JP3766862B2 - 自動車用シートのバックレストフレーム - Google Patents

自動車用シートのバックレストフレーム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、両サイドがリクライニング装置で支持される自動車用シートのバックレストフレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、シートバックは着座乗員の上半身背部から入力を受けている。急発進時や他の車によって追突を受けたとき、通常時より大きい負荷を受けるが、シートバックの内部にあってこの負荷を担っているのがバックレストフレームである。このバックレストフレームはシートスライドのアッパーレールに支持されるか、クッションフレームを介して間接的にシートスライドのアッパーレールに支持されている。
【0003】
着座者の角度調整のため、シートバックとシートスライドの間にリクライニング装置が取り付けられるか、またはシートバックとシートクッションフレームの間にリクライニング装置が取り付けられ、さらにシートクッションフレームがシートスライドに取り付けられる二つの方法が一般的に採用されている。リクライニング装置の取付方法として、リクライニング装置が片側に付いている片側ロックのものと、両側に付いている両側ロックのものとがある。
【0004】
図15に示すように、片側ロック用のバックレストフレームは、パイプ33を全周に張り巡らした構造とし、これにリクライニング装置の取付ブラケット34などを溶接して構成されている。
図16に示すように、両側ロック用のバックレストフレームは、主に前後モーメント入力のため、アッパー側のパイプ33、サイド側のリクライニング装置の取付ブラケット34およびロア側の連結部35からなる4分割フレームから構成されている。
【0005】
このように、片側または両側ロック用のバックレストフレームは、強度部材としてのパイプ33とリクライニング装置やSばねの取付部を兼ねた取付ブラケット34とから構成していた。さらにヘッドレストグロメットを支持するヘッドレストホルダ37やカバーの端末処理として使用されるワイヤ36など適宜付属部品が不可欠であった。これらの部品はいずれもあらかじめ製作し、溶接治具にセットし、溶接で一体に構成していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の自動車用シートのバックレストフレームでは、強度部材としてのパイプ、取付ブラケットをメインメンバとし、ヘッドレストホルダやワイヤなどをサブメンバとする構造であるので、溶接箇所および部品点数が増大し、組立が面倒で、組立性が悪いという問題があった。
そこで、この発明は、前記問題点に着目してなされたもので、その目的は、溶接箇所および部品点数を減少させ、組立性を向上させることのできる自動車用シートのバックレストフレームを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、両サイドがリクライニング装置によって支持される自動車用シートのバックレストフレームであって、前記リクライニング装置によって支持される所定幅の左右一対のサイド部と、これら左右一対のサイド部の上部を連設する所定幅のアッパー部と、左右一対のサイド部の下部を連設するロア部と、これらの一対のサイド部、アッパー部およびロア部の一側の端縁から折り曲げによって連設された底板部と、少なくとも一対のサイド部およびアッパー部の他側の端縁から折り返された折り返し部と、前記左右一対の底板部間に連設された1以上の横断部と、前記アッパー部下側の底板部への切り起こしによりアッパー部に沿って形成されたヘッドレスト用のホルダ支持部と、このホルダ支持部およびアッパー部に形成されたヘッドレストステイの直接または間接の支持孔とを備え、全体が板金のプレス加工によって形成され、前記左右一対のサイド部のリクライニング装置取付位置に補強手段を設けたことを特徴とする。この発明では、部品点数が減少し、組立工数が減少し、溶接箇所が少なく品質が安定する。また、付属部品取付のための加工工数が減少する。さらに、補強手段を介してリクライニング装置を取り付けるため、バックレストフレームは最適な板厚に設定することができる。
【0008】
また、ホルダ支持部は絞り加工で成形できる限界を超えているので、別途ホルダ用の部品の取り付けが必要が、この発明では、これを不要にすることができる。
【0009】
さらに、パッドを支持するばね類を不要にし、部品点数を減少させることができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記1以上の横断部のうち、腰椎支持位置の横断部に前方へ盛り上げた盛上部を形成したことを特徴とする。この発明では、盛り上げ高さの変化で着座者の腰椎部支持圧を調整することができ、また、パッドの厚さを薄くできるので、パッドの使用量を減少させ、シートの軽量化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は実施の形態1に係る自動車用シートのバックレストフレームを示す斜視図、図2は図1のA−A矢視断面図、図3は図1の補強手段を示す斜視図、図4は図1のB−B矢視断面図、図5はヘッドレスト用グロメットを示す斜視図、図6は図1のC−C矢視断面図である。
【0012】
この実施の形態1は、シートスライドのアッパーレールに二つのリクライニング装置で両側から支持されるか又はクッションフレームに二つのリクライニング装置で両側から支持され、クッションフレームを介して間接的にシートスライドのアッパーレールに支持される自動車用シートのバックレストフレームに適用したものである。
【0013】
このように、両サイドがリクライニング装置によって支持される自動車用シートのバックレストフレームは、リクライニング装置によって支持される所定幅の左右一対のサイド部3、3と、これら左右一対のサイド部3、3の上部を連設する所定幅のアッパー部4と、一対のサイド部3、3の下部を連設するロア部5と、左右一対のサイド部3、3、アッパー部4およびロア部5の一側の端縁から折り曲げによって連設された底板部6と、一対のサイド部3、3、アッパー部4およびロア部5の他側の端縁から折り返された折り返し部8とを備え、全体が板金のプレス加工によって形成されている。
【0014】
上記ロア部5は、両側ロックにより、他の三周囲に比べ強度が要求されないので、細幅となっており、場合によっては折り返し部8を不要にすることができる。前記折り返し部8は、この実施の形態1では略逆U字状部であるが、これに代えて略逆U字状部の先端が開いた逆U字状、略逆U字状部の先端が閉じた逆U字状または略逆U字状をつぶした形状とすることもできる。
【0015】
前記左右一対のサイド部3、3のリクライニング装置取付位置に補強手段10が設けられ、この補強手段10は補強板11と、この補強板11に溶接される角ナット12とからなる。この実施の形態1では、角ナット12溶接済み補強板11が溶接により固着されているが、これに代えて2個のTナットあるいは2連のTナットを用い、これらのTナットのフランジ部を溶接することもできる。
【0016】
前記アッパー部4の下側に下方からの切り起こしによりアッパー部4に沿ったヘッドレスト用のホルダ支持部7が形成され、このホルダ支持部7およびアッパー部4に図5に示すヘッドレスト用グロメット13を支持するホルダを支持または貫通する左右一対の支持孔14が形成されている。
【0017】
前記サイド部3、3には、一部を切り起こして折り曲げることによりスプリングハンガ15が形成されている。図6に示すように、このスプリングハンガ15を介して左右一対のサイド部3、3間にSばねなどのスプリング16が複数本掛け渡され、パッド17を弾性的に支持する構造となっている。また、前記左右一対の底板部6、6間には、アッパー部4寄りの位置に横断部18が形成されている。
【0018】
次に、前記した自動車用シートのバックレストフレームの組立手順を説明する。このバックレストフレームの組み立てに際し、まず、あらかじめプレス加工により成形したバックレストフレームを用いる。次いで、左右一対のサイド部3、3のリクライニング装置取付位置に角ナット12溶接済み補強板11を溶接により固着する。これにより、バックレストフレームの組み立てを終了する。
【0019】
このように、この実施の形態1では、バックレストフレームが板金のプレス加工により形成される構造であるので、溶接箇所が減少し、品質が安定し、組立性が向上する。また、従来、不可欠であったメインメンバとしてのパイプやサブメンバとしてのワイヤなどを不要にできるので、部品点数を減少させることができる。
【0020】
また、この実施の形態1では、左右一対のサイド部3、3のリクライニング装置取付位置に補強手段10を設けたので、バックレストフレームの板厚を最適な値に設定し、薄くすることができる。
また、この実施の形態1では、前記ホルダ支持部は絞り加工で成形できる限界を超えているので、別途ホルダ用の部品の取り付けが必要である。この実施の形態1では、これを不要にすることができる。
さらに、この実施の形態1では、左右一対の底板部6、6間には、アッパー部4寄りの位置に横断部18を連設した構造としたので、パッドを支持するばね類を不要にし、部品点数を減少させることができる。また、ヘッドレストステイを後方に突出させず、後方から触れることができない。
【0021】
(実施の形態2)
図7は実施の形態2に係る自動車用シートのバックレストフレームを示す斜視図、図8は図7のD−D矢視断面図、図9は図7のE−E矢視断面図である。
この実施の形態2に係る自動車用シートのバックレストフレームは、前記実施の形態1と略同様の構成を有するが、左右一対の底板部6、6間には、横断部18に加えて、着座者の腰椎部に相当する中央位置に横断部19を形成し、この横断部19に中央部位を前方に盛り上げた盛上部21を形成し、この盛上部21でパット17の中央部を直接支持した構造としたものである。
この構造により、盛り上げ高さの変化で着座者の腰椎部支持圧を調整することができる。また、パッド17の厚さを薄くできるので、パッド17の使用量を減少させ、シートの軽量化を図ることができる。
【0022】
(実施の形態1に係る変形形態)
図10は変形形態1における補強手段を示す斜視図である。この補強手段10は、前記実施の形態1と略同様の構成を有するが、実施の形態1の補強手段を改良した点で特徴を有する。
すなわち、この補強手段10は、補強板11をプレス加工により形成する際、この補強板11に孔22を打ち抜き、孔22の内周面に雌ねじ23を刻設した構造としたものである。この構造により、実施の形態1における溶接工程を不要にし、補強手段10の取付性や取付精度を向上させることができる。
【0023】
図11は変形形態2における補強手段を示す斜視図である。この補強手段10は、前記変形形態1と略同様の構成を有するが、変形形態1の補強手段を改良した点で特徴を有する。
すなわち、この補強手段10は、孔加工により補強板11に孔22を形成し、この孔22の内周面に雌ねじ23を刻設した構造としたものである。この構造により、変形形態1におけるプレス加工を不要にし、加工工数を減少させることができる。
【0024】
図12は変形形態3における補強手段を示す斜視図である。この補強手段10は、前記変形形態1と略同様の構成を有するが、変形形態1の補強手段を改良した点で特徴を有する。
すなわち、この補強手段10は、2個のボス24付き補強円板25を用い、ボス24に孔22を形成し、この孔22の内周面に雌ねじ23を刻設した構造としたものである。この構造により、ボス24付き補強円板25を冷間鍛造により容易に製造でき、大きい強度を得ることができる。
【0025】
図13は変形形態4であって、円形リクライニング装置に適用した補強手段を示す斜視図、図14は円形リクライニング装置を示す斜視図である。この補強手段10は、前記変形形態1と略同様の構成を有するが、円形リクライニング装置26に適用した点で特徴を有する。
すなわち、図14に示すように、前記円形リクライニング装置26は、クッションフレーム側のベース27と、このベース27に対して回転角調整可能なバックレストフレーム側のアーム円板28とを備え、このアーム円板28からエンボス29が同心円状に多数突出しており、これらのエンボス29を介してバックレストフレームが支持される構造となっている。
【0026】
一方、図13に示すように、前記補強手段10は、補強円板25を用い、この補強円板25は中心に軸孔30を有し、この軸孔30の周囲にエンボス挿入孔31が多数等間隔で同心円状に形成されている。左右一対のサイド部3、3のリクライニング装置取付位置にはヒンジセンタ20に軸孔30が形成され、この軸孔30の周囲に補強円板25と同様のエンボス挿入孔31が多数等間隔で同心円状に形成され、このエンボス挿入孔31および軸孔30に補強円板25のエンボス挿入孔31および軸孔30を一致させた状態で補強円板25が溶接により固着されている。
【0027】
円形リクライニング装置26の取り付けに際しては、アーム円板28より突出するエンボス29をサイド部3、3および補強円板25のエンボス挿入孔3、31に挿入し、挿入後、溶接またはカシメにて固着し、これにより円形リクライニング装置26を取り付ける。このように、エンボス挿入孔31を同心円状に多数形成した補強円板25を補強手段10として用いたので、円形リクライニング装置26に対して容易に適用することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、バックレストフレームは、サイド部と、アッパー部と、ロア部と、折り返し部と、横断部と、ヘッドレスト用のホルダ支持部とを備え、全体が板金のプレス加工により形成された構造としたので、部品点数および組立工数が減少し、溶接箇所が少なく品質が安定する。また、サイド部のリクライニング装置取付位置に補強手段を設けた構造としたので、バックレストフレームは最適な板厚に設定することができる。
【0029】
また、ホルダ支持部は絞り加工で成形できる限界を超えているので、別途ホルダ用の部品の取り付けが必要が、この発明では、これを不要にすることができる。
【0030】
さらに、左右一対の底板部間に1以上の横断部を連設した構造としたので、ばね類を不要にし、部品点数を減少させることができる。
【0031】
請求項2記載の発明によれば、前記1以上の横断部のうち、腰椎支持位置の横断部に前方へ盛り上げた盛上部を形成した構成としたので、盛り上げ高さの変化で着座者の腰椎部支持圧を調整することができ、また、パッドを厚さを薄くできるので、パッドの使用量を減少させ、シートの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る自動車用シートのバックレストフレームを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図1の補強手段を示す斜視図である。
【図4】図1のB−B矢視断面図である。
【図5】ヘッドレスト用グロメットを示す斜視図である。
【図6】図1のC−C矢視断面図である。
【図7】実施の形態2に係る自動車用シートのバックレストフレームを示す斜視図である。
【図8】図7のD−D矢視断面図である。
【図9】図7のE−E矢視断面図である。
【図10】変形形態1における補強手段を示す斜視図である。
【図11】変形形態2における補強手段を示す斜視図である。
【図12】変形形態3における補強手段を示す斜視図である。
【図13】変形形態4であって、円形リクライニング装置に適用した補強手段を示す斜視図である。
【図14】円形リクライニング装置を示す斜視図である。
【図15】従来の片側ロックタイプの自動車用シートのバックレストフレームを示す斜視図である。
【図16】従来の両側ロックタイプの自動車用シートのバックレストフレームを示す斜視図である。
【符号の説明】
3 サイド部
4 アッパー部
5 ロア部
6 底板部
7 ホルダ支持部
8 折り返し部
10 補強手段
11 補強板
12 角ナット
13 ヘッドレスト用グロメット
14 支持孔
15 スプリングハンガ
16 スプリングワイヤ
17 パッド
18 横断部
19 横断部
20 ヒンジセンタ
21 盛上部
22 孔
23 雌ねじ
24 ボス
25 補強円板
26 円形リクライニング装置
27 ベース
28 アーム円板
29 エンボス
30 軸孔
31 エンボス挿入孔

Claims (2)

  1. 両サイドがリクライニング装置によって支持される自動車用シートのバックレストフレームであって、前記リクライニング装置によって支持される所定幅の左右一対のサイド部と、これら左右一対のサイド部の上部を連設する所定幅のアッパー部と、左右一対のサイド部の下部を連設するロア部と、これらの一対のサイド部、アッパー部およびロア部の一側の端縁から折り曲げによって連設された底板部と、少なくとも一対のサイド部およびアッパー部の他側の端縁から折り返された折り返し部と、前記左右一対の底板部間に連設された1以上の横断部と、前記アッパー部下側の底板部への切り起こしによりアッパー部に沿って形成されたヘッドレスト用のホルダ支持部と、このホルダ支持部およびアッパー部に形成されたヘッドレストステイの直接または間接の支持孔とを備え、全体が板金のプレス加工によって形成され、前記左右一対のサイド部のリクライニング装置取付位置に補強手段を設けたことを特徴とする自動車用シートのバックレストフレーム。
  2. 前記1以上の横断部のうち、腰椎支持位置の横断部に前方へ盛り上げた盛上部を形成したことを特徴とする請求項1記載の自動車用シートのバックレストフレーム。
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