JP3675140B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴムとジエン系ゴムとを含むタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のタイヤトレッド用ゴム(タイヤトレッド部用ゴム)としてはスチレン・ブタジエン共重合ゴムが用いられている。しかし、ゴム成分としてスチレン・ブタジエン共重合ゴムを単独で用いたタイヤトレッドは、湿潤路面での制動性能(ウエットスキッド)は比較的良いものの、50〜70℃での反発弾性が低いため転がり抵抗が大きく、耐摩耗性も悪いという問題点がある。
【0003】
このため、自動車のタイヤトレッド用ゴム材料としては、一般にスチレン・ブタジエン共重合ゴムと天然ゴムとのブレンド物が使用されている。ところが、最近の省エネルギー化に伴う自動車の低燃費化および耐摩耗性に加えて、安全性の面からバランスのよい、すなわち湿潤路面においても高い制動性能を有するタイヤが要望されており、従来のスチレン・ブタジエン共重合ゴムと天然ゴムとのブレンド物ではこれらの性能を満たすことができないという問題点がある。
【0004】
タイヤの耐摩耗性および自動車の湿潤時の制動性能を向上させるとともに、転動抵抗を低減することができるゴム組成物として、特開昭56−93738号には、ポリブタジエンゴムとハロゲン含有ポリイソブチレン・イソプレンゴムとをブレンドしたタイヤトレッド用の原料ゴムが記載されている。
しかし上記ブレンド物においても、耐摩耗性、制動性能および転がり抵抗は、まだ十分ではない。
【0005】
このため、天然ゴムと同等以上の優れた耐摩耗性を有するとともに強度特性にも優れ、しかも天然ゴム以上のブレーキ制動性を有しており、かつ転がり抵抗が小さく、燃費を向上させることができるタイヤトレッド用ゴム材料が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、強度特性、耐摩耗性および湿潤路面での制動性能(ウエットスキッド)に優れ、しかも転がり抵抗の小さいタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のタイヤトレッド用ゴム組成物である。
(1)(A)エチレン(a−1)、炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)、芳香族ビニル化合物(a−3)および非共役ポリエン(a−4)からなり、エチレン(a−1)と炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)とのモル比〔(a−1)/(a−2)〕が100/0〜40/60、エチレン(a−1)および炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)と芳香族ビニル化合物(a−3)とのモル比〔[(a−1)+(a−2)]/(a−3)〕が99/1〜85/15であるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴムと、
(B)ジエン系ゴムと
を含み、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)とジエン系ゴム(B)との重量比〔(A)/(B)〕が1/99〜50/50であるタイヤトレッド用ゴム組成物。
(2)エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が1〜10dl/gである上記(1)記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
(3)エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)のヨウ素価が1〜50である上記(1)または(2)記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
(4)エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)を構成する非共役ポリエン(a−4)が炭化水素のトリエンまたはテトラエンである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
(5)エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)を構成する非共役ポリエン(a−4)が下記一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエンである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【化5】
Figure 0003675140
〔一般式(1)中、pおよびqは0または1(ただしpとqとは同時に0ではない)、fは0〜5の整数(ただしpとqの両方が1の場合fは0ではない)、gは1〜6の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である(ただし、pとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)。Xは
【化6】
Figure 0003675140
である。〕
(6)エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)を構成する非共役ポリエン(a−4)が下記一般式(2)で表される非共役トリエンまたはテトラエンである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【化7】
Figure 0003675140
〔一般式(2)中、fは0〜5の整数、gは1〜6の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である。Xは
【化8】
Figure 0003675140
である。〕
(7)非共役トリエンまたはテトラエンが、一分子中に含まれる全ての炭素−炭素二重結合に隣接した全ての炭素原子に直接結合している水素原子の合計が9個以上の非共役トリエンまたはテトラエンである上記(4)ないし(6)のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
(8)ジエン系ゴム(B)が天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴムまたはこれらの混合物である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【0008】
《α−オレフィン(a−2)》
本発明で用いられる炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィンがあげられる。これらの中ではプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンおよび1−デセンが好ましい。
【0009】
エチレン(a−1)と炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)とのモル比は、エチレン(a−1)/α−オレフィン(a−2)のモル比で100/0〜40/60、好ましくは100/0〜55/45、より好ましくは100/0〜70/30、特に好ましくは100/0〜90/10である。
【0010】
《芳香族ビニル化合物(a−3)》
本発明で用いられる芳香族ビニル化合物(a−3)としては、下記一般式(3)で表される化合物などをあげることができる。
【化9】
Figure 0003675140
〔一般式(3)中、mは0〜5の整数、nは0〜2の整数、R1およびR2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、R3は炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アシルオキシ基置換アルキル基、水酸基またまハロゲンを示す。〕
【0011】
一般式(3)で表される芳香族ビニル化合物(a−3)としては、具体的にはスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン等のモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン等の官能基含有スチレン誘導体;アリルベンゼン、4−フェニルブテン−1,3−フェニルブテン−1、4−(4−メチルフェニル)ブテン−1、4−(3−メチルフェニル)ブテン−1、4−(2−メチルフェニル)ブテン−1、4−(4−エチルフェニル)ブテン−1、4−(4−ブチルフェニル)ブテン−1、5−フェニルペンテン−1、4−フェニルペンテン−1、3−フェニルペンテン−1、5−(4−メチルフェニル)ペンテン−1、4−(2−メチルフェニル)ペンテン−1、3−(4−メチルフェニル)ペンテン−1、6−フェニルヘキセン−1、5−フェニルヘキセン−1、4−フェニルヘキセン−1、3−フェニルヘキセン−1、6−(4−メチルフェニル)ヘキセン−1、5−(2−メチルフェニル)ヘキセン−1、4−(4−メチルフェニル)ヘキセン−1、3−(2−メチルフェニル)ヘキセン−1、7−フェニルヘプテン−1、6−フェニルヘプテン−1、5−フェニルペンテン−1、4−フェニルヘプテン−1、8−フェニルオクテン−1、7−フェニルオクテン−1、6−フェニルオクテン−1、5−フェニルオクテン−1、4−フェニルオクテン−1、3−フェニルオクテン−1、10−フェニルデセン−1等のフェニル置換アルケンなどがあげられる。これらの中ではスチレンが好ましい。
これらの芳香族ビニル化合物(a−3)は、単独であるいは2種以上組合せて用いられる。
【0012】
《非共役ポリエン(a−4)》
本発明で用いられる非共役ポリエン(a−4)としては非共役ジエン、トリエンまたはテトラエンなどがあげられるが、好ましくは一分子中に1個のビニル基(CH2=CH−)を有し、かつ3個または4個の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素の非共役トリエンまたはテトラエンである。なお上記3個または4個の炭素−炭素二重結合には、ビニル基の炭素−炭素二重結合も含まれる。上記のような非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)を用いると、耐摩耗性、ブレーキ制動性、転がり抵抗および強度により優れたタイヤトレッド用ゴム組成物が得られる。非共役ポリエン(a−4)は1種単独で、あるいは2種以上組合せて用いられる。
【0013】
上記非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)の一分子当たりの総炭素数(2種以上の非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)を併用する場合にはそれらの平均炭素数)は特に限定されないが、好ましくは9〜30個、さらに好ましくは10〜25個、特に好ましくは10〜22個であることが望ましい。炭素数が上記範囲にある非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)は、精製などの取扱いが容易であるので有利である。
【0014】
前記非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)の一分子中に含まれる全ての炭素−炭素二重結合に隣接した全ての炭素原子に直接結合している水素原子の合計は特に限定されないが、通常9個以上、好ましくは9〜33個、さらに好ましくは12〜33個、特に好ましくは14〜33個であることが望ましい。なおこの水素数は、2種以上の非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)を併用する場合、これらの平均水素数である。水素原子の合計がこのような範囲にある非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)は、加硫速度の速いエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)が得られ、しかも強度特性に優れたタイヤトレッド用ゴム組成物が得られるので好ましい。
【0015】
上記「水素数の数え方」について、具体的に説明する。下記式(4)の化合物では、全ての炭素−炭素二重結合は、1−2炭素(ビニル基のもの)、4−5炭素、12−14炭素および16−17炭素の4個である。そして、これらの炭素−炭素二重結合に隣接する全ての炭素原子は、付番3、6、7、11、13、15、18の炭素となる(付番8、9、10および19の炭素は含まれない)。従って全ての炭素−炭素二重結合に隣接する全ての炭素原子に結合している水素数の合計は、付番3番に2個、6番に3個、7番に2個、11番に2個、13番に3個、15番に2個、および18番に2個であるから、16個となる。
【0016】
【化10】
Figure 0003675140
【0017】
また下記式(5)の化合物(5-エチリデン-2-ノルボルネン)では、全ての炭素−炭素二重結合は、2−3炭素および5−8炭素の2個である。そして、これらの炭素−炭素二重結合に隣接する全ての炭素原子は、付番1、4、6および9となる(付番7の炭素は含まれない)。従って全ての炭素−炭素二重結合に隣接する全ての炭素原子に結合している水素数の合計は、付番1番に1個、4番に1個、6番に2個、および9番に3個であるから、7個となる。
【0018】
【化11】
Figure 0003675140
【0019】
前記非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)としては、ビニル基または5−ノルボルネン−2−イル基に隣接した炭素原子に、1個の鎖状炭化水素基と2個の水素原子とが結合している非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。すなわち、非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)中のビニル基または5−ノルボルネン−2−イル基に、メチレン基(−CH2−)が隣接している非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。
【0020】
《一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン》
上記のような非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)としては、前記一般式(1)で表される化合物があげられる。
一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)において、R1〜R12で示される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基およびペンチル基などがあげられる。
【0021】
前記一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)は、具体的には下記一般式(1a)または(1b)で表される。
【化12】
Figure 0003675140
〔一般式(1a)および(1b)中、R1〜R9、f、g、pおよびqは前記一般式(1)と同じである。〕
【0022】
前記一般式(1a)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)としては、具体的には下記(6−1)〜(6−7)の化合物などがあげられる。
(6−1):6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン(DMUT)
(6−2):5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)
(6−3):6,9−ジメチル−1,5,8−デカトリエン
(6−4):6,8,9−トリメチル−1,5,8−デカトリエン
(6−5):6,10,14−トリメチル−1,5,9,13−ペンタデカテトラエン
(6−6):6−エチル−10−メチル−1,5,9−ウンデカトリエン
(6−7):4−エチリデン−8,12−ジメチル−1,7,11−トリデカトリエン(EDT)
【0023】
上記化合物(6−1)〜(6−7)の化学式を以下に示す。
【化13】
Figure 0003675140
【0024】
前記一般式(1b)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)としては、具体的には前記一般式(1a)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)として例示した上記(6−1)〜(6−7)の化合物のビニル基を5−ノルボルネン−2−イル基に置き換えた化合物などがあげられる。
【0025】
《一般式(2)で表される非共役トリエンまたはテトラエン》
一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)の中では、前記一般式(2)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)が好ましい。
一般式(2)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)は、前記一般式(1)において、pが1、qが0の化合物である。
【0026】
一般式(2)において、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはR1、R2、R5およびR6が全て水素原子である。R1、R2、R5およびR6が全て水素原子である場合、重合反応性に優れ、しかも加硫速度および熱安定性に優れたエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)が得られる。
【0027】
一般式(2)において、R8は炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基である。
一般式(2)において、R9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基(好ましくは1〜3のアルキル基)、または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基[ここで、nは1〜5、好ましくは1〜3の整数、R10およびR11は水素原子または炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基、R12は炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基である]である。R9としては、最も好ましくは上記炭素数のアルキル基である。
【0028】
前記一般式(2)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)は、具体的には下記一般式(2a)または(2b)で表される。
【化14】
Figure 0003675140
〔一般式(2a)および(2b)中、R1、R2、R5〜R9、fおよびgは前記一般式(2)と同じである。〕
【0029】
一般式(2)、(2a)または(2b)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)の具体的なものとして、下記一般式(7a)または(7b)で表される非共役テトラエンまたは下記一般式(8a)または(8b)で表される非共役トリエンがあげられる。これらの中では、特にR1、R2、R5およびR6が全て水素原子である非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。R1、R2、R5およびR6が全て水素原子である場合、重合反応性に優れ、しかも加硫速度および熱安定性に優れたエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)が得られる。R1、R2、R5およびR6が全て水素原子である非共役トリエンの例を下記一般式(9a)または(9b)に示す。
【0030】
【化15】
Figure 0003675140
〔一般式(7a)または(7b)中、fは0〜5の整数、gは1〜6の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のアルキル基、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜5のアルキル基である。
一般式(8a)または(8b)中、fは0〜5の整数、gは1〜6の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
一般式(9a)または(9b)中、f、g、R7およびR8はいずれも一般式(8a)または(8b)と同じである。R7およびR8の中で好ましいものは一般式(2)のものと同じである。R9は水素原子または炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基である。〕
【0031】
前記一般式(9a)で表される非共役トリエン(a−4)としては、具体的には下記(10−1)〜(10−24)の化合物などがあげられる。これらの中では(10−5)、(10−6)、(10−9)、(10−11)、(10−14)、(10−19)および(10−20)の化合物が好ましい。
(10−1):4-エチリデン-1,6-オクタジエン、
(10−2):7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、
(10−3):7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、
(10−4):7-エチル--4-エチリデン-1,6-ノナジエン、
(10−5):6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、
(10−6):6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、
(10−7):4-エチリデン-1,6-デカジエン、
(10−8):7-メチル-4-エチリデン-1,6-デカジエン、
(10−9):7-メチル-6-プロピル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、
(10−10):4-エチリデン-1,7-ノナジエン、
(10−11):8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエン(EMN)、
(10−12):4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン、
(10−13):8-メチル-4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン、
(10−14):7,8-ジメチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエン、
(10−15):7,8-ジメチル-4-エチリデン-1,7-デカジエン、
(10−16):7,8-ジメチル-4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン、
(10−17):8-メチル-7-エチル-4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン、
(10−18):7,8-ジエチル-4-エチリデン-1,7-デカジエン、
(10−19):9-メチル-4-エチリデン-1,8-デカジエン、
(10−20):8,9-ジメチル-4-エチリデン-1,8-デカジエン、
(10−21):10-メチル-4-エチリデン-1,9-ウンデカジエン、
(10−22):9,10-ジメチル-4-エチリデン-1,9-ウンデカジエン、
(10−23):11-メチル-4-エチリデン-1,10-ドデカジエン、
(10−24):10,11-ジメチル-4-エチリデン-1,10-ドデカジエン。
【0032】
これらは単独であるいは2種以上組合せて用いられる。上記化合物(10−1)〜(10−24)の化学式を以下に示す。
【化16】
Figure 0003675140
【0033】
【化17】
Figure 0003675140
【0034】
【化18】
Figure 0003675140
【0035】
前記一般式(9b)で表される非共役トリエン(a−4)としては、具体的には上記(10−1)〜(10−24)の化合物のビニル基を5−ノルボルネン−2−イル基に置き換えた化合物などがあげられる。
【0036】
本発明においては、非共役ポリエン(a−4)としては、前記一般式(9a)または(9b)で表される非共役トリエンが好ましく、特に前記一般式(9a)で表される非共役トリエンが、機械強度、熱安定性および低温特性の点から最も好ましい。
【0037】
本発明においては、非共役ポリエン(a−4)は1種または2種以上組合せて用いることができる。例えば、前記一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)を2種以上組合せて用いることもできるし、前記一般式(7a)で表される非共役テトラエンと、一般式(8a)または(9a)で表される非共役トリエンとを組合せて用いることもできるし、前記一般式(7a)で表される非共役テトラエンと、一般式(8b)で表される非共役トリエンとを組合せて用いることもできる。
【0038】
非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)の構造は、質量分析、赤外線吸収スペクトル、プロトンNMRスペクトル等を測定することにより決定することができる。
一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)には、二重結合に起因する幾何異性体が存在するが、本発明ではシス形またはトランス形のいずれのものでも使用できる。またシス形とトランス形との混合物を使用することもできる。なお本明細書中における構造式、例えば式(6−1)〜(6−7)、(10−1)〜(10−24)などは、立体構造を限定するものではない。
【0039】
次に一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)の製造方法について説明する。
一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)は、公知の方法によって調製することができる。例えば、まずビニル基含有ハロゲン化物(例えばハロゲン化アリル、ハロゲン化ビニル)と金属Mgとを反応させてグリニヤール試薬(アリル−MgXまたはビニル−MgX)を調製する。次いで、このグリニヤール試薬と、非共役二重結合含有炭化水素のハロゲン化物(例えばハロゲン化ゲラニル)とを反応させると、遊離基反応により、一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)を製造することができる。
【0040】
また前記一般式(2a)で表されるトリエンまたはテトラエン(a−4)は、例えば本願出願人が出願した特開平6−154952号に記載されている方法により製造することができる。すなわち、エチレンと下記一般式(11)または(12)で表される共役ジエン化合物(C)とを反応させることにより合成することができる。
【0041】
【化19】
Figure 0003675140
〔一般式(11)および(12)中、f、g、R1、R2およびR5〜R9は一般式(2a)と同じである。〕
【0042】
一般式(12)で表される共役ジエン化合物(C)としては、例えば下記化合物などがあげられる。
3-メチレン-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-3-メチレン-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-3-メチレン-1,5-オクタジエン、6-エチル-3-メチレン-1,5-オクタジエン、5,6-ジメチル-3-メチレン-1,5-ヘプタジエン、5,6-ジメチル-3-メチレン-1,5-オクタジエン、3-メチレン-1,5-ノナジエン、6-メチル-3-メチレン-1,5-ノナジエン、6-メチル-5-プロピル-3-メチレン-1,5-ヘプタジエン、3-メチレン-1,6-オクタジエン、7-メチル-3-メチレン-1,6-オクタジエン、3-メチレン-1,6-デカジエン、7-メチル-3-メチレン-1,6-デカジエン、6,7-ジメチル-3-メチレン-1,6-オクタジエン、6,7-ジメチル-3-メチレン-1,6-ノナジエン、6,7-ジメチル-3-メチレン-1,6-デカジエン、7-メチル-6-エチル-3-メチレン-1,6-デカジエン、6,7-ジエチル-3-メチレン-1,6-ノナジエン、8-メチル-3-メチレン-1,7-ノナジエン、7,8-ジメチル-3-メチレン-1,7-ノナジエン、9-メチル-3-メチレン-1,8-デカジエン、8,9-ジメチル-3-メチレン-1,8-デカジエン、10-メチル-3-メチレン-1,9-ウンデカジエン、9,10-ジメチル-3-メチレン-1,9-ウンデカジエン。
【0043】
共役ジエン化合物(C)とエチレンとの反応は、共役ジエン化合物(C)の種類によっても異なるが、通常50〜200℃、好ましくは70〜150℃の温度で、エチレン圧0.049〜9.8MPa(0.5〜100kgf/cm2、ゲージ圧)、好ましくは0.98〜9.8MPa(1〜100kgf/cm2、ゲージ圧)、さらに好ましくは0.49〜6.9MPa(5〜70kgf/cm2、ゲージ圧)の圧力下に0.5〜30時間行われる。エチレンは、反応容器に連続して加えてもよく、また間欠的に加えてもよい。
【0044】
この反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。また溶媒を使用しないでこの反応を行うことができるが、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、トルエン、キシレンなどの不活性な炭化水素系溶媒の共存下にこの反応を行うこともできる。
【0045】
上記反応では、目的とする非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)は、通常トランス形とシス形との混合物として得られるが、一方の立体異性体が単一物として得られる場合もある。混合物は、蒸留によってトランス形とシス形とに分離することができる。また両者を分離することなく、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の重合に供することもできる。
【0046】
共役ジエン化合物(C)とエチレンとの反応は、通常触媒の存在下に行われる。特にこの反応を、遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下に行うと、目的とする非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)が効率よく得られる。
【0047】
また上記のようにして得られる一般式(2a)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)と、ジシクロペンタジエンとをディールスアルダー反応させることにより、前記一般式(2b)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)が得られる。
【0048】
前記非共役トリエンまたはテトラエン以外の非共役ポリエン(a−4)としては、例えば共重合可能な炭素・炭素二重結合を1分子内に1個有する脂肪族系非共役ジエンまたは脂環族系非共役ジエン、共重合可能な炭素・炭素二重結合を1分子内に2個有する非共役ジエンなどがあげられる。これらの非共役ジエンは1種単独で、または2種以上組合せて、あるいは前記非共役トリエンまたはテトラエンと組合せて用いることができる。
【0049】
上記脂肪族系非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、
3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、
5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、
4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、
4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−ノナジエン、4−エエチル−1,4−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエン、
5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−1,8−デカジエン、
6−メチル−1,6−ウンデカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジエンなどがあげられる。これらの中では、7−メチル−1,6−オクタジエンなどが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上組合せて用いてもよい。
【0050】
前記脂環族系非共役ジエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、2−エチル−2,5−ノルボルナジエンなどがあげられる。これらの中では、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上組合せて用いてもよい。
【0051】
前記共重合可能な炭素・炭素二重結合を1分子内に2個有する非共役ジエンとしては、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン等の5−アルケニル−2−ノルボルネン;2,5−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、テトラシクロ[4,4,0,12.5,17,10]デカ−3,8−ジエン等の脂環族ジエン;1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のα,ω−ジエンなどがあげられる。これらの中では、5−アルケニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどが好ましく、特に5−ビニル−2−ノルボルネンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上組合せて用いてもよい。
【0052】
本発明では、非共役ポリエン(a−4)が、非共役トリエンまたはテトラエンであることが加工性(加硫速度)、加硫後の強度の点から好ましく、前記一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエンであることが上記2点からより好ましい。さらに前記一般式(2)であることが好ましい。また前記一般式(2b)であることが耐寒性、低温特性と機械強度の点から好ましい。
【0053】
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)には、エチレン(a−1)、炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)、芳香族ビニル化合物(a−3)または非共役ポリエン(a−4)と共重合可能な他の単量体が、本発明の目的を損なわない範囲で共重合されていてもよい。
【0054】
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)は、前記エチレン(a−1)、炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)、芳香族ビニル化合物(a−3)、および非共役ポリエン(a−4)から誘導される構造単位が、それぞれランダムに配列して結合している。そして非共役ポリエン(a−4)に起因する不飽和結合を有している。本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の主鎖は実質的に線状構造であり、この主鎖に単量体に由来する側鎖、例えば二重結合を有する側鎖が結合している。エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)が実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、共重合体(A)が有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。例えば極限粘度[η]を測定する際に、共重合体(A)が135℃、デカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0055】
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)は、エチレン(a−1)と炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)とのモル比〔(a−1)/(a−2)〕が100/0〜40/60、好ましくは100/0〜55/45、より好ましくは100/0〜70/30、特に好ましくは100/0〜90/10、エチレン(a−1)および炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)と芳香族ビニル化合物(a−3)とのモル比〔[(a−1)+(a−2)]/(a−3)〕が99/1〜85/15、好ましくは99/1〜90/10、特に好ましくは99/1〜95/5である。エチレン(a−1)および炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)と芳香族ビニル化合物(a−3)とのモル比が上記範囲にある場合、機械強度および耐摩耗性に優れたエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)が得られ、このため機械強度および耐摩耗性に優れたタイヤトレッド用ゴム組成物が得られる。なお上記モル比および下記モノマー含有量は13C−NMR法で測定して求めた値である。
【0056】
またエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の非共役ポリエン(a−4)の含有量は0.01〜30モル%、好ましくは0.05〜25モル%、特に好ましくは0.1〜20モル%であるのが望ましい。またヨウ素価は1〜50、好ましくは3ないし50、特に好ましくは5ないし40であるのが望ましい。この特性値はエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)をイオウまたは過酸化物を用いて加硫する場合の目安となる値である。
【0057】
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)において、非共役ポリエン(a−4)が前記一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエンである場合、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)中においては非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)から誘導される構造単位は、実質的に下記一般式(13a)または(13b)で表される構造を有していると推測される。また非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)が前記一般式(2)、(7a)、(7b)、(8a)または(8b)で表される場合には、これらの単量体から誘導される構造単位は、それぞれ実質的に下記一般式(14a)、(14b)、(15a)、(15b)、(16a)または(16b)で表される構造を有していると推測される。
【0058】
【化20】
Figure 0003675140
【0059】
【化21】
Figure 0003675140
〔一般式(13a)〜(16b)中、f、g、p、q、nおよびR1〜R12は、それぞれ一般式(1)、(2)、(7a)〜(8b)と同じである。〕
【0060】
なお前記一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−4)から誘導される構造単位が上記各構造を有していることは、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0061】
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)は、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が1〜10dl/g、好ましくは1〜7dl/gであるものが望ましい。この物性値はエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の分子量を示す尺度であり、分子量が上記範囲にある場合機械強度および耐動的疲労性などに優れたエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)が得られ、このため機械強度および耐動的疲労性に優れたタイヤトレッド用ゴム組成物が得られる。
【0062】
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)は加硫速度が速いため、加硫剤を多量に用いなくても従来の共重合ゴムに比べて短い時間で、あるいは低温で加硫することができ、加硫ゴムを生産性よく製造することができる。
【0063】
《エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の製造》
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)は、エチレン(a−1)と、α−オレフィン(a−2)と、前記芳香族ビニル化合物(a−3)と、非共役ポリエン(a−4)とを、触媒の存在下に共重合させることにより製造することができる。上記触媒としては、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)などの遷移金属化合物(D)と、有機アルミニウム化合物もしくは有機アルミニウムオキシ化合物(E)および/またはイオン化イオン性化合物(F)とからなる触媒などが使用できる。
【0064】
触媒の具体的なものとしては、
(1)固体状チタン触媒成分(d−1)と、有機アルミニウム化合物(e−1)とからなるチタン系触媒、
(2)可溶性バナジウム化合物(d−2)と、有機アルミニウム化合物(e−1)とからなるバナジウム系触媒、および
(3)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物(d−3)と、有機アルミニウムオキシ化合物(e−2)および/またはイオン化イオン性化合物(f−1)とからなるメタロセン系触媒などがあげられる。
【0065】
これらの中ではメタロセン系触媒が好ましい。メタロセン系触媒は活性が高く、また得られるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)は分子量分布および組成分布が狭く、さらに芳香族ビニル化合物(a−3)および非共役ポリエン(a−4)の転化率も高い。
【0066】
前記固体チタン触媒成分(d−1)は、下記のようなチタン化合物、マグネシウム化合物、および電子供与体を接触させることにより調製される。
上記チタン化合物としては3価のチタン化合物または4価のチタン化合物が用いられるが、4価のチタン化合物が好ましい。4価のチタン化合物としては、例えばTi(OR)j4-j(Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、0≦j≦4)で表される4価のチタン化合物をあげることができる。これらの中ではハロゲン含有チタン化合物が好ましく、さらにテトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。
【0067】
前記固体チタン触媒成分(d−1)の調製に用いるマグネシウム化合物は、還元性を有するマグネシウム化合物であってもよいし、還元性を有しないマグネシウム化合物であってもよい。還元性を有するマグネシウム化合物としては、マグネシウム・炭素結合およびマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物などをあげることができる。還元性を有しないマグネシウム化合物としては、上記還元性を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物、あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物などが使用できる。またこれらのマグネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物または他の金属化合物との混合物を使用することもできる。これらマグネシウム化合物は2種以上組合せた混合物であってもよい。マグネシウム化合物としては還元性を有しないマグネシウム化合物が好ましく、さらにハロゲン含有マグネシウム化合物が好ましく、特に塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウムおよびアリロキシ塩化マグネシウムが好ましい。
【0068】
前記固体チタン触媒成分(d−1)の調製に用いられる電子供与体としては、有機カルボン酸エステルおよび多価カルボン酸エステルなどがあげられる。
固体チタン触媒成分(d−1)は、上記のようなチタン化合物、マグネシウム化合物(もしくは金属マグネシウム)、および電子供与体を接触させることにより製造することができる。固体チタン触媒成分(d−1)を製造するには、チタン化合物、マグネシウム化合物および電子供与体から高活性チタン触媒成分を調製する公知の方法を採用することができる。なお上記の成分は、例えばケイ素、リン、アルミニウムなどの他の反応試薬の存在下に接触させてもよい。
【0069】
チタン系触媒を形成する有機アルミニウム化合物(e−1)としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が使用できる。このような化合物としては、例えば一般式(17)
(R1)mAl(OR2)npq …(17)
〔一般式(17)中、R1およびR2は炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互いに同一でも異なってもよい。Xはハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかもm+n+p+q=3である。〕
で表される有機アルミニウム化合物、あるいは一般式(18)
(M1)Al(R1)4 …(18)
〔一般式(18)中、M1はLi、NaまたはKであり、R1は一般式(17)のR1と同じである。〕
で表される第I属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などをあげることができる。
【0070】
チタン系触媒の調製には必要により電子供与体を用いることができる。このような電子供与体としては、下記一般式(19)または(20)で表される有機ケイ素化合物などがあげられる。
nSi(OR’)4-n …(19)
SiR12 m(OR3)3-m …(20)
〔一般式(19)中、RおよびR’は炭化水素基、nは0<n<4を満たす数である。
一般式(20)中、R1はシクロペンチル基、またはアルキル基を有するシクロペンチル基、R2はアルキル基、シクロペンチル基、またはアルキル基を有するシクロペンチル基、R3は炭化水素基、mは0≦m≦2を満たす数である。〕
【0071】
上記一般式(20)において、R1のアルキル基を有するシクロペンチル基としては、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2-エチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基などをあげることができる。
【0072】
本発明で用いられるチタン系触媒を形成する触媒成分にはα-オレフィンが予備重合されていてもよい。予備重合の際、オレフィン重合用触媒1g当り、0.1〜500g、好ましくは0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの量でα-オレフィンを予備重合させるのが望ましい。予備重合は、不活性炭化水素媒体にオレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温和な条件下に行うことが好ましい。予備重合で使用されるα-オレフィンは、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の重合で使用されるα-オレフィンと同一であっても、異なってもよい。
【0073】
本発明で用いられるバナジウム系触媒を形成する可溶性バナジウム化合物(d−2)としては、下記一般式(21)または(22)で表されるバナジウム化合物などがあげられる。
VO(OR)ab …(21)
V(OR)cd …(22)
〔一般式(21)および(22)中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子である。a、b、cおよびdはそれぞれ0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4を満たす。〕
【0074】
上記可溶性バナジウム化合物(d−2)としては、電子供与体を接触させて得られる可溶性バナジウム化合物の電子供与体付加物を用いることもできる。
バナジウム系触媒を形成する有機アルミニウム化合物(e−1)としては、チタン系触媒を形成する前記有機アルミニウム化合物(e−1)と同様のものを用いることができる。
【0075】
本発明で用いられるメタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物(d−3)は、周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的には下記一般式(23)で表される。
MLx …(23)
〔一般式(23)中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属Mの原子価、Lは配位子である。〕
【0076】
一般式(23)において、Mで示される遷移金属の具体的なものとしては、ジルコニウム、チタンおよびハフニウムなどがあげられる。
一般式(23)において、Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0077】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、i-、sec-、t-、ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などがあげられる。
上記シクロペンタジエニル骨格を有する基は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0078】
一般式(23)で表される化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0079】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3a)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、Raはアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、またはハロゲン原子もしくはアルキル基で置換されたアリール基である。)などがあげられる。
【0080】
配位子Lの炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基などがあげられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基およびドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフィル基等のアラルキル基などがあげられる。
【0081】
配位子Lのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基などがあげられる。アリーロキシ基としては、フェノキシ基などがあげられる。スルホン酸含有基(−SO3a)としては、メタンスルホナト基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基などがあげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
【0082】
前記一般式(23)で表されるメタロセン化合物は、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(24)で表される。
2 k3 l4 m5 nM …(24)
〔一般式(24)中、Mは一般式(23)の遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数、k+l+m+n=4である。〕
【0083】
以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物(d−3)を例示する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
上記の1,3-位置換シクロペンタジエニル基を1,2-位置換シクロペンタジエニル基に置換えた化合物を本発明で用いることもできる。
【0084】
またメタロセン化合物(d−3)としては、前記一般式(24)において、R2、R3、R4およびR5の少なくとも2個、例えばR2およびR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基はアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR4およびR5はそれぞれ独立に一般式(23)中で説明したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
【0085】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物(d−3)としては、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジク ロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどがあげられる。
【0086】
ブリッジタイプのメタロセン化合物としては以下の一般式(25)、(26)及び(30)から選ばれる化合物が好適である。
【0087】
またメタロセン化合物(d−3)としては、下記一般式(25)で表される特開平4-268307号記載のメタロセン化合物があげられる。
【化22】
Figure 0003675140
【0088】
一般式(25)において、M1は周期律表の第IVB族の金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムをあげることができる。
一般式(25)において、R1およびR2は、水素原子;炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルコキシ基;炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基;炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリールオキシ基;炭素数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基;炭素数7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル基;炭素数7〜40、好ましくは7〜12のアルキルアリール基;炭素数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子である。R1およびR2は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0089】
一般式(25)において、R3およびR4は水素原子;ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子または臭素原子;ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基;炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基;−N(R10)2、−SR10、−OSi(R10)3、−Si(R10)3または−P(R10)2基である。上記R10はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R3およびR4は互いに同じでも異なっていてもよい。R3およびR4は特に水素原子であることが好ましい。
【0090】
一般式(25)において、R5およびR6は水素原子を除くR3およびR4と同様のものである。R5およびR6は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。R5およびR6は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基およびイソブチル基またはトリフルオロメチル基等があげられ、特にメチル基が好ましい。
【0091】
一般式(25)において、R7
【化23】
Figure 0003675140
=BR11、=AlR11、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR11、=CO、=PR11または=P(O)R11である。上記R11、R12およびR13は水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基;炭素数1〜10のフルオロアルキル基、好ましくはCF3基;炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基;炭素数6〜10のフルオロアリール基、好ましくはペンタフルオロフェニル基;炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルコキシ基、特に好ましくはメトキシ基;炭素数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基;炭素数7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル基;炭素数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニル基;または炭素数7〜40、好ましくは7〜12のアルキルアリール基である。「R11とR12」または「R11とR13」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。R11、R12およびR13は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0092】
上記M2はケイ素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。
一般式(25)において、R7は、=CR1112、=SiR1112、=GeR1112、−O−、−S−、=SO、=PR11または=P(O)R11であることが好ましい。
【0093】
一般式(25)において、R8およびR9としては上記R11と同じものがあげれらる。R8およびR9は互いに同じであっても異なっていてもよい。
一般式(25)において、mおよびnはそれぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。mおよびnは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0094】
一般式(25)で表されるメタロセン化合物(d−3)としては、下記化合物などがあげられる。
rac-ジメチルメチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
rac-ジメチルメチレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド
rac-ジフェニルメチレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド
rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウムジクロライド、
rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウムジクロライド。
一般式(25)で表されるメタロセン化合物(d−3)は、公知の方法にて製造することができる(例えば、特開平4-268307号)。
【0095】
メタロセン化合物(d−3)としては、下記一般式(26)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【化24】
Figure 0003675140
【0096】
一般式(26)において、Mは周期律表第IVB族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどである。
【0097】
一般式(26)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。R1およびR2の具体的なものとしては、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素数1〜20の炭化水素基;
前記炭化水素基にハロゲン原子が置換した炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基;
メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、
トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基、
などのケイ素含有基;
ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロ−キシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸素含有基;
前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などのイオウ含有基;
アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;
ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含有基などがあげられる。
【0098】
これらのうちR1は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。またR2は水素または炭化水素基が好ましく、特に水素、あるいはメチル、エチルまたはプロピルの炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0099】
一般式(26)において、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R3とR4、R4とR5、R5とR6のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR6が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0100】
一般式(26)のR3、R4、R5およびR6において、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記R1およびR2と同様のものがあげられる。
【0101】
一般式(26)において、X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す。
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基の具体的なものとしては、前記R1およびR2と同様のものが例示できる。
【0102】
またイオウ含有基としては、前記R1、R2と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が例示できる。
【0103】
一般式(26)において、Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR7−、−P(R7)−、−P(O)(R7)−、−BR7−または−AlR7−(ただし、R7は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0104】
一般式(26)において、Yの具体的なものとしては、
メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1〜20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基などであり、
7は、前記R1、R2と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0105】
これらの中では2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ましく、このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0106】
一般式(26)において、R3とR4、R4とR5、R5とR6のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含む、Mに配位する配位子としては、下記一般式(27)〜(29)で表されるものなどがあげられる。
【0107】
【化25】
Figure 0003675140
〔一般式(27)〜(29)中、Yは一般式(26)と同じである。〕
【0108】
本発明においては、また下記一般式(30)で表される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【化26】
Figure 0003675140
〔一般式(30)中、M、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、前記一般式(26)と同じである。〕
【0109】
一般式(30)において、R3、R4、R5およびR6のうち、R3を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R3とR5、またはR3とR6がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R1、R2で例示した置換基があげられる。
【0110】
一般式(30)におけるR3、R4、R5およびR6のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの鎖状アルキル基および環状アルキル基;ベンジル、フェニルエチル、フエニルプロピル、トリルメチルなどのアリールアルキル基などがあげられ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0111】
また一般式(30)におけるR3、R4、R5およびR6は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。
ハロゲン原子としては、前記R1およびR2と同様のものがあげられる。
1、X2およびYとしては、前記一般式(26)の場合と同様のものがあげられる。
【0112】
前記一般式(30)で表されるメタロセン化合物(d−3)の具体的な例を下記に示す。
rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド。
【0113】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
上記遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0114】
一般式(30)で表されるメタロセン化合物(d−3)として、次のような化合物を使用することもできる。
1としては炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0115】
1およびX2としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
3は、炭素数6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル(ペリナフテニル)、アセアントリレニルなどである。これらのうちフェニル、ナフチルであることが好ましい。これらのアリール基は、前記R1と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0116】
このような遷移金属化合物(メタロセン化合物)の具体的な例を示す。
rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4−フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
また上記化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0117】
また本発明では、メタロセン化合物(d−3)として、下記一般式(31)で表されるを用いることもできる。
aMX2 ・・・・(31)
〔一般式(31)中、Mは周期率表第IV族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。Xはそれぞれ独立に水素、ハロゲンまたは20以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。〕
【0118】
一般式(31)で表される化合物の中では、下記一般式(32)で表される化合物が好ましい。
【化27】
Figure 0003675140
【0119】
一般式(32)中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウム、Xは一般式(31)と同様である。CpはMにπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期率表第IVA族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)、Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0120】
このような一般式(32)で表される化合物としては、
(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、
((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジクロリドなどがあげられる。
また上記メタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置換えた化合物をあげることもできる。
【0121】
一般式(31)または(32)で表されるメタロセン化合物(d−3)としては、中心の金属原子がチタンであることが好ましい。
本発明では、メタロセン化合物(d−3)としては一般式(31)または(32)で表されるメタロセン化合物が特に好ましい。
【0122】
本発明では、メタロセン化合物(d−3)は単独であるいは2種以上組合せて用いられる。またメタロセン化合物(d−3)は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。さらにメタロセン化合物(d−3)は、粒子状担体化合物と接触させて用いることもできる。
【0123】
メタロセン化合物(d−3)を担持させる担体化合物としては、SiO2、Al23、B23、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、ZnO、SnO2、BaO、およびThOなどの無機担体化合物;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、およびスチレン-ジビニルベンゼン共重合体などの樹脂を用いることができる。これらの担体化合物は、単独であるいは2種以上組合せて用いられる。
【0124】
次にメタロセン系触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(e−2)およびイオン化イオン性化合物(f−1)について説明する。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(e−2)は、公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物(e−2)であってもよい。
【0125】
このような公知のアルミノオキサンは、具体的には下記一般式(33)または(34)で表される。
【化28】
Figure 0003675140
〔一般式(33)および(34)において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。〕
【0126】
一般式(33)または(34)において、アルミノオキサンは一般式(OAl(R1))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および一般式(OAl(R2))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位[ここで、R1およびR2はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R1およびR2は相異なる基を表す]からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
なお本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(e−2)は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
【0127】
イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)(f−1)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
上記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合物があげられる。ルイス酸の具体的なものとしては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどがあげられる。
【0128】
前記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などがあげられる。イオン性化合物としてのトリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニウム塩としては、ジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0129】
前記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることもできる。
【0130】
前記ボラン化合物としては、デカボラン(14);ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などがあげられる。
【0131】
前記カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などがあげられる。
【0132】
上記のようなイオン化イオン性化合物(f−1)は、単独であるいは2種以上組合せて用いられる。また有機アルミニウムオキシ化合物(e−2)およびイオン化イオン性化合物(f−1)は、前記担体化合物に担持させて用いることもできる。
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物(e−2)またはイオン化イオン性化合物(f−1)とともに、前記有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0133】
本発明では、上記のような遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および/またはイオン化イオン性化合物とから形成される触媒の存在下に、エチレン(a−1)、α−オレフィン(a−2)、芳香族ビニル化合物(a−3)および非共役ポリエン(a−4)を、通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α-オレフィンを溶媒として用いてもよい。
【0134】
エチレン(a−1)、α−オレフィン(a−2)、芳香族ビニル化合物(a−3)および非共役ポリエン(a−4)は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で共重合されてもよい。共重合をバッチ法で実施するに際しては、前記触媒は以下のような濃度で用いられる。
【0135】
固体状チタン触媒成分(d−1)と有機アルミニウム化合物(e−1)とからなるチタン系触媒が用いられる場合には、固体状チタン触媒成分(d−1)は、重合容積1 liter当たり、チタン原子に換算して、通常約0.001〜約1.0ミリモル、好ましくは約0.005〜0.5ミリモルの量で用いられる。また有機アルミニウム化合物(e−1)は、固体状チタン触媒成分(d−1)中のチタン原子1モルに対して、有機アルミニウム化合物(e−1)中の金属原子として通常約10〜500モル、好ましくは20〜200モルとなるような量で用いられる。電子供与体を使用する場合は、有機アルミニウム化合物(e−1)中の金属原子1モル当たり、通常約0.001〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.05〜1モルとなるような量で用いられる。
【0136】
可溶性バナジウム化合物(d−2)と有機アルミニウム化合物(e−1)とからなるバナジウム触媒が用いられる場合には、重合系内の可溶性バナジウム化合物の濃度は、通常0.01〜5ミリモル/liter(重合容積)、好ましくは0.05〜3ミリモル/literである。可溶性バナジウム化合物(d−2)は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。また有機アルミニウム化合物(e−1)は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子のモル比(Al/V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。
【0137】
可溶性バナジウム化合物(d−2)および有機アルミニウム化合物(e−1)は、通常前記炭化水素溶媒および/または液状のエチレン(a−1)、α−オレフィン(a−2)および非共役ポリエン(a−4)で希釈されて供給される。この際、可溶性バナジウム化合物(d−2)は上記濃度に希釈されることが望ましいが、有機アルミニウム化合物(e−1)は重合系内における濃度の例えば50倍以下の任意の濃度に調整して重合系内に供給されることが望ましい。
【0138】
またメタロセン化合物(d−3)と有機アルミニウムオキシ化合物(e−2)またはイオン化イオン性化合物(f−1)とからなるメタロセン系触媒が用いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物(d−3)の濃度は、通常0.00005〜1ミリモル/liter(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.5ミリモル/literである。また有機アルミニウムオキシ化合物(e−2)は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0139】
イオン化イオン性化合物(f−1)の場合は、重合系内のメタロセン化合物(d−3)に対するイオン化イオン性化合物(f−1)のモル比〔イオン化イオン性化合物(f−1)/メタロセン化合物(d−3)〕で、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
また有機アルミニウム化合物(e−1)が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/liter(重合度積)、好ましくは約0〜2ミリモル/literとなるような量で用いられる。
【0140】
本発明において、前記チタン系触媒の存在下に(a−1)ないし(a−4)の単量体を共重合させる場合には、共重合反応は、通常温度が−20〜+150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0141】
本発明において、前記バナジウム系触媒の存在下に(a−1)ないし(a−4)の単量体を共重合させる場合には、共重合反応は、通常温度が−50〜+100℃、好ましくは−30〜+80℃、さらに好ましくは−20〜+60℃で、圧力が0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて2.0MPa(20kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0142】
本発明において、前記メタロセン触媒の存在下に(a−1)ないし(a−4)の単量体を共重合させる場合には、共重合反応は、通常温度が−20〜+150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0143】
本発明では、エチレン(a−1)、α−オレフィン(a−2)、芳香族ビニル化合物(a−3)および非共役ポリエン(a−4)は、上記特定組成のエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)が得られるような量で重合系に供給される。共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0144】
上記のようにしてエチレン(a−1)、α−オレフィン(a−2)、芳香族ビニル化合物(a−3)および非共役ポリエン(a−4)を共重合させると、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)が得られる。
【0145】
《エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)のグラフト変性物》
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)は、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)に極性モノマーをグラフト重合させることにより、変性して用いることもできる。グラフト変性されたエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)(以下、グラフト変性エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)という場合がある)は、ラジカル開始剤の存在下あるいは不存在下に、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)と、極性モノマーとを反応させることにより得ることができる。
【0146】
上記極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体、ビニルエステル化合物および塩化ビニルなどがあげられる。
【0147】
上記水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;10-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2-ブテン-1,4-ジオールおよびグリセリンモノアルコールなどがあげられる。
【0148】
前記アミノ基含有エチレン性不飽和化合物は、エチレン性二重結合とアミノ基とを有する化合物である。このような化合物としては、下記一般式(35)で表されるアミノ基または置換アミノ基を少なくとも1種類有するビニル系単量体をあげることができる。
【0149】
【化29】
Figure 0003675140
【0150】
一般式(35)中、R1は水素原子、メチル基またはエチル基、R2は水素原子、炭素数1〜12、好ましくは1〜8のアルキル基、または炭素数6〜12、好ましくは6〜8のシクロアルキル基である。なお上記のアルキル基、シクロアルキル基は置換基を有していてもよい。
【0151】
このようなアミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的には(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類;N-ビニルジエチルアミンおよびN-アセチルビニルアミン等のビニルアミン系誘導体類;アリルアミン、メタクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチルアクリルアミン、およびN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミン等のアリルアミン系誘導体;アクリルアミドおよびN-メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体;p-アミノスチレン等のアミノスチレン類;6-アミノヘキシルコハク酸イミド、2-アミノエチルコハク酸イミドなどがあげられる。
【0152】
前記エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物は、一分子中に重合可能な不飽和結合およびエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーである。このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等;マレイン酸のモノおよびジグリシジルエステル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、クロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタコン酸のモノおよびグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノおよびジグリシジルエステル等のジカルボン酸モノおよびジアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12);p-スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどがあげられる。
【0153】
前記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、またはこれらの酸無水物あるいはこれらの誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)などがあげられる。具体的なものとしては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどをあげることができる。これらの中では、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレートおよびメタクリル酸アミノプロピルが好ましい。
【0154】
前記ビニルエステル化合物の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p-t-ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルおよびシクロヘキサンカルボン酸ビニルなどをあげることができる。
【0155】
変性に使用する極性モノマーは、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量部の量で使用される。
【0156】
変性に使用するラジカル開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などをあげることができる。
上記有機過酸化物の具体的なものとしては、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)バラレート、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシドおよびm-トルイルペルオキシドなどをあげることができる。前記アゾ化合物としてはアゾイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチロニトリルなどをあげることができる。
【0157】
このようなラジカル開始剤は、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)100重量部に対して、一般には0.001〜10重量部の量で使用されることが望ましい。
【0158】
ラジカル開始剤は、そのままエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)および極性モノマーと混合して使用することもできるが、ラジカル開始剤を少量の有機溶媒に溶解して使用することもできる。ここで使用される有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレン等の脂環族炭化水素系溶媒;クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノールおよびtert-ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソール等のエーテル系溶媒などをあげることができる。
【0159】
エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)をグラフト変性するに際しては、還元性物質を用いてもよい。還元性物質は、得られるグラフト変性エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)におけるグラフト量を向上させる作用を有する。
【0160】
還元性物質としては、鉄(II)イオン、クロムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、パラジウムイオン、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンなどのほか、−SH、SO3H、−NHNH2、−COCH(OH)−などの基を含む化合物などがあげられる。
このような還元性物質としては、具体的には塩化第一鉄、重クロム酸カリウム、塩化コバルト、ナフテン酸コバルト、塩化パラジウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルアニリン、ヒドラジン、エチルメルカプタン、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などがあげられる。
【0161】
上記の還元性物質は、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の量で使用される。
【0162】
エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)のグラフト変性は、公知の方法で行うことができ、例えばエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることにより行われる。
【0163】
エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)をグラフト変性する際に用いられる有機溶媒としては、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。
このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒などがあげられる。
【0164】
また押出機などを使用して、無溶媒でエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)と極性モノマーとを反応させて、グラフト変性エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)を製造することができる。反応温度は、通常エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の融点以上、具体的には120〜250℃の範囲である。このような温度条件下における反応時間は、通常0.5〜10分間である。
【0165】
このようにして調製されたグラフト変性エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)中における極性モノマーから誘導されるグラフト基のグラフト量は、通常は0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜30重量%の範囲内にある。
【0166】
《ジエン系ゴム(B)》
本発明で用いられるジエン系ゴム(B)は、従来公知のジエン系ゴムであり、具体的には天然ゴム(NR)、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)などがあげられる。
【0167】
ジエン系ゴム(B)として用いられる天然ゴムとしては、グリーンブック(天然ゴム各種等級品の国際品質包装標準)により規格化された天然ゴムが一般に用いられる。
ジエン系ゴム(B)として用いられるイソプレンゴムとしては、比重が0.9〜0.94であり、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕が30〜120であるイソプレンゴムが一般に用いられる。ジエン系ゴム(B)として用いられるSBRとしては、比重が0.91〜0.98であり、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕が20〜120であるSBRが一般に用いられる。
【0168】
ジエン系ゴム(B)として用いられるBRとしては、比重が0.90〜0.95であり、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕が20〜120であるBRが一般に用いられる。
本発明においては、上記のようなジエン系ゴム(B)を単独で用いてもよく、また2種以上の混合物として用いてもよい。
【0169】
上記ジエン系ゴム(B)の中では、天然ゴム、イソプレンゴム、SBR、BRまたはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0170】
《ゴム組成物》
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物において、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)とジエン系ゴム(B)との配合割合は、(A)/(B)の重量比で1/99〜50/50、好ましくは5/95〜30/70である。
【0171】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、加硫可能なゴム組成物であり、未加硫のままで用いることもできるが、通常加硫物として用いる。加硫は、加硫剤を使用して加熱する方法、あるいは加硫剤を用いずに電子線を照射する方法などにより行うことができる。
【0172】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を加熱により加硫する場合には、ゴム組成物中に加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤などの加硫系を構成する化合物を配合することができる。
上記加硫剤としては、イオウ、イオウ系化合物および有機過酸化物などを用いることができる。
【0173】
イオウの形態は特に限定されず、例えば粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどを用いるこができる。
前記イオウ系化合物としては、具体的には塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどがあげられる。
【0174】
前記有機過酸化物としては、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルヒドロペルオキシド等のアルキルペルオキシド類;t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシマレイン酸、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t-ブチルペルオキシフタレート等のペルオキシエステル類;ジシクロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド類などがあげられる。これらは2種以上組合わせて用いてもよい。
【0175】
これらの中では、1分半減期温度が130〜200℃である有機過酸化物が好ましく、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシドおよびt-ブチルヒドロペルオキシドなどが好ましい。
【0176】
本発明では、上記のような各種加硫剤の中でも、イオウまたはイオウ系化合物、特にイオウを用いると優れた特性のゴム組成物を得ることができるため好ましい。
【0177】
加硫剤がイオウまたはイオウ系化合物である場合は、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で用いることができる。
また加硫剤が有機過酸化物である場合は、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)100重量部に対して0.05〜15重量部、好ましくは0.15〜5重量部の量で用いることができる。
【0178】
加硫剤としてイオウまたはイオウ化合物を用いる場合には、加硫促進剤を併用することが好ましい。
加硫促進剤としては、具体的にはN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;亜鉛華などがあげられる。
【0179】
上記のような加硫促進剤は、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の量で用いることが望ましい。
【0180】
加硫剤として有機過酸化物を用いる場合には、加硫助剤を有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくはほぼ等モルの量で併用することが好ましい。
【0181】
加硫助剤としては、具体的にはイオウ;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物に加えて、多官能性モノマー、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の(メタ)アクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;m-フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどがあげられる。
【0182】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物には、通常のゴム配合剤を配合することもできる。このような配合剤としては、カーボンブラック、微粉ケイ酸等のゴム補強剤;軟化剤;軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ等の充填剤;粘着付与剤;ワックス;結合用樹脂;酸化亜鉛;酸化防止剤;オゾン亀裂防止剤;加工助剤などがあげられる。これらの配合剤は1種類または2種類以上組合せて使用することができる。
【0183】
上記補強剤の配合量は、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)およびジエン系ゴム(B)の合計100重量部に対して20〜150重量部、好ましくは30〜100重量部である。一般に、補強剤が多いと、湿潤路面での制動性能(ウエットスキッド)は向上するが、転がり抵抗が低下する傾向にある。一方、また補強剤の配合量が少ないと、耐摩耗性が低下する傾向がある。
【0184】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、一般的なゴム配合物の調製方法によって調製することができる。例えばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックス等のインターナルミキサー類を用いて、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)、ジエン系ゴム(B)および必要により配合する配合剤を、80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、必要に応じて加硫剤、加硫促進剤または加硫助剤などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして配合ゴムが得られる。上記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合、例えば60℃を超えない場合には、加硫剤、加硫促進剤、発泡剤などを同時に混練することもできる。
【0185】
本発明のゴム組成物の加硫物(加硫ゴム)は、上記のような末加硫のゴム組成物を、通常押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機またはトランスファー成形機などの成形機を用いた種々の成形法によって所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱するか、あるいは電子線を照射することにより加硫して得ることができる。
【0186】
上記ゴム組成物を加熱により加硫する場合には、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームまたはLCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽を用いて、150〜270℃の温度で1〜30分間加熱することが好ましい。
【0187】
また加硫剤を使用せずに電子線照射により加硫する場合は、予備成形されたゴム組成物に、0.1〜10MeV、好ましくは0.3〜2MeVのエネルギーを有する電子線を、吸収線量が0.5〜35Mrad、好ましくは0.5〜10Merdになるように照射すればよい。
成形・加硫に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いないでもよい。金型を用いない場合には、ゴム組成物は通常連続的に成形・加硫される。
【0188】
このようにして得られた加硫ゴムは、強度特性、耐摩耗性および湿潤路面での制動性能に優れ、しかも転がり抵抗が小さく、タイヤトレッド部用ゴムとして用いられる。
【0189】
【発明の効果】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は特定のエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴムおよびジエン系ゴムを特定量含んでいるので、強度特性、耐摩耗性および湿潤路面での制動性能(ウエットスキッド)に優れ、しかも転がり抵抗が小さい。
【0190】
【発明の実施の形態】
重合例1
(エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の重合)
冷却管および攪拌装置を備えたガラス製の1 liter反応装置を窒素で充分に置換し、トルエン495ml、スチレン5ml、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン(EMN)5mlを仕込み、攪拌しながらエチレンで飽和させた。次いで系内を35℃に昇温し、メチルアルミノキサン(東ソ−アクゾ社製、10wt%トルエン溶液)9mM、(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリドを0.03mM(0.01mM トルエン溶液)添加した。エチレン100N liter/hrを連続的に供給しながら40℃で、60分間重合した。重合終了後、イソブチルアルコール250ml、塩酸水10mlを加えて80℃で30分間加熱攪拌した。その後イソブチルアルコールを含む反応液を分液ロートに移し、水250mlで2回洗浄し油水分離した。次いで油層部を3 literのメタノールに添加し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを130℃で12時間真空乾燥した。収量は7.4gであった。
【0191】
得られた共重合ゴムaを構成するエチレンとスチレンとのモル比(エチレン/スチレン)は98/2であり、ヨウ素価は18であった。135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は4.5dl/gであった。結果を表1にまとめる。
【0192】
重合例2〜5
モノマーの仕込量を表1に示す量に変更した以外は重合例1と同様に行い、共重合ゴムb〜eを得た。結果を表1に示す。
【0193】
重合例6
公知の方法で合成したイソプロピリデン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドに触媒を変更した以外は重合例1と同様に行い、共重合ゴムfを得た。結果を表1に示す。
【0194】
【表1】
Figure 0003675140
Et:エチレン
St:スチレン
I.V.:ヨウ素価
ENB:5−エチリデンノルボルネン
EMN:8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン
【0195】
実施例1〜6、比較例1〜5
重合例1〜6のエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(a〜f)を表2または表3に従い配合し、8インチオープンロールにより混練して、150℃で20分間加硫し、得られた加硫ゴムの物性を測定した。
【0196】
ゴム特性は下記の試験方法で評価した。すなわち、強度特性は引張強さ(TB)により、耐摩耗性はランボーンの方法により、湿潤路面での制動性能(ウエットスキッド)はスペクトロメーターによる0℃でのtanδにより、また転がり抵抗についてはスペクトロメーターにる50℃でtanδにより評価した。
【0197】
試験方法
(1)引張強さ(TB)は、JIS K 6301に準じて測定した。
(2)ランボーン摩耗は、岩本製作所(株)製ランボーン摩耗試験機を用いて以下の条件で測定した。
Figure 0003675140
(3)tanδは、レオメトリックス(株)製ダイナミックスペクトロメーターを用いて、以下の条件で測定した。
測定条件:せん断歪率0.5%、周波数15Hz
【0198】
【表2】
Figure 0003675140
【0199】
【表3】
Figure 0003675140
【0200】
表2、表3の注
*1 重合例1〜5参照
*2 エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム
*3 天然ゴム、RSS#3
*4 スチレン・ブタジエン共重合ゴム、日本合成ゴム(株)製ニッポール1502(商標)
*5 N339、旭カーボン社製、商標
*6 N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
*7 tanδ(0℃)の値が大きいほどブレーキ制動性に優れる。
*8 tanδ(50℃)の値が小さいほど転がり抵抗が小さいため燃費に優れる。

Claims (8)

  1. (A)エチレン(a−1)、炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)、芳香族ビニル化合物(a−3)および非共役ポリエン(a−4)からなり、エチレン(a−1)と炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)とのモル比〔(a−1)/(a−2)〕が100/0〜40/60、エチレン(a−1)および炭素数3以上のα−オレフィン(a−2)と芳香族ビニル化合物(a−3)とのモル比〔[(a−1)+(a−2)]/(a−3)〕が99/1〜85/15であるエチレン・芳香族ビニル系共重合ゴムと、
    (B)ジエン系ゴムと
    を含み、エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)とジエン系ゴム(B)との重量比〔(A)/(B)〕が1/99〜50/50であるタイヤトレッド用ゴム組成物。
  2. エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)の135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が1〜10dl/gである請求項1記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)のヨウ素価が1〜50である請求項1または2記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  4. エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)を構成する非共役ポリエン(a−4)が炭化水素のトリエンまたはテトラエンである請求項1ないし3のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  5. エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)を構成する非共役ポリエン(a−4)が下記一般式(1)で表される非共役トリエンまたはテトラエンである請求項1ないし3のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
    Figure 0003675140
    〔一般式(1)中、pおよびqは0または1(ただしpとqとは同時に0ではない)、fは0〜5の整数(ただしpとqの両方が1の場合fは0ではない)、gは1〜6の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である(ただし、pとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)。Xは
    Figure 0003675140
    である。〕
  6. エチレン・芳香族ビニル系共重合ゴム(A)を構成する非共役ポリエン(a−4)が下記一般式(2)で表される非共役トリエンまたはテトラエンである請求項1ないし3のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
    Figure 0003675140
    〔一般式(2)中、fは0〜5の整数、gは1〜6の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である。Xは
    Figure 0003675140
    である。〕
  7. 非共役トリエンまたはテトラエンが、一分子中に含まれる全ての炭素−炭素二重結合に隣接した全ての炭素原子に直接結合している水素原子の合計が9個以上の非共役トリエンまたはテトラエンである請求項4ないし6のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  8. ジエン系ゴム(B)が天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴムまたはこれらの混合物である請求項1ないし7のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
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