JP3645008B2 - バインダー組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バインダー組成物に関し、さらに詳しくは塗工紙の製造に供すれば、高い光沢と印刷適性を付与するバインダー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、化学安定指数が24以下である樹脂ラテックス、多価金属塩および非熱可逆性増粘剤であるアルキルフェノールホルマリン縮合物のアルキレンオキシド付加物からなる感温ゲル化性組成物(特開平4−261453号公報)が提案されている。また、エチレン性不飽和界面活性剤を用いた乳化重合で得られる樹脂のガラス転移温度が−30〜50℃のラテックスに感熱ゲル化剤を配合した感温ゲル化性ラテックス組成物(特開平6−299000号公報)が提案されている。また、樹脂ラテックスの製造に用いられるノニオン性活性剤として、2官能の疎水性ポリマーであるポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加物、いわゆる、プルロニック系活性剤が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記組成物は加熱によって強固なゲルを形成するものの、加熱によってラテックス粒子が破壊され、冷却しても元の流動性に戻らないという非可逆的な感熱ゲル化性を有しているため、上記組成物を用いた塗料等を加熱後再使用する用途には使用できないという問題があった。また、プルロニック活性剤は、加熱によっても増粘またはゲル化には到らない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、加熱によって強固なゲルを形成し、かつ、冷却した場合に元の流動性に戻るという可逆的な感熱ゲル化性を有し、加熱後再使用する用途に使用できるバインダー組成物について鋭意検討した結果、末端にオキシエチレン基を有する3価以上のポリエーテルポリオールを感温ゲル化剤として使用することによって上記課題が解決できることを見いだし本発明に到達した。
【0005】
すなわち本発明は、ラジカル重合性基を有するアニオン系(メタ)アクリル酸エステル類、アニオン系(メタ)アクリルアミド類およびアニオン系スチレン誘導体類から選ばれる1種以上の乳化剤を使用して得られるビニル重合体の樹脂ラテックス(A)に、一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化し、末端にオキシエチレン基を有する3価以上のポリエーテルポリオール(B)が含有されてなることを特徴とするバインダー組成物である
【0006】
本発明における樹脂ラテックス(A)としては、ビニル重合体のラテックスが挙げられる。
【0008】
前記ラテックスを構成するビニル重合体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、1−メチルスチレン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ブタジエン、塩化ビニル、イソプレン、クロロプレン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシポリグリセロール、アリルアルコール、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルイミダゾール、N−メチロールマレイミド、N−ビニルスクシンイミド、p−アミノスチレン、N−ビニルカルバゾール、2−ビニルピリジン、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、アルキルアリルスルホコハク酸、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン硫酸エステル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルアニリン、1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、及び、1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド等、ならびにこれらの組合せの(共)重合体が挙げられる。
【0009】
樹脂ラテックス(A)としては、スチレン系樹脂(スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−アクリル樹脂等)、アクリル系樹脂および酢酸ビニル系樹脂(エチレン−酢酸ビニル系樹脂等)のラテックスが好ましく、特に、接着力が良好であるという点でスチレン−ブタジエン系樹脂ラテックスが好ましい。
【0010】
樹脂ラテックス(A)のうち、ビニル重合体のラテックスは、前記単量体またはそれらの混合物を通常の条件で乳化重合して得られる。乳化重合に用いられる乳化安定剤としては、通常の乳化剤あるいは水溶性ポリマーが使用可能であるが、ラジカル重合性基を有する乳化剤を使用すると、水相の乳化剤量が少なくなる結果、本発明のバインダー組成物の感温ゲル化性が良好となり好ましく、水相の乳化剤量が0.01mmol/g以下である場合、特に好ましい。
【0011】
水相の乳化剤量は、樹脂ラテックスから樹脂分を除いて得た水相を、液体クロマトグラフィー等で分析し定量することによって求められる。樹脂ラテックスから樹脂分を除く方法としては、例えば、樹脂ラテックスを凍結させた後融解し樹脂成分を凝集固化させて除く方法、遠心分離機によって樹脂分を沈降固化させて除く方法、酸またはアルカリを加えて樹脂成分を沈降固化させて除く方法等が挙げられる。
【0012】
ラジカル重合性基を有する乳化剤としては、例えば、
(1)アニオン系(メタ)アクリル酸エステル類[
CH2=C(R1)CO2(CH2)mSO3M(式中R1は水素原子またはメチル基、mは1〜24の整数、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの、
CH2=C(R1)CO2CH2C(R2)(OCOR3)CH2SO3Mまたは
CH2=C(R1)CO2CH2C(R2)(CH2はメチル基、R3は炭素数7〜21のアルキル基またはアルケニル基、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの、
CH2=C(R1)CO2CH2CH2OCOAr(R4)CO2CH2CH2OSO3M(式中R1は水素原子またはメチル基、Arは芳香族環、R4は水素原子または炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの、
CH2=C(R1)CO(AO)pOSO3Mまたは
CH2=C(R1)CO(AO)pOCH2CO2M(式中R1は水素原子またはメチル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、pは2〜200の整数、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの等]、
(2)アニオン系(メタ)アクリルアミド類[
CH2=C(R1)CONH(CH2)mSO3M(式中R1 は水素原子またはメチル基、mは1〜24の整数、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの、
CH2=C(R1)CONHCH2C(R2)(OCOR3CH2=C(R1)CONHCH2C(R2)(CH2OCOR3)SO3M(式中R1及びR2は水素原子またはメチル基、R3は炭素数7〜21のアルキル基またはアルケニル基、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの、
CH2=C(R1)CONHCH2CH2OCOAr(R4 )CO2CH2CH2OSO3M(式中R1は水素原子またはメチル基、Arは芳香族環、R4は水素原子または炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの、
CH2=C(R1)CONHCH2(AO)pOSO3Mまたは
CH2=C(R1)CONHCH2(AO)pOCH2CO2 M(式中R1は水素原子またはメチル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、pは2〜200の整数、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの等]、
(3)アニオン系スチレン誘導体類[CH2=CHAr(CH2)rSO3CH2=CHAr(AO)pOCH2CO2M(式中Arは芳香族環、pは2〜200の整数、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、またはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの等]、
【0013】
これらのなかでは、通常の紙塗工用塗料に用いられる顔料分散剤[例えば、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム]によって凝集しにくく、感温ゲル化時により強固なゲルを与えるという点で、アニオン性の(1)〜(3)が好ましい。(1)のうち、アニオン基とポリオキシプロピレン鎖とを有する(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0014】
樹脂ラテックス(A)を製造するのに用いられる乳化剤の使用量は通常、樹脂分に対して0.1〜20重量%である。
【0015】
樹脂ラテックス(A)の樹脂分は、通常20〜75%であり、好ましくは、40〜60%である。また、樹脂ラテックス(A)中の重合体の粒子径は、通常10〜500nm、好ましくは50〜300nmであり、pHは、通常3〜12、好ましくは6〜10である。粒子径が500nmを越える場合あるいはpHが3未満または12を越える場合には、感温ゲル化性が十分に発揮できない。
【0016】
樹脂ラテックス(A)の製造に際しては、公知の重合開始剤が使用される。重合開始剤としては、有機系重合開始剤[パーオキシド類(クメンハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、パラメンタンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等)、アゾ化合物類(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)]、無機系重合開始剤[過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等)等]等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、通常、単量体混合物に対して0.01〜5重量%である。
【0017】
樹脂ラテックス(A)の製造において、樹脂の分子量、ラテックスのゲル含有量等を調整する目的で公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等)、ターピノーレン、テルピネン、ジペンテン、炭素数8〜18のアルキルメルカプタン、炭素数8〜18のアルキレンジチオール、チオグリコール酸アルキル、ジアルキルキサントゲンジスルフィド、テトラアルキルチウラムジスルフィド、四塩化炭素、等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。連鎖移動剤の使用量は、通常、(A)を構成する単量体に対して0〜15重量%である。
【0018】
なお、還元剤[ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、グルコース、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、L−アスコルビン酸(塩)]、キレート剤(グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等)、pH緩衝剤(トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸カリウム等)等の添加剤を(A)の製造中に含有させてもよい。
【0019】
本発明における一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化する、末端にオキシエチレン基を有する3価以上のポリエーテルポリオール(B)としては、活性水素基を3個以上有する化合物(a)の炭素数2〜8の環状エーテル含有化合物一種以上の開環付加重合体(b)のエチレンオキシド付加物が挙げられる。(a)としては、アルコール類(トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリグリセロール等)、アミノアルコール類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、アミン類(アンモニア、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等)等が挙げられる。炭素数2〜8の環状エーテル含有化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられる。(b)の分子量は、好ましくは1000以上、さらに好ましくは1500〜1万である。分子量が1000未満では感温ゲル化性(加温による親水性から疎水性への変化)のシャープさが低下する。
【0020】
(b)としては、塗工紙用バインダーとして用いた場合に加熱乾燥中に紙塗工用塗料中の樹脂ラテックス粒子の表面への移行を抑制し高い光沢と印刷適性を付与するという点で、アミン類のプロピレンオキシド付加物が好ましい。
【0021】
また、(b)が疎水性である場合、感温ゲル化性がよりシャープになり好ましい。(b)が疎水性であるかどうかは、(b)10部と水90部を十分し振り混ぜたあと10分間静置した液の外観で判定される。液が均一透明である場合、(b)は疎水性でないと判定され、液が白濁または2層以上に分離する場合、(b)は疎水性であると判定される。
【0022】
(B)は(b)にエチレンオキシドを好ましくは20モル以上、さらに好ましくは25〜70モル付加して得られる。
【0023】
本発明のバインダー組成物は、樹脂ラテックス(A)にエチレンオキシド付加物(B)が含有されてなるが、(A)と(B)の割合は、重量に基づいて通常70〜99.99:0.01〜30、好ましくは80〜99.9:0.1〜20である。(B)の割合が0.01重量%未満であると、得られる塗工紙の白紙光沢が不十分となる。
【0024】
エチレンオキシド付加物(B)は、一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化するが、この親水性から疎水性に変化する温度(転移温度)は、通常15〜100℃、好ましくは40〜80℃である。なお、転移温度は、(B)の1%水溶液を徐々に加温していき、その水溶液が白濁またはゲル化し始める温度を測定することによって求められる。
【0025】
本発明の組成物は、樹脂ラテックス(A)とエチレンオキシド付加物(B)単独あるいは(B)を水で希釈したものとを、(B)の転移温度よりも低い温度で、通常の混合装置(櫂型攪拌翼等)で混合することによって得られる。
【0026】
本発明のバインダー組成物は、必要に応じて、接着力を高めるため等の目的で、カチオン化デンプン、酸化デンプン、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸系樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の公知の水溶性化合物を含有することができる。
【0027】
また、必要に応じて、各種クレー、カオリン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウム、タルク、プラスチックピグメント(ポリスチレン、スチレン/ブタジエン共重合体あるいはスチレン/アクリル共重合体等のビーズ)等の公知の顔料1種以上を含有することができる。
【0028】
さらに、必要に応じて、顔料分散剤[ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等]、消泡剤(鉱物油系消泡剤、シリコン系消泡剤等)、その他の添加剤[潤滑剤、pH調整剤、防腐剤、耐水化剤、印刷適性向上剤等]の添加剤も含有することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の部は重量部である。
製造例1
攪拌機、滴下ボンベ、窒素ガス導入管、温度計を備えた加圧反応容器に水102部、スチレン45部、メチルメタクリレート9部、メタクリル酸4部、ラジカル重合性基を有する乳化剤としてアクリロイルオキシポリプロピレン(重合度=12)硫酸エステル5部、過硫酸ナトリウム1部およびラウリルメルカプタン0.2部を仕込み、攪拌下、系内を窒素ガスで置換後、滴下ボンベからブタジエン37部を圧入し、50℃で30時間、85℃で5時間反応させた。減圧下未反応モノマーをストリッピングし、水酸化ナトリウム水溶液でpH9.5に調整することによって、SBR系樹脂ラテックス1(固形分47.9%、以下SBR1という)を得た。
【0030】
製造例2
製造例2と同様にして、スチレン50部、メチルメタクリレート4部、メタクリル酸4部、アクリロニトリル5部、ブタジエン32部及びメタクリロイルオキシポリオキシプロピレン(重合度=9)硫酸エステルNa塩5部から、SBR系樹脂ラテックス2(固形分48.3%、以下SBR2という)を得た。
【0031】
製造例3
攪拌機、滴下ロート、温度計を備えた加圧反応容器にペンタエリスリトールのプロピレンオキシド28モル付加物53部(分子量1760)および水酸化カリウム0.2部を加え、180℃で減圧脱水後、エチレンオキシド46.4部を8時間かけて滴下した。さらに180℃で2時間攪拌を続行した。リン酸で中和して、4官能ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド35モル付加物(以下付加物1という)を得た。
【0032】
製造例4
製造例3と同様にして、ジエチレントリアミンのプロピレンオキシド35モル付加物50部(分子量2133)とエチレンオキシド51.6部を付加反応させ、5官能ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド50モル付加物(以下付加物2という)を得た。
【0033】
製造例5
製造例3と同様にして、分子量1300のポリプロピレングリコール65部とエチレンオキシド88部を付加反応させ、比較のためのポリプロピレングリコールのエチレンオキシド40モル付加物(以下付加物3という)を得た。
【0034】
実施例1〜4、比較例1,2
製造例1で得られたSBR1を100部に製造例3で得られた付加物1の20%水溶液3部を攪拌下配合することによって、実施例1の組成物1を得た。同様にして、SBR1と付加物2から実施例2の組成物2を、SBR2と付加物1から実施例3の組成物3を、SBR2と付加物2から実施例4の組成物4をそれぞれ得た。また、SBR1と付加物3から比較例1の組成物5を、SBR1とアルキルフェノールホルマリン縮合物のアルキレンオキシド付加物[花王(株)製ラテムルNP−5150T]から比較例2の組成物6を得た。
【0035】
実施例1〜4及び比較例1、2でそれぞれ得られた組成物1〜6それぞれの25℃での粘度と80℃の湯浴中に15分間密栓下放置した後の80℃での粘度を測定することによって感温ゲル化性を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
− | | 実 施 例 | 比 較 例
| | | 1 | 2 | 3 | 4 | 1 | 2
| |−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−
−−| |加熱前粘度(cP/25℃) | 150 | 180 | 250 | 220 | 170 |
190 | |−−−−−−−−−−+−−−+−−−+−−−+−−−+−−−+
−−−| |80℃粘度 (cP/80℃) |>10万|>10万|>10万|>10万| 120
|>10万| |−−−−−−−−−−+−−−+−−−+−−−+−−−+−−
−+−−−| |冷却後粘度(cP/25℃) | 160 | 180 | 230 | 240 | 1
80 |>10万| −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−
【0037】
実施例5〜8、比較例3〜5
水25部、分散剤[サンノプコ(株)製SNディスパーサント5040]0.3部、水酸化ナトリウム0.1部、消泡剤[サンノプコ(株)製ノプコDF122]0.1部、クレー35部及び炭酸カルシウム15部をディスパーで、2000回転で30分間分散混合し、この分散液に、α化リン酸化デンプン(30%水溶液)8.3部、組成物1を14.1部加え均一混合し、実施例5の塗工カラー1を得た。
前記と同様の操作をして、組成物2を用いて実施例6の塗工カラー2を、組成物3を用いて実施例7の塗工カラー3を、組成物4を用いて実施例8の塗工カラー4を、組成物5を用いて比較例3の塗工カラー5を、組成物6を用いて比較例4の塗工カラー6をそれぞれ得た。
また、組成物1の代わりにSBR1単独を用いて比較例5の塗工カラー7をそれぞれ得た。
【0038】
各塗工カラー1〜7を、58g/m2の中質紙にドライ塗工量約8g/m2でバーコーターを用いて塗工し、150℃の循風乾燥機中で30秒間乾燥し、裁断した。その後、ミニスーパーカレンダーで、処理(温度60℃、ニップ圧90kg/cm、通紙2回)して塗工紙1〜7をそれぞれ作成し、各塗工紙の諸物性を測定した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003645008
【0040】
印刷試験;明製作所(株)製RI印刷機でオフセット用インキをベタ塗りした。
光沢;東京電色(株)製グロスメーターで75゜光沢を測定した。
【0041】
【発明の効果】
本発明のバインダー組成物は、低温では低粘度であるが加熱によって強固なゲルを形成し、かつ、冷却した場合に元の流動性に戻るという熱可逆的なゲル化性を有し、加熱後再使用する用途に使用できる感温ゲル化性バインダー組成物である。例えば塗工紙の製造に供すれば、高い光沢と印刷適性を付与できる。さらに、本発明のバインダー組成物は、各種の布帛、フィルムあるいはシートの塗布剤あるいは含浸剤に有効である。さらに接着剤や塗料のバインダーにも有用である。

Claims (3)

  1. ラジカル重合性基を有するアニオン系(メタ)アクリル酸エステル類、アニオン系(メタ)アクリルアミド類およびアニオン系スチレン誘導体類から選ばれる1種以上の乳化剤を使用して得られるビニル重合体の樹脂ラテックス(A)に、一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化し、末端にオキシエチレン基を有する3価以上のポリエーテルポリオール(B)が含有されてなることを特徴とするバインダー組成物。
  2. (A)が、アニオン基とポリオキシプロピレン鎖とを有する(メタ)アクリレートを乳化剤として用いて乳化重合したスチレン−ブタジエン系樹脂ラテックスである請求項1記載のバインダー組成物。
  3. (B)が、活性水素を3個以上有する化合物のプロピレンオキシド開環付加重合体(b1)のエチレンオキシド付加物である請求項1または2記載のバインダー組成物。
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