JP2007211185A - フェナジン化合物 - Google Patents

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JP2007211185A
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Katsuhei Yoshida
勝平 吉田
Yuki Nagahama
有希 長濱
Toshiki Mamura
俊樹 間村
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Abstract

【課題】本発明が解決すべき課題は、特定波長の光に対する吸収特性や、特に黄色から赤色の波長域における蛍光波長の調整が容易である上に、比較的容易に合成することができる化合物を提供することにある。
【解決手段】本発明のフェナジン化合物は、下記式(I)で表される。
Figure 2007211185

[式中、R1とR4はジブチルアミノ基等を示し、R2とR3は水素原子等を示し、R5とR6は、それぞれが結合する炭素原子と共にフェニル基等を形成する。]
【選択図】なし

Description

本発明は、フェナジン骨格を有する化合物、および当該化合物を含む蛍光色素に関するものである。
高度にπ共役した有機化合物は、分子内での回転運動等により費やされるエネルギーが少ないので、吸収した光エネルギーにより光励起し、次いで吸収したエネルギーを蛍光として放出するものがある。この様な有機化合物は、蛍光色素として用いられる。
かかる蛍光色素の用途としては、例えば塗料やインクに配合されたり或いは高分子樹脂や繊維を着色する染料や顔料が考えられる。
ここで、蛍光色素を含む色素等として利用される有機化合物の発光強度は、一般的に、固体状態よりも溶液状態の方が強い。しかし、実用化のためには固体状態で使用できる方が利便性は高い。また、上記の様な用途に用いる場合には、蛍光発色光の波長を調節できることが重要となる。この様な観点から、固体状態における蛍光特性の基礎研究のため、或いは蛍光色素等に適用できるものとして、本発明者らは下記化合物等を開発し、既に特許出願している(特許文献1)。
Figure 2007211185
また、安定性に優れ、色素、顔料或いは染料に利用可能なものとして、下記化合物等を開発し、特許出願している(特許文献2)。
Figure 2007211185
特開2004−263178号公報 国際公開第2004/072053号公報
上述した様に、蛍光発色性を有する化合物としては、既に種々の化合物が開発されている。しかし、様々な光吸収特性や蛍光特性を有する有機化合物のさらなるバリエーションが求められている。
そこで、本発明が解決すべき課題は、特定波長の光に対する吸収特性や、特に黄色から赤色の波長域における蛍光波長の調整が容易である上に、比較的容易に合成することができる化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、新規な化合物の合成とその蛍光特性につき鋭意検討を進めた。その結果、高度にπ共役した線対称または点対称な有機化合物は、光吸収特性や蛍光特性が良好である上に合成も容易であることを見出して、本発明を完成した。
即ち、本発明に係るフェナジン化合物は、下記式(I)で表される。
Figure 2007211185
[式中、
1は−NR78基または4−(R78N)フェニル基を示し、
ここでR7とR8は、それぞれ独立して水素原子、C1-6アルキル基またはフェニル基を示し、
2は、R1がNR78基のとき水素原子を示し、R1が4−(R78N)フェニル基のとき水素原子または当該フェニル基の2位に結合する−O−基、−S−基若しくは−N(R9)−基を示し、
ここでR9は水素原子またはC1-6アルキル基を示し、
3とR4は、それぞれが結合する炭素原子と共にフェニル基を形成し、R5はR1と同一の基を示し、かつR6はR2と同一の基を示すか、或いは
5とR6は、それぞれが結合する炭素原子と共にフェニル基を形成し、R3はR2と同一の基を示し、かつR4はR1と同一の基を示す。]。
本発明において「C1-6アルキル基」とは、炭素数が1〜6の直鎖状または分枝鎖状の1価脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル等である。R7とR8の定義においては、C2-6アルキル基が好ましく、C3-5アルキル基がより好ましく、特にn−C3-5アルキル基が好ましい。R9の定義においては、C1-4アルキル基が好ましく、C1-2アルキル基がより好ましく、特にメチル基が好ましい。
本発明化合物(I)には、以下のフェナジン化合物(Ia)〜(Ic)が含まれる。なお、各フェナジン化合物(Ia)〜(Ic)には、それぞれcis体とtrans体が存在する。
フェナジン化合物(Ia−cis)と(Ia−trans)は、以下の通りである。
Figure 2007211185
[式中、R7とR8は前述したものと同義を示す。]
フェナジン化合物(Ib−cis)と(Ib−trans)は、以下の通りである。
Figure 2007211185
[式中、R7とR8は前述したものと同義を示す。]
フェナジン化合物(Ic−cis)と(Ic−trans)は、以下の通りである。
Figure 2007211185
[式中、R7とR8は前述したものと同義を示し、Xは−O−基、−S−基若しくは−N(R9)−基を示し、ここでR9は水素原子またはC1-6アルキル基を示す。]
フェナジン化合物(Ic)においては、Xが−O−基またはS−基であるものが好ましく、Xが−O−基であるものがより好ましい。
本発明の蛍光色素は、上記フェナジン化合物を含む。
本発明のフェナジン化合物は、特に黄色から赤色の波長域において、光吸収特性や蛍光特性が良好である上に、合成も比較的容易である。よって、本発明のフェナジン化合物は、蛍光性の染料や顔料に適用できる蛍光色素として産業上極めて有用である。
本発明のフェナジン化合物に含まれるフェナジン化合物(Ia)〜(Ic)は、下記合成スキーム1に従って製造することができる。
Figure 2007211185
上記合成スキーム中、R1〜R6は、前述したものと同義を示す。
合成スキーム1は、キノン化合物(II)と酢酸アンモニウムからフェナジン環を形成し、フェナジン化合物(I)を製造する工程である。
出発原料であるキノン化合物(II)は、市販のものを用いるか、市販化合物から当業者公知の方法により合成するか、或いは後述するスキーム2と3により合成してもよい。例えば、フェナジン化合物(Ia)の原料化合物であるキノン化合物(IIa)、即ち1,2ナフトキノンの4位に−NR78基が置換した化合物は、比較的シンプルな構造を有することから、市販のものを用いるか、市販化合物から当業者公知の方法により合成することができる。
合成スキーム1では、キノン化合物(II)の酢酸溶液へ大過剰の酢酸アンモニウムを好適には少量ずつ加えて反応させる。酢酸アンモニウムは、キノン化合物(II)に対して10〜20倍モル程度用いればよい。
本反応の反応温度は適宜調節すればよいが、例えば60℃から還流条件程度とすればよい。反応時間も特に制限されず、薄層クロマトグラフィ(TLC)などで原料化合物であるキノン化合物(II)の消費を確認できるまでとすればよいが、通常は1〜12時間程度とする。
反応終了後は酢酸を減圧除去した後、当業者公知の方法により精製すればよい。例えば、残渣を塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチルなど溶解性の高い溶媒に溶解して、水や食塩水などで洗浄した後に乾燥し、溶媒を留去して残渣をクロマトグラフィなどにより精製する。なお、上記スキーム1の通り、本反応によりcis体とtrans体が生成するが、シリカラムカラムクロマトグラフィであれば両者を分離精製することができる。
上記合成スキーム1の原料化合物であるキノン化合物(II)のうち、フェナジン化合物(Ib)を製造するためのキノン化合物(IIb)は、下記合成スキーム2により製造することができる。
Figure 2007211185
上記合成スキーム中、R7とR8は、前述したものと同義を示す。
合成スキーム2は、触媒の存在下、キノン化合物(III)とアニリン化合物(IV)をカップリングしてキノン化合物(IIb)を製造する工程である。
原料化合物であるキノン化合物(III)とアニリン化合物(IV)は、比較的シンプルな構造を有することから、市販のものを用いるか、市販化合物から当業者公知の方法により合成して用いればよい。なお、アニリン化合物(IV)においては、−NR78基を適切な保護基で保護した上で上記反応を行ない、反応後に脱保護してもよい。
本反応で用いる触媒は、キノン化合物(III)とアニリン化合物(IV)とをカップリングできるものであれば特に制限はないが、例えば、酢酸ニッケルや塩化ニッケルなどのニッケル系触媒を用いることができる。また、溶媒は、原料化合物を適度に溶解でき且つ反応を阻害するものでなければ特にその種類は問わないが、例えば、酢酸や酢酸水溶液、またはジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルアセトアミド(DMA)などのアミドを用いることができる。
本反応の反応温度は適宜調節すればよいが、例えば室温から100℃程度とすればよい。反応時間も特に制限されず、薄層クロマトグラフィ(TLC)などで原料化合物の消費を確認できるまでとすればよいが、通常は2時間〜10日間程度とする。
反応終了後は溶媒を減圧除去した後、当業者公知の方法により精製すればよい。例えば、残渣を適当な水不溶性の溶媒に溶解して、水や食塩水などで洗浄した後に乾燥し、溶媒を留去して残渣をクロマトグラフィなどにより精製する。
上記合成スキーム1の原料化合物であるキノン化合物(II)のうち、フェナジン化合物(Ic)を製造するためのキノン化合物(IIc)は、下記合成スキーム3により製造することができる。
Figure 2007211185
上記合成スキーム中、X、R7およびR8は、前述したものと同義を示す。Zは、−XH基、即ち−OH基、−SH基または−NR9H基を示す。
合成スキーム3は、触媒の存在下、キノン化合物(III)とアニリン化合物(IV)をカップリングしてキノン化合物(IIb)を製造する工程である。
原料化合物であるアニリン化合物(V)は、比較的シンプルな構造を有することから、市販のものを用いるか、市販化合物から当業者公知の方法により合成して用いればよい。なお、上記合成スキーム3において、各化合物における−NR78基は、適切な保護基で保護した上で反応を行ない、適宜脱保護してもよい。
合成スキーム3の最初の反応は、上記合成スキーム2と同様の条件で実施することができる。その結果、キノン化合物(IIc)が直接主生成物として得られる場合もあるが、化合物(VI)も生成する場合がある。両者はクロマトグラフィ等による精製により容易に分離することができ、また、化合物(VI)は次の反応によりキノン化合物(IIc)とすることができる。
合成スキーム3の次の反応では、触媒の存在下、溶媒中で最初の反応で得られた化合物(VI)を閉環反応に付してキノン化合物(IIc)にする。
当該反応で用いる触媒は、複素環有機化合物の閉環反応で用いられているものであれば特に制限はないが、例えば、酢酸銅などの銅系触媒を用いることができる。また、溶媒は、原料化合物を適度に溶解でき且つ反応を阻害するものでなければ特にその種類は問わないが、例えば、酢酸や酢酸水溶液、ジメチルスルホキシド、またはジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミドを用いることができる。
本反応の反応温度は適宜調節すればよいが、例えば50〜100℃程度とすればよい。反応時間も特に制限されず、薄層クロマトグラフィ(TLC)などで原料化合物の消費を確認できるまでとすればよいが、通常は6〜24時間程度とする。
反応終了後は溶媒を減圧除去した後、当業者公知の方法により精製すればよい。例えば、残渣を適当な水不溶性の溶媒に溶解して、水や食塩水などで洗浄した後に乾燥し、溶媒を留去して残渣をクロマトグラフィなどにより精製する。
本発明のフェナジン化合物(I)は、特に黄色から赤色の波長域において蛍光波長の調整が容易であり且つ特定波長光の吸収特性に優れる。よって、本発明のフェナジン化合物は、蛍光色素として、蛍光性の染料や顔料に適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1−1 4−(4−ジブチルアミノフェニル)−1,2−ナフトキノンの合成
Figure 2007211185
1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウム塩(5.00g、1.92×10-2mol)、N,N−ジブチルアニリン(3.94g、1.92×10-2mol)及び酢酸ニッケル(II)四水和物(3.94g、1.92×10-2mol)を、酢酸水溶液(酢酸:水=4:1、200mL)に溶解し、室温で8日間攪拌した。反応終了後、酢酸を減圧除去し、水と塩化メチレンを加えてろ過して不溶性の塩等を取り除いた。次いで、ろ液(水+塩化メチレン)から塩化メチレン層を分離した。分離した塩化メチレン層を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:塩化メチレン/n−ヘキサン=1/1)により精製し、紺色粉末状結晶である目的化合物(5.49g、79%)を得た。
融点:93〜94℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:0.99(6H,t)、1.35−1.45(4H,m)、1.60−1.67(4H,m)、3.35(4H,t)、6.44(1H,s)、6.71(2H,d)、7.37(2H,d)、7.49−7.61(3H,m)、8.19(1H,d)
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):504(3860)、409(4080)。
実施例1−2 対称フェナジン系蛍光色素化合物(I1のcis体とtrans体)の合成
Figure 2007211185
実施例1−1で得たキノン化合物(1.27g、3.51×10-3mol)を酢酸(70mL)に溶解した。ここへ酢酸アンモニウム(4.33g、5.62×10-2mol)を酢酸(30mL)に溶解した溶液を徐々に加え、80℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、エバポレーターで酢酸を減圧除去した。残留物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:塩化メチレン/n−ヘキサン=1/1)により精製し、橙色粉末結晶であるフェナジン化合物(I1−cis)(128mg、収率11%)と、黄色粉末結晶であるフェナジン化合物(I1−trans)(245mg、収率20%)を得た。
1−cis:
融点:147〜153℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:1.01(12H,t)、1.38−1.47(8H,m)、1.64−1.72(8H,m)、3.38(8H,t)、6.81(4H,d)、7.53(4H,d)、7.73(2H,t)、7.86(2H,t)、8.01(2H,s)、8.21(2H,d)、9.76(2H,d)
IRスペクトル(KBr):1605、1521cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):457(29100)、331(42200)
蛍光特性 λem 544nm
1−trans:
融点:259〜262℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:1.02(12H,t)、1.39−1.48(8H,m)、1.65−1.73(8H,m)、3.39(8H,t)、6.83(4H,d)、7.54(4H,d)、7.73(2H,td)、7.81(2H,td)、8.12(2H,s)、8.20(2H,d)、9.56(2H,dd)
IRスペクトル(KBr):1609、1519cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):464(26200)、384(13500)、342(35200)
蛍光特性 λem 545nm。
実施例2−1 4−(4−ジブチルアミノ−2−ヒドロキシフェニル)−[1,2]ナフトキノンの合成
Figure 2007211185
1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウム塩(1.00g、3.84mmol)と塩化ニッケル(II)(0.50g、3.84×10mmol)をDMF(40mL)に溶解した。反応混合液を50℃に昇温し、さらにN,N−ジブチル−3−アミノフェノール(1.28g、5.67mmol)を加えて4時間撹拌した。反応終了後、反応物を水に注いだ。生じた析出物をろ別して水で洗浄した後に風乾し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=20/1)を用いて精製し、青色粉末結晶である目的化合物(0.77g、収率:53%)を得た。
融点:142〜144℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:0.98(6H,t)、1.24−1.43(4H,m)、1.58−1.66(4H,m)、3.31(4H,t)、5.37(1H,s)、6.23(1H,d)、6.33(1H,dd)、6.51(1H,s)、7.07(1H,d)、7.45(1H,dd)、7.49(1H,td)、7.59(1H,td)、8.15(1H,dd)
IRスペクトル(KBr):3365、3241、1693、1640、1606cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):507(4700)、394(3900)。
実施例2−2 9−ジブチルアミノ−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−5,6−ジオン、及び9−ジブチルアミノ−ベンゾ[kl]キサンテン−2,3−ジオンの合成
Figure 2007211185
実施例2−1で得た4−(4−ジブチルアミノ−2−ヒドロキシフェニル)−[1,2]ナフトキノン(1.44g、3.81mmol)と無水酢酸銅(II)(0.69g、3.81mmol)をDMSO(45mL)に溶解し、90℃で11時間加熱撹拌した。反応終了後、反応物を水に注ぎ、生じた析出物をろ別した。得られた析出物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=10/1)により分離精製し、緑色粉末結晶である9−ジブチルアミノ−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−5,6−ジオン(*1、0.22g、収率:15%)と、紫色粉末結晶である9−ジブチルアミノ−ベンゾ[kl]キサンテン−2,3−ジオン(*2、.95g、収率:66%)を得た。
*1:
融点:149〜153℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:1.00(6H,t)、1.37−1.50(4H,m)、1.62−1.74(4H,m)、3.34(4H,t)、6.44(1H,d)、6.74(1H,dd)、7.36(1H,td)、7.57(1H,td)、7.71(1H,d)、7.78(1H,dd)、7.96(1H,dd)
IRスペクトル(KBr):1618cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):533(10800)、410(7800)
*2:
融点:132−134℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:0.97(6H,t)、1.34−1.43(4H,m)、1.57−1.65(4H,m)、3.34(4H,t)、6.20(1H,d)、6.50(1H,s)、6.58(1H,dd)、7.39(1H,dd)、7.49(1H,dd)、7.56(1H,d)、7.89(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1689,1594cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):530(12000)、437(7900)。
実施例2−3 対称フェナジン系蛍光色素化合物(I2のcis体とtrans体)の合成
Figure 2007211185
実施例2−2で得た9−ジブチルアミノ−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−5,6−ジオン(1.00g、2.66×10-3mol)及び酢酸アンモニウム(3.28g、4.26×10-2mol)を酢酸(60mL)に溶解し、110℃で3.5時間撹拌した。反応終了後、室温まで放冷し,反応物を水に注いだ。生じた析出物をろ別し、そのろ物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:塩化メチレン/n−ヘキサン=2/1)により精製し、橙色粉末結晶であるフェナジン化合物(I2−cis)(21mg、収率:2.2%)と、赤色粉末結晶であるフェナジン化合物(I2−trans)(325mg、収率:34.2%)を得た。
2−cis:
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:1.04(12H,t)、1.44−1.50(8H,m)、1.70−1.75(8H,m)、3.45(8H,t)、6.83(1H,dd)、6.90(1H,dd)、7.08(1H,d)、7.14(1H,d)、7.82―7.95(4H,m)、8.21(2H,t)、8.63(2H,d)、9.74(2H,dd)
IRスペクトル(KBr):1717、1626cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):512(41000)、389(62500)、341(43400)
蛍光特性 λem 566nm
2−trans:
融点:250〜266℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:1.04(12H,t)、1.39−1.48(8H,m)、1.65−1.73(8H,m)、3.42(8H,t)、6.87(2H,dd)、7.10(2H,d)、7.81(2H,td)、7.87(2H,td)、8.17(2H,d)、8.57(2H,d)、9.67(1H,dd)、9.71(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1627cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):521(38900)、418(33100)、395(53200)、346(35400)
蛍光特性 λem 573nm。
実施例3−1 4−(4−フェニルアミノフェニル)−[1,2]ナフトキノンと、4−ジフェニルアミノ−1,2−ナフトキノンの合成
Figure 2007211185
1,2−ナフトキノン(2.00g、1.26×10-2mol)、ジフェニルアミン(2.57g、1.52×10-2mol)及び塩化ニッケル(II)(1.64g、1.26×10-2mol)を酢酸(18mL)に溶解し、50℃で2時間撹拌した。反応終了後、反応物を室温まで放冷した後水に注いだ。生じた析出物をろ別し、析出物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=20/1)により精製し、4−(4−フェニルアミノフェニル)−[1,2]ナフトキノン(*1、1.04g、収率:25%)の他に、紺色結晶である4−ジフェニルアミノ−1,2−ナフトキノン(*2、449mg、収率:11%)を得た。
*1:
融点:187〜190℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:6.01(1H,s)、6.45(1H,s)、7.0−7.6(12H,m)、8.21(1H,d)
IRスペクトル(KBr):3340、1694、1644、1607、1588cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):471(7300)、393(5700)
*2:
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:6.48(1H,s)、6.9−7.7(12H,m)、7.96(1H,m)、8.22(1H,m)
IRスペクトル(KBr):1697、1647、1595、1515cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):486(3200)、343(19700)、311(27100)。
実施例3−2 対称フェナジン系蛍光色素化合物(I3のcis体とtrans体)の合成
Figure 2007211185
実施例3−1で得たキノン化合物(1.00g、3.07×10-3mol)及び酢酸アンモニウム(3.80g、4.91×10-2mol)を酢酸(30mL)に溶解し、110℃で4時間撹拌した。反応終了後、室温まで放冷し,反応物を水に注いた。生じた析出物をろ別し、その析出物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ジクロロメタン)により精製し、共に黄色粉末結晶であるフェナジン化合物(I3−cis)(24mg、収率:3.0%)とフェナジン化合物(I3−trans)(110mg、収率:12%)を得た。
3−cis:
融点:358〜366℃
IRスペクトル(KBr):3403、1732、1594、1519cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):442(34600)
蛍光特性 λem 517nm
3−trans:
融点:240〜254℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3):5.93(2H,s)、7.03(2H,t)、7.21−7.27(8H,m)、7.35(4H,td)、7.57(4H,d)、7.77(2H,td)、7.87(2H,td)、7.91(2H,s)、8.14(2H,d)、9.78(2H,dd)
IRスペクトル(KBr):3395、1595、1516cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):446(20200)、332(32600)
蛍光特性 λem 520nm。
実施例4 対称フェナジン系蛍光色素化合物(I4のcis体とtrans体)の合成
Figure 2007211185
実施例3−1で得た4−ジフェニルアミノ−1,2−ナフトキノン(0.40g、1.22m×10-3mol)及び酢酸アンモニウム(1.52g、1.97×10-2mol)を酢酸(15mL)に溶解し、110℃で5時間撹拌した。反応終了後、室温まで放冷した。反応混合液を水に注ぎ、生じた析出物をろ別し、そのろ物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ジクロロメタン)により精製し、共に黄色粉末結晶であるフェナジン化合物(I4−cis)(2mg、収率:0.26%)とフェナジン化合物(I4−trans)(10mg、収率:1.3%)を得た。
4−trans:
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):482、389、348
蛍光特性 λem 542nm。
実施例5−1 7−ブチル−9−ジブチルアミノ−7H−ベンゾ[c]カルバゾール−5,6−ジオン、 及び11−ブチル−9−ジブチルアミノ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−5,6−ジオンの合成
Figure 2007211185
三口フラスコ(200mL)に1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウム(2.36g、8.54×10-3mol)とm−ブチルアミノ−N,N−ジブチルアニリン(1.88g、8.54×10-3mol)、塩化ニッケル六水和物(2.03g、8.54×10-3mol)を入れた。溶媒として酢酸(50mL)を加えて溶液とし、80℃で1時間撹拌した。TLC(シリカゲル/ジクロロメタン)により原料であるm−ブチルアミノ−N,N−ジブチルアニリンのスポットの消失が確認された時点を反応終了とした。反応終了後、反応溶液を多量の水に注ぎ、有機物を結晶化させた後に、ろ過により有機物を得た。得られた有機物をジクロロメタンに溶解し、ろ過により不溶性の塩等を取り除いた。このジクロロメタン層を濃縮、乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ジクロロメタン)により分離精製し、7−ブチル−9−ジブチルアミノ−7H−ベンゾ[c]カルバゾール−5,6−ジオン(0.566g、収率:15.4%)と、11−ブチル−9−ジブチルアミノ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−5,6−ジオン(0.485g、収率:13.2%)を得た。
*1:
融点:169〜170℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:0.94−1.01(9H,m)、1.38−1.47(6H,m)、1.65−1.79(6H,m)、3.51(4H,t)、4.54(2H,t)、6.46(1H,d)、6.94(1H,dd)、7.32(1H,td)、7.64(1H,td)、7.90(1H,dd)、8.08(1H,d)、8.14(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1689、1637、1601cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):582(5500)、458(12400)
*2: 融点:64〜65℃
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:0.91−1.00(9H,m)、1.33−1.44(6H,m)、1.59−1.67(4H,m)、1.78−1.85(2H,m)、3.35(4H,t)、4.15(2H,t)、6.21(1H,s)、6.68(1H,dd)、6.92(1H,t)、6.99(1H,d)、7.13(1H,t)、7.19(1H,d)、7.44(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1681、1622cm-1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1):529(4200)、415(12000)

Claims (5)

  1. 下記式(I)で表されるフェナジン化合物。
    Figure 2007211185
    [式中、
    1は−NR78基または4−(R78N)フェニル基を示し、
    ここでR7とR8は、それぞれ独立して水素原子、C1-6アルキル基またはフェニル基を示し、
    2は、R1がNR78基のとき水素原子を示し、R1が4−(R78N)フェニル基のとき水素原子または当該フェニル基の2位に結合する−O−基、−S−基若しくは−N(R9)−基を示し、
    ここでR9は水素原子またはC1-6アルキル基を示し、
    3とR4は、それぞれが結合する炭素原子と共にフェニル基を形成し、R5はR1と同一の基を示し、かつR6はR2と同一の基を示すか、或いは
    5とR6は、それぞれが結合する炭素原子と共にフェニル基を形成し、R3はR2と同一の基を示し、かつR4はR1と同一の基を示す。]
  2. 下記式(Ia−cis)または(Ia−trans)で表される請求項1に記載のフェナジン化合物。
    Figure 2007211185
    [式中、R7とR8は前述したものと同義を示す。]
  3. 下記式(Ib−cis)または(Ib−trans)で表される請求項1に記載のフェナジン化合物。
    Figure 2007211185
    [式中、R7とR8は前述したものと同義を示す。]
  4. 下記式(Ic−cis)または(Ic−trans)で表される請求項1に記載のフェナジン化合物。
    Figure 2007211185
    [式中、R7とR8は前述したものと同義を示し、Xは−O−基、−S−基若しくは−N(R9)−基を示し、ここでR9は水素原子またはC1-6アルキル基を示す。]
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のフェナジン化合物を含む蛍光色素。
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