JP3578431B2 - 不飽和性オレフィン系共重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、新規な不飽和性オレフィン系共重合体およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性に優れるとともに、加工性、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポリマーとの相溶性および共加硫性にも優れ、各種ゴム製品、樹脂改質剤などの用途に利用できる不飽和性オレフィン系共重合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体は、耐熱性、耐オゾン性が良好であるため、自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品、ゴム引布等のゴム製品、ポリプロピレン、ポリスチレン等へのプラスチックブレンド用材料として広く用いられている。しかしながら、このエチレン−プロピレン−ジエン系共重合体は、耐動的疲労性に劣るため、特定の用途、たとえば防振ゴム、ゴムロ−ル、ベルト、タイヤ、振動部のカバ−材等には使用されていない。
【0003】
一方、天然ゴムは耐動的疲労性に優れるものの、耐熱性、耐オゾン性に劣り、実用上問題があった。
また、高級α−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体に関して、米国特許第3,933,769号、第4,064,335号および第4,340,705号の明細書には、高級α−オレフィンと、メチル−1,4−ヘキサジエン、α,ω−ジエ ンとの共重合体が開示されている。しかしながら、上記のメチル−1,4−ヘキサジ エンは、4−メチル−1,4−ヘキサジエンと5−メチル−1,4−ヘキサジエンとの混合物であって、それぞれのモノマ−の反応率が異なるため、連続で重合を行なう場合にモノマ−を回収して用いることが困難であり、また、高級α− オレフィンとの共重合反応性が、4−メチル−1,4−ヘキサジエンと5−メチル−1,4−ヘキサジエンとでは異なるため、モノマ−転化率が悪く効率がよくないという問題点があった。また、α,ω−ジエンを用いた場合には、共重合体中にゲルが生じ、これが最終製品での物性に悪影響を及ぼす場合があった。
【0004】
さらに、これらの明細書で開示されている高級α−オレフィン系共重合体の製造方法では、三塩化チタン系触媒や四塩化チタンと有機アルミニウムとからなる触媒を用いるため、触媒活性が十分に高くなく製造コストが高くなるという不利益があった。
【0005】
本発明者らは、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性に優れるとともに、加工性、SBR等の芳香環含有ポリマーとの相溶性および共加硫性にも優れた重合体を得るべく鋭意検討した結果、α−オレフィン、特定の芳香環含有ビニルモノマーおよび特定の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物から導かれる構成単位を有し、かつ不飽和炭化水素結合を有する不飽和性エチレン共重合体は、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性に優れるとともに、加工性、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポリマーとの相溶性および共加硫性にも優れ、各種ゴム製品、樹脂改質剤などの用途に利用できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性に優れるとともに、加工性、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポリマーとの相溶性および共加硫性にも優れ、各種ゴム製品、樹脂改質剤などの用途に利用できる不飽和オレフィン系共重合体およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、
[A](i) 炭素数2〜20のα−オレフィンと、
(ii)下記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと、
(iii) 下記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物と、
のランダム共重合体であり、
[B](i) 炭素数2〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位が30〜99.8モル%であり、
(ii)下記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーから誘導される構成単位が0.1〜60モル%であり、
(iii)下記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物から誘導される構成単位が0.1〜10モル%であり、
[C]135℃、デカリン(デカヒドロナフタレン/デュポン社)中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gであることを特徴としている。
【0008】
但し、合計は100モル%とする。以下同様である。
式(ii−a):
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、nは0〜5の整数であり、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表わす。)
式[I]:
【0011】
【化5】
【0012】
[式[I]中、nは1〜5の整数であり、R1は炭素数1〜5のアルキル基であり、R2およびR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]
【0013】
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体の製造方法は、
(i) 炭素数2〜20のα−オレフィンと、
(ii)上記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと、
(iii) 上記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とを、
遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および/またはイオン化イオン性化合物とから形成される触媒の存在下に共重合させて、
上記の不飽和性オレフィン系共重合体を得ることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、
[A](i) 炭素数2〜20のα−オレフィンと、
(ii)上記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと、
(iii)上記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物、および下記式[I−a]で表わされる少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物が上記化合物[I]に比して少量、好ましくは[I]+[I−a]の合計100モル%中に、該化合物[I−a]が50モル%未満、さらに好ましくは40モル%以下、特に好ましくは35モル%以下の量で含まれたランダム共重合体であってもよい。
【0015】
このような共重合体では、
[B](i) 炭素数2〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位が30〜99.8モル%であり、
(ii)上記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーから誘導される構成単位が0.1〜60モル%であり、
(iii)上記式[I]で表される鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物から誘導される構成単位[II]と、該鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]に比して少量の下記式[I−a]で表される鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物から誘導される構成単位[II−a]とが、合計で、0.1〜10モル%であり、
[C]135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gであることが好ましい。
【0016】
このような不飽和性オレフィン系共重合体では、上記構成単位[II]と上記構成単位[II−a]は、構成単位[II]と[II−a]との合計100モル%中に、該構成単位[II−a]が50モル%未満、さらに好ましくは40モル%以下、特に好ましくは35モル%以下の量で共重合されていることが望ましい。
【0017】
【化6】
【0018】
[式[I−a]中、n、R1、R2およびR3はそれぞれ式[I]の場合と同様である。]
このような共重合体は、
(i) 炭素数2〜20のα−オレフィンと、
(ii)上記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと、
(iii) 上記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物、および上記式[I−a]で表わされる少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とを、遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および/またはイオン化イオン性化合物とから形成される触媒の存在下に共重合させて得ることが好ましい。
【0019】
本発明に係るゴム組成物は、上記記載の不飽和性オレフィン系共重合体と、
下記(a)、(b)、(c)の内の少なくとも1種以上の成分と、
を含むことを特徴している。
(a)該不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して300重量部以下の 量の補強剤、
(b)該不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して200重量部以下の 量の軟化剤、
(c)加硫剤。
【0020】
上記のような本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性に優れるとともに、加工性、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポリマーとの相溶性および共加硫性にも優れ、各種ゴム製品、樹脂改質剤などの用途に利用できる。
【0021】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体およびその製造方法について具体的に説明する。
【0022】
[不飽和性オレフィン系共重合体]
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、
[A](i) 炭素数2〜20のα−オレフィンと、
(ii)下記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと、
(iii) 下記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物(および必要により、下記式[I−a]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物)と、
のランダム共重合体である。
【0023】
[α − オレフィン (i) ]
このような(i) 炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブ テン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4− メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4− エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが用いられる。これらのα−オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0024】
[芳香族環含有ビニルモノマー (ii) ]
また、(ii)芳香環含有ビニルモノマーとして具体的には、下記式(ii−a)で表される芳香環含有ビニルモノマーが用いられる。
【0025】
【化7】
【0026】
式(ii−a)中、nは0〜5の整数であり、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表わす。
上記のような芳香環含有ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、アリルベンゼン、4−フェニルブテン−1、3−フェニルブテン−1、4−(4−メチルフェニル)ブテン−1、4−(3−メチルフェニル)ブテン−1、4−(2−メチルフェニル)ブテン−1、4−(4−エチルフェニル)ブテン−1、4−(4−ブチルフェニル)ブテン−1、5−フェニルペンテン−1、4−フェニルペンテン−1、3−フェニルペンテン−1、5−(4−メチルフェニル)ペンテン−1、4−(2−メチルフェニル)ペンテン−1、3−(4−メチルフェニル)ペンテン−1、6−フェニルヘキセン−1、5−フェニルヘキセン−1、4−フェニルヘキセン−1、3−フェニルヘキセン−1、6−(4−メチルフェニル)ヘキセン−1、5−(2−メチルフェニル)ヘキセン−1、4−(4−メチルフェニル)ヘキセン−1、3−(2−メチルフェニル)ヘキセン−1、7−フェニルヘプテン−1、6−フェニルヘプテン−1、5−フェニルヘプテン−1、4−フェニルヘプテン−1、8−フェニルオクテン−1、7−フェニルオクテン−1、6−フェニルオクテン−1、5−フェニルオクテン−1、4−フェニルオクテン−1、3−フェニルオクテン−1、10−フェニルデセン−1などが挙げられる。
【0027】
本発明においては、上記のような芳香環含有ビニルモノマーを単独で用いてもよく、また2種以上の混合物として用いてもよい。上記の芳香環含有ビニルモノマーのうち、スチレン、アリルベンゼン、4−フェニルブテン−1が好ましく、特に、スチレン、4−フェニルブテン−1が好ましく用いられる。
【0028】
[鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物 (iii) ]
本発明においては、上記[A](iii)の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物(非共役ポリエン(iii))は、上述したように下記一般式[I]で表される。
【0029】
【化8】
【0030】
式[I]中、nは1〜5の整数であり、R1は炭素数1〜5のアルキル基であり、R2およびR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。なお、数字1〜7およびn+3等は、炭素番号(置換基位置)を示す。
【0031】
炭素数1〜5のアルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基などが挙げられる。
【0032】
このような式[I]で表わされる鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物(以下、鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]ともいう)としては、具体的に下記(1)〜(24)に例示するような化合物が挙げられ、好ましくは、(5)、(6)、(9)、(11)、(14)、(19)、(20)が用いられる。
(1):5−(2−エチリデン−4−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、
(2):5−(2−エチリデン−5−メチル−4−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、
(3):5−(2−エチリデン−5−メチル−4−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、
(4):5−(2−エチリデン−5−エチル−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、
(5):5−(2−エチリデン−4,5−ジメチル−4−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、
(6):5−(2−エチリデン−4,5−ジメチル−4−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、
(7):5−(2−エチリデン−4−オクテニル)−2−ノルボルネン、
(8):5−(2−エチリデン−5−メチル−4−オクテニル)−2−ノルボルネン、
(9):5−(2−エチリデン−4−プロピル−5−メチル−4−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、
(10):5−(2−エチリデン−5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、
(11):5−(2−エチリデン−6−メチル−5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、
(12):5−(2−エチリデン−6−ノネニル)−2−ノルボルネン、
(13):5−(2−エチリデン−6−メチル−5−ノネニル)−2−ノルボルネン、
(14):5−(2−エチリデン−5,6−ジメチル−5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、
(15):5−(2−エチリデン−5,6−ジメチル−5−オクテニル)−2−ノルボルネン、
(16):5−(2−エチリデン−5,6−ジメチル−5−ノネニル)−2−ノルボルネン、
(17):5−(2−エチリデン−5−エチル−6−メチル−5−ノネニル)−2−ノルボルネン、
(18):5−(2−エチリデン−5,6−ジエチル−5−オクテニル)−2−ノルボルネン、
(19):5−(2−エチリデン−7−メチル−6−オクテニル)−2−ノルボルネン、
(20):5−(2−エチリデン−6,7−ジメチル−6−オクテニル)−2−ノルボルネン、
(21):5−(2−エチリデン−8−メチル−7−ノネニル)−2−ノルボルネン、
(22):5−(2−エチリデン−7,8−ジメチル−7−ノネニル)−2−ノルボルネン、
(23):5−(2−エチリデン−9−メチル−8−デセニル)−2−ノルボルネン、
(24):5−(2−エチリデン−8,9−ジメチル−8−デセニル)−2−ノルボルネンなど。
【0033】
上記化合物(1)〜(24)の化学式をまとめて以下に示す。
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
このような鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]は、後述する不飽和オレフィン系共重合体の製造用モノマーとして、(i)炭素数3〜20のα−オレフィン、(ii)式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと共に用いられるが、その際には、該鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]は、立体異性体の内の1種例えばトランス体単独またはシス体単独であってもよく立体異性体混合物、例えばトランス体およびシス体の混合物であってもよい。
【0038】
このような鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]を用いてなる不飽和オレフィン系共重合体では、後述するように、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性に優れるとともに、加工性、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポリマーとの相溶性および共加硫性にも優れ、各種ゴム製品、樹脂改質剤などの用途に利用できる
次に、このような新規の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]の製造方法について、具体的に説明する。
【0039】
[鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[ I ]の製造]
以下に、この鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I](および[I−a])の製造方法について詳説する。
【0040】
鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]は、下記のようにして製造される。
【0041】
【化12】
【0042】
すなわち、上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]は、本願出願人が先に提案した特願平6−154952号明細書(平成6年(1994)7月6日出願)に記載されているように、まず、エチレンと式[III−a]:
【0043】
【化13】
【0044】
(式[III−a]中、nは1〜5の整数であり、R1 は炭素数1〜5のアルキル基であり、R2 およびR3 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。)
で表わされる共役ジエン化合物[III−a]とを、遷移金属化合物および有機アルミウニウム化合物からなる触媒の存在下に反応させることにより、
式[III]:
【0045】
【化14】
【0046】
(式[III]中、n、R1 、R2 およびR3 は上記[III−a]の場合と同様のものを示す。)
で表わされる分岐鎖状ポリエン化合物[III]を合成し、
次いで、特願平6ー322099号明細書(平成6年12月26日出願)に記載されているように、この分岐鎖状ポリエン化合物[III]とシクロペンタジエンとを反応(ディールス・アルダー反応)させることにより、上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]が得られる。
【0047】
以下、この鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]の上記製造工程に沿ってさらに詳細に順次説明する。
[分岐鎖状ポリエン化合物[ III ]の製造]
上記分岐鎖状ポリエン化合物[III]は、上記式[III−a]で示される共役ジエンを有する化合物(以下共役ジエン化合物[III−a]ともいう)と、エチレンとを反応させることにより製造することができる。
【0048】
上記式[III−a]中で、炭素数1〜5のアルキル基としては、前述したようなものが挙げられる。
このような式[III−a]で示される共役ジエン化合物としては、具体的にたとえば、下記(1)〜(24)に例示するような化合物が挙げられる。
(1):3−メチレン−1,5−ヘプタジエン、
(2):6−メチル−3−メチレン−1,5−ヘプタジエン、
(3):6−メチル−3−メチレン−1,5−オクタジエン、
(4):6−エチル−3−メチレン−1,5−オクタジエン、
(5):5,6−ジメチル−3−メチレン−1,5−ヘプタジエン、
(6):5,6−ジメチル−3−メチレン−1,5−オクタジエン、
(7):3−メチレン−1,5−ノナジエン、
(8):6−メチル−3−メチレン−1,5−ノナジエン、
(9):6−メチル−5−プロピル−3−メチレン−1,5−ヘプタジエン、
(10):3−メチレン−1,6−オクタジエン、
(11):7−メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン、
(12):3−メチレン−1,6−デカジエン、
(13):7−メチル−3−メチレン−1,6−デカジエン、
(14):6,7−ジメチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン、
(15):6,7−ジメチル−3−メチレン−1,6−ノナジエン、
(16):6,7−ジメチル−3−メチレン−1,6−デカジエン、
(17):7−メチル−6−エチル−3−メチレン−1,6−デカジエン、
(18):6,7−ジエチル−3−メチレン−1,6−ノナジエン、
(19):8−メチル−3−メチレン−1,7−ノナジエン、
(20):7,8−ジメチル−3−メチレン−1,7−ノナジエン、
(21):9−メチル−3−メチレン−1,8−デカジエン、
(22):8,9−ジメチル−3−メチレン−1,8−デカジエン、
(23):10−メチル−3−メチレン−1,9−ウンデカジエン、
(24):9,10−ジメチル−3−メチレン−1,9−ウンデカジエン。
【0049】
上記反応によると、分岐鎖状ポリエン化合物[III]は、通常、トランス体とシス体との混合物として得られる。分岐鎖状ポリエン化合物[III]の構造によっては、蒸留によってトランス体とシス体とを分離することができる。
【0050】
また上記反応によれば、分岐鎖状ポリエン化合物[III]とともに一般式[III−b]で示される下記のような鎖状ポリエン化合物も副生することがある。
【0051】
【化15】
【0052】
このような副生物としては、具体的には、例えば、7−メチル−3−メチレン−1,6ーオクタジエン(β−ミルセン)とエチレンとの反応により、EMN(4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン)を合成する際に副生する5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンが挙げられる。
【0053】
このような副生物は、通常、蒸留によって分離することができる。
上記のような共役ジエン化合物[III−a]とエチレンとの反応は、共役ジエン化合物[III−a]の種類によっても異なるが、通常50〜200℃好ましく70〜150℃の温度で、エチレン圧1〜100kg/cm2 好ましくは10〜70kg/cm2 の圧力下に、0.5〜30時間行われる。
【0054】
反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。また溶媒を使用しないで反応を行なうことができるが、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、トルエン、キシレンなどの不活性な炭化水素系溶媒の共存下に反応を行なうこともできる。
【0055】
この反応は、通常触媒の存在下に行なわれる。特に反応を、遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下に行なうと、分岐鎖状ポリエン化合物[III]が効率よく得られる。
【0056】
このような遷移金属化合物としては、具体的に、鉄、ルテニウムなどの鉄族、コバルト、ロジウム、イリジウムなどのコバルト族、ニッケル、パラジウムなどのニッケル族から選ばれる遷移金属の塩化物、臭化物、アセチルアセトナート塩、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナート塩、ジピバロイルメタン塩などが挙げられる。これらのうち、コバルト、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウムの塩化物が好ましく、特にコバルト化合物の塩化物が好ましい。
【0057】
このような遷移金属化合物(たとえば遷移金属塩化物)は、そのままでも反応に用いることができるが、この遷移金属化合物に有機配位子が配位した遷移金属錯体として用いることが好ましい。すなわちこの遷移金属化合物とともに遷移金属の配位子となりうる有機化合物(配位化合物)を反応系に共存させるか、あるいは予め遷移金属化合物と上記のような配位化合物とから遷移金属錯体を形成して使用するのが好ましい。
【0058】
このような配位子となりうる化合物としては、たとえば、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、シクロオクタジエン、シクロオクタテトラエンなどが挙げられる。
【0059】
また予め遷移金属化合物に有機配位子が配位された錯体としては、
[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]コバルト(II)クロリド、
[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)クロリド、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)クロリドなどが好ましく用いられる。
【0060】
また有機アルミニウム化合物としては、後述する不飽和性オレフィン系共重合体の製造時に用いられるようなものを挙げることができ、トリエチルアルミニウムが好ましく用いられる。有機アルミニウム化合物は、そのまま用いてもよく、またトルエン溶液あるいはヘキサン溶液にして用いることもできる。
【0061】
上記の共役ジエン化合物[III−a]とエチレンとの反応においては、遷移金属化合物は、共役ジエン化合物[III−a]に対して、好ましくは0.001〜10モル%の量で、特に好ましくは0.01〜1モル%の量で用いられる。また配位化合物は、遷移金属化合物に対して、0〜20モル倍の量で用いられることが好ましく、特に0.1〜5モル倍の量で用いられることが好ましい。
【0062】
有機アルミニウム化合物は、遷移金属化合物に対して、1〜200モル倍の量で用いられることが好ましく、特に3〜100モル倍の量で用いられることが好ましい。
【0063】
本発明では、上記のような遷移金属化合物(または遷移金属錯体)と有機アルミニウム化合物とを予め接触させた後に、上記反応(共役ジエン化合物[III−a]とエチレンとの反応)用の触媒として用いることが好ましい。
【0064】
上記のような共役ジエン化合物[III−a]とエチレンとの反応によれば、下記のような分岐鎖状ポリエン化合物[III]:
【0065】
【化16】
【0066】
(式[III]中、n、R1、R2およびR3は前記式[III−a]の場合と同じ意味である。)
が得られる。
【0067】
このような分岐鎖状ポリエン化合物[III]としては、具体的に下記(1)〜(24)に例示するような化合物が挙げられ、好ましくは、(5)、(6)、(9)、(11)、(14)、(19)、(20)が用いられる。
(1):4−エチリデン−1,6−オクタジエン、
(2):7−メチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、
(3):7−メチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、
(4):7−エチル−−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、
(5):6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、
(6):6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、
(7):4−エチリデン−1,6−デカジエン、
(8):7−メチル−4−エチリデン−1,6−デカジエン、
(9):7−メチル−6−プロピル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、
(10):4−エチリデン−1,7−ノナジエン、
(11):8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン(EMN)、
(12):4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、
(13):8−メチル−4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、
(14):7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、
(15):7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−デカジエン、
(16):7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、
(17):8−メチル−7−エチル−4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、
(18):7,8−ジエチル−4−エチリデン−1,7−デカジエン、
(19):9−メチル−4−エチリデン−1,8−デカジエン、
(20):8,9−ジメチル−4−エチリデン−1,8−デカジエン、
(21):10−メチル−4−エチリデン−1,9−ウンデカジエン、
(22):9,10−ジメチル−4−エチリデン−1,9−ウンデカジエン、
(23):11−メチル−4−エチリデン−1,10−ドデカジエン、
(24):10,11−ジメチル−4−エチリデン−1,10−ドデカジエン。
【0068】
上記化合物(1)〜(24)の化学式をまとめて以下に示す。
【0069】
【化17】
【0070】
【化18】
【0071】
【化19】
【0072】
【化20】
【0073】
これら分岐鎖状ポリエン化合物[III]は、鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]の調製の際に、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。上記した分岐鎖状ポリエン化合物[III]は、トランス体およびシス体の混合物であってもよく、トランス体単独またはシス体単独であってもよい。
【0074】
[鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[ I ]の製造]
本発明では、次いで、上記にようにして得られた分岐鎖状ポリエン化合物(「非共役トリエン化合物」とも言う)
[III]:
【0075】
【化21】
【0076】
(式[III]中、n、R1、R2およびR3は前記と同じ意味である。)
と、シクロペンタジエンとを反応(ディールス・アルダー反応)させることにより、鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]:
【0077】
【化22】
【0078】
(式[I]中、nは1〜5の整数を示し、R1は、炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
が得られる。
【0079】
上記一般式[I]において、R1、R2又はR3が、炭素数1〜5のアルキル基であるとき、このようなアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基等を挙げることができる。
【0080】
上記反応において用いられる分岐鎖状ポリエン化合物[III]の内では、R1及びR2は、炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基であり、R3は、水素であることが望ましい。
【0081】
シクロペンタジエンは、通常、その二量体であるジシクロペンタジエンを160℃以上で熱分解蒸留することによって得られるので、本発明においては、シクロペンタジエンと分岐鎖状ポリエン化合物[III]との反応において、採用される反応温度によっては、シクロペンタジエンに代えてジシクロペンタジエンを用い、このジシクロペンタジエンを反応系内で熱分解させてシクロペンタジエンを発生させ、このシクロペンタジエンを上記分岐鎖状ポリエン化合物[III]との反応に用いてもよい。
【0082】
このようなシクロペンタジエンと上記分岐鎖状ポリエン化合物[III]との反応は、用いられる分岐鎖状ポリエン化合物[III]によっても異なるが、好ましくは、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、分岐鎖状ポリエン化合物[III]1重量部に対して、シクロペンタジエン0.2〜4重量部、好ましくは0.5〜3重量部を、50〜250℃好ましくは100〜200℃の範囲の温度にて、1〜100kg/cm2好ましくは5〜70kg/cm2の圧力下に、0.5〜30時間程度、加熱攪拌することによって行われる。
【0083】
反応は、必要に応じて、ハイドロキノン等のラジカル重合禁止剤の存在下に行ってもよい。
シクロペンタジエンと分岐鎖状ポリエン化合物[III]との反応において、反応溶媒は、特に用いる必要はないが、用いてもよい。
【0084】
反応溶媒を用いる場合には、反応溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒を用いることができる。また、反応溶媒として、水も用いることができる。
【0085】
このようにして得られる鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]は、前記式[I]で示され、またこのような鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]としては、前述したようなものが例示できる。
【0086】
このようにして得られる鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]は、通常、立体異性構造(ノルボルネン骨格に対する鎖状ポリエンの結合の仕方に基づくエンド体およびエキソ体並びに鎖状ポリエンの二重結合の置換の仕方に基づくトランス体及びシス体)を有する。
【0087】
このような鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]の構造は、質量分析、赤外線吸収スペクトル、プロトンNMRスペクトル等を測定することによって決定することができる。
【0088】
本発明発明においては、このような鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]を、後述するような不飽和オレフィン系共重合体、並びに該不飽和オレフィン系共重合体を含有するゴム組成物の製造に用いる場合は、上記立体異性構造を有する前述したような種々のノルボルネン化合物の混合物であってもよく、また、いずれか1種の立体異性体単独であってもよい。
【0089】
なお、上記の反応によれば、鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]は、通常、エンド体とエキソ体との混合物として得られ、場合によっては、蒸留によって分離することができる。
【0090】
なお、鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]の調製の際に用いられるポリエン化合物原料に、上記分岐鎖状ポリエン化合物[III]以外に、この分岐鎖状ポリエン化合物[III]の合成過程で生じた副生物[III−b]:
【0091】
【化23】
【0092】
が含有されていると、この副生物[III−b]とシクロペンタジエンとの反応により、鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I−a]:
【0093】
【化24】
【0094】
(式[I−a]中、R1,R2,R3,nは、式[I]の場合と同様である。)が副生してくる。
後述するように、本発明に係る不飽和オレフィン系共重合体の製造に際しては、このような鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]とともに少量の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I−a]が含まれた鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物含有物(化合物[I]と[I−a]との混合物)を用いることもできる。
【0095】
このように、上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]に加えて、副生物の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I−a]をも含有するもの([I]と[I−a]との混合物)を、
後述するような、(i)炭素数2〜20のα−オレフィンと、(ii)上記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香族環含有ビニルモノマーと、(iii)上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物との反応の際に、この(iii)鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物として用いると、
得られる不飽和性オレフィン系共重合体には、鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物由来の構成単位として、上記ノルボルネン化合物[I]由来の下記に示す構成単位[II]に加えて、ノルボルネン化合物[I−a]由来の構成単位[II−a]が含まれたものが得られる。
【0096】
[II]:
【0097】
【化25】
【0098】
[式[II]中、nは1〜5の整数であり、R1は炭素数1〜5のアルキル基であり、R2およびR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]
[II−a]:
【0099】
【化26】
【0100】
(式[II−a]中、n、R1、R2およびR3はそれぞれ前記[II]の場合と同様である。)
例えば、上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物として、[I]:EMHN{:5−(2−エチリデン−6−メチル−5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン}の他に、少量の副生成物[I−a]:(5−[3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル]−2−ノルボルネン)を含有する「EMHN含有物」を用いると、EMHN由来の構成単位[II’]:
【0101】
【化27】
【0102】
に加えて、上記副生物[I−a]由来の構成単位[II−a’]:
【0103】
【化28】
【0104】
が前述したような量(少量)で含まれたものが得られる。
なお鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I](あるいは[I−a])から誘導される構成単位が上記各構造を有していることは、その共重合体の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0105】
なお、前記式[I−a]で表わされる鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物自体は、特願平7−75288号明細書(平成7年(1995)3月31日出願)に記載の方法で得ることもできる。
【0106】
すなわち、シクロペンタジエンと、一般式(a):
【0107】
【化29】
【0108】
[式(a)中、m,nはそれぞれ独立して1〜5の整数を示し、R1,R2,R3並びにRa,Rbは、それぞれ上記式[I]の場合と同様に、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。但し、R1,R2,R3は、同時に水素であることはない。)
で表わされる鎖状非共役トリエン化合物とを反応させることにより、下記式(b):
【0109】
【化30】
【0110】
[式(b)中、m,n,R1,R2,R3,Ra,Rbは、式(a)の場合と同様のものを示す。]
で表わされる鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物を得ることもできる。
【0111】
なお、本明細書中においては、特にその趣旨に反しない限り、単に、「鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物」と言うときは、鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]および鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I−a]の両者を含む意味で用い、また、
「鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物から誘導される構成単位」と言うときは、鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]から誘導される構成単位[II]および鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I−a]から誘導される構成単位[II−a]の両者を含む意味で用いる。
【0112】
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、上記のような(i) α−オレフィン、(ii)芳香環含有ビニルモノマーおよび(iii)鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物の単量体から誘導される構成単位が、それぞれランダムに配列して結合し、(iii)鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物に起因する分岐構造を有するとともに、主鎖は、実質的に線状構造となっている。この共重合体が実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、該共重合体が有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、該共重合体が135℃、デカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0113】
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、
上記(i)炭素数2〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を、30〜99.8モル%、好ましくは40〜98.0モル%、さらに好ましくは50〜95.0モル%の量で、
(ii)芳香環含有ビニルモノマーから誘導される構成単位を、0.1〜60モル%、好ましくは1〜50モル%、さらに好ましくは2〜40モル%の量で、
また(iii)鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物から誘導される構成単位を0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜7モル%、さらに好ましくは0.3〜5モル%の量で含有している。但し、合計は100モル%とする。以下同様。
【0114】
(i)α−オレフィン単位が30モル%未満では、低温特性の向上が不充分となる傾向があり、99.8モル%を超えると芳香族ポリマーとの相溶性の向上に乏しくなる傾向がある。
【0115】
(ii)芳香族環含有ビニルモノマー単位が0.1モル%未満では芳香族ポリマーとの相溶性の向上に乏しくなる傾向があり、60モル%を超えると低温特性の向上が不充分となる傾向がある。
【0116】
(iii)鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物成分がこのような範囲にあると、得られるゴム組成物の加硫速度は向上し、しかも該ゴム組成物を加硫すると、特に優れた物性の加硫ゴム組成物が得られるので好ましい。
【0117】
特に本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体では、この(i)α−オレフィンから誘導される構成単位と(ii)芳香環含有ビニルモノマーから誘導される構成単位とは、モル比((i) α−オレフィン/(ii)芳香環含有ビニルモノマー)で、50/50〜98/2、好ましくは55/45〜96/4、さらに好ましくは60/40〜94/6の量で存在している。(i)成分と(ii)成分とがこのような範囲にあると、加硫物性に優れ、低温特性に優れた加硫ゴム組成物が得られる。
【0118】
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/g、好ましくは0.1〜7dl/g、さらに好ましくは0.2〜5dl/gである。
【0119】
この極限粘度[η]が0.05dl/g未満では、機械的強度に劣る傾向があり、10dl/gを超えると成形性が低下する傾向がある。
【0120】
上記のような本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れるとともに加硫速度が速い。
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、未加硫のまま用いられてもよく、また後述するような加硫方法により加硫して加硫状態で用いられてもよいが、加硫状態で用いられるとその特性が一層発揮される。
【0121】
このような不飽和性オレフィン系共重合体は、樹脂改質剤として、また各種ゴム製品として特に好ましく用いられる。
具体的には、本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体を樹脂改質剤として、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリスチレンなどに添加すると、その耐衝撃性、耐ストレスクラック性が飛躍的に向上する。
【0122】
また本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、単独で加硫されて用いられてもよく、また他のゴム材料と共加硫されて用いられてもよい。
この不飽和性オレフィン系共重合体は、加硫速度が速いため加硫剤を多量に用いなくても従来の不飽和性オレフィン系共重合体に比べて短い時間であるいは低温で加硫することができ、加硫ゴムを生産性よく製造することができる。
【0123】
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、特に、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系ゴムとの共加硫性に優れており、不飽和性オレフィン系共重合体とジエン系ゴムとの共加硫物は、ジエン系ゴムが本来有する優れた機械的特性、耐摩耗性、耐動的疲労性、耐油性を有するとともに耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性などにも優れている。
【0124】
具体的には、たとえば本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体と天然ゴムとの共加硫物は、強度、耐候性、耐オゾン性および動的特性に優れている。
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体とニトリルゴムとの共加硫物は、耐候性、耐オゾン性および耐油性に優れている。
【0125】
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体とブタジエンゴムとの共加硫物は、耐候性、耐オゾン性および耐摩耗性に優れている。
[不飽和性オレフィン系共重合体の製造]
上記のような本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、(i) α−オレフィンと、(ii)芳香環含有ビニルモノマーと、(iii) 上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とを、触媒の存在下に共重合させて得られる。
【0126】
このような触媒としては、[a]バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)などの遷移金属化合物(イ)と、
[b]有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)および/またはイオン化イオン性化合物(ロ)と、
からなる触媒などが使用できる。
【0127】
具体的には、
[a−1]固体状チタン触媒成分と、[b‐1]有機アルミニウム化合物とからな るチタン系触媒、
[a‐2]可溶性バナジウム化合物と、[b‐1]有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒、あるいは
[a‐3]周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、[b‐2]有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなるメタロセン系触媒、
が特に好ましく用いられる。
【0128】
本発明で用いられる固体チタン触媒成分[a‐1]は、下記のようなマグネシ ウム化合物、チタン化合物、および電子供与体を接触させることにより調製される。
【0129】
本発明において、固体チタン触媒成分[a‐1]の調製に用いられるチタン化合物としては、たとえばTi(OR)gX4−g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、0≦g≦4)で示される4価のチタン化合物を挙げることができる。
【0130】
これらの中で、ハロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタンが好ましい。中でも、四塩化チタンが特に好ましく用いられる。
また、本発明では、3価のチタン化合物、4価のチタン化合物が用いられるが、特に4価のチタン化合物が好ましい。
【0131】
本発明において、固体チタン触媒成分[a‐1]の調製に用いられるマグネシウム化合物としては、還元性を有するマグネシウム化合物および還元性を有しないマグネシウム化合物を挙げることができる。
【0132】
ここで還元性を有するマグネシウム化合物としては、たとえばマグネシウム・炭素結合あるいはマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物を挙げることができる。
【0133】
これら還元性を有しないマグネシウム化合物は、上述した還元性を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物であってもよい。
【0134】
なお本発明において、マグネシウム化合物は上記の還元性を有するマグネシウム化合物および還元性を有しないマグネシウム化合物の他に、上記のマグネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物あるいは他の金属化合物との混合物であってもよい。さらに上記の化合物を2種以上組み合わせた混合物であってもよい。
【0135】
本発明においては、これらの中でも、還元性を有しないマグネシウム化合物が好ましく、特に好ましくはハロゲン含有マグネシウム化合物であり、さらに、これらの中でも塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリロキシ塩化マグネシウムが好ましく用いられる。
【0136】
本発明において、固体チタン触媒成分[a‐1]の調製に用いられる電子供与体としては、有機カルボン酸エステル、多価カルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0137】
固体チタン触媒成分[a‐1]は、上記したようなマグネシウム化合物(もしくは金属マグネシウム)、電子供与体およびチタン化合物を接触させることにより製造することができる。固体チタン触媒成分[a‐1]を製造するには、マグネシウム化合物、チタン化合物、電子供与体から高活性チタン触媒成分を調製する公知の方法を採用することができる。なお、上記の成分は、たとえばケイ素、リン、アルミニウムなどの他の反応試剤の存在下に接触させてもよい。
【0138】
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物触媒成分[b‐1]としては、少なくとも分子内に1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用できる。このような化合物としては、たとえば、
(i)一般式(R1)mAl(O(R2))nHpXq
(式中、R1およびR2は炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互いに同一でも異なってもよい。Xはハロゲン原子を表わし、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q=3である)で表わされる有機アルミニウム化合物、
(ii)一般式(M1)Al(R1)4
(式中、M1はLi、Na、Kであり、R1は前記(i)におけるR1と同じ)で表わされる第I属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げることができる。
【0139】
また電子供与体として、下記のような一般式[II]で示される有機ケイ素化合物を用いることもできる。
Rn Si(OR’)4−n ・・・[1]
(式中、RおよびR’は炭化水素基であり、nは0<n<4を満たす数である。)
さらに電子供与体触媒成分として、下記のような一般式[2]で示される有機ケイ素化合物を用いることもできる。
【0140】
SiR1 R2 m (OR3 )3−m ・・・[2]
(式中、R1 はシクロペンチル基もしくはアルキル基を有するシクロペンチル基であり、R2 はアルキル基、シクロペンチル基およびアルキル基を有するシクロペンチル基からなる群より選ばれる基であり、R3 は炭化水素基であり、mは0≦m≦2を満たす数である。)
上記式[2]において、R1 はシクロペンチル基もしくはアルキル基を有するシクロペンチル基であり、シクロペンチル基以外には、たとえば、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、2−エチルシクロペンチル基、2,3−ジメチルシクロペンチル基などのアルキル基を有するシクロペンチル基を挙げることができる。
【0141】
本発明で用いられるチタン系触媒は、固体チタン触媒成分[a‐1]と、有機 アルミニウム化合物触媒成分[b‐1]と、必要に応じて電子供与体触媒成分と から形成されるが、これら触媒成分にはα−オレフィンが予備重合されていても よい。予備重合の際、オレフィン重合用触媒1g当り、0.1〜500g、好ましくは0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの量でα− オレフィンを予 備重合させる。
【0142】
予備重合は、不活性炭化水素媒体にオレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温和な条件下に行うことが好ましい。
予備重合で使用されるα− オレフィンは、後述する本重合で使用されるα− オレフィンと同一であっても、異なってもよい。
【0143】
本発明で用いられるバナジウム系触媒を形成する[a‐2]可溶性バナジウム化合物は、具体的には、下記一般式で表される。
VO(OR)aXb または V(OR)cXd
式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、a、b、c、dはそれぞれ0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4を満たす。
【0144】
また上記可溶性バナジウム化合物は、電子供与体を接触させて得られる、これらの可溶性バナジウム化合物の電子供与体付加物として用いることもできる。
バナジウム系触媒を形成する[b‐1]有機アルミニウム化合物は、チタン系 触媒を形成する[b‐1]有機アルミニウム化合物と同様のものを用いることが できる。
【0145】
次に本発明で用いられるメタロセン系触媒を形成する[a‐3]メタロセン化 合物と[b‐2]有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物 とからなる触媒について説明する。
【0146】
メタロセン系触媒を形成する[a‐3]周期律表第IVB族から選ばれる遷移金 属のメタロセン化合物は、具体的には、次式[V]で表される。
MLx …[V]
式[V]中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属であり、具体的にジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価である。
【0147】
Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0148】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえば、
シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、n−、i−、sec−、t−、ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基などのアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、さらに
インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
【0149】
これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
式[V]で示される化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0150】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3Ra)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、Raはアルキル基、ハロゲン原子で 置換されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
【0151】
炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、より具体的には、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、
フェニル基、トリル基などのアリール基、
ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基が挙げられる。
【0152】
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などが挙げられる。
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などが挙げられ、
スルホン酸含有基(−SO3Ra)としては、メタンスルホナト基、p−トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基、p−クロルベンゼンスルホナト基などが挙げられる。
【0153】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
上記式で表されるメタロセン化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記式[VI]で表される。
【0154】
R2 kR3 lR4 mR5 nM …[VI]
式[VI]中、Mは上記遷移金属であり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有 する基(配位子)であり、R3、R4およびR5は、それぞれ独立にシクロペンタ ジエニル骨格を有する基または上記一般式[V]中のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0155】
以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物を例示する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフ ルオロメタンスルホナト)、
ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0156】
上記の1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置換えた化合物を本発明で用いることもできる。
また上記式[VI]において、R2、R3、R4およびR5の少なくとも2個、例えばR2およびR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基はアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を例示することもできる。このときR4およびR5はそれぞれ独立に式[V]中で説明したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。
【0157】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0158】
さらに、下記式[A]で示される特開平4−268307号公報に記載のメタロセン化合物が挙げられる。
【0159】
【化31】
【0160】
[式[A]中、M1は周期律表の第IVB族の金属であり、具体的には、例えば 、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムを挙げることができる。
【0161】
R1およびR2は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリールオキシ基、炭素原子数2〜10好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜12のアルキルアリール基、炭素原子数8〜40好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、またはハロゲン原子好ましくは塩素原子である。
【0162】
R3およびR4は、互いに同じでも異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子好ましくは弗素原子、塩素原子または臭素原子、ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10好ましくは1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、−NR10 2、−SR10、−OSiR10 3、−SiR10 3 または−PR10 2基であり、その際R10はハロゲン原子好ましくは塩素原子、ま たは、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルキル基、または炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基である。
【0163】
R3およびR4は特に水素原子であることが好ましい。
R5およびR6は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じであり、R5およびR6は水素原子でないという条件のもとでR3およびR4について記載した意味を有する。R5およびR6は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基またはトリフルオロメチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0164】
R7は、下記:
【0165】
【化32】
【0166】
=BR11、=AlR11、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR11、=CO、=PR11または=P(O)R11であり、その際R11、R12およびR13は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、 炭素数1〜10好ましくは1〜4のアルキル基さらに好ましくはメチル基、炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基好ましくはCF3基、炭素原子数6〜10 好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10のフルオロアリール基好ましくはペンタフルオロフェニル基、炭素原子数1〜10好ましくは1〜4のアルコキシ基特に好ましくはメトキシ基、炭素原子数2〜10好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、または炭素原子数7〜40好ましくは7〜12のアルキルアリール基であり、また「R11とR12」または「R11とR13」とは、それぞれそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0167】
M2は珪素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくは珪素またはゲルマニウムであ る。
R7は、=CR11R12、=SiR11R12、=GeR11R12、−O−、−S−、 =SO、=PR11または=P(O)R11であることが好ましい。
【0168】
R8およびR9は互いに同じであっても異なっていてもよく、R11について記載したと同じ意味を有する。
mおよびnは互いに同じであっても異なっていてもよく、0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0169】
このような化合物の内でも、下記の化合物がある。
rac−エチレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライド、
rac−ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライド。
【0170】
このようなメタロセンの製造方法については、従来より公知の方法にて製造することができる(例:特開平4−268307号公報参照)。
本発明では、下記式[B]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0171】
【化33】
【0172】
式[B]中、Mは周期律表第IVB族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0173】
R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示し、具体的には、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素数1から20の炭化水素基;
前記炭化水素基にハロゲン原子が置換したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、
トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基、
などのケイ素含有基;
ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロ−キシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸素含有基;
前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などのイオウ含有基;
アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;
ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含有基である。
【0174】
これらのうちR1 は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またR2 は水素、炭化水素基が好ましく、特に水素あるいは、メチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0175】
R3 、R4 、R5 およびR6 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、このうち水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。
【0176】
また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR6 が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0177】
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基として、具体的には、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
R3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含む、Mに配位する配位子としては以下に示すようなものが挙げられる。
【0178】
【化34】
【0179】
本発明においては、また下記式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0180】
【化35】
【0181】
式[C]中、M、R1、R2、 R3 、R4 、R5 およびR6としては、前記式 [B]の場合と同様なものが挙げられる。
【0182】
R3 、R4 、R5 およびR6 のうち、R3 を含む2個の基が、アルキル基であることが好ましく、R3 とR5 、またはR3 とR6 がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。また、このアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R1 、R2 で例示した置換基が挙げられる。
【0183】
R3 、R4 、R5 およびR6 で示される基のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert− ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの直鎖状、分岐状アルキル基および環状アルキル基;
ベンジル、フェニルエチル、フエニルプロピル、トリルメチルなどのアリールアルキル基などが挙げられ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0184】
またR3 、R4 、R5 およびR6 から選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。
ハロゲン原子として、具体的には、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
【0185】
X1、X2、YおよびR7としては、前記式[B]の場合と同様のものが挙げら れる。
以下に上記式[C]で示されるメタロセン化合物(遷移金属化合物)の具体的な例を示す。
【0186】
rac−ジメチルシリレン−ビス(4,7−ジメチル−1− インデニル)ジルコニウムジク ロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,7−トリメチル−1− インデニル)ジルコニウム ジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,6−トリメチル−1− インデニル)ジルコニウム ジクロリド。
【0187】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
上記遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0188】
本発明では、また式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)として、他の態様には下記のものがある。
R1としては、炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロ ピル、ブチルの炭素数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。
【0189】
また、X1、X2としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
R3 は、炭素数6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル(ペリナフテニル)、アセアントリレニルなどである。これらのうちフェニル、ナフチルであることが好ましい。これらのアリール基は、前記R1 と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0190】
このような遷移金属化合物(メタロセン化合物)の具体的な例を示す。
rac−ジメチルシリレン−ビス(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジク ロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(α−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(β−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(1−アントラセニル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0191】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
また本発明では、下記式[E−1]で示されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0192】
LaMX2 ・・・・[E−1]
(Mは、周期率表第IV族またはランタニド系列の金属であり、
La は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、
Xは、それぞれ独立に水素、ハロゲンまたは20以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。)
このような式[E−1]で示される化合物のうちでも、具体的に、下記式[E−2]で示される化合物が好ましい。
【0193】
【化36】
【0194】
式[E−2]中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、上記と同様である。
【0195】
CpはMにπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。
Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期率表第IVA族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)であり、
Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、
ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0196】
このような式[E−2]で示される化合物としては、具体的に、
(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル) シラン)チタンジクロリド、
((t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル)チタンジクロリドなどが挙げられる。
【0197】
本発明では、上記のようなメタロセン化合物は、2種以上組合わせて用いることもできる。
上記説明においては、メタロセン化合物としてチタン化合物について例示したが、チタンを、ジルコニウムまたはハフニウムに置換えた化合物を例示することもできる。
【0198】
これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、上記メタロセン化合物[E−1]および[E−2]としては、中心の金属原子がジルコニウムであり、少なくとも2個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物が好ましく用いられる。なお前記のメタロセン化合物[VI]では、中心の金属原子がチタンであることが好ましい。
【0199】
これらメタロセン化合物は、炭化水素あるいはハロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
また上記のようなメタロセン化合物は、粒子状担体化合物と接触させて用いることもできる。
【0200】
担体化合物としては、Si O2、Al2O3、B2O3、MgO、ZrO2、CaO、 TiO2、ZnO、SnO2、BaO、ThOなどの無機担体化合物、ポリエチレン、 ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、スチレン−ジビニ ルベンゼン共重合体などの樹脂を用いることができる。これらの担体化合物は、二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0201】
次に本発明でメタロセン系触媒を形成する際に用いられる[b‐2]有機アルミ ニウムオキシ化合物およびイオン化イオン性化合物について説明する。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0202】
このような従来公知のアルミノオキサンは、具体的には、下記一般式で表される。
【0203】
【化37】
【0204】
(上記一般式(1)、(2)において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、とくに好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。)
ここで、このアルミノオキサンは式(OAl(R1))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R2))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位[ここで、R1およびR2はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R1およびR2は相異なる基を表わす]からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0205】
なお本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
イオン化イオン性化合物としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
【0206】
ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基 などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえば
トリフルオロボロン、
トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0207】
イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。
【0208】
具体的に、トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえば
トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、
トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0209】
ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえば
ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、
ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0210】
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0211】
さらに、ボラン化合物としては、下記のような化合物を挙げることもできる。
即ち、具体的には、ボラン化合物としては、デカボラン(14);
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0212】
また、カルボラン化合物としては、
4−カルバノナボラン(14)、
1,3−ジカルバノナボラン(13)、
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カル バウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0213】
上記のようなイオン化イオン性化合物は、2種以上組合わせて用いてもよい。
本発明においては、有機アルミニウムオキシ化合物または上記イオン化イオン性化合物は、上述した担体化合物に担持させて用いることもできる。
【0214】
また触媒[b]を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とともに前述した有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0215】
本発明では、上記のような触媒の存在下に(i) α−オレフィン、(ii)芳香環含有モノマーおよび(iii)上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物を、通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。
【0216】
(i) α−オレフィンと、(ii)芳香環含有モノマーおよび(iii)上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とは、バッチ法、あるいは連続法いずれの方法で共重合されてもよい。共重合をバッチ法で実施するに際しては、上記触媒は以下のような濃度で用いられる。
【0217】
本発明において、[a−1]固体状チタン触媒成分と、[b‐1]有機アルミニ ウム化合物とからなる触媒が用いられる場合には、
固体状チタン触媒成分は、重合容積1リットル当たり、チタン原子に換算して、通常約0.001〜約1.0ミリモル、好ましくは約0.005〜0.5ミリモの量で用いられる。また有機アルミニウム化合物触媒成分は、固体状チタン触媒成分中のチタン原子1モルに対し、有機アルミニウム化合物触媒成分中の金属原子は、通常約10〜500モル、好ましくは20〜200モルとなるような量で用いられる。さらに、電子供与体触媒成分は、必要により有機アルミニウム化合物触媒成分中の金属原子1モル当たり、通常は約0.001〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.05〜1モルとなるような量で用いられる。
【0218】
本発明において、[a−2]可溶性バナジウム化合物と[b−1]有機アルミニウム化合物とからなる触媒が用いられる場合には、
重合系内の可溶性バナジウム化合物の濃度は、通常、0.01〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.05〜3ミリモル/リットルである。この可溶性バナジウム化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。また有機アルミニウム化合物は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子のモル比(Al /V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。
【0219】
可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物は、通常、上述の炭化水素溶媒および/または液状のα−オレフィンおよび(iii)上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物で希釈されて供給される。この際、該可溶性バナジウム化合物は上述した濃度に希釈されることが望ましいが、有機アルミニウム化合物は重合系内における濃度のたとえば50倍以下の任意の濃度に調整して重合系内に供給されることが望ましい。
【0220】
また[a−3]メタロセン化合物と[b−2]有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物ともいう。)とからなる触媒[b]が用いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常、0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。また有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内の遷移金属であるメタロセン化合物に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0221】
イオン化イオン性化合物の場合は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0222】
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常、約0〜5ミリモル/リットル(重合度積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
【0223】
本発明において、(i) α−オレフィンと(ii)芳香環含有モノマーと(iii)上記 鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とを固体状チタン触媒成分と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下に共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜120℃、さらに好ましくは0℃〜100℃で、圧力が0を超えて〜80Kg/cm2 、好ましくは0を超えて〜50Kg/cm2 の条件下に行なわれる。
【0224】
本発明において、(i) α−オレフィンと(ii)芳香環含有モノマーと(iii)上記 鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とをバナジウム系触媒の存在下に共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−50℃〜100℃、好ましくは−30℃〜80℃、さらに好ましくは−20℃〜60℃で、圧力が0を超えて〜50Kg/cm2 、好ましくは0を超えて〜20Kg/cm2 の条件下に行われる。
【0225】
本発明において、(i) α−オレフィンと(ii)芳香環含有モノマーと(iii)上記 鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とを、メタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物と、からなる触媒の存在下に共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜120℃、さらに好ましくは0℃〜100℃で、圧力が0を超えて〜80Kg/cm2 、好ましくは0を超えて〜50Kg/cm2 の条件下に行なわれる。
【0226】
本発明では、(i) α−オレフィン、(ii)芳香環含有モノマーおよび(iii)上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物は、上述のような特定組成の不飽和性オレフィン系共重合体が得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0227】
上記のようにして(i) α−オレフィン、(ii)芳香環含有モノマーおよび(iii) 上記鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物を共重合させると、不飽和性オレフィン系共重合体は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、不飽和性オレフィン系共重合体が得られる。
【0228】
[不飽和性オレフィン系共重合体のグラフト変性物]
本発明に係る不飽和性オレフィン系共重合体は、該不飽和性オレフィン系共重合体に極性モノマーをグラフト重合させることにより、変性して用いることができる。
【0229】
本発明のグラフト変性された不飽和性オレフィン系共重合体(グラフト変性不飽和性オレフィン系共重合体ともいう)は、ラジカル開始剤の存在下あるいは不存在下に、上記のような不飽和性オレフィン系共重合体と、後述するような極性モノマーとを反応させることにより得ることができる。
【0230】
極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどが挙げられる。
【0231】
具体的には、水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピル( メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、 グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;10−ウンデセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、2−メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミド、2−(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセリンモノアルコールなどが挙 げられる。
【0232】
アミノ基含有エチレン性不飽和化合物は、エチレン性二重結合とアミノ基を有する化合物であり、このような化合物としては、次式で表わされるアミノ基または置換アミノ基を少なくとも1種類有するビニル系単量体を挙げることができる。
【0233】
【化38】
【0234】
式中、R1は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R2は、水素原子、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜8のシクロアルキル基である。なお上記のアルキル基、シクロアルキル基は、さらに置換基を有してもよい。
【0235】
このようなアミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的には、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類;N−ビニルジエチルアミンおよびN−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類;アリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、N,N−ジメチルアクリルアミン、およびN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミンなどのアリルアミン系誘導体;アクリルアミドおよびN−メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体;p−アミノスチレンなどのアミノスチレン類;6−アミノヘキシルコハク酸イミド、2−アミノエチルコハク酸イミドなどが用いられる。
【0236】
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物は、1分子中に重合可能な不飽和結合およびエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーであり、このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなど、
マレイン酸のモノおよびジグリシジルエステル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、クロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘ プト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノおよびジグリシジルエステルなどのジカルボン酸モノおよびジアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12)、p−スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどを例示することができる。
【0237】
芳香族ビニル化合物としては、下記式で表わされる化合物が挙げられる。
【0238】
【化39】
【0239】
上記式において、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を表わし、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基を挙げることができる。また、R3は炭素原子数1〜3の 炭化水素基またはハロゲン原子を表わし、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基並びに塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などを挙げることができる。また、nは通常は0〜5、好ましくは1〜5の整数を表す。
【0240】
このような芳香族ビニル化合物の具体的な例としては、スチレン、α−メチル スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−クロロスチレン、m−クロロスチレンおよびp−クロロメチルスチレンが挙げられる。複素環芳香族ビニル化合物も使用することができ、たとえば4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−イソプロペニルピリジン、2−ビニルキノリン、3−ビニルイソキノリン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどを挙げることができる。
【0241】
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジ カルボン酸などの不飽和カルボン酸、またはこれらの酸無水物あるいはこれらの誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)が挙げられる。具体的な化合物の例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン 酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘ プト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどを挙げることができる。これらの中では、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましい。
【0242】
ビニルエステル化合物の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどを挙げることができる。
【0243】
上記極性モノマーは、上記不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常は、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量部の量で使用される。
【0244】
ラジカル開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などを挙げることができる。
有機過酸化物の具体的な例としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチル パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5− ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート、ベン ゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドおよび2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイドなどを挙げることができる。また、アゾ化合物としてはアゾイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチロニトリルなどを挙げることができる。
【0245】
このようなラジカル開始剤は、上記不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、一般には、0.001〜10重量部の量で使用されることが望まし い。
【0246】
ラジカル開始剤は、そのまま不飽和性オレフィン系共重合体および極性モノマーと混合して使用することもできるが、このラジカル開始剤を少量の有機溶媒に溶解して使用することもできる。ここで使用される有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのようなの脂環族炭化水素系溶媒;クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレートなどのエステル系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒を挙げることができる。
【0247】
また本発明において、不飽和性オレフィン系共重合体をグラフト変性するに際して、還元性物質を用いてもよい。還元性物質は、得られるグラフト変性不飽和性オレフィン系共重合体におけるグラフト量を向上させる作用を有する。
【0248】
還元性物質としては、鉄(II)イオン、クロムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、パラジウムイオン、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンなどのほか、−SH、−SO3H、−NHNH2、−COCH(OH)−などの基を含む化合物が挙げられる。
【0249】
このような還元性物質としては、具体的には、塩化第一鉄、重クロム酸カリウム、塩化コバルト、ナフテン酸コバルト、塩化パラジウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、ヒドラジン、エチルメルカプタン、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0250】
上記の還元性物質は、上記の不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常は、0.001〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の量で使用される。
【0251】
不飽和性オレフィン系共重合体のグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、例えば不飽和性オレフィン系共重合体を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させ ることにより行われる。
【0252】
不飽和性オレフィン系共重合体をグラフト変性する際に用いられる有機溶媒は、不飽和性オレフィン系共重合体を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。
【0253】
このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
【0254】
また、押出機などを使用して、無溶媒で、不飽和性オレフィン系共重合体と極性モノマーとを反応させて、グラフト変性不飽和性オレフィン系共重合体を製造することができる。反応温度は、通常不飽和性オレフィン系共重合体の融点以上、具体的には120〜250℃の範囲である。このような温度条件下における反応時間は、通常0.5〜10分間である。
【0255】
このようにして調製されたグラフト変性不飽和性オレフィン系共重合体中における極性モノマーから誘導されるグラフト基のグラフト量は、通常は0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜30重量%の範囲内にある。
【0256】
このようにして得られた変性不飽和性オレフィン系共重合体は、金属および極性樹脂との接着性に優れる。また、該変性不飽和性オレフィン系共重合体を極性樹脂とブレンドすることにより、その耐衝撃性、低温耐衝撃性を改良することができる。
【0257】
また変性不飽和性オレフィン系共重合体を(変性オレフィン系ランダム共重合体)成型して得られた成形体では、その成形体表面への印刷性、塗装性に優れている。また、ポリオレフィンにガラス繊維、無機化合物などの充填剤と共に該変性不飽和性オレフィン系共重合体(変性オレフィン系ランダム共重合体)をブレンドすることにより、充填剤の分散性が改良された樹脂組成物を得ることができる。このようにすれば、充填剤を配合する場合の利点が保持され、しかも機械強度が向上した樹脂組成物を得ることができる。
[加硫可能なゴム組成物]
上記のような不飽和性オレフィン系共重合体を含有する本発明に係るゴム組成物は、加硫可能なゴム組成物であり(以下、加硫可能なゴム組成物ともいう)、未加硫のままでも用いることもできるが、加硫物として用いるとより一層優れた特性を発現することができる。
【0258】
本発明に係る加硫可能なゴム組成物は、加硫剤を使用して加熱する方法、あるいは加硫剤を用いずに電子線を照射する方法により加硫することができる。
本発明に係る加硫可能なゴム組成物は、不飽和性オレフィン系共重合体とともに目的に応じて他の成分を適宜含有することができるが、不飽和性オレフィン系共重合体を、全ゴム組成物中20重量%以上好ましくは25重量%以上の量で含有していることが望ましい。ゴム組成物中における不飽和性オレフィン系共重合体の含有量がこの範囲にある場合に、ゴム組成物としての良好な物性が発現する。
【0259】
また他の成分としては、たとえば補強剤、無機充填剤、軟化剤、酸化防止剤(安定剤)、加工助剤、さらには発泡剤、発泡助剤などの発泡系を構成する化合物、可塑剤、着色剤、他のゴム配合剤などの種々の薬剤などを挙げることができる。他の成分は、用途に応じてその種類、含有量が適宜選択されるが、これらのうちでも特に補強剤、無機充填剤、軟化剤などを用いることが好ましく、以下に、より具体的に示す。
【0260】
補強剤および無機充填剤
補強剤としては、具体的に、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MTなどのカーボンブラック、これらカーボンブラックをシランカップリング剤などで表面処理したもの、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸などが挙げられる。
【0261】
無機充填剤としては、具体的に、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。
本発明に係るゴム組成物は、補強剤および/または無機充填剤を、不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常300重量部以下、好ましくは10〜300重量部、さらに好ましくは10〜200重量部の量で含有することができる。
【0262】
このような量の補強剤を含有するゴム組成物からは、引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的性質が向上された加硫ゴムが得られる。
また無機充填剤を上記のような量で配合すると、加硫ゴムの他の物性を損なうことなく硬度を高くすることができ、またコストを引き下げることができる。
【0263】
軟化剤
軟化剤としては、従来ゴムに配合されている軟化剤が広く用られ、具体的に、
プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、
コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤、
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、
トール油、サブ、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類、
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸および脂肪酸塩、
石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂などの合成高分子物質などが用いられる。
【0264】
これらのうちでも石油系軟化剤が好ましく、特にプロセスオイルが好ましい。
本発明に係るゴム組成物は、上記のような軟化剤を、不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して通常200重量部以下、好ましくは10〜200重量部、さらに好ましくは10〜150重量部、特に好ましくは10〜100重量部の量で含有することができる。
【0265】
酸化防止剤
本発明に係るゴム組成物は、酸化防止剤を含有していると材料寿命を長くすることができて好ましい。この酸化防止剤としては、具体的に、
フェニルナフチルアミン、4,4’−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルア ミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどの芳香族第二アミン系安 定剤、
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのフェノール系安定剤、
ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィドなどのチオエーテル系安定剤、
2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのベンゾイミダゾール系安定剤、
ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系安定剤、
2,2,4−トリメチル−1,2− ジヒドロキノリンの重合物などのキノリン系安定剤などが挙げられる。これらは2種以上併用することもできる。
【0266】
このような酸化防止剤は、不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、5重量部以下好ましくは3重量部以下の量で適宜用いることができる。
加工助剤
加工助剤としては、一般的に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸などの酸、これら高級脂肪酸の塩たとえばステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはエステル類などが挙げられる。
【0267】
加工助剤は、不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、10重量部以下好ましくは5重量部以下の量で適宜用いることができる。
加硫剤
また本発明に係るゴム組成物を加熱により加硫する場合には、ゴム組成物中に通常加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤などの加硫系を構成する化合物を配合する。
【0268】
加硫剤としては、イオウ、イオウ系化合物および有機過酸化物などを用いることができる。
イオウの形態は特に限定されず、たとえば粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどを用いるこができる。
【0269】
イオウ系化合物としては、具体的には、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられる。
【0270】
また有機過酸化物としては、具体的には、
ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシン)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m− イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどのアルキルパーオキサイド類、
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレートなどのパーオキシエステル類、
ジシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類が挙げられる。これらは2種以上組合わせて用いてもよい。
【0271】
これらのうちでは、1分半減期温度が130℃〜200℃である有機過酸化物が好ましく、具体的にジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、 ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドなど が好ましい。
【0272】
本発明では、上記のような各種加硫剤のうちでも、イオウまたはイオウ系化合物、特にイオウを用いると優れた特性のゴム組成物を得ることができるため好ましい。
【0273】
加硫剤がイオウまたはイオウ系化合物であるときには、不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部好ましくは0.5〜5重量部の量で用いることができる。
【0274】
また加硫剤が有機過酸化物であるときには、不飽和性オレフィン系共重合体100グラムに対して、0.0003〜0.05モル好ましくは0.001〜0.03モルの量で用いることができる。
【0275】
加硫促進剤
また加硫剤としてイオウまたはイオウ化合物を用いる場合には、加硫促進剤を併用することが好ましい。
【0276】
加硫促進剤としては、具体的に、
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N−オキ シジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物、
2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾ ール、ジベンゾチアジルジスルフィドなどのチアゾール系化合物、
ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレートなどのグアニジン化合物、
アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物、
2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物、
チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリアなどのチオユリア系化合物、
テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)などのチウラム系化合物、
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n− ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系化合物、
ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのザンテート系化合物、
亜鉛華などが挙げられる。
【0277】
上記のような加硫促進剤は、不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部好ましくは0.2〜10重量部の量で用いることが望ましい。
【0278】
加硫助剤
また加硫剤として有機過酸化物を用いる場合には、加硫助剤を有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル好ましくはほぼ等モルの量で併用することが好ましい。
【0279】
加硫助剤としては、具体的には、イオウ、
p−キノンジオキシムなどのキノンジオキシム系化合物、および
特に多官能性モノマー、たとえばトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物、
ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、
m−フェニレンビスマレイミドなどのマレイミド系化合物、
ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0280】
発泡剤
本発明に係るゴム組成物は、発泡剤、発泡助剤などの発泡系を構成する化合物を含有する場合には、発泡成形することができる。
【0281】
発泡剤としては、一般的にゴムを発泡成形する際に用いられる発泡剤を広く使用することができ、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤、N,N’− ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレン テトラミンなどのニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物、カルシウムアジド、4,4−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホルニルアジドなどのアジド化合物が挙げられる。
【0282】
これらのうちでは、ニトロソ化合物、アゾ化合物、アジド化合物が好ましい。
発泡剤は、不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して、0.5〜3 0重量部好ましくは1〜20重量部の量で用いることができる。このような量で発泡剤を含有するゴム組成物からは、見かけ比重0.03〜0.8g/cm3 の発泡体を製造することができる。
【0283】
また発泡剤とともに発泡助剤を用いることもでき、発泡助剤を併用すると、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの効果がある。このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸などの有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
【0284】
発泡助剤は、不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して0.01〜 10重量部好ましくは0.1〜5重量部の量で用いることができる。
他のゴム
本発明に係るゴム組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の他のゴムを含んでいてもよい。
【0285】
このような他のゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などのイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン− ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル− ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などの共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
【0286】
さらに従来公知のエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムを用いることもでき、たとえばエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)、エチレン・α− オレフィン・ポリエン共重合体、例えばEPDMなどを用いることができる。
【0287】
本発明に係る加硫可能なゴム組成物は、不飽和性オレフィン系共重合体および上記のような他の成分から、一般的なゴム配合物の調製方法によって調製することができる。たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類を用いて、不飽和性オレフィン系共重合体および他の成分を、80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、必要に応じて加硫剤、加硫促進剤または加硫助剤などを加えて、オープンロールなどのロ−ル類あるいはニーダーを用いて、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして通常リボン状またはシート状のゴム組成物(配合ゴム)が得られる。上記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、加硫剤、加硫促進剤、発泡剤などを同時に混練することもできる。
【0288】
[加硫ゴム]
本発明に係るゴム組成物の加硫物(加硫ゴム)は、上記のような未加硫のゴム組成物を、通常、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機など種々の成形法よって所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱するか、あるいは電子線を照射することにより加硫して得ることができる。
【0289】
上記ゴム組成物を加熱により加硫する場合には、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽を用いて、150〜270℃の温度で1〜30分間加熱することが好ましい。
【0290】
また加硫剤を使用せずに電子線照射により加硫する場合は、予備成形されたゴム組成物に、0.1〜10MeV、好ましくは0.3〜2MeVのエネルギーを有する電子線を、吸収線量が0.5〜35Mrad、好ましくは0.5〜10Mradになるように照射すればよい。
【0291】
成形・加硫に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いないでもよい。
金型を用いない場合には、ゴム組成物は通常連続的に成形・加硫される。
上記のように成形・加硫された加硫ゴムは、ウェザーストリップ、ドアーグラスランチャンネル、窓枠、ラジエータホース、ブレーキ部品、ワイパーブレードなどの自動車工業部品、ゴムロール、ベルト、パッキン、ホースなどの工業用ゴム製品、アノ−ドキャップ、グロメットなどの電気絶縁材、建築用ガスケット、土木用シートなどの土木建材用品、ゴム引布などの用途に用いることができる。
【0292】
また発泡剤を含有するゴム配合物を加熱発泡させて得られる加硫発泡体は、断熱材、クッション材、シーリング材などの用途に用いることができる。
【0293】
【発明の効果】
本発明によれば、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性に優れるとともに、加工性、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポリマーとの相溶性および共加硫性にも優れ、各種ゴム製品、樹脂改質剤などの用途に利用できる不飽和性オレフィン系共重合体が得られる。
【0294】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定されるものではない。
【0295】
(1) なお、以下のポリマー製造の実施例では、例えば、EMHN{:5−(2−エチリデン−6−メチル−5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン}として、下記モノマー合成の実施例で得られるEMHN(真のEMHN)の他に、少量の副生成物(5−[3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル]−2−ノルボルネン)を含有する「EMHN含有物」を用いており、特にその趣旨に反しない限り、単に、EMHNなどというときは、真のEMHNと副生生物との混合物(EMHN含有物)を意味し、またエチレン・ノルボルネン・EMHN共重合体などと言うときは、このEMHN単位には、真のEMHN単位と副生成物由来の単位とが含まれているもの(EMHN含有単位)を意味する場合がある。
(2) 主成分のEMHN[I]由来の構成単位[II]と、副生成物[I−a]由来の構成単位[II−a]の割合は、以下の方法で求めた。
装置及び測定条件
[装置]NMR:日本電子(株)製,GSH−270型,FT−NMR
[主な装置条件]
1H測定
観測範囲:5400Hz(20ppm)
パルス幅:7.3μsec(45゜)
溶媒:ヘキサクロロブタジエン
ロック溶剤:重水素化ベンゼン
測定モード:プロトンノンデカップリング
測定温度:120℃
濃度:50mg/0.4cc
積算回数:1000〜3000回
[計算方法]
5.07〜5.17ppm領域の面積をS1とする。
【0296】
5.17〜5.35ppm領域の面積をS2とする。
主成分の化合物[I]由来の構成単位[II]と、副生成物[I−a]由来の構成単位[II−a]の割合(mol%)は次式より求まる。
【0297】
[II]:[S2×2/(S1+S2)]×100
[II−a]:[(S1−S2)/(S1+S2)]×100
[I]:
【0298】
【化40】
【0299】
[I−a]:
【0300】
【化41】
【0301】
【参考例1】
[触媒の調製]
アルゴン雰囲気下、スターラー攪拌子を入れた50mlフラスコ中に、無水塩化コバルト(II)43mg(0.33ミリモル)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン263mg(0.66ミリモル)および無水デカン23mlを仕込み、25℃で2時間攪拌した。次いでこの温度(25℃)において、濃度1モル/リットルのトリエチルアルミニウム/トルエン溶液17ml(トリエチルアルミニウム17ミリモル)を加えて2時間攪拌することにより触媒を調製した。
【0302】
[ 4− エチリデン −8− メチル −1,7− ノナジエン(EMN)の合成]
下記式:
【0303】
【化42】
【0304】
で表わされるEMNを、以下のようにして合成した。
300ml容量のステンレス(SUS316)製オートクレーブ中に、アルゴン雰囲気下、7−メチル−3−メチレン−1,6− オクタジエン(β−ミルセン)100g(734ミリモル)と、上記のようにして調製された触媒を全量加えて密閉した。
【0305】
次いでオートクレーブにエチレンボンベを接続(直結)して、オートクレーブ内の圧力が35kg/cm2になるまでエチレンを導入した。
次いで95℃に加熱して反応を行った。この間、消費されたエチレンを間欠的に5回補充(追加)して、合計で15時間反応を行った。
【0306】
反応終了後にオートクレーブ内を冷却した後、該オートクレーブを開放し、得られた反応混合物を水100ml中に注いで有機層と水層とに分離した。
そこで、この分離された有機層を分液し、エバポレータにて低沸点物を除去した後、20段の精密減圧蒸留を行って、目的物であるEMNが83g得られた(収率69%、β−ミルセン転化率90%)。
【0307】
また反応副生物として、5,9−ジメチル−1,4,8− デカトリエンが16g生成した(収率13%)。
上記で得られた4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン(EMN)の分析結果を以下に示す。
【0308】
(1) 沸 点:103〜105℃/30mmHg
(2) GC−MS(ガスクロマトグラフィ−質量分析):
m/z 164(M+分子イオンピーク)、
149、123、95、69、41、27
[ガスクロマトグラフィ測定条件:
カラム:J&W サイエンティフィック社
キャピラリカラムDB−1701 (0.25mm×30m)
気化温度 :250℃
カラム温度:60℃で5分間保持後、200℃まで10℃/分で昇温]
(3) 赤外線吸収スペクトル(ニート、cm−1)
吸収ピーク:3080、2975、2925、2850、1670、1640、1440、1380、1235、1110、995、910、830。
【0309】
(4) 1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3 )
吸収ピークを下記に示す。
【0310】
【表1】
【0311】
【参考例2】
{5 − (2 − エチリデン − 6 − メチル − 5 − ヘプテニル) − 2 − ノルボルネン[:EMHN、先に例示した鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物(11)の合成]}
参考例1で得られた4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン(EMN)240.7g(1.156モル)を1リットル容量のステンレス製オートクレーブに入れ、2kg/cm2の窒素加圧下、190℃の温度にて加熱攪拌しながら、シクロペンタジエン153.0g(2.314モル)を5時間かけて加えた。
【0312】
この後、さらに、190℃の温度にて1時間加熱攪拌し、その後、室温まで冷却し、オートクレーブを開放した。
このようにして得られた反応混合物を減圧留去して、低沸点留分を除去した後、残留物について、40段の精密減圧蒸留を行って、目的とするEMHN{:5−(2−エチリデン−6−メチル−5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン}53.8gを得た。収率は、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン基準で20.2%であった。
【0313】
また、副生成物である[5−(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル)]−2−ノルボルネンは、10.1g得られた。よって、EMHNと副生生物との比率は、5.33/1であった。
【0314】
EMHNの物理化学的データを以下に示す。
(1)沸点:138℃/3mmHg
(2)ガスクロマトグラフィー−質量分析:
m/z 230(M+)、215、187、123、91、69
ガスクロマトグラフィー測定条件:
カラム:J&W サイエンティフィック社,キャピラリカラムDB−1701(0.25mm×30m)
気化温度:250℃
カラム温度:40℃で5分間保持後、200℃まで5℃/分で昇温
(3)赤外線吸収スペクトル(ニート、cm−1)
3050、2960、2925、2850、1660、1630、1570、1440、1375、1345、1330、1250、1220、1100、980、925、900、820、780、715。
(4)プロトンNMRスペクトル(CDCl3溶媒)
吸収ピークを下記に示す。
【0315】
【表2】
【0316】
【参考例3】
ジシクロペンタジエン153.0g(1.157モル)と4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン240.7g(1.156モル)を1リットル容量のステンレス製オートクレーブに入れ、2kg/cm2の窒素加圧下に温度190℃で6時間加熱撹拌して反応を行なった。
【0317】
反応終了後、室温まで冷却してオートクレーブを開放した。このようにして得られた反応混合物を減圧留去して、低沸点留分を除去した後、残留物について、40段の精密減圧蒸留を行なって、目的とするEMHN48.7gを得た。収率は4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン基準で18.3%であった。
【0318】
また、副生成物である、5−[3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル]−2−ノルボルネンを9.7g得た。
よって、EMHNと副生物との比率は5.02/1であった。
<参考>
[5−(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル]−2−ノルボルネン:
(1)プロトンNMRスペクトル(CDCl3溶媒):
0.55(1H,multiplet)
1.0〜2.3(8H,multiplet)
1.60(6H,singlet)
1.68(3H,singlet)
2.7(2H,multiplet)
5.1(2H,multiplet)
5.9〜6.2(2H,multiplet)
(2)赤外線吸収スペクトル(ニート、cm−1):
3050、2960、2925、2860、1670、1640、1450、1380、1340、1250、1105、900、830、720。
【0319】
【実施例1】
<触媒溶液の調製>
充分に窒素置換されたガラス製フラスコに[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロリドを40.5mg加え、次いで、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Witco社製メチルアルミノキサンを乾固し、トルエンに再溶解したもの。Al:1.1モル/リットル)55mlを添加することにより触媒溶液を得た。
<重合>
充分に窒素置換された内容積1リットルのガラス製オートクレーブにトルエン:400ml、スチレン:100mlおよび参考例2で得られた5(2−エチリデン−6−メチル−5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン(EMHN)含有物2mlを装入し、系内の温度を40℃に昇温した。引き続き、エチレンを100リットル/時で流通させながら、上記で調製した触媒溶液35ml(Tiとして0.07ミリモル)を添加することにより重合を開始した。
【0320】
その後、エチレンのみを連続的に供給することにより常圧下、40℃で1時間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより、重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を大過剰の塩酸/メタノール混合溶液中に投入することにより、ポリマーを析出させた。
【0321】
ポリマーを濾過により回収し、安定剤[Irganox1010(チバガイギー製)10mgおよびMark329K(旭電化製)10mg]を混合した後、130℃で減圧下に一晩乾燥した。
【0322】
その結果、極限粘度[η]が1.0dl/gであり、エチレン単位が66.8モル%であり、スチレン単位が31.8モル%であり、EMHN含有物単位が1.4モル%であるエチレン・スチレン・EMHN含有物共重合体を8.1g得た。また、このEMHN含有物構成単位1.4モル%は、0.98モル%のEMHN構成単位と、0.42モル%の副生物{[5−(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル)]−2−ノルボルネン}構成単位とから成っていた。
【0323】
【実施例2】
実施例1において、トルエンの使用量を480mlに代え、スチレンの使用量20mlに代えた以外は、実施例1と同様にして共重合反応を行った。
【0324】
その結果、極限粘度[η]が1.5dl/gであり、エチレン単位が92.3モル%であり、スチレン単位が6.4モル%であり、EMHN含有物単位が1.3モル%であるエチレン・スチレン・EMHN含有物共重合体を12.2g得た。
【0325】
また、このEMHN含有物構成単位1.3モル%は、0.93モル%のEMHN構成単位と、0.37モル%の副生物{[5−(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル)]−2−ノルボルネン}構成単位とから成っていた。
Claims (5)
- [A](i) 炭素数2〜20のα−オレフィンと、
(ii)下記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと、
(iii) 下記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とのランダム共重合体であり、
[B](i) 炭素数2〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位が30〜99.8モル%であり、
(ii)下記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーから誘導される構成単位が0.1〜60モル%であり、
(iii)下記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物から誘導される構成単位が0.1〜10モル%であり、
[C]135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gであることを特徴とする不飽和性オレフィン系共重合体;
式(ii−a):
- (i) 炭素数2〜20のα−オレフィンと、
(ii)上記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと、
(iii) 上記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とを、
遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および/またはイオン化イオン性化合物とから形成される触媒の存在下に共重合させて、
請求項1に記載の不飽和性オレフィン系共重合体を得ることを特徴とする不飽和性オレフィン系共重合体の製造方法。 - [A](i) 炭素数2〜20のα−オレフィンと、
(ii)下記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと、
(iii)上記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物、および該鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]に比して少量の下記式[I−a]で表わされる少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物と、のランダム共重合体であり、
[B](i) 炭素数2〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位が30〜99.8モル%であり、
(ii)上記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーから誘導される構成単位が0.1〜60モル%であり、
(iii)上記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物から誘導される構成単位と、該鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物[I]に比して少量の下記式[I−a]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物から誘導される構成単位とが、合計で、0.1〜10モル%であり、
[C]135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gであることを特徴とする不飽和性オレフィン系共重合体;
- (i) 炭素数2〜20のα−オレフィンと、
(ii)上記式(ii−a)で表される少なくとも1種の芳香環含有ビニルモノマーと、
(iii) 上記式[I]で表される少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物、および上記式[I−a]で表わされる少なくとも1種の鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物とを、
遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および/またはイオン化イオン性化合物とから形成される触媒の存在下に共重合させて、
請求項3に記載の不飽和性オレフィン系共重合体を得ることを特徴とする不飽和性オレフィン系共重合体の製造方法。 - 請求項1または3に記載の不飽和性オレフィン系共重合体と、
下記(a)、(b)、(c)の内の少なくとも1種以上の成分と、
が含まれていることを特徴とするゴム組成物:
(a)該不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して300重量部以下の 量の補強剤、
(b)該不飽和性オレフィン系共重合体100重量部に対して200重量部以下の 量の軟化剤、
(c)加硫剤。
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