JP2008297228A - ハイドロキノン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ハイドロキノン誘導体の新規な製造方法に関する。
1,4−ハイドロキノン化合物は、色素、医薬品、農薬、液晶材料、電子材料等の合成中間体として有用である。例えば、特許文献1には、1,4−ハイドロキノン化合物を酸化することで合成したキノン誘導体が、有機電子材料として有用であることが記載されている。従来これらの1,4−ハイドロキノン化合物は、脱離基を有する特殊なキノンから合成されるか、若しくは多段階合成されている。例えば、特許文献1には、1,4−ハイドロキノン化合物をクロラニルから合成する方法が記載されている。また、非特許文献1には、1,4−ハイドロキノン化合物の合成法として、一段階目で、ジチオカルバメートとキノンとを反応させ、二段階目でマロノニトリルと反応させ、目的物を得ている。また、非特許文献2にも1,4−ハイドロキノン化合物の合成方法が記載されているが、この方法では、収率が低く、基質も制限される(非特許文献2参照)。
特開昭63−150273号公報
Journal of Chemical Crystallography, 27, 515-526(1997)
Justus Liebigs Annalen der Chemie, 726, 103-109(1969)
本発明は、1,4−ハイドロキノン誘導体の新規な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者が鋭意検討した結果、非酸性条件下で反応を進行させることにより、安価な出発原料から1,4−ハイドロキノン誘導体を高い収率で製造できることを見出し、この知見に基づいてさらに検討し、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(II)で表されるベンゾキノン誘導体とを、非酸性条件下で反応させることを含む下記一般式(III)で表されるハイドロキノン誘導体の製造方法:
[1] 下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(II)で表されるベンゾキノン誘導体とを、非酸性条件下で反応させることを含む下記一般式(III)で表されるハイドロキノン誘導体の製造方法:
[2] 前記一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物を、反応開始時の反応系中におけるモル濃度が、(一般式(II)の化合物のモル濃度)/2≧(一般式(I)の化合物のモル濃度)を満足する量で混合することを特徴とする[1]の方法。
[3] 下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(IV)で表されるベンゾキノン誘導体とを、非酸性条件下で反応させることを含む下記一般式(V)で表されるハイドロキノン誘導体の製造方法:
[3] 下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(IV)で表されるベンゾキノン誘導体とを、非酸性条件下で反応させることを含む下記一般式(V)で表されるハイドロキノン誘導体の製造方法:
[4] 前記一般式(I)及び一般式(IV)で表される化合物を、反応開始時の反応系中におけるモル濃度が、(一般式(I)のモル濃度)>(一般式(IV)のモル濃度)/2を満足する量で混合することを特徴とする[3]の方法。
[5] 前記一般式(I)中、R2が、正のハメット値を有する置換基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの方法。
[5] 前記一般式(I)中、R2が、正のハメット値を有する置換基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの方法。
本発明によれば、1,4−ハイドロキノン誘導体の新規な製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(II)で表されるベンゾキノン誘導体とから、下記一般式(III)で表されるハイドロキノン誘導体を製造する方法;及び下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(IV)で表されるベンゾキノン誘導体とから、下記一般式(V)で表されるハイドロキノン誘導体を製造する方法:に関する。
に関する。
本発明は、下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(II)で表されるベンゾキノン誘導体とから、下記一般式(III)で表されるハイドロキノン誘導体を製造する方法;及び下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(IV)で表されるベンゾキノン誘導体とから、下記一般式(V)で表されるハイドロキノン誘導体を製造する方法:に関する。
に関する。
一般式(I)中、R1は置換もしくは無置換の、アルキル基又はアリール基を表し;R2は置換基を表し;Mはアルカリ金属原子又はアンモニウム基を表す。
一般式(II)及び(IV)中、R3は水素原子、ハロゲン原子、又はスルホン酸エステル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(IV)中、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、又は置換若しくは無置換の、アルキル基、アルコキシル基又はアリール基を表すが、R4及びR5は互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(II)及び(IV)中、R3は水素原子、ハロゲン原子、又はスルホン酸エステル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(IV)中、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、又は置換若しくは無置換の、アルキル基、アルコキシル基又はアリール基を表すが、R4及びR5は互いに結合して環を形成してもよい。
前記式(I)中、R1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。C1〜C30のアルキル基が好ましく、C2〜C10のアルキル基がより好ましい。該アルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基の例には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素芳香族基、エーテル基、アルコキシシリル基、シリル基、アセタール基、アミド基等が含まれる。
前記式(I)中、R1が表すアリール基は、単環、及び二以上の縮合環のいずれであってもよい。C6〜C18のアリール基が好ましく、C6〜12のアリール基がより好ましい。該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基の例には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素芳香族基、エーテル基、アルコキシシリル基、シリル基、アセタール基、アミド基等が含まれる。
前記式(I)中、R1は、置換もしくは無置換のアルキル基であるのが好ましく、無置換のアルキル基であるのがより好ましい。
前記式(I)中、R1が表すアリール基は、単環、及び二以上の縮合環のいずれであってもよい。C6〜C18のアリール基が好ましく、C6〜12のアリール基がより好ましい。該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基の例には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素芳香族基、エーテル基、アルコキシシリル基、シリル基、アセタール基、アミド基等が含まれる。
前記式(I)中、R1は、置換もしくは無置換のアルキル基であるのが好ましく、無置換のアルキル基であるのがより好ましい。
前記式(I)中、R2は置換基を表す。R2は、正のハメット値(σp値)を有する置換基であるのが好ましい。値σp値が0以上1.5以下の置換基であることがより好ましく、下記に示す置換基のいずれか、もしくは5又は6員環のヘテロ環基であることがさらに好ましい。
R21及びR22はそれぞれ、水素原子又は置換基であり、R21とR22とが結合して環を形成してもよい。
R21は好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基あるいは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基であり、より好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜20の置換又は無置換のアルケニル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数3〜15の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜15の置換又は無置換のアルケニル基である。
R22は好ましくは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜10の置換又は無置換のアルケニル基、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基あるいは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜8の置換又は無置換のアルケニル基であり、さらに好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4の置換又は無置換のアルケニル基である。
なお、ハメットの置換基定数のσpに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
R21は好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基あるいは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基であり、より好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜20の置換又は無置換のアルケニル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数3〜15の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜15の置換又は無置換のアルケニル基である。
R22は好ましくは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜10の置換又は無置換のアルケニル基、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基あるいは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8の置換又は無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜8の置換又は無置換のアルケニル基であり、さらに好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4の置換又は無置換のアルケニル基である。
なお、ハメットの置換基定数のσpに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
前記式(I)中、Mはアルカリ金属原子又はアンモニウム基を表す。該アルカリ金属の例には、ナトリウム、及びカリウムが含まれる。
前記式(II)及び(IV)中、R3が表すハロゲン原子の例には、塩素原子、臭素原子等が含まれる。R3が表すスルホン酸エステル基のエステル部は、アルキル基又はアリール基であるのが好ましく、それぞれR1が表すアルキル基及びアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記式(II)中、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、又は置換若しくは無置換の、アルキル基、アルコキシル基又はアリール基を表すが、R4及びR5は互いに結合して環を形成してもよい。R4及びR5がそれぞれ表す、置換もしくは無置換の、アルキル基及びアリール基については、それぞれR1が表すアルキル基及びアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。また、R4及びR5がそれぞれ表す、置換もしくは無置換のアルコキシル基については、C1〜C20のアルコキシル基が好ましく、C1〜C6のアルコキシル基がより好ましい。またアルコキシル基中のアルキル部は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。該アルコキシル基の置換基の例には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素芳香族基、エーテル基、アルコキシシリル基、シリル基、アセタール基、アミド基等が含まれる。
前記式(II)及び(IV)中、R3、R4及びR5はいずれも、水素原子であるのが好ましい。
前記式(II)中、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、又は置換若しくは無置換の、アルキル基、アルコキシル基又はアリール基を表すが、R4及びR5は互いに結合して環を形成してもよい。R4及びR5がそれぞれ表す、置換もしくは無置換の、アルキル基及びアリール基については、それぞれR1が表すアルキル基及びアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。また、R4及びR5がそれぞれ表す、置換もしくは無置換のアルコキシル基については、C1〜C20のアルコキシル基が好ましく、C1〜C6のアルコキシル基がより好ましい。またアルコキシル基中のアルキル部は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。該アルコキシル基の置換基の例には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素芳香族基、エーテル基、アルコキシシリル基、シリル基、アセタール基、アミド基等が含まれる。
前記式(II)及び(IV)中、R3、R4及びR5はいずれも、水素原子であるのが好ましい。
本発明の製造方法は、前記一般式(I)の化合物と、前記一般式(II)のベンゾキノン誘導体との反応を、又は前記一般式(I)の化合物と、前記一般式(IV)のベンゾキノン誘導体との反応を、非酸性条件下で進行させることを特徴とする。非酸性条件下とは、反応系中のpHが7以上であることを意味する。反応系中のpHは7以上であるのが好ましく、8以上であるのがより好ましい。前記式(I)の化合物は、例えば、マロン酸ジエステル体やシアノ酢酸エステル体等と、二硫化炭素とを混合した反応系中に、水酸化ナトリウム等の塩基を添加することで得られる塩基性の塩である。従って、式(I)の化合物を反応系中に添加すれば、積極的に酸性化合物を添加しない限り、反応は非酸性条件下で進行する。勿論、非酸性条件下で反応を進行させるために、式(I)の化合物とは別に、反応系中に塩基性化合物を添加しもよく、使用可能な塩基性化合物の例には、水酸化物塩、3級アミン、3級アニリン等が含まれる。
反応開始時の系中の前記式(I)の化合物のモル濃度をMI、及び前記式(II)の化合物のモル濃度をMIIとした場合、MII/2≧MIを満足するのが好ましく、MII/2はMIの2倍以上であるのがより好ましい。
また、反応開始時の系中の前記式(I)の化合物のモル濃度をMI、及び前記式(IV)の化合物のモル濃度をMIVとした場合、MI>MIV/2を満足するのが好ましく、MIはMIV/2の1.5倍以上であるのが好ましく、2倍以上であるのがより好ましい。
また、反応開始時の系中の前記式(I)の化合物のモル濃度をMI、及び前記式(IV)の化合物のモル濃度をMIVとした場合、MI>MIV/2を満足するのが好ましく、MIはMIV/2の1.5倍以上であるのが好ましく、2倍以上であるのがより好ましい。
本発明において、前記式(I)の化合物と前記式(II)の化合物との反応、又は前記式(I)の化合物と前記式(IV)の化合物との反応は、溶液中で進行させるが好ましい。反応系中に用いられる溶媒の例には、水、N−1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)等が含まれる。例えば、前記一般式(I)の化合物を上記溶媒に溶解して調製した非酸性溶液中に、前記式(II)の化合物を上記溶媒に溶解して調製した溶液を1度に加え混合し、反応を進行させてもよい。また、前記一般式(I)の化合物を上記溶媒に溶解して調製した非酸性溶液中に、前記式(IV)の化合物を上記溶媒に溶解して調製した溶液を滴下混合し、反応を進行させてもよい反応進行中は、反応液を攪拌するのが好ましい。
反応温度は0〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。反応時間は、15分〜4時間が好ましく、30分〜1時間がより好ましい。また、反応は窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で進行させるのが好ましい。
反応終了後、前記式(III)又は前記式(V)の化合物が反応液中に溶存している場合は、減圧留去により溶媒を除去して、該化合物を固体として得てもよい。生成物中に、未反応原料や副生成物が混入している場合は、カラムクロマトグラフィー、再結晶等、種々の精製方法を利用して、該化合物のみを単離してもよい。
本発明の製造方法に用いられる前記式(I)で表される化合物は、上記した通り、マロン酸ジエステル体やシアノ酢酸エステル体等と、二硫化炭素とを混合した反応系中に、水酸化ナトリウム等の塩基を添加することで得られる化合物であり、安価に製造可能である。また、式(II)又は(IV)で表されるベンゾキノン誘導体も、汎用化合物であり、安価に入手可能である。従って、本発明によれば、安価な原料を用いて、色素、医薬品、農薬、液晶材料、電子材料等の種々の分野で合成中間体等として有用な所定の構造のハイドロキノン誘導体を製造できる。
以下に、本発明の方法に原料として使用可能な、前記式(I)、(II)及び(IV)で表される化合物を列挙するが、下記の化合物に限定されるものではない。
以下に、本発明の方法により製造可能な前記式(III)及び(V)で表される化合物を列挙するが、下記の化合物に限定されるものではない。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
例示化合物(1)を、下記に示す経路で合成した。
例示化合物(1)を、下記に示す経路で合成した。
メカニカルスターラー、温度計を付けた500mLの三ツ口フラスコに1.6gのマロン酸ジエチル、0.7mLの二硫化炭素を計り取り、氷冷下、50%水酸化ナトリウム水溶液1.6gをゆっくりと滴下した後、氷冷下1時間撹拌し、ナトリウム塩を調製した。これにNMP(N−1−メチル−2−ピロリドン)200mLを加え、窒素雰囲気下室温まで昇温後、50mLのNMPに溶かしたベンゾキノン2.1gを1度に加え、更に室温で1時間撹拌した。酢酸エチルを加え500mLの1N塩酸、飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮して黒褐色固体を得た。得られた黒褐色固体をカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のハイドロキノン誘導体1.4gを得た。収率は40%であった。
生成物の1H−NMRデータを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6); d 1.28 (t, J = 6.8 Hz, 6H), 4.24 (q, J = 6.8 Hz, 4H), 6.71 (s, 2H), 10.04 (br, 2H)。
生成物の1H−NMRデータを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6); d 1.28 (t, J = 6.8 Hz, 6H), 4.24 (q, J = 6.8 Hz, 4H), 6.71 (s, 2H), 10.04 (br, 2H)。
[実施例2]
例示化合物(2)を、下記の経路で合成した。
例示化合物(2)を、下記の経路で合成した。
メカニカルスターラー、温度計を付けた500mLの三ツ口フラスコに1.1gのシアノ酢酸エチル、0.7mLの二硫化炭素を計り取り、氷冷下、50%水酸化ナトリウム水溶液1.6gをゆっくりと滴下した後、氷冷下、1時間撹拌し、ナトリウム塩を調製した。これにNMP200mLを加え、窒素雰囲気下室温まで昇温後、50mLのNMPに溶かしたベンゾキノン2.1gを1度に加え、更に室温で1時間撹拌した。酢酸エチルを加え500mLの1N塩酸、飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮して黒褐色固体を得た。得られた黒褐色固体をカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のハイドロキノン誘導体1.7gを得た。収率は56%であった。
生成物の1H−NMRデータを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6); d 1.21 (t, J = 6.2 Hz, 3H), 4.22 (q, J = 6.2 Hz, 2H), 6.80 (s, 2H), 10.41 (br, 2H)。
生成物の1H−NMRデータを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6); d 1.21 (t, J = 6.2 Hz, 3H), 4.22 (q, J = 6.2 Hz, 2H), 6.80 (s, 2H), 10.41 (br, 2H)。
[実施例3]
例示化合物(3)は、下記の経路で合成した。
例示化合物(3)は、下記の経路で合成した。
メカニカルスターラー、温度計を付けた500mLの三ツ口フラスコに7.25gのマロン酸ビス(4−tert―ブチルージフェニルシラニオキシブチル)エステル(Organic & biomolecular chemistry, 3, 1659-1669(2005)参照の方法で合成)、0.7mLの二硫化炭素を計り取り、氷冷下、50%水酸化ナトリウム水溶液1.6gをゆっくりと滴下した後、氷冷下、1時間撹拌し、ナトリウム塩を調製した。これにNMP200mLを加え、窒素雰囲気下室温まで昇温後、50mLのNMPに溶かしたベンゾキノン2.1gを1度に加え、更に室温で1時間撹拌した。酢酸エチルを加え200mLの蒸留水、飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮して黒褐色固体を得た。得られた黒褐色固体をカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のハイドロキノン誘導体3.5gを得た。収率は36%であった。
生成物の1H−NMRデータを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6); d 0.93 (s, 18H), 1.60-1.80 (m, 8H), 3.63 (t, J = 6.2 Hz, 4H), 4.19 (t, J = 6.3 Hz, 4H), 6.72 (s, 2H), 7.30-7.80 (m, 20H), 10.05 (br, 2H)。
生成物の1H−NMRデータを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6); d 0.93 (s, 18H), 1.60-1.80 (m, 8H), 3.63 (t, J = 6.2 Hz, 4H), 4.19 (t, J = 6.3 Hz, 4H), 6.72 (s, 2H), 7.30-7.80 (m, 20H), 10.05 (br, 2H)。
[実施例2]
例示化合物(4)を、下記の経路で合成した。
例示化合物(4)を、下記の経路で合成した。
メカニカルスターラー、温度計を付けた500mLの三ツ口フラスコに7.25gのマロン酸ビス(4−tert―ブチルージフェニルシラニオキシブチル)エステル、0.7mLの二硫化炭素を計り取り、氷冷下、50%水酸化ナトリウム水溶液1.6gをゆっくりと滴下した後、氷冷下、1時間撹拌し、ナトリウム塩を調製した。これにNMP200mLを加え、窒素雰囲気下室温まで昇温させた。50mLのNMPに溶かしたベンゾキノン2.1gを滴下し、更に室温で1時間撹拌した。酢酸エチルを加え200mLの蒸留水、飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮して黒褐色固体を得た。得られた黒褐色固体をカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のハイドロキノン誘導体1.7gを得た。収率は20%であった。
生成物の1H−NMRデータを以下に示す。
1H-NMR(CDCl3); d 0.89 (s, 36H), 1.50-1.80 (m, 16H), 3.60 (m, 8H), 4.23 (m, 8H), 7.30-7.80 (m, 40H)。
生成物の1H−NMRデータを以下に示す。
1H-NMR(CDCl3); d 0.89 (s, 36H), 1.50-1.80 (m, 16H), 3.60 (m, 8H), 4.23 (m, 8H), 7.30-7.80 (m, 40H)。
[比較例1]
例示化合物(1)について、Justus Liebigs Annalen der Chemie, 726, 103-109(1969)(上記非特許文献2)に記載の方法に従い、合成を試みた。
具体的には、メカニカルスターラー、温度計を付けた200mLの三ツ口フラスコに19gのマロン酸ジエチル−ジチオレート−ナトリウム塩(Synthetic Communications, 22, 3053-3059(1992)の記載を参照にして合成)、ベンゾキノン13.8g、5mLの水、及び7.7mLの酢酸を、100mLのDMFに添加し、90℃で5時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルを加え1Lの1mol/Lの塩酸、飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮して黒褐色固体を得た。得られた黒褐色固体を1H−NMRで測定したが、目的のハイドロキノン誘導体である例示化合物(1)は生成していなかった。
例示化合物(1)について、Justus Liebigs Annalen der Chemie, 726, 103-109(1969)(上記非特許文献2)に記載の方法に従い、合成を試みた。
具体的には、メカニカルスターラー、温度計を付けた200mLの三ツ口フラスコに19gのマロン酸ジエチル−ジチオレート−ナトリウム塩(Synthetic Communications, 22, 3053-3059(1992)の記載を参照にして合成)、ベンゾキノン13.8g、5mLの水、及び7.7mLの酢酸を、100mLのDMFに添加し、90℃で5時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルを加え1Lの1mol/Lの塩酸、飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮して黒褐色固体を得た。得られた黒褐色固体を1H−NMRで測定したが、目的のハイドロキノン誘導体である例示化合物(1)は生成していなかった。
[比較例2]
例示化合物(1)について、Journal of Chemical Crystallography, 27, 515-526(1997)(上記非特許文献1)に記載の方法に従い、合成を試みた。
具体的には、メカニカルスターラー、温度計を付けた200mLの三ツ口フラスコに3.2gのマロン酸ジエチル、6.24gの7−ヒドロキシ−2−ピロリジニルイミニオベンゾ−1,3−ジチオール−4−オレート(Australia Journal of Chemistry, 27, 1309-1316(1974)に記載の方法を参照して合成)を、100mLのDMFに添加し、150℃で5時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルを加え、1Lの1N塩酸及び飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮して黒褐色固体を得た。得られた黒褐色固体を1H−NMRで測定したが、目的のハイドロキノン誘導体である例示化合物(1)は生成していなかった。
例示化合物(1)について、Journal of Chemical Crystallography, 27, 515-526(1997)(上記非特許文献1)に記載の方法に従い、合成を試みた。
具体的には、メカニカルスターラー、温度計を付けた200mLの三ツ口フラスコに3.2gのマロン酸ジエチル、6.24gの7−ヒドロキシ−2−ピロリジニルイミニオベンゾ−1,3−ジチオール−4−オレート(Australia Journal of Chemistry, 27, 1309-1316(1974)に記載の方法を参照して合成)を、100mLのDMFに添加し、150℃で5時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルを加え、1Lの1N塩酸及び飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮して黒褐色固体を得た。得られた黒褐色固体を1H−NMRで測定したが、目的のハイドロキノン誘導体である例示化合物(1)は生成していなかった。
上記結果より、本発明の実施例では、目的のハイドロキノン誘導体が、安価な原料から1段階で得られることが明らかになった。また、従来技術では合成できなかった、マロン酸エステル置換基を有するハイドロキノン誘導体が、本方法では安価な原料から1段階で得られることが明らかになった。
本発明によれば、色素、医薬品、農薬、液晶材料、電子材料等などの種々の分野の機能性化合物の中間体等として、有用な1,4−ハイドロキノン誘導体を、安価にしかも簡易な工程で製造できる。
Claims (5)
- 前記一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物を、反応開始時の反応系中におけるモル濃度が、(一般式(II)の化合物のモル濃度)/2≧(一般式(I)の化合物のモル濃度)を満足する量で混合することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記一般式(I)及び一般式(IV)で表される化合物を、反応開始時の反応系中におけるモル濃度が、(一般式(I)のモル濃度)>(一般式(IV)のモル濃度)/2を満足する量で混合することを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記一般式(I)中、R2が、正のハメット値を有する置換基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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WO2017122503A1 (ja) * | 2016-01-12 | 2017-07-20 | 富士フイルム株式会社 | 組成物、膜、ガラス物品、化合物、高純度組成物、化合物の製造方法および膜の製造方法 |
-
2007
- 2007-05-30 JP JP2007143324A patent/JP2008297228A/ja active Pending
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