Figure 0003787038
【0032】
【数5】
Figure 0003787038
【0033】
【数6】
Figure 0003787038
【0034】
【数7】
Figure 0003787038
【0035】
この発明におけるサスペンション装置の特性向上の目標は、ばね上部材の振動に大きく影響するばね上部材10の上下速度xpb'(以下、ばね上速度xpb'という)、車両の乗り心地に大きく影響するばね上部材10の上下加速度xpb''(以下、ばね上加速度xpb''という)及びばね下部材11の振動に大きく影響するばね上部材10に対するばね下部材11の上下相対速度xpw'−xpb'(以下、相対速度xpw'−xpb'という)を同時に抑制することである。したがって、評価出力zpとして、ばね上速度xpb'、ばね上加速度xpb''及び相対速度xpw'−xpb'を用いる。また、サスペンション装置においては、ばね上加速度xpb''と、ばね上部材10に対するばね下部材11の相対変位量xpw−xpb(以下、単に相対変位量xpw−xpbという)とを検出し易いので、基本的には観測出力ypをばね上加速度xpb''及び相対変位量xpw−xpbとする。また、観測出力ypには観測ノイズw2が含まれているとし、これを状態空間表現すると、下記数8,9のようになる。
【0036】
【数8】
p=Cp1p+Dp12(xp)u
【0037】
【数9】
p=Cp2p+Dp212+Dp22(xp)u
ただし、上記数8,9中のzp,yp,Cp1,,Dp12(xp),Cp2,Dp21,Dp22(xp)は、それぞれ下記数10〜16のとおりである。
【0038】
【数10】
Figure 0003787038
【0039】
【数11】
Figure 0003787038
【0040】
【数12】
Figure 0003787038
【0041】
【数13】
Figure 0003787038
【0042】
【数14】
Figure 0003787038
【0043】
【数15】
Figure 0003787038
【0044】
【数16】
Figure 0003787038
【0045】
しかし、上記サスペンション装置の状態空間表現は、前記数3に示すように係数Bp2(xp)に状態量xpが含まれているので、双線形システムとなる。双線形システムでは、原点x=oでは制御入力uを変えてもBp2(o)=oとなるため、原点付近では不可制御である。したがって、線形制御理論では前記サスペンション装置の制御系の設計はできず、同制御系の設計を非線形H∞制御理論を用いて、所望の制御性能が得られるように、すなわちばね上速度xpb'、ばね上加速度xpb''及び相対速度xpw'−xpb'を抑える制御系を設計することを試みる。以下、本発明に係る非線形H∞制御系の各種設計及びその車両搭載例について説明する。
【0046】
b.第1実施例
b1.非線形H∞状態フィードバック制御系の設計
まず、非線形H∞状態フィードバック制御系の設計について試みるために、評価出力zpと制御入力uに周波数重みを加えた図2に示すような状態フィードバック制御系の一般化プラントを想定する。この場合、周波数重みとは、重みの大きさが周波数に応じて変化する重みであり、伝達関数で与えられる動的な重みのことである。この周波数重みを用いることにより、制御性能を上げたい周波数帯域の重みを大きくし、制御性能を無視してよい周波数帯域に関しては重みを小さくすることが可能となる。さらに、評価出力zp及び制御入力uに周波数重みWs(s),Wu(s)をかけた後、非線形な重み関数として状態量xの関数a1(x),a2(x)をかける。非線形重みa1(x),a2(x)は、リカッチ方程式に帰結して解を得るために、下記数17,18により規定される特性を有する。
【0047】
【数17】
1(x)>0,a2(x)>0
【0048】
【数18】
1(o)=a2(o)=1
この非線形重みによって、より積極的にL2ゲインを抑えるような制御系の設計が可能となる。このシステムの状態空間表現は、下記数19のようになる。
【0049】
【数19】
p'=App+Bp11+Bp2(xp)u
ここで、評価出力zpにかかる周波数重みWs(s)の状態空間表現を下記数20,21のように表す。
【0050】
【数20】
w'=Aww+Bwp
【0051】
【数21】
w=Cww+Dwp
なお、xwは周波数重みWs(s)の状態量を表し、zwは周波数重みWs(s)の出力を表しており、Aw,Bw,Cw,Dwは制御仕様により定まる定数行列である。これらの定数行列Aw,Bw,Cw,Dwは、乗員の乗り心地(ゴツゴツ感)を良好にするためにばね上加速度xb''に対するゲインを3〜8Hz程度の周波数領域で下げ(図3(A))、ばね上部材10の共振を抑制するためにばね上速度xb'に対するゲインを0.5〜1.5Hz程度の周波数領域で下げ(図3(B))、ばね下部材11の共振を避けるために相対速度xw'−xb'に対するゲインを10〜14Hz程度の周波数領域で下げるように決定される(図3(C))。そして、これらの各ゲインを下げる周波数領域が重ならない、すなわち互いに干渉しないようにして、評価出力zpを構成するばね上加速度xb''、ばね上速度xb'及び相対速度xw'−xb'の各要素が独立して制御されるようにしている。
【0052】
また、制御入力uにかかる周波数重みWu(s)の状態空間表現を下記数22,23のように表す。
【0053】
【数22】
u'=Auu+Bu
【0054】
【数23】
u=Cuu+Du
なお、xuは周波数重みWu(s)の状態量を表し、zuは周波数重みWu(s)の出力を表しており、Au,Bu,Cu,Duは制御仕様による定数行列である。これらの定数行列Au,Bu,Cu,Duは、減衰係数を制御する電気アクチュエータの応答性を考慮するために、制御入力uに対するゲインが同アクチュエータの周波数特性に合わせて高周波数領域で抑えられるように決定される(図3(D))。
【0055】
このとき、非線形H∞状態フィードバック制御系における一般化プラントの状態空間表現は下記数24〜26のようになる。
【0056】
【数24】
x'=Ax+B11+B2(x)u
【0057】
【数25】
1=a1(x)(C11x+D121(x)u)
【0058】
【数26】
2=a2(x)(C12x+D122u)
ただし、前記数24〜26中のx,A,B1,B2(x),C11,D121(x),C12,D122は、下記数27〜34のとおりである。
【0059】
【数27】
Figure 0003787038
【0060】
【数28】
Figure 0003787038
【0061】
【数29】
Figure 0003787038
【0062】
【数30】
Figure 0003787038
【0063】
【数31】
11=[Dwp1w o]
【0064】
【数32】
121(x)=[Dwp12(xp)]
【0065】
【数33】
12=[o o Cu
【0066】
【数34】
122=Du
次に、リカッチ方程式に基づいて解を求めるために、下記数35により規定される条件のもとで、前記数24〜26により表された一般化プラントの状態空間表現を書き換えると下記数36〜38のようになる。
【0067】
【数35】
wp12(x)=0
【0068】
【数36】
x'=Ax+B1w+B2(x)u
【0069】
【数37】
1=a1(x)C11
【0070】
【数38】
2=a2(x)C12x+a2(x)D122
ここで、Aは減衰力制御系を表す安定な行列であるから、前記一般化プラントに対して、「▲1▼閉ループシステムが内部指数安定」、かつ「▲2▼路面外乱wから評価出力zまでのL2ゲインがある正定数γ以下である」を満たす非線形H∞状態フィードバック制御則u=k(x)を設計することを試みる。
【0071】
前記非線形H∞状態フィードバック制御則u=k(x)は、次の条件が成立するならば求まる。すなわち、
▲1▼D122 -1が存在し、ある正定数γが与えられるとき、この正定数γに対して下記数39のリカッチ方程式を満たす正定対称解Pが存在し、かつ
▲2▼非線形重みa1(x),a2(x)が下記数40の制約条件を満たすならば、閉ループシステムを内部安定にし、かつL2ゲインをγ以下とする制御則u=k(x)の一つは下記数41で与えられる。
【0072】
【数39】
Figure 0003787038
【0073】
【数40】
Figure 0003787038
【0074】
【数41】
Figure 0003787038
【0075】
ここで、前記数41の制約条件を満たす非線形重みa1(x),a2(x)を下記数42,43に例示しておく。
【0076】
【数42】
Figure 0003787038
【0077】
【数43】
Figure 0003787038
【0078】
なお、前記数42,43中のm1(x)は任意の正定関数である。そして、コンピュータによる演算の結果、前記のような正定対称解Pを求めることができた。そして、前記数43を用いると前記数41は下記数44のように変形される。
【0079】
【数44】
Figure 0003787038
【0080】
これらのことは、非線形H∞制御理論を用いて制御系を設計するためには、一般的にハミルトン・ヤコビ不等式とよばれる偏微分不等式を解かなければならないが、前記のように非線形重みa1(x),a2(x)に前記数40の制約条件を与えることにより、ハミルトン・ヤコビ不等式を解く代わりにリカッチ不等式を解くことによって制御則が設計できることを示している。リカッチ不等式は、マトラブ(Matlab)等の公知のソフトウェアを用いることにより簡単に解を求めることができるので、この方法によれば、簡単に正定対称解Pを見つけることができるとともに、制御則u=k(x)も導出することができる。
【0081】
また、前記D122はリカッチ不等式には現れず、非線形重みに対する制約条件及び制御則のみに関係している。このことは、D122を用いた制御則の調整が、リカッチ不等式を解き直すことなくある程度可能であることを示している。すなわち、前記制御則の調整は制御入力uに対するスケーリングを行うことを意味し、制御入力uのスケーリングを10倍にするとD122が1/10倍になり、前記数41のB2(x)項は100倍、C12の項は10倍になる。
【0082】
次に、非線形重みの役割について確認するために、双線形システムの非線形重みを用いない一般化プラントを想定して、上述した非線形重みを用いた一般化プラントとの比較をしておく。すなわち、前記非線形重みa1(x),a2(x)をそれぞれa1(x)=1,a2(x)=1とし、また簡単化のために直交条件を満たすとしてC12=o,D122=Iとする。前記数36〜38により表される状態空間表現は下記数45〜47のようになる。
【0083】
【数45】
x'=Ax+B1w+B2(x)u
【0084】
【数46】
1=C11
【0085】
【数47】
2=u
これにより、一般化プラントの制御則u=k(x)は下記数48のように表される。
【数48】
u=B2 T(x)Px
ただし、Pは下記数49のリカッチ方程式を満たす正定対称解である。
【0086】
【数49】
Figure 0003787038
【0087】
一方、前記数45〜47で表される一般化プラントの原点近傍における線形近似システムは、下記数50〜52のようになる。
【0088】
【数50】
x'=Ax+B1
【0089】
【数51】
1=C11
【0090】
【数52】
2=u
前記数49のリカッチ方程式は、この一般化プラントに対して閉ループシステムが内部安定であり、L2ゲインがγ以下であることを意味している。すなわち、双線形システムのL2ゲインは図4に示す原点(x=o)での値によって決まってしまうのである。これは、原点では双線形システムがB2(o)=oであるので、制御入力uが働かず原点近傍ではL2ゲインを改善できないからである。また、制御入力uをu=oとした一般化プラント(数45〜47)も線形近似した一般化プラント(数50〜52)と一致するので、数49のリカッチ不等式は、一般化プラント(数45〜47)に対して制御入力uがu=oの場合も、閉ループシステムが内部安定であり、L2ゲインがγ以下であることを意味している。すなわち、状態量xが大きくなって制御入力uが効果を発揮するようになっても、制御出力を下記数53,54とする一般化プラント(数45〜47)に対して制御系を設計した場合、制御入力uをかけてもL2ゲインがg0より大きくならないことを保証しているだけである。
【0091】
【数53】
1=C11
【0092】
【数54】
2=u
すなわち、制御出力が前記数53,54のように表される場合、制御性能が制御入力uを用いることによって向上しているかもしれないが、u=oの場合と変わらないかもしれないのである。そこで、制御出力z1,z2に非線形重みa1(x),a2(x)を用いて下記数55,56とすることによって原点よりも離れたところでは、非線形重みによって図4のg1の線に表されるように、プラントのL2ゲインを原点よりも小さくなるように抑え込む制御系が設計可能となる。
【0093】
【数55】
1=a1(x)C11
【0094】
【数56】
2=a2(x)u
また、この制御では、ダンパ14の減衰係数Cを線形減衰係数Csと非線形な可変減衰係数Cvとに分けて、同可変減衰係数Cvを制御入力uとして制御系を設計した。そして、図5(A)に示すように、線形減衰係数Csをダンパ14の最小減衰力特性線(最大オリフィス開度に対応)と、最大減衰力特性線(最小オリフィス開度に対応)とのほぼ中央付近に設定するとともに、制御入力uのゲインを周波数に応じて制御するようにして、減衰係数Cが線形減衰係数Csを挟んだ両側で変化するとともに、同減衰係数による減衰力が前記最小減衰力特性線と最大減衰力特性線との間に納まるようにした。したがって、ダンパ14の設計仕様に合わせて可変減衰係数Cvを簡単に決定できるとともに、実際のダンパ14により実現可能な範囲内で減衰力制御を行うことができ、意図した減衰力制御を行うことができる。なお、比較のために、図5(B)にスカイフック理論に基づいてダンパ14の減衰係数を制御した場合のリサージュ波形図を示してあるが、この場合には、実際のダンパ14により実現可能な範囲内で制御を行うことができず、意図した減衰力の制御が不能である。
【0095】
また、ダンパ14の減衰力(減衰係数)が複数段のいずれかに段階的に切り換えるように構成されている場合には、線形減衰係数Csの設定において、同線形減衰係数Csにより決定される減衰力が、同減衰力の小さい範囲で前記ダンパ14の複数段のうちの所定の1つの段により発生される減衰力にほぼ等しくなるように、前記線形減衰係数Csを設定する。この種のサスペンション装置においては、減衰力の小さい範囲では減衰力の相対速度に対する線形性は強く、すなわち計算される可変減衰係数Cvが「0」である可能性が高い。したがって、ダンパ14においては前記所定の1つの段に維持される可能性が高くて減衰係数の切り換え頻度が低くなるので、ダンパ14の耐久性が高く保たれる。
【0096】
b2.車両搭載例
次に、上記非線形H∞状態フィードバック制御則を用いた減衰力制御装置の車両への搭載例について説明する。
【0097】
図6はこの減衰力制御装置をブロック図により示しており、同装置はダンパ14のオリフィス14aの開度OPを複数段階(N段階)に切換え制御するためのステップモータ、超音波モータなどの電気アクチュエータ21を備えている。なお、前述のように減衰力の小さい部分でオリフィス14aの開度が頻繁に切り換えられないようにするために、ダンパ14の所定の一つの段(複数の段のうちのほぼ中央付近の段)により発生される減衰力が、後述するプログラム処理により計算される線形減衰係数Csにより決定される減衰力にほぼ等しくなるようになっている。
【0098】
この電気アクチュエータ21は、駆動回路22を介してマイクロコンピュータ20により制御されるようになっている。マイクロコンピュータ20には、タイヤ変位量センサ23、ストロークセンサ24、ばね上加速度センサ25及びばね下加速度センサ26が接続されている。タイヤ変位量センサ23は、路面変位xprとばね下変位xpwとの相対変位量であるタイヤ12の変位量xpr−xpwを検出するもので、例えばタイヤの変形度を検出する歪センサ、タイヤの空気圧を検出する圧力センサなどの出力に基づいて前記タイヤ変位量xpr−xpwを検出する。ストロークセンサ24は、ばね上部材10とばね下部材11との間に介装されて両部材10,11間の上下方向の相対変位量である相対変位量xpw−xpbを検出する。ばね上加速度センサ25は、ばね上部材10に固定され、同部材10の上下方向の加速度であるばね上加速度xpb''を検出する。ばね下加速度センサ26は、ばね下部材11に固定され、同部材11の上下方向の加速度であるばね下加速度xpw''を検出する。
【0099】
マイクロコンピュータ20は、内蔵のタイマにより所定の短時間毎に図7のプログラムを実行することにより、オリフィス14aのN段階の開度OPを表す制御信号を駆動回路22に出力する。また、マイクロコンピュータ20には、図8に示すような相対速度xpw'−xpb'に対するダンパ14の減衰力Fの変化特性を開度OP毎に表すデータを記憶した相対速度−減衰力テーブルも内蔵されている。
【0100】
次に、この具体的な実施形態の動作を説明する。車両のイグニッションスイッチ(図示しない)が投入されると、マイクロコンピュータ20は、図7に示すプログラムを短時間毎に繰り返し実行して、ダンパ14の減衰力を切換え制御する。このプログラムの実行はステップ100にて開始され、ステップ102にて、タイヤ変位量センサ23、ストロークセンサ24、ばね上加速度センサ25及びばね下加速度センサ26から、タイヤ変位量xpr−xpw、相対変位量xpw−xpb、ばね上加速度xpb''及びばね下加速度xpw''を表す各検出信号を入力する。そして、ステップ104にて、ばね上加速度xpb''及びばね下加速度xpw''をそれぞれ時間積分することによりばね上速度xpb'及びばね下速度xpw'を計算するとともに、相対変位量xpw−xpbを時間微分することにより相対速度xpw'−xpb'を計算する。
【0101】
次に、ステップ106にて、相対速度xpw'−xpb'を用いた上記数7,13と同じ下記数57,58の演算によりBp2(xp),Dp12(xp)を計算するとともに、これらのBp2(xp),Dp12(xp)を用いた上記数30と同じ下記数59の演算によりB2(x)を計算する。
【0102】
【数57】
Figure 0003787038
【0103】
【数58】
Figure 0003787038
【0104】
【数59】
Figure 0003787038
【0105】
なお、前記数57,58中のMw,Mbは、本減衰力制御装置を搭載した車両のばね下質量とばね上質量である。また、前記数59中のBw,Buは、上記数20,22にて設定した周波数重みWs(s),Wu(s)に関する係数行列であって、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。
【0106】
前記ステップ106の処理後、ステップ108にて、ステップ102の処理により入力され又はステップ104の処理により計算された本減衰力制御装置の制御目標であり、上記数10により規定される評価出力zp(ばね上速度xpb'、ばね上加速度xpb''及び相対速度xpw'−xpb')を用いて上記数20と同じ下記数60の演算式に基づいて周波数重みの状態変数xwを計算する。
【0107】
【数60】
w'=Aww+Bwp
なお、前記数60中のAw,Bwは、上記数20にて設定した周波数重みWs(s)に関する係数行列であって、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。
【0108】
次に、ステップ110にて、上記数22,27,44と同じ数61〜63を用いて、制御入力uに関する周波数重みの状態変数xu、拡張した状態量x及び制御入力uを計算する。
【0109】
【数61】
u'=Auu+Bu
【0110】
【数62】
Figure 0003787038
【0111】
【数63】
Figure 0003787038
【0112】
前記数61中のAu,Buは、上記数22にて設定した周波数重みWu(s)に関する係数行列であって、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。また、前記63中のD122は、上記数34で定義され、かつ上記数23にて設定した周波数重みWu(s)に関する係数行列であって、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。m1(x)は、任意の正定数関数であり、同関数に関するアルゴリズムが予めマイクロコンピュータ内に記憶されているものである。なお、この正定数関数m1(x)を正の定数、例えば「1.0」に設定しておいてもよい。C11は、上記数12,31により定義され、すなわち本減衰力制御装置を搭載した車両のばね下質量Mw及びばね上質量Mbと、スプリング13のばね定数Ksと、ダンパ14の線形減衰係数Csと、上記数21にて設定した周波数重みWs(s)に関する係数行列Cw,Dwとにより規定され、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。B2(x)は、前記ステップ106にて計算された行列である。Pは、上記数39,40を満たす正定対称解であり、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。C12は、上記数33により規定され、上記数23にて設定した周波数重みWu(s)に関する係数行列Cuを含む予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。
【0113】
また、このステップ110の制御入力uに関する周波数重みに関する状態変数xu、拡張した状態量x及び制御入力uの計算においては、各値に初期値を与えて、各値xu,x,uが収束するまで上記数60〜63からなる演算を繰り返し行って、各値xu,x,uを決定する。
【0114】
前記ステップ110の処理後、ステップ112にて、制御入力uは非線形減衰係数Cvに等しいので、線形減衰係数Csと制御入力uとを加算する下記数64の演算によりダンパ14の総合的な目標減衰係数Cを計算する。
【0115】
【数64】
C=Cs+Cv=Cs+u
次に、ステップ114にて、前記計算した目標減衰係数Cに前記ステップ104の処理により計算した相対速度xpw'−xpb'を乗算する下記数65の演算により目標減衰力Fを計算する。
【0116】
【数65】
F=C(xpw'−xpb')
前記ステップ114の処理後、ステップ116にて、図8に示す相対速度−減衰力テーブルを参照することにより、前記計算した目標減衰力F及び相対速度xpw'−xpb'に対応したダンパ14のオリフィス14aの開度OPを決定する。この決定にあたっては、図8のグラフ上において減衰力Fと相対速度xpw'−xpb'とで決まる点が最も近いカーブが検索され、同検索されたカーブに対応した開度OPが選定される。そして、ステップ118にて前記選定した開度OPを表す制御信号を駆動回路22に出力する。駆動回路22は電気アクチュエータ21を駆動制御し、同アクチュエータ21がダンパ14のオリフィス14aを前記選定した開度OPに設定する。その結果、ダンパ14は前記計算した目標減衰力Fを発生することになり、ばね上部材10及びばね下部材11の共振、並び乗員に対するゴツゴツ感抑制されるので、車両の走行安定性が良好になるとともに、車両の乗り心地も良好に保たれる。
【0117】
c.第2実施例
c1.非線形H∞出力フィードバック制御系の設計
次に、上記非線形H∞状態フィードバック制御系の設計を一歩進めて、状態量xp(タイヤ変位xpr−xpw、相対変位量xpw−xpb、ばね下速度xpw'、ばね上加速度xpb'')の一部(例えば、タイヤ変位xpr−xpw及びばね下速度xpw'、又はタイヤ変位xpr−xpw、相対変位量xpw−xpb及びばね下速度xpw')を制御系内に含んだ形のオブザーバで推定し、同推定値を用いて制御系として非線形H∞出力フィードバック制御系の設計を試みる。この場合、評価出力zpと制御入力uに周波数重みを加えた図9に示すような出力フィードバック制御系の一般化プラントを想定する。この場合、評価出力zpに周波数重みWs(s)をかけた後、非線形な重み関数としてa1(x,x^)をかけるとともに、制御入力uに周波数重みWu(s)をかけた後、非線形な重み関数としてa2(x,x^)をかける。この非線形な重み関数a1(x,x^),a2(x,x^)は、下記数66,67に示す特性を有する。これにより、より積極的にL2ゲインを抑えるような制御系の設計が可能となる。なお、x^は前記のように一部に推定値を含む状態量を表す。
【0118】
【数66】
1(x,x^)>0,a2(x,x^)>0
【0119】
【数67】
1(o,o)=a2(o,o)=1
このシステムの状態空間表現も、評価出力zpにかかる周波数重みWs(s)の状態空間表現も、制御入力uにかかる周波数重みWu(s)の状態空間表現も、上述した状態フィードバック制御系の場合と同様に、下記数68〜72のように表される。
【0120】
【数68】
p'=App+Bp11+Bp2(xp)u
【0121】
【数69】
w'=Aww+Bwp
【0122】
【数70】
w=Cww+Dwp
【0123】
【数71】
u'=Auu+Bu
【0124】
【数72】
u=Cuu+Du
なお、状態変数xw、評価関数zw、定数行列Aw,Bw,Cw,Dwも上記状態フィードバック制御系の場合と同じである。
【0125】
しかし、この非線形H∞出力フィードバック制御系における一般化プラントの状態空間表現は下記数73〜76のようになる。
【0126】
【数73】
x'=Ax+B1w+B2(x)u
【0127】
【数74】
1=a1(x,x^)(C11x+D121(x)u)
【0128】
【数75】
2=a2(x,x^)(C12x+D122u)
【0129】
【数76】
y=C2x+D21w+D22(x)u
ただし、前記数73〜76中のx,w,A,B1,B2(x),C11,D121(x),C12,D122,C2,D21,D22(x)は、下記数77〜88のとおりである。
【0130】
【数77】
Figure 0003787038
【0131】
【数78】
Figure 0003787038
【0132】
【数79】
Figure 0003787038
【0133】
【数80】
Figure 0003787038
【0134】
【数81】
Figure 0003787038
【0135】
【数82】
11=[Dwp1w o]
【0136】
【数83】
121(x)=[Dwp12(xp)]
【0137】
【数84】
12=[o o Cu
【0138】
【数85】
122=Du
【0139】
【数86】
2=[Cp2 o o]
【0140】
【数87】
21=[o Dp21
【0141】
【数88】
22(x)=Dp22(xp)
次に、リカッチ方程式に基づいて解を求めるために、下記数89により規定される条件のもとで、前記数73〜76により表された一般化プラントの状態空間表現を書き換えると下記数90〜93のようになる。
【0142】
【数89】
wp12(x)=o
【0143】
【数90】
x'=Ax+B1w+B2(x)u
【0144】
【数91】
1=a1(x,x^)C11
【0145】
【数92】
2=a2(x,x^)C12x+a2(x,x^)D122
【0146】
【数93】
y=C2x+D21w+D22(x)u
ここで、上記状態フィードバック制御系の場合と同様に、前記一般化プラントに対して、「▲1▼閉ループシステムが内部指数安定」、かつ「▲2▼wからzまでのL2ゲインがある正定数γ以下である」を満たす非線形H∞出力フィードバック制御則u=k(y)を設計することを試みる。さらに、この非線形H∞出力フィードバック制御においては、下記第1〜第3タイプに分けてそれぞれ説明する。
【0147】
c1−1)第1タイプの制御系の設計
この第1タイプは、上記数81のB2(x)及び数88のD22(x)が既知関数すなわち少なくとも相対速度xpw'−xpb'が観測可能であり、オブザーバゲインLは定数行列である場合である。
【0148】
前記非線形H∞出力フィードバック制御則u=k(y)は、次の条件が成立するならば求まる。すなわち、
▲1▼D122 -1が存在し、γ1はγ1 2I−D21 TΘTΘD12>oを満たす正定数であり、かつγ2は>1であり、下記数94のオブザーバ(オブザーバゲイン)を設計するためのリカッチ不等式、及び下記95のコントローラ(制御器)を設計するためのリカッチ不等式を満たす正定対称行列P,Q及び正定行列Θが存在し、さらに
▲2▼非線形重みa1(x,x^),a2(x,x^)が下記数96,97の制約条件を満たすならば、下記数98とする制御則の一つは下記数99,100で与えられる。
【0149】
【数94】
Figure 0003787038
【0150】
【数95】
Figure 0003787038
【0151】
【数96】
γ2 2−a1(x,x^)2>0,γ2 2−a2(x,x^)2>0
【0152】
【数97】
Figure 0003787038
【0153】
【数98】
Figure 0003787038
【0154】
【数99】
x'^=(A+LC2)x^+(B2(x)+LD22(x))u−Ly
【0155】
【数100】
Figure 0003787038
【0156】
ただし、オブザーバゲインLは下記数101のように表される。
【0157】
【数101】
L=−QC2 TΘTΘ
また、「‖ ‖」はユークリッド・ノルムを表し、「‖ ‖2」は2乗可積分関数空間L2上のノルムを表していて、f(t)∈L2に対して、下記数102で定義されるものである。
【0158】
【数102】
Figure 0003787038
【0159】
また、ΘはΘ-1が存在する正定行列であり、このΘを用いてオブザーバゲインLを調整することが可能である。また、上記状態フィードバック制御則の場合と同様に、コントローラのゲインLはD122を用いて調整することが可能である。さらに、γ1はオブザーバのL2ゲインであり、γ2はコントローラのL2ゲインであり、閉ループシステムのL2ゲインはγ1とγ2の積として決まる。したがって、オブザーバとコントローラをうまく調整してシステムのL2ゲインを決定しなければならない。
【0160】
ここで、前記数96,97の制約条件を満たす非線形重みa1(x,x^),a2(x,x^)を下記数103,104に例示しておく。
【0161】
【数103】
Figure 0003787038
【0162】
【数104】
Figure 0003787038
【0163】
なお、前記数103,104中のm1(x,x^)は任意の正定関数であり、εはε<1かつεγ2 2>1である正定数である。そして、コンピュータによる演算の結果、前記のような正定対称解Pが求めることができた。そして、前記数103,104を用いると前記数99,100は下記数105,106のように変形される。
【0164】
【数105】
x'^=(A+LC2)x^+(B2(x)+LD22(x))u−Ly
【0165】
【数106】
Figure 0003787038
【0166】
その結果、この場合も、上記状態フィードバック制御系の場合と同様にして、公知のソフトウェアを用いることにより簡単に解を求めることができるので、この方法によれば、簡単に正定対称解Pを見つけることができるとともに、推定状態量x'^及び制御則u=k(y)も導出することができる。
【0167】
c1−2)第1タイプの車両搭載例
次に、前記タイプ1の制御則を用いた減衰力制御装置の車両への搭載例について説明する。この場合の減衰力制御装置は、図6のブロック図においてタイヤ変位量センサ23及びばね下加速度センサ26が省略されており、マイクロコンピュータ20は図7のプログラムに変えて図10のプログラムを実行する。他の部分に関しては上記第1実施例と同じである。
【0168】
この場合も、マイクロコンピュータ20は、内蔵のタイマにより図10に示すプログラムを短時間毎に繰り返し実行し、ステップ100の開始後、ステップ102aにて、ストロークセンサ24及びばね上加速度センサ25から相対変位量xpw−xpb及びばね上加速度xpb''を表す各検出信号を入力し、ステップ104aにて上記第1実施例の場合と同様に相対速度xpw'−xpb'及びばね上速度xpb'を計算する。
【0169】
次に、ステップ106aにて、相対速度xpw'−xpb'を用いた上記数7,13と同じ下記数107,108の演算によりBp2(xp),Dp12(xp)を計算するとともに、これらのBp2(xp),Dp12(xp)を用いた上記数81と同じ下記数109の演算によりB2(x)を計算し、かつ相対速度xpw'−xpb'を用いた上記数16,88と同じ下記数110,111の演算によりD22(x)を計算する。
【0170】
【数107】
Figure 0003787038
【0171】
【数108】
Figure 0003787038
【0172】
【数109】
Figure 0003787038
【0173】
【数110】
Figure 0003787038
【0174】
【数111】
22(x)=Dp22(xp)
なお、前記数107〜110中のMw,Mb,Bw,Buは、上記第1実施形態と同じ値又は定数行列である。
【0175】
前記ステップ106aの処理後、ステップ110aにて、上記数105,106と同じ数112,113を用い、上記第1実施例の場合と同様にして推定状態量x^及び制御入力uを計算する。
【0176】
【数112】
x'^=(A+LC2)x^+(B2(x)+LD22(x))u−Ly
【0177】
【数113】
Figure 0003787038
【0178】
前記数112中のAは、マイクロコンピュータ20内に予め記憶されていて前記数79,5,12により決定される定数行列である。Lは、マイクロコンピュータ20内に予め記憶されていて前記数101により定義された定数行列であって、正定対称行列Q、前記数14,86により定まる定数行列C2、及び正定行列Θにより決まるオブザーバのゲインである。C2も、マイクロコンピュータ20内に予め記憶されている前記定数行列である。B2(x)及びD22(x)は前記ステップ106aにて計算した行列である。また、yは観測値であって、この第1タイプでは前記ステップ102aの処理により入力した相対変位量xpw−xpb及び前記ステップ104aの処理により計算したばね上速度xpb'である。
【0179】
また、前記数113中のD122は、上記数85で定義され、かつ上記数23にて設定した周波数重みWu(s)に関する係数行列であって、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。γ2は、前述したγ2>1なる正定数である。m1(x,x^)は、任意の正定数関数であり、同関数に関するアルゴリズム予めマイクロコンピュータ内に記憶されているものである。なお、この正定数関数m1(x)を正の定数、例えば「1.0」に設定しておいてもよい。C11は、上記数12,82により定義され、すなわち本減衰力制御装置を搭載した車両のばね下質量Mw及びばね上質量Mbと、スプリング13のばね定数Ksと、ダンパ14の線形減衰係数Csと、上記数21にて設定した周波数重みWs(s)に関する係数行列Cw,Dwとにより規定され、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。B2(x)は、前記ステップ106aにて計算された行列である。Pは、上記数94,95を満たす正定対称解であり、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。C12は、上記数84により規定され、上記数23にて設定した周波数重みWu(s)に関する係数行列Cuを含む予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。
【0180】
前記ステップ110aの処理後、上記第1実施例と同様なステップ112〜118の処理により、ダンパ14の総合的な目標減衰係数Cを計算するとともに目標減衰力Fを計算し、前記計算した目標減衰力Fに対応したダンパ14のオリフィス14aの開度OPを決定し、同オリフィス14aを開度OPに設定して、ダンパ14に目標減衰力Fを発生させる。その結果、この第2実施例の第1タイプの制御装置によれば、ばね下速度xpw'及びタイヤ変位量xpr−xpwを検出しなくても、ダンパ14は前記計算した目標減衰力Fを発生することになり、簡単な構成で上記第1実施例の場合と同様な効果が期待される。
【0181】
c2−1)第2タイプの制御系の設計
この第2タイプは、上記数81のB2(x)及び数88のD22(x)が未知関数すなわち相対速度xpw'−xpb'が未知であり、オブザーバゲインLは定数行列である場合である。
【0182】
この種の双線形システムではB2(x),D22(x)はxの1次関数であり、これを考慮して前記数90〜93により表された一般化プラントを書き換えると、下記数114〜117のようになる。ただし、B20,D220,d122は定数行列である。
【0183】
【数114】
x'=Ax+B1w+B20xu
【0184】
【数115】
1=a1(x^)C11
【0185】
【数116】
2=a2(x^)C12x+a2(x)d122
【0186】
【数117】
y=C2x+D21w+D220xu
この一般化プラントに対して、非線形H∞出力フィードバック制御則を設計することを試みる。オブザーバゲインLを定数行列とする場合、次の定理により出力フィードバック制御則が設計できる。すなわち、
▲1▼γ1はγ1 2I−D21 TΘTΘD12>oを満たす正定数であり、かつγ2はγ2>1である正定数であり、かつε1 2−u2>0を満たす正定数εが存在するとき、下記数118のオブザーバ(オブザーバゲイン)を設計するためのリカッチ不等式、及び下記119のコントローラを設計するためのリカッチ不等式を満たす正定対称行列P,Q及び正定行列Θが存在し、さらに
▲2▼非線形重みa1(x,x^),a2(x,x^)が下記数120,121の制約条件を満たすならば、下記数122とする制御則の一つは下記数123,124で与えられる。
【0187】
【数118】
Figure 0003787038
【0188】
【数119】
Figure 0003787038
【0189】
【数120】
γ2 2−a1(x,x^)2>0,γ2 2−a2(x,x^)2>0
【0190】
【数121】
Figure 0003787038
【0191】
【数122】
‖[z1 T 2 T]T2≦γ1γ2‖w‖2
【0192】
【数123】
x'^=(A+L(u)C2)x^+(B20+L(u)D220)x^u−L(u)y
【0193】
【数124】
Figure 0003787038
【0194】
ただし、オブザーバゲインL(u)は下記数125のように表される。
【0195】
【数125】
L(u)=−QC2 TΘTΘ
また、ΘはΘ-1が存在する正定行列であり、このΘを用いてオブザーバゲインL(u)を調整することが可能である。また、上記状態フィードバック制御則の場合と同様に、コントローラのゲインLはd122を用いて調整することが可能である。
【0196】
ここで、前記数120,121の制約条件を満たす非線形重みa1(x,x^),a2(x,x^)を下記数126,127に例示しておく。
【0197】
【数126】
Figure 0003787038
【0198】
【数127】
Figure 0003787038
【0199】
なお、前記数126,127中のm1(x,x^)は任意の正定関数であり、εはε<1かつεγ2 2>1である正定数である。そして、コンピュータによる演算の結果、前記のような正定対称解Pが求めることができた。そして、前記数126,127を用いると前記数123,124は下記数128,129のように変形される。
【0200】
【数128】
x'^=(A+L(u)C2)x^+(B20+L(u)D220)x^u−L(u)y
【0201】
【数129】
Figure 0003787038
【0202】
その結果、この場合も、上記状態フィードバック制御系の場合と同様にして、公知のソフトウェアを用いることにより簡単に解を求めることができるので、この方法によれば、簡単に正定対称解Pを見つけることができるとともに、推定状態量x'^及び制御則u=k(y)も導出することができる。
【0203】
c2−2)第2タイプの車両搭載例
次に、この第2タイプの制御則を用いた減衰力制御装置の車両への搭載例について説明する。この場合の減衰力制御装置は、上記第1タイプの場合の図6のストロークセンサ24を省略するとともに、図10のステップ102a,104aによるストロークセンサ24からの相対変位量xpw−xpbの入力及び相対速度xpw'−xpb'の計算、並びにステップ106aの演算処理を省略して、前記第2タイプの制御則にしたがった演算を実行するものである。
【0204】
この場合も、マイクロコンピュータ20は、内蔵のタイマにより図10に示すプログラムを短時間毎に繰り返し実行し、ステップ102aにてばね上加速度xpb''を入力し、ステップ104aにてばね上速度xpb'を計算し、ステップ110aにて上記数128,129と同じ数130,131を用い、相対速度xpw'−xpb'の推定を含む推定状態量x'^及び制御入力uを計算する。
【0205】
【数130】
x'^=(A+L(u)C2)x^+(B2+L(u)D220)x^u−L(u)y
【0206】
【数131】
Figure 0003787038
【0207】
前記数130,131中のA,L,C2,γ2,m1(x,x^),C11,P,C12に関しては前記第1タイプの場合と同じである。また、B20,D220,d122は、マイクロコンピュータ20内に予め記憶されていて前述した適当な定数行列である。また、この場合、yは観測値であって前記ステップ104aの処理により計算したばね上速度xpb'である。
【0208】
前記ステップ110aの処理後、上記第1タイプと同様なステップ112,114の処理により、ダンパ14の総合的な目標減衰係数Cを計算するとともに目標減衰力Fを計算する。ただし、この場合、ステップ114の目標減衰力Fの計算では、ステップ110aにて計算した推定相対速度xpw'^−xpb'^を利用する。そして、上記第1タイプと同様なステップ116,118の処理により、前記計算した目標減衰力Fに対応したダンパ14のオリフィス14aの開度OPを決定し、同オリフィス14aを開度OPに設定して、ダンパ14に目標減衰力Fを発生させる。その結果、この第2タイプによれば、相対変位量xpw−xpbの検出を省略しても、上記第1タイプの場合と同様な効果を期待できる。
c3−1)第3タイプの制御系の設計
この第3タイプも、上記数81のB2(x)及び数88のD22(x)が未知関数すなわち相対速度xpw'−xpb'が未知であり、オブザーバゲインLは関数行列である場合である。
【0209】
この第3タイプにおいても、上記第2タイプの数114〜117により表された一般化プラントに対して、非線形H∞出力フィードバック制御則を設計することを試みる。オブザーバゲインLを制御入力uの関数とする場合、次の定理により出力フィードバック制御則が設計できる。すなわち、
▲1▼γ1はγ1 2I−D21 TΘTΘD12>oを満たす正定数であり、かつγ2はγ2>1である正定数であり、かつε1 2−u2>0を満たす正定数εが存在するとき、下記数132のオブザーバ(オブザーバゲイン)を設計するためのリカッチ不等式、及び下記133のコントローラを設計するためのリカッチ不等式を満たす正定対称行列P,Q及び正定行列Θが存在し、さらに
▲2▼非線形重みa1(x,x^),a2(x,x^)が下記数134,135の制約条件を満たすならば、下記数136とする制御則の一つは下記数137,138で与えられる。
【0210】
【数132】
Figure 0003787038
【0211】
【数133】
Figure 0003787038
【0212】
【数134】
γ2 2−a1(x,x^)2>0,γ2 2−a2(x,x^)2>0
【0213】
【数135】
Figure 0003787038
【0214】
【数136】
‖[z1 T 2 T]T2≦γ1γ2‖w‖2
【0215】
【数137】
x'^=(A+L12)x^+(B20+L2220)x^u−(L1+L2u)y
【0216】
【数138】
Figure 0003787038
【0217】
ただし、オブザーバゲインL(u)は下記数139のように表される。
【0218】
【数139】
L(u)=−QC2 TΘTΘ−uQD220 TΘTΘ=L1+uL2
また、前記数139中のL1,L2は下記数140,141のように表される。
【0219】
【数140】
1=−QC2 TΘTΘ
【0220】
【数141】
2=−QD220 TΘTΘ
また、ΘはΘ-1が存在する正定行列であり、このΘを用いてオブザーバゲインL(u)を調整することが可能である。また、上記状態フィードバック制御則の場合と同様に、コントローラのゲインLはd122を用いて調整することが可能である。
【0221】
ここで、前記数134,135の制約条件を満たす非線形重みa1(x,x^),a2(x,x^)を下記数142,143に例示しておく。
【0222】
【数142】
Figure 0003787038
【0223】
【数143】
Figure 0003787038
【0224】
なお、前記数142,143中のm1(x,x^)は任意の正定関数であり、εはε<1かつεγ2 2>1である正定数である。そして、コンピュータによる演算の結果、前記のような正定対称解Pを求めることができた。そして、前記数142,143を用いると前記数137,138は下記数144,145のように変形される。
【0225】
【数144】
x'^=(A+L12)x^+(B2x^+L222x^)u−L(u)y
【0226】
【数145】
Figure 0003787038
【0227】
その結果、この場合も、上記状態フィードバック制御系の場合と同様にして、公知のソフトウェアを用いることにより簡単に解を求めることができるので、この方法によれば、簡単に正定対称解Pを見つけることができるとともに、推定状態量x'^及び制御則u=k(y)も導出することができる。
c3−2)第3タイプの車両搭載例
次に、この第3タイプの制御則を用いた減衰力制御装置の車両への搭載例について説明する。この場合の減衰力制御装置の構成は、上記第2タイプの場合と同じである。
【0228】
この場合も、マイクロコンピュータ20は、内蔵のタイマにより図10に示すプログラムを短時間毎に繰り返し実行し、前記第1タイプと同様なステップ102a,104aの処理後、ステップ110aにて上記数144,145と同じ数146,147を用い、上記第2タイプの場合と同様にして推定状態量x'^及び制御入力uを計算する。
【0229】
【数146】
x'^=(A+L12)x^+(B2x^+L222x^)u−L(u)y
【0230】
【数147】
Figure 0003787038
【0231】
前記数146,147中のA,C2,B20,,D220,γ2,m1(x,x^),C11,d122,P,C12に関しては前記第2タイプの場合と同じである。また、L,L1,L2は、前記数139〜141により規定されるゲインである。さらに、この場合も、yは観測値であって前記ステップ104aの処理により計算したばね上速度xpb'である。
【0232】
前記ステップ110aの処理後、上記第2タイプと同様なステップ112〜118の処理により、ダンパ14の総合的な目標減衰係数Cを計算するとともに目標減衰力Fを計算し、前記計算した目標減衰力Fに対応したダンパ14のオリフィス14aの開度OPを決定し、同オリフィス14aを開度OPに設定して、ダンパ14に目標減衰力Fを発生させる。したがって、この第3タイプによっても、上記第2タイプと同様な効果を期待できる。
【0233】
d.第3実施例
d1.カルマンフィルタベースの非線形H∞制御系の設計
上記aのモデルに対して、双線形項Bp2(xp),Dp2(xp)が既知すなわち相対速度xpw'−xpb'を観測可能とすることを条件に、オブザーバにカルマンフィルタを用いた場合の出力フィードバック系の設計を試みる。
【0234】
なお、この第3実施例における符号も上記第2実施例の場合と同じであり、プラントに関する係数及び変数にはサフィックスpが付けられている。サスペンション装置の状態空間表現は、下記数148,149により表される。
【0235】
【数148】
p'=App+Bp11+Bp2(xp)u
【0236】
【数149】
p=Cpp+Dp12+Dp2(xp)u
t→∞の場合のカルマンフィルタは、Dp1=Iの場合、下記数150のように表される。
【0237】
【数150】
o'=Apo+Bp2u+K(Cpo+Dp2(xp)u−y)
ただし、xo,xo'はカルマンフィルタにおける推定状態量であり、フィルタゲインKは下記数151のとおりである。
【0238】
【数151】
K=−ΣCp T-1
また、推定誤差共分散Σは、下記数152のリカッチ方程式の正定対称解である。
【0239】
【数152】
pΣ+ΣAp T+Bp1VBp1 T−ΣCp T-1pΣ=o
ただし、Vはw1の共分散行列であり、Wはw2の共分散行列である。
【0240】
このシステムの一般化プラントのブロック線図は図11に示すとおりであり、この場合に、オブザーバの出力である「推定状態量xoに周波数重みW(s)をかけたもの」と、「制御入力uに周波数重みWu(s)をかけたもの」とを評価出力zに用いている。すなわち、ここでは、カルマンフィルタを検出器として使って、そのカルマンフィルタの出力を小さくするように制御系を設計している。この点が、上記第1及び第2実施例とは異なるが、状態推定がうまく行われれば同第1及び第2実施例と同等な性能が得られると考えられる。図11のブロック線図で与えられるシステムの状態空間表現は、下記数153〜159の通りである。
【0241】
【数153】
p'=App+Bp11+Bp2(xp)u
【0242】
【数154】
o'=Apo+Bp2(xp)u+L(C2o+Dp2(xp)u−y)
【0243】
【数155】
y=Cpp+Dp12+Dp2(xp)u
【0244】
【数156】
w'=Aww+Bwso
【0245】
【数157】
1=a1(xp,xo,xw,xu)(Cww+Dwso)
【0246】
【数158】
u'=Auu+Bu
【0247】
【数159】
2=a2(xp,xo,xw,xu)(Cuu+Duu)
ただし、xpはシステムの状態量、数153はシステムの状態空間表現、xoは推定状態量、数154はオブザーバの状態空間表現、yは観測出力、xwは周波数重みの状態を表す。評価出力z1,z2には、後に設計する非線形重みがかけられている。
【0248】
このシステムに対して、「閉ループシステムが内部指数安定」かつ「wからzまでのL2ゲインがある正定数γ以下」を満たすオブザーバの状態をフィードバック制御する制御則u=k(xo)を設計する。そして、このシステムでは下記数160に示すように、周波数重みWs(s)に対する入力がxoとなっていることが特徴である。
【0249】
【数160】
Figure 0003787038
【0250】
はじめに、誤差変数を下記数161のように定義すると、誤差システムは下記数162,163のようになる。
【0251】
【数161】
e=xp−xo
【0252】
【数162】
e'=(Ap+LCp)xe+Bp11+LDp2
【0253】
【数163】
Figure 0003787038
【0254】
さらに、yeに対して逆行列が存在する定数行列Θ(スケーリング行列)をかけて前記数162,163により表された誤差システムを変形すると、同変形されたシステムは下記数164,165のようになる。
【0255】
【数164】
pe'=(Ap+LCp)xpe+Bp11+LDp2
【0256】
【数165】
e~=ΘCpe+ΘDp12
この変形した誤差システムに対して、ある正定数γ1が存在して外乱入力w=[w1 T 2 T]からye~までのL2ゲインがγ1以下(‖ye~‖2≦γ1‖w‖2)となるようにオブザーバゲインLを設計することを考える。
【0257】
ここで、γ1はγ1I−Dp1 TΘTΘDp1>oを満たす正定数とすれば、‖ye~‖2≦γ1‖w‖2となるLは下記数166で与えられる。
【0258】
【数166】
L=−QCp TΘTΘ
ただし、Qは下記数167のリカッチ方程式を満たす正定対称行列である。
【0259】
【数167】
Figure 0003787038
【0260】
なお、ここで解く前記数167のリカッチ方程式はプラントの次数であり、上記第1及び第2実施例の一般化プラントの次数より小さいことに注意を要する。
【0261】
次に、オブザーバに関する上記数154を書き換えると、下記数168のようになる。
【0262】
【数168】
Figure 0003787038
【0263】
この数168により表されたオブザーバを用いてある正定数γ2が存在してオブザーバ誤差ye^から評価出力zまでのL2ゲインがγ2以下(‖z‖2≦γ2‖ye~‖2)となるようにコントローラを設計することを考える。ここで、前記数168により表されたオブザーバを用いて周波数重みに関する状態変数xw,xuを合わせた一般化プラントを構成すると、同プラントの状態空間表現は下記数169〜171のようになる。
【0264】
【数169】
k'=Axk+B2(xp)u+L1Θ-1e~
【0265】
【数170】
1=a1(xp,xk)C11k
【0266】
【数171】
2=a2(xp,xk)C12k+a2(xp,xk)D12
ただし、前記数169〜171における各変数行列及び定数行列は、下記数172〜179のおりである。
【0267】
【数172】
Figure 0003787038
【0268】
【数173】
Figure 0003787038
【0269】
【数174】
Figure 0003787038
【0270】
【数175】
Figure 0003787038
【0271】
【数176】
Figure 0003787038
【0272】
【数177】
11=[Dws w o]
【0273】
【数178】
12=[o o Cu
【0274】
【数179】
12=Du
なお、ここで定義した状態量xkには状態量xpが含まれていない。
【0275】
このとき、D12 -1が存在するとすれば、下記数180のリカッチ不等式の正定対称解Pが存在し、さらに非線形重みa1(xp,xk),a2(xp,xk)が下記数181を満たせば、ある正定数γ2が存在して‖z‖2≦γ2‖ye2となるコントローラは下記数182で与えられる。
【0276】
【数180】
Figure 0003787038
【0277】
【数181】
Figure 0003787038
【0278】
【数182】
Figure 0003787038
【0279】
よって、下記数183,184を満足するオブザーバ及びコントローラが設計できる。
【0280】
【数183】
‖ye~‖2≦γ1‖w‖2
【0281】
【数184】
‖z‖2≦γ2‖ye~‖2
これらのことから、下記数185,186のリカッチ方程式を満たす正定対称行列Q,Pが存在することがわかる。
【0282】
【数185】
Figure 0003787038
【0283】
【数186】
Figure 0003787038
【0284】
そして、非線形重みa1(xp,xk),a2(xp,xk)が下記数187の制約条件を満たすとすれば、下記数188となる制御則は下記数189,190で与えられる。
【0285】
【数187】
Figure 0003787038
【0286】
【数188】
‖z‖2≦γ1γ2‖w‖2
【0287】
【数189】
k'=(A+L12)xk+(B2(xp)+L1p2(xp))u−L1
【0288】
【数190】
Figure 0003787038
【0289】
ここで、カルマンフィルタを設計すために用いた前記数152のリカッチ方程式と、前記数167のリカッチ方程式とを比較すると、共分散行列V,Wを下記数191,192のように規定すれば、両リカッチ方程式の正定対称解ΣとQは一致する。
【0290】
【数191】
-1=ΘTΘ
【0291】
【数192】
Figure 0003787038
【0292】
すなわち、カルマンフィルタを設計した時に用いた共分散行列V,Wを用いて、前記数191,192を満たすΘ,γ1を選べば、ここで設計し下記数193により表されたオブザーバはカルマンフィルタと一致する。
【0293】
【数193】
o'=Axo+B2(xp)u+L(C2xo+Dp2(xp)u−y)
ここで、前記数187の制約条件を満たす非線形重みa1(xp,xk),a2(xp,xk)を下記数194,195に例示しておく。
【0294】
【数194】
Figure 0003787038
【0295】
【数195】
Figure 0003787038
【0296】
なお、前記数194,195中のm1(x,x^)は任意の正定関数である。そして、コンピュータによる演算の結果、前記のような正定対称解Pを求めることができた。そして、前記数194,195を用いると前記数189,190は下記数196,197のように変形される。
【0297】
【数196】
k'=(A+L12)xk+(B2(xp)+L1p2(xp))u−L1
【0298】
【数197】
Figure 0003787038
【0299】
その結果、この場合も、上記状態フィードバック制御系の場合と同様にして、公知のソフトウェアを用いることにより簡単に解を求めることができるので、この方法によれば、簡単に正定対称解Pを見つけることができるとともに、状態量x'及び制御則u=k(y)も導出することができる。
【0300】
d2.車両搭載例
次に、カルマンフィルタベースの制御則を用いた減衰力制御装置の車両への搭載例について説明する。この場合の減衰力制御装置の構成は、上記第2実施例の第1タイプの場合と同じである。
【0301】
この場合も、マイクロコンピュータ20は、内蔵のタイマにより図10に示すプログラムを短時間毎に繰り返し実行し、前記第2実施例の第1タイプと同様なステップ102a,104a,110aの処理を実行する。ただし、この場合には、ステップ110aにて上記数196,197と同じ下記数198,199を用い、上記第2実施例の第1タイプの場合と同様にして状態量xk'及び制御入力uを計算する。
【0302】
【数198】
k'=(A+L12)xk+(B2(xp)+L1p2(xp))u−L1
【0303】
【数199】
Figure 0003787038
【0304】
前記数198中のAは、マイクロコンピュータ20内に予め記憶されていて前記数173,160,5,22により決定される定数行列である。L1は、マイクロコンピュータ20内に予め記憶されていて前記数175,166,167により定義された定数行列であって、正定対称行列Q、定数行列Cp、前記数14,86により定まる定数行列C2、及び正定行列Θにより決まるオブザーバのゲインである。C2も、マイクロコンピュータ20内に予め記憶されていて前記定数行列である。B2(xp)は前記数174,7,22により決定される定数行列である。Dp2(xp)は前記数13により決定される定数行列である。また、yは観測値であって、前記ステップ102aの処理により入力した相対変位量xpw−xpb及び前記ステップ104aの処理により計算したばね上速度xpb'である。
【0305】
また、前記数199中のD12は、上記数179で定義され、かつ上記数23にて設定した周波数重みWu(s)に関する係数行列であって、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。m1(xp,xk)は、任意の正定数関数であり、同関数に関するアルゴリズムが予めマイクロコンピュータ内に記憶されているものである。なお、この正定数関数m1(xp,xk)を正の定数、例えば「1.0」に設定しておいてもよい。C11は、上記数177により定義されて、前記数160にて設定した周波数重みWs(s)に関する係数行列Cw,Dwsにより規定され、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。B2(xp)は前記数174,7,22により決定される定数行列である。Pは、上記数186を満たす正定対称解であり、予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。C12は、上記数178により規定され、上記数23にて設定した周波数重みWu(s)に関する係数行列Cuを含む予めマイクロコンピュータ20内に記憶されている定数行列である。
【0306】
前記ステップ110aの処理後、上記第1実施例及び第2実施例の第1タイプと同様なステップ112〜118の処理により、ダンパ14の総合的な目標減衰係数Cを計算するとともに目標減衰力Fを計算し、前記計算した目標減衰力Fに対応したダンパ14のオリフィス14aの開度OPを決定し、同オリフィス14aを開度OPに設定して、ダンパ14に目標減衰力Fを発生させる。その結果、この第3実施例においても、上記第2実施例の第1タイプと同様な効果が期待される。
【0307】
e.変形例
上記第1〜第3実施例のコントローラにおいては線形減衰係数及び周波数重みは固定されていたが、車速又はばね上質量に応じてコントローラの線形減衰係数又は周波数重みを変化させて、車速又はばね上質量の変化によって生じる車両要求性能を満足させるようにした第1〜第3実施例の各種変形例について説明する。
【0308】
e1.第1変形例
まず、上記第1実施例におけるコントローラの線形減衰係数を車速に応じて変化させるようにした第1変形例について説明する。この場合、図6に破線で示すように、マイクロコンピュータ20には、上述したタイヤ変位量センサ23、ストロークセンサ24、ばね上加速度センサ25及びばね下加速度センサ26に加えて、車速Vを検出する車速センサ27が接続されている。また、マイクロコンピュータ20は、図7のステップ112,114の処理を図12のフローチャートに対応した処理に代えたプログラムを所定の短時間毎に実行する。
【0309】
マイクロコンピュータ20は、ステップ110における制御入力uに関する周波数重みの状態変数xu、拡張した状態量x及び制御入力uの計算後、ステップ202にて車速センサ27から車速Vを表す検出信号を入力し、ステップ204にて旧線形減衰係数Csoを新線形減衰係数Csnに更新しておく。これらの新旧線形減衰係数Cso,Csnは上記第1実施例の線形減衰係数Csに対応するものであるが、両線形減衰係数Cso,Csnは車速Vに応じて変化するものであるとともに、新線形減衰係数Csnは今回のプログラム処理により新たに決定されるもので、旧線形減衰係数Csoは前回のプログラム処理により決定されたものである。なお、両線形減衰係数Cso,Csnは初期においては初期設定処理により適当な値に設定される。
【0310】
前記ステップ204の処理後、ステップ206にて、車速−線形減衰係数テーブルから車速Vに対応した線形減衰係数Csを読み出して新線形減衰係数Csnとして設定する。この車速−線形減衰係数テーブルはマイクロコンピュータ20に内蔵されていて、複数の車速領域(例えば、0Km/h以上から40Km/h未満までの低速領域、40Km/h以上から80Km/h未満までの中速領域、80Km/h以上の高速領域からなる3領域)毎に車速Vの増加にしたがって増加する線形減衰係数Csを記憶している。
【0311】
次に、ステップ208にて、前記ステップ206の処理により新たに決定された新線形減衰係数Csnと、前記ステップ204の処理により更新された旧線形減衰係数Csoとを比較して、両線形減衰係数Cso,Csnが一致しているか否か(車速Vが属する車速領域が前回と一致しているか否か)を判定する。両線形減衰係数Cso,Csnが一致していれば、ステップ208にて「YES」と判定して、プログラムをステップ112a,114に進める。ステップ112aにおいては、上記第1実施例のステップ112における線形減衰係数Csを前記新線形減衰係数Csnに代えた下記数200の演算によりダンパ14の総合的な目標減衰係数Cを計算する。
【0312】
【数200】
C=Csn+Cv=Csn+u
ステップ114の処理は、上記第1実施例の場合と同じ処理であり、上記と同様な下記数201の演算により目標減衰力Fが計算される。
【0313】
【数201】
F=C(xpw'−xpb')
前記ステップ114の処理後、プログラムは上記第1実施例のステップ116(図7)以降に進められて、前記計算した目標減衰力Fに基づいてダンパ14のオリフィス14aの開度OPが決定されるとともに、ダンパ14のオリフィス14aが前記決定した開度OPに設定される。
【0314】
一方、両線形減衰係数Cso,Csnが一致していなければ、ステップ208にて「NO」と判定して、プログラムをステップ210〜222に進める。ステップ210,212においては、前記ステップ112a,114の処理と同様な前記数200,201の演算の実行により、新線形減衰係数Csnを用いて新目標減衰力Fnが計算される。ステップ214においては、前記ステップ210における新線形減衰係数Csnを旧線形減衰係数Csoに代えた下記数202の演算によりダンパ14の総合的な目標減衰係数Cが計算される。
【0315】
【数202】
C=Cso+Cv=Cso+u
ステップ216においては、前記ステップ114及びステップ212の処理と同様な前記数201の演算の実行により、旧線形減衰係数Csoを用いて旧目標減衰力Foが計算される。
【0316】
次に、ステップ218にて、前記ステップ212,216の処理により計算した新目標減衰力Fnと旧目標減衰力Foとの差の絶対値|Fn−Fo|が小さな所定値ΔF以下であるか否かを判定する。そして、前記絶対値|Fn−Fo|が所定値ΔF以下であれば、ステップ218にて「YES」と判定し、ステップ220にて目標減衰力Fを新目標減衰力Fnに設定する。また、前記絶対値|Fn−Fo|が所定値ΔFよりも大きければ、ステップ218にて「NO」と判定し、ステップ222にて目標減衰力Fを旧目標減衰力Foに設定する。これらのステップ220,222の処理後、前述の場合と同様に、プログラムは上記第1実施例のステップ116(図7)以降に進められて、前記設定した目標減衰力Fに基づいてダンパ14のオリフィス14aの開度OPが決定されるとともに、ダンパ14のオリフィス14aが前記決定した開度OPに設定される。
【0317】
上記説明からも理解できるとおり、この第1変形例によれば、前記ステップ202,206,210,212,220の処理により、ダンパ14の線形減衰係数が車速Vに応じて切り換えられ、すなわち上記第1実施例のコントローラが車速Vに応じて切り換えられるので、車速変化によって生じる車両要求性能の変化に対応することができ、官能上の評価が良好になる。
【0318】
また、前記ステップ202〜222の処理により、車速変化によってダンパ14の線形減衰係数すなわちコントローラが切り換えられた場合であっても、目標減衰力Fが大きく変化してしまうときには、線形減衰係数(コントローラ)を切り換えずに前回の線形減衰係数(コントローラ)を用いて目標減衰力Fを計算するようにした。これにより、線形減衰係数(コントローラ)の切り換えにより、目標減衰力Fが急激に大きく変化すること、すなわち目標減衰力Fの不連続を解消することができ、減衰力制御の違和感をなくすことができる。
【0319】
e2.第2変形例
次に、上記第1実施例におけるコントローラの周波数重みを車速に応じて変化させるようにした第2変形例について説明する。この場合も、図6に破線で示すように、マイクロコンピュータ20には、上述したタイヤ変位量センサ23、ストロークセンサ24、ばね上加速度センサ25及びばね下加速度センサ26に加えて、車速Vを検出する車速センサ27が接続されている。また、マイクロコンピュータ20は、図7のステップ106〜114の処理を図13のフローチャートに対応した処理に代えたプログラムを所定の短時間毎に実行する。
【0320】
マイクロコンピュータ20は、上記第1実施例のステップ108(図7)の処理後、ステップ230にて車速センサ27から車速Vを表す検出信号を入力し、ステップ232にて周波数重みWs(s),Wu(s)に関する旧係数行列Awo,Bwo,Cwo,Dwo,Auo,Buo,Cuo,Duoを、同周波数重みWs(s),Wu(s)に関する新係数行列Awn,Bwn,Cwn,Dwn,Aun,Bun,Cun,Dunに更新しておく。これらの新旧係数行列は、上記第1実施例の周波数重みWs(s),Wu(s)に関する係数行列Aw,Bw,Cw,Dw,Au,Bu,Cu,Duに対応するものであるが、新旧係数行列は車速Vに応じて変化するものであるとともに、新係数行列は今回のプログラム処理により新たに決定されるもので、旧係数行列は前回のプログラム処理により決定されたものである。なお、新旧係数行列は初期においては初期設定処理により適当な値に設定される。
【0321】
前記ステップ232の処理後、ステップ234にて、車速−係数行列テーブルから車速Vに対応した係数行列Aw,Bw,Cw,Dw,Au,Bu,Cu,Duを読み出して新係数行列Awn,Bwn,Cwn,Dwn,Aun,Bun,Cun,Dunとして設定する。この車速−係数行列テーブルはマイクロコンピュータ20に内蔵されていて、前記第1変形例と同様に複数の車速領域毎に、図3(A)〜(D)のグラフに示す周波数重みの各特性が車速Vに応じて変化、特に各ゲインが車速Vの増加にしたがって増加するように定められた前記領域数分の係数行列Aw,Bw,Cw,Dw,Au,Bu,Cu,Duを記憶している。
【0322】
次に、ステップ236にて、車速Vが属する車速領域が前回に対して変化したか否か(前記ステップ234の処理により新たに決定された新係数行列と、前記ステップ232の処理により更新された旧係数行列とが異なっているか否か)を判定する。車速Vが属する車速領域が前回と同じであれば、ステップ236にて「NO」と判定して、プログラムをステップ238に進める。ステップ238においては、前記新たに決定した新係数行列Awn,Bwn,Cwn,Dwn,Aun,Bun,Cun,Dunを用いて、上記第1実施例のステップ106〜114と同様な演算処理を実行し、目標減衰力Fを計算する。
【0323】
前記ステップ238の処理後、プログラムは上記第1実施例のステップ116(図7)以降に進められて、前記計算した目標減衰力Fに基づいてダンパ14のオリフィス14aの開度OPが決定されるとともに、ダンパ14のオリフィス14aが前記決定した開度OPに設定される。
【0324】
一方、車速Vが属する車速領域が前回に対して変化していれば、ステップ236にて「YES」と判定して、プログラムをステップ240〜248に進める。ステップ240においては、前記ステップ238の処理と同様な処理により、新係数行列Awn,Bwn,Cwn,Dwn,Aun,Bun,Cun,Dunを用いて目標減衰力Fを計算して新目標減衰力Fnとして設定する。ステップ242においては、前記更新された旧係数行列Awo,Bwo,Cwo,Dwo,Auo,Buo,Cuo,Duoを用いて、上記第1実施例のステップ106〜114と同様な演算処理を実行し、目標減衰力Fを計算して旧目標減衰力Fnとして設定する。
【0325】
次に、上記第1変形例における図12のステップ218〜222と同様なステップ244〜248の処理により、前記設定した新目標減衰力Fnと旧目標減衰力Foとの差の絶対値|Fn−Fo|が小さな所定値ΔF以下であれば、目標減衰力Fを新目標減衰力Fnに設定する。また、前記絶対値|Fn−Fo|が所定値ΔFよりも大きければ、目標減衰力Fを旧目標減衰力Foに設定する。これらのステップ244〜248の処理後、前述の場合と同様に、プログラムは上記第1実施例のステップ116(図7)以降に進められて、ダンパ14のオリフィス14aの開度OPが決定されるとともに、ダンパ14のオリフィス14aが前記決定した開度OPに設定される。
【0326】
上記説明からも理解できるとおり、この第2変形例によれば、前記ステップ230,234,242の処理により、周波数重みWs(s),Wu(s)に関する係数行列Aw,Bw,Cw,Dw,Au,Bu,Cu,Duが車速Vに応じて切り換えられ、すなわち上記第1実施例のコントローラが車速Vに応じて切り換えられるので、車速変化によって生じる車両要求性能の変化に対応することができ、官能上の評価が良好になる。
【0327】
また、前記ステップ230〜248の処理により、車速変化によって周波数重みWs(s),Wu(s)に関する係数行列Aw,Bw,Cw,Dw,Au,Bu,Cu,Duすなわちコントローラが切り換えられた場合であっても、目標減衰力Fが大きく変化してしまうときには、係数行列(コントローラ)を切り換えずに前回の係数行列(コントローラ)を用いて目標減衰力Fを計算するようにした。これにより、コントローラの周波数重みの切り換えにより、目標減衰力Fが急激に大きく変化すること、すなわち目標減衰力Fの不連続を解消することができ、減衰力制御の違和感をなくすことができる。
【0328】
なお、前記第1及び第2変形例においては、線形減衰係数及び周波数重みのいずれか一方を車速に応じて変化させるようにしたが、車速に応じて線形減衰係数及び周波数重みの両方を変化させるようにしてもよい。この場合、図12,13のプログラムにおいて、車速Vに応じて線形減衰係数及び周波数重みの両者を変更制御するようにすればよい。
【0329】
また、上記第1及び第2変形例においては、車速又はばね上質量の変化によって線形減衰係数又は周波数重みすなわちコントローラを切り換えるようにしたが、車両のピッチ、ロールなどの車両の状態量の変化によってコントローラを切り換えるようにしてもよい。この場合、マイクロコンピュータ20に車両のピッチ、ロールなどの車両状態量を検出するセンサを接続して、同センサによって検出された状態量に応じて線形減衰係数、周波数重みなど、すなわちコントローラを切り換えるようにすればよい。そして、この場合にも、コントローラの切り換えによって計算した目標減衰力が大きく変化してしまう場合には、その変化幅を規制するようにするとよい。
【0330】
e3.第3変形例
次に、上記第1実施例におけるコントローラの線形減衰係数又は周波数重みをばね上質量に応じて変化させる第3変形例について説明する。
【0331】
この場合、図6に破線で示すように、マイクロコンピュータ20には、上述した車速センサ27に代えて、ぱね上質量センサ28が接続される。このばね上質量センサ28は、ばね上部材10とばね下部材11との間に設けられた荷重センサにより構成されて、ばね上部材10(車体)の質量Mbを検出して、同質量Mbを表す検出信号をマイクロコンピュータ20に供給する。
【0332】
そして、ばね上質量に応じてコントローラの線形減衰係数を変更制御する場合には、上記第1変形例の場合と同様に、プログラムの一部を図12の処理に変形した図7のプログラムを実行する。この場合、図12のステップ202にて、車速Vに代えて、ばね上質量センサ28によって検出されたばね上部材10の質量Mbを入力する。また、ステップ206において、ばね上質量−線形減衰係数テーブルからばね上質量Mbに対応した線形減衰係数Csを読み出して新線形減衰係数Csnとして設定する。このばね上質量−線形減衰係数テーブルもマイクロコンピュータ20に内蔵されていて、ばね上質量Mbが順に大きくなる複数段階に分けた各領域毎に同質量Mbの増加にしたがって増加する線形減衰係数Csを記憶している。さらに、この場合には、上記各実施例及び各変形例の説明で定数として扱ってきたばね上部材10の質量Mbをこの検出されたばね上質量Mbに置き換えて、同検出されたばね上質量Mbを変数B2(x),uなどの計算に利用するとよい。
【0333】
これによれば、前記ステップ202,206,210,212,220の処理により、ダンパ14の線形減衰係数がばね上質量Mbに応じて切り換えられ、すなわち上記第1実施例のコントローラがばね上質量Mbに応じて切り換えられるので、ばね上質量の変化によって生じる車両要求性能の変化に対応することができ、官能上の評価が良好になる。
【0334】
また、前記ステップ202〜222の処理により、ばね上質量の変化によってダンパ14の線形減衰係数すなわちコントローラが切り換えられた場合であっても、目標減衰力Fが大きく変化してしまうときには、線形減衰係数(コントローラ)を切り換えずに前回の線形減衰係数(コントローラ)を用いて目標減衰力Fを計算するようにした。これにより、線形減衰係数(コントローラ)の切り換えにより、目標減衰力Fが急激に大きく変化すること、すなわち目標減衰力Fの不連続を解消することができ、減衰力制御の違和感をなくすことができる。
【0335】
一方、ばね上質量に応じてコントローラの周波数重みを変更制御する場合には、上記第2変形例の場合と同様に、プログラムの一部を図13の処理に変更した図7のプログラムを実行する。この場合、図13のステップ230にて、車速Vに代えて、ばね上質量センサ28によって検出されたばね上部材10の質量Mbを入力する。また、ステップ234において、ばね上質量−係数行列テーブルからばね上質量Mbに対応した係数行列Aw,Bw,Cw,Dw,Au,Bu,Cu,Duを読み出して新係数行列Awn,Bwn,Cwn,Dwn,Aun,Bun,Cun,Dunとして設定する。このばね上質量−係数行列テーブルはマイクロコンピュータ20に内蔵されていて、前記変形例と同様なばね上質量の各領域毎に、図3(A)〜(D)のグラフに示す各特性がばね上質量Mbに応じて変化、特に各ゲインがばね上質量Mbの増加にしたがって増加するように定められた前記領域数分の係数行列Aw,Bw,Cw,Dw,Au,Bu,Cu,Duを記憶している。さらに、この場合にも、上記各実施例及び各変形例の説明で定数として扱ってきたばね上部材10の質量Mbをこの検出されたばね上質量Mbに置き換えて、同検出されたばね上質量Mbを変数B2(x),uなどの計算に利用するとよい。
【0336】
これによれば、前記ステップ230,234,240,246の処理により、周波数重みWs(s),Wu(s)に関する係数行列Aw,Bw,Cw,Dw,Au,Bu,Cu,Duがばね上質量Mbに応じて切り換えられ、すなわち上記第1実施例のコントローラがばね上質量Mbに応じて切り換えられるので、ばね上質量の変化によって生じる車両要求性能の変化に対応することができ、官能上の評価が良好になる。
【0337】
また、前記ステップ230〜248の処理により、ばね上質量の変化によって周波数重みWs(s),Wu(s)に関する係数行列Aw,Bw,Cw,Dw,Au,Bu,Cu,Duすなわちコントローラが切り換えられた場合であっても、目標減衰力Fが大きく変化してしまうときには、係数行列(コントローラ)を切り換えずに前回の係数行列(コントローラ)を用いて目標減衰力Fを計算するようにした。これにより、周波数重みに関するコントローラの係数行列の切り換えにより、目標減衰力Fが急激に大きく変化すること、すなわち目標減衰力Fの不連続を解消することができ、減衰力制御の違和感をなくすことができる。
【0338】
なお、この第3変形例においては、線形減衰係数及び周波数重みのいずれか一方をばね上質量に応じて変化させるようにしたが、ばね上質量に応じて線形減衰係数及び周波数重みの両方を変化させるようにしてもよい。この場合も、図12,13のプログラムにおいて、ばね上質量Mbに応じて線形減衰係数及び周波数重みの両者を変更制御するようにすればよい。
【0339】
また、エアばね機構をサスペンション装置内に組み込んだ車両においては、前記ばね上質量センサ28に代えて、マイクロコンピュータ20のプログラム処理によりばね上質量Mbを推定するばね上質量推定装置をばね上質量検出手段として利用できる。
【0340】
まず、ばね上質量の推定方法について説明しておく。ばね上質量をMbとし、ある瞬間におけるばね上部材10の上下加速度をa(k)=Xpb”とし、同瞬間におけるサスペンション装置内のエアばね機構のばね定数をKs(k)とし、同瞬間におけるばね下部材11に対するばね上部材10の相対変位量をs(k)=Xpw−Xpbとし、同瞬間における同サスペンション装置のダンパによる減衰力をF(k)とすると、同瞬間におけるばね上部材10の運動方程式は下記数203のように表される。ただし、kは正の整数である。
【0341】
【数203】
b・a(k)=Ks(k)・s(k)+F(k)
ここで、ばね上質量Mbに対するばね定数Ks(k)の比をβ(k)(=Ks(k)/Mb)とすれば、前記数203は下記数204のように変形される。
【0342】
【数204】
b・[a(k)−β(k)・s(k)]=F(k)
一方、エアばね機構を用いた車両用サスペンション装置においては、ばね上質量Mbに対するばね定数Ksの比β(k)が静的にほぼ一定となるように設計されている。したがって、前記比β(k)が一定値β(平均値)と扱える程度に充分長い時間(ばね上部材10の共振周期の10倍程度以上)、すなわち下記数205が成立する程度の時間に渡る上下加速度a(k)、ばね定数Ks(k)、相対変位量s(k)及び減衰力F(k)に対しては上記数204を下記数206のように変形することができる。
【0343】
【数205】
Figure 0003787038
【0344】
【数206】
b・[a(k)−β・s(k)]=F(k)
そして、例えば最小二乗法による下記数207を用いれば、ばね上質量Mbを正確に推定できる。
【0345】
【数207】
Figure 0003787038
【0346】
次に、上記理論を用いたマイクロコンピュータ20によるばね上質量推定装置を具体的に説明すると、同コンピュータ20は、図14のフローチャートに対応したプログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。このプログラムの実行は、ステップ260にて開始され、ステップ262にてばね加速度センサ25からばね上加速度Xpb”を入力してばね上加速度aとして記憶しておくとともに、ストロークセンサ24から相対変位量Xpw−Xpbを入力して相対変位量sとして記憶しておく。なお、これらのばね上加速度a及び相対変位量sを表す値に関しては、後述する微分処理及びバンドパス処理に利用するために、今回入力された値と共に適宜数だけ過去に溯った値も記憶されている。次に、ステップ264にて今回及び前回記憶した相対変位量sを用いて相対変位量sを微分処理して、ばね下部材11に対するばね上部材10の相対速度ds/dtを計算する。
【0347】
次に、ステップ266にて、マイクロコンピュータ20のメモリ内に予め用意されている相対速度−減衰力テーブル(図8)を参照し、オリフィス14aの開度OP(OPは1〜Nのうちのいずれか)及び前記計算した相対速度ds/dtに対応した減衰力Fを導出して記憶しておく。この場合、オリフィス14aの開度OPとしては、前述した図7のプログラムのステップ116にて決定した値が利用される。なお、この減衰力Fに関しても、後述するバンドパス処理に利用するために、今回導出された値と共に適宜数だけ過去に溯った値も記憶されている。
【0348】
次に、ステップ268にて、前記ステップ266の処理により今回及び過去に導出された減衰力Fを用いて、同減衰力Fに含まれる直流成分及びノイズ成分を除去するために同減衰力Fにバンドパスフィルタ処理を施す。そして、ステップ270にて、時間経過に従って減衰力Fを表すQ個のデータ列F(k)(k=1,2…Q)を更新する。このデータ列F(k)は、値kが1から順にQに向かうに従って新しいデータを表しており、前記データ列F(k)の更新においては、データF(1)を消去するとともにデータF(1),F(2)…F(Q−1)をデータF(2),F(3)…F(Q)にそれぞれ更新し、前記バンドパスフィルタ処理により得た新たな減衰力FをデータF(Q)として記憶する。なお、このデータ列F(k)は、後述する他のデータ列x(k)と共に、各車輪位置におけるばね上質量Mbに対するエアチャンバ11a〜11dのばね定数Ksの比Ks/Mbを一定と扱える程度に充分に長い時間(ばね上部材の共振周期0.5〜1.0秒の10倍程度以上)に渡るデータセットを構成するものであり、本実施例ではサンプリング周期(データセットの更新周期)は5〜20ミリ秒程度に設定されているとともに、値Qは3000程度の値に設定されている。
【0349】
前記ステップ270の処理後、ステップ272にて、前記ステップ262の処理により今回及び過去に記憶されたばね上加速度aを用いて、ばね上加速度センサ25により検出されたばね上加速度Xpb”(=a)に含まれる直流成分及びノイズ成分を除去するために、同ばね上加速度aにバンドパスフィルタ処理を施す。次に、ステップ274にて、前記ステップ262の処理により今回及び過去に記憶された相対変位量sを用いて、ストロークセンサ24により検出された相対変位量Xpw−Xpb(=s)に含まれる直流成分及びノイズ成分を除去するために、同相対変位量sにバンドパスフィルタ処理を施す。そして、ステップ276にて下記数208の演算の実行により値xを計算し、ステップ278にて、前記データ列F(k)(k=1,2…Q)と同様に、時間経過に従って値xを表すQ個のデータ列x(k)(k=1,2…Q)を更新する。なお、下記数208中の値βは、ばね上質量Mbに対するばね定数Ksの比Ks/Mbが一定値として扱える程度に充分に長い時間に渡る同比Ks/Mbの平均値に相当する予め与えられた定数値である。
【0350】
【数208】
x=a−β・s
そして、ステップ280にて、最小二乗法を用いた下記数209の演算の実行によりばね上質量Mbを計算して、ステップ282にてこのプログラムの実行を終了する。
【0351】
【数209】
Figure 0003787038
【0352】
これによれば、荷重センサで構成したばね上質量センサ28のような格別なセンサを用いることなく、マイクロコンピュータ20によるソフト的な処理を工夫するだけでばね上質量Mbを計算でき、簡単な構成でばね上質量Mbを推定できるようになる。
【0353】
また、前記ステップ280の演算に代えて、減衰力F、ばね上加速度a及び相対変位量sをそれぞれ表すデータ列F(k),a(k),s(k)(k=1,2…Q)及び予め決められた比β(定数)を用いた下記数210の演算に従ってばね上質量Mbを計算することもできる。
【0354】
【数210】
Figure 0003787038
【0355】
この場合、上記実施例のステップ276,278の処理を省略して、ステップ272,274の処理により計算したばね上加速度a及び相対変位量sに基づいて前記比βを定数と見なせる時間に渡るデータ列a(k),s(k)(k=1,2…Q)を作成し、同作成したデータ列a(k),s(k)を上記減衰力Fを表すデータ列F(k)と共に前記数210の演算に利用するようにすればよい。
【0356】
また、上記例では、ステップ280の1回の演算処理による結果をばね上質量Mbとして決定するようにしたが、前記1回の演算処理結果だけではなく、複数回のステップ280の演算処理結果を平均してばね上質量Mbとして決定するようにしてもよい。
【0357】
さらに、上記例では、最小二乗法を用いてばね上質量Mbを推定するようにしたが、同最小二乗法以外の例えば、一般化最小二乗法、最尤法、補助変数法などによってもばね上質量を計算することができる。補助変数法によれば、センサ観測ノイズe(k)を考慮して上記数206は下記数211のように書き換えられる。
【0358】
【数211】
b・[a(k)−β・s(k)]=F(k)+e(k)
そして、補助変数として、センサ観測ノイズe(k)と相関を持たず、真の出力であるデータ列F(k)と相関の強い制御指令値fcr(k)を用いる。この制御指令値fcr(k)は、減衰力F(k)がダンパ14の実際の減衰力であるのに対して、図13のステップ238,240,242にて計算される目標減衰力であり、同ステップ238,240,242にて計算された目標減衰力を時系列的に記憶しておいて用いることができる。これによれば、ばね上質量Mbは下記数212により計算できる。
【0359】
【数212】
Figure 0003787038
【0360】
e4.第4変形例
また、上記第2実施例の各タイプ及び第3実施例における各コントローラの線形減衰係数を車速に応じてそれぞれ変化させるようにしてもよい。この場合も、上記第1変形例の場合と同様に、図6に破線で示すように、マイクロコンピュータ20に、上述したタイヤ変位量センサ23、ストロークセンサ24、ばね上加速度センサ25及びばね下加速度センサ26に加えて、車速Vを検出する車速センサ27を接続する。そして、マイクロコンピュータ20は、図10のステップ112,114の処理を図12のフローチャートに対応した処理に代えたプログラムを所定の短時間毎に実行する。
【0361】
また、上記第2実施例の各タイプ及び第3実施例における各コントローラの周波数重みを車速に応じて変化させるようにしてもよい。この場合にも、前記車速センサ27を用いるとともに、図10のプログラムのステップ106a〜114の処理を上記第2変形例と同様な図13のステップ230〜248の処理で置換したプログラムを実行する。ただし、図13のステップ238,240,242の処理においては、図10のステップ106a〜114の処理をそれぞれ実行して、目標減衰力Fを計算する。
【0362】
さらに、上記第2実施例の各タイプ及び第3実施例における各コントローラの線形減衰係数又は周波数重みを、前記車速に代えて、上記第3変形例と同様にばね上質量に応じてそれぞれ変化させるようにしてもよい。
【0363】
その結果、第2実施例の各タイプ及び第3実施例を前記のように変形した各変形例によっても、車速変化又はばね上質量によって生じる車両要求性能の変化に対応することができ、官能上の評価が良好になる。これにより、線形減衰係数又は周波数重み(コントローラ)の切り換えにより、目標減衰力Fが急激に大きく変化すること、すなわち目標減衰力Fの不連続を解消することができ、減衰力制御の違和感をなくすことができる。
【0364】
f.その他の変形例
上記第1〜第3実施例及び各種変形例においては、オリフィス開度OP毎に相対速度xpw'−xpb'と減衰力Fとの関係を表す相対速度−減衰力テーブルを用いてオリフィス開度OPを決定するようにしたが、この相対速度−減衰力テーブルに代えて、図15に示すようなオリフィス開度OP毎に相対速度xw'−xb'と減衰係数Cとの関係を表す相対速度−減衰係数テーブルをマイクロコンピュータ20内に設けておき、同相対速度−減衰係数テーブルを用いてオリフィス開度OPを決定するようにしてもよい。この場合、上記第1〜第3実施例及び各種変形例にて実行されたプログラム(図7,10)のステップ114を省略するとともにステップ116の処理を変更して、図16に示すプログラムを実行するようにすればよい。
【0365】
この変更されたプログラムによれば、マイクロコンピュータ20は、上記第1〜第3実施例及び各種変形例と同様にしてステップ112にて減衰係数Cを計算した後、ステップ116aにて前記相対速度−減衰係数テーブルを参照して、相対速度xpw'−xpb'又は推定相対速度xpw'^−xpb'^と前記計算した減衰係数Cに対応したオリフィス開度OPを決定する。このようにしても、上記第1〜第3実施例及び各種変形例と同様な目標減衰力が得られ、上記第1〜第3実施例及び各種変形例と同等な効果が期待される。
【0366】
また、上記第1〜第3実施例及び各種変形例においては、ダンパ14のオリフィス開度OPをN段に切り換えるようにしたが、同オリフィス開度OPをより多くの段階又は連続的に切り換え可能なダンパ14を用いるようにすれば、さらに精度のよい減衰力及び減衰係数の制御が可能となる。この場合、前記ステップ116,116aにてオリフィス開度OPを決定する際、テーブル参照結果を補間してオリフィス開度OPを決定するようにするとよい。
【0367】
また、上記第1〜第3実施例及び各種変形例においては、一般化プラントの状態空間表現における状態量として、タイヤ変位量pr−xpw、相対変位量xpw−xpb、ばね下速度xpw'及びばね上速度xpb'を用いるようにしたが、前記状態空間表現が可能であれば、ばね上部材10及びばね下部材11の上下方向の運動に関する他の物理量を利用することもできる。また、上記第2実施例の第1タイプ及び第3実施例においてはタイヤ変位量xr−xw及びばね下速度xw'の検出を省略して推定するようにし、上記第2実施例の第2及び第3タイプにおいてはさらに相対変位量xpw−xpb(相対速度xpw'−xpb')の検出をも省略して推定するようにしたが、制御則の多少の変更により他の状態変数の検出を省略して推定することも可能である。
【0368】
また、上記第1〜第3実施例及び各種変形例の評価出力zpにおいては、3種類の物理量、すなわちばね上部材10の共振に影響するものとしてばね上速度xb'を、ばね下部材11の共振に影響するものとして相対速度xw'−xb'を、車両の乗り心地の悪化(ゴツゴツ感)に影響するものとしてばね上加速度xb''を用いるようにしたが、これらのいずれか1種類又は2種類を評価出力zpとして用いるようにしてもよい。さらに、前記ばね上部材10の共振に影響するものとして、ばね上速度xb'に代えて、ばね上加速度xb''、ばね上変位量xbなどのばね上部材10の運動に関係の深い物理量を用いるようにしてもよい。ばね下部材11の共振に影響するものとして、相対速度xw'−xb'に代えて、ばね下速度xw'、タイヤ変位量xr−xwなどのばね下部材11の運動に関係の深い物理量を用いるようにしてもよい。
【0369】
また、上記各種実施例及びそれらの各種変形例においては、非線形なプラントを扱えて周波数領域で設計仕様を与えることができる制御理論として非線形H∞制御理論を適用するようにしたが、前記制御理論として線形マトリクス不等式(Linear Matrix Inequality)制御理論を拡張した双線形マトリクス不等式(Bilinear Matrix Inequality)制御理論を用いるようにしてもよい。
【0370】
また、上記各種実施例及びそれらの各種変形例においては、本発明を車両用サスペンション装置に適用した例について説明したが、本発明は、車両を構成する部材をゴム、スプリングなどの弾性部材を介して弾性的に支持するとともに同車両を構成する部材の振動を減衰させるための減衰力(減衰係数)を変更可能なダンパを組み込んだ車両用弾性支持装置、例えば車両用エンジンを弾性部材を介して弾性的に支持するとともに減衰力(減衰係数)を変更可能なダンパを組み込んだエンジン支持装置にも適用できる。さらに、本発明の適用を広げて、本発明に係る制御装置は、車両に限らず、物体をゴム、スプリングなどの弾性部材を介して弾性的に支持するとともに同物体の振動を減衰させるための減衰力(減衰係数)を変更可能なダンパを組み込んだ弾性支持装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車両の車輪一輪当たりのサスペンション装置の機能図である。
【図2】 本発明の第1実施例に係り、非線形H∞状態フィードバック制御系の一般化プラントのブロック図である。
【図3】 (A)〜(C)は評価出力としてのばね上加速度、ばね上速度及び相対速度に対する周波数重みをそれぞれ表すグラフであり、(D)は制御入力としての可変減衰係数に対する周波数重みを表すグラフである。
【図4】 非線形H∞制御理論に基づく制御の作用効果を表すイメージ図である。
【図5】 (A)は本発明に係る減衰力制御における減衰力−相対速度(F−V)特性を表すリサージュ波形図であり、(B)は従来のスカイフック制御における減衰力−相対速度(F−V)特性を表すリサージュ波形図である。
【図6】 本発明の第1〜第3実施例に係り、車両に搭載された減衰力制御装置のブロック図である。
【図7】 本発明の第1実施例に係り、図6のマイクロコンピュータにて実行されるプログラムのフローチャートである。
【図8】 本発明の第1〜第3実施例に係り、図6のマイクロコンピュータ内に設けられた相対速度−減衰力テーブル内のデータ特性を示すグラフである。
【図9】 本発明の第2実施例に係り、非線形H∞出力フィードバック制御系の一般化プラントのブロック図である。
【図10】 本発明の第2,3実施例に係り、図6のマイクロコンピュータにて実行されるプログラムのフローチャートである。
【図11】 本発明の第3実施例に係り、カルマンフィルタベースの非線形H∞制御系の一般化プラントのブロック図である。
【図12】 上記第1実施例〜第3実施例の変形例に係り、図7,10のプログラムの一部を変更したプログラムのフローチャートである。
【図13】 上記第1実施例〜第3実施例の変形例に係り、図7,10のプログラムの一部を変更したプログラムのフローチャートである。
【図14】 上記第1実施例〜第3実施例の変形例に係り、ばね上質量を推定するためのばね上質量推定プログラムのフローチャートである。
【図15】 前記第1〜第3実施例の変形例に係り、相対速度−減衰係数テーブル内のデータ特性を示すグラフである。
【図16】 同変形例に係り、図7,10のプログラムの変形部分のみを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…ばね上部材(車体)、11…ばね下部材、12…タイヤ、13…スプリング、14…ダンパ、14a…オリフィス、15…路面、20…マイクロコンピュータ、21…電気アクチュエータ、23…タイヤ変位量センサ、24…ストロークセンサ、25…ばね上加速度センサ、26…ばね下加速度センサ、27…車速センサ、28…ばね上質量センサ。

Claims (6)

  1. 車両のばね上部材とばね下部材の間に組み込まれて減衰力を変更可能なダンパを備えたサスペンション装置において、
    前記ばね上部材と前記ばね下部材の上下方向の運動量に関する複数の物理量にそれぞれ所定の周波数重みを付与した値を評価出力(制御出力)とする状態フィードバック制御系の一般化プラントにおいて前記物理量に対する各周波数の重みの最大領域が互いに干渉しないように前記ダンパの非線形部分(可変減衰係数)を計算する非線形部分計算手段と、
    前記ダンパの線形部分と前記計算した非線形部分とを合成して前記ダンパの目標減衰係数を計算する減衰係数計算手段と、
    前記ばね下部分に対する前記ばね上部分の相対速度を検出又は推定する相対速度検出手段と、
    前記計算された目標減衰係数を前記検出又は推定された相対速度に乗じて目標減衰力を算出する目標減衰力計算手段と、
    前記ダンパの減衰力を前記計算した目標減衰力に設定する制御手段と、
    前記目標減衰力が前記ダンパの最小減衰力特性と最大減衰力特性の間に納まるように、前記ダンパの線形部分と非線形部分のゲインを制御性能を高める周波数帯域の重みに応じて制御する手段とを設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置のための制御装置。
  2. 前記複数種類の物理量が、前記ばね上部材の上下方向速度、前記ばね下部材に対する前記ばね上部材の相対速度及び前記ばね上部材の上下方向加速度のうち少なくとも2つ以上の物理量である請求項1に記載の車両用サスペンション装置のための制御装置。
  3. 前記車両に組付けた車輪のタイヤの上下方向の変位量、前記ばね下部材に対する前記ばね上部材の上下方向の相対変位量、前記ばね下部材の上下方向速度及び前記ばね上部材の上下方向速度を状態量とする状態空間表現された車両用サスペンション装置に前記制御理論を適用した請求項1に記載の車両用サスペンション装置のための制御装置。
  4. 前記非線形部分の計算に用いた制御理論が、非線形H∞制御理論である請求項1に記載の車両用サスペンション装置のための制御装置。
  5. 前記非線形H∞制御理論が、非線形H∞状態フィードバック制御、非線形H∞出力フィードバック制御又はカルマンフィルタを用いた非線形H∞制御のいずれか一つを採用した制御理論である請求項4に載の車両用サスペンション装置のための制御装置。
  6. 前記減衰係数計算手段が、所定の周波数重みを付与した非線形成分を入力行列に持たせる一般化プラントを想定して前記目標減衰係数を計算するようにした請求項1記載の車両用サスペンション装置のための制御装置。
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