JPH1112987A - キャストコート紙用塗料組成物及び該組成物を塗工して なるキャストコート紙 - Google Patents

キャストコート紙用塗料組成物及び該組成物を塗工して なるキャストコート紙

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JPH1112987A
JPH1112987A JP15526897A JP15526897A JPH1112987A JP H1112987 A JPH1112987 A JP H1112987A JP 15526897 A JP15526897 A JP 15526897A JP 15526897 A JP15526897 A JP 15526897A JP H1112987 A JPH1112987 A JP H1112987A
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cast
acid
coated paper
coating composition
meth
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JP15526897A
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English (en)
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Toshihiko Takagi
斗志彦 高木
Masaru Tanabe
田邉  勝
Shiyouko Ooyanagi
鐘子 大柳
Koji Takano
弘二 高野
Kinkai Ou
金▲かい▼ 王
Takashi Kojima
小島  隆
Katsunori Kitamura
勝徳 北村
Kuniaki Kawabe
邦明 川邉
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 顔料および接着剤を主成分とするキャス
トコート紙用塗料組成物であって、接着剤が、脂肪族ジ
エン系単量体およびこれと共重合可能な単量体を乳化共
重合して得られる共重合ラテックスおよび/または(メ
タ)アクリル酸エステル系共重合体ラテックスと、反応
性界面活性剤を共重合成分とする(メタ)アクリルアミ
ド系重合体を含有することを特徴とする該組成物及びこ
れを塗工してなるキャストコート紙。 【効果】 食用資源としても有用な天然原料であるカゼ
インを使用しなくても光沢度の高いキャストコート紙が
製造でき、また、反応性界面活性剤を共重合成分とした
(メタ)アクリルアミド系重合体はカゼインに比べて1
/5の添加量でも優れた特性を示し、塗料粘度も低く抑
えられることからキャスト塗工用塗料の高濃度化が可能
になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャストコート紙
の製造方法に於て、従来より必須成分として使用されて
いたカゼインを含有させなくても優れた光沢度のキャス
トコート紙を得ることが出来るキャストコート紙用塗料
組成物、及び該組成物を塗工してなるキャストコート紙
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】キャストコート紙の製造方法としては、
従来よりコート紙用塗料組成物を原紙に塗工し、湿潤状
態のままで加熱鏡面ドラムに圧着乾燥して光沢仕上げを
する直接法、原紙に塗工した湿潤状態のコート紙用塗料
組成物を凝固させてから加熱鏡面ドラムに圧着乾燥して
光沢仕上げをする凝固法、及びコート紙用塗料組成物を
原紙に塗工して一旦乾燥または半乾燥した後、再度湿潤
させてから加熱鏡面ドラムに圧着乾燥して光沢仕上げを
する再湿法等がある。これらのキャストコート紙の製造
方法は、いずれも塗工された顔料および接着剤を主成分
とするコート紙用塗料組成物を、湿潤状態で加熱鏡面ド
ラムに圧着乾燥し、鏡面より剥離させて高光沢で均一な
キャスト面を得る点で共通している。現在、キャストコ
ート紙用塗料は接着剤成分として合成ゴムエマルション
とカゼインの併用が一般的であり、このようにして得ら
れたキャストコート紙はスーパーキャレンダー仕上げさ
れた通常のアート紙、コート紙に比べ高い白紙光沢と表
面平滑性を有し、優れた印刷効果が得られることにより
高級印刷物又は高級紙器等の用途に専ら利用されてお
り、より光沢度が高く印刷適正の優れた製品が要望され
ている。この要望に答える為に通常の塗工紙やキャスト
コート紙表面にポリエチレンや塩化ビニル等のプラスチ
ックフィルムを貼り合わせた所謂ラミネート紙を使用し
たり、また、キャストコート紙用塗料中の接着剤成分で
あるカゼインの対顔料比率を高める等の工夫がなされて
いる。しかし、ラミネート紙は古紙としての再利用が難
しいとともにコスト面でも通常のキャストコート紙に比
べ高くなるという欠点を有する。
【0003】一方、カゼインの対顔料比率を高める方法
は、カゼインが天然物である為に供給に不安定な面があ
るとともに高価であること、また、動物性蛋白質として
の食用資源として有用であることを考慮した場合、多量
に用いることは好ましくない。また、カゼインは溶解す
るのに一般的にアルカリを用い、時間と熱エネルギーを
必要とし調整に手間を要するという問題も有している。
また、カゼインの溶解度と塗料濃度を考慮すると塗料固
形分濃度はせいぜい50%前後が限度であり、塗布層の
乾燥に時間がかり操業スピードを上げることが出来ない
等の多くの欠点があり、カゼインを使用しないで高光沢
の出るキャストコート紙の製造が強く要望されている。
カゼインを使用しないでキャストコート紙を作る方法と
して、カゼインの代りに澱粉を用いることが特開昭57-1
6996号公報で開示されているが、光沢度と耐水性で十分
に満足の行くキャストコート紙が得られていない。ま
た、特開平6-158589号公報には水溶性ウレタンとポリビ
ニルアルコールを併用する方法が開示されているが、こ
の方法ではウエット強度と印刷光沢が低下しやはり満足
の行くキャストコート紙が得られていないのが実状であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はキャストコー
ト紙の製造法において、かかる現状に鑑みキャストコー
ト紙用塗料の接着剤成分として、カゼインを用いなくて
も光沢度に優れかつ塗料の高濃度化を可能にしたキャス
トコート紙用塗料組成物及び該接着剤を塗工してなるキ
ャストコート紙を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前述の課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、接着剤として
合成ゴム系エマルション及び/又はアクリル酸エステル
系エマルションと反応性界面活性剤を共重合成分とする
(メタ)アクリルアミド系重合体を併用することが有効
であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち本発明は、以下の(1)〜(4)を提
供するものである。 (1) 顔料及び接着剤を主成分とするキャストコート
紙用塗料組成物であって、接着剤が、(a)脂肪族共役
ジオレフィン系単量体およびこれと共重合可能な単量体
を乳化重合して得られる共重合体エマルションおよび/
または下記一般式(1)[化3]で表される(メタ)ア
クリル酸エステル系単量体およびこれと共重合可能な単
量体を乳化重合して得られる共重合体エマルションと、
(b)反応性界面活性剤を共重合成分とする(メタ)ア
クリルアミド系重合体を含有することを特徴とするキャ
ストコート紙用塗料組成物。
【0007】
【化3】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数
1〜12のアルキル基を表す。)
【0008】(2) 反応性界面活性剤が、下記一般式
(2)〜(5)[化4]で表される化合物であることを
特徴とする(1)記載のキャストコート紙用塗料組成
物。
【0009】
【化4】 (上式において、R3 は炭素数6〜48の直鎖状あるい
は分岐状飽和炭化水素基、あるいは不飽和二重結合を1
以上12以下含有する炭素数6〜48の直鎖状あるいは
分岐状不飽和炭化水素基を表す。R4 、R5 は独立して
水素原子あるいはメチル基を表し、R6 は炭素数2〜6
の直鎖状あるいは分岐状飽和炭化水素基を表す。Mは水
素原子またはアルカリ金属またはアンモニウム基を表
す。XはNH、N(−CH2−CH=CH2)、Oの何れ
かを表す。)
【0010】(3) キャストコート紙用塗料組成物
が、顔料100重量部に対して、接着剤成分である
(a)共重合体エマルションを8〜40重量部、(b)
(メタ)アクリルアミド系重合体を0.1〜10重量部
含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の
キャストコート紙用塗料組成物。
【0011】(4) (1)〜(3)のいずれかに記載
のキャストコート紙用塗料組成物を塗工してなるキャス
トコート紙。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく
説明する。本発明の特徴は、顔料および接着剤を主成分
とするキャストコート紙用塗料組成物において、該接着
剤としてジオレフィン系共重合体エマルション及び/又
は(メタ)アクリル酸エステル系共重合体エマルション
(a)と反応性界面活性剤を共重合成分とする(メタ)
アクリルアミド系重合体(b)を組み合わせて使用する
ことが必須である。
【0013】(a)と(b)とを組み合わせる方法につ
いては、以下〔I〕〜〔VI〕の6通りがあり、それぞれ
の方法を組み合わせることも可能である。 〔I〕単純ブレンド法 :(a)と(b)を個別に
製造し、混合する 〔II〕保護コロイド重合法:(a)の存在下に(b)
を重合する…(b’) 〔III〕保護コロイド重合法:(b)の存在下に
(a)を重合する…(a’) 〔IV〕部分保護コロイド法:(a)と(b’)を混合
する 〔V〕部分保護コロイド法:(b)と(a’)を混合
する 〔VI〕部分保護コロイド法:(a')と(b’)を混
合する また、(a)または(a’)と(b)または(b’)と
顔料とを混合する方法については、以下の2通りがあ
り、必ずしも顔料と混合する前に(a)または(a’)
と(b)または(b’)とを混合する必要はなく、それ
ぞれの方法を組み合わせることも可能である。 〔1〕単独添加法:それぞれを、逐次または同時に添加
して顔料と混合して塗料組成物を調製する。 〔2〕混合添加法:それぞれを混合した後に顔料と混合
して調製する。
【0014】本発明で用いられるジオレフィン系共重合
体エマルション(a−1,a’−1)を構成する単量体
のうち、脂肪族共役ジオレフィン系単量体としては、例
えば、1,3ブタジエン、2−メチル−1,3ブタジエ
ン、2−クロロ−1,3ブタジエン等が挙げられ、これ
らの群から選ばれた一種または二種以上を混合使用でき
る。また、これらと共重合可能な単量体としては、例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレンや
ジメチルスチレン等のオレフィン系芳香族系単量体、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イ
ソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸
エステル類、ジエチルフマレート、ジメチルイタコネー
ト等のカルボン酸アルキルエステル類、(メタ)アクリ
ロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等のシアン化
ビニル系化合物、および酢酸ビニル等のオレフィン系脂
肪族単量体等が挙げられ、これらの群から選ばれた一種
または二種以上を混合使用できる。
【0015】また必要に応じて例えば、アクリル酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル
酸、チグリン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール
酸、リノレン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイ
ン酸アルキルモノエステル、フマル酸、フマル酸アルキ
ルモノエステル、シトラコン酸、テトラコン酸、イタコ
ン酸、イタコン酸アルキルモノエステル、等の脂肪族不
飽和カルボン酸類、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタ
アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプ
ロピル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロ
キシ基を含有する脂肪族不飽和カルボン酸のエステル
類、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチロ
ールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミ
ド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシ
メチルメタアクリルアミド等の如きオレフィン系不飽和
アミドモノマー類等が挙げられ、これらの群から選ばれ
た一種または二種以上を混合使用できる。これらのモノ
マーは例示であり、この外にも同様の作用機能を有する
共重合可能な単量体であれば全て使用することができ
る。
【0016】本発明において(メタ)アクリル酸エステ
ル系共重合体エマルション(a−2,a’−2)を構成
する単量体のうち、(メタ)アクリル酸エステル系単量
体とは、下記一般式(1)[化5]で表される化合物で
ある。
【0017】
【化5】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数
1〜12のアルキル基を表す。)
【0018】上記の(メタ)アクリル酸エステル系単量
体の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イ
ソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸グリ
シジル等の(メタ)アクリル酸エステル類、ジエチルフ
マレート、ジメチルイタコネート等のカルボン酸アルキ
ルエステル類、等が挙げられ、これらの群から選ばれた
一種または二種以上を混合使用できる。
【0019】また、これらと共重合可能な単量体として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロス
チレンやジメチルスチレン等のオレフィン系芳香族系単
量体類、(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリ
ロニトリル等のシアン化ビニル系化合物、および酢酸ビ
ニル等のオレフィン系脂肪族単量体等が挙げられ、これ
らの群から選ばれた一種または二種以上を混合使用でき
る。
【0020】また必要に応じて例えば、アクリル酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル
酸、チグリン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール
酸、リノレン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイ
ン酸アルキルモノエステル、フマル酸、フマル酸アルキ
ルモノエステル、シトラコン酸、テトラコン酸、イタコ
ン酸、イタコン酸アルキルモノエステル、等の脂肪族不
飽和カルボン酸類、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタ
アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプ
ロピル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロ
キシ基を含有する脂肪族不飽和カルボン酸のエステル
類、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチロ
ールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミ
ド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシ
メチルメタアクリルアミド等の如きオレフィン系不飽和
アミドモノマー類等が挙げられ、これらの群から選ばれ
た一種または二種以上を混合使用できる。これらのモノ
マーは例示であり、この外にも同様の作用機能を有する
共重合可能な単量体であれば全て使用することができ
る。
【0021】本発明においては、上記した脂肪族共役ジ
オレフィン系単量体およびこれと共重合可能な単量体を
乳化重合して得られる共重合体エマルションおよび/ま
たは一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体およびこれと共重合可能な単量体を乳化重合
して得られる共重合体エマルション(a)の配合量は、
顔料100重量部に対して8〜40重量部(固形分換
算)であり、より好ましくは12〜30重量部が良い。
該配合量が8重量部未満では得られるキャストコート紙
の表面強度を十分に得ることが困難となる傾向にあり、
40重量部を越えるとキャストドラムとの剥離性が低下
してしまう傾向にある。
【0022】前記記載の単量体からなる共重合体エマル
ション(a−1,a’−1)及び(a−2,a’−2)
は、通常の乳化重合によって得られ、通常水性媒体中に
おいて、乳化剤、重合開始剤などを用いて製造される。
【0023】ここで用いる乳化剤としては、例えばアル
キルスルホネート、アルキルアリルスルホネート、アル
キルサルフェート、アルキルナフタレンスルホネート、
アルキルサクシネートスルホネート等のアニオン性界面
活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエ
チレン脂肪族エステル等のノニオン性界面活性剤を単独
または併用にて使用することもできる。これら乳化剤の
使用量は、通常エマルション全構成重合体成分に対して
5重量%以下で使用される。
【0024】また重合開始剤としては、酸化剤例えば過
硫酸のカリウム、ナトリウムやアンモニウム塩、過酸化
水素、ジイソブチルベンゾイルパーオキシド、キュメン
ハイドロパーオキシド、ラウリルパーオキシド等の酸化
剤が単独で使用されたり、これらの酸化剤と亜硫酸ソー
ダ、重亜硫酸ソーダ、チオ硫酸ソーダ等の還元剤との併
用、即ちレドックスシステムで用いることもできる。
【0025】またゲル含有率の調節は、乳化重合時にオ
クチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、ブチ
ルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−ヘキ
サデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタ
ン、t−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカ
プタン類や、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエ
チルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサン
トゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類
や、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチル
チウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフ
ィド等のチウラムジスルフィド類や、ターピノーレンな
どのテルペノイド類や、その他α−メチルスチレンダイ
マー、2−エチルヘキシルチオグリコレート、アルコー
ル類等の連鎖移動剤を一種または二種以上用いて行なう
ことができる。また、重合中の粒子の安定化を図る目的
で保護コロイド剤として、例えば、ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルア
ルコール等を添加しても良い。
【0026】本発明に用いられる共重合体エマルション
の重合は、通常50〜100℃、ゲージ圧力0〜10k
g/cm2 の範囲で行なわれ、前述した単量体およびそ
の他の添加剤は一括添加、分割添加、または、連続添加
の何れの方法でも行なうことができる。
【0027】本発明の共重合体エマルション(a)は、
上記の製造方法に従って製造するのが好ましいが、市販
品として入手したものを使用しても何等差し支えない。
例えば、共重合体エマルション(a−1)として、三井
東圧化学株式会社製の商品名:ポリラック518N−0
1、同 518D−59、同 518E−82等を好適
に使用することができる。又、共重合体エマルション
(a−2)として、同社製のアクリル酸エステル系エマ
ルション、商品名:ボンロン482TB、同 S−10
59等を好適に使用することができる。
【0028】本発明の塗料組成物においては、接着剤成
分として前述した共重合体エマルションに反応性界面活
性剤を共重合成分とする(メタ)アクリルアミド系重合
体を併用させることが必須条件であるが、この外に塗料
組成物に接着性と保水性を付与することを目的として、
水溶性高分子、例えばカゼイン、酸化澱粉、リン酸エス
テル化澱粉、水性ウレタン樹脂、大豆蛋白、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースや、ポ
リビニルアルコール、ポリカルボン酸またはポリアクリ
ルアミド系等の重合体を単独または二種以上を併用する
こともできる。
【0029】一方、本発明で用いられる反応性界面活性
剤を共重合成分とする(メタ)アクリルアミド系重合体
(b)とは、反応性界面活性剤、(メタ)アクリルアミ
ド及び必要によりその他の共重合可能なビニル化合物を
共重合して得られる共重合体であり、該反応性界面活性
剤を共重合成分とする(メタ)アクリルアミド系重合体
(b)の配合量は、顔料100重量部に対して0.1〜
10重量部であり、より好ましくは0.5〜8重量部が
良い。該配合量が0.1重量部未満では得られるキャス
トコート紙の白紙光沢度を十分に得ることが困難となる
傾向にあり、10重量部を越えると塗料の粘度が高くな
り過ぎ、エアーナイフコーター等での塗工作業面で問題
となる傾向にある。
【0030】共重合体(b)中の(メタ)アクリルアミ
ドの量は通常50〜99.9モル%の範囲にあり、(メ
タ)アクリルアミドは工業的に利用されるものであれ
ば、製造方法に依らず、粉体あるいは水溶液の状態で市
販されているものを使用することができる。
【0031】本発明で使用される反応性界面活性剤と
は、一分子中にラジカル重合可能なエチレン性の二重結
合を持つ置換基と親水性の置換基と疎水性の置換基を有
する化合物である。
【0032】ラジカル重合可能なエチレン性の二重結合
を持つ置換基の例としては、ビニル基、1−プロペニル
基、イソプロペニル基、スチリル基、シンナミル基、ア
リル基、メタリル基、アクリロイル基、メタクリロイル
基、マレオイル基、フマロイル基等がある。
【0033】親水性の置換基には、イオン性の置換基と
非イオン性の置換基がある。イオン性の置換基の例とし
ては、アニオン性置換基としてスルホン酸基、スルホ
ン酸エステル基、カルボキシル基、リン酸エステル基、
及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ア
ンモニウム塩、有機アミン塩等があり、カチオン性置
換基として1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ
基、4級アンモニウム塩及び、1〜3級アミノ基の塩酸
塩、臭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、有機酸塩等がある。非
イオン性の置換基の例としては、ポリオキシエチレン、
ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンポリオキシ
プロピレン複合タイプのアルキルエーテル、アリルエー
テル、またはアルコールを有するもの等がある。
【0034】疎水性の置換基の例としては、直鎖または
分岐状のアルキル基、フッ化アルキル基、アルケニル
基、アルキル基で置換されたフェニル基、その他フェニ
ル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、ノルボ
ルナン基、ノルボルネン基およびそれらのメチル、エチ
ル、クロル置換体等があげられる。
【0035】本発明で使用される反応性界面活性剤は、
上記の置換基のみで炭素−炭素結合、炭素−窒素結合、
炭素−酸素結合により結合したものと、コハク酸、マレ
イン酸、フタル酸、エチレングリコール、グリセリン等
の基本骨格を置換した構造のものがあり、公知の化合物
を使用することができる。
【0036】本発明で使用可能な反応性界面活性剤の構
造式の例を、次の一般式(6)[化6]〜(11)[化
11]に示す。
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】 本発明で使用される反応性界面活性剤の中で特に好適で
あるものとして、下記一般式(2)〜(5)[化12]
で表わされる化合物、即ち、疎水基で置換されたコハク
酸アミドあるいはコハク酸エステル構造を骨格に持つ、
アリル化合物あるいはビニル化合物がある。
【0043】
【化12】 (上式において、R3 は炭素数6〜48の直鎖状あるい
は分岐状飽和炭化水素基、あるいは不飽和二重結合を1
以上12以下含有する炭素数6〜48の直鎖状あるいは
分岐状不飽和炭化水素基を表す。R4 、R5 は独立して
水素原子あるいはメチル基を表し、R6 は炭素数2〜6
の直鎖状あるいは分岐状飽和炭化水素基を表す。Mは水
素原子またはアルカリ金属またはアンモニウム基を表
す。XはNH、N(−CH2−CH=CH2)、Oの何れ
かを表す。)
【0044】これらの化合物は、エチレン、プロピレ
ン、イソブテン、ブタジエン等から製造されるオレフィ
ン類のオリゴマーと無水マレイン酸との反応で得られる
化合物(以下ASAと略称する)を原料として、アリル
アミン(MA)あるいはジアリルアミン(DA)、メタ
リルアミン、アリルアルコール(AL)、メタリルアル
コール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEM
A)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、
3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタク
リレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチル
アクリレート等との反応により製造されるものである
(ASAとの反応物は、以下ASA−MA、ASA−D
A、ASA−AL、ASA−HEMA、ASA−HEA
等と略称する)。
【0045】オレフィン類オリゴマーと無水マレイン酸
の反応物の例としては、(1)1−ヘキセン、1−オク
テン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、
1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−ドコセン等
の炭素数が6〜48の直鎖状あるいは分岐状のα−オレ
フィン類あるいはそれらの混合物と無水マレイン酸との
付加生成物、(2)炭素数が6〜48の直鎖状あるいは
分岐状のα−オレフィン類あるいはそれらの混合物を触
媒の存在下に異性化した内部オレフィン類と無水マレイ
ン酸との反応生成物、(3)炭素数が6〜48の直鎖状
あるいは分岐状パラフィンあるいはその混合物を脱水素
反応することにより得られる内部オレフィン類と無水マ
レイン酸との反応物等の公知技術により得られたもの
で、炭素数や、内部オレフィンの二重結合位置が異なる
ものの混合物であっても差し支えない。オレフィン類オ
リゴマーの炭素数が6未満及び48を越える場合には、
ASA−MA及びASA−DA等の反応性界面活性剤と
しての両親媒的な性質に支障をきたすため、本発明の目
的には適合しない。
【0046】本発明で使用される反応性界面活性剤を共
重合成分として含有する(メタ)アクリルアミド系重合
体(b)は、反応性界面活性剤と(メタ)アクリルアミ
ドを必須成分とし、必要に応じてこれらのモノマーと共
重合可能な親水性の非イオン性モノマーおよび/または
アニオン性モノマーおよび/またはカチオン性モノマー
とを共重合して得ることができる。
【0047】親水性の非イオン性モノマーとは、具体的
には、例えば、不飽和カルボン酸アミド化合物、その他
の親水性ビニル化合物、および親水性アリル化合物から
なる群より選択された一種以上の化合物である。
【0048】不飽和カルボン酸アミド化合物の例として
は、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルアクリルア
ミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチル
アクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、
N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミ
ド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチ
ルメタクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N
−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジ
ン、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジ−n−プ
ロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミ
ド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシ
ルメタクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミ
ド、N−n−オクチルメタクリルアミド、N−tert−オ
クチルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、
N−n−ドデシルメタクリルアミド、N,N−ジグリシ
ジルアクリルアミド、N,N−ジグリシジルメタクリル
アミド、N−(4−グリシドキシブチル)アクリルアミ
ド、N−(4−グリシドキシブチル)メタクリルアミ
ド、N−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミ
ド、N−(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミ
ド、メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレン
ビスアクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビスア
クリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等をあげ
ることができる。
【0049】その他の親水性ビニル化合物としては、N
−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルオキサゾリド
ン、N−ビニル−5−メチルオキサゾリドン、N−ビニ
ルスクシンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニ
ルアセトアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタク
リレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−
ヒドロキシプロピルメタクリレートなどがあげられる。
【0050】親水性アリル化合物としては、アリルアル
コール、メタリルアルコールなどが例示される。
【0051】親水性のアニオン性モノマーとしては、ア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、
チグリン酸、2−ペンテン酸、β−メチルクロトン酸、
β−メチルチグリン酸、α−メチル−2−ペンテン酸、
β−メチル−2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、
無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン
酸、グルタコン酸、α−ジヒドロムコン酸、2,3−ジ
メチルマレイン酸、2−メチルグルタコン酸、3−メチ
ルグルタコン酸、2−メチル−α−ジヒドロムコン酸、
2,3−ジメチル−α−ジヒドロムコン酸などの不飽和
カルボン酸化合物や、ビニルスルホン酸、スチレンスル
ホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンス
ルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸など
の不飽和スルホン酸化合物が例示される。
【0052】親水性のカチオン性モノマーとしては、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DA)、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(D
M)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N
−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチ
ルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミ
ノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)、N,N−
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPM
A)等の塩基性ビニル化合物とそれらの塩および、アリ
ルアミン、N−メチルアリルアミン、2−メチルアリル
アミン、ジアリルアミン等のアリルアミン類とそれらの
塩がある。さらには、DA、DM、DMAPAA、DM
APMA等をジメチル硫酸、メチルクロライドやメチル
ブロマイド等のハロゲン化アルキル類、アリルクロライ
ド、ベンジルクロライドやベンジルブロマイド等のハロ
ゲン化ベンジル類、エピクロヒドリンやエピブロモヒド
リン等のエピハロヒドリン類、プロピレンオキシドやス
チレンオキシド等のエポキシ類で四級化したビニル化合
物や、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドなどをあ
げることができる。
【0053】(メタ)アクリルアミドと反応性界面活性
剤の共重合比率は、重量基準で99.9:0.1〜5
0:50の範囲にあり、(メタ)アクリルアミドと親水
性の上述のモノマーの共重合比率は、100:0〜5
0:50の範囲にある。
【0054】本発明においては、(メタ)アクリルアミ
ド系重合体の疎水性を強化してエマルション粒子への吸
着能を高める目的で、疎水性モノマーを共重合成分とす
ることも可能である。このとき使用される疎水性モノマ
ーの量が多すぎると(メタ)アクリルアミド系重合体の
水分散性が失われてしまうこと、さらには反応性界面活
性剤のみで分散された疎水性樹脂の粒子が生成してしま
うなどの問題点があって本発明の目的とする(メタ)ア
クリルアミド系重合体が得られないことから、親水性モ
ノマーに対して概ね30重量%以下であることが好まし
い。
【0055】疎水性モノマーの例としては、芳香族ビニ
ル化合物、シアン化ビニル化合物、ジエン化合物、ビニ
ルカルボン酸エステル化合物、ビニルアルキルエーテル
化合物、その他のビニル化合物、および疎水性のアリル
化合物からなる群より選択された一種以上の化合物であ
る。
【0056】芳香族ビニル化合物としては、スチレン、
α−メチルスチレン、α−クロルスチレン、p−ter
t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロル
スチレン、o−クロルスチレン、2,5−ジクロルスチ
レン、3,4−ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン等
をあげることができる。シアン化ビニル化合物として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等をあげる
ことができる。ジエン化合物としては、アレン、ブタジ
エン、イソプレン等のジオレフィン化合物および、クロ
ロプレン等をあげることができる。
【0057】ビニルカルボン酸エステル化合物として
は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチ
ルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアク
リレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレー
ト、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリル
アクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルアク
リレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルア
クリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレン
グリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジ
エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレング
リコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、ジメタク
リル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレ
ングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコー
ル、ジメタクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ポ
リエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキ
シポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロ
ポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
イソプロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、およびエポキシアクリレート類やウレタン
アクリレート類のジビニル化合物等をあげることができ
る。
【0058】ビニルアルキルエーテル化合物としては、
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル
イソプロピルエーテル、ビニルn−プロピルエーテル、
ビニルイソブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシル
エーテル、ビニルn−オクタデシルエーテル等をあげる
ことができる。
【0059】その他のビニル化合物としては、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン、α−
オレフィン、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル
等のジビニルエステル類、マレイミド、N−フェニルマ
レイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等をあげるこ
とができる。さらに、疎水性のアリル化合物としては、
ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジ
エチレングリコールジアリルカーボネート、トリアリル
シアヌレート等をあげることができる。
【0060】本発明に用いられる反応性界面活性剤を共
重合成分とする(メタ)アクリルアミド系重合体(b)
を製造する方法は公知の重合方法、例えば水溶液重合、
沈殿重合、乳化重合等を用いることが出来る。回分重
合、半回分重合の何れの組み合わせでもよく、重合方法
は何等制限されない。 通常はラジカル重合開始剤の存
在下、重合溶液を所定温度に保つことにより重合を行
う。重合中同一温度に保つ必要はなく、重合の進行にと
もない適宜変えてよく、必要に応じて加熱あるいは除熱
しながら行う。重合温度は使用するモノマーの種類や重
合開始剤の種類などにより異なり、単一開始剤の場合に
は概ね30〜100℃の範囲であり、レドックス系重合
開始剤の場合にはより低く、一括で重合を行う場合には
概ね−5〜50℃であり、逐次添加する場合には概ね3
0〜90℃である。重合器内の雰囲気は特に限定はない
が、重合を速やかに行わせるには窒素ガスのような不活
性ガスで置換した方がよい。重合時間は特に限定はない
が、概ね1〜40時間である。
【0061】重合溶媒としては水を用いるが、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール等の有機溶剤を併
用してもよい。
【0062】重合開始剤としては一般の水溶性の開始剤
が使用できる。過酸化物系では、例えば過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、tert−ブチル
パーオキサイド等があげられる。この場合、単独でも使
用できるが、還元剤と組み合わせてレドックス系重合開
始剤としても使える。還元剤としては、例えば亜硫酸
塩、亜硫酸水素塩、鉄、銅、コバルト等の低次のイオン
の塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩、N,N,N',N'-テトラメ
チルエチレンジアミン等の有機アミン、更にはアルドー
ス、ケトース等の還元糖等をあげることができる。ま
た、アゾ化合物系では、2,2'-アゾビス-2-アミジノプロ
パン塩酸塩、2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリ
ル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレイン酸及びその塩等を
使用することができる。更に上記した重合開始剤を2種
以上併用してもよい。重合開始剤の添加量は単量体に対
して0.0001〜10重量%の範囲であり、好ましく
は0.01〜8重量%である。また、レドックス系の場
合には、重合開始剤に対して還元剤の添加量はモル基準
で0.1〜100%、好ましくは0.2〜80%であ
る。
【0063】(メタ)アクリルアミド系重合体の重合
は、分子量あるいは重合速度を調整するなどの目的で、
必要に応じてpH調整剤、連鎖移動剤等を使用してもよ
い。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム,アンモニア等の無機塩基類、エタノールアミ
ン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の有機塩基
類、及び炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナ
トリウム、リン酸二水素ナトリウム等の塩類等があげら
れる。
【0064】連鎖移動剤としては、イソプロピルアルコ
ール、α−チオグリセロール、メルカプトコハク酸、チ
オグリコール酸、トリエチルアミン、次亜リン酸ナトリ
ウム等の中から1種または2種以上の混合物を適宜使用
することができる。また、金属イオンを封止するあるい
は重合速度を調整する等の目的で、エチレンジアミン4
酢酸ナトリウム(EDTA−Na)や尿素、チオ尿素等
の化合物を併用してもよい。pH調整剤、連鎖移動剤等
の使用量は、使用目的に応じて異なるが、概ねモノマー
重量に対してpH調整剤は100ppm〜10%、連鎖
移動剤やその他の添加剤は1.0ppm〜5.0%の範
囲にある。
【0065】本発明で使用される、反応性界面活性剤を
共重合成分とする(メタ)アクリルアミド系共重合体
(b)は、水溶液中では反応性界面活性剤成分の疎水基
同士が分子間で会合体を形成するためか、通常の重合条
件では著しく水溶液の粘度が増加する場合がある。この
場合、以下コロイド化剤と呼ぶ化合物を重合中に連続あ
るいは断続的に添加することで、粘度を低下させること
ができる。
【0066】コロイド化剤の例としては、無機酸、有機
酸、無機塩基、有機塩基の化合物群に分類される。コロ
イド化剤は単独あるいは、2種以上の任意の組み合わせ
で使用される。コロイド化剤は反応性界面活性剤1モル
に対して、0.1〜10モル、好ましくは0.2〜5モ
ルの範囲で使用される。
【0067】無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐
酸、ホウ酸などが例示される。有機酸としては、蟻酸、
酢酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、L−アスコルビン
酸や、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アンゲ
リカ酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、β−メチルクロ
トン酸、β−メチルチグリン酸、α−メチル−2−ペン
テン酸、β−メチル−2−ペンテン酸、マレイン酸、フ
マル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、
メサコン酸、グルタコン酸、α−ジヒドロムコン酸、
2,3−ジメチルマレイン酸、2−メチルグルタコン
酸、3−メチルグルタコン酸、2−メチル−α−ジヒド
ロムコン酸、2,3−ジメチル−α−ジヒドロムコン酸
などの不飽和カルボン酸化合物や、ビニルスルホン酸、
スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニ
ルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルス
ルホン酸などの不飽和スルホン酸化合物が例示される。
【0068】無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
水素ナトリウム、アンモニアなどが例示される。有機塩
基としては、ヒドラジン、エチレンジアミン、エタノー
ルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミンとそれらの塩および、N,
N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DA)、N,
N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−
ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチ
ルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノ
エチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピ
ルアクリルアミド(DMAPAA)、N,N−ジメチル
アミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)等の
塩基性ビニル化合物とそれらの塩および、アリルアミ
ン、N−メチルアリルアミン、2−メチルアリルアミ
ン、ジアリルアミン等のアリルアミン類とそれらの塩が
ある。さらには、DA、DM、DMAPAA、DMAP
MA等をジメチル硫酸、メチルクロライドやメチルブロ
マイド等のハロゲン化アルキル類、アリルクロライド、
ベンジルクロライドやベンジルブロマイド等のハロゲン
化ベンジル類、エピクロヒドリンやエピブロモヒドリン
等のエピハロヒドリン類、プロピレンオキシドやスチレ
ンオキシド等のエポキシ類で四級化したビニル化合物
や、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドなどをあげ
ることができる。
【0069】重合に供する反応性界面活性剤、モノマー
類、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤、コロイド化剤等は
重合を開始する時点で一度に反応容器に仕込んでもよい
が、重合の進行に応じて、1種あるいはそれ以上の成分
を単独あるいは溶媒等に混合したものを逐次添加しても
よい。コロイド化剤は添加液に混合しても良いが、反応
性界面活性剤とコロイド化剤は同じ溶液にならないよう
に別々に添加しなければならない。また、重合前には反
応性界面活性剤のカルボキシル基は、アルカリ金属塩、
アンモニウム塩となるように、pH調整剤で溶液pHを
7以上に調整する。コロイド化剤は概ね10分〜40時
間かけて連続的あるいは断続的に添加し、反応性界面活
性剤は少なくともコロイド化剤の添加が終了する以前に
は反応容器に仕込むようにしなければならない。
【0070】本発明で使用される反応性界面活性剤を共
重合成分とする(メタ)アクリルアミド系重合体(b)
は、GPCによる分子量が5〜200万、絶対平均分子
量が5〜500万、好ましくは5〜400万の範囲にあ
る重合体である。絶対分子量が5万未満では塗料組成物
とした時の保水性効果が低く、キャストコート紙として
白紙光沢が十分でなく、400万を越えると保水性効果
は高いが水溶液重合体の粘度が高くなり、塗料組成物と
した時、粘度及び流動性に悪影響を与え、塗工作業性が
困難となる傾向にある。
【0071】本発明に用いられる顔料としては、通常の
コート紙に用いられるクレー、軽質炭酸カルシウム、重
質炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、
サチンホワイト、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、タ
ルクやコロイダルシリカ等の無機顔料およびプラスチッ
クピグメントや白色尿素樹脂顔料等の有機顔料の単独ま
たは二種以上の使用が可能である。この外の添加剤とし
ては、消泡剤、分散剤、耐水化剤、防腐剤、着色剤、凝
固剤、離型剤等の助剤を必要に応じて添加することも有
効である。
【0072】このようにして得られたキャストコート紙
用塗料組成物は、例えばエアーナイフコーター、ブレー
ドコーター、ロールコーター、バーコーター等の塗工装
置によって、一般の塗工紙製造と同様に塗工されるが、
この時の塗工紙用塗料組成物の固形分濃度は通常40〜
65重量%の範囲に調整される。
【0073】本発明のキャストコート紙用原紙として
は、一般の印刷塗工紙用の坪量40〜300g/m2
上質紙、中質紙、板紙等、およびこれらに予め片面また
は両面に塗料組成物を塗工乾燥したコート紙等が原紙と
して用いられる。これら原紙への塗工紙用塗料組成物の
塗工量は、乾燥重量で通常片面に10〜25g/m2
工される。このようにして塗工された後、直接キャスト
法、凝固キャスト法、再湿キャスト法あるいはこれらの
組み合わせによって鏡面が形成される。
【0074】本発明において得られる作用は明確ではな
いが、キャストコート紙用塗料組成物において、接着剤
として共重合体エマルションと(メタ)アクリルアミド
系重合体を併用することで保水性が向上し、塗布後の接
着剤成分の原紙への浸透が押えられること、さらには反
応性界面活性剤成分の疎水基の作用により(メタ)アク
リルアミド系重合体の保護コロイド特性が向上したた
め、キャストドラム鏡面からの剥離性の改良やキャスト
面の品質の向上に寄与するものと考えられ、高光沢で強
度の強い均一な塗工面を有するキャストコート紙を製造
することが可能になった。
【0075】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。また、以下例中において用いる部および%は特
記のない限り重量基準を示す。粘度は25℃においてB型
粘度計(〓トキメック社製)により計測した値である。
分子量はGPC分析法により行い、カラムはShodexOH-p
ak SB-80M+SB-804、溶離液は(Na2HPO4-KH2PO4(50mM)-
NaNO3(0.1M),pH6.5)を用いて測定を行った。なお、A
SA−MAはアルケニル鎖長がC18で内部オレフィンタ
イプのASA(商品名:パベラス−NP;三菱石油
(株)社製)とアリルアミンとの反応で得られるアリル
アミド酸型の反応性界面活性剤、ASA−ALはアリル
アルコールとの反応で得られるアリルエステル型の反応
性界面活性剤であり、それ以外については市販品をその
まま使用した。また、以下においてはアクリルアミド系
共重合体をPAMと略称した。
【0076】[製造例1]PAM1 (反応性界面活性剤:ASA−MA) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに80%ASA−MA(Na)25.0
g、次亜リン酸ソーダ0.50g、蒸留水1,014.
5gを混合溶解し、20%硫酸でpHを9.0に調整し
た。 窒素ガスを液面上部から一定流量で流しながら溶
液の温度を80℃に調整した後、50%アクリルアミド
水溶液321.8g、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート(DM)19.1g、20%硫酸29.8g、過硫
酸アンモニウム(APS)1.0g、蒸留水588.3
gを混合溶解した水溶液をミクロチューブポンプを用い
て連続的に2時間かけて添加し、添加後さらに80℃で
3時間反応を行なった。その後、30℃以下に冷却して
反応を終了させ、25℃におけるブルックフィールド粘
度28.4cpsのPAM水溶液を得た。重量平均分子
量をGPCにより測定したところ、397,200であ
った。
【0077】[製造例2〜4]PAM2〜4 (反応性界面活性剤:ASA−MA) モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤を表−1の組成で行
った以外には、製造例1と同様の方法で重合を行った。
表−1にPAM2〜4の粘度、重量平均分子量を示し
た。
【0078】[製造例5]PAM5 (反応性界面活性剤:カルボキシル基含有) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに50%アクリルアミド水溶液 54.
0g、反応性界面活性剤:RA−1120(日本乳化剤
(株)社製) 3.0g、次亜リン酸ソーダ0.15
g、蒸留水241.4gを混合溶解し、10%NaOH
でpHを6.0に調整した。窒素ガスを液面上部から一
定流量で流しながら溶液の温度を80℃に調整した後、
APS0.15gを溶解した水溶液1.5gを添加し、
5時間重合反応を行なった。30℃以下に冷却して反応
を終了させ、25℃におけるブルックフィールド粘度が
56.0cpsのPAM水溶液を得た。重量平均分子量
は、149,400であった。
【0079】[製造例6]PAM6 (反応性界面活性剤:スルホン酸基含有) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに反応性界面活性剤:ラテムルS−18
0A(花王(株)社製)の10%水溶液30.0g、次
亜リン酸ソーダ0.15g、蒸留水29.9gを混合溶
解し、20%NaOHでpHを3.5に調整した。窒素
ガスを液面上部から一定流量で流しながら溶液の温度を
80℃に調整した後、50%アクリルアミド水溶液5
4.0g、APS0.30g、蒸留水185.7gを混
合溶解した水溶液をミクロチューブポンプを用いて連続
的に2時間かけて添加し、添加後さらに80℃で3時間
反応を行なった。30℃以下に冷却して反応を終了さ
せ、25℃におけるブルックフィールド粘度28.2c
psのPAM水溶液を得た。重量平均分子量は、12
5,000であった。
【0080】[製造例7]PAM7 (反応性界面活性剤:スルホン酸基含有) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに反応性界面活性剤:アデカリアソープ
SE−5N(旭電化(株)社製)3.0g、次亜リン酸
ソーダ0.15g、蒸留水 56.9gを混合溶解し、
20%NaOHでpHを6.0に調整した。窒素ガスを
液面上部から一定流量で流しながら溶液の温度を80℃
に調整した後、50%アクリルアミド水溶液54.0
g、APS0.30g、蒸留水185.7gを混合溶解
した水溶液をミクロチューブポンプを用いて連続的に2
時間かけて添加し、添加後さらに80℃で3時間反応を
行なった。30℃以下に冷却して反応を終了させ、25
℃におけるブルックフィールド粘度24.7cpsのP
AM水溶液を得た。重量平均分子量は、113,200
であった。
【0081】[製造例8]PAM8 (反応性界面活性剤:スルホン酸基含有) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに反応性界面活性剤:96%アクアロン
HS−05(第一工業製薬(株)社製)3.1g、次亜
リン酸ソーダ0.15g、蒸留水56.8gを混合溶解
し、20%NaOHでpHを6.5に調整した。窒素ガ
スを液面上部から一定流量で流しながら溶液の温度を8
0℃に調整した後、50%アクリルアミド水溶液54.
0g、APS0.30g、蒸留水185.7gを混合溶
解した水溶液をミクロチューブポンプを用いて連続的に
2時間かけて添加し、添加後さらに80℃で3時間反応
を行なった。30℃以下に冷却して反応を終了させ、2
5℃におけるブルックフィールド粘度17.3cpsの
PAM水溶液を得た。重量平均分子量は、86,500
であった。
【0082】[製造例9]PAM9 (反応性界面活性剤:非イオン性ポリアルキレ
ン基含有) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに反応性界面活性剤:アデカリアソープ
NE−10(旭電化(株)社製)3.0g、次亜リン酸
ソーダ0.15g、蒸留水 56.9gを混合溶解し、
20%NaOHでpHを6.0に調整した。窒素ガスを
液面上部から一定流量で流しながら溶液の温度を80℃
に調整した後、50%アクリルアミド水溶液54.0
g、APS0.30g、蒸留水185.7gを混合溶解
した水溶液をミクロチューブポンプを用いて連続的に2
時間かけて添加し、添加後さらに80℃で3時間反応を
行なった。30℃以下に冷却して反応を終了させ、25
℃におけるブルックフィールド粘度32.4cpsのP
AM水溶液を得た。重量平均分子量は、88,000で
あった。
【0083】[製造例10]PAM10 (反応性界面活性剤:非イオン性ポリアルキ
レン基含有) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに反応性界面活性剤:65%アクアロン
RN−50(第一工業製薬(株)社製)4.62g、次
亜リン酸ソーダ0.15g、蒸留水55.2gを混合溶
解し、20%NaOHでpHを5.5に調整した。窒素
ガスを液面上部から一定流量で流しながら溶液の温度を
80℃に調整した後、50%アクリルアミド水溶液5
4.0g、APS0.30g、蒸留水185.7gを混
合溶解した水溶液をミクロチューブポンプを用いて連続
的に2時間かけて添加し、添加後さらに80℃で3時間
反応を行なった。30℃以下に冷却して反応を終了さ
せ、25℃におけるブルックフィールド粘度12.5c
psのPAM水溶液を得た。重量平均分子量は、52,
100であった。
【0084】[製造例11]PAM11 (反応性界面活性剤:ASA−MA) 重合開始剤に4,4’−アゾビス(4ーシアノバレイン
酸)(和光純薬(株)社製:V−501)を使用した以
外には製造例1と同様にして重合を行った。表−1に結
果を示した。
【0085】[製造例12]PAM12 (反応性界面活性剤:ASA−AL) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに10%ASA−AL(Na)30.0
g、次亜リン酸ソーダ 0.15g、蒸留水29.9g
を混合溶解し、20%NaOHでpHを9.0に調整し
た。窒素ガスを液面上部から一定流量で流しながら溶液
の温度を80℃に調整した後、50%アクリルアミド水
溶液54.0g、APS0.30g、蒸留水185.7
gを混合溶解した水溶液をミクロチューブポンプを用い
て連続的に2時間かけて添加し、添加後さらに80℃で
3時間反応を行なった。30℃以下に冷却して反応を終
了させ、25℃におけるブルックフィールド粘度47
8.0cpsのPAM水溶液を得た。重量平均分子量
は、215,700であった。
【0086】[比較製造例1]比較PAM1 (ホモポリマー) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに次亜リン酸ソーダ0.50g、蒸留水
1,039.5gを混合溶解し、20%硫酸でpHを
9.0に調整した。窒素ガスを液面上部から一定流量で
流しながら溶液の温度を80℃に調整した後、50%ア
クリルアミド水溶液400.0g、APS1.0g、蒸
留水559.0gを混合溶解した水溶液をミクロチュー
ブポンプを用いて連続的に2時間かけて添加し、添加後
さらに80℃で3時間反応を行なった。30℃以下に冷
却して反応を終了させ、25℃におけるブルックフィー
ルド粘度24.2cpsのPAM水溶液を得た。重量平
均分子量は、90,900であった。
【0087】[比較製造例2]比較PAM2 (カチオン性PAM) 撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた
4つ口フラスコに次亜リン酸ソーダ0.50g、蒸留水
1,039.5gを混合溶解し、20%硫酸でpHを
9.0に調整した。窒素ガスを液面上部から一定流量で
流しながら溶液の温度を80℃に調整した後、50%ア
クリルアミド水溶液358.3g、DM20.9g、2
0%硫酸32.5g、APS1.0g、蒸留水547.
3gを混合溶解した水溶液をミクロチューブポンプを用
いて連続的に2時間かけて添加し、添加後さらに80℃
で3時間反応を行なった。30℃以下に冷却して反応を
終了させ、25℃におけるブルックフィールド粘度2
5.6cpsのPAM水溶液を得た。重量平均分子量
は、94,400であった。
【0088】[製造例11]共重合体エマルション1 (保護コロイド重合法) 攪拌機付きオートクレーブ中に脱イオン水350部を仕
込み、窒素置換しながら65℃に調整した後、製造例1
で製造したPAM1 10%水溶液100部、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、過硫酸カリウ
ム1.8部を添加した。この水溶液に、ホモジナイザー
を用いて乳化したブタジエン34部、スチレン60部、
アクリル酸 1部、イタコン酸 2部、メタクリルアミ
ド 3部の単量体混合物計100重量部とtert−ド
デシルメルカプタン0.6部、α−メチルスチレンダイ
マー1.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
0.3部および脱イオン水50部からなるエマルション
を、6時間で添加した後、重合を完結させるため、さら
に8時間重合を継続し重合転化率98%で重合を終了し
た。次いで、得られた共重合体エマルションを水酸化ナ
トリウムを用いてpH6に調整した後、水蒸気を吹き込
んで未反応単量体を除去し、さらに加熱減圧蒸留によっ
て固形分35%の共重合体エマルション1を得た。
【0089】[製造例12]共重合体エマルション2 (保護コロイド重合法) 製造例1で製造したPAM1 1%水溶液100部を使
用した以外には製造例11と同様に行い、固形分35%
共重合体エマルション2を得た。
【0090】[実施例1] 塗料組成物の配合 固形分換算でカオリン(商品名:UW−90;米国エン
ゲルハード社製)70部、軽質炭酸カルシウム(商品
名:タマパール123;奥多摩工業(株)社製)30
部、分散剤(商品名:アロンT−40;東亜合成化学
(株)社製)0.2部、消泡剤(商品名:ノプコ122
NS;サンノプコ(株)社製)0.15部をカウレス混
練機を用いて水に分散させ、固形分濃度70%の顔料ス
ラリーを調整し塗料1とした。
【0091】塗料1に、共重合体エマルション(a−
1)として下記共重合体エマルション3、4を、又(メ
タ)アクリルアミド系共重合体(b)として製造例1で
製造したPAM1を用いて、固形分換算で次のような組
成になるように調合し、固形分濃度45%のキャストコ
ート紙用塗料組成物を得た。
【0092】 塗料組成物原料 固形比 塗料1 100.35部 離型剤(商品名:ノフコPEM−17;サンノプコ(株)社製) 1 部 共重合体エマルション3 (ポリラック518N−01:三井東圧化学(株)社製) 16 部 共重合体エマルション4 (ポリラック518D−59:三井東圧化学(株)社製) 5.6 部 PAM1 1.4 部
【0093】前記より得られた塗料組成物を、坪量10
4.7g/m2 の上質紙にドクターブレードにて、塗
料組成物の塗工量が乾燥重量で18g/m2 になるよ
うに塗工し、室温にて適宜乾燥した後、塗被層に2%ギ
酸カルシウム水溶液を塗布し再湿潤させ、テスト用キャ
ストコーター(由利ロール機械(株)社製)にて、ドラ
ム温度95〜97℃、スピード2m/分、プレス圧力1
00kg/cm、の条件下に掛けて乾燥させ、自然剥離
によりキャストコート紙を作成した。
【0094】上記方法において、キャストコート紙用塗
料組成物の粘度並びに塗布後の室温乾燥時間及び上記方
法により作成したキャストコート紙の物性を測定し、こ
れらの結果を表−2に示した。尚、得られたキャストコ
ート紙用塗料組成物並びにキャストコート紙の物性評価
は次のように行なった。
【0095】(1)塗料粘度 B型粘度計(BM型:東機産業社製)にて、60回転/
25℃の粘度を測定した。
【0096】(2)白紙光沢 村上色彩(株)製、光沢度計(GM−3D)を使用し、
60゜で鏡面光沢を測定した。
【0097】(3)印刷光沢 明製作所(株)製RI印刷試験機(RI−III型)を使
用し、東洋インキ製マークファイブニュー藍で印刷を行
い、恒温恒湿(20℃、65%)室で24時間シーズニ
ングを行った後、村上色彩(株)製、光沢度計(GM−
3D)を使用し、60゜で鏡面光沢を測定した。
【0098】(4)表面強度(ドライ強度及びウエット
強度) 明製作所(株)製RI印刷試験機(RI−III型)を使
用し、東洋インキ製SMXインキタックNo.15墨
0.4ccを使用し、ピッキング試験を行ない、印刷面
のピッキング状態を目視により10段階評価(10は全
く発生せず良好、1は表面全体に発生し不良)で判定し
た。
【0099】(5)剥離性試験 キャストコート紙用塗料組成物を鏡面仕上げしたクロム
メッキ板上に塗布し、室温で乾燥後150℃で熱処理を
行ってフィルムを形成し、メッキ板からの剥離性を5段
階評価(5は剥離性が良好、1は密着して剥離しない)
で判断した。
【0100】(6)乾燥時間 塗料組成物をドクターブレードにて上質紙上に塗工後、
室温にて静置し、塗工表面の水分による光沢が消失する
までの時間を目視で測定し、秒数で表示した。
【0101】[実施例2〜12]実施例1のキャストコ
ート紙用塗料組成物において、PAM1の代わりにPA
M2〜12を使用した以外は実施例1と同様にしてキャ
ストコート紙を作成した。各物性を測定し結果を表−2
に示した。
【0102】[実施例13]実施例1のキャストコート
紙用塗料組成物において、共重合体エマルション4の代
わりに、共重合体エマルション5(a−2)としてアク
リル酸エステル系エマルション(ボンロン482TB:
三井東圧化学(株)社製)を固形分換算で1.4部使用
した以外は実施例1と同様にしてキャストコート紙を作
成した。各物性を測定し結果を表−2に示した。
【0103】[実施例14]実施例1のキャストコート
紙用塗料組成物において、共重合体エマルション4の代
わりに、共重合体エマルション1(a’−1)を固形分
換算で6.3部、PAM1を0.7使用した以外は実施
例1と同様にしてキャストコート紙を作成した。各物性
を測定し結果を表−2に示した。
【0104】[実施例15]実施例1のキャストコート
紙用塗料組成物において、共重合体エマルション4の代
わりに、共重合体エマルション2(a’−1)を固形分
換算で5.6部、PAM1を1.4部使用した以外は実
施例1と同様にしてキャストコート紙を作成した。各物
性を測定し結果を表−2に示した。
【0105】[実施例16]実施例2のキャストコート
紙用塗料組成物において、塗料固形分濃度を55%にし
た以外は実施例2と同様にしてキャストコート紙を作成
した。各物性を測定し結果を表−2に示した。
【0106】[比較例1]PAM1の代わりに、比較P
AM1を使用した以外は実施例1と同様にしてキャスト
コート紙を作成した。各物性値を表−2に示した。
【0107】[比較例2]PAM1の代わりに、比較P
AM2を使用した以外は実施例1と同様にしてキャスト
コート紙を作成した。各物性値を表−2に示した。
【0108】[比較例3]PAM1共重合エマルショ
ン4の代わりに、カゼインを固形分換算で7部使用した
以外は実施例1と同様にしてキャストコート紙を作成し
た。各物性値を表−2に示した。
【0109】[比較例4]PAM1の代わりにカルボキ
シメチルセルロース(商品名:セロゲンPR;第一工業
製薬(株)社製)を固形分換算で1.4部使用した以外
は実施例1と同様にしてキャストコート紙を作成した。
各物性を表−2に示した。
【0110】[比較例5]PAM1の代わりにポリビニ
ルアルコール(商品名:PVA−117S;クラレ
(株)社製)を固形分換算で1.4部使用した以外は実
施例1と同様にしてキャストコート紙を作成した。各物
性値を表−2に示した。
【0111】[比較例6]共重合体エマルション4の代
わりに水溶性ウレタン樹脂(オレスターUD100N:
三井東圧化学(株)社製)を固形分換算で5.6部、P
AM1の代わりにポリビニルアルコール(PVA−11
7S:クラレ(株)社製)を固形分換算で1.4部使用
した以外は実施例1と同様にしてキャストコート紙を作
成した。各物性値を表−2に示した。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【発明の効果】表−2の数値が示す如く、本発明の実施
例によるキャストコート紙用塗料組成物は、白紙及び印
刷光沢が優れており、しかも強度の強い均一な面を有す
るキャスト紙を生産することを可能にしたものである。
本発明は、食用資源としても有用な天然原料であるカゼ
インを使用しなくても光沢度の高いキャストコート紙が
製造でき、また、反応性界面活性剤を共重合成分とした
(メタ)アクリルアミド系重合体はカゼインに比べて1
/5の添加量でも優れた特性を示し、塗料粘度も低く抑
えられることから、キャスト塗工用塗料において、さら
に塗料固形分濃度を高濃度化がすることが可能となり、
加えて作業効率が向上する等の優れた特徴を有するもの
である。従って、本発明はキャストコート紙用の塗料組
成物として、従来にない非常に有用な塗料組成物である
ことは明らかである。
フロントページの続き (72)発明者 高野 弘二 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 王 金▲かい▼ 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 小島 隆 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 北村 勝徳 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 川邉 邦明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料及び接着剤を主成分とするキャスト
    コート紙用塗料組成物であって、接着剤が、(a)脂肪
    族共役ジオレフィン系単量体およびこれと共重合可能な
    単量体を乳化重合して得られる共重合体エマルションお
    よび/または下記一般式(1)[化1]で表される(メ
    タ)アクリル酸エステル系単量体およびこれと共重合可
    能な単量体を乳化重合して得られる共重合体エマルショ
    ンと、(b)反応性界面活性剤を共重合成分とする(メ
    タ)アクリルアミド系重合体を含有することを特徴とす
    るキャストコート紙用塗料組成物。 【化1】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数
    1〜12のアルキル基を表す。)
  2. 【請求項2】 反応性界面活性剤が、下記一般式(2)
    〜(5)[化2]で表される化合物であることを特徴と
    する請求項1記載のキャストコート紙用塗料組成物。 【化2】 (上式において、R3 は炭素数6〜48の直鎖状あるい
    は分岐状飽和炭化水素基、あるいは不飽和二重結合を1
    以上12以下含有する炭素数6〜48の直鎖状あるいは
    分岐状不飽和炭化水素基を表す。R4 、R5 は独立して
    水素原子あるいはメチル基を表し、R6 は炭素数2〜6
    の直鎖状あるいは分岐状飽和炭化水素基を表す。Mは水
    素原子またはアルカリ金属またはアンモニウム基を表
    す。XはNH、N(−CH2−CH=CH2)、Oの何れ
    かを表す。)
  3. 【請求項3】 キャストコート紙用塗料組成物が、顔料
    100重量部に対して、接着剤成分である(a)共重合
    体エマルションを8〜40重量部、(b)(メタ)アク
    リルアミド系重合体を0.1〜10重量部含有すること
    を特徴とする請求項1または2に記載のキャストコート
    紙用塗料組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のキャス
    トコート紙用塗料組成物を塗工してなるキャストコート
    紙。
JP15526897A 1997-06-12 1997-06-12 キャストコート紙用塗料組成物及び該組成物を塗工して なるキャストコート紙 Pending JPH1112987A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005522588A (ja) * 2001-07-25 2005-07-28 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト キャストコーティング法のための紙塗被材料
JP2012214744A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Mitsui Chemicals Inc 剥離基材用下塗り剤

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