JP3780972B2 - カバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの車両のフード(「ボンネット」ともいう。)を開けたときに見える内部空間(以下、「フード内空間」という。)に用いられるカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両駆動源として燃料を燃焼させるエンジンと電気によるモータとを組合せたハイブリッド方式の自動車が実用化されている。そのような自動車のフード内空間には、おおまかには、図4に示すように、エンジン2とインバータ3とが並んで配置されている。図4では、フードは図示省略している。エンジン2の上側には、エンジンの防水、防塵、ユーザの安全確保などの理由から、エンジンルームカバー4が設けられる場合がある。エンジンルームカバー4は樹脂などで成形されており、しばしば、表面にはエンブレムなどの意匠が施され、美観の向上や高級感の演出にも役立っている。
【0003】
一方、ハイブリッド方式の自動車においては、図4に示すようにインバータ3の上側にインバータカバー5が配置される。一般に、インバータ3は、上側が開放された筐体の内部に駆動回路を収納し、インバータカバー5によって、この筐体の上側を塞いだ形となっている。したがって、インバータカバー5は、作業者の感電防止、電磁的シールド確保、筐体内部への水などの侵入防止といった役割を果たしている。このインバータカバー5は、アルミニウム、鉄などの金属材料で形成されていたが、上面には、エンジンルームカバー4と同様に、エンブレムなどの意匠が施されている。図4の例では、インバータカバー5にエンボス加工された装飾凸部12が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、上述のようにエンジンとインバータとにそれぞれカバーを設けていたので、部品点数が多くなっていた。そのため、部品製造コストが増し、組立の手間も増していた。また、エンジンルームカバー4とインバータカバー5との隙間や、エンジンルームカバー4とエンジン2との間から水などが侵入しやすく、エンジン2の各部品の防錆や耐食のための対策が必要となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、部品点数を減らし、エンジンへの侵水などをより防止しやすいカバーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に基づくカバーは、車両のフード内空間において、エンジンおよびインバータの上側を一体的に覆うためのものである。この構成を採用することにより、部品点数を減らすことができる。また、上側からのエンジンなどに対する浸水、被水のおそれを減らすことができる。また、ユーザが不用意にエンジンなどに手や工具を入れることも防ぐことができ、安全性を高めることもできる。
【0007】
上記発明において好ましくは、カバーは、上記インバータの上側に対応する位置で開閉自在となっているインバータカバーを含む。この構成を採用することにより、カバー全体を外さなくてもインバータのメンテナンスが可能となる。
【0008】
上記発明において好ましくは、上記インバータカバーの裏面には、シールド材が張られている。この構成を採用することにより、インバータカバーを閉じた状態では、インバータの電磁的シールド性を十分確保することができる。
【0009】
上記発明において好ましくは、カバーは、フードを開けたときに上から見える開口部を完全に覆う。この構成を採用することにより、開口部がカバーで完全に覆われるので、エンジンなどに対する浸水、被水や、ユーザの手などの侵入をより確実に防止することができる。
【0010】
上記発明において好ましくは、カバーは、車両エンジンフレームに接続するための接続手段を備える。この構成を採用することにより、カバーを確実に固定することができる。
【0011】
上記発明において好ましくは、カバーは、樹脂で一体成形されている。この構成を採用することにより、カバーを容易に製造することができる。また、樹脂製とすることによって、カバー自体の軽量化を図ることができる。さらに、樹脂成形であるので、カバー上面に装飾を施すことも容易に行なえる。
【0012】
上記発明において好ましくは、カバーは、エンジンのメンテナンスのためのアクセス手段を備える。この構成を採用することにより、カバー全体を外さなくてもエンジンのメンテナンスを行なうことが可能となる。
【0013】
上記発明において好ましくは、上記インバータは、車両推進力を発生させるためのモータを駆動するためのものである。この構成を採用することにより、大型のインバータをエンジンとともに一体型カバーで覆うこととなり、フードを開けたときに見える部分を洗練した外観とすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
(構成)
図1を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるカバーについて説明する。このカバー31は、ハイブリッド方式の自動車のフード内空間に配置されており、エンジン2とインバータ3とを一括して覆う形状をしている。このカバー31は、樹脂で一体成形されている。また、必要に応じて上面にロゴマークやエンブレムなどの意匠を施してもよい。図1の例では、インバータ3の上に当たる位置に装飾凸部12が設けられている。
【0015】
(作用・効果)
カバー31がエンジン2のカバーとインバータ3のカバーとを兼ねたものとなっているので、エンジン2とインバータ3とで別々にカバーを設置する場合に比べて部品点数を減らすことができる。その結果、低コスト化を実現することができる。また、フードを開けたときの外観をすっきりさせ、美観を向上させることができる。さらに、エンジン2とインバータ3との間にカバーの切れ目がないので、上側からのエンジン2などに対する浸水、被水のおそれを減らすことができる。また、ユーザが不用意にエンジン2付近に手や工具を入れる危険も低減することができ、安全性を高めることもできる。
【0016】
(実施の形態2)
(構成)
図2を参照して、本発明に基づく実施の形態2におけるカバーについて説明する。このカバー32は、フードを開けたときの開口部の全面を覆う形状をしている。カバー32は車両エンジンフレーム8の内側に設けられたフランジ11に対して接続手段としてのボルト7によって固定されている。この接続手段としては、ボルト7の代わりにたとえばグロメットなどを用いて固定することにしてもよい。また、図2に示した例では、インバータ3の上に相当する部分がインバータ3の形状に倣うように盛り上がっているが、この盛り上がりは必須ではない。
【0017】
カバー32には、エンジン2のメンテナンスに必要なエンジン2へのアクセス手段が配置されている。たとえば、図2に示した例では、アクセス手段としてカバー32にエンジン2のオイル交換のためのオイルキャップ10が配置されている。
【0018】
(作用・効果)
このカバー32は、実施の形態1と同様の効果を奏することができるが、フードを開けたときの開口部の全面を覆う形状であるので、実施の形態1より確実に効果を奏することができる。たとえば、フード内空間に配置されたエンジン2などに対する上側からの浸水、被水や、ユーザの手などの侵入をより確実に防止することができる。
【0019】
カバー32には、エンジンへのアクセス手段としてオイルキャップ10などが設けられているので、エンジン2の通常のメンテナンスであれば、カバー32を外さなくても行なうことができる。エンジンへのアクセス手段としては、エンジンオイルを交換するためのオイルキャップ10のほか、たとえば、アイドルスピード調整用のネジや、エンジン制御ECU(Engine Control Unit)内のデータを修正するためのデータ修正ツールを接続するための端子など、エンジンの調整や性能維持のためのメンテナンスに必要なものであれば、他のものであってもよい。
【0020】
(実施の形態3)
(構成)
図3を参照して、本発明に基づく実施の形態3におけるカバーについて説明する。このカバー33は、基本的には実施の形態2で説明したものと同様の形状であるが、インバータ3の上部に当たる位置に開閉可能なインバータカバー5を備えている。ただし、インバータカバー5の裏面にはアルミニウム製のシールド材9が張られている。
【0021】
(作用・効果)
このカバー33では、実施の形態1,2と同様の効果を奏するが、それに加えて、以下の効果を奏する。すなわち、カバー33では、インバータカバー5が開閉可能であるので、カバー33全体を取外さなくてもインバータ3のメンテナンスが可能である。また、インバータカバー5の裏面にはアルミニウム製のシールド材9が張られているので、インバータカバー5を閉じた状態では、インバータ3の電磁的シールド性を十分確保することができる。また、開閉可能なインバータカバー5がフード内空間において上側から見えるようにすることで、カバー自体の意匠性を向上させることもできる。
【0022】
ここでは、インバータカバー5の裏面に直接シールド材9を張ることとしたが、インバータカバー5を二重蓋構造として、カバー33の他の部分と同様の樹脂製の上蓋をまず開けて、さらにその下に現れる下蓋を開けるような構造にしてもよい。この場合、下蓋の裏面にシールド材が設けられる。
【0023】
上記各実施の形態においては、一体型のカバーについて説明したが、上述の作用および効果のほかに、このような一体型のカバーによってエンジンの遮音性が高まるという効果もある。このため、従来フードの裏面に配置していたフードサイレンサを廃止できる可能性があり、フードサイレンサを廃止した場合、部品点数を減らすことができる。遮音性をより高めるためには、必要に応じて、一体型のカバーの内側に遮音材を配置することとしてもよい。
【0024】
さらに、カバーをこのような一体型にすることで、フード内空間の保温性を向上することができる。したがって、冬季のヒータ性能を向上させることができる。
【0025】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、カバーが一体型となるので、部品点数を減らすことができる。また、上側からのエンジンなどに対する浸水、被水のおそれを減らすことができる。さらに、ユーザの手などの侵入も防止することができ、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づく実施の形態1におけるカバーを車両のフード内空間に設置した状態の斜視図である。
【図2】 本発明に基づく実施の形態2におけるカバーを車両のフード内空間に設置した状態の斜視図である。
【図3】 本発明に基づく実施の形態3におけるカバーを車両のフード内空間に設置した状態の斜視図である。
【図4】 従来技術に基づくカバーを車両のフード内空間に設置した状態の斜視図である。
【符号の説明】
2 エンジン、3 インバータ、4 エンジンルームカバー、5 インバータカバー、7 ボルト、8 車両エンジンフレーム、9 シールド材、10 オイルキャップ、11 フランジ、12 装飾凸部、31,32,33 カバー。
Claims (8)
- 車両のフード内空間において、エンジンおよびインバータの上側を一体的に覆うための、カバー。
- 前記インバータの上側に対応する位置で開閉自在となっているインバータカバーを含む、請求項1に記載のカバー。
- 前記インバータカバーの裏面は、シールド材が張られている、請求項2に記載のカバー。
- フードを開けたときに上から見える開口部を完全に覆うための、請求項1から3のいずれかに記載のカバー。
- 車両エンジンフレームに接続するための接続手段を備える、請求項1から4のいずれかに記載のカバー。
- 樹脂で一体成形されている、請求項1から4のいずれかに記載のカバー。
- エンジンのメンテナンスのためのアクセス手段を備える、請求項1から6のいずれかに記載のカバー。
- 前記インバータは、車両推進力を発生させるためのモータを駆動するためのものである、請求項1から7のいずれかに記載のカバー。
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