JP2003252844A - 1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルの製造方法 - Google Patents
1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルの製造方法Info
- Publication number
- JP2003252844A JP2003252844A JP2002055337A JP2002055337A JP2003252844A JP 2003252844 A JP2003252844 A JP 2003252844A JP 2002055337 A JP2002055337 A JP 2002055337A JP 2002055337 A JP2002055337 A JP 2002055337A JP 2003252844 A JP2003252844 A JP 2003252844A
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- JP
- Japan
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- benzenetetracarbonitrile
- reaction
- pyromellitic acid
- producing
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、危険な試薬を用いることな
く、操作も容易で短時間で高純度の1,2,4,5−ベ
ンゼンテトラカルボニトリルを得る合成方法を与えるこ
とである。 【解決手段】ピロメリット酸とホルムアミドとを反応さ
せた後、該反応物をアンモニアと反応させ、1,2,
4,5−ベンゼンテトラアミドとした後、脱水反応する
ことを特徴とする1,2,4,5−ベンゼンテトラカル
ボニトリルの製造方法。
く、操作も容易で短時間で高純度の1,2,4,5−ベ
ンゼンテトラカルボニトリルを得る合成方法を与えるこ
とである。 【解決手段】ピロメリット酸とホルムアミドとを反応さ
せた後、該反応物をアンモニアと反応させ、1,2,
4,5−ベンゼンテトラアミドとした後、脱水反応する
ことを特徴とする1,2,4,5−ベンゼンテトラカル
ボニトリルの製造方法。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】1,2,4,5−ベンゼンテ
トラカルボニトリルは、染料や顔料の合成中間体として
重要であり、シアノ基を有するフタロシアニン顔料の重
要な中間体でもある。 【0002】 【従来の技術】フタロシアニン顔料は、着色用顔料とし
て、広く使われているほか、特有の分子構造に起因して
無機化合物に近い電子状態を有しているので、様々な電
子部品材料用としても、注目を浴びている。 【0003】フタロシアニンの電子状態は、フタロシア
ニンのベンゼン核に直接作用する電子供与基あるいは電
子吸引基の存在により大きく影響を受けるので、置換基
を有するフタロシアニン顔料は、電子部品特性の向上に
寄与することができる。また、置換基を有するフタロシ
アニン顔料は、その置換基を足がかりにして、さらに、
他の官能基への変換、他の化合物との反応が期待できる
ため、フタロシアニンの原料である置換基を有するフタ
ロニトリルの安定した供給は、非常に重要なことであ
る。置換基のうち、特にシアノ基は扱いやすいため、重
要であるため、例えば、シアノ基を有するフタロニトリ
ル、すなわち、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボ
ニトリルに対する関心も非常に高いものである。 【0004】当該1,2,4,5−ベンゼンテトラカル
ボニトリルの合成例としては、特開昭54−13853
9号公報では、1,2,4,5−テトラクロルベンゼン
と、シアン化ナトリウムとの反応によって得られること
が記載されている。 【0005】また、特開平4−77482号公報では、
1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸と尿素と反
応させ、1,2,4,5−テトラカルバモイルベンゼン
とし、次いで、当該反応物とジメチルホルミアミドを反
応させ、さらに、塩化チオニルを反応させて、1,2,
4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルを合成してい
る。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】シアン化ナトリウム
は、毒物のため、その取扱いに難点がある。また、尿素
を用いた反応は、高温を必要など、操作上困難な合成方
法であったり、また単離精製が複雑であったりした。 【0007】そこで、より簡便な合成方法が望まれてい
た。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意、検
討の結果、ピロメリット酸とホルムアミドとを反応させ
た後、該反応物をアンモニアと反応させ、1,2,4,
5−ベンゼンテトラアミドとした後、脱水反応すること
により、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリ
ルを容易に単離できることを見いだし、本発明に至っ
た。 【0009】 【発明の実施の形態】まず、ピロメリト酸とホルムアミ
ドとの反応について述べる。 【0010】ピロメリト酸を、ピロメリット酸の1〜1
0倍重量、好ましくは4〜8倍重量のホルムアミド中に
添加後、撹拌しながら昇温し、100〜140℃、好ま
しくは、120〜130℃で0.5〜3時間、好ましく
は1〜2時間反応させる。 【0011】反応温度を140℃より高く、また、長時
間反応させると副生成物ができることがある。この後す
ぐに、好ましくは系内温度が100℃以上のうちに、添
加したピロメリット酸の20倍重量以上の氷水中に反応
液を徐々にあけて均一なスラリ−とする。反応終了後1
00℃以下に温度が下がると析出物が固化することがあ
る。 【0012】得られた白色の化合物(ピロメリット酸ジ
イミド)をろ過し、ろ液が中性になるまで大量の水で洗
浄し、湿粉末を得られる。 【0013】反応の際、溶解度を上げるためにホルムア
ミド以外の溶剤、例えば、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ジメチルスルホキシドなどを加えても良い。ただ
し、多量に使用すると収率が下がることがある。 【0014】白色粉末は、酢酸エチルなどで再結晶して
もよいが、クルードの状態のまま、アンモニア水中等で
アンモニアと反応させて、カルボイミドを開環させ、ピ
ロメリット酸テトラアミドが得られる。十分に乾燥を行
った白色粉末を脱水剤を用いて、脱水反応を行い、目的
の1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルとす
ることができる。本発明で使用できる脱水剤としては、
塩化チオニル/DMF、オキシ塩化リン/DMF等のヴ
ィールスマイヤー試薬の脱水剤の他に、トリフルオロ無
水酢酸、ポリリン酸などが挙げられる。 【0015】 【実施例】実施例1 ホルムアミド60gにピロメリット酸粉末20gを撹拌
しながら、ゆっくりと添加し、20分で120℃まで昇
温し、120〜130℃で2.5時間反応させた。11
0℃まで下がった反応液を氷水1.5lに注入し、析出
した沈澱をろ過し、ろ液が中性になるまで十分に水洗
し、乾燥してピロメリット酸ジイミドの白色の粉末を得
た。収率86%、融点300℃以上。 【0016】ついで、この白色粉末15gをアンモニア
水500mlに添加し、室温で10時間撹拌した後、ク
リーム状となったスラリーをろ過、ろ液が中性になるま
で水洗、乾燥し、ピロメリット酸テトラアミドの白色粉
末を得た。収率90%、融点300℃以上。 【0017】十分に脱水したDMF70mlに塩化チオ
ニル24mlを撹拌したながら5℃以下で滴下し、5℃
以下でさらに30分撹拌する。 【0018】次に、十分に乾燥したピロメリット酸テト
ラアミド10gを撹拌下、素早く添加し、発熱が治まっ
たところで、室温で30分撹拌、30分で緩やかに加温
し60℃として、さらに2時間撹拌を行った。冷却後、
得られた淡黄色の反応液を氷水700ml中に撹拌注入
すると白色の沈殿が析出した。1時間撹拌後、析出物を
ろ取、ろ液が中性になるまで水洗し、乾燥すると1,
2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルの白色粉末
が得られた。メタノール中で再結晶することにより、無
色針状結晶が得られた。収率87%。、融点268℃。
これは、赤外スペクトル、NMRスペクトルでも、公知
の材料と一致をみた。 【0019】 【発明の効果】本発明の合成方法によれば、危険な試薬
を用いることなく、操作も容易で短時間で高純度の1,
2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルを得ること
ができる。
トラカルボニトリルは、染料や顔料の合成中間体として
重要であり、シアノ基を有するフタロシアニン顔料の重
要な中間体でもある。 【0002】 【従来の技術】フタロシアニン顔料は、着色用顔料とし
て、広く使われているほか、特有の分子構造に起因して
無機化合物に近い電子状態を有しているので、様々な電
子部品材料用としても、注目を浴びている。 【0003】フタロシアニンの電子状態は、フタロシア
ニンのベンゼン核に直接作用する電子供与基あるいは電
子吸引基の存在により大きく影響を受けるので、置換基
を有するフタロシアニン顔料は、電子部品特性の向上に
寄与することができる。また、置換基を有するフタロシ
アニン顔料は、その置換基を足がかりにして、さらに、
他の官能基への変換、他の化合物との反応が期待できる
ため、フタロシアニンの原料である置換基を有するフタ
ロニトリルの安定した供給は、非常に重要なことであ
る。置換基のうち、特にシアノ基は扱いやすいため、重
要であるため、例えば、シアノ基を有するフタロニトリ
ル、すなわち、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボ
ニトリルに対する関心も非常に高いものである。 【0004】当該1,2,4,5−ベンゼンテトラカル
ボニトリルの合成例としては、特開昭54−13853
9号公報では、1,2,4,5−テトラクロルベンゼン
と、シアン化ナトリウムとの反応によって得られること
が記載されている。 【0005】また、特開平4−77482号公報では、
1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸と尿素と反
応させ、1,2,4,5−テトラカルバモイルベンゼン
とし、次いで、当該反応物とジメチルホルミアミドを反
応させ、さらに、塩化チオニルを反応させて、1,2,
4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルを合成してい
る。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】シアン化ナトリウム
は、毒物のため、その取扱いに難点がある。また、尿素
を用いた反応は、高温を必要など、操作上困難な合成方
法であったり、また単離精製が複雑であったりした。 【0007】そこで、より簡便な合成方法が望まれてい
た。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意、検
討の結果、ピロメリット酸とホルムアミドとを反応させ
た後、該反応物をアンモニアと反応させ、1,2,4,
5−ベンゼンテトラアミドとした後、脱水反応すること
により、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリ
ルを容易に単離できることを見いだし、本発明に至っ
た。 【0009】 【発明の実施の形態】まず、ピロメリト酸とホルムアミ
ドとの反応について述べる。 【0010】ピロメリト酸を、ピロメリット酸の1〜1
0倍重量、好ましくは4〜8倍重量のホルムアミド中に
添加後、撹拌しながら昇温し、100〜140℃、好ま
しくは、120〜130℃で0.5〜3時間、好ましく
は1〜2時間反応させる。 【0011】反応温度を140℃より高く、また、長時
間反応させると副生成物ができることがある。この後す
ぐに、好ましくは系内温度が100℃以上のうちに、添
加したピロメリット酸の20倍重量以上の氷水中に反応
液を徐々にあけて均一なスラリ−とする。反応終了後1
00℃以下に温度が下がると析出物が固化することがあ
る。 【0012】得られた白色の化合物(ピロメリット酸ジ
イミド)をろ過し、ろ液が中性になるまで大量の水で洗
浄し、湿粉末を得られる。 【0013】反応の際、溶解度を上げるためにホルムア
ミド以外の溶剤、例えば、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ジメチルスルホキシドなどを加えても良い。ただ
し、多量に使用すると収率が下がることがある。 【0014】白色粉末は、酢酸エチルなどで再結晶して
もよいが、クルードの状態のまま、アンモニア水中等で
アンモニアと反応させて、カルボイミドを開環させ、ピ
ロメリット酸テトラアミドが得られる。十分に乾燥を行
った白色粉末を脱水剤を用いて、脱水反応を行い、目的
の1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルとす
ることができる。本発明で使用できる脱水剤としては、
塩化チオニル/DMF、オキシ塩化リン/DMF等のヴ
ィールスマイヤー試薬の脱水剤の他に、トリフルオロ無
水酢酸、ポリリン酸などが挙げられる。 【0015】 【実施例】実施例1 ホルムアミド60gにピロメリット酸粉末20gを撹拌
しながら、ゆっくりと添加し、20分で120℃まで昇
温し、120〜130℃で2.5時間反応させた。11
0℃まで下がった反応液を氷水1.5lに注入し、析出
した沈澱をろ過し、ろ液が中性になるまで十分に水洗
し、乾燥してピロメリット酸ジイミドの白色の粉末を得
た。収率86%、融点300℃以上。 【0016】ついで、この白色粉末15gをアンモニア
水500mlに添加し、室温で10時間撹拌した後、ク
リーム状となったスラリーをろ過、ろ液が中性になるま
で水洗、乾燥し、ピロメリット酸テトラアミドの白色粉
末を得た。収率90%、融点300℃以上。 【0017】十分に脱水したDMF70mlに塩化チオ
ニル24mlを撹拌したながら5℃以下で滴下し、5℃
以下でさらに30分撹拌する。 【0018】次に、十分に乾燥したピロメリット酸テト
ラアミド10gを撹拌下、素早く添加し、発熱が治まっ
たところで、室温で30分撹拌、30分で緩やかに加温
し60℃として、さらに2時間撹拌を行った。冷却後、
得られた淡黄色の反応液を氷水700ml中に撹拌注入
すると白色の沈殿が析出した。1時間撹拌後、析出物を
ろ取、ろ液が中性になるまで水洗し、乾燥すると1,
2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルの白色粉末
が得られた。メタノール中で再結晶することにより、無
色針状結晶が得られた。収率87%。、融点268℃。
これは、赤外スペクトル、NMRスペクトルでも、公知
の材料と一致をみた。 【0019】 【発明の効果】本発明の合成方法によれば、危険な試薬
を用いることなく、操作も容易で短時間で高純度の1,
2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルを得ること
ができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】ピロメリット酸とホルムアミドとを反応さ
せた後、該反応物をアンモニアと反応させ、1,2,
4,5−ベンゼンテトラアミドとした後、脱水反応する
ことを特徴とする1,2,4,5−ベンゼンテトラカル
ボニトリルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002055337A JP2003252844A (ja) | 2002-03-01 | 2002-03-01 | 1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002055337A JP2003252844A (ja) | 2002-03-01 | 2002-03-01 | 1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003252844A true JP2003252844A (ja) | 2003-09-10 |
Family
ID=28666197
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002055337A Pending JP2003252844A (ja) | 2002-03-01 | 2002-03-01 | 1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボニトリルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003252844A (ja) |
-
2002
- 2002-03-01 JP JP2002055337A patent/JP2003252844A/ja active Pending
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