JP3847943B2 - 薬液加熱蒸散装置の薬液容器用吸液芯保持栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸液芯を利用して加熱により薬液(例、芳香剤)を蒸散させる薬液加熱蒸散装置の部品に係わり、具体的に言えば、薬液加熱蒸散装置の薬液容器内に挿入設定される吸液芯を薬液容器の開口部に保持するための吸液芯保持栓に関するものである。
【0002】
【従来の技術、および発明が解決しようとする課題】
従来より使用されている吸液芯式薬液加熱蒸散装置は、毛管現象を利用した多孔質吸液芯を保持する薬液容器を、開放された下端を有する外筒としての筐体内に着脱可能に装着し、薬液容器の開口部から伸長する吸液芯を、筐体に付設された電気式ヒータによって周囲から加熱するようになされている。筐体から取り外された薬液容器は、通常、吸液芯が開口部から突出伸長したままで、ねじ付き蓋によって閉成されるようになっている。そのため、吸液芯を薬液容器の開口部に保持するための吸液芯保持栓は、通常、中栓と呼ばれる。
【0003】
吸液芯の外周に吸液芯保持栓が密着しているため、薬液容器が逆さ姿勢になっても薬液容器の開口から薬液が流出することはない。一方、薬液容器開口部、吸液芯保持栓および吸液芯が互いに密着状態になっているため、吸液芯保持栓に通気構造を与えないと、薬液容器内の気圧変化により揮散速度が不均一になり、内気圧が上昇し過ぎると吸液芯を通じて液洩れが生じる惧れがある。
そのため、従来の吸液芯保持栓では、吸液芯に接する壁部に通気孔を設けているが、流通時または使用時に薬液の液洩れが生じることがあった。
かくして、本発明の目的は、薬液加熱蒸散装置の薬液容器からの薬液の液洩れをより効果的に防止することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この目的は、本発明の第1の観点の下で、薬液容器の開口部に嵌挿される筒状胴部と、筒状胴部の一端に連なる係止部とを有し、筒状胴部の外周に溝が形成され、該溝に連通する通気孔が係止部に形成され、吸液芯保持栓が薬液容器に装着された状態で、吸液芯が筒状胴部を密嵌貫通して支えられ、薬液容器の内部空間が前記溝と通気孔によって外気に連通し、前記通気孔は、前記筒状胴部の外周と内周とを連通することはなく、また、前記筒状胴部が、前記係止部に連なる部分である第1部分と、該第1部分から更に伸張する第2部分とで構成され、さらに、前記第2部分の外径が前記第1部分の外径よりも小さくなされ、それによって、前記第2部分が前記薬液容器の開口部内壁から離隔して成る吸液芯保持栓を提供することによって達成される。
この場合、前記溝は、前記第1部分にのみ形成すれば十分である。また、前記第2部分に筒状胴部の長さ方向に指向するスリットを設けることができ、好ましくは、このスリットは前記溝に連なるように形成される。
一好適形態によれば、前記溝は、筒状胴部の長さ方向に指向して筒状胴部の外周面に形成される。
【0005】
本発明の他の観点によれば、下記薬液容器用吸液芯保持栓が提供される。
薬液容器の開口部に嵌挿される筒状胴部と、筒状胴部の一端に連なる係止部とを有し、筒状胴部の外周および前記係止部の下面にそれぞれ溝が形成され、該両部分に形成された溝が互いに連通し、前記係止部の溝は、筒状胴部の溝に連なる部分から、前記係止部の周辺に至るように形成されており、吸液芯保持栓が薬液容器に装着された状態で、吸液芯が筒状胴部を貫通して支えられ、薬液容器の内部空間が、筒状胴部および前記係止部に形成された前記溝によって外気に連通し、また、前記筒状胴部が、前記係止部に連なる部分である第1部分と、該第1部分から更に伸張する第2部分とで構成され、さらに、前記第2部分の外径が前記第1部分の外径よりも小さくなされ、それによって、前記第2部分が前記薬液容器の開口部内壁から離隔して成る薬液容器用吸液芯保持栓。この吸液芯保持栓の好適変形形態は、前記第1の観点による本発明吸液芯保持栓の場合とほぼ同様である。
以下、図示された本発明の好適例について説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の一具体例に係わる吸液芯保持栓13を採用した薬液加熱蒸散装置1が図1に示されている。薬液加熱蒸散装置1は、頂部が円滑な曲面として形成されるとともに下端が開放された外筒としての筐体2と、筐体2の内部に装着された薬液容器10と、薬液容器10に挿入された吸液芯12と、吸液芯12を薬液容器10の開口部に支える吸液芯保持栓13とを主部品として構成されている。
【0007】
ここで、吸液芯12は、合成樹脂繊維のトップまたはスライバーを熱硬化性樹脂によって接着し成形して成る、気孔率20〜80%(好ましくは、40〜60%)に設定された材料である。好適合成樹脂繊維は、単糸の太さが1〜15デニールのポリアクリル、ポリアミド、ポリエステルなどで、特に好ましいものは、PET繊維である。また、接着用の好適熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、フッ素系硬化性樹脂を挙げることができる。以上の他、例えば、フェルト、パルプ、無機質繊維、素焼などから成る各種芯材も使用することができる。
【0008】
筐体2は、外周壁3と、外周壁3の下端に連なる内周壁4と、内周壁4の上端に連なる凹彎曲壁5とを有する概略3重壁構造体として形成されている。凹彎曲壁5には通気孔5aが形成されている。内周壁4と凹彎曲壁5との境界部分である凹彎曲壁5の頂縁に補助壁6が付設され、中央開口8を有する電気式ヒータ7が補助壁6によって支持されている。電気式ヒータ7は、外周壁3の頂部に形成された頂部開口3aに臨んで位置づけられる。また、電気式ヒータ7の導線は、図示のとおり、外周壁3の下部貫通孔に取着された導線案内筒7aを通じて外部に延在している。電気式ヒータ7の好適加熱温度は約40℃〜約150℃であるが、使用する薬剤の種類に応じて適宜決定される。なお、筐体2は下端に脚9,9を有し、それによって筐体2内への外気の確実な流通が保証される。
【0009】
さらに、凹彎曲壁5の底壁中央部が電気式ヒータ7側に隆起し、薬液容器10を支える中央筒状壁5Aになされている。中央筒状壁5Aは、頂部に開口を有するとともに、内面に雌ねじが形成されている。この雌ねじ部分に薬液容器10の容器首(雄ねじ部分)が着脱可能に螺入され、もって薬液容器10が中央筒状壁5Aにより懸吊状態で支持されている。
【0010】
薬液容器10の開口部には、吸液芯保持栓13が嵌入装着され、吸液芯保持栓13によって吸液芯12が保持されている。吸液芯12は、吸液芯保持栓13を密嵌貫通して薬液容器10内の底部近くまで挿入されて容器内の薬液11中に浸漬され、その上端側が上方へ伸長して電気式ヒータ7の中央開口8内に非接触状態で位置づけられている。
【0011】
図2〜図4に、吸液芯保持栓13の詳細構造が示されている。
係止部としての鍔を有するスリーブ形状体である樹脂製吸液芯保持栓13は、薬液容器10の開口部に密嵌挿入される筒状胴部15と、筒状胴部15の一端に連なる係止部14とから成る(図示のように、係止部の好適例は環状鍔である)。筒状胴部15は、2つの領域すなわち係止部14に連なる部分である第1部分15Aと、該第1部分15Aから更に伸長する第2部分15Bとに分けることができる。第1部分15Aは、第2部分15Bに比して大きな壁厚と、大きな外径を有する。したがって、薬液容器10の開口部に嵌入された状態で、第1部分15Aの外周が開口部内周面に密着するものの、第2部分15Bは、開口部内周面から離れている。
【0012】
また、第1部分15Aの外周面に、小間隔を置いて2条の周方向リブ15aが形成され、内周面に、2条の周方向溝15bが形成されている(2つの溝の間が周方向リブになっている)。これらは、薬液容器10の開口部内周面、および吸液芯保持栓13に対する吸液芯保持栓13の液密接触を確実に行なうためのものである。
さらに、第1部分15Aの外周には、吸液芯保持栓13の長さ方向に指向して延在する溝16が形成され、溝16に連なる通気孔17が係止部14に形成されている。これら溝16、通気孔17の存在によって、薬液容器10の開口部に吸液芯保持栓13が装着された状態でも、薬液容器10の内部空間が外気に連通する。
【0013】
なお、薬液容器10内に収容される加熱蒸散用薬剤溶液の例として、下記芳香剤、害虫駆除剤を挙げることができる。
芳香剤
芳香剤中に含まれる香料としては、溶剤または可溶化剤に溶解させて使用できるものであれば何ら制限を受けるものではなく、天然香料、合成香料、調合香料のいずれであってもよく、また動物性香料、植物性香料であってもよい。 天然香料として例えば、じゃ香、霊猫香、竜延香等の動物性香料:アビエス油、アジョクン油、アーモンド油、アンゲリカルート油、ぺージル油、ベルガモット油、パーチ油、ボアバローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュペブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロぺージ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、はつか油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油、ウォームウッド油、ワニラ豆エキストラクト等の植物性香料を含む。
【0014】
人造香料は合成または抽出香料であり、それらは例えばピネン、リモネン等の炭化水素類;リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコール等のアルコール類;アネトール、オイゲノール等のフェノール類;n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ワニリン等のアルデヒド類;メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリル、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、イオノン等のケトン類;アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトンまたはオキシド類;メチルフォーメート、イソプロピルフォーメート、リナリールフォーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸グラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ペラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチル酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルピルベート、エチルα−ブチルブチレート等のエステル類等を合む。
【0015】
香料は一種類のみでもよいし、二種類以上を調合した調合香料でもよい。配合香料としては、例えば天然香料としてじゃ香、合成香料としてピネンを調合した調合香料、あるいは天然香料として霊猫香、合成香料としてリモネンを調合した調合香料等が挙げられる。
【0016】
前記加熱蒸散用芳香剤は、アルコール類、エーテル類、灯油系(パラフィン系)等を単独または組み合わせた香料の溶剤に香料を溶解させて製造する。香料の溶剤は前記香料を溶解するものであれば特に制限されない。前記芳香剤中における香料の配合割合は、5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%とするが、実施可能な限り前記配合割合に制限を受けるものではない。このため、芳香剤全体における溶剤の配合割合は、残りの95〜50重量%、好ましくは80〜60重量%となる。なお、香料は、その液の中に可溶化剤を含んでいるものもあり、その場合純粋な香料成分の含有量は上記より少なくなる。
【0017】
また、この芳香剤中には、溶液の加熱蒸散性を改善あるいは調整するために次の化合物を添加剤として添加しても良い。すなわち例えば、
・3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(以下BHTという)
・3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール
・3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール
・メルカプトベンズイミダゾール
・ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート
・2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)
・2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)
・4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)
・4,4’−ブチリデン−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
・4,4’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
・1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
・トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
・テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン
・オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート
【0018】
・フェニル−β−ナフチルアミン
・N,N’−ジフェニル−p−フェレンジアミン
・2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリンポリマー
・6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン
・2−t−ブチル−4−メトキシフェノール
・3−t−ブチル−4−メトキシフェノール
・2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール
・ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
・α−トコフェロール
・アスコルビン酸
・エリソルビン酸
等を挙げることができる。
上記添加剤は、その1種を単独で用いてもよく、また2種以上併用することもできる。その含有量は、芳香剤中に約0.05〜2.0重量%、特には約0.1〜1.0重量%とするのが好ましい。
【0019】
害虫駆除剤
従来より害虫駆除に使用されている各種薬剤を使用することができ、その一例を下記に示す。
(1) 3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル dl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名アレスリン:商品名ピナミン:住友化学工業株式会社製)
(2) 3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−シス/トランス−クリサンテマート(商品名ピナミンフオルテ:住友化学工業株式会社製)
(3) d−3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−トランス−クリサンテマート(商品名エキスリン:住友化学工業株式会社製)
(4) 3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−トランス−クリサンテマート(一般名バイオアレスリン)
(5) N−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミド)−メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名フタルスリン:商品名ネオピナミン:住友化学工業株式会社製)
【0020】
(6) 5−ベンジル−3−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名レスメトリン:商品名クリスロンフオルテ:住友化学工業株式会社製)
(7) 5−(2−プロパギル)−3−フリルメチル クリサンテマート(一般名フラメトリン)
(8) 3−フェノキシベンジル 2,2−ジメチル−3−(2’,2’−ジクロロ)ビニルシクロプロパン カルボキシレート(一般名ペルメトリン:商品名エクスミン:住友化学工業株式会社製)
(9) 3−フェノキシベンジル d−シス/トランスクリサンテマート(一般名フェノトリン:商品名スミスリン:住友化学工業株式会社製)
(10) α−シアノフェノキシベンジル イソプロピル−4−クロロフェニルアセテート(一般名フェンバレレート:商品名スミサイジン:住友化学工業株式会社製)
【0021】
(11) d−3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−トランス−クリサンテマート(商品名エキスリン:住友化学工業株式会社製)
(12) (S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R,シス)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート
(13) (R,S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R,1S)−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート
(14) α−シアノ−3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート
(15) 1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル シス/トランス−クリサンテマート
【0022】
(16) 1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
(17) 1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート
(18) 1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル2,2−ジメチル−3−(2,2−ジククロロビニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
(19) d−トランス−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート(一般名トランスフルスリン)
(20) イミプロトリン
【0023】
(21) O,O−ジメチル O−(2,2−ジクロロ)ビニルホスフェート
(22) o−イソプポキシフェニル メチルカーバメート
(23) O,O−ジメチルO−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオノフオスフェート
(24) O,O−ジエチル O−2−イソプロピル−4−メチル−ピリミジル−(6)−チオフオスフェート
(25) O,O−ジメチル S−(1,2−ジカルボエトキシエチル)−ジチオフオスフェート
【0024】
本発明の一具体例に係わる吸液芯保持栓13を採用した薬液加熱蒸散装置1は前記のように構成されており、薬液容器10内に浸漬された吸液芯12は、その全体に亙って薬液が含浸されている。電気式ヒータ7のスイッチを入れると、吸液芯12の上端部分が加熱され、薬液の蒸散が行われる。その間、吸液芯保持栓13の係止部14に形成された通気孔17および溝16を通じて薬液容器10内に外気が自由に進入することができ、薬液の蒸散に伴なって薬液容器10内空間が減圧状態になることもなく、したがって薬液11の蒸散が円滑に行われる。
なお、吸液芯12のふらつきが生じないように安定して支持するためには、吸液芯保持栓13の筒状胴部15を或る程度長く形成しなければならず、この意味で、筒状胴部15の下半伸長部である第2部分15Bを設けているが、第2部分15Bの外径を第1部分15Aのそれよりも小さくして、薬液容器10の開口部内壁から離隔させているため、通気孔17および溝16を通じた内外気の流通が保証され、前記薬液容器10内空間の減圧化を防止できる。一方、温度上昇によって薬液容器10内の圧力が外気よりも上昇する現象も効果的に防ぐことができる。
【0025】
また、吸液芯保持栓13の筒状胴部15自体には、外周と内周とを連通させる通気孔が形成されていないため、薬液容器10内の圧力上昇によって吸液芯12の上端部分に含浸されている薬液が外部に強制して押し出されることもない。
薬液容器10は、流通過程で、筺体2とは別に単体で搬送されるのが普通であるが、その場合、薬液容器10の開口部にキャップが取り付けられる。このキャップ取り付けによって係止部14の通気孔17が塞がれ、容器搬送時に薬液容器10が逆さ姿勢になっても液漏れが生じることはない。また、通気孔17のサイズを十分小さくしておけば、キャップが取り付けられていない状態でも、通気孔17からの液漏れをなくすことができる。
【0026】
次に、図5〜図7に示された第2の具体例に係わる樹脂製吸液芯保持栓23について説明する。吸液芯保持栓23は、その主要部分の形状、構造が吸液芯保持栓13と同等であるため、図中、同等部分については同一符号を使用し、異なる部分にのみ異なる符号を付した。
吸液芯保持栓23の筒状胴部15は、第1部分15Aと、第2部分25Bとから成る。第2部分25Bの外径は、吸液芯保持栓13の場合と同様に、第1部分15Aの外径よりも小さくなされている。第2部分25Bが、吸液芯保持栓13の第2部分15Bと異なる点は、筒状胴部15の長さ方向に指向する1条のスリットが第2部分25Bの全体に亙って形成されている点である。このスリット26は、第1部分15Aの溝16から真っすぐに連続して形成されている。
【0027】
薬液加熱蒸散装置に適用された吸液芯保持栓23の作用効果は、吸液芯保持栓13のそれと概ね同等であるが、スリット26による下記利点が得られる。
吸液芯保持栓23は、吸液芯が簡単に位置ずれすることのないように、またふらつきの生じることのないように、筒状胴部第2部分25Bの内径寸法を適当に小さく選択することによって吸液芯を或る程度強く保持する必要があるが、その場合、吸液芯保持栓23に対して吸液芯を挿入設定する際、吸液芯に無理な力が加わらないように、吸液芯に対する第2部分25Bの締め付け力を緩和することができる。
また、第1部分15Aの溝16に連続して形成されているため、容器内外の通気を確実に行なうことができる。
【0028】
図1〜図7に示された第1および第2の具体例に係わる樹脂製吸液芯保持栓では、係止部14に通気孔17を形成しているが、この通気孔を形成することなく、筒状胴部15の溝16に連なる溝を係止部14の下面に放射状に形成してもよい。この場合、吸液芯保持栓を薬液容器10に装着すると、係止部14と薬液容器10の開口端との接触部で、係止部14の下面に設けた溝によって薬液容器10の内部空間と外気との連通が得られる。
【0029】
図8は、図1〜図4に示された第1具体例に係わる樹脂製吸液芯保持栓の変形例である。この例では、樹脂製吸液芯保持栓33の係止部14に2つの通気孔17が形成されている。これら通気孔17の各々は、吸液芯保持栓13の場合と同様に、筒状胴部15の外周に設けた通気用溝に連なる。
2つの通気孔を設ける全く同様な変形を図5〜図7に示した第2具体例に係わる吸液芯保持栓23についても行なうことができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、薬液加熱蒸散装置の薬液容器内に挿入設定される吸液芯を薬液容器の開口部に保持するための吸液芯保持栓が提供された。
この吸液芯保持栓によれば、下記利点が得られる。
▲1▼吸液芯保持栓の係止部に形成された通気孔および溝を通じて薬液容器内に外気が自由に進入することができ、薬液の蒸散に伴なって薬液容器内空間が減圧状態になることもなく、したがって薬液の蒸散が円滑に行われる。
▲2▼薬液容器を単体で搬送する場合、薬液容器の開口部にキャップが装着され、キャップによって通気孔が塞がれるため、容器搬送時の液漏れは生じない。また、通気孔のサイズを十分小さくしておけば、キャップが取り付けられていない状態でも、通気孔からの液漏れをなくすことができる。
▲3▼吸液芯のふらつきが生じないように安定して支持するためには、吸液芯保持栓の筒状胴部を或る程度長く形成しなければならず、この意味で、筒状胴部の下半伸長部である第2部分を設け、第2部分の外径を第1部分のそれよりも小さくして、薬液容器の開口部内壁から離隔させておけば、通気孔および溝を通じた内外気の流通が保証され、前記薬液容器内空間の減圧化を防止でき、また温度上昇によって薬液容器内の圧力が外気よりも上昇する現象も効果的に防ぐことができる。
▲4▼前記項目▲3▼において、スリットを設けることにより、吸液芯に対する第2部分の締め付け力を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一具体例に係わる吸液芯保持栓を採用した薬液加熱蒸散装置の縦断面図。
【図2】前記吸液芯保持栓の一部欠截側面図。
【図3】図2におけるIII −III 線矢視図。
【図4】図3におけるIV−IV線矢視図。
【図5】変形例に係わる吸液芯保持栓の一部欠截側面図。
【図6】図5におけるVI−VI線矢視図。
【図7】図6におけるVII −VII 線矢視図。
【図8】他の変形例に係わる吸液芯保持栓を示す図4、図7と同様な図。
【符号の説明】
1 薬液加熱蒸散装置
2 筐体
3 外周壁
3A 頂壁
3a 頂部開口
4 内周壁
5 凹彎曲壁
5a 通気孔
5A 中央筒状壁
6 補助壁
7 電気式ヒータ
7a 導線案内筒
8 中央開口
9 脚
10 薬液容器
11 薬液
12 吸液芯
13 吸液芯保持栓
14 係止部
15 筒状胴部
15A 第1部分
15a 周方向リブ
15b 周方向溝
15B 第2部分
16 溝
17 通気孔
23 吸液芯保持栓
25B 第2部分
33 吸液芯保持栓
Claims (4)
- 薬液加熱蒸散装置の薬液容器内に挿入設定される吸液芯を薬液容器の開口部に保持するための吸液芯保持栓において、
前記開口部に嵌挿される筒状胴部と、前記筒状胴部の一端に連なる係止部とを有し、
前記筒状胴部の外周に溝が形成され、該溝に連通する通気孔が前記係止部に形成され、
吸液芯保持栓が前記薬液容器に装着された状態で、前記吸液芯が前記筒状胴部を貫通して支えられ、前記薬液容器の内部空間が前記溝と前記通気孔によって外気に連通しており、
前記通気孔は、前記筒状胴部の外周と内周とを連通することはなく、
また、前記筒状胴部が、前記係止部に連なる部分である第1部分(15A)と、該第1部分から更に伸張する第2部分(15B;25B)とで構成され、
さらに、前記第2部分(15B;25B)の外径が前記第1部分(15A)の外径よりも小さくなされ、それによって、前記第2部分(15B;25B)が前記薬液容器の開口部内壁から離隔していることを特徴とする薬液容器用吸液芯保持栓。 - 前記通気孔および該通気孔に連なる前記溝が、1または2以上形成されていることを特徴とする請求項1に記載された薬液容器用吸液芯保持栓。
- 薬液加熱蒸散装置の薬液容器内に挿入設定される吸液芯を薬液容器の開口部に保持するための吸液芯保持栓において、
前記開口部に嵌挿される筒状胴部と、前記筒状胴部の一端に連なる係止部とを有し、
前記筒状胴部の外周および前記係止部の下面にそれぞれ溝が形成され、該両部分に形成された溝が互いに連通し、前記係止部の溝は、前記筒状胴部の溝に連なる部分から、前記係止部の周辺に至るように形成されており、
吸液芯保持栓が前記薬液容器に装着された状態で、前記吸液芯が前記筒状胴部を貫通して支えられ、前記薬液容器の内部空間が、前記筒状胴部および前記係止部に形成された前記溝によって外気に連通しており、
また、前記筒状胴部が、前記係止部に連なる第1部分と、該第1部分から更に伸張する第2部分とで構成され、
さらに、前記第2部分の外径が前記第1部分の外径よりも小さくなされ、それによって、前記第2部分が前記薬液容器の開口部内壁から離隔していることを特徴とする薬液容器用吸液芯保持栓。 - 前記筒状胴部の外周および前記係止部の下面に形成された前記溝の組が、1または2以上形成されていることを特徴とする請求項3に記載された薬液容器用吸液芯保持栓。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP05681398A JP3847943B2 (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | 薬液加熱蒸散装置の薬液容器用吸液芯保持栓 |
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JP05681398A JP3847943B2 (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | 薬液加熱蒸散装置の薬液容器用吸液芯保持栓 |
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JPH11253087A JPH11253087A (ja) | 1999-09-21 |
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-
1998
- 1998-03-09 JP JP05681398A patent/JP3847943B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11253087A (ja) | 1999-09-21 |
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