JP3750888B2 - 芳香剤の加熱蒸散方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸液芯材などを用いて加熱により芳香剤を蒸散させる形式の加熱蒸散装置に用いられる芳香剤加熱蒸散用液組成物に関し、詳しくは長期間香質が変化せず、安定して香料を蒸散させることができる芳香剤加熱蒸散用液組成物の加熱蒸散方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、吸液芯利用の非加熱式で常温揮散する芳香液は、揮散速度が小さいので、香料の揮散を促進させるために、低沸点溶剤である水やアルコール系溶剤を用いたり、また一方では香料の揮散過多がある場合には、それを抑制するために高沸点溶剤を用いて保留作用をもたせていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者の非加熱式の場合には、油性の香料を水やアルコール系溶剤に溶解させるために、高分子量の溶媒を用いることが必要であり、そのため前記溶媒が吸液芯に残存して吸液芯が詰まるため、望みの蒸散を維持することができなかったり、香料の低沸点成分が早く揮散し、高沸点成分のみが残り、香質が著しく変化してしまうという問題があった。
また、後者の加熱式の場合には、高温で加熱されるために溶剤が高沸点のもの或いは組成となり、香質を変化させないようにして香料の揮散させるには不向きであったり、溶剤の沸点と香料の沸点が相違しているため、安定した香質を長時間持続することはむずかしかった。
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を改良し、長期間の使用に対して、芳香剤の有効成分である香料の香質の変化がなく、しかも一定の蒸散量を維持することができる芳香剤加熱蒸散用液組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を行った結果、芳香剤の有効成分である香料の香質が長期間の使用に対して変化しないで加熱蒸散するようにするには、芳香剤加熱蒸散用液が加熱部位に均一に到達することが必要であること、すなわち芳香剤加熱蒸散用液の各成分が吸液芯の中を同じように移動することが必要であることを知見し、その条件を満たすには、香料とその溶剤の動粘度が同じか、近いものとすればよいことを突き止め、そのようにすることにより長時間の使用に対して安定性が改良されることできて、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の手段により、前記の課題を解決した。
(1)香料と香料用の溶剤を含む芳香剤加熱蒸散用液組成物を用いる加熱蒸散方法において、香料用の溶剤として、パラフィン系炭化水素系溶剤、シリコーン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤のうち、動粘度が香料の動粘度と同じか又はこれに近い2〜6cSt(25℃)である溶剤から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を混合した芳香剤加熱蒸散用液組成物を用い、吸液芯材としてポリアクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊維のうち1種又は2種以上を用いることを特徴とする芳香剤の加熱蒸散方法
(2)前記香料用の溶剤として、イソパラフィン、メチルポリシロキサン、トリプロピレングリコールのうち、動粘度が2〜6cSt(25℃)である溶剤から選ばれる、少なくとも1種又は2種以上を混合したものを用いることを特徴とする前記(1)記載の芳香剤の加熱蒸散方法
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において、香料用の溶剤として、動粘度が香料の動粘度と同じか又はこれに近いパラフィン系炭化水素系溶剤、シリコーン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤を用いるのは、前記したように、香料の香質が長期間の使用に対して変化しないで加熱蒸散するようにするには、芳香剤加熱蒸散用液の各成分が吸液芯の中を同じように移動することが必要であり、それにより芳香剤加熱蒸散用液が加熱部位に均一に到達することができることを突き止めたことによるものである。
【0006】
加熱蒸散に良く使用する香料としてはフルーツ系、フローラル系、石鹸系、ハーブ系が考えられ、フルーツ系香料としては、例えばグレープフルーツ、アカリンゴ、ネーブルオレンジ、グリーンアップル、ネーブルオレンジ、パイナップル(末尾に「香料」を付ける方が正確であるが、果物と混同しない場合には省略する)などがあるが、これらの動粘度は、グレープフルーツで2.2〜2.9cSt(20℃)、アカリンゴで1.1〜1.7cSt(20℃)、グリーンアップルで3.2〜4.3cSt(20℃)、ネーブルオレンジで2.4〜3.0cSt(21℃)、パイナップルで1.1〜1.7cSt(21℃)である。なお、この動粘度の値は、それぞれの粘度を比重で割って得たものである。
これに対して、使用するに適する香料用溶剤としては、パラフィン系炭化水素系溶剤では、各炭素数毎にその炭素数の炭化水素がほぼ100%を占めるノルマルパラフィンにおいては、炭素数10の商品名N−10、炭素数11の商品名N−11、炭素数12の商品名N−12、炭素数13の商品名N−13の場合、それらの動粘度(30℃)は、それぞれ1.1、1.4、1.7、2.1(cSt)である。炭素数14の商品名N−14は2.5cStであり、炭素数14〜15の商品名SH−NPは2.8cStである。
【0007】
イソパラフィンでは、沸点範囲166〜202℃のもの(商品名IPソルベント1620)で、動粘度が1.28cSt(37.8℃)、沸点範囲213〜262℃のもの(商品名IPソルベント2028)で、動粘度が2.64cSt(37.8℃)である。
シリコーン系溶剤については、沸点153℃のものが1.0cSt、沸点195℃のものが1.5cSt、沸点230℃のものが2.0cSt、10mmHgで沸点130℃のものが5.0cStである。
グリコールエーテル系溶剤については、ジプロピレングリコールメチルエーテル(沸点190℃)が3.8cSt(25℃)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(沸点242℃)が5.5cSt(25℃)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル(沸点150℃)が2.2cSt(25℃)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル(沸点170℃)が3.3cSt(25℃)、エチレングリコールエチルエーテル(沸点136℃)が2.0cSt(25℃)である。
【0008】
なお、前記の溶剤の沸点と香料の沸点との関係も加熱蒸散にある程度の影響を有する。その液組成物に用いる調合香料の沸点は、例えばフルーツ系香料の場合には150〜250℃の範囲にあり、またフローラル系香料の場合には、やや高沸点側にシフトし、180〜280℃の範囲にある。香料の蒸散量は、加熱温度と液組成物の沸点に影響を受けやすいため、調合香料の沸点範囲と溶剤の沸点範囲がかけ離れていることは好ましくない。
溶剤の沸点と香料の沸点が近い方が、安定した蒸散を継続させるのに好適であり、香質変化も少ない。
【0009】
本発明において用いるパラフィン系炭化水素溶剤としては、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、流動パラフィンなどが挙げられる。シリコーン系溶剤としては、メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルポリシクロシロキサンなどが挙げられる。また、グリコールエーテル系溶剤としては、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
ここに例示した以外のものでも、条件に合致するものであれば使用できる。これらの溶剤の動粘度は、前記した香料の動粘度からいって、2〜6cSt(25℃)の範囲が好ましい。これらの溶剤の沸点は、一般に150〜280℃である。前記溶剤には水を実施可能な限り混合しても良い。
【0010】
本発明の加熱蒸散用液組成物中に含有させることができる香料としては、前記溶剤に溶解させて使用できるものであれば何ら制限を受けるものではなく、天然香料あるいは合成香料のいずれでも使用が可能であり、調合香料であっても構わない。また、その香料の種類としては、動物性香料あるいは植物性香料のいずれかは問わない。調合香料としては、好適なものを例示すると、例えば、天然香料ではじゃ香、霊猫香、合成香料としてピネン、リモネンが挙げられる。
前記香料の溶剤への配合割合は、5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%であるが、実施可能な限り前記配合割合に制限を受けるものではない。
また、本発明の加熱蒸散用液組成物中には、香料の溶解性や加熱蒸散性を改善あるいは調整するために、BHTなどを添加してもよい。これらについては後述する。
【0011】
天然香料として例えば、じゃ香、霊猫香、竜延香等の動物性香料;アビエス油、アジョクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、ベルガモット油、パーチ油、ボアバローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュペブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロページ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、はつか油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油、ウォームウッド油、ワニラ豆エキストラクト等の植物性香料を含む。
【0012】
人造香料は合成または抽出香料であり、それらは例えばピネン、リモネン等の炭化水素類;リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコール等のアルコール類;アネトール、オイゲノール等のフェノール類;n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ワニリン等のアルデヒド類;メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリル、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、イオノン等のケトン類;アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトンまたはオキシド類;メチルフォーメート、イソプロピルフォーメート、リナリールフォーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸グラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ペラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチル酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルピルベート、エチルα−ブチルブチレート等のエステル類等を含む。
【0013】
また、この芳香剤及び/又は吸液芯中には、溶液の溶解性や加熱蒸散性を改善あるいは調整するために次の化合物を添加剤として添加しても良い。すなわち例えば、
・3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(以下BHTという)
・3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール
・3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール
・メルカプトベンズイミダゾール
・ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート
・2,2′−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)
・2,2′−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)
・4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)
・4,4′−ブチリデン−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
・4,4′−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
・1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
・トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
・テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン
・オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート
【0014】
・フェニル−β−ナフチルアミン
・N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン
・2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリンポリマー
・6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン
・2−t−ブチル−4−メトキシフェノール
・3−t−ブチル−4−メトキシフェノール
・2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール
・ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
・α−トコフェロール
・アスコルビン酸
・エリソルビン酸
等を挙げることができる。
上記添加剤は、その1種を単独で用いてもよく、また2種以上併用することもできる。その含有量は、芳香剤及び/又は中に約0.05〜10.0重量%、特には約0.1〜5.0重量%とするのが好ましい。
【0015】
次に、汎用されている加熱蒸散装置の断面説明図を図1に示し、これを用いて本発明の芳香剤加熱蒸散液組成物を加熱蒸散装置に用いて蒸散させる場合の1例を説明する。
吸液芯材11を内部に配備している加熱蒸散装置1は、上方開口部3と下方開口部4を有する略円筒状の装置で、外周壁5と内周壁6を有し、内周壁6に取付口7が設けられ、その取付口7に芳香剤を収納した薬液容器8が取り付けられている。
芳香剤加熱蒸散装置1の上方開口部3付近にリング状の加熱ヒーター10が設けられており、一方吸液芯材11は、芳香剤加熱蒸散装置1の口部9に、吸液芯材11の先端13がリング状の加熱ヒーター10の上端とほぼ一致するように位置決めされて固定され、吸液芯材11の下端12は薬液容器8内の薬液2に十分に浸漬されている。前記加熱ヒーター10と吸液芯材11の先端13との位置関係は、前記加熱ヒーター10又は吸液芯材11を上下することにより変えることができるが、それらの上下調節装置は、図示するのを省略している。
【0016】
前記芳香剤加熱蒸散装置に用いる吸液芯材としては、実施可能な限り無機、有機の各種素材を使用できる。代表的にはトップまたはスライバーの状態にある合成樹脂繊維からなるものが好適であって、その形状は円柱型か、先端部が半球状や円錐状で円柱型のものが用いるに適している。吸液芯材の外形寸法は、通常太さが3ないし7mm、長さは50〜80mm程度のもので、先端部に円錐部を設けたときの高さは、3〜10mmの範囲が好ましい。
吸液芯材の形状としてはその他に各種のものを使用することができる。
例えば、表面層が緻密化されているか、または耐熱シートで被覆されており、中央部がトップまたはスライバーの状態にある合成樹脂繊維からなる吸液芯材を用いることもできる。
【0017】
その吸液芯材の中央部のトップまたはスライバー状にある合成樹脂繊維の気孔率は、好ましくは40〜80%、より好ましくは40〜60%であることが好ましい。従来の吸液芯材の気孔率は、通常25〜35%であり、従って芳香剤が本発明の吸液芯材を毛細管現象により通過する中央部の気孔率は、従来のものよりはるかに大きい。その結果、液剤の吸い上げの量が大きく、かつそれが長期にわたって維持されることになる。
中央部を構成するトップおよびスライバー状の好ましい合成樹脂繊維としては、単糸の太さが1〜15デニールのポリアクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維等のポリエステル系繊維等で、特に好ましいものはPET繊維である。
【0018】
【実施例】
以下に本発明を実施例、比較例及び実験例に基づいてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に制限されるものではない。
【0019】
実施例1
本発明の溶剤と比較の溶剤を用いて芳香剤加熱蒸散用液組成物を調製し、加熱蒸散して蒸散量を測定し、香質及び強度に関する官能試験を行った。
下記の供試サンプルを調製し、加熱蒸散における蒸散量はボトル重量を測定し、その減少量から単位時間あたりの蒸散量を算出した。
Figure 0003750888
【0020】
Figure 0003750888
なお、▲3▼のIPソルベント1016(出光石油化学製)は沸点範囲73〜140℃のものであり、▲9▼のクエン酸トリエチルは沸点294℃、比重1.45のもので、動粘度は測定していないが、かなり高いものとみられる。
【0021】
(測定)
蒸散室で、以上の芳香剤加熱蒸散液組成物を市販の加熱蒸散器具に設置し、ヒーター温度88〜105℃で連続蒸散させ、平均蒸散量を測定し、香質および強度に関する官能試験を行った。官能試験は2.3m3 官能検査ボックス内で実施した。また、各溶剤毎の蒸散量の経時変化を測定した。
(試験結果)
結果を図2に示す。
【0022】
実施例2
実施例1と同様にして、本発明の溶剤と比較の溶剤を用いて芳香剤加熱蒸散用液組成物を調製し、加熱蒸散して蒸散量の安定化試験を行った。
Figure 0003750888
【0023】
(溶剤の種類)
実施例1と同様な種類の溶剤を用いた。
(試験結果)
結果を図3に示す。
【0024】
試験結果によれば、実施例1、実施例2ともに、本発明の溶剤を用いた場合には、蒸散量はそれほど大きくはないが、日数の経過によって変化せず、安定していることがわかった。これに対して、比較例の場合には、ものによっては最初の蒸散量はかなり大きいが、日数の経過によって著しい減少を示し、短期間で実用できないもののレベルに低下した。
【0025】
実施例3
幾つかの香料と数種の本発明の溶剤を用いて組み合わせて芳香剤加熱蒸散用液組成物を調製し、加熱蒸散して官能試験によるスクーリングを行った。その中の代表的な例を第1表に示す。
Figure 0003750888
【0026】
(試験方法)
官能試験は、2.3m3 の官能ボックスの中で、サンプルを10分間揮散させた後、専門のパネラーにより行った。その試験は、初期品の他、経過品についても行った。経過品は、蒸散室で加熱蒸散装置を用いて2週間連続蒸散したものである。
(試験結果)
官能試験の結果については、初期品を第1表に、また経過品を第2表に示す。結果については、評価コメントと判定を記載した。
【0027】
【表1】
Figure 0003750888
【0028】
【表2】
Figure 0003750888
【0029】
【発明の効果】
本発明の芳香剤加熱蒸散用液組成物を用いて加熱蒸散装置により加熱蒸散させた場合には、長期間芳香剤を蒸散させても、芳香剤の有効成分である香料の香質の変化が少なく、しかも長期にわたって一定の香質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】芳香剤加熱蒸散装置の典型例の断面説明図である。
【図2】芳香剤を加熱蒸散させた際の本発明の溶剤を用いた場合と比較の溶剤を用いた場合の芳香剤の蒸散量の変化を示すグラフである。
【図3】芳香剤を加熱蒸散させた際の本発明の溶剤を用いた場合と比較の溶剤を用いた場合の芳香剤の蒸散量の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 芳香剤加熱蒸散装置
2 芳香剤
3 上方開口部
4 下方開口部
5 外周壁
6 内周壁
7 取り付け口
8 薬液容器
9 口部
10 加熱ヒーター
11 吸液芯材
12 吸液芯材下端部
13 吸液芯材先端部
14 外気取入口

Claims (2)

  1. 香料と香料用の溶剤を含む芳香剤加熱蒸散用液組成物を用いる加熱蒸散方法において、香料用の溶剤として、パラフィン系炭化水素系溶剤、シリコーン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤のうち、動粘度が香料の動粘度と同じか又はこれに近い2〜6cSt(25℃)である溶剤から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を混合した芳香剤加熱蒸散用液組成物を用い、吸液芯材としてポリアクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊維のうち1種又は2種以上を用いることを特徴とする芳香剤の加熱蒸散方法
  2. 前記香料用の溶剤として、イソパラフィン、メチルポリシロキサン、トリプロピレングリコールのうち、動粘度が2〜6cSt(25℃)である溶剤から選ばれる、少なくとも1種又は2種以上を混合したものを用いることを特徴とする請求項1記載の芳香剤の加熱蒸散方法
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