JP3763008B2 - 紙塗被剤用保水剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙塗被剤用保水剤に関するものであり、詳しくは紙塗被組成物に適度の増粘性、高剪断速度下の流動性、保水性、及び塗工紙の印刷適性に優れた性能を付与する紙塗被剤用保水剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
塗工紙を製造するための紙塗被組成物(以下「塗工液」とする)は、主として顔料、結合剤、水、及び各種の添加剤からなる水系分散体混合物であり、顔料としては、カオリン、焼成クレー、炭酸カルシウム等が、また、結合剤(または接着剤)としては、SBR系ラテックス、MBR系ラテックス等の合成ゴム系水性分散体が用いられ、さらに、デンプン、カゼイン、大豆タンパク等の天然系水溶性高分子が使用されている。
【0003】
しかし近年、製造における塗工層乾燥時の膨大な消費エネルギーを念頭においたコスト削減をねらって、塗工液の高濃度化(低水分化)が要望されてきた。また、塗工紙の需要激増により工程の高速化が求められているとともに、この工程の高速化、特にコーターの高速度化に伴う塗工液の良好な流動性、すなわち高剪断速度下における塗工液の流動性が強く求められている。一方、低剪断速度下では適度な粘性を与える必要があり、また、高い保水性を要求されてきた。保水性が不充分である場合、塗工時に塗工液中の水分が急激に紙へ浸透、移行し、塗工表面での塗工液の濃度上昇が生じ、塗工紙の品質上の欠陥や、操業上のトラブルを引き起こすこととなる。
【0004】
この保水性を向上させる目的で、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、変性デンプン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリスチレン/マレイン酸等が保水剤として使用されていた。
【0005】
しかし、これらは保水性には非常に優れているものの、高剪断速度下での流動性、及び高濃度化時の流動性の低さ、印刷適性の悪さ等の点で多くの欠点をもっていた。
【0006】
また、結合剤(接着剤)であるブタジエン系ラテックスに対する改良も行われ、例えばブタジエン系ラテックスにカルボキシル基を0.5〜10%程度導入することによる諸物性の改良等が試みられた。しかしこれらはその構造上の制約等から印刷適性等には優れているものの、印刷適性以外の性能、とりわけ保水性に関してはこれを付与することは全く不可能であった。
【0007】
そこで従来の保水剤の欠点を解決する目的で多くの保水剤が提案されてきた。例えば水溶性高分子として、アクリルアミド系では特開昭53−74117号、特開平5−222696号、特開平8−170298号等が、スチレンスルホン酸系としては特開平2−289196号等が、また、ポリビニルアルコール系としては特開平3−124899号等があり、さらにカルボン酸系アルカリ可溶性エマルジョンとしては、例えば特開昭52−118015号、特開昭56−101995号、特開昭61−43607号、特公昭62−8560号、特公平4−9238号、特開平8−188987号等を挙げることができる。
【0008】
しかし、これら従来の保水剤では保水性が不十分であること、また、保水性を向上させるために添加量を多くすると粘度、特に高剪断速度下で粘度が高くなり過ぎ塗工が困難となるため、高濃度化、高速度化が不能となるという欠点を持っていた。さらに、品質上ではストリーク、スクラッチ等の塗工紙の欠陥や操業上のトラブルを引き起こすものであり、塗工紙の印刷適性上においては、白紙光沢、印刷光沢、ドライ及びウエットピック表面強度、耐ブリスター性、平滑性、インキ受理性、網点再現性等を満足させるものからはほど遠いものであった。
【0009】
しかし、市場からはこのような優れた保水剤の開発が長年切望されていた。
【0010】
[発明の目的]
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、紙塗被剤に低剪断速度下では適度な増粘性を、高剪断速度下では良好な流動性を与え、かつ極めて優れた保水性を付与し、塗工紙の印刷適性に優れ、高濃度化による乾燥エネルギーの削減と、塗工速度の向上による生産性向上、並びに塗工紙の品質の向上を可能とする紙塗被剤用保水剤を提供するところにある。
【0011】
【課題を解決しようとする手段】
本発明の紙塗被剤用保水剤は、連鎖移動剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(以下、略して「DPMP」ともいう)を使用して脂肪族共役ジエン系単量体を除くラジカル重合性疎水性単量体(A)とラジカル重合性親水性単量体(B)とを共重合させてなる共重合体よりなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成に関連する主要な事項について項目別に詳細に説明する。
(1)連鎖移動剤
本発明における紙塗被剤用保水剤である共重合体を後述する一連の単量体群(A)、(B)から重合して合成する場合、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを連鎖移動剤として用いる。該連鎖移動剤を使用すると、紙塗被組成物(塗工液)に低剪断速度下では適度な増粘性を、高剪断速度下では良好な流動性を与え、かつ極めて優れた保水性を付与し、塗工紙の印刷適性に優れた共重合体(保水剤)を製造することが可能となる。
【0013】
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを連鎖移動剤として用いることにより、(共)重合体の分子量制御が可能であることは公知である(特公昭56−45490号、特開昭58−217511号、特開昭59−81322号、特開平3−109451号、特開平5−17510号他)。しかし研究の結果、後述する一連の単量体群(A)、(B)とDPMPを使用することにより、他の連鎖移動剤であるチオール類、スルフィド類、ジスルフィド類、ハロゲン化炭素類、ハロゲン化炭化水素類等を使用した場合と比較して、紙塗被剤用保水剤として非常に優れた性能をもつ共重合体が得られることを見い出した。その作用機構については不明な点が多いが、共重合体の末端に疎水基が配置されている可能性があり、これが何等かの相互作用を与えるため種々の効果をもたらしているものと推測される。
【0014】
該共重合体の構造、作用機構と効果の関係等については必ずしも明らかではないが、DPMPの反応機構に関しては最近幾つかの知見が得られており、その連鎖移動機構は通常の連鎖移動剤とは異なり、付加−分裂(addition-fragmentation)連鎖移動反応によることが判明している。
【0015】
この反応機構を採るものにはフェニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基によって活性化されたアリル部位をもつ化合物があり、α位にメチル基をもつ単量体の二量体からも得られ、また、開裂部位がC−S、C−Br、C−O結合であるものも報告されており、これらは本発明における共重合体の製造時、DPMPとの併用が可能である。
【0016】
DPMPと単量体との反応を図1に示す。まず、生長ラジカルにDPMPが付加し、その末端DPMP生長ラジカルのDPMP部分のC−C結合が分裂してクミルラジカルを生成、このクミルラジカルが単量体と反応し再開始する。DPMPの付加分裂切片を末端に持つ重合体、すなわちC=C二重結合を持つ重合体とクミル基を再開始切片とする重合体とが生成し、C=C二重結合は重合体尾部(DPMPが付加後分裂した残りの部分)に、クミル基は重合体頭部(重合を再開始した最初の部分)に存在する。なお、C=C二重結合、クミル基はそれぞれ重合体1分子に対し、ほぼ1個ずつ結合していることが確認されており、重合体内部には存在せず、以下に示したように重合体がDPMPの中に挿入された形になると報告されている。
【0017】
本発明における共重合体を後述する一連の単量体群(A)、(B)から重合する場合、上記連鎖移動剤DPMPの使用量は単量体(A)、(B)の合計量に対して0.001〜2重量%(以下、単に「%」という)に設定することが好ましく、より好ましくは0.005〜0.5%である。すなわち、DPMPの使用量が0.001%未満では共重合体の分子量が大きすぎるため、塗工液の粘度が高くなり過ぎてしまい、また、2%を越えると共重合体の分子量が小さすぎるため、塗工液の粘度が低く保水性が低下する。また、0.001〜2%の範囲外では塗工紙の印刷適性も不良となる。
【0018】
なお、上記DPMPの合成時には、副生物として、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンや、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン等を副生することが多いが、これら副生物に連鎖移動剤としての効果があるため、DPMPはこれら副生物との混合物であっても差支えない。
【0019】
本発明における共重合体の重合に際しては、上記DPMP以外の連鎖移動剤を併用することも可能である。上記DPMP以外の連鎖移動剤としては、例えば、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、α−ナフタレンチオール、β−ナフタレンチオール、メルカプトメタノール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸n−オクチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸ドデシル、チオグリコール酸オクタデシル、チオグリコール酸ベンジル、チオグリコール酸メトキシエチル、チオグリコール酸メトキシブチル、β−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸メチル、β−メルカプトプロピオン酸エチル、β−メルカプトプロピオン酸プロピル、β−メルカプトプロピオン酸ブチル、β−メルカプトプロピオン酸n−オクチル、β−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸ドデシル、β−メルカプトプロピオン酸オクタデシル、β−メルカプトプロピオン酸ベンジル、β−メルカプトプロピオン酸メトキシエチル、β−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス−(β−メルカプトプロピオネート)等のチオール(メルカプタン)類、四塩化炭素、クロロホルム、四臭化炭素、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素類又はハロゲン化炭素類、アミン類、ニトロ化合物類、アルコール類、アルデヒド類、スルフィド類、ジスルフィド、スルホキシド類、スルホン類、その他、次亜リン酸塩、クメン、アントラセン、アリル化合物、ジイソブチレン、テルピノレン、β−テルピネン、γ−テルピネン、1,4−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,4−シクロヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併用して用いることができる。そして、これら連鎖移動剤は、本発明における保水剤である共重合体の効果等を阻害しない程度の量で併用できる。
【0020】
(2)単量体(A)
本発明における共重合体(紙塗被剤用保水剤)を構成する単量体において、脂肪族共役ジエン系単量体を除くラジカル重合性疎水性単量体(A)として、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、カルボン酸ビニル系単量体、スチレン系単量体、アクリロニトリル系単量体、ビニルエーテル系単量体、ジカルボン酸ジエステル系単量体等が挙げられる。これらの単量体(A)は、単独で、もしくは2種類以上で用いられる。
【0021】
上記単量体(A)の中で、好ましい単量体は下記一般式(A−1)〜(A−3)にて表される単量体である。
【0022】
【化3】
Figure 0003763008
【0023】
上記一般式(A−1)〜(A−3)で表される単量体は、単独で、もしくは2種類以上で用いられる。これらの中で、一般式(A−1)で表される単量体が特に好ましい。
【0024】
単量体(A)の具体例を以下に示す。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の例として、上記一般式(A−1)で表される単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、 tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イコシル(=エイコシル)(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(=ヘンエイコシル)(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、オクタデセニル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0025】
カルボン酸ビニル系単量体の例として、上記一般式(A−2)で表される単量体の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル(ブタン酸ビニル)、吉草酸ビニル(ペンタン酸ビニル)、ピバリン酸ビニル(2,2−ジメチルプロピオン酸ビニル)、カプロン酸ビニル(ヘキサン酸ビニル)、オクタン酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ウンデカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、トリデカン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。
【0026】
スチレン系単量体の例として、上記一般式(A−3)で表される単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、o−,m−,p−エチルスチレン、o−,m−,p−イソプロピルスチレン、o−,m−,p−tert−ブチルスチレン等が挙げられる。
【0027】
アクリロニトリル系単量体の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0028】
ビニルエーテル系単量体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−アミルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0029】
ジカルボン酸ジエステル系単量体の例としてマレイン酸ジアルキルエステル、フマールジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
なお、本発明の単量体(A)から除かれる脂肪族共役ジエン系単量体の例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン、置換及び側鎖ヘキサジエン等が挙げられる。これら脂肪族共役ジエン系単量体を共重合成分として使用すると、保水性などが著しく低下するため、本発明の共重合体の成分から除かれる。
【0030】
該共重合体を構成する単量体(A)の量は、30〜80%、好ましくは40〜70%である。(A)の量が30%未満では塗工液の粘度が高くなり過ぎ、80%を超えると充分な増粘性、保水性が得られない。また、30〜80%の範囲外では塗工紙の印刷適性も不良となる。
【0031】
(3)単量体(B)
本発明における共重合体(紙塗被剤用保水剤)を構成する単量体において、ラジカル重合性親水性単量体(B)は、カルボキシル基含有単量体、スルホン基含有単量体、硫酸エステル基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体、アルキレンオキシド基含有単量体、アミド基含有単量体、アミノ基含有単量体、アンモニウム基含有単量体等が挙げられる。これらの単量体(B)は、単独で、もしくは2種類以上で用いられる。
【0032】
上記単量体(B)の中で、好ましい単量体は下記一般式(B−1)〜(B−4)にて表される単量体である。
【0033】
【化4】
Figure 0003763008
【0034】
上記一般式(B−1)〜(B−4)で表される単量体は、単独で、もしくは2種類以上で用いられる。これらの中で、一般式(B−1)、及び(B−2)で表される単量体が好ましく、特に一般式(B−1)で表される単量体が好ましい。
これら単量体(B)の具体例を以下に示す。
カルボキシル基含有単量体の例として、上記一般式(B−1)で表される単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。その他、クロトン酸、ケイ皮酸、アトロパ酸等のモノカルボン酸系単量体、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メサコン酸等のジカルボン酸系単量体、及びこれらの酸無水物、さらにジカルボン酸モノアルキルエステル系単量体等が挙げられる。これらの中で特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0035】
また、上記カルボキシル基含有単量体は塩基性物質にてその一部、もしくは全部を中和して得られる塩を使用してもよく、該塩基性物質の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピリジン、アニリン、シクロヘキシルアミン、モルホリン等が挙げられる。
【0036】
スルホン基含有単量体の例としては、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド−N−メチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドフェニルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル、(メタ)アクリル酸スルホ2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。また、これらスルホン基含有単量体は、塩基性物質にてその一部、もしくは全部を中和して得られる塩を使用してもよく、該塩基性物質の例としては前述カルボキシル基含有単量体の例で挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0037】
硫酸エステル基含有単量体の例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル硫酸エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル硫酸エステル、(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレン硫酸エステル、硫酸(メタ)アリルエステル、(メタ)アリルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステル等が挙げられる。また、これら硫酸エステル基含有単量体は、塩基性物質にてその一部、もしくは全部を中和して得られる塩を使用してもよく、該塩基性物質の例としては前述カルボキシル基含有単量体の例で挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0038】
ヒドロキシル基含有単量体の例として、上記一般式(B−2)で表される単量体の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシデシレン(メタ)アクリレート、ポリオキシドデシレン(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラデシレン(メタ)アクリレート、ポリオキシヘキサデシレン(メタ)アクリレート、ポリオキシオクタデシレン(メタ)アクリレート、ポリオキシイコシレン(メタ)アクリレート、ポリオキシトリアコンチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、グリセリン(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0039】
アルキレンオキシド基含有単量体の例として上記一般式(B−2)で表される単量体の例があり、また前述ヒドロキシル基含有単量体の例の他に、上記一般式(B−2)で表される単量体の例としては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシブチレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシデシレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシドデシレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシテトラデシレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシヘキサデシレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシオクタデシレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシイコシレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシトリアコンチレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシデシレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシドデシレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラデシレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシヘキサデシレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシオクタデシレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシイコシレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシトリアコンチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、ポリオキシアルキレングリセリン(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンアルケニル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシアルキレングリセリン(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0040】
アミド基含有単量体の例として、上記一般式(B−3)で表される単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。その他、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。
【0041】
アミノ基含有単量体の例として、上記一般式(B−4)で表される単量体の例としては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノネオペンチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノネオペンチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノネオペンチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノネオペンチルアミド等が挙げられる。その他、ビニルピリジン、アミノスチレン、アミノアルキルスチレン等が挙げられる。
【0042】
また、上記アミノ基含有単量体は酸性物質にてその一部、もしくは全部を中和して得られる塩を使用してもよく、該酸性物質の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、酢酸、ギ酸等が挙げられる。
【0043】
アンモニウム基含有単量体の例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等、上記一般式(B−4)で表される単量体の4級化物(塩)や、ビニルピリジン、アミノスチレン、アミノアルキルスチレンの4級化物(塩)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0044】
該共重合体を構成する単量体(B)の量は、20〜70%、好ましくは30〜60%である。単量体(B)の量が20%未満では充分な増粘性、保水性が得られず、70%を超えると塗工液の粘度が高くなり過ぎる。また、20〜70%の範囲外では塗工紙の印刷適性も不良となる。
【0045】
(4)共重合体(保水剤)
本発明の共重合体(紙塗被剤用保水剤)は、以上の脂肪族共役ジエン系単量体を除くラジカル重合性疎水性単量体(A)とラジカル重合性親水性単量体(B)とを2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを連鎖移動剤として共重合させて得た共重合体より構成され、単量体(A)の量が30〜80%、単量体(B)の量が20〜70%であり、好ましくは(A)の量が40〜70%、(B)の量が30〜60%である。連鎖移動剤2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの量は、全単量体量に対して0.001〜2%で、好ましくは0.005〜0.5%であり、平均分子量(重量平均分子量)は10,000〜10,000,000で、好ましくは平均分子量が100,000〜3,000,000である。共重合体の平均分子量が10,000未満では、充分な増粘性、保水性が得られず、10,000,000を超えると塗工液の粘度が高くなり過ぎる。また、10,000〜10,000,000の範囲外では塗工紙の印刷適性も不良となる。
【0046】
該共重合体を構成する単量体は、ブロック、ランダム、交互、グラフトのいずれの形式で重合していてもよい。
【0047】
(5)重合方法
本発明の共重合体の製造方法は特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、及び塊状重合のいずれの方法を採用することも可能であり、好ましくは溶液重合法、乳化重合法であり、特に乳化重合法が好ましい。
【0048】
上記溶液重合法または乳化重合法によって目的とする共重合体を重合する場合、重合用溶媒(媒体)としては、水、および有機溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、クロロメタン、クロロエタン、クロロフルオロメタン、クロロフルオロエタン、フルオロメタン、フルオロエタン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、これらの溶媒は適宜併用してもよい。
【0049】
重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−ヒドロクロリド、レドックス系開始剤(過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸アンモニウム−酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等)、O−アリルOO−t−ブチルパーオキシカーボネート、OO−t−ブチルO−2−(メタクリロイルオキシ)エチルパーオキシカーボネート、t−ブチル(E)−3−イソプロポキシカルボニルパーオキシアクリレート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のラジカル供与剤が挙げられる。また、紫外線、電子線、放射線等による光重合によってラジカルを発生させてもよく、この場合、光増感剤等を使用してもよい。
【0050】
上記乳化重合法を採用する場合、通常の乳化剤を使用すればよく、乳化剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン酸塩、硫酸化脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホ脂肪酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル酸、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホコハク酸モノエステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルスルホコハク酸モノエステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルスルホコハク酸モノエステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルケニルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、N,N−ジヒドロキシエチルアルキルアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンペンタエリスリトールアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン等の非イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルアラルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルピコリニウム塩等のカチオン性界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型等の両性界面活性剤、カゼイン、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリカルボン酸塩、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミド、スチレン−マレイン酸共重合体およびその誘導体、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、アミン−エピクロルヒドリン樹脂、(ポリ)アルキレンポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ポリ(ジアリルアミン)−エピクロルヒドリン樹脂等の高分子型界面活性剤等が挙げられ、これらの界面活性剤は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0051】
なお、本発明においては、本発明の保水剤を、その製造時の重合用乳化剤としてそのまま、もしくは中和して用いることもできる。
【0052】
その他、pH緩衝剤、キレート剤等を、重合時に使用してもよく、pH緩衝剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられ、キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0053】
上記共重合体の重合に際しては、連鎖移動剤、各単量体(A)、(B)、重合開始剤および必要により界面活性剤からなる混合物の総量が全体の5〜90%、好ましくは10〜80%であり、残部が媒体(水、有機溶媒)とする。また、重合温度は5〜200℃、好ましくは50〜100℃である。他の条件、方法等は、一般的な重合の条件、方法に従って実施すればよく、例えば、単量体等の重合系への添加方法については、一括添加法、連続添加法、分割添加法等が挙げられ、これらを採用すればよい。
【0054】
(6)該共重合体(保水剤)が対象とする紙塗被剤
本発明の共重合体が対象とする紙塗被剤は、主として顔料、結合剤(接着剤)、分散剤、水、及び各種の添加剤からなる水系分散体混合物であり、後述のコート紙等の製造に使用される。
【0055】
塗工液の構成成分中、顔料としては、例えばカオリン、焼成クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、サチンホワイト、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、プラスチックピグメント等が挙げられ、結合剤としては、例えばスチレン/ブタジエン系ラテックス、メチルメタクリレート/ブタジエン系ラテックス、及びこれらのカルボキシル変性ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス等の合成ゴム系水性分散体、及びデンプン、変性デンプン、カゼイン、大豆タンパク、変性大豆タンパク等の天然系水溶性高分子が挙げられる。分散剤としては、例えばポリカルボン酸塩、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられ、耐水化剤としては、例えば尿素樹脂、メラミン樹脂、グリオキザール等が挙げられる。その他の添加剤として、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、蛍光増白剤、離型剤、レベリング剤、老化防止剤等も適宜使用される。また、本発明の保水剤の性能を疎外しない範囲内において、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、変性デンプン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール等、従来の保水剤を1種類以上併用することも可能である。
【0056】
通常、塗工液中の顔料100重量部(以下、単に「部」という)に対し、結合剤の使用量は乾燥重量で5〜20部、分散剤の使用量は乾燥重量で0.1〜0.5部であり、残部を水とした塗工液の固形分濃度は40〜70%程度である。
【0057】
本発明の保水剤は通常pH調整を必要とし、水酸化ナトリウム、アンモニア等の塩基性物質にてpH7〜11程度に調整する。なお、本発明の保水剤は、塗工液の調製後これに保水剤を添加してその後pH調整を行うことが操作上好ましいが、塗工液のpH調整後保水剤を添加しても良く、また保水剤単独でのpH調整後塗工液に添加してもよい。
【0058】
本発明の保水剤の添加量については特に限定されず、粘度等の要求物性項目に応じて適宜増減され使用される。ただし、通常塗工液中の顔料100部に対し、固型分換算で0.01〜5部、好ましくは0.05〜2部程度が使用される。
【0059】
(7)紙塗被剤の紙への塗工
本保水剤が対象とする塗工液の紙への塗工方法は、特に限定されず公知の方法に従えばよく、例えばエアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ヘリコーター等の塗工装置によって紙へ塗工される。この時、塗工液の固形分濃度は通常40〜70%程度であるが、本発明の保水剤使用時には65%以上の高濃度での塗工が可能で、低水分化することができる。また、塗工液は紙の片面または両面に塗工され、塗工量は乾燥重量で通常片面に5〜25g/m程度であり、乾燥後通常カレンダー処理、スーパーカレンダー処理が施される。塗工用原紙としては坪量40〜600g/mの上質紙、中質紙、板紙等、及びこれらのコート紙等の印刷用紙が使用される。なお、本発明の保水剤使用時には、高剪断粘度が低く、流動性に優れるため、塗工速度1,000m/min以上の高速塗工が可能である。
【0060】
本発明の保水剤を用いることにより、紙塗被組成物に低剪断速度下では適度な増粘性を、高剪断速度下では良好な流動性を与え、かつ極めて優れた保水性を付与し、塗工紙の印刷適性に優れ、高濃度化による乾燥エネルギーの削減と、塗工速度の向上による生産性向上を可能とする。従来の合成系保水剤比較し、本発明の剤は上記の点で優れている。
【0061】
【実施例】
以下に実施例、及び比較例を挙げて本発明の具体的な実施形態、及び効果について説明するが、本発明の技術的範囲はこれにより限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は重量基準である。
【0062】
【表1】
Figure 0003763008
【表2】
Figure 0003763008
【表3】
Figure 0003763008
【0063】
1.共重合体(保水剤)の製造例
実施例1([表1][表3]参照)
エチルアクリレート5部、メタクリル酸5部、DPMP0.02部、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートナトリウム1.5部、炭酸水素ナトリウム0.6部、及び水110部を、滴下装置、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて85℃まで加熱した後、過硫酸アンモニウム0.6部を10部の水に溶解した水溶液を添加して重合を開始した。水溶液添加後より5分後、エチルアクリレート45部、メタクリル酸45部、DPMP0.18部、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートナトリウム0.5部、及び水100部を混合したエマルジョン状態の混合物を滴下装置から3時間かけて滴下し、この間の温度は85℃に保ち、さらに85℃で2時間撹拌を続けた後、30℃まで冷却し、平均分子量320,000の共重合体を得た。
【0064】
実施例2([表1][表3]参照)
メチルメタクリレート15部、エチルアクリレート55部、メタクリル酸30部、DPMP0.1部、アゾビスイソブチロニトリル0.4部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキシド(「EO」以下同様。)繰返し単位:20)9部、及び水200部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて80℃で6時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量750,000の共重合体を得た。
【0065】
実施例3([表1][表3]参照)
エチルアクリレート30部、n−ブチルアクリレート25部、メタクリル酸40部、アクリル酸5部、DPMP0.05部、過硫酸カリウム0.2部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム(EO繰返し単位:20)1.5部、及び水240部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて75℃で10時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量1,200,000の共重合体を得た。
【0066】
実施例4([表1][表3]参照)
エチルアクリレート35部、2−エチルヘキシルメタクリレート10部、メタクリル酸35部、ポリオキシエチレンモノメタクリレート(EO繰返し単位:8)20部、DPMP0.008部、ベンゾイルパーオキシド0.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム14部、及び水300部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて60℃で10時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量3,000,000の共重合体を得た。
【0067】
実施例5([表1][表3]参照)
エチルアクリレート10部、酢酸ビニル15部、ピバリン酸ビニル8部、ノナン酸ビニル8部、メタクリル酸54部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、DPMP0.4部、ラウロイルパーオキシド8部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホコハク酸モノエステル二ナトリウム(EO繰返し単位:12)3部、及び水200部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて95℃で2時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量170,000の共重合体を得た。
【0068】
実施例6([表1][表3]参照)
イソブチルアクリレート30部、スチレン18部、α−メチルスチレン5部、メタクリル酸45部、ポリオキシエチレンジアクリレート(EO繰返し単位:20)2部、DPMP0.005部、過硫酸ナトリウム0.2部、亜硫酸水素ナトリウム0.2部、リン酸ナトリウム0.6部、水酸化ナトリウム0.1部、ラウリルサルフェートナトリウム2部、及び水400部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて20℃で24時間撹拌し、平均分子量7,000,000の共重合体を得た。
【0069】
実施例7([表1][表3]参照)
エチルメタクリレート65部、ステアリルアクリレート10部、無水マレイン酸23部、イタコン酸2部、DPMP0.8部、ラウロイルパーオキシド5部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム(EO繰返し単位:6)5部、及び水200部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて90℃で3時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量110,000の共重合体を得た。
【0070】
実施例8([表1][表3]参照)
メチルアクリレート15部、n−ブチルメタクリレート15部、アクリル酸15部、アクリルアミド55部、DPMP0.01部、2,2´−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO繰返し単位:50)3部、及び水400部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて60℃で2時間、70℃で10時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量2,300,000の共重合体を得た。
【0071】
実施例9([表1][表3]参照)
エチルアクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート8部、アクリル酸50部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート12部、DPMP0.05部、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)−ヒドロクロリド6部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO繰返し単位:30)5部、イソプロピルアルコール100部、及び水200部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて75℃で10時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量900,000の共重合体を得た。
【0072】
比較例1([表2][表3]参照)
エチルアクリレート25部、メタクリル酸45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部、DPMP0.02部、過硫酸カリウム0.2部、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートナトリウム1部、炭酸水素ナトリウム0.3部、及び水240部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて70℃で7時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量1,500,000の共重合体を得た。
【0073】
比較例2([表2][表3]参照)
エチルアクリレート55部、メチルメタクリレート15部、n−ブチルアクリレート15部、メタクリル酸15部、DPMP10部、ラウロイルパーオキシド5部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム(EO繰返し単位:6)10部、及び水200部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて80℃で4時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量8,000の共重合体を得た。
比較例3([表2][表3]参照)
エチルアクリレート5部、メタクリル酸5部、n−ドデカンチオール(n−ドデシルメルカプタン)0.003部、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートナトリウム1.5部、炭酸水素ナトリウム0.6部、及び水110部を、滴下装置、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて85℃まで加熱した後、過硫酸アンモニウム0.6部を10部の水に溶解した水溶液を添加して重合を開始した。水溶液添加後より5分後、エチルアクリレート45部、メタクリル酸45部、n−ドデカンチオール0.027部、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートナトリウム0.5部、及び水100部を混合したエマルジョン状態の混合物を滴下装置から3時間かけて滴下し、この間の温度は85℃に保ち、さらに85℃で30分間撹拌を続けた後、30℃まで冷却し、平均分子量320,000の共重合体を得た。この共重合体はDPMPを使用せず、他の連鎖移動剤のみで分子量を調整したものである。
【0074】
比較例4([表2][表3]参照)
メチルメタクリレート15部、エチルアクリレート55部、メタクリル酸30部、四塩化炭素1.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.4部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO繰返し単位:20)9部、及び水200部を、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて80℃で6時間撹拌後、30℃まで冷却し、平均分子量750,000の共重合体を得た。
【0075】
比較例5([表2][表3]参照)
ヘキシルメタクリレート8部、デシルアクリレート29部、メタクリル酸63部、ポリオキシエチレンステアリルエーテルサルフェートナトリウム(EO繰返し単位:25)14部、及び水228部を滴下装置、撹拌装置、還流冷却器、及び温度計を付した反応容器に入れて混合し、0.5%過硫酸カリウム水溶液38部を滴下装置より3時間かけて滴下、このときの反応温度は80〜100℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、30℃まで冷却し、特開平8−188987の実施例1による共重合体を得た。この共重合体はDPMPは使用していない共重合体である。
【0076】
比較例6([表2][表3]参照)
水190部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.02部を滴下装置、撹拌装置、温度計、及び窒素導入管を付した耐圧反応容器に入れて混合、85℃に加熱し、反応容器内を窒素置換後、エチルアクリレート55部、酢酸ビニル10部、メタクリル酸35部、t−ドデカンチオール(t−ドデシルメルカプタン)0.1部からなる混合物と、水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8部、水酸化ナトリウム0.8部、過硫酸ナトリウム0.8部からなる混合物とを85℃で3時間かけて同時に滴下した。さらに1時間撹拌後、30℃まで冷却し、特開昭61−43607の実施例1による共重合体を得た。この共重合体はDPMPを使用していない共重合体である。
【0077】
比較例7([表2][表3]参照)
水15部、及びエマルゲン920(花王(株)製)1部からなる[液1]と、n−ブチルアクリレート60部、スチレン30部、メタクリル酸2.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7.5部、エマルゲン920(同)4部、ネオペレックス05(花王(株)製)0.2部、過硫酸アンモニウム0.2部、及び水70部からなる[液2]と、2%NaHSO水溶液10mlからなる[液3]とを調製した。[液1]を滴下装置、撹拌装置、還流冷却器、温度計、及び窒素導入管を付した反応容器に入れて窒素置換後、[液2]の1/10量、及び[液3]の1/10量を添加、反応開始後残りの[液2]及び[液3]を3時間かけて滴下。このとき反応温度は50℃に保った。さらに滴下終了後反応温度を50℃に1時間保った後30℃まで冷却、アンモニア水でpHを7に調整し、特開昭52−118015の実施例1による共重合体を得た。この共重合体はDPMPを使用していない共重合体である。
【0078】
比較例8([表2][表3]参照)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3部、エマールNC(花王(株)製)1部、炭酸ナトリウム0.2部、過硫酸カリウム0.7部、及び水165部を滴下装置、撹拌装置、及び温度計を付した耐圧反応容器に入れて撹拌後、ブタジエン25部、スチレン34部、メチルメタクリレート35部、メタクリル酸2部、アクリル酸1部、フマール酸2部、アクリルアミド1部を加えて65℃にて重合を開始、20時間後重合転化率が98%になったことを確認した後冷却、水酸化ナトリウムでpH8に調整後水蒸気蒸留を行い、特開平6−211911の実施例1による共重合体ラテックスを得た。この共重合体は脂肪族共役ジエン系単量体(ブタジエン)を使用した共重合体である。
【0079】
比較例9([表2][表3]参照)
ブタジエン3部、スチレン5部、メチルメタクリレート2部、アクリル酸3部、チオグリコール酸0.2部、四塩化炭素2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部、炭酸水素ナトリウム0.2部、過硫酸カリウム1.0部、及び水100部を滴下装置、撹拌装置、及び温度計を付した耐圧反応容器に入れて撹拌後、65℃で1段目の重合を行い、転化率が70%に達した時点でブタジエン27部、スチレン42部、メチルメタクリレート18部からなる混合物を7時間で連続滴下し2段目の重合を行った。その後さらに3時間反応を継続して重合転化率が98%になったことを確認後冷却し、水酸化ナトリウムでpH8に調整後水蒸気蒸留を行い、特開平5−140207の実施例1による共重合体ラテックスを得た。この共重合体は脂肪族共役ジエン系単量体(ブタジエン)を使用した共重合体である。
【0080】
2.紙塗被剤(塗工液)の調製
a)オフセット印刷用紙塗被剤
紙塗被剤例1a
水と分散剤(第一工業製薬(株)製:シャロールAN−103P)0.2部を撹拌下、カオリンクレー(ENGELHARD Corp. 製:ウルトラホワイト−90)70部、重質炭酸カルシウム(三共精粉(株)製:エスカロン#1500)30部を添加し、スチレン/ブタジエン系ラテックス(旭化成工業(株)製:L−1261)12部を加え、さらに実施例1で得られた保水剤(共重合体)0.3部を添加したのち、NaOH水溶液にてpH9.5に調整し、固形分67%の塗工液を調製した(分散剤、ラテックス、保水剤の添加量はいずれも固形分換算である)。
【0081】
紙塗被剤例2a〜9a
実施例2〜9で得られた保水剤を使用し、上記紙塗被剤例1aと全く同様の方法で塗工液を調製した。
【0082】
比較紙塗被剤例1a〜7a
比較例1〜7で得られた保水剤を使用し、上記紙塗被剤例1aと全く同様の方法で塗工液を調製した。
【0083】
比較紙塗被剤例8a
水と分散剤(第一工業製薬(株)製:シャロールAN−103P)0.2部を撹拌下、カオリンクレー(ENGELHARD Corp. 製:ウルトラホワイト−90)70部、重質炭酸カルシウム(三共精粉(株)製:エスカロン#1500)30部を添加し、比較例8で得られたスチレン/ブタジエン系ラテックス12.3部を加えた後、NaOH水溶液にてpH9.5に調整し、固形分67%の塗工液を調製した(分散剤、ラテックスの添加量はいずれも固形分換算である)。
【0084】
比較紙塗被剤例9a
比較例9で得られたブタジエン系ラテックスを使用し、上記比較紙塗被剤例8aと全く同様の方法で塗工液を調製した。
【0085】
以上のオフセット印刷用紙塗被剤は、後述する紙塗被剤の評価(低速剪断粘度、高速剪断粘度、静的保水性、動的保水性)、及び塗工紙の評価(白紙光沢度、印刷光沢度、ドライピック表面強度、ウェットピック表面強度、耐ブリスター性)で使用した。
【0086】
b)グラビア印刷用紙塗被剤
紙塗被剤例1b
水と分散剤(第一工業製薬(株)製:シャロールAN−103P)0.2部を撹拌下、カオリンクレー(ENGELHARD Corp. 製:ウルトラコート)100部を添加し、スチレン/ブタジエン系ラテックス(旭化成工業(株)製:L−1457)6部を加え、さらに実施例1で得られた保水剤(共重合体)0.2部を添加した後、NaOH水溶液にてpH9.0に調整し、固形分65%の塗工液を調製した(分散剤、ラテックス、保水剤の添加量はいずれも固形分換算である)。
【0087】
紙塗被剤例2b〜9b
実施例2〜9で得られた保水剤を使用し、上記紙塗被剤例1bと全く同様の方法で塗工液を調製した。
【0088】
比較紙塗被剤例1b〜7b
比較例1〜7で得られた保水剤を使用し、上記紙塗被剤例1bと全く同様の方法で塗工液を調製した。
【0089】
比較紙塗被剤例8b
水と分散剤(第一工業製薬(株)製:シャロールAN−103P)0.2部を撹拌下、カオリンクレー(ENGELHARD Corp. 製:ウルトラコート)100部を添加し、比較例8で得られたスチレン/ブタジエン系ラテックス12.2部を加えた後、NaOH水溶液にてpH9.0に調整し、固形分65%の塗工液を調製した(分散剤、ラテックスの添加量はいずれも固形分換算である)。
【0090】
比較紙塗被剤例9b
比較例9で得られたブタジエン系ラテックスを使用し、上記比較紙塗被剤例8bと全く同様の方法で塗工液を調製した。
【0091】
以上のグラビア印刷用紙塗被剤は、後述する紙塗被剤の評価(低速剪断粘度、高速剪断粘度、静的保水性、動的保水性)、及び塗工紙の評価(インキ受理性、平滑性、網点再現性)で使用した。
【0092】
3.紙塗被剤の性能評価方法
(低速剪断粘度)
BM型粘度計(東京計器製作所(株)製)を使用し、25℃にて60rpmの粘度を測定。
【0093】
(高速剪断粘度)
ハーキュレス型粘度計(熊谷理機工業(株)製)を使用し、25℃にて4400rpm(Eボブ)、8800rpm(Fボブ)の粘度を測定。この数値が低いほど、高剪断速度下での流動性が良好であることを示す。
【0094】
(静的保水性)
S.D.Warrenのリングセル法により、25℃にて測定。この数値が高いほど、静的保水性が良好であることを示す。
【0095】
(動的保水性)
加圧脱水法により、50kPaの圧力下、300sec、25℃にて測定、5μmのミリポアフィルターを使用した。この数値(対ブランク)が低いほど、動的保水性が良好であることを示す。
【0096】
4.塗工紙の作成(紙塗被剤の塗工)
紙塗被剤例1a〜9a、比較紙塗被剤例1a〜9a、紙塗被剤例1b〜9b、及び比較紙塗被剤例1b〜9bで得られた塗工液を、フォンテン式ブレードコーターで坪量64g/mの上質紙の片面に、塗工速度1200m/minにて塗工量15g/mを塗布した後、エアキャップドライヤー(150℃×30sec)にて乾燥、24時間調湿(20℃、湿度65%)した後、スーパーカレンダー処理(ニップ圧70kg/cm、60℃)を2回行い、塗工紙を作成した。
【0097】
5.塗工紙の性能評価方法
(白紙光沢度)
光沢度計(熊谷理機工業(株)製)にてJIS:P−8142に基づき、入射角75°で測定した。数値が高い程、白紙光沢が良好であることを示す。
【0098】
(印刷光沢度)
RI型印刷適性試験機(明製作所(株)製)にてオフセットインキでベタ刷り後、光沢度計(村上色彩研究所(株)製)を使用してJIS:P−8142に基づき、入射角75°で測定した。数値が高い程、印刷光沢が良好であることを示す。
【0099】
(ドライピック表面強度)
RI型印刷適性試験機で湿し水を使用せず印刷したときのピッキングの程度を5段階で評価した。良好な順にAA,A,B,C,Dとした。
【0100】
(ウェットピック表面強度)
RI型印刷適性試験機で湿し水を使用して印刷したときのピッキングの程度を5段階で評価した。良好な順にAA,A,B,C,Dとした。
【0101】
(耐ブリスター性)
耐ブリスター温度を測定。数値が高い程、耐ブリスター性が良好であることを示す。
【0102】
(平滑性)
王研式平滑度試験機(旭精工(株)製)にてJIS:P−8119に基づき評価した。数値が大きい程、平滑性が良好であることを示す。
【0103】
(インキ受理性)
K&Nインキ受理性を測定、反射率の低下率を示した。数値が大きい程、インキ受理性が良好であることを示す。
【0104】
(網点再現性)
大蔵省印刷局式グラビア印刷適性試験機にて、網点グラビア版を使用して印刷、ハイライト部分の網点欠落率を画像解析装置を用いて評価した。数値が低い程、網点欠落率が低くグラビア印刷適性が良好であることを示す。
【0105】
6.紙塗被剤、及び塗工紙の性能評価結果
結果を下記[表4]〜[表7]に記載する
【表4】
Figure 0003763008
【表5】
Figure 0003763008
【表6】
Figure 0003763008
【表7】
Figure 0003763008
【0106】
上記[表4]及び[表5]の結果から、各実施例の共重合体を使用した塗工液は、低剪断速度下では適度な増粘性を示し、高濃度固形分にも拘らず高剪断速度下の粘度は低く、流動性に優れ、かつ、極めて保水性に優れていることが分かる。また、上記[表6]の結果から、各実施例の共重合体使用の塗工液を高速塗工した塗工紙は、白紙光沢度、及び印刷光沢度が高く、ドライ及びウエットピック表面強度に優れ、耐ブリスター性が良好であり、さらに上記[表7]の結果から、平滑性、インキ受理性、網点再現性が著しく良好であり、すなわち、優れた印刷適性を有することが明らかである。
【0107】
【発明の効果】
本発明の共重合体(保水剤)を用いることにより、紙塗被剤に低剪断速度下では適度な増粘性を、高剪断速度下では良好な流動性を与え、かつ極めて優れた保水性を付与し、塗工紙の種々の印刷適性に優れ、高濃度化による乾燥エネルギーの削減と、塗工速度の向上による生産性の向上を可能とする。
【0108】
本発明の保水剤は、従来の保水剤と比較して以上の点で優れ、塗工液の高濃度化による乾燥エネルギーコストの削減、塗工速度の向上による生産性の向上のみならず、塗工紙の品質の向上に対して大きな貢献を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと単量体等との反応メカニズムを示す式である。

Claims (5)

  1. 連鎖移動剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを使用して、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、カルボン酸ビニル系単量体、及びスチレン系単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種であるラジカル重合性疎水性単量体(A)とカルボキシル基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体、アルキレンオキシド基含有単量体、アミド基含有単量体、及びアミノ基含有単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種であるラジカル重合性親水性単量体(B)とを、全単量体における前記単量体(A)の含有割合が30〜80重量%であり、前記単量体(B)の含有割合が20〜70重量%である割合で共重合させてなる共重合体よりなる紙塗被剤用保水剤。
  2. 前記単量体(A)が、下記一般式(A−1)〜(A−3)で表される単量体からなる群より選ばれた1種類以上から構成され、前記単量体(B)が、下記一般式(B−1)〜(B−4)で表される単量体からなる群より選ばれる1種類以上から構成される請求項1に記載の紙塗被剤用保水剤。
    Figure 0003763008
    Figure 0003763008
  3. 連鎖移動剤2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを、全単量体量に対して0.001〜2重量%使用した共重合体からなる請求項1又は2に記載の紙塗被剤用保水剤。
  4. 前記共重合体の平均分子量が10,000〜10,000,000である請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙塗被剤用保水剤。
  5. 少なくとも顔料、結合剤、分散剤、水からなる紙塗被剤に使用される請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙塗被剤用保水剤。
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