JP3745522B2 - 防振材用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防振材用ゴム組成物に関し、さらに詳しくは、自動車のエンジンマウントインシュレーター、センターベアリングインシュレーター、ラックアンドピニオン式ステアリング装置のインシュレーター等で特に耐熱性が要求される防振材となる防振材用ゴム組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
近年、自動車で使用される各種防振ゴムは、特に耐熱性と防振特性が非常に厳しくなっている。すなわち、近年、自動車は、エンジンルーム内の放熱スペースの減少、およびエンジンの高出力化が進んでいる結果、エンジンルーム内の雰囲気温度が上昇化する傾向にあり、各種防振ゴムの熱環境が厳しくなってきている。各種防振ゴムとしては、たとえば、エンジンマウントインシュレーター、センターベアリングインシュレーター、ラックアンドピニオン式ステアリング装置のインシュレーター(以下、ラックマウントインシュレーターという場合がある)などに使用されるゴムが挙げられる。以下、これらのインシュレーターについて、それぞれ説明する。
【0003】
まず、エンジンマウントインシュレーターでは、エンジンの大部分の荷重を支持する機能およびエンジンより発生するトルク反力を支持する機能に加えて、良好な防音、防振特性を満足させることが要求される。従来は、エンジンマウントインシュレーターは、適度な振動減衰性能と優れた耐疲労性(耐久性)を有する天然ゴムが主成分として用いられており、場合によっては、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどが単独で、または多くの場合、天然ゴムにブレンドして用いられている(以下「天然ゴム系材料」という)。
【0004】
しかしながら、上述したように、エンジンルーム内の熱環境が悪化している現在、耐熱性の面で、天然ゴム系材料は限界にきている。一方、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴムは、単独では、耐久性が天然ゴムと比較して劣り、しかも耐熱性が十分でないという問題がある。また、クロロプレンゴムは、低温柔軟性が劣るため、防振ゴム用途には、不適当である。ブチルゴムは、ダンピング性能に優れているものの、動倍率が極端に高いという根本的な問題があり、また、耐久性も天然ゴムより劣るという問題がある。従来のエチレン・プロピレンゴムについては、耐熱性に優れているものの、耐久性が天然ゴムと比較して劣るという欠点がある。
【0005】
また、自動車のセンターベアリングインシュレーターにおいても、上述したエンジンマウントインシュレーターの場合と同様に熱環境が悪化しており、従来のセンターベアリングインシュレーターでは、耐熱性が満足できなくなってきている。このセンターベアリングインシュレーターは、FR車、4WD車のプロペラシャフト中央部に位置し、プロペラシャフトとセンターベアリングとの締結部に使用され、プロペラシャフトからの振動がセンターベアリングを介してシャシーに直接伝達されるのを防止するとともに、プロペラシャフトの挙動を規制し支持する役割を担っている。従来、センターベアリングインシュレーターは、高強度と低ヘタリ性が要求されるところから、天然ゴム系材料が使用されてきた。従来のセンターベアリングインシュレーターは、天然ゴム系材料であるため、100℃を超える熱環境では熱老化が激しく実用に耐えない。また、天然ゴム系材料の耐熱性を向上させる方法として、加硫剤であるイオウの添加量を減らして加硫を行なう半有効加硫ないし有効加硫といわれる方法がある。しかしながら、このような方法は、天然ゴム系材料の耐熱性は向上するが、その向上効果は10℃程度であり、しかも、耐久性が悪化するという欠点があり、要求品質を満足させるには至らなかった。また、天然ゴム系材料よりも優れた耐熱性を有する原料ゴムとして、クロロプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム等が従来より知られているが、これらのゴムは、上述したような問題ないし欠点がある。さらに、自動車のラックマウントインシュレーターにおいても、上述したエンジンマウントインシュレーター、センターベアリングインシュレーターの場合と同様に熱環境が悪化しており、従来のラックマウントインシュレーターでは、耐熱性が充分ではなくなってきている。
【0006】
ラックマウントインシュレーターは、ステアリングとラックとの締結部に使用され、タイヤからの振動がラックを介してステアリングに直接伝達されるのを防止するとともに、ステアリングの感度に良好な影響を与える役割を担っている。したがって、ラックマウントインシュレーターは、適度な振動減衰性能と優れた耐疲労性(耐久性)が要求されるが、従来は、これらの要求を満たすラックマウントインシュレーター用の材料として、天然ゴム系材料が使用されている。しかしながら、上述したように、エンジンルーム内の熱環境の悪化により、耐熱性の面で、天然ゴム系材料は限界にきている。一方、耐熱性に優れるEPDMでは、耐久性が天然ゴム系材料と比較して劣るという欠点がある。
【0007】
本願発明者らは、特開平6−1893号公報において、天然ゴム系防振ゴムと同程度の防振特性と耐久性を有するとともに、天然ゴム系材料よりも優れた耐熱性を有する耐熱防振ゴム用ゴム組成物として、次のようなゴム組成物を提案した。
【0008】
すなわちこの耐熱防振用ゴム用ゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(A)、イオウ(B)およびカーボンブラック(C)を主成分とするゴム組成物であって、
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(A)は、
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと非共役ジエンとからなり、
(ii)エチレンとα−オレフィンとのモル比が65/35〜73/27であり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が3.7〜4.2dl/gであり、
(iv)パラフィン系オイルを50phr油展した状態での230℃におけるメルトフローインデックスが0.2〜0.5g/10分であり、
(v)ヨウ素価が10〜25であり、
(vi)非共役ジエンが5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)であり、
かつ、
この組成物は、加硫後の動的粘弾性試験で求められる損失正接(tanδ)が0.03〜0.15である。
【0009】
このゴム組成物は、防振特性と耐疲労性に優れているが、このゴム組成物よりも、さらに優れた防振特性と耐疲労性を有する防振材用ゴム組成物が望まれていた。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、天然ゴム系防振ゴムと同程度の防振特性と耐久性を有するとともに、天然ゴム系防振ゴムよりも優れた耐熱性を有し、また耐屈曲性にも優れた防振材が得られる防振材用ゴム組成物を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る防振材用ゴム組成物は、(A)(i)エチレンと、(ii)下記式(I)で表される芳香族ビニル化合物と、(iii)非共役ポリエンと、必要に応じて(iv)炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、
前記( iii )非共役ポリエンは、下記一般式( II-a )で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式( II-b )で表される化合物および、
下記一般式( III-a )で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式( III-b )で表される化合物
から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンであり、
エチレン(i)から導かれる構成単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(iv)から導かれる構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)が100/0〜40/60の範囲にあり、エチレン(i)から導かれる構成単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(iv)から導かれる構成単位との合計量と、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位とのモル比(エチレン+α−オレフィン/芳香族ビニル化合物)が99.5/0.5〜60/40の範囲にあり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜6.0dl/gの範囲にあり、ヨウ素価が5〜35の範囲にある不飽和性オレフィン系共重合体、(B)充填剤、および(C)加硫剤を含有してなることを特徴としている。
【0012】
【化10】
Figure 0003745522
【0013】
(式中、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜8のアルキル基を示し、nは0〜5の整数である。)
本発明では、前記(iii)非共役ポリエンとして、下記一般式(II-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式(II-b)で表される化合物および、下記一般式(III-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式(III-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンを挙げることができる。
【0014】
【化11】
Figure 0003745522
【0015】
(式中、pおよびqは、互いに同一でも異なっていてもよく、0または1であり(但し、pとqは同時に0ではない)、fは0〜5の整数であり(但し、pとqが共に1の場合は0ではない)、gは1〜6の整数であり、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R8 は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R9 は水素原子、炭素原子数が1〜5のアルキル基または−(CH2n−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10およびR11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R12は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示す)を示す(但し、pとqが共に1の場合、R9 は水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基である)。)
【0016】
【化12】
Figure 0003745522
【0017】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
【0018】
【化13】
Figure 0003745522
【0019】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
【0020】
【化14】
Figure 0003745522
【0021】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、下記一般式(IV-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が下記一般式(IV-b)で表される化合物であることが好ましく、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、下記一般式(V-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が下記一般式(V-b)で表される化合物であることが好ましい。
【0022】
【化15】
Figure 0003745522
【0023】
(式中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R1 ,R2 ,R5,R6 およびR7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R8 は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R9 は水素原子、炭素原子数が1〜5のアルキル基または−(CH2n−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10およびR11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R12は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示す)を示す。)
【0024】
【化16】
Figure 0003745522
【0025】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
【0026】
【化17】
Figure 0003745522
【0027】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
【0028】
【化18】
Figure 0003745522
【0029】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
本発明では、前記(iii)非共役ポリエンが、前記一般式(II-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が前記一般式(II-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンであることが好ましく、特に前記一般式(IV-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が前記一般式(IV-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンであることが好ましい。
【0030】
本発明の防振材用ゴム組成物は、所望の形状に成形した後、加硫を行なうことにより防振材が得られる。
【0031】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る防振材用ゴム組成物について具体的に説明する。
本発明に係る防振材用ゴム組成物は、(A)特定の不飽和性オレフィン系共重合体、(B)充填剤および(C)加硫剤を含有している。まず、本発明に係る防振材用ゴム組成物に用いられる各成分について説明する。
【0032】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体
(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、(i)エチレンと(ii)下記式(I)で表される芳香族ビニル化合物と(iii)非共役ポリエンとのランダム共重合体、または(i)エチレンと(ii)下記式(I)で表される芳香族ビニル化合物と(iii)非共役ポリエンと(iv)炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体である。
【0033】
(ii)芳香族ビニル化合物として具体的には、下記一般式(I)で表される化合物が用いられる。
【0034】
【化19】
Figure 0003745522
【0035】
式中、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜8アルキル基を示し、好ましくは水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基である。
【0036】
nは0〜5、好ましくは0〜3の整数である。
上記のような芳香族ビニル化合物としては、たとえば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体、アリルベンゼン、4-フェニルブテン-1、3-フェニルブテン-1、4-(4-メチルフェニル)ブテン-1、4-(3-メチルフェニル)ブテン-1、4-(2-メチルフェニル)ブテン-1、4-(4-エチルフェニル)ブテン-1、4-(4-ブチルフェニル)ブテン-1、5-フェニルペンテン-1、4-フェニルペンテン-1、3-フェニルペンテン-1、5-(4-メチルフェニル)ペンテン-1、4-(2-メチルフェニル)ペンテン-1、3-(4-メチルフェニル)ペンテン-1、6-フェニルヘキセン-1、5-フェニルヘキセン-1、4-フェニルヘキセン-1、3-フェニルヘキセン-1、6-(4-メチルフェニル)ヘキセン-1、5-(2-メチルフェニル)ヘキセン-1、4-(4-メチルフェニル)ヘキセン-1、3-(2-メチルフェニル)ヘキセン-1、7-フェニルヘプテン-1、6-フェニルヘプテン-1、5-フェニルヘプテン-1、4-フェニルヘプテン-1、8-フェニルオクテン-1、7-フェニルオクテン-1、6-フェニルオクテン-1、5-フェニルオクテン-1、4-フェニルオクテン-1、3-フェニルオクテン-1、10-フェニルデセン-1などのフェニル置換アルケンが挙げられる。
【0037】
これらの芳香族ビニル化合物のうち、スチレン、アリルベンゼン、4-フェニルブテン-1が好ましく、特に、スチレンが好ましく用いられる。芳香族ビニル化合物は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0038】
(iii)非共役ポリエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエン化合物、1分子中に1個のビニル基を有する非共役トリエンまたはテトラエン、および、1分子中に1個の5-ノルボルネン-2-イル基を有する非共役トリエンまたはテトラエンがあげられる。この非共役トリエンまたはテトラエン1分子当たりの総炭素原子数(2種以上の非共役トリエンまたはテトラエンを含む場合にはその平均炭素原子数で示す)は、通常特に限定されないが、好ましくは9〜30個、より好ましくは10〜25個、特に好ましくは10〜22個であることが望ましい。炭素原子数がこのような範囲にある非共役トリエンまたはテトラエンは、精製などの取扱いが容易であるので有利である。ここで「トリエン」とは、1分子中に炭素−炭素二重結合(C=C)を3個有する炭化水素化合物を意味し、また「テトラエン」とは1分子中に炭素−炭素二重結合を4個有する炭化水素化合物を意味する。なお、この炭素−炭素二重結合には、ビニル基の炭素−炭素二重結合および5-ノルボルネン-2-イル基の炭素−炭素二重結合が含まれる。
【0039】
非共役トリエンまたはテトラエンには、ビニル基または5-ノルボルネン-2-イル基を含めて3個(トリエンの場合)または4個(テトラエンの場合)の炭素−炭素二重結合(C=C)が含まれているが、この非共役トリエンまたはテトラエン1分子中に含まれる全ての炭素−炭素二重結合に隣接した炭素原子に直接結合している水素原子の総数は、通常特に限定されないが、好ましくは9〜33個、より好ましくは12〜33個、特に好ましくは14〜33個であることが望ましい。水素原子の総数がこのような範囲にあると、架橋反応速度の速い共重合体が得られるので好ましい。なお、この水素原子数は、用いられる非共役トリエンまたはテトラエンが2種以上の混合物である場合にはこれらの水素原子数の平均で示す。
【0040】
本発明では、非共役トリエンまたはテトラエンのなかでは、ビニル基または5-ノルボルネン-2-イル基がメチレン基(−CH2 −)に結合している非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。
【0041】
このような非共役トリエンまたはテトラエンのなかでも、下記一般式(II-a)または下記一般式(III-a)で表される化合物が好ましい。
【0042】
【化20】
Figure 0003745522
【0043】
式中、pおよびqは、互いに同一でも異なっていてもよく、0または1である(但しpとqは同時に0ではない)。
fは0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数である(但しpとqが共に1の場合は0ではない)。
【0044】
gは1〜6の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基、より好ましくはR1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 およびR6 が水素原子でありR7 が水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0045】
8 は、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基、より好ましくは炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0046】
9 は水素原子、炭素原子数が1〜5のアルキル基または−(CH2n−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10およびR11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R12は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示す)を示し、好ましくは水素原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基または−(CH2n−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜3の整数であり、R10およびR11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基を示し、R12は炭素原子数が1〜3のアルキル基を示す)である。但し、pとqが共に1の場合、R9 は水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基である。
【0047】
【化21】
Figure 0003745522
【0048】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
(iii)非共役ポリエンが、前記一般式(II-a)または (III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンであると、防振材用ゴム組成物は加硫速度が速く、得られる防振材は強度特性に優れる。
【0049】
このような前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
【0050】
【化22】
Figure 0003745522
【0051】
また、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして具体的には、前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして例示した化合物のビニル基を5-ノルボルネン-2-イル基に置き換えた化合物が挙げられる。
【0052】
前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンの中では、下記一般式(IV-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。この非共役トリエンまたはテトラエンは、前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンにおいて、pが1であり、qが0の化合物である。
【0053】
また、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンの中では、下記一般式(V-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。この非共役トリエンまたはテトラエンは、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンにおいて、pが1であり、qが0の化合物である。
【0054】
【化23】
Figure 0003745522
【0055】
式中、fは、0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。
gは、1〜6の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
1 ,R2 ,R5 ,R6 およびR7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記一般式(II-a)と同じであり、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基、より好ましくはR1 ,R2 ,R5 およびR6 が水素原子でありR7 が水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0056】
8 は、前記一般式(II-a)と同じであり、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基、より好ましくは炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0057】
9 は、前記一般式(II-a)と同じであり、好ましくは水素原子または炭素原子数が1〜3のアルキル基である。
【0058】
【化24】
Figure 0003745522
【0059】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
(iii)非共役ポリエンが、前記一般式(IV-a)または (V-a) で表される非共役トリエンまたはテトラエンであると、防振材用ゴム組成物は加硫速度が速く、得られる防振材は強度特性に優れる。
【0060】
このような前記一般式(IV-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
【0061】
【化25】
Figure 0003745522
【0062】
【化26】
Figure 0003745522
【0063】
【化27】
Figure 0003745522
【0064】
【化28】
Figure 0003745522
【0065】
前記一般式(V-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして具体的には、前記一般式(IV-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンとして例示した化合物のビニル基を5-ノルボルネン-2-イル基に置き換えた化合物が挙げられる。
【0066】
本発明では、(iii)非共役ポリエンは、前記一般式(II-a)で表される化合物であることがさらに好ましく、前記一般式(IV-a)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0067】
(iii)非共役ポリエンが、前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンであると、防振材用ゴム組成物は加硫速度が速く、得られる防振材は強度特性に優れる。
【0068】
(iii)非共役ポリエンが、前記一般式 (IV-a) で表される非共役トリエンまたはテトラエンであると、防振材用ゴム組成物から得られる防振材は耐寒性、低温特性、加硫強度に特に優れる。
【0069】
前記非共役トリエンまたはテトラエンは、トランス体およびシス体の混合物であってもよく、トランス体単独またはシス体単独であってもよい。
これらの(iii)非共役ポリエンは、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0070】
前記一般式(II-a)または(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、たとえば、EP0691354A1公報、WO96/20150公報に記載されているような従来公知の方法によって調製することができる。
【0071】
(iv)炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとして具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられ、これらのなかでは炭素原子数が4以上のα−オレフィンが好ましく、特に1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンが好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0072】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、エチレン(i)から導かれる構成単位と、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位と、非共役ポリエン(iii)から導かれる構成単位がそれぞれランダムに配列して結合し、(iii)非共役ポリエンに起因する分岐構造を有するとともに、主鎖は、実質的に線状構造となっている共重合体、またはエチレン(i)から導かれる構成単位と、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位と、非共役ポリエン(iii)から導かれる構成単位と、炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(iv)から導かれる構成単位がそれぞれランダムに配列して結合し、(iii)非共役ポリエンに起因する分岐構造を有するとともに、主鎖は、実質的に線状構造となっている共重合体である。この共重合体が実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、該共重合体が有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、該共重合体が135℃、デカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0073】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、エチレン(i)から導かれる構成単位と、炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(iv)から導かれる構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)が100/0〜40/60、好ましくは95/5〜55/45、より好ましくは90/10〜60/40、さらに好ましくは80/20〜60/40の範囲にあり、エチレン(i)から導かれる構成単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(iv)から導かれる構成単位との合計量と、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位とのモル比(エチレン+α−オレフィン/芳香族ビニル化合物)が99.5/0.5〜60/40、好ましくは99/1〜70/30、好ましくは98/2〜80/20の範囲にあることが望ましい。
【0074】
エチレン(i)から導かれる構成単位と、炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(iv)から導かれる構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)が95/5〜55/45の範囲内にあると、本発明の防振材用ゴム組成物から得られる防振材は、低温特性に優れる。また、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位の割合が前記範囲より少ないと本発明の防振材用ゴム組成物から得られる防振材は、耐傷つき性、耐屈曲性、防振性が劣ることがあり、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位の割合が前記範囲より多いと、強度特性、低温特性などが劣ることがある。
【0075】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体において、非共役ポリエン(iii)から導かれる構成単位の含有割合は、通常0.01〜30モル%、好ましくは0.05〜25モル%、より好ましくは0.1〜20モル%の範囲内にあることが望ましい。
【0076】
また、(A)不飽和性オレフィン系共重合体のヨウ素価は、通常5〜35、好ましくは10〜30、より好ましくは15〜25の範囲内にあることが望ましい。(A)不飽和性オレフィン系共重合体のヨウ素価が前記範囲内にあると、防振材用ゴム組成物は、加硫速度が速く、得られる防振材は防振特性、耐熱老化性に優れる。
【0077】
(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常1.0〜6.0dl/g、好ましくは2.0〜5.5dl/g、より好ましくは3.0〜5.0dl/gの範囲にあることが望ましい。(A)不飽和性オレフィン系共重合体の極限粘度[η]が前記範囲内にあると、(B)充填材等との混練性に優れる。
【0078】
本発明では(A)不飽和性オレフィン系共重合体は、各構成単位のモル比、極限粘度[η]およびヨウ素価のうち、少なくとも1つが前記範囲内にあることが好ましく、2つ以上が前記範囲内にあることがより好ましく、特に各構成単位のモル比、極限粘度[η]およびヨウ素価のすべてが前記範囲内にあることが好ましい。
【0079】
このような(A)不飽和性オレフィン系共重合体において(iii)非共役ポリエンが前記一般式(II-a)で表される場合には、不飽和性オレフィン系共重合体(A)中においては該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位は、下記一般式(II-b)で表される構造を有している。
【0080】
【化29】
Figure 0003745522
【0081】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
また、(iii)非共役ポリエンが前記一般式(III-a)で表される場合には、不飽和性オレフィン系共重合体(A)中においては該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位は、下記一般式(III-b)で表される構造を有している。
【0082】
【化30】
Figure 0003745522
【0083】
(式中、p、q、f、g、R1 〜R9 は、前記一般式(II-a)の場合と同じ意味である。)
さらに、(iii)非共役ポリエンが前記一般式(IV-a)で表される場合には、不飽和性オレフィン系共重合体(A)中においては該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位は、下記一般式(IV-b)で表される構造を有している。
【0084】
【化31】
Figure 0003745522
【0085】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
また、(iii)非共役ポリエンが前記一般式(V-a)で表される場合には、不飽和性オレフィン系共重合体(A)中においては該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位は、下記一般式(V-b)で表される構造を有している。
【0086】
【化32】
Figure 0003745522
【0087】
(式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
なお(iii)非共役ポリエンから導かれる構成単位が、不飽和性オレフィン系共重合体(A)において前記各構造を有していることは、共重合体の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0088】
不飽和性オレフィン系共重合体(A)の製造
上記のような不飽和性オレフィン系共重合体(A)は、(i)エチレンと、(ii)芳香族ビニル化合物と、(iii)非共役ポリエンと、必要に応じて(iv)炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとをオレフィン重合用触媒の存在下に共重合させて得られる。
【0089】
このようなオレフィン重合用触媒としては、(a)バナジウム、ジルコニウム、チタニウムなどの遷移金属の化合物と、(b)有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)および/またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒などが使用できる。具体的には、▲1▼固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、▲2▼可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒、▲3▼周期律表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなるメタロセン系触媒などが挙げられ、これらのうちでは特にメタロセン系触媒が好ましい。
【0090】
メタロセン系触媒を形成する周期律表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物は、具体的には、次式(VI)で表される。
1 1 x … (VI)
式中、Mは周期律表第4族から選ばれる遷移金属であり、具体的にはジルコニウム、チタンまたはハフニウムである。xは遷移金属Mの原子価を示し、遷移金属に配位する配位子Lの個数を示す。
【0091】
Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lは、シクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0092】
該メタロセン化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、アルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基、置換シリレン基などの結合基を介して結合されていてもよい。
【0093】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3a 、但し、Ra はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)、ハロゲン原子、水素原子などが挙げられる。
【0094】
以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個含むメタロセン化合物を例示する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン-ビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0095】
また、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えたメタロセン化合物を例示することもできる。
【0096】
さらに、ブリッジタイプのメタロセン化合物として下記式[A]で示されるメタロセン化合物が挙げられる。
メタロセンが式[A]:
【0097】
【化33】
Figure 0003745522
【0098】
Figure 0003745522
[式[A]中、M1は周期律表の第IVB族の金属であり、具体的には、例えば、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムを挙げることができる。
【0099】
1およびR2は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリールオキシ基、炭素原子数2〜10好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜12のアルキルアリール基、炭素原子数8〜40好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、またはハロゲン原子好ましくは塩素原子である。
【0100】
3およびR4は、互いに同じでも異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子好ましくは弗素原子、塩素原子または臭素原子、ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10好ましくは1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、−NR10 2、−SR10、−OSiR10 3、−SiR10 3または−PR10 2基であり、その際R10はハロゲン原子好ましくは塩素原子、または、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルキル基、または炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基である。
【0101】
3およびR4は特に水素原子であることが好ましい。
5およびR6は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じであり、R5およびR6は水素原子でないという条件のもとでR3およびR4について記載した意味を有する。R5およびR6は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基またはトリフルオロメチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0102】
7は、下記:
【0103】
【化34】
Figure 0003745522
【0104】
=BR11、=AlR11、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR11、=CO、=PR11または=P(O)R11であり、その際R11、R12およびR13は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10好ましくは1〜4のアルキル基さらに好ましくはメチル基、炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基好ましくはCF3基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10のフルオロアリール基好ましくはペンタフルオロフェニル基、炭素原子数1〜10好ましくは1〜4のアルコキシ基特に好ましくはメトキシ基、炭素原子数2〜10好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、または炭素原子数7〜40好ましくは7〜12のアルキルアリール基であり、また「R11とR12」または「R11とR13」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0105】
2は珪素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくは珪素またはゲルマニウムである。
7は、=CR1112、=SiR1112、=GeR1112、−O−、−S−、=SO、=PR11または=P(O)R11であることが好ましい。
【0106】
8およびR9は互いに同じであっても異なっていてもよく、R11について記載したと同じ意味を有する。
mおよびnは互いに同じであっても異なっていてもよく、0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0107】
上記条件を充たす特に好ましいメタロセンを下記(i)〜(iii)に示す。
【0108】
【化35】
Figure 0003745522
【0109】
[上記式(i)、(ii)及び(iii)中、M1はZrまたはHfであり、R1およびR2はメチル基または塩素原子であり、R5およびR6はメチル基、エチル基またはトリフルオロメチル基であり、R8、R9、R10およびR12が上記の意味を有する。]
このような式(i)、(ii)及び(iii)で示される化合物の内でも、下記の化合物が特に好ましい。
【0110】
rac-ジメチルメチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルメチレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルメチレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジメチル、
rac-エチレン-(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジメチル、
rac-フェニル(メチル)シリレン-(2ーメチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-ジフェニル-シリレン-(2ーメチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-メチルエチレン-(2ーメチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-ジメチルシリレン-(2ーエチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド。このようなメタロセンの製造方法については、従来より公知の方法にて製造することができる(例:特開平4-268307号公報参照)。
【0111】
本発明では、ブリッジタイプのメタロセン化合物として、下記式[B]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0112】
【化36】
Figure 0003745522
【0113】
Figure 0003745522
式[B]中、Mは周期律表第IVB族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0114】
1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示し、具体的には、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素数1から20の炭化水素基;
前記炭化水素基にハロゲン原子が置換したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、
トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基、
などのケイ素含有基;
ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロ−キシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸素含有基;
前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などのイオウ含有基;
アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;
ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含有基である。
【0115】
これらのうちR1 は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またR2 は水素、炭化水素基が好ましく、特に水素あるいは、メチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0116】
3 、R4 、R5 およびR6 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、このうち水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。
【0117】
また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR6 が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0118】
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基として、具体的には、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含む、Mに配位する配位子としては以下に示すようなものが挙げられる。
【0119】
【化37】
Figure 0003745522
【0120】
これらのうち上記式(1)で示されるものが好ましい。
前記芳香族環はハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0121】
前記芳香族環に置換するハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
【0122】
1 およびX2 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には、
前記R1 およびR2 と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基が例示できる。
【0123】
イオウ含有基としては、前記R1 、R2 と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が例示できる。
【0124】
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR7 −、−P(R7)−、−P(O)(R7)−、−BR7 −または−AlR7 −[ただし、R7 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示し、具体的には、
メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2- エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2- エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1から20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素数1から20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,2- ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基などであり、
7 は、前記R1 、R2 と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0125】
このうち2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ましく、このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0126】
以下に上記式[B]で表される遷移金属化合物の具体的な例を示す。
【0127】
【化38】
Figure 0003745522
【0128】
【化39】
Figure 0003745522
【0129】
【化40】
Figure 0003745522
【0130】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
前記遷移金属化合物は、通常ラセミ体としてオレフィン重合用触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0131】
このような遷移金属化合物のインデン誘導体配位子は、たとえば下記の反応ルートで、通常の有機合成手法を用いて合成することができる。
【0132】
【化41】
Figure 0003745522
【0133】
本発明で用いられるこの遷移金属化合物は、これらインデン誘導体から既知の方法、たとえば特開平4−268307号公報に記載されている方法により合成することができる。
【0134】
本発明においては、ブリッジタイプのメタロセン化合物としてまた下記式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0135】
【化42】
Figure 0003745522
【0136】
Figure 0003745522
式[C]中、M、R1、R2、 R3 、R4 、R5 およびR6としては、前記式[B]の場合と同様なものが挙げられる。
【0137】
3 、R4 、R5 およびR6 のうち、R3 を含む2個の基が、アルキル基であることが好ましく、R3 とR5 、またはR3 とR6 がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。また、このアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R1 、R2 で例示した置換基が挙げられる。
【0138】
3 、R4 、R5 およびR6 で示される基のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、tert- ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの鎖状アルキル基および環状アルキル基;
ベンジル、フェニルエチル、フエニルプロピル、トリルメチルなどのアリールアルキル基などが挙げられ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0139】
またR3 、R4 、R5 およびR6 から選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。
ハロゲン原子として、具体的には、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
【0140】
1 、X2、YおよびR7としては、前記式[B]の場合と同様のものが挙げられる。
以下に上記式[C]で示されるメタロセン化合物(遷移金属化合物)の具体的な例を示す。
【0141】
rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロ リド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジ クロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジ クロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,5,6-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジ クロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,5,6-テトラメチル-1- インデニル)ジルコニウ ムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,5,6,7-ペンタメチル-1- インデニル)ジルコニ ウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-n- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(4-i-プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニ ウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-6- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- メチル-6-i- プロピル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-5- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4,6- ジ(i- プロピル)-1-インデニル)ジ ルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4,6- ジ(i- プロピル)-7-メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- ブチル-7- メチル-1- インデニル) ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-sec- ブチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4,6- ジ(sec- ブチル)-1-インデニル)ジ ルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-tert-ブチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- シクロヘキシル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- ベンジル-7- メチル-1- インデニル) ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニルエチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニルジクロルメチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- クロロメチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- トリメチルシリルメチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- トリメチルシロキシメチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジエチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(i- プロピル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(n- ブチル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ( シクロヘキシル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4,6- ジ(i- プロピル)-1-インデニル)ジ ルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p- トリル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p- クロロフェニル) シリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジブロミド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムメチルクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウム-ビス(メタンスルホナト)、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウム-ビス(p-フェニルスルフィナト)、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-3- メチル-4-i- プロピル-6- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-エチル-4-i- プロピル-6- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-フェニル-4-i- プロピル-6- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド。
【0142】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
上記遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0143】
このような遷移金属化合物のインデン誘導体配位子は、たとえば前記と同様の反応ルートで、通常の有機合成手法を用いて合成することができる。
また上記の式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)は、これらインデン誘導体から既知の方法、たとえば特開平4−268307号公報に記載の方法により合成することができる。
【0144】
本発明では、またブリッジタイプのメタロセン化合物として下記の式[D]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いこともできる。
【0145】
【化43】
Figure 0003745522
【0146】
Figure 0003745522
式[D]中、M、R1、X1 、X2およびYとしては、前記式[B]あるいは前記式[C]の場合と同様のものが挙げられる。
【0147】
このうち、R1としては、炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピル、ブチルの炭素数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。
また、X1 、X2としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0148】
2 は、炭素数6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル(ペリナフテニル)、アセアントリレニルなどである。これらのうちフェニル、ナフチルであることが好ましい。これらのアリール基は、前記R1 と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0149】
以下に上記式[D]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)の具体的な例を示す。
rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1−インデニル)ジルコニウムジクロ リド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4−フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(2-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(9-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(9-フェナントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-フルオロフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(ペンタフルオロフェニル)-1-インデ ニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-クロロフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(m-クロロフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(o-クロロフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(o,p-ジクロロフェニル) フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-ブロモフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-トリル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(m-トリル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(o-トリル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(o,o'-ジメチルフェニル)-1-インデニル) ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-エチルフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-i-プロピルフェニル)-1-インデニ ル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-ベンジルフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-ビフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(m-ビフェニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(p-トリメチルシリルフェニル)-1-イ ンデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(m-トリメチルシリルフェニル)-1-イ ンデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-エチル−4-フェニル-1- インデニル)ジルコニウ ムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウ ムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-フェニル-4-フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-n-プロピル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコ ニウムジクロリド、
rac-ジエチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ-(i-プロピル)シリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ-(n-ブチル)シリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジ ルコニウムジクロリド、
rac-ジシクロヘキシルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-トリル)シリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-クロロフェニル)シリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデ ニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスズ-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジブロミド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムメチルクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムクロリドSO2Me、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムクロリドOSO2Meなど。
【0150】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
このような式[D]で示される遷移金属化合物は、Journal of Organometallic Chem.288(1985)、第63〜67頁、ヨーロッパ特許出願公開第0,320,762 号明細書および実施例に準じて、たとえば下記のようにして製造することができる。
【0151】
【化44】
Figure 0003745522
【0152】
このような遷移金属化合物[D]は、通常ラセミ体として用いられるが、R体またはS体を用いることもできる。
また本発明では、メタロセン化合物として下記一般式(VII)で示される遷移金属化合物を用いることもできる。
【0153】
2 2 2 … (VII)
2 は、周期率表第4族またはランタニド系列の金属であり、
2 は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M2 活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、
Xは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子であるか、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子もしくはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基もしくはゲルミル基である。
【0154】
このような前記一般式(VII)で示される化合物のうちでは、下記一般式(VII') で示される遷移金属化合物が好ましい。
【0155】
【化45】
Figure 0003745522
【0156】
式中、M2 はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、上記と同じである。
CpはM2 にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。
【0157】
Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期率表第14族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたはスズ)であり、
Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、
ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0158】
このような前記一般式(VII')で示される化合物としては、具体的に、
(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、
((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジクロリドなどが挙げられる。
【0159】
上記のようなメタロセン化合物は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
また上記のようなメタロセン化合物は、粒子状担体に担持させて用いることもできる。
【0160】
このような粒子状担体としては、SiO2 、Al23 、B23 、MgO、ZrO2 、CaO、TiO2 、ZnO、SnO2 、BaO、ThOなどの無機担体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体などの有機担体を用いることができる。これらの粒子状担体は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0161】
次に、メタロセン系触媒を形成する(b-2)有機アルミニウムオキシ化合物およびイオン化イオン性化合物について説明する。
(b-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0162】
従来公知のアルミノキサンは、具体的には、下記一般式で表される。
【0163】
【化46】
Figure 0003745522
【0164】
式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基を示し、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。
mは2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数である。
【0165】
ここで、アルミノキサンは式(OAl(R1 ))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R2 ))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R1 およびR2 はRと同様の炭化水素基であり、R1 およびR2 は相異なる基を示す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0166】
なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
イオン化イオン性化合物としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
【0167】
ルイス酸としては、BR3 (式中、Rはフッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトルフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0168】
イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0169】
ボラン化合物としては、デカボラン(14)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0170】
カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0171】
上記のようなイオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
前記有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物は、上述した粒子状担体に担持させて用いることもできる。
【0172】
また触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とともに以下のような有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0173】
有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用できる。このような化合物としては、たとえば下記一般式で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0174】
(R1 m Al(O(R2 ))npq
(式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が通常1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q=3である。)
本発明では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に(i)エチレン、(ii)芳香族ビニル化合物および(iii)非共役ポリエン、必要に応じて(iv)α−オレフィンを通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。共重合はバッチ法または連続法のいずれの方法でも行うことができる。
【0175】
メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ法で実施する場合には、重合系内のメタロセン化合物の濃度は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜0.1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.05ミリモルの量で用いられる。有機アルミニウムオキシ化合物は、メタロセン化合物中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5000となるようなの量で用いられる。
【0176】
イオン化イオン性化合物は、メタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用いられる。
【0177】
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。
【0178】
共重合反応は、通常、温度が−20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm2 、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2 の範囲の条件下に行なわれる。
【0179】
(i)エチレン、(ii)芳香族ビニル化合物および(iii)非共役ポリエン、必要に応じて(iv)α−オレフィンは、上述のような特定組成の(A)不飽和性オレフィン系共重合体が得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0180】
上記のようにして(i)エチレン、(ii)芳香族ビニル化合物および(iii)非共役ポリエン、必要に応じて(iv)α−オレフィンを共重合させると、不飽和性オレフィン系共重合体は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され(A)不飽和性オレフィン系共重合体が得られる。
【0181】
(B)充填剤
(B)充填剤には、補強性のある充填剤と補強性のない充填剤とがある。
補強性のある充填剤は、加硫ゴム(防振材)の引張り強さ、引裂き強さ、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このような充填剤として具体的には、シランカップリング剤などによる表面処理が施されていてもよいカーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルクなどが挙げられる。充填剤としてカーボンブラックを用いる場合、通常ゴムに使用されるカーボンブラックならばその種類は問わず全て用いることができる。
【0182】
また、補強性のない充填剤は、物性にあまり影響を与えることなく、ゴム製品の硬さを高めたり、コストを引き下げることを目的として使用される。このような充填剤としては、具体的には、タルク、クレー、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0183】
(C)加硫剤
加硫剤(C)としては、イオウおよびイオウ化合物が挙げられる。
イオウとして具体的には、粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどが挙げられる。
【0184】
イオウ化合物として具体的には、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物などが挙げられる。また、加硫温度で活性イオウを放出して加硫するイオウ化合物、たとえばモルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなども使用することができる。
【0185】
これらのなかでは、粉末イオウが好ましく用いられる。
また加硫剤(C)としては、有機過酸化物も使用することができ、有機過酸化物として具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルジクミルペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、α,α−ビス(tert-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、tert-ブチルヒドロペルオキシド等のアルキルペルオキシド類;tert-ブチルペルオキシアセテート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシマレイン酸、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジtert-ブチルペルオキシフタレート等のペルオキシエステル類;ジシクロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド類などが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0186】
これらのなかでは、1分半減期温度が130〜200℃である有機過酸化物が好ましく、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルジクミルペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド等が好ましい。
【0187】
本発明では、上記のような各種加硫剤(C)の中でも、イオウまたはイオウ系化合物、特にイオウを用いると優れた特性のゴム組成物を得ることができるため好ましい。
【0188】
防振材用ゴム組成物
本発明に係る防振材用ゴム組成物は、上記のような(A)不飽和性オレフィン系共重合体、(B)充填剤および(C)加硫剤を含有してなる。
【0189】
(B)充填剤は、(A)不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常30〜100重量部、好ましくは30〜80重量部、さらに好ましくは40〜70重量部の割合で用いられる。
【0190】
(C)加硫剤は、イオウまたはイオウ系化合物である場合には、(A)不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で用いられる。
【0191】
また(C)加硫剤が有機過酸化物である場合には、(A)不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常0.05〜15重量部、好ましくは0.15〜5重量部の量で用いられる。
【0192】
本発明に係る防振材用ゴム組成物は、(A)不飽和性オレフィン系共重合体、(B)充填剤および(C)加硫剤を従来公知のゴム状重合体混合法、たとえはバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスなどのインターナルミキサー類による混合法等を採用することによって製造することができる。
【0193】
なお本発明に係る防振材用ゴム組成物には、上記の不飽和性オレフィン系共重合体(A)、充填剤(B)および加硫剤(C)に加えて、加硫促進剤、加硫助剤、軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤、発泡剤、加工助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、ブルーミング防止剤およびその他の防振材用ゴム配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0194】
軟化剤としては、従来ゴムに配合されている軟化剤が広く用いられ、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂などの合成高分子物質を挙げることができる。なかでも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。これらの軟化剤の配合量は、通常、不飽和オレフィン系共重合体(A)100重量部に対して、150重量部以下、好ましくは100重量部以下である。
【0195】
加硫促進剤として具体的には、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;
ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;
アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;
2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;
チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;
テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM);テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;
ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;
亜鉛華等の化合物などを挙げることができる。
【0196】
また、加硫促進剤の好ましい組合わせの例としては、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)とN-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)とテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)とジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)との組合わせなどが挙げられる。
【0197】
これらの加硫促進剤は、不飽和性オレフィン系共重合体(A)100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の量で用いられる。
本発明に係る防振材用ゴム組成物から加硫ゴム(防振材)を製造するには、前記のように調製した防振材用ゴム組成物を意図する形状に成形した後に加硫を行なえばよい。
【0198】
加硫ゴムを製造する方法としては、特に限定されないが、具体的にはたとえば以下のような方法が採用される。
すなわち、バンバリーミキサーなどのミキサーを用い(A)不飽和性オレフィン系共重合体および(B)充填剤、必要に応じて他のゴム配合剤などを80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールなどのロールを用い、(C)加硫剤、必要に応じて加硫促進剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出し、リボン状またはシート状の未加硫の配合ゴムを調製する。なお上記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、加硫剤(C)、加硫促進剤、発泡剤などを同時に混練することもできる。
【0199】
このようにして調製された未加硫の配合ゴム(防振材用ゴム組成物)を、押出成形機、カレンダーロール、またはプレスにより意図する形状に成形し、成形と同時に150〜270℃の温度で1〜30分間加熱するか、または成形物を加硫槽内に導入し、150〜270℃の温度で1〜30分間加熱することにより加硫ゴムを得る。加硫は金型内で行ってもよく、また金型を用いないで行ってもよい。金型を用いない場合は成形、加硫の工程は通常連続的に実施される。加硫槽における加熱方法としては熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームなどの加熱槽を用いることができる。
【0200】
上記のように成形・加硫された加硫ゴムは、ウェザーストリップ、ドアーグラスランチャンネル、窓枠、ラジエータホース、ブレーキ部品、ワイパーブレードなどの自動車工業部品、ゴムロール、ベルト、パッキン、ホースなどの工業用ゴム製品、アノードキャップ、グロメットなどの電気絶縁材、建築用ガスケット、土木用シートなどの土木建材用品、ゴム引布などの用途に用いることができる。特に自動車のエンジンマウントインシュレーター、センターベアリングインシュレーター、ラックアンドピニオン式ステアリング装置のインシュレーター等に好適である。
【0201】
また、発泡剤含有の未加硫ゴム配合物を加熱発泡させて得られる加硫発泡体は、断熱材、クッション材、シーリング材などの用途に用いることができる。
【0202】
【発明の効果】
本発明に係る防振材用ゴム組成物からは、天然ゴム系防振ゴムと同程度の防振特性および耐久性に有するとともに、天然ゴム系防振ゴムよりも優れた耐熱性を有し、また耐屈曲性にも優れた防振材が得られる。
【0203】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0204】
【合成例1】
1.5リットルのオートクレーブを窒素で充分に置換し、トルエン430ml、スチレン70ml、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMND)8mlを仕込んだ。さらにプロピレンを4.0kg/cm2 になるように導入した。次いで攪拌しながら系内を40℃に昇温しエチレンを15kg/cm2 になるように導入した。次に、別の反応器にメチルアルミノオキサン(東ソーアクゾ社製、3重量%トルエン溶液)9.2mmol、公知の方法により合成した(ジメチル(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタン0.018mmolを加え、この混合溶液を15分間攪拌した後、オートクレーブに導入し重合を開始した。この重合中系内の圧力を15kg/cm2 に保つようにエチレンを連続供給し、30分間重合した。その後、5mlのメタノールを添加し重合を終了した。重合終了後、1リットルのメタノールで重合溶液からポリマーを析出させた。析出したポリマーをさらに1リットルのメタノールで2回洗浄し、130℃、12時間減圧乾燥した。得られたエチレン・プロピレン・スチレン・EMND共重合体(共重合体(a))は、18gであり、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/プロピレン)は72/28であり、エチレンから導かれる構成単位とプロピレンから導かれる構成単位との合計量と、スチレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン+プロピレン/スチレン)は94/6であった。この共重合体のヨウ素価は15であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は3.9dl/gであった。
【0205】
【合成例2】
1.5リットルのオートクレーブを窒素で充分に置換し、トルエン430ml、スチレン25ml、EMND8mlを仕込んだ。さらにプロピレンを3.0kg/cm2 になるように導入した。次いで攪拌しながら系内を40℃に昇温しエチレンを10kg/cm2 になるように導入した。
【0206】
その後、重合中系内の圧力を10kg/cm2 に保つようにエチレンを連続供給したこと以外は合成例1と同様にして重合反応を行った。得られたエチレン・プロピレン・スチレン・EMND共重合体(共重合体(b))は、18gであり、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/プロピレン)は78/22であり、エチレンから導かれる構成単位とプロピレンから導かれる構成単位との合計量と、スチレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン+プロピレン/スチレン)は95/5であった。この共重合体のヨウ素価は16であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は3.5dl/gであった。
【0207】
【合成例3】
1.5リットルのオートクレーブを窒素で充分に置換し、トルエン430ml、スチレン25ml、EMND8.5mlを仕込んだ。さらに1-ブテンを2.0kg/cm2 になるように導入した。次いで攪拌しながら系内を40℃に昇温しエチレンを12kg/cm2 になるように導入した。
【0208】
その後、重合中系内の圧力を12kg/cm2 に保つようにエチレンを連続供給したこと以外は合成例1と同様にして重合反応を行った。得られたエチレン・1-ブテン・スチレン・EMND共重合体(共重合体(c))は、20gであり、エチレンから導かれる構成単位と、1-ブテンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/1-ブテン)は80/20であり、エチレンから導かれる構成単位と1-ブテンから導かれる構成単位との合計量と、スチレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン+1-ブテン/スチレン)は95/5であった。この共重合体のヨウ素価は15であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は3.3dl/gであった。
【0209】
【合成例4】
合成例1において、(ジメチル(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタンを公知の方法で合成したイソプロピリデン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドに変更した以外は合成例1と同様に行い、エチレン・プロピレン・スチレン・EMND共重合体(共重合体(e))を得た。得られたエチレン・プロピレン・スチレン・EMND共重合体(共重合体(e))は、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/プロピレン)は74/26であり、エチレンから導かれる構成単位とプロピレンから導かれる構成単位との合計量と、スチレンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン+プロピレン/スチレン)は92/8であった。この共重合体のヨウ素価は13であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は2.4dl/gであった。
【0210】
【実施例1】
加硫ゴムの製造
前記合成例1にて製造した共重合体(a)、亜鉛華、ステアリン酸、FEF−HSカーボンブラック(ニテロン#10TM(新日鉄化学社製))、パラフィンオイル(PW−90TM(出光興産社製))を、1.7リットルのバンバリーミキサーを用いて6分間混練した。この混練物に、さらに加硫促進剤ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、加硫促進剤TMDT、加硫促進剤2-メルカプトベンゾチアゾールおよび硫黄を加え、8インチロール(前ロール/後ロール:65/65℃、16/18rpm)で混練し未加硫の配合ゴムを得た。
【0211】
Figure 0003745522
上記のようにして得られた未加硫の配合ゴムを160℃に加熱されたプレスにより15分間加熱し厚さ2mmの加硫ゴムシートを作製し、下記の試験を行った。結果を表1に示す。
【0212】
[引張試験]
JIS K 6301に従って引張強度(TB)および伸び(EB)を測定した。
【0213】
[圧縮永久歪試験]
圧縮永久歪試験は、JIS K 6301に準じて、120℃の雰囲気下で22時間行なって、それぞれの温度における圧縮永久歪(CS)を測定した。これらの圧縮永久歪を耐へたり評価の指標とした。
【0214】
[硬さ試験]
JIS K 6301に従ってJIS A硬度(HS)を測定した。
[伸長疲労試験(モンサント疲労試験)]
加硫ゴムシートを打ち抜いてJIS K 6301に記載されている1号形ダンベル試験片を調製し、この試験片の縦方向の中心に2mmの傷を入れた。このようにして得られた試験片60本のうち、20本について伸長率を40%とし、設定温度40℃、回転速度300rpmの条件で伸長疲労させ、そのダンベル切断時の回数の平均値およびその切断時の応力平均値を求めた。また伸長率80%、150%の条件で同様に伸長疲労試験を行なった。
【0215】
モンサント疲労試験機:周波数5Hz、温度27℃
[動的粘弾性試験]
動的粘弾性試験は、2mm厚の加硫ゴムシートについて、レオメトリック社製の粘弾性試験機(型式RDS−2)を用いて、測定温度25℃、周波数10Hzおよび歪率1%の条件で行ない、動的弾性率(kg/cm2 )と動的損失弾性率(kg/cm2 )を求め、損失正接tanδを下式により求めた。
【0216】
s =G’+ιG”
(Gs :静的弾性率、実部G’:動的弾性率、虚部G”:動的損失弾性率)
tanδ=G”/G’
損失正接(tanδ)は低燃費性の指標であり、損失正接の値が小さい程低燃費性に優れている。ゴム材料に歪を加えると、その発熱量は入力された歪の2乗に比例し、周波数とtanδに比例することが理論的に知られている。タイヤに伝えられた力が転がる力ではなく熱として消費される程低燃費性が失われるため、防振材の材料としては発熱に関係するtanδが小さい程低燃費タイヤといえる。
【0217】
【実施例2】
実施例1において、共重合体(a)に代えて、合成例2にて製造した共重合体(b)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0218】
【実施例3】
実施例1において、共重合体(a)に代えて、合成例3にて製造した共重合体(c)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0219】
【実施例4】
実施例1において、共重合体(a)に代えて、合成例4にて製造した共重合体(e)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0220】
【比較例1】
実施例1において、共重合体(a)に代えて、エチレン・プロピレン・EMND共重合体(エチレン/プロピレン(モル比)=68/32、ヨウ素価:22、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]:3.9dl/g)(共重合体(d))を用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0221】
表1に示すように、実施例1〜4は、比較例1に比べて疲労特性が優れていた。
【0222】
【表1】
Figure 0003745522

Claims (4)

  1. (A)(i)エチレンと、
    (ii)下記式(I)で表される芳香族ビニル化合物と、
    (iii)非共役ポリエンと、必要に応じて
    (iv)炭素原子数が3〜20のα−オレフィンと、
    のランダム共重合体であって、
    前記( iii )非共役ポリエンは、下記一般式( II-a )で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式( II-b )で表される化合物および、
    下記一般式( III-a )で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が下記一般式( III-b )で表される化合物
    から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンであり、
    エチレン(i)から導かれる構成単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(iv)から導かれる構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)が100/0〜40/60の範囲にあり、エチレン(i)から導かれる構成単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(iv)から導かれる構成単位との合計量と、芳香族ビニル化合物(ii)から導かれる構成単位とのモル比(エチレン+α−オレフィン/芳香族ビニル化合物)が99.5/0.5〜60/40の範囲にあり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜6.0dl/gの範囲にあり、ヨウ素価が5〜35の範囲にある不飽和性オレフィン系共重合体、
    (B)充填剤、および
    (C)加硫剤を含有してなることを特徴とする防振材用ゴム組成物;
    Figure 0003745522
    (式中、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜8のアルキル基を示し、nは0〜5の整数である。)
    Figure 0003745522
    (式中、pおよびqは、互いに同一でも異なっていてもよく、0または1であり(但し、pとqは同時に0ではない)、fは0〜5の整数であり(但し、pとqが共に1の場合は0ではない)、gは1〜6の整数であり、R 1 ,R 2 ,R 3 ,R 4 ,R 5 ,R 6 およびR 7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R 8 は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R 9 は水素原子、炭素原子数が1〜5のアルキル基または−(CH 2 n −CR 10 =CR 11 12 で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R 10 およびR 11 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R 12 は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示す)を示す(但し、pとqが共に1の場合、R 9 は水素原子または炭素原子数 が1〜5のアルキル基である)。)
    Figure 0003745522
    (式中、p、q、f、g、R 1 〜R 9 は、前記一般式( II-a )の場合と同じ意味である。
    Figure 0003745522
    (式中、p、q、f、g、R 1 〜R 9 は、前記一般式( II-a )の場合と同じ意味である。)
    Figure 0003745522
    (式中、p、q、f、g、R 1 〜R 9 は、前記一般式( II-a )の場合と同じ意味である。
  2. 前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、下記一般式(IV-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が下記一般式(IV-b)で表される化合物であり、前記一般式(III-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、下記一般式(V-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が下記一般式(V-b)で表される化合物である請求項に記載の防振材用ゴム組成物;
    Figure 0003745522
    (式中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R1 ,R2 ,R5,R6 およびR7 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R8 は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R9 は水素原子、炭素原子数が1〜5のアルキル基または−(CH2n−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10およびR11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を示し、R12は炭素原子数が1〜5のアルキル基を示す)を示す。)
    Figure 0003745522
    (式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
    Figure 0003745522
    (式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
    Figure 0003745522
    (式中、f、g、R1 、R2 、R5 〜R9 は、前記一般式(IV-a)の場合と同じ意味である。)
  3. 前記(iii)非共役ポリエンは、前記一般式(II-a)で表され、かつ該非共役ポリエンから導かれる構成単位が前記一般式(II-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンである請求項1に記載の防振材用ゴム組成物。
  4. 前記一般式(II-a)で表される非共役トリエンまたはテトラエンは、前記一般式(IV-a)で表され、かつ該非共役トリエンまたはテトラエンから導かれる構成単位が前記一般式(IV-b)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役トリエンまたはテトラエンである請求項に記載の防振材用ゴム組成物。
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