JP3746907B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトリソグラフィ工程における加工精度を向上させるために反射防止膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法に関し、特に半導体基板に容量素子及びトランジスタを集積化した半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11〜図13は、容量素子及びMOS(Metal Oxide Semiconductor )トランジスタを有する半導体装置の従来の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0003】
まず、図11(a)に示すように、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により、半導体基板61の素子分離領域にフィールド酸化膜62を形成する。また、熱酸化法により、半導体基板61のトランジスタ形成領域の表面にゲート酸化膜63を形成する。
【0004】
その後、半導体基板61の上側全面に、容量素子の下部電極(以下、容量下部電極という)及びトランジスタのゲート電極となる多結晶シリコン膜64を形成し、この多結晶シリコン膜64に高濃度に不純物を導入して導電性を付与する。
【0005】
次に、多結晶シリコン膜64の上に、容量素子の誘電体膜(以下、容量誘電体膜という)となるシリコン酸化膜65を形成し、その上に容量素子の上部電極(以下、容量上部電極という)となる多結晶シリコン膜66を形成する。そして、この多結晶シリコン膜66に不純物を高濃度に導入して導電性を付与する。
【0006】
次に、図11(b)に示すように、多結晶シリコン膜66の上に、容量上部電極の形状を画定するためのレジストパターン67を形成する。そして、このレジストパターン67をマスクとして多結晶シリコン膜66及びシリコン酸化膜65をエッチングすることにより、容量誘電体膜65a及び容量上部電極66aを形成する。その後、レジストパターン67を除去する。
【0007】
次に、図12(a)に示すように、半導体基板61の上側全面に反射防止膜68を形成し、この反射防止膜68により多結晶シリコン膜64及び容量上部電極66aを覆う。そして、この反射防止膜61の上にフォトレジストを塗布し、該フォトレジストを露光及び現像処理して、容量下部電極及びMOSトランジスタのゲート電極の形状を画定するためのレジストパターン69を形成する。
【0008】
次に、レジストパターン69をマスクとして反射防止膜68及び多結晶シリコン膜64をエッチングすることにより、図12(b)に示すように、容量下部電極64a及びゲート電極64bを形成する。その後、レジストパターン69を除去した後、半導体基板61のゲート電極64bの両側部分に不純物を浅くかつ低濃度にイオン注入して、LDD(Lightly Dopes Drain)拡散層70を自己整合的に形成する。
【0009】
次に、半導体基板61の上側全面にシリコン酸化膜を厚く形成し、このシリコン酸化膜を異方性エッチングする。これにより、図13(a)に示すように、容量下部電極64aの側方、容量上部電極66aの側方及びゲート電極64bの側方のみにシリコン酸化膜が残存して、スペーサ71が形成される。その後、半導体基板61のゲート電極64bの両側部分に不純物を比較的高濃度にイオン注入して、MOSトランジスタのソース及びドレインとなる不純物拡散領域72を自己整合的に形成する。
【0010】
次いで、図13(b)に示すように、容量上部電極66a、容量下部電極64a及びゲート電極64bの上の反射防止膜68を除去する。その後、層間絶縁膜及び配線(いずれも図示せず)を形成して、容量素子とLDD構造のMOSトランジスタとを有する半導体装置が完成する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
近年、半導体装置のより一層の高集積化が要望されており、それに伴ってMOSトランジスタのゲート電極等も微細化される傾向にある。そのために、フォトリソグラフィ工程で使用される光源として、KrF光源やArF光源が用いられるようになった。また、これらの光源を使用したときに有効な反射防止膜として、シリコンリッチなシリコン窒化膜又はシリコン酸窒化膜が使用される。
【0012】
しかしながら、シリコンリッチなシリコン窒化膜やシリコン酸窒化膜は、絶縁性が十分とはいえない。半導体基板にトランジスタしか形成しないときはスペーサを形成した後に全ての反射防止膜を除去してしまうため問題となることはないが、前述したように容量素子を形成する場合は、図13(b)に示すように容量上部電極66aの側方に反射防止膜68が必然的に残存する。このため、この反射防止膜68がシリコンリッチなシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜からなる場合、反射防止膜68を介して容量素子の上部電極66aと下部電極64aとの間で電流リークが発生したり、耐圧不良の原因となる。
【0013】
スペーサ71を形成する前に反射防止膜68を除去してしまうことも考えられる。シリコン窒化膜又はシリコン酸窒化膜の除去は、一般的に熱リン酸を用いたウェットエッチングにより行われる。しかし、スペーサ71を形成する前にシリコン窒化膜又はシリコン酸窒化膜からなる反射防止膜68を除去しようとすると、エッチング時に、ポリシリコンからなる容量上部電極66a、容量下部電極64a及びゲート電極64b等にダメージを与えたり、半導体基板61のMOS界面を汚染して、トランジスタの特性や容量素子の特性が低下するおそれが有り、好ましくない。また、反射防止膜68をスペーサ形成時まで残しておくことは、スペーサ形成時の異方性エッチングにおいてトランジスタ及び容量へのダメージを軽減する効果も期待できて都合がよい。従って、反射防止膜はスペーサ形成後に除去することが好ましい。
【0014】
以上から本発明の目的は、反射防止膜による絶縁不良を防止するとともに、スペーサ形成時まで反射防止膜を残し、スペーサ形成時のエッチング工程においてMOSトランジスタ及び容量素子にダメージを与えることが回避できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題は、図1〜図4に例示するように、容量素子とトランジスタとを備えた半導体装置の製造方法において、半導体基板11の上に第1の絶縁膜(12,13)を形成する工程と、前記第1の絶縁膜(12,13)の上に第1の導電膜(14)を形成する工程と、前記第1の導電膜(14)の上に第2の絶縁膜(15)を形成する工程と、前記第2の絶縁膜(15)の上に第2の導電膜(16)を形成する工程と、前記第2の導電膜(16)をパターニングして容量素子の上部電極(16a)を形成する工程と、前記第2の絶縁膜(15)をパターニングして前記上部電極(16a)の下に前記容量素子の誘電体膜(15a)を、前記上部電極(16a)よりも大きい形状に形成する工程と、前記容量素子の誘電体膜(15a)を前記上部電極(16a)よりも大きい形状に形成した後、前記半導体基板(11)の上側全面に反射防止膜(19)を形成する工程と、前記反射防止膜(19)の上にフォトレジストを塗布し、該フォトレジストを露光及び現像処理して、前記容量素子の下部電極及び前記トランジスタのゲート電極の形状を画定するレジストパターン(20)を形成する工程と、前記レジストパターン(20)をマスクとして前記反射防止膜(19)及び前記第1の導電膜(14)をパターニングし、前記容量素子の下部電極(14a)及び前記トランジスタのゲート電極(14b)を形成する工程と、前記レジストパターン(20)を除去した後、前記容量素子の上部電極(16a)及び前記トランジスタのゲート電極(14b)の上に残存する前記反射防止膜(19)を除去する工程と、前記半導体基板(11)の前記ゲート電極(14b)の両側部分に不純物を導入して、前記トランジスタのソース及びドレイン(23)を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法により解決する。
【0017】
上記した課題は、図8〜図10に例示するように、容量素子とトランジスタとを備えた半導体装置の製造方法において、半導体基板(41)の上に絶縁膜(42,43)を形成する工程と、前記絶縁膜(42,43)の上に非晶質シリコン又は多結晶シリコンからなるシリコン膜(44)を形成する工程と、前記シリコン膜(44)の容量素子誘電体膜形成領域に不純物を選択的に導入する工程と、 前記シリコン膜(44)の表面を熱酸化させて、前記不純物を導入した部分に他の部分よりも厚い酸化膜(46a)を形成する工程と、前記酸化膜(46a)を形成した後、前記半導体基板(41)の上側全面に導電膜(47)を形成する工程と、前記導電膜(47)をパターニングして前記容量素子の上部電極(47a)を形成するとともに、前記熱酸化で形成した酸化膜(46,46a)のうち前記不純物が導入された部分(46a)を前記容量素子の誘電体膜として残し、他の部分(46)の酸化膜を除去する工程と、前記不純物が導入された部分(46a)を前記容量素子の誘電体膜として残し、他の部分(46)の酸化膜を除去した後、前記半導体基板(41)の上側全面に反射防止膜(49)を形成する工程と、前記反射防止膜(49)の上にフォトレジストを塗布し、該フォトレジストを露光及び現像処理して、前記容量素子の下部電極及びトランジスタのゲート電極の形状を画定するレジストパターン(50)を形成する工程と、前記レジストパターン(50)をマスクとして前記シリコン膜(44)及び前記反射防止膜(49)をパターニングし、前記容量素子の下部電極(44a)及び前記トランジスタのゲート電極(44b)を形成する工程と、前記上部電極(47a)及び前記ゲート電極(44b)の上に残存する前記反射防止膜(49)を除去する工程と、前記半導体基板(41)の前記ゲート電極(44b)の両側部分に不純物を導入して、前記トランジスタのソース及びドレイン(52)を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法により解決する。
【0018】
以下、本発明の作用について説明する。
【0019】
本発明においては、容量素子の誘電体膜となる第2の絶縁膜の上に第2の導電膜を形成し、この第2の導電膜をパターニングして、容量素子の上部電極を形成する。その後、前記第2の絶縁膜をパターニングして、上部電極の下に該上部電極よりも大きい形状の誘電体膜を形成する。次いで、誘電体膜の下方の導電膜をパターニングして、容量素子の下部電極を形成する。
【0020】
このように、誘電体膜をその上の上部電極よりも大きい形状に形成するので、下部電極の上方に絶縁性が低い反射防止膜が残存しても、誘電体膜により上部電極と下部電極との間の絶縁性が確保される。
【0021】
LDD構造のMOSトランジスタの場合、ゲート電極の側方に絶縁性のスペーサが形成される。この場合、容量素子の上部電極及び下部電極の側方にも必然的にスペーサが形成される。前記誘電体膜の大きさは、このスペーサの幅と露光時の位置合わせ精度とを考慮して決めることが好ましい。
【0022】
容量素子の下部電極及びトランジスタのゲートとなる第1の導電膜、並びに容量素子の上部電極となる第2の導電膜は、例えばノンドープの非晶質シリコン又は多結晶シリコンからなるシリコン膜を形成した後に、このシリコン膜に不純物を導入することにより導電性を付与することにより形成する。また、第1の導電膜及び第2の導電膜は、不純物が導入されたシリコンを堆積させて形成してもよい。
【0023】
容量素子の誘電体膜となる第2の絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層体、及びタンタル酸化膜等の高誘電体膜を用いることができる。
【0024】
また、フォトレジストを露光する光源としてKrF光源又はArF光源を使用する場合、反射防止膜として、シリコン膜、シリコンリッチなシリコン窒化膜、シリコンリッチなシリコン酸窒化膜などを使用することができる。反射防止膜として機能するためには、屈折率が2.3以上であることが必要になる。通常のシリコン窒化膜(絶縁性良好な膜)は屈折率が約2.0(±0.1)であるのに対し、屈折率が2.3以上のシリコン窒化膜又はシリコン酸窒化膜ならばKrFやArF光源に対する反射防止膜として十分に機能する。また、シリコンのみからなる膜を反射防止膜として使用することも可能である。シリコンのみからなる膜の場合、屈折率は3.8となる。
【0025】
反射防止膜として、シリコン膜、シリコンリッチなシリコン窒化膜、又はシリコンリッチなシリコン酸窒化膜を用いた場合、反射防止膜はリン酸又はリン酸混合液を使用してウェットエッチングにより除去することができる。
【0026】
本発明の他の半導体装置の製造方法においては、絶縁膜の上に非晶質シリコン又は多結晶シリコンからなるシリコン膜を形成し、このシリコン膜に不純物を選択的に導入した後、シリコン膜の表面を熱酸化させる。不純物が導入された部分は他の部分よりも酸化レートが高くなり、その結果不純物が導入された部分に他の部分よりも厚い酸化膜が形成される。
【0027】
その後、厚く形成された酸化膜の上に容量素子の上部電極を形成するとともに、不純物が導入されたなかった部分の酸化膜を除去する。これにより、上部電極の下側に残った酸化膜が容量素子の誘電体膜となる。次いで、前記シリコン膜をパターニングして、容量素子の下部電極を形成する。
【0028】
この場合も、上部電極の下側に上部電極よりも大きい形状の誘電体膜が存在するので、上部電極の側方に反射防止膜が残っても、上部電極と下部電極との間の絶縁性を確保することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1〜図4は本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0031】
まず、図1(a)に示すように、LOCOS法により、半導体基板11の素子分離領域に、厚さが約300nmのフィールド酸化膜12を形成する。また、熱酸化法により、半導体基板11のトランジスタ形成領域上に、厚さが約50nmのゲート酸化膜13を形成する。その後、CVD(Chemical Vapor Deposition )法により、半導体基板11の上側全面にノンドープ多結晶シリコンを堆積させて、厚さが約150nmの多結晶シリコン膜14を形成する。そして、この多結晶シリコン膜14にN型不純物であるリンを例えば気相拡散によって導入し、多結晶シリコン膜14に導電性を付与する。
【0032】
その後、多結晶シリコン膜14の上に、容量素子の誘電体膜となるシリコン酸化膜15を約30nmの厚さに形成する。このシリコン酸化膜15は、例えば約750〜800℃の温度条件でCVD法により形成することができる。また、容量素子の誘電体膜は、上記のシリコン酸化膜15に替えて、シリコン窒化膜、又はシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造としてもよい。また、容量素子の誘電体膜として、タンタル酸化膜等の高誘電体膜を使用することもできる。
【0033】
次に、CVD法により、シリコン酸化膜15の上にノンドープ多結晶シリコンを堆積させ、厚さが約150nmの多結晶シリコン膜16を形成する。そして、この多結晶シリコン膜16にリンを導入して導電性を付与する。なお、本実施の形態においては、上述の如くシリコン膜14,16を多結晶シリコンにより形成するが、シリコン膜14,16を非晶質シリコンにより形成してもよい。また、CVD法により、基板11の上側に不純物が導入された多結晶又は非晶質シリコン膜を成長させることにより、導電性シリコン膜を形成してもよい。更に、これらの多結晶シリコン又は非晶質シリコンの膜と他の導電膜(金属膜等)との積層構造としてもよい。
【0034】
次に、図1(b)に示すように、シリコン膜16の上に、容量上部電極の形状を画定するためのレジストパターン17を形成する。そして、このレジストパターン17をマスクとして、シリコン膜16をドライエッチングし、容量上部電極16aを形成する。シリコン膜16のドライエッチングには、例えば塩素系ガス(Cl2 /O2 )又はHBrガスを使用する。その後、レジストパターン17を除去する。
【0035】
次に、図2(a)に示すように、容量上部電極16aを覆うレジストパターン18を形成する。この場合、容量上部電極16aのエッジとレジストパターン18のエッジとの間隔(水平方向の間隔)は、後述するスペーサ22の幅とフォトリソグラフィ工程のマスク位置合わせ精度とを合わせた値以上の値とする。例えば、容量上部電極16aのエッジとレジストパターン18のエッジとの間隔は1μm程度とする。
【0036】
その後、レジストパターン18をマスクとして、シリコン酸化膜15を、例えばフッ酸系のウェットエッチングによって除去する。これにより、レジストパターン18の下方に残存したシリコン酸化膜15が容量誘電体膜15aとなる。その後、レジストパターン18を除去する。
【0037】
次に、図2(b)に示すように、半導体基板11の上側全面に、反射防止膜として、シリコンリッチなシリコン窒化膜19をプラズマCVD法によって約30nmの厚さに形成する。そして、このシリコン窒化膜19の上にフォトレジストを塗布し、該フォトレジストをKrF光源又はArF光源を用いた露光機で選択露光した後、現像処理して、容量下部電極及びトランジスタのゲート電極の形状を画定するためのレジストパターン20を形成する。
【0038】
なお、反射防止膜としては、上記したシリコンリッチなシリコン窒化膜に替えて、シリコン膜又はシリコンリッチなシリコン酸窒化膜を使用することができる。シリコン窒化膜及びシリコン酸窒化膜は、いずれもシリコン含有量が多くなると屈折率が大きくなる。シリコンリッチなシリコン窒化膜とは、屈折率が2.3〜3.8のシリコン窒化膜をいう。また、シリコンリッチなシリコン酸窒化膜とは屈折率が2.3〜3.8のシリコン酸窒化膜をいう。
【0039】
次に、レジストパターン20をマスクとして異方性ドライエッチングを施し、図3(a)に示すように、シリコン窒化膜19及び多結晶シリコン膜14をパターニングする。このとき、シリコン酸化物からなる容量誘電体膜15aをハードマスクとして、自己整合的に容量下部電極14aが形成される。その後、レジストパターン20を除去する。そして、半導体基板11のゲート電極14bの両側部分に不純物を浅くかつ低濃度に導入して、LDD拡散層21を形成する。
【0040】
次に、図3(b)に示すように、半導体基板11の上側全面に厚さが約150nmのシリコン酸化膜を形成し、リアクティブイオンエッチングによる異方性エッチングを施すことによって、シリコン酸化物からなるスペーサ22をトランジスタのゲート電極14bの側方、容量上部電極16aの側方、及び容量下部電極14aの側方にそれぞれ形成する。
【0041】
次いで、図4に示すように、熱リン酸(又は、リン酸混合液)によるウェットエッチングを施して、半導体基板11の上側に露出しているシリコン窒化膜19を除去する。その後、半導体基板11のゲート電極14bの両側部分に不純物を導入して、MOSトランジスタのソース及びドレインとなる不純物拡散領域23を自己整合的に形成する。
【0042】
そして、公知の方法により層間絶縁膜及び配線(いずれも図示せず)等を形成する。これにより、容量素子とLDD構造のMOSトランジスタとを有する半導体装置が完成する。
【0043】
本実施の形態においては、容量上部電極16aの側方に、容量上部電極16aと接触するシリコンリッチなシリコン窒化膜19が残るが、このシリコン窒化膜19と容量下部電極14aとの間には容量誘電体膜15aが介在する。このため、容量上部電極16aと容量下部電極14aとの間の絶縁性が確実に確保され、耐圧不良や電流リークの発生を防止することができる。また、スペーサ22を形成するときには多結晶シリコンからなる上部電極16a、下部電極14a及びゲート電極14bがシリコン窒化膜(反射防止膜)19で覆われているので、リン酸を用いたウェットエッチング時にこれらの上部電極16a、下部電極14a及びゲート電極14bがダメージを受けることが回避される。
【0044】
(第2の実施の形態)
図5〜図7は本発明の第2の実施の形態の半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0045】
第1の実施の形態の図1(a),(b)で説明したのと同様の工程を経て、図5(a)に示すように、半導体基板11の上にフィールド酸化膜12、ゲート酸化膜13、多結晶シリコン膜14、シリコン酸化膜及び容量上部電極16aを形成し、前記シリコン酸化膜の上にレジストパターン18を形成する。そして、このレジストパターンをマスクとして前記シリコン酸化膜をパターニングし、容量誘電体膜15aを形成する。
【0046】
その後、レジスト膜18を除去した後、図5(b)に示すように、半導体基板11の上側全面に反射防止膜としてシリコンリッチなシリコン窒化膜31を形成する。そして、このシリコン窒化膜31の上にフォトレジストを塗布し、該フォトレジストをKrF又はArF光源を用いた露光機で選択露光し、その後現像処理して、容量下部電極及びゲート電極の形状を画定するためのレジストパターン32を形成する。この場合、レジストパターン32は、そのエッジが容量誘電体膜15aのエッジよりも若干外側に位置するように設定する。
【0047】
次に、レジストパターン32をマスクとしてシリコン窒化膜31及び多結晶シリコン膜14をエッチングして、図6(a)に示すように、容量下部電極14a及びゲート電極14bを形成する。その後、レジストパターン32を除去する。そして、半導体基板11のデート電極14bの両側部分に不純物を浅くかつ低濃度に導入して、LDD拡散領域33を形成する。
【0048】
第1の実施の形態では、容量誘電体膜15aをハードマスクに容量下部電極14aを形成したのに対し、本実施の形態では、上述の如く、レジストパターン32をマスクとして容量下部電極14a及びゲート電極14bを形成する。
【0049】
次に、図6(b)に示すように、半導体基板11の上側全面に、CVD法により厚さが約150nmのシリコン酸化膜を形成し、そのシリコン酸化膜をリアクティブイオンエッチングにより異方性エッチングして、シリコン酸化物からなるスペーサ34を、ゲート電極14bの側方と、容量上部電極16aの側方と、容量下部電極14aの側方とにそれぞれ形成する。
【0050】
次いで、図7に示すように、熱リン酸によるウェットエッチングにより、半導体基板11の上側に露出しているシリコン窒化膜31を除去する。そして、半導体基板11のゲート電極14bの両側部分に不純物を導入して、トランジスタのソース及びドレインとなる不純物拡散領域35を自己整合的に形成する。その後、公知の方法により層間絶縁膜及び配線(図示せず)を形成する。これにより、容量素子とMOSトランジスタとを有する半導体装置が完成する。
【0051】
本実施の形態においても、容量上部電極16aの側部に容量上部電極16aと接触したシリコンリッチなシリコン窒化膜31(反射防止膜)が残存する。しかし、このシリコン窒化膜31と容量下部電極14aとの間には容量誘電体膜15a(シリコン酸化膜)が介在するするため、第1の実施の形態と同様に、容量上部電極16aと容量下部電極14aとの間の絶縁性が確保され、耐圧不良や電流リークの発生を防止するという効果が得られる。また、スペーサ34を形成するときには多結晶シリコンからなる上部電極16a、下部電極14a及びゲート電極14bがシリコン窒化膜(反射防止膜)31で覆われているので、リン酸を用いたウェットエッチング時にこれらの上部電極16a、下部電極14a及びゲート電極14bがダメージを受けることを回避できる。
【0052】
(第3の実施の形態)
図8〜10は本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0053】
まず、図8(a)に示すように、半導体基板41の上に素子分離のためのフィールド酸化膜42を約300nmの厚さに形成する。また、フィールド酸化膜42に囲まれた半導体基板41の表面を熱酸化法により酸化させて、厚さが約50nmのゲート酸化膜43を形成する。
【0054】
その後、半導体基板41の上側全面に、ノンドープ多結晶シリコン膜44を約150nmの厚さに形成させる。そして、多結晶シリコン膜44の上に、容量下部電極を形成すべき部分が開口されたレジストパターン45を形成する。
【0055】
そして、このレジストパターン45の開口部を介して、多結晶シリコン膜44に、例えばN型不純物であるリンを約1015〜1016個cm-2の濃度でイオン注入する。その後、レジストパターン45を除去する。このとき、トランジスタを形成する際のゲート電極となる部分にもレジストパターン45の開口部を設けておき、その部分の多結晶シリコン膜44にもN型不純物を導入する。なお、N型MOSトランジスタとP型MOSトランジスタでゲート電極部分に導入する不純物のタイプを変えるデュアルゲートトランジスタを形成する場合には、N型MOSトランジスタのゲート電極となる部分のみにレジストパターン45の開口部を設けることで、その部分の多結晶シリコン膜44にN型不純物を導入し、P型MOSトランジスタのゲート電極となる領域には別途レジスト等をマスクとしてP型不純物をその部分の多結晶シリコン膜44に選択的に導入すればよい。
【0056】
次に、温度が800℃のウェット雰囲気で多結晶シリコン膜44の表面を熱酸化させて、シリコン酸化膜43を形成する。このとき、図8(b)に示すように、多結晶シリコン膜44のうちリンがイオン注入された領域では、不純物を導入した部分の酸化レートが高くなるいわゆる増速酸化現象により、他の領域よりもシリコン酸化膜が厚く形成される。例えば、不純物が導入されたところには厚さが約50nmのシリコン酸化膜46aが形成され、その他の部分では厚さが約5nmのシリコン酸化膜46が形成される。なお、熱処理時の温度が高温であると増速酸化現象が現われにくくなるため、熱処理時の温度は900℃以下とすることが好ましい。
【0057】
その後、シリコン酸化膜46, 46aの上にノンドープ多結晶シリコン膜47を形成する。このときの成膜条件は、多結晶シリコン膜44のときと同様である。そして、この多結晶シリコン膜47の全体に、例えばN型不純物であるリンを約1015〜1016個cm-2の濃度でイオン注入して導電性を付与する。
【0058】
そして、多結晶シリコン膜47の上に、容量上部電極の形状を画定するためのレジストパターン48を形成する。このレジストパターン48は、シリコン酸化膜46aの上方にシリコン酸化膜46aよりも若干小さなサイズで形成する。
【0059】
次に、レジストパターン48をマスクとして多結晶シリコン膜47をエッチングすることにより、図9(a)に示すように、容量上部電極47aを形成する。その後、希釈フッ酸を使用して、増速酸化現象により厚く形成された部分のシリコン酸化膜46aが残り、他の部分のシリコン酸化膜46が除去される条件でシリコン酸化膜46をエッチングする。これにより残存したシリコン酸化膜46aが容量誘電体膜(以下、容量誘電体膜46aという)となる。
【0060】
次に、半導体基板41の上側全面に、反射防止膜として、プラズマCVD法により、厚さが約30nmのシリコンリッチなシリコン窒化膜49を形成する。そして、このシリコン窒化膜49の上にフォトレジストを塗布し、該フォトレジストをKrF光源又はArF光源を用いた露光機で選択露光した後、現像処理して、容量下部電極及びトランジスタのゲート電極の形状を画定するためのレジストパターン50を形成する。
【0061】
次に、レジストパターン50をマスクとしてシリコン窒化膜49及び多結晶シリコン膜44を異方性ドライエッチングし、図9(b)に示すように、容量下部電極44a及びゲート電極44bを形成する。その後、レジストパターン50を除去する。
【0062】
その後、ゲート電極44bの両側の半導体基板41に不純物を浅くかつ低濃度に導入してLDD拡散層を形成する。そして、半導体基板41の上側全面に、CVD法によって厚さが約150nmのシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜に対しリアクティブイオンエッチングによる異方性エッチングを施すことにより、ゲート電極44bの側方、容量上部電極47aの側方及び容量下部電極44aの側部にそれぞれスペーサ51を形成する。
【0063】
次いで、図10に示すように、熱リン酸によるウェットエッチングを施して、半導体基板41の上側に露出しているシリコン窒化膜49を除去する。その後、ゲート電極44b及びその両側のスペーサ51をマスクとしてゲート電極44bの両側部分の半導体基板41に不純物を高濃度にイオン注入してトランジスタのソース及びドレインとなる不純物拡散領域52を形成する。そして、公知の方法により層間絶縁膜及び配線等を形成する。これにより、容量素子及びMOSトランジスタを有する半導体装置が完成する。
【0064】
本実施の形態においても、スペーサ51の下には反射防止膜(シリコン窒化膜49)が残存することになるが、容量誘電体膜46aがスペーサ51の外側まで延在するために、容量上部電極47aと容量下部電極44aとの間の絶縁性が確保される。このため、本実施の形態においても、第1及び第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0065】
近年、トランジスタを例えば2.5V〜1.3V程度の低電圧で駆動するようになってきた。このように低電圧で駆動するトランジスタの場合、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタの特性をよくするために、P型MOSトランジスタのゲート電極にはP型不純物を導入し、N型MOSトランジスタのゲート電極にはN型不純物を導入することが一般的である。このようなトランジスタを作製する場合、まず、ノンドープのシリコン膜を形成し、N型不純物及びP型不純物をそれぞれシリコン膜に選択的に導入する工程が必要になる。本実施の形態においては、トランジスタのゲート電極となる部分にN型不純物又はP型不純物を導入する際に、同時に容量誘電体膜を形成する部分にも不純物を導入する。これにより、製造工程数の増加が回避される。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、容量素子の誘電体膜をその上の上部電極よりも大きい形状に形成するので、容量素子の下部電極の上方に絶縁性が低い反射防止膜が残存しても、誘電体膜により上部電極と下部電極との間の絶縁性が確保される。これにより、絶縁不良を回避することができる。また、反射防止膜をスペーサ形成時まで残すことができるので、スペーサ形成時のエッチング工程において、MOSトランジスタ及び容量素子にダメージを与えることを回避できる。
【0067】
また、本発明の他の製造方法によれば、シリコン膜を形成し、このシリコン膜の容量素子の誘電体膜形成領域に不純物を選択的に導入した後、シリコン膜の表面を熱酸化させ、前記不純物を導入した部分に他の部分よりも厚いシリコン酸化膜を形成する。そして、このシリコン酸化膜を、容量素子の誘電体膜とする。シリコン膜に不純物を導入する工程は、例えばMOSトランジスタのゲート電極となる部分に不純物を導入する工程と同時に行うことができる。これにより、製造工程の増加が回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2は本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3は本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4は本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【図5】図5は本発明の第2の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図6】図6は本発明の第2の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図7】図7は本発明の第2の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図8】図8は本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図9】図9は本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図10】図10は本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図11】図11は従来の半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図12】図12は従来の半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図13】図13は従来の半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【符号の説明】
11,41,61 半導体基板、
12,42,62 フィールド酸化膜、
13,43,63 ゲート酸化膜、
14,16,44,47,64,66 多結晶シリコン膜、
14a,44a,64a 容量下部電極、
14b,44b ゲート電極、
15,65 シリコン酸化膜、
15a,65a 容量誘電体膜、
16a,47a,66a 容量上部電極、
19,31,68 シリコン窒化膜(反射防止膜)、
22,34,51,71 スペーサ、
46a シリコン酸化膜(容量下部電極)。

Claims (9)

  1. 半導体基板の上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
    前記第1の絶縁膜の上に第1の導電膜を形成する工程と、
    前記第1の導電膜の上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
    前記第2の絶縁膜の上に第2の導電膜を形成する工程と、
    前記第2の導電膜をパターニングして容量素子の上部電極を形成する工程と、
    前記第2の絶縁膜をパターニングして前記上部電極の下に前記容量素子の誘電体膜を、前記上部電極よりも大きい形状に形成する工程と、
    前記容量素子の誘電体膜を前記上部電極よりも大きい形状に形成した後、前記半導体基板の上側全面に反射防止膜を形成する工程と、
    前記反射防止膜の上にフォトレジストを塗布し、該フォトレジストを露光及び現像処理して、前記容量素子の下部電極及びトランジスタのゲート電極の形状を画定するレジストパターンを形成する工程と、
    前記レジストパターンをマスクとして前記反射防止膜及び前記第1の導電膜をパターニングし、前記容量素子の下部電極及び前記トランジスタのゲート電極を形成する工程と、
    前記レジストパターンを除去した後、前記容量素子の上部電極及び前記トランジスタのゲート電極の上に残存する前記反射防止膜を除去する工程と、
    前記半導体基板の前記ゲート電極の両側部分に不純物を導入して、前記トランジスタのソース及びドレインを形成する工程と
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記容量素子の下部電極及び前記トランジスタのゲート電極を形成する工程と、前記反射防止膜を除去する工程との間に、前記上部電極及び前記下部電極の側方、並びに前記ゲート電極の側方に、それぞれ絶縁性のスペーサを形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜は、非晶質シリコン又は多結晶シリコンからなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記フォトレジストの露光に、KrF光源又はArF光源を使用することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記反射防止膜として、屈折率が2.3以上のシリコン膜、シリコン窒化膜及びシリコン酸窒化膜のいずれか1種を用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 半導体基板の上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜の上に非晶質シリコン又は多結晶シリコンからなるシリコン膜を形成する工程と、
    前記シリコン膜の容量素子誘電体膜形成領域に不純物を選択的に導入する工程と、
    前記シリコン膜の表面を熱酸化させて、前記不純物を導入した部分に他の部分よりも厚い酸化膜を形成する工程と、
    前記酸化膜を形成した後、前記半導体基板の上側全面に導電膜を形成する工程と、
    前記導電膜をパターニングして前記容量素子の上部電極を形成するとともに、前記熱酸化で形成した酸化膜のうち前記不純物が導入された部分を前記容量素子の誘電体膜として残し、他の部分の酸化膜を除去する工程と、
    前記不純物が導入された部分を前記容量素子の誘電体膜として残し、他の部分の酸化膜を除去した後、前記半導体基板の上側全面に反射防止膜を形成する工程と、
    前記反射防止膜の上にフォトレジストを塗布し、該フォトレジストを露光及び現像処理して、前記容量素子の下部電極及びトランジスタのゲート電極の形状を画定するレジストパターンを形成する工程と、
    前記レジストパターンをマスクとして前記シリコン膜及び前記反射防止膜をパターニングし、前記容量素子の下部電極及び前記トランジスタのゲート電極を形成する工程と、
    前記上部電極及び前記ゲート電極の上に残存する前記反射防止膜を除去する工程と、
    前記半導体基板の前記ゲート電極の両側部分に不純物を導入して、前記トランジスタのソース及びドレインを形成する工程と
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 前記容量素子の下部電極及び前記トランジスタのゲート電極を形成する工程と、前記反射防止膜を除去する工程との間に、前記上部電極及び下部電極の側方、並びに前記ゲート電極の側方に、それぞれ絶縁性のスペーサを形成する工程を有することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記フォトレジストの露光に、KrF光源又はArF光源を使用することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記反射防止膜として、屈折率が2.3以上のシリコン膜、シリコン窒化膜及びシリコン酸窒化膜のいずれか1種を用いることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
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