JP3784816B2 - ペリレン−3,4−ジカルボン酸誘導体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
特に適する窒素含有複素環は、キノリン、ピリジン、特にイミダゾールである。好ましくは、溶剤として特定の複素環化合物を使用して、反応を実施する。
従って、本発明はまた、ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物と一級アミンR1 −NH2 とを、150乃至350℃の温度で加圧下、亜鉛塩、鉛塩、カルシウム塩、またはマグネシウム塩の存在で、および塩基として窒素含有複素環の存在で反応することからなる、上記一般式Iのペリレン−3,4−カルボキシイミドの製法を提供する。
したがって、本発明はまた一般式IIの新規なペリレン−3,4−ジカルボキシイミドに関する。
本発明はまた、一般式 IIIのペリレン−3,4−ジカルボン酸ジエステルに関する。
本発明はまた、一般式IVのペリレン−3,4−ジカルボン酸エステルアミドに関する。
塩化メチレン中の N2O4 による2cのニトロ化を完全に暗所で行うときは、単離できる反応生成物は純粋な9−ニトロ誘導体55%であり、残りはほとんど未反応原料であり、これは容易に分離できる。従って、この反応は製造的規模での9−ニトロ誘導体の最もよい製法である。
その性質のため、本発明の化合物は多くの応用に適する。
本発明はまた、証券印刷に、機械で読みとれるマーク用蛍光塗料として、レーザー染料として、そして非衝撃印刷トナー、カラーフィルター、有機光受容体、エレクトロルミネセンスおよびフォトルミネセンス素子、または太陽コレクターの製造に、本発明の化合物を使用することに関する。
次に実施例は本発明を例示する。
実施例1: N−(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(2b)
容量100mlのオートクレーブ中で、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物3.66g(9.34mmol)、イミダゾール18.7g、酢酸亜鉛二水和物1.32g、水8.0ml(450mmol)、2,5−ジ−tert−ブチルアニリン(Rec. Trav. Chim. Pays-Bas,1958、77、491に従って製造した)1.05g(5.12mmol)の混合物を210℃で23時間加熱した。反応終了後、混合物をエタノールで洗い流してオートクレープからとり出し、水および濃塩酸で処理し、全エタノールが蒸発するまで煮沸した。褐赤色残留物を吸引濾過し、そして10%炭酸カリウム水溶液で1時間煮沸した。固形分を吸引 過し、乾燥キャビネットで120℃で乾燥し、クロロホルムを使いシリカゲルでクロマトグラフした。これはペリレンの前留(黄、青色蛍光)、ついでN(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(2b)、ついでN,N’−ビス(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボキシイミド(1b)を与えた。収量2.40g(50.5%)、m.p.>300℃。Rf (CHCl3/シリカゲル)=0.85。UV(CHCl3):λmax (ε)=489nm(35300)、512(33590)。蛍光(CHCl3, exc.489nm)λmax (Irel )=535nm(1)、576nm(0.36)。
C36H31NO2 (509.7)として
計算値 C84.84 H6.13 N2.75
実測値 C84.79 H6.35 N2.81
ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物3.66g(9.33mmol)を、イミダゾール18.66g、酢酸亜鉛二水和物1.36g、水8ml、4−t−ブチルアニリン1.89g(12.7mmol)と混合し、混合物をオートクレーブ中で220℃で10時間加熱した。反応生成物を、アルコールで洗うことによってオートクレーブからとり出し、10%塩酸200mlで処理し、最早エタノールが存在しなくなるまで煮沸した。沈殿を吸引濾過し、10%炭酸カリウム溶液中で煮沸した。不溶残留物を吸引濾過し、水洗し、乾燥キャビネットで120℃で乾燥した。クロロホルムを使用するシリカゲル上での残留物のクロマトグラフィーは、Rf 値0.40および0.19をもつ2生成物を分離し、これらは 1HNMR分光法によりN−(4−t−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドおよびN,N’−ジ(4−t−ブチルフェニル)ペリレン−3,4,9,10−ビス(カルボキシイミド)と同定できた。クロロホルム中での生成物の溶解度が悪いため、粗生成物の少部分だけをクロマトグラフィーで精製し、総収率は得られた量を外挿して得た。これにより、N−(4−t−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド約10%及びN,N’−ジ(4−t−ブチルフェニル)ペリレン−3,4,9,10−ビス(カルボキシイミド)約30%を得た。
ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物1.2g(3.1mmol)、イミタゾール6.2g、7−アミノトリデカン(J. Prakt. Chem.,1980、322、261に従って製造した)470mg(2.36mmol)、酢酸亜鉛二水和物150mg(0.68mmol)、水3.0ml(170mmol)をオートクレーブ(100ml)中で190℃で24時間加熱した。2bの製造と同様に処理した。収量1.25g(27%)。
ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物1.4g(3.1mmol)、イミタゾール6.1g、9−アミノヘプタデカン(DE−A4,007,618に従って製造した)960mg(3.7mmol)、酢酸亜鉛二水和物150mg(0.68mmol)、水3.0ml(170mmol)をオートクレーブ(100ml)中で190℃で24時間加熱した。処理は2bの製造と類似であった。収量130mg(Chem. Ber., 1985、118、4641に記載のようにメタノールから抽出再結晶により7%)。橙赤色結晶は強い固体蛍光を示した。m.p.143−143.6℃。Rf (CHCl3/シリカゲル)=0.94。UV(CHCl3):λmax (ε)=454nm(sh, 17620)、485(32530)、508(29480)。蛍光(CHCl3, exc.485nm)λmax (Irel )=572nm(sh, 0.49)、536(1)。
C39H45NO2 (509.8)として
計算値 C83.68 H8.10 N2.50
実測値 C83.62 H8.02 N2.73
実施例5: N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(2c)
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物(下記実施例10に従って製造した)200mg(620mmol)を、7−アミノトリデカン250mg(0.12mol)、酢酸亜鉛二水和物110mg、イミダゾール1.2gと共に、アルゴン不活性雰囲気下に135〜140℃で1時間加熱した。冷却後、暗赤色融解ケーキをエタノール100mlで砕解し、生成懸濁液に15%塩酸100mlを加え、全エタノールが蒸発するまで混合物を煮沸した(反応生成物はエタノールに容易に溶ける)。固体を吸引濾過し、濾液流出物が最早黄色蛍光を示さなくなるまで温水で洗った。粗生成物を120℃の乾燥キャビネットで2時間乾燥し、クロロホルムを使用してシリカゲルでクロマトグラフした。第1着色画分をメタノール抽出により再結晶した。収量200mg(63%)。橙赤色結晶は強い固体蛍光を示した。m.p.166〜168℃。Rf (クロロホルム/シリカゲル)=0.87。UV(CHCl3):λmax (ε)=506(30250)、484(31580)。蛍光(CHCl3, exc.506nm)λmax (Irel )=540(1)、568(0.52)。
C35H27NO2 (503.7)として
計算値 C83.50 H7.36 N2.78
実測値 C83.58 H7.28 N2.92
C41H49NO2 (587.8)として
計算値 C83.77 H8.40 N2.38
実測値 C84.03 H8.47 N2.52
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物300mg(0.93mmol)を、シクロオクチルアミン1.5g(2.15mmol)及びイミダゾール3gと、2cのようにアルゴン不活性雰囲気下に140℃で2時間反応し、反応生成物を処理し、乾燥キャビネットで乾燥した。未反応原料を除くため、生成物を10%炭酸カリウム溶液中で煮沸し、濾液流出物が無色となるまで熱水で洗った。褐赤色生成物を120℃の乾燥室で乾燥し、エタノール抽出により再結晶した。収量290mg(72%)、固体蛍光のない暗赤色結晶性粉末。m.p.342〜343℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.78。UV(CHCl3):λmax (ε)=506nm(32000)、484(32100)、264(35200)。蛍光(CHCl3)λmax (Irel )=511nm、542(1)、573(sh, 0.51)。
C30H25NO2 (431.5)として
計算値 C83.50 H5.84 N3.25
実測値 C83.22 H5.83 N3.53
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物190mg(0.56mmol)を、シクロドデシルアミン140mg(1.28mmol)及びイミダゾール2.0gと、2cのようにアルゴン不活性雰囲気下に反応し、反応生成物を処理した。クロロホルムを使用してシリカゲルクロマトグラフした後、トルエン抽出により再結晶した。収量190mg(66%)。m.p.285℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.58。UV(CHCl3 ):λmax (ε):454(sh,19085),484(32630),507(32015)。蛍光(CHCl3,exc.584nm)λmax (Irel )=538(1),572(sh, 0.44)。
C34H33NO2 (487.6)として
計算値 C83.75 H6.82 N2.87
実測値 C83.75 H6.81 N2.91
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物190mg(0.56mmol)を、2−アミノエタノール0.85ml(1.40mmol)及びイミダゾール1.18gと、2cのようにアルゴン不活性雰囲気下に96時間反応し、反応生成物を処理し、乾燥キャビネットで乾燥した。未反応原料を除くため、反応生成物を10%炭酸カリウム溶液中で煮沸し、濾液流出物が無色となるまで熱水で洗った。褐赤色生成物を120℃の乾燥キャビネットで乾燥し、トルエン抽出により再結晶した。収量50mg(23%)。m.p.>260℃。UV(CHCl3 ):λmax =489nm,509。蛍光(CHCl3 ,exc.489nm)λmax (Irel )=546nm(1),579(sh,0.46)。
C24H15NO3 (365.4)として
計算値 C78.89 H4.14 N3.83
実測値 C78.26 H4.27 N3.84
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物0.70g(2.17mmol)を、4−t−ブチルアニリン0.49g(3.28mmol)、イミダゾール3.00g及び酢酸亜鉛二水和物0.10gと混合し、混合物を140〜150℃で5時間加熱した。熱いうちに、混合物をエタノール100mlで処理し、10%塩酸200mlを加えた。赤色懸濁液を、全エタノールが蒸発するまで加熱し、ついで生成物を吸収濾過した。赤褐色残留物を10%炭酸カリウム溶液中で煮沸し、熱いうちに固体残留物を吸引濾過し、熱蒸留水で数回洗った。赤色残留物を120℃の乾燥キャビネットで乾燥し、トルエン/メタノール混合物で抽出することにより再結晶し、赤色固体蛍光を示す赤色のN−(4−t−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド0.80g(81%)を得た。m.p.>330℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.35。
C32H23NO2 (453.5)として
計算値 C84.74 H5.11 N3.09
実測値 C84.58 H5.05 N3.16
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物0.30g(0.93mmol)を、シクロペンチルアミン0.24g(2.80mmol)及びイミダゾール3gと混合し、混合物を窒素下に145℃で4時間加熱した。反応生成物をエタノール洗浄によりフラスコから取り出し、混合物を10%塩酸で処理し、エタノールが存在しなくなるまで煮沸した。沈殿した生成物を吸引濾過し、炭酸カリウム溶液中で煮沸し、固体残留物を吸引濾過し、熱蒸留水で洗った。濾液を濃塩酸で酸性にして、ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物60mg(20%)を回収できた。赤色残留物を3回メタノール抽出により再結晶し、ついで120℃の乾燥キャビネットで乾燥した。収量0.22g(61%)、強い固体蛍光を示す暗赤色小針状晶。m.p.>315℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.18。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=506(31013),485(31425),355(3050),336(3000),319(2680),264(34268),256(sh.,18100)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel)=541(1),572(sh.,0.49)。
C27H19NO2 (389.5)として
計算値 C83.27 H4.92 N3.60
実測値 C82.45 H4.69 N3.45
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物0.30g(0.93mmol)を、シクロヘキシルアミン0.28g(2.8mmol)及びイミダゾール3gと混合し、混合物を窒素下に140℃で3時間加熱した。反応生成物をエタノール洗浄によりフラスコから取り出し、10%塩酸200mlで処理し、エタノールが存在しなくなるまで煮沸した。残留物を吸引濾過し、炭酸カリウム溶液中で煮沸し、再び吸引濾過した。濾液が殆んど着色しなくなるまで、残留物を熱水で洗い、120℃の乾燥キャビネットで乾燥した。得られた橙色の光沢のある粉末を、2回メタノール抽出により再結晶した。収量0.30g(80%)、強い赤色固体蛍光をもつ橙色小結晶。m.p.370〜372℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.41。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=505(29970),483(30309),354(3160),336(3160),294(3300),264(29090)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )=539(1),567(0.51)。
C28H21NO2 (403.5)として
計算値 C83.35 H5.25 N3.47
実測値 C83.28 H5.38 N3.60
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物0.30g(0.93mmol)を、シクロヘプチルアミン0.32g(2.83mmol)及びイミダゾール3gと混合し、混合物をアルゴン下に150℃で4時間加熱した。反応生成物をエタノール洗浄によりフラスコから取り出し、10%塩酸200mlで処理し、吸引濾過した。残留物を炭酸カリウム溶液中で煮沸、吸引濾過し、濾液流出物が無色となるまで熱蒸留水で洗った。得られた生成物を120℃の乾燥キャビネットで乾燥し、メタノール抽出により再結晶した。収量0.24g(62%)、赤色固体蛍光を示す橙色結晶。m.p.354〜355℃,Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.79。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=505(30370),483(30967),353(3170),336(3170),295(3460),264(29047)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )=529(1),568(0.48)。
C29H23NO2 (417.5)として
計算値 C83.43 H5.55 N3.35
実測値 C82.55 H5.62 N3.55
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物0.20g(0.93mmol)を、2,5−ジ−t−ブチル−4−ニトロアニリン0.47g(1.9mmol)、酢酸亜鉛二水和物0.20g及びイミダゾール4gと混合し、混合物をアルゴン下に170℃で22時間加熱した。生成物をエタノール洗浄によりフラスコから取り出し、2N塩酸で処理し、全エタノールが蒸発するまで煮沸した。固体生成物を吸収濾過し、水で2回洗い、10%炭酸カリウム溶液中で煮沸した。反応生成物を熱いうちに吸引濾過し、濾液流出物が最早黄色でなくなるまで熱水で数回洗った。残留物は120℃の乾燥キャビネットで乾燥し、トルエンを使用してシリカゲルでクロマトグラフした。こうして得た溶液を、付着シリカゲルを除くためD5半融るつぼに通して濾過した。赤色固体蛍光を示す赤色粉末の収量0.09g(26%)、m.p.>360℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.31,UV(CHCl3 ):λmax (ε)=514(24450),489(25850),356(3100),265(33790)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )=543(1),576(0.45)。
C36H30N2 O4 (554.7)として
計算値 C77.96 H5.45 N5.05
実測値 C77.78 H6.14 N4.85
N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−9,10−ジカルボキシイミド−3,4−ジカルボン酸無水物300mg(0.6mmol)と12%KOH6mlとを、オートクレーブ中で205℃で22時間加熱した(Bull.Chem.Soc.Jpn.,1981,54,1575の操作に従い)。冷却後、反応生成物を吸引濾過し、水で2回洗った。残留物(20mg)から、クロロホルムを使用したシリカゲルクロマトグラフィーにより、少量のペリレンと共に、ジカルボキシイミド2c10mg(4%)を得た。
実施例15:N−(1−ヘキシル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド
a) ジメチルホルムアミド中でのペリレン−3,4−ジカルボキシイミドの臭化ヘキシルと炭酸カリウムとの反応:
無水ジメチルホルムアミド(20ml)中のペリレン−3,4−ジカルボキシイミド0.30g(0.93mmol)、無水炭酸カリウム0.52g(4mmol)及び臭化ヘキシル0.31g(1.86mmol)の懸濁液をつくり、混合物を室温で一夜かきまぜた。処理のため、水300mlを加え、赤色沈殿を吸引濾過し、水洗した。IRスペクトルにより、こうして得られたごく少量部分が予想のN−(1−ヘキシル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドであり、大部分は未反応原料であった。
b) ジメチルスルホキシド中でのペリレン−3,4−ジカルボキシイミドの臭化ヘキシルとKOHとの反応:
乾燥ジメチルスルホキシド20ml中のペリレン−3,4−ジカルボキシイミド0.16g(0.50mmol)、水酸化カリウムペレット0.28g(4.25mmol)の懸濁液をつくり、この混合物に1−ブロモヘキサン0.33g(2.00mmol)を滴下した。混合物を室温で66時間かきまぜ、その間色が暗赤色から赤褐色に変化するのが観察された。反応完結後、蒸留水150mlを加え、析出した赤褐色生成物を吸引濾過し、飽和塩化ナトリウム溶液および蒸留水で洗った。残留物を120℃の乾燥キャビネットで乾燥した。生成物は主にN−(1−ヘキシル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドとペリレン−3,4−ジカルボキシイミドの混合物であることを、IRスペクトルは示した。クロロホルムを使用してシリカゲル上でクロマトグラフィー濾過により両生成物を分離でき、ついでN−(1−ヘキシル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドを再びクロロホルムを使用してシリカゲルクロマトグラフした。得られた第1画分は、黄色生成物20mgであり、薄層クロマトグラフィーにより示されるように均一なものではなかった。NMRスペクトルは、生成物がヘキシル基を含んでいることを示し、生成物は多分種々のペリレンカルボキシイミドおよびカルボン酸エステルであることを示している。Rf 値の差が小いさ過ぎたので、更に精製を行わなかった。得られた第2画分は、赤色粉末形のN−(1−ヘキシル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド60mg(30%)であった。m.p.>350℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.61。
ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド0.40g(1.25mmol)及びKOH粉末0.45g(8mmol)をDMSO30mlに懸濁し、1−ブロモテトラデカン1.38gを加え、混合物を室温で90時間かきまぜた。析出させるため、蒸留水300mlを加え、析出生成物を吸引濾過し、蒸留水および希塩化ナトリウム溶液で洗った。各々クロロホルムを使用しシリカゲル上で、クロマトグラフ濾過、ついでカラムクロマトグラフィーにかけ、黄色画分と赤色画分を得た。3:2キシレン/石油エーテルを使用し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーにより、黄色画分は類似のRf 値をもつ3生成物を含むので、さらに精製を行わなかった。収量30mg。色比較により、赤色画分はN−(1−テトラデシル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドであることを示した。強い固体蛍光を示す赤色粉末の収量30mg(5%)。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.81。
ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド0.40g(1.25mmol)を無水メタノール25mlに懸濁し、ナトリウムメトキシド0.17g(1.87mmol)を加え、混合物を室温で0.5時間かきまぜた。ついで溶剤をロータリーエバポレーターで除去し、残留物に無水N−メチルピロリドン20ml、1−ブロモオクタン0.54g(2.81mmol)を加え、混合物を室温で23時間かきまぜた。N−メチルピロリドンをロータリーエバポレーターで減圧で除去し、赤色残留物をクロロホルムを使用して長さ20cmのシリカゲルカラムを数回フラッシュした。未反応ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドは出発点に抑止され、さらに黄色画分と赤色画分が得られた。NMRスペクトルにより、赤色画分はN−(1−オクチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドであり、ついでメタノール抽出により再結晶した。赤色固体蛍光を示す赤色小結晶の収率60%。
ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド0.40g(1.25mmol)を無水メタノール25mlに懸濁し、ナトリウムメトキシド0.13g(1.43mmol)を加え、混合物を室温で0.5時間かきまぜた。ついで溶剤をロータリーエバポレーターで除去し、残留物に無水N−メチルピロリドン20ml及び7−トリデシルブロミド0.74g(2.80mmol)を加え、混合物を室温で23時間かきまぜた。N−メチルピロリドンをロータリーエバポレーターで減圧で除去し、赤色残留物をクロロホルムを使用して長さ20cmのシリカゲルカラムを数回フラッシュした。未反応ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドは出発点に抑止され、さらに黄色画分と赤色画分が得られた。試料の比較から、赤色画分は所期のN−(7−トリデシル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドであることを示し、収量は15mg(2.4%)であった。一方黄色画分に3生成物からなることを薄層クロマトグラム(3:2キシレン/石油エーテル)は示し、Rf値のわずかな差のため、さらに精製をしなかった。
N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(2b)510mg(1.0mmol)及び85%KOH1.4g(18mmol)をtert−ブチルアルコール47mlに懸濁し、懸濁液をかきまぜて2時間煮沸した。これにより淡橙色溶液を生じ、その色は徐々に黄色に変った。同時に、3−カルボキシペリレン−4−N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)カルボキサミドカリウム塩(8)の純黄色沈殿が生成し、これは水に著しく可溶で、強い黄緑色蛍光を溶液中で示した。粗反応溶液の加熱懸濁液に、50%酢酸100mlを滴下し、赤橙色懸濁液を得、これを室温でさらに2時間かきまぜ、吸引濾過した。こうして得た赤褐色固体を120℃の乾燥キャビネットで乾燥し、ついで10%炭酸カリウム200ml中で煮沸し、洗液流出物が無色となるまで温水で数回洗った。濾過残留物は本質的にN−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(2a)(収率27%)からなっていた。冷却すると、水相からペリレン−3,4−ジカルボン酸カリウム塩が結晶化した。m.p.>250℃。UV(H2 O):λmax (ε):450(28110),424(23490),402(sh,11870)。蛍光(H2 O,非常に強い)λmax (Irel ):465(1),491(0.98)。
C22H11O4 Kx0.3K2 CO3 H2 O(437.9)として
計算値 C61.16 H2.99
実測値 C60.87 H2.97.
実施例19により得られた熱水相を集めて、氷酢酸で酸性にした。沈殿をアグロメレートとするために、短時間煮沸し、ついで吸引濾過した。収量220mg(67%)。m.p.>260℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.16。UV(CHCl3 ):λmax (ε):472(sh);487(32900);508(29910)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )A=544(1),578(0.46)。
C22H10O3 (322.3)として
計算値 C81.98 H3.12
実測値 C81.69 H3.24
実施例21:3−カルボメトキシ−N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−N−メチルペリレン−4−カルボキサミド(9)
N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(2b)530mg(1.04mmol)を反応して、3−カルボキシ−N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレンカルボキサミドカリウム塩(8)を得、これをN−メチルピロリドン10mlに溶かした。反応溶液を30℃に加温し、N−メチルピロリドン5ml中のヨウ化メチル1.00ml(3.2mmol)の混合物を除々に滴下した。48時間後、溶剤を減圧で留去し、残留物をクロロホルムに溶かし、生成混合物を濾過し、クロロホルムを使用してシリカゲルクロマトグラフした。得られた第1画分はN−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(2a)(30mg,6%)であった。エステルは第2画分として得られた。収量260mg(45%)、m.p.297〜298℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.36。UV(CHCl3 ):λmax (ε):459(27940),430(23980),409(sh,10500),259(30240)。蛍光(CHCl3 )λmax :482,501(sh)。
C38H37NO3 (555.718)として
計算値 C82.13 H6.71 N2.52
実測値 C81.85 H6.90 N2.59
N−(4−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド0.30g(0.66mmol)をKOHペレット0.94gと混合し、tert−ブタノール32mlを加え、混合物を2時間煮沸し、その間色が橙赤色から橙色へと変るのが観察された。冷却後、橙色沈殿を吸引濾過し、N−メチルピロリドン20mlに溶かし、得られた溶剤をヨウ化メチル1mlと共に2.25時間かきまぜた。溶剤を留去し、暗黄色残留物を、クロロホルムを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーついで石油エーテルからクロマトグラフィー再結晶により精製した。淡赤色固体蛍光を示す黄色小結晶の収量0.14g(42%)、m.p.272℃。Rf (酢酸エチル/シリカゲル)=0.74。
C34H29NO3 (499.6)として
計算値 C81.74 H5.85 N2.80
実測値 C81.93 H5.82 N2.88
実施例23:ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物とネオペンタンジアミンとの反応−3,3−ジメチルピリミド〔2,1−a〕ベンズ〔6,10〕アントラ〔2,1,9−def〕イソキノリン−6−(2H,3H,4H)オンの製造
Bull.Chem.Soc.Jpn.,1981,54,1575の方法に従い、ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物380mg(1.20mmol)をネオペンタンジアミン600mg(5.88mmol)と混合し、蒸留水15mlを加え、混合物を室温で1時間かきまぜ、ついで3時間還流し、赤色懸濁液が、徐々に生成した。これに5%KOH50mlを加え、混合物を沸とうまで加熱し、反応生成物を吸引濾過し、水で2回ついでエタノールで洗った。橙色残留物を120℃の乾燥キャビネットで乾燥し、メタノール抽出により再結晶した。赤色固体蛍光を示す橙色粉末の収量320mg(70%)。m.p.273〜274℃。UV(CHCl3 )λmax (ε)=259nm(22400),266(30900),339(3160),353(2770),484(28100),506(30000)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )=541nm(1),573(0.80)。
C27H20N2 O(388.5)として
計算値 C83.48 H5.19 N7.21
実測値 C82.39 H5.21 N7.39
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物400mg(1.24mmol)、酢酸亜鉛二水和物0.17g及びo−フェニレンジアミン590mg(5.46mmol)をキノリン10mlに懸濁し、混合物をアルゴン下に210℃で5.5時間加熱した。反応の終りに、エタノール30mlを加え、混合物を沸点まで加熱し、反応生成物を濾別した。暗赤色生成物を塩酸で酸性にし、吸引濾過し、水洗し、120℃の乾燥キャビネットで乾燥した。生成物を3回トルエン抽出により再結晶した。褐紫色粉末の収量480mg。m.p.>370℃。UV(CHCl3 ):λmax (εrel )=549nm(0.55),522(0.71),492(sh,0.49),354(0.17),342(0.16),286(0.75),270(1),262(0.96),255(0.95)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )=588nm。
C28H14N2 O(394.4)として
計算値 C85.26 H3.58 N7.10
実測値 C85.43 H3.61 N7.12
Bull.Chem.Soc.Jpn.,1981,54,1575の方法を使用して、ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物0.30g(0.93mmol)を、2−アミノ−4−tert−ブチルアニリン二塩酸塩0.26g(1.1mmol)、イミダゾール5.00g及び酢酸亜鉛二水和物0.13gと混合し、混合物をまず140℃で4時間、ついで185℃でさらに2時間加熱した。反応混合物をエタノール洗浄によりフラスコから取り出し、10%塩酸200mlで処理し、全エタノールが蒸発するまで加熱した。紫色沈殿を吸引濾過し、蒸留水で洗い、120℃の乾燥キャビネットで乾燥した。生成物を2回メタノール抽出により再結晶した。広げると紫色となる褐色粉末の収率55%、 1H NMRは、2種の可能な異性体の混合物が得られたことを示したが、異性体は分離しなかった。m.p.>370℃。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=552nm(sh,24480),525(31592),498(sh,23800),355(7600),344(7600),327(5000),289(23587),273(30308),265(sh,27889)。蛍光(CHCl3):λmax (Irel )=546nm(sh,0.13),593(1)。
C32H22N2 O(450.5)として
計算値 C85.31 H4.92 N6.22
実測値 C84.16 H4.88 N6.13
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物0.25g(0.78mmol)を、2,3−ジアミノナフタレン0.25g(1.56mmol)及び酢酸亜鉛二水和物0.10gとキノリン10ml中で混合し、混合物をアルゴン下に200℃で2.5時間加熱した。キノリンを減圧で留去し、残留物をエタノール洗浄によりとり出し、2N塩酸で処理した。エタノールを蒸発し去り、暗色沈殿を吸引濾過し、塩酸および水で数回洗った。残留物を2N炭酸カリウム溶液中で煮沸し、濾別し、水洗し、120℃の乾燥キャビネットで乾燥した。得られた紫色の著しく難溶の結晶性粉末を4回トルエン抽出により再結晶し、120℃の乾燥キャビネットで乾燥した。収量0.28g(81%)。m.p.>360℃。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=570nm(0.128),533(0.198),514(0.201),484(0.16),381(0.083),359(0.089),324(0.106),312(0.117),264(0.401)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )=541nm(1),585(0.57)。
C32H16N2 O(444.6)として
計算値 C86.47 H3.63 N6.30
実測値 C82.65 H3.69 N6.28
実施例26:ペリレン−3,4−ジカルボン酸ジメチル
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物0.20g(0.62mmol)及びナトリウムメトキシド0.05g(0.93mmol)を、無水メタノール8mlに懸濁し、懸濁液を室温で0.5時間かきまぜ、その間色が褐色から黄色に変化した。溶剤をロータリーエバポレーターで除去し、残留物にN−メチルピロリドン10ml及びヨウ化メチル0.09ml(1.4mmol)を加え、混合物を室温で48時間かきまぜた。橙黄色溶液に水50mlを加え、析出した生成物を吸引濾過し、120℃の乾燥キャビネットで乾燥した。薄層クロマトグラム(CHCl3 /シリカゲル)により、得られた黄色生成物は殆んどきれいであった。迅速に移動する生成物から、クロロホルムを使用したシリカゲルクロマトグラフ濾過により分離し、ついで酢酸エチルでシリカゲルを洗い流した。収量0.18g(79%)。m.p.256〜257℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.07。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=460nm(25920),438(23925),340(1920),329(1910),260(31217)。蛍光(CHCl3 ,exc.489nm)λmax (Irel )=483nm(1),507(0.81)。MS(70eV):m/z(%)=370(3.65),369(23.59),368(M+ ,100),338(10
.68),337(M+ −CH3 O,46.20),323(8.69),322(M+ −CH3 O−CH3 ,36.35),294(11.65),278(11.79),250(23.13),238(9.73),237(7.77),168(9.21),125(13.73)。
ペリレン−3,4−ジカルボン酸無水物0.18g(0.56mmol)を乾燥n−プロパノール10mlに懸濁し、カリウムtert−ブトキシド0.15g(1.43mmol)を加え、懸濁液を、湿気を排除しながら室温で0.5時間かきまぜた。反応中、色が褐色から黄色に変るのが観察され、その間沈殿が溶解した。溶剤を留去し、まずN−メチルピロリドン10ml、ついで1−ブロモプロパン0.20ml(2.4mmol)を加え、黄色溶液を室温で17時間かきまぜた。溶剤を減圧で留去し、黄色残留物をクロロホルムを使用してシリカゲルクロマトグラフした。収量0.16g(68%)。m.p.253℃。Rf (CHCl3 /シリカゲル)=0.48。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=460nm(27944),437(23875),340(1900),327(2050),260(32991)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )=482nm(1),509(0.69)。固体蛍光:λmax =595nm。
C28H24O4 (424.5)として
計算値 C79.23 H5.70
実測値 C79.32 H5.98
実施例27:N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドの無水酢酸/硝酸によるニトロ化
N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド120mg(0.24mmol)を無水酢酸1mlに懸濁し(Acta.Chim.Scand.,1983,B37,65の方法に従い)、無水酢酸0.15ml中の濃硝酸0.057mlの混合物を0℃で加えた。2時間後、混合物を徐々に室温に加温し、さらに72時間かきまぜを続けた。暗赤色生成物を減圧で蒸発し、残留物をクロロホルムを使用してシリカゲルクロマトグラフした。 1H NMR(CDCl3 )により、得られた第1画分はN−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド60%とN−(1−ヘキシルヘプチル)−2−ニトロペリレン−3,4−ジカルボキシイミド40%の混合物であったが、これらの化合物はクロマトグラフィーにより分離できなかった(Rf 値0.85;クロロホルム/シリカゲル)。 1H NMR(CDCl3 )により、溶出した第2画分はN−(1−ヘキシルヘプチル)−9−ニトロペリレン−3,4−ジカルボキシイミドであった。
N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド500mg(1.00mmol)をジクロロメタン100mlに溶かし、ジクロロメタン中の二酸化窒素溶液2.9ml(1リットル当りNO2 15.7g,1.00mmol)を完全な暗所で添加した(日光を排除)。混合物を光不在下に室温に17.75時間放置し、ジクロロメタンをロータリーエバポレーターで留去した。薄層クロマトグラムは(クロロホルム/シリカゲル)、得られた残留物がRf 値0.89および0.73をもつ2化合物から主としてなることを示した。高いRf 値をもつ物質は未反応原料で、その210mg(42%)をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/シリカゲル)で回収できた。第2クロマトグラフィー画分を、メタノールから抽出再結晶により精製した。ぶどう酒色針状晶の収量300mg(55%)(構造は 1H NMR、COSY及びNOESYスペクトルで証明された)。m.p.184〜185℃。Rf (クロロホルム/シリカゲル)=0.73。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=510nm(34344),483nm(30844),357nm(broad,4470)。蛍光(CHCl3 ):λmax =549nm。
C35H36N2 O4 (548.7)として
計算値 C76.62 H6.61 N5.11
実測値 C76.60 H6.58 N5.41
N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド250mg(0.49mmol)を、露光下にジクロロメタン17mlに溶かし(Acta.Chim.Scand.,1983,B37,65の方法に従い)、NO2 15.7g/リットルを含むジクロロメタン溶液1.5ml(0.5mmol)を加えた。室温で17時間の反応後、溶剤をロータリーエバポレーターで留去した。薄層クロマトグラム(クロロホルム/シリカゲル)は、得られた残留物が主としてRf 値0.27、0.38及び0.49をもつ3染料からなることを示し、Rf 値0.38をもつ化合物は標品との比較により原料であった。粗生成物をクロロホルムを使用してシリカゲルクロマトグラフィーし、N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド80mg(32%)を回収した。Rf 値0.49をもつ化合物は、クロロホルムを使用してシリカゲルで数回クロマトグラフし、ついでメタノール抽出により再結晶し純粋形で得ることができ、そして 1H、COSY、NOESY NMRスペクトルにより1−ニトロ−N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドと同定できた。収量20mg(7%)。m.p.331〜335℃(dec.)。Rf (クロロホルム/シリカゲル)=0.49。UV(CHCl3 ):λmax (ε):514(25290),409(幅広,4350),356(幅広,6250)。
C36H30N2 O4 (554.6)として
計算値 C77.96 H5.45 N5.05
実測値 C77.17 H5.64 N4.84
N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド430mg(0.85mmol)をジクロロメタン25mlに溶かし(Acta.Chim.Scand.,1983,B37,65の方法に従い)、この赤色溶液にメタンスルホン酸10μlを加えた。ジクロロメタン1リットル中に四酸化二窒素15.7gを含む溶液5ml(0.85mmol)を滴下すると、直ちに色はぶどう酒色に変った。溶液を一夜放置し、ジクロロメタンをロータリーエバポレーターで留去した。ぶどう酒色残留物の薄層クロマトグラム(クロロホルム/シリカゲル)は4種の主生成物と少量の副生物の生成を示した。残留物をクロロホルムを使いシリカゲルクロマトグラフィーし、全ての4主生成物を純粋形で得ることができた。次の画分を順次得た。
C35H35N3 O6 (593.7)として
計算値 C70.81 H5.94 N7.08
実測値 C70.88 H5.94 N6.61
第2画分:汚染された9−ニトロ−N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド。
第3画分:ぶどう酒色物質0.22gは 1H NMRスペクトルにより、9−ニトロ−N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド81%と2,5−ジニトロ−N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド19%からなっていた。しかし、クロロホルムまたはトルエンを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィー、またはアセトニトリルまたは他の溶剤からの分別結晶化によって、この2化合物を純粋形で得ることはできなかった。
C35H35N3 O6 (593.7)として
計算値 C70.81 H5.94 N7.08
実測値 C70.65 H5.78 N7.38
N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド0.75g(1.47mmol)を無水ジクロロメタン30mlに溶かし(Acta.Chim.Scand.,1983,B37,65の方法に従い)、NO2 19.5g/リットルを含むジクロロメタン溶液6.94ml(1.48mmol)を光不在下に加えた。赤色溶液を室温で一夜放置し、ついでロータリーエバポレーターで蒸発した。クロロホルムを使用してシリカゲル薄層クロマトグラムは、Rf 値0.43、0.32及び0.18をもつ3化合物の存在を示した。試料との比較により、Rf 値0.32をもつ化合物は原料であった。Rf値0.43をもつ化合物は、クロロホルムを使用してシリカゲル(0.04 〜0.063mm)でくり返しフラッシュクロマトグラフし、ついでメタノールから抽出再結晶により純粋形で得られ、そして 1H、COSY及びNOESY NMRスペクトルにより1−ニトロ−N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドと同定できた。ぶどう酒色粉末の収量0.08g(10%)、m.p.>335℃。Rf (クロロホルム/シリカゲル)=0.43。UV(CHCl3 ):λmax (ε):511(27690),409(幅広,5105),357(幅広,7170),267(26710)。
C36H30N2 O4 (554.6)として
計算値 C77.96 H5.45 N5.05
実測値 C77.95 H5.33 N4.87
C36H30N2 O4 (554.6)として
計算値 C77.96 H5.45 N5.05
実測値 C77.31 H5.36 N5.16
さらに、N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド0.27g(36%)を回収できた。
9−ニトロ−N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(10)100mg(0.18mmol)を氷酢酸15mlに懸濁し、鉄粉80mg(0.72mmol)を加え、この赤色懸濁液を4.5時間還流した。その間、赤色から赤褐色、紫、ついで暗紫色に徐々に色が変化するのが観察できた。冷した紫色溶液に水を加え、反応混合物を10%KOHで中和した。帯赤紫色となった懸濁液をクロロホルムで3回抽出し、集めた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ついでロータリーエバポレーターで蒸発した。薄層クロマトグラム(クロロホルム/シリカゲル)により、得られた紫色生成物はRf 値0.02と0.43をもつ2主生成物からなっていた。この生成物を、シリカゲルを通過した溶液が最早紫色でなくなるまで、クロロホルムを使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより濾過した。赤色シリカゲルをクロロホルムで抽出し、ロータリーエバポレーターで蒸発後、赤色粉末50mgをメタノール抽出により再結晶した。9−アセトアミド−N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドの収量30mg(30%)。m.p.>230℃;172〜175℃から褐色に変化。Rf (CHCl3 /氷酢酸20:1;シリカゲル)=0.90。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=506nm(31589,幅広
),356(2995)。蛍光(CHCl3 ):λmax =574nm(broad)。
C37H40N2 O3 (560.7)として
計算値 C79.25 H7.19
実測値 C77.66 H7.27
9−ニトロ−N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド100mg(0.18mmol)及び鉄粉70mgを、エタノール30mlに懸濁し、濃塩酸2mlを徐々に加えた。混合物を1時間還流し、その間色が黄褐色に変るのが観察された。混合物をKOHで中和し、暗色残留物を吸引濾過し、120℃の乾燥キャビネットで乾燥した。薄層クロマトグラム(クロロホルム/シリカゲル)は、Rf 値0.21と0.32をもつ2物質が生成したことを示した。これをクロロホルムを使用してシリカゲルクロマトグラフし、第1画分として青色粉末10mgを得た。NMRおよび質量スペクトルにより、これは多分著しく高い質量数をもつ2種のアゾ化合物からなっている。第2画分は9−アミノ−N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドで、青色粉末として収量80mg(85%)。m.p.211℃。Rf (クロロホルム/シリカゲル)=0.20。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=554nm(27940),375(4903),356(5412),277(29123),262(23798)。蛍光(CHCl3 ):λmax =642nm(弱い)。
9−アミノ−N′−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−カルボキシイミド190mg(0.37mmol)をギ酸2gと混合し、37%ホルムアルデヒド水溶液40mgを加えた。懸濁液を75〜80℃で18時間加熱し、その間色が赤色から青へ変るのが観察された。50%KOH20mlを加えて、紫色生成物を析出した。1時間かくはんを続け、生成物を吸引濾過し、水洗し、乾燥キャビネットで乾燥した。クロロホルムを使用してシリカゲルで生成物をくり返しクロマトグラフし、Rf 値0.92および0.51をもつ2物質を単離できた。高い方のRf 値をもつ物質は、 1H NMRにより9−N,N−ジメチルアミノ−N′−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(70mg,39%)と同定できた。一方小さい方のRf 値をもつ物質は薄層クロマトグラムおよび 1H NMRスペクトルの比較により原料(40mg,48%)と同定された。収量70mg(39%)、m.p.168〜169℃。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=542(26400),506(sh,21000),382(3000),357(3200),269(25800),262(25700)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )=662。
C37H42N2 O2 (546.8)として
計算値 C81.28 H7.74 N5.12
実測値 C80.96 H7.67 N5.04。
実施例35:9−ブロモ−N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(18c)
N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(2c)410mg(1.0mmol)をクロロベンゼン70mlに溶かし(Dyes and Pigmexts,1991,16,19の方法に従って)、この溶液を40℃に加熱し、クロロベンゼン10ml中の臭素100μl(4mmol)の溶液を上記橙色溶液に迅速に加えると、直ちに色はぶどう酒色に変った。溶液を40〜50℃で2.5時間かきまぜ、クロロベンゼンをロータリーエバポレーターで留去した。薄層クロマトグラム(トルエン/シリカゲル)は、4生成物の存在を示した。Rf 値0.77をもつ生成物が主生成物であった。残留物をトルエンを使用して8回シリカゲルクロマトグラフし、N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド30mg(7%)を得た。前画分として単離された純黄色生成物は、質量スペクトルによりポリ(ジ乃至ペンタ)臭素化N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドからなっていた。これらの化合物はクロマトグラフィーにより分離できなかった。主画分をペンタン抽出により再結晶した。強い固体蛍光を示す橙色粉末の収量310mg(65%)。m.p.186〜187℃。Rf (クロロホルム/シリカゲル)=0.77。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=508(35675),484(33985)。蛍光(CHCl3 )λmax (Irel )=540(1),568(sh,0.49)。
臭素原子の位置は、 1H、NOESY及びCOSY NMRスペクトルの組合せによって、明らかにできた。
C35H36NO2 Br(582.6)として
計算値 C72.16 H6.23 N2.40 Br13.72
実測値 C72.13 H6.31 N2.63 Br12.88
N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド(2b)650mg(1.28mmol)をクロロベンゼン100mlに溶かし、この赤色溶液を無水炭酸カリウム650mgと混合し、ついでクロロベンゼン10ml中の臭素0.30mlを滴下した。反応混合物を40〜50℃で2時間かきまぜ、ついで温度を50〜60℃に上げ、さらに5時間保った。ついでクロロベンゼンをロータリーエバポレーターで留去し、その間実質量の臭素も除去された。薄層クロマトグラム(トルエン/シリカゲル)は、得られた残量物中に最早除去困難な原料が存在しないことを示した。クロロホルムを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる数回の分離で、橙色粉末610mgが得られ、これを酢酸エチル抽出により再結晶した。わずかな固体蛍光をもつ橙色小針状晶の収量570mg(77%)。m.p.>320℃。Rf (CHCl3/シリカゲル)=0.43。UV(CHCl3 ):λmax (ε)=511n m(36058),486(35564),357(3430)。蛍光(CHCl3 ):λmax (Irel )=542nm(1),572。
臭素置換基の位置は、9−ブロモ−N−(1−ヘキシルヘプチル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドのスペクトル及び 1Hスペクトルの比較により決定できた。比較物質の置換パターンはCOSY及びNOESYスペクトルの組合せにより決定した。
C36H30NO2 Br(588.6)として
計算値 C73.47 H5.14 N2.38 Br13.58
実測値 C73.54 H5.32 N2.40 Br13.19
〔前画分から、薄層クロマトグラム(クロロホルム/シリカゲル)及びクロロホルムを使用するくり返しシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、純粋形で少量の別の赤色物質を得ることができた。質量スペクトルは3臭素原子の典型的アイソトープパターンをもつ分子量667を示した。しかし、この物質のUV/可視吸収および蛍光スペクトルは9−ブロモ−N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミドと全く似ており、ともかく、発色団が保持されていることを示した〕。
上記化合物は、極性の増加(たとえばET30スケールに従い)に従って配列した選ばれた溶媒中で著しい溶媒和発色を示し、UVだけでなく蛍光の吸収極大は溶媒の極性の増加と共に深色シフトする。これは、たとえばエタノールと比較したトルエン中の相当する値から見ることができる。
トルエン:UVλmax =550nm;蛍光λmax =631nm
エタノール:UVλmax =608nm;蛍光λmax =713nm
実施例1および7に従って製造した表題の化合物を、夫々0.03%濃度で、ポリ(エチレンテレフタレート)(Melinar(商標)890、ICI)の着色に使用した。鮮明な橙色着色は300℃で5分間耐熱性であり、DIN53775(24時間,80℃)に従いPVC中で移動を全く示さず,ISO 105−A02に従い優れた光安定性を有していた(500時間後グレースケールで5級)。
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