JP3736202B2 - 鎖状トリエン化合物、製造方法、共重合体、組成物および成形体 - Google Patents
鎖状トリエン化合物、製造方法、共重合体、組成物および成形体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規かつ有用な鎖状トリエン化合物およびその製造方法に関するものである。また本発明は、新規かつ有用なα−オレフィン・トリエンランダム共重合体、この共重合体を含む組成物、およびこの組成物からなる成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、1分子中に炭素−炭素二重結合を2個以上有する炭化水素化合物をポリエン化合物と称し、例えば1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエンなど、数多くのものが知られている。
【0003】
このようなポリエン化合物と、例えばエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとを共重合させることによって、加硫可能な不飽和性共重合体を得ることができる。このようなエチレン性不飽和共重合体は、耐候性、耐熱性、耐オゾン性等に優れているところから、自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材料、土木建材用品、ゴム引布等のゴム製品として、またポリプロピレン、ポリスチレン等へのポリマーブレンド用材料などとして広く用いられている。
このようなエチレン性不飽和共重合体の中でも、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体は、他のエチレン性不飽和共重合体に比べて加硫速度が速いので、特に広く用いられている。
【0004】
しかしながら、従来知られているエチレン性不飽和共重合体は、例えば、上記エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体であっても、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム等の通常のジエン系ゴムに比べて加硫速度が遅く、ジエン系ゴムとの共加硫性に劣っている。
【0005】
また、従来のエチレン性不飽和共重合体は、加硫速度が遅いので、加硫時間を短く、あるいは加硫温度を低くし、加硫時の消費エネルギー量を低減して、加硫ゴムを生産性よく製造することが困難である。
従って、エチレンなどのα−オレフィンと共重合させることにより、耐候性、耐熱性および耐オゾン性に優れ、しかも加硫速度が速いエチレン性不飽和共重合体を得ることができるポリエン化合物が出現すれば、その工業的価値はきわめて大きい。
【0006】
ところで、加硫可能な重合体は一般的な性質として、加硫速度が速いものはスコーチ安定性に劣る傾向にある。これは加硫速度が速い重合体は、配合ゴムの貯蔵工程または加硫工程以前の加工工程など、加硫工程以外の工程においても、加硫速度が遅い重合体に比べて架橋反応が進行しやすく、早期加硫するためである。このように高速加硫性とスコーチ安定性とは相反する特性であり、両者の特性を兼ね備えた重合体を得るのは難しい。例えば、エチレン・プロピレン・ENB共重合体において、ENBの含有量を増加させてヨウ素化を大きくすると、この共重合体の加硫速度は速くなるが、スコーチ安定性が低下して加工工程などにおける取扱性が悪くなる。具体的には、吐出量の減少、モーター負荷の増大、シリンダーやダイの詰まり等、粘度上昇速度が速くなることに起因するトラブルが発生しやすくなる。一方ヨウ素化を小さくすると、この共重合体のスコーチ安定性はよくなり取扱性は改善するが、加硫速度が遅くなるため加硫ゴムの生産性が低下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐候性、耐熱性および耐オゾン性に優れるとともに、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れたエチレン性不飽和共重合体を形成することが可能な新規かつ有用な鎖状トリエン化合物を提供することである。
本発明の他の課題は、このような化合物を効率よく製造することができる鎖状トリエン化合物の製造方法を提案することである。
本発明のさらに他の課題は、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れた新規かつ有用なα−オレフィン・トリエン共重合体を提供することである。
本発明のさらに他の課題は、このような共重合体を含む組成物を提供することである。
本発明のさらに他の課題は、このような組成物からなる成形体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の鎖状トリエン化合物、製造方法、共重合体、組成物および成形体である。
(1)下記式(1)で示される鎖状トリエン化合物。
【化8】
(式(1)中、R1 は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R7は炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜5の整数である。ただし、nが2以上である場合は、R4同士またはR5同士は互いに同一でも異なっていてもよい。)
(2)式(1)において、nが1であり、R4およびR5が水素原子である上記(1)記載の鎖状トリエン化合物。
(3)式(1)において、R6およびR7がそれぞれ独立してメチル基またはエチル基である上記(2)記載の鎖状トリエン化合物。
(4)式(1)で示される化合物が4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンである上記(1)記載の鎖状トリエン化合物。
(5)式(1)において、nが1、R3、R4およびR5が水素原子である、式(2)
【化9】
(式(2)中、R1 はメチル基またはエチル基、R2 は水素原子、メチル基またはエチル基、R6およびR7はそれぞれ独立してメチル基またはエチル基である。)
で示される請求項1記載の鎖状トリエン化合物。
(6)式(2)において、R 1 がメチル基、R 2 が水素原子、R 6 がメチル基、R 7 がメチル基である上記(5)記載の鎖状トリエン化合物。
(7)周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、式(3)
【化10】
(式(3)中、R1 は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R7は炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜5の整数である。ただし、nが2以上である場合は、R4同士またはR5同士は互いに同一でも異なっていてもよい。)
で示される共役ジエン構造含有トリエン化合物と、エチレンとを反応させて、前記式(1)で示される鎖状トリエン化合物を製造する鎖状トリエン化合物の製造方法。
(8)周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属のチオシアン酸塩(a−1)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる上記(7)記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
(9)周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、チオシアン化合物(d)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる上記(7)記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
(10)周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属のシアン化物(a−2)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる上記(7)記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
(11)周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、シアン化合物(e)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる上記(7)記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
(12)周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、ニトリル化合物(e−1)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる上記(7)記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
(13)炭素数2〜20のα−オレフィン(A)に由来する構造単位(UA)と、
前記式(28)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)と
を含む共重合体であって、
構造単位(UA)および構造単位(UB-1)の合計量に対する構造単位(UB-1)の含有割合が0.1〜30モル%であり、
デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜10dl/gである
α−オレフィン・トリエンランダム共重合体(以下、第1の共重合体という)。
(14)式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)が、式(1−a)
【化11】
で示される構造単位である上記(13)記載のα−オレフィン・トリエンランダム共重合体。
(15)α−オレフィン(A)が2種以上のα−オレフィンからなる上記(13)記載のα−オレフィン・トリエンランダム共重合体。
(16)α−オレフィン(A)がエチレン(A−1)と炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)とからなり、エチレン(A−1)に由来する構造単位(UA-1)/α−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)のモル比が99/1〜30/70である上記(13)記載のα−オレフィン・トリエンランダム共重合体。
(17)α−オレフィン(A)が炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)と炭素数2〜20のα−オレフィン(A−3)とからなり(ただし、α−オレフィン(A−2)とα−オレフィン(A−3)との種類は異なる)、
炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)70〜99.9モル%、
炭素数2〜20のα−オレフィン(A−3)に由来する構造単位(UA-3)0〜29.9モル%、および
鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)に由来する構造単位0.1〜30モル%
を含有(ここで構造単位(UA-2)、(UA-3)および(UB-1)の合計量は100モル%である)する上記(13)記載のα−オレフィン・トリエンランダム共重合体。
(18)炭素数2〜20のα−オレフィン(A)に由来する構造単位(UA)と、
前記式(28)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)と
を含む共重合体であって、
構造単位(UA)および構造単位(UB-1)の合計量に対する構造単位(UB-1)の含有割合が0.1〜30モル%であり、
デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜10dl/gである
α−オレフィン・トリエンランダム共重合体(I−1)と、
加硫剤(II)および/または充填剤(III)と
を含有するα−オレフィン・トリエンランダム共重合体組成物(以下、第1の組成物という)。
(19)上記(18)記載の組成物からなる成形体。
(20)成形体が押出成形体である上記(19)記載の成形体。
(21)成形体が射出成形体またはトランスファー成形体である上記(19)記載の成形体。
(22)成形体が発泡体である上記(19)記載の成形体。
【0009】
《鎖状トリエン化合物》
前記式(1)においてR1〜R6およびR7で示される炭素数1〜3のアルキル基の具体的なものとしては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基などがあげられる。nは0〜5の整数、好ましくは1〜4の整数である。
【0010】
前記式(1)で示される本発明の鎖状トリエン化合物(以下、鎖状トリエン化合物(B−1)と表記する)では、nが1であり、R4およびR5が全て水素原子である化合物が好ましく、特にR4およびR5が全て水素原子であり、かつR6およびR7がそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である化合物が好ましい。このよう鎖状トリエン化合物(B−1)をモノマー原料として用いてα−オレフィンと共重合した場合、特に後述の第2の共重合体または第3の共重合体を合成した場合に、加硫速度およびスコーチ特性のバランスに優れた共重合体が得られる。
【0011】
前記式(1)で示される本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)の中では、式(1)において、nが1、R3、R4およびR5が水素原子である、前記式(2)で表される鎖状トリエン化合物(以下、鎖状トリエン化合物(B−2)と表記する)が好ましい。
鎖状トリエン化合物(B−2)の中でも、R6およびR7がそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である化合物が好ましい。このような鎖状トリエン化合物(B−2)をモノマー原料として用いて後述の第2の共重合体または第3の共重合体を合成した場合は、加硫速度およびスコーチ特性のバランスにより優れた共重合体が得られる。
【0012】
前記式(1)で示される本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)としては、具体的には下記化合物などがあげられる。
【化12】
【0013】
【化13】
【0014】
【化14】
【0015】
【化15】
【0016】
【化16】
【0017】
【化17】
【0018】
【化18】
【0019】
【化19】
【0020】
本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)の構造は、質量分析、赤外線吸収スペクトルおよび1H−NMRスペクトルなどの方法によって決定することができる。
本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)は、通常立体異性構造(トランス体、シス体)を有しているが、本発明ではこれらの異性体が含まれる。
【0021】
本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)を、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンと共重合させると、高速加硫可能なエチレン性不飽和共重合体を得ることができる。しかもこのエチレン性不飽和共重合体は、耐候性、耐熱性および耐オゾン性にも優れている。
【0022】
前記式(1)で示される本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)をエチレン性不飽和共重合体の製造に用いる場合、鎖状トリエン化合物(B−1)はトランス体およびシス体の混合物であってもよく、トランス体単独またはシス体単独であってもよい。また鎖状トリエン化合物(B−1)をエチレン性不飽和共重合体の製造に用いる場合、R6およびR7が結合している炭素の二重結合に対してアリル位にある水素原子の数が3個以上であることが好ましく、6個以上であることがさらに好ましい。
【0023】
《鎖状トリエン化合物の製造方法》
前記式(1)で示される本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)は、前記式(3)で示される共役ジエン構造含有トリエン化合物、すなわち共役ジエン構造を含有するトリエン化合物と、エチレンとを反応させることにより製造することができる。
【0024】
前記式(3)においてR1〜R6およびR7で示される炭素数1〜3のアルキル基はそれぞれ前記式(1)のR1〜R6およびR7と同じアルキル基であり、具体的なものとしては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基などがあげられる。
【0025】
【化20】
【0026】
【化21】
【0027】
【化22】
【0028】
【化23】
【0029】
【化24】
【0030】
【化25】
【0031】
【化26】
【0032】
前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)は、式(4)
【化27】
(式(4)中、R1、R2、R6およびR7はそれぞれ前記式(2)のものと同じである。)
で示される共役ジエン構造を有するトリエン化合物(共役ジエン構造含有トリエン化合物)とエチレンとを反応させることにより製造することができる。
【0033】
【化28】
【0034】
前記式(3)で示される共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとの反応は、下記式(5)で示すことができる。
【化29】
(式(5)中、R1〜R7およびnは前記式(1)または(3)と同じである。)
【0035】
上記式(5)反応によると、本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)は、通常トランス体とシス体との混合物として得られる。鎖状トリエン化合物(B−1)の構造によっては、蒸留によってトランス体とシス体とを分離することができる。
【0036】
なお前記式(3)で示される共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとの反応では、目的とする本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)と共に、式(6)
【化30】
(式(6)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R7は炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜5の整数である。ただし、nが2以上である場合は、R4同士またはR5同士は互いに同一でも異なっていてもよい。)。
で表される分岐鎖状トリエン化合物が副生する場合もあるが、この副生物は、必要に応じて、蒸留などの公知の方法により目的とする本発明の鎖状トリエン化合物(B−1)から分離することができる。
【0037】
本発明の製造方法において、前記式(3)で示される共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとの反応条件は、原料として用いる共役ジエン構造含有トリエン化合物によっても異なるが、温度が通常30〜200℃、好ましくは50〜150℃、エチレン圧が通常0.05〜9.8MPa(0.5〜100kgf/cm2、ゲージ圧)、好ましくは0.2〜6.9MPa(2〜70kgf/cm2、ゲージ圧)の条件で行うのが望ましい。反応時間は特に限定されないが、通常0.5〜30時間とするのが望ましい。また反応雰囲気は、エチレン単独の雰囲気でもよく、あるいはエチレンと共に窒素やアルゴン等の不活性ガスを含む雰囲気でもよい。
【0038】
上記反応において、反応溶媒は特に用いる必要はないが、用いてもよい。この場合、反応溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、トリデカン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒を好ましく用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0039】
前記式(3)で示される共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとの反応は、通常触媒の存在下に行われる。触媒としては、遷移金属化合物(a)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒などを使用することができる。
【0040】
上記遷移金属化合物(a)としては鉄、ルテニウム等の8族;コバルト、ロジウム、イリジウム等の9族;およびニッケル、パラジウム等の10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物、例えば上記遷移金属のチオシアン酸塩、シアン化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩などをあげることができる。遷移金属化合物(a)としては、上記遷移金属のチオシアン酸塩(a−1)およびシアン化物(a−2)が好ましい。
【0041】
触媒成分として用いる上記遷移金属のチオシアン酸塩(a−1)としては、具体的には鉄、ルテニウム等の8族;コバルト、ロジウム、イリジウム等の9族;およびニッケル、パラジウム等の10族からなる群から選ばれる遷移金属のチオシアン酸塩をあげることができる。このような遷移金属のチオシアン酸塩(a−1)としてはチオシアン酸コバルト(II)またはチオシアン酸鉄(II)等が好ましく、特にチオシアン酸コバルト(II)が好ましい。
【0042】
触媒成分として用いる前記遷移金属のシアン化物(a−2)としては、具体的には鉄、ルテニウム等の8族;コバルト、ロジウム、イリジウム等の9族;およびニッケル、パラジウム等の10族からなる群から選ばれる遷移金属のシアン化物をあげることができる。このような遷移金属のシアン化物(a−2)としてはシアン化コバルト(II)またはシアン化鉄(II)等が好ましく、特にシアン化コバルト(II)が好ましい。
【0043】
また触媒としては鉄、ルテニウム等の8族;コバルト、ロジウム、イリジウム等の9族;およびニッケル、パラジウム等の10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、チオシアン化合物(d)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒を使用することもできる。なおこの場合に使用する遷移金属化合物(a)としては、遷移金属のチオシアン酸塩または遷移金属のシアン化物以外の遷移金属化合物を使用するのが好ましい。
【0044】
また触媒としては鉄、ルテニウム等の8族;コバルト、ロジウム、イリジウム等の9族;およびニッケル、パラジウム等の10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、シアン化合物(e)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒を使用することもできる。なおこの場合に使用する遷移金属化合物(a)としては、遷移金属のチオシアン酸塩または遷移金属のシアン化物以外の遷移金属化合物を使用するのが好ましい。
【0045】
チオシアン化合物(d)またはシアン化合物(e)と組み合せて用いる遷移金属化合物(a)としては、具体的には鉄、ルテニウム等の8族;コバルト、ロジウム、イリジウム等の9族;ニッケル、パラジウム等の10族から選ばれる遷移金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩などをあげることができる。これらの中ではコバルト(II)アセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート、硝酸コバルト(II)、塩化コバルト(II)または酢酸コバルト(II)等が好ましく、特にコバルト(II)アセチルアセトナート、硝酸コバルト(II)、塩化コバルト(II)または酢酸コバルト(II)が好ましい。
【0046】
遷移金属化合物(a)と組み合せて用いる前記チオシアン化合物(d)としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等のチオシアン酸塩;チオシアン酸メチル、チオシアン酸エチル、チオシアン酸フェニル等のチオシアン酸エステルなどをあげることができる。これらの中ではチオシアン酸塩が好ましく、特にチオシアン酸カリウムが好ましい。
【0047】
遷移金属化合物(a)と組み合せて用いる前記シアン化合物(e)としては、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化アンモニウム等のイオン性シアン化物;アセトニトリル、アクリロニトリル、ベンゾニトリル、フタロニトリル、アジポニトリル等のニトリル化合物(e−1)などをあげることができる。これらの中ではニトリル化合物(e−1)が好ましく、特にアセトニトリル、ベンゾニトリルが好ましい。
【0048】
前記遷移金属化合物(a)は、そのままでも触媒の調製に用いることができる。しかし、本発明によれば、触媒の調製のためには、遷移金属化合物(a)は、これに有機配位子が配位した遷移金属錯体(b)として用いることが有利である。すなわち、遷移金属化合物(a)と共に、上記遷移金属の配位子となり得る有機化合物(f)、すなわち配位化合物を反応系に共存させるか、または予め遷移金属化合物(a)と上記配位化合物とから遷移金属錯体(b)を調製して、触媒の調製に用いることが好ましい。
【0049】
このような配位子となり得る有機化合物(f)としては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセチルアセトン等の含酸素化合物;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アニリン、ジフェニルアミン、ピリジン、ピコリン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン等の含窒素化合物;トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフェート等の含リン化合物などをあげることができる。
これらの中では含リン化合物が好ましく、特にトリ−o−トリルホスフィンが好ましい。
【0050】
触媒成分として用いる前記有機アルミニウム化合物(c)としては、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシドなどを用いることができる。これらの中ではトリエチルアルミニウムが好ましい。有機アルミニウム化合物(c)はそのまま用いてもよく、またトルエン溶液やヘキサン溶液として用いることもできる。
【0051】
本発明の製造方法では、下記1)〜7)のいずれかの触媒の存在下に、前記式(3)で示される共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとの反応を行うと、前記式(1)または(2)で示される鎖状トリエン化合物が効率よく得られるので好ましい。
1)前記遷移金属のチオシアン酸塩(a−1)と有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒。
2)前記遷移金属化合物(a)とチオシアン化合物(d)と有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒。
3)前記遷移金属のシアン化物(a−2)と有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒。
4)前記遷移金属化合物(a)とシアン化合物(e)と有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒。
5)前記遷移金属化合物(a)とニトリル化合物(e−1)と有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒。
6)前記遷移金属化合物(a)と、アセトニトリルまたはベンゾニトリルと、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒。
7)上記1)〜6)の触媒において、遷移金属化合物(a)、遷移金属のチオシアン酸塩(a−1)または遷移金属のシアン化物(a−2)の代わりに、そのそれぞれに配位化合物(f)が配位した遷移金属錯体(b)を用いてなる触媒。
【0052】
本発明の製造方法における触媒の使用量は、通常前記遷移金属化合物(a)が前記共役ジエン構造含有トリエン化合物に対して0.001〜10モル%、好ましくは0.01〜1モル%の範囲になるように用いられる。また前記配位子となり得る有機化合物(f)(配位化合物)は、前記遷移金属化合物(a)に対して通常20倍モル以下、好ましくは0.1〜10倍モルの範囲で用いられる。また前記有機アルミニウム化合物(c)は、遷移金属化合物(a)に対して1〜200倍モル、好ましくは3〜100倍モルの範囲で用いられる。
【0053】
共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとの反応の終了後は、反応混合物から常法、例えば蒸留等により溶媒、副生成物等を除去し、前記式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)を取得することができる。上記反応時に触媒を用いた場合には、反応混合物に水洗を施す等の脱灰処理を行うことが好ましい。
【0054】
《第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)》次に、本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)について説明する。
【0055】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)を構成する炭素数2〜20のα−オレフィン(A)としては、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどがあげられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。α−オレフィン(A)の中ではエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンなどの炭素数2〜8のα−オレフィンが好ましい。
【0056】
前記式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)の中では、nが1であり、R4およびR5が水素原子である鎖状トリエン化合物(B−1)が好ましい。このような鎖状トリエン化合物(B−1)の中でも、R6およびR7がそれぞれ独立してメチル基またはエチル基である鎖状トリエン化合物(B−1)が好ましい。このような鎖状トリエン化合物(B−1)をモノマー原料として用いて得られる本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、加硫速度およびスコーチ特性のバランスに優れている。
【0057】
前記式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)は、通常立体異性構造(トランス体、シス体)を有しているが、モノマーとして用いる鎖状トリエン化合物(B−1)はトランス体およびシス体の混合物であってもよく、またトランス体単独またはシス体単独であってもよい。
【0058】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、炭素数2〜20のα−オレフィン(A)、および前記式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位が、それぞれランダムに配列して結合している。そして下記式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)に起因する不飽和結合を有している。本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)の主鎖は実質的に線状構造である。第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)が実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、共重合体(I−1)が有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。例えば、極限粘度〔η〕を測定する際に、共重合体(I−1)が135℃、デカリン(デカヒドロナフタレン)に完全に溶解することにより確認することができる。
【0059】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、種々のゴム製品の原料や樹脂改質剤などの用途に利用することができるが、グラスランチャネル、ワイパーブレード、ウェーザーストリップスポンジなどの押出成形体用のゴム原料;型内発泡成形スポンジなどの射出成形体またはトランスファー成形体用のゴム原料等として好適に使用することができる。
【0060】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、前記式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)の含有量が0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜10モル%である。鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)の含有量が上記範囲にある場合、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れた本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)が得られる。
【0061】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、135℃、デカリン中で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜10dl/g、好ましくは0.5〜5dl/g、さらに好ましくは1.0〜4.5dl/gである。極限粘度〔η〕が上記範囲にある場合、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れた本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)が得られる。
【0062】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)においては、鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)は、実質的に前記式(1−a)で表される構造を有している。
【0063】
なお前記式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)が上記式(1−a)で示される構造を有していることは、第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0064】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、α−オレフィン(A)がエチレン(A−1)と炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)とからなり、エチレン(A−1)に由来する構造単位(UA-1)/α−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)のモル比が99/1〜30/70、好ましくは90/10〜50/50であるα−オレフィン・トリエンランダム共重合体が好ましい。(UA-1)/(UA-2)のモル比が上記範囲にある場合、共重合体は好適なゴム物性を示す。
【0065】
また本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、α−オレフィン(A)が炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)と必要に応じて炭素数2〜20のα−オレフィン(A−3)とからなり(ただし、α−オレフィン(A−2)とα−オレフィン(A−3)との種類は異なる)、
炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)70〜99.9モル%、好ましくは75〜95モル%、
炭素数2〜20のα−オレフィン(A−3)に由来する構造単位(UA-3)0〜29.9モル%、好ましくは1〜25モル%、および
鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)に由来する構造単位0.1〜30モル%、好ましくは0.2〜10モル%
を含有(ここで構造単位(UA-2)、(UA-3)および(UB-1)の合計量は100モル%である)するα−オレフィン・トリエンランダム共重合体が好ましい。各構造単位の含有量が上記範囲にある場合、共重合体は好適なゴム物性を示す。
【0066】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)には炭素数2〜20のα−オレフィン(A)および前記式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)以外に、これらと共重合可能な化合物が他のモノマーとして共重合されていてもよい。他のモノマーとしては、非共役ジエン、環状オレフィンなどがあげられる。他のモノマーに由来する構造単位の含有量は、全モノマーに由来する構造単位に対する割合として30モル%以下、好ましくは0.5〜10モル%であるのが望ましい。上記他のモノマーとしては、後述する第2の共重合体で例示するモノマーと同じものが使用できる。
【0067】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れるほか、耐候性、耐熱性、耐オゾン性などにも優れている。
【0068】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、未加硫のまま用いてもよく、また後述するような加硫方法により加硫して加硫状態で用いてもよいが、加硫状態で用いるとその特性が一層発揮される。加硫する場合には加硫速度は速いが、スコーチ時間は短くならない。
【0069】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、種々のゴム製品の材料または樹脂改質剤として特に好ましく用いられる。
ゴム製品としては自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品およびゴム引布などがあげられる。具体的なものとしては、グラスランチャネル、ワイパーブレード、ウェザーストリップ、スポンジ、ホース類、グロメット、タイヤサイドウォール、電線被覆材、ガスケットなどがあげられる。
【0070】
また本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)を樹脂改質剤として用い、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリスチレンなどの樹脂に添加すると、樹脂の耐衝撃性および耐ストレスクラック性などが飛躍的に向上する。
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は単独で加硫してもよいし、他のゴム材料と共加硫してもよい。
【0071】
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は加硫速度が速いので、加硫剤を多量に用いなくても従来の不飽和性のオレフィン系共重合体に比べて短い時間で、あるいは低温で加硫することができる。また本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)はスコーチ安定性に優れているので、発泡成形時の発泡倍率が安定し、発泡体を生産性よく製造することができる。すなわち、発泡体の発泡倍率は、原料樹脂の初期粘度と、成形中の粘度の上昇速度と、発泡剤の分解速度との微妙なバランスで決まり、粘度の上昇速度が大きいほど短時間に粘度が大きく変化するので発泡倍率の制御が難しくなるが、本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)はスコーチ安定性に優れているので発泡成形中の粘度上昇が小さく、このため安定した発泡倍率の発泡体を効率よく製造することができる。さらに本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)はスコーチ安定性に優れているので、加工時の取扱の安定性にも優れており、例えば押出機で加工する場合、押出機中で加硫が進行して粘度が上昇することに起因する吐出量の減少、モーター負荷の増大、またはシリンダーやダイの詰まり等、粘度上昇によるトラブルが防止される。
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は上記のような特性を有しながら、かつ耐熱老化性に優れることも特徴である。
【0072】
《第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)の製造》
本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、後述の第2の共重合体の製造と同じ方法で製造することができる。すなわち炭素数2〜20のα−オレフィン、前記式(1)で示される鎖状トリエン化合物(B−1)、および必要により共重合される他のモノマーを、後述の第2の共重合体の製造方法で例示したものと同じ触媒の存在下に、同じ条件で共重合させることにより製造することができる。
【0073】
上記のようにして得られる本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れるほか、耐候性、耐熱性、耐オゾン性などにも優れ、種々のゴム製品の材料や樹脂改質剤などの用途に利用できる。また、本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)を加硫して得られる加硫ゴム製品は、耐候性、耐熱性および耐オゾン性に優れるとともに、ゴム弾性などにも優れている。本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)を用いて加硫ゴム製品を製造する場合、第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は高速加硫することができるので、加硫ゴム製品を高い生産性で得ることができる。
【0074】
本発明の第1の組成物は、前記本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)と、加硫剤(II)および/または充填剤(III)とを含む組成物である。このような本発明の第1の組成物は、加硫可能なゴム組成物であり、未加硫のままで用いることもできるが、加硫物として用いると、より一層優れた特性を発現させることができる。
【0075】
本発明の第1の組成物を加硫して得られる加硫ゴム製品は、耐候性、耐熱性、耐オゾン性および耐動的疲労性に優れるとともに、ゴム弾性および低温柔軟性などにも優れている。本発明の第1の組成物を用いて加硫ゴム製品を製造する場合、第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)は高速加硫することができるので、加硫ゴム製品を高い生産性で得ることができる。また添加する加硫剤(II)、加硫促進剤なども少量にすることができ、このためブルームの程度が小さく、外観のよい加硫ゴム製品を得ることもできる。
【0076】
本発明の第1の組成物の加硫は、後述する第2の組成物の場合と同じ方法により行うことができる。すなわち、後述する第2の組成物の場合と同じ加硫剤(II)、加硫促進剤、加硫助剤などの加硫系を構成する化合物を配合して、後述する第2の組成物の場合と同じ前記と同じ条件で加硫することができる。
【0077】
本発明の第1の組成物に配合する充填剤(III)としては、後述する第2の組成物の場合と同じ補強剤および軟化剤があげられる。これらの補強剤および軟化剤の配合量も後述する第2の組成物の場合と同じである。
【0078】
本発明の第1の組成物には、上記成分の他にも、他の成分として発泡剤、発泡助剤等の発泡系を構成する化合物、酸化防止剤(安定剤)、加工助剤、可塑剤、着色剤、他のゴム配合剤など、種々の薬剤などを配合することができる。他の成分は、用途に応じてその種類、含有量が適宜選択される。
【0079】
本発明の第1の組成物は、発泡剤、発泡助剤などの発泡系を構成する化合物を含有する場合には、発泡成形することができる。発泡成形も後述する第2の組成物の場合と同じ方法で行うことができる。すなわち、使用する発泡剤、発泡助剤、これらの使用量は後述する第2の組成物の場合と同じである。
【0080】
本発明の第1の組成物に他の成分として配合することができる酸化防止剤(安定剤)、加工助剤としては、後述する第2の組成物の場合と同じものがあげられ、その配合量も前記と同じである。
【0081】
本発明の第1の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)以外の公知の他のゴムを含んでいてもよい。このような他のゴムとしては、後述する第2の組成物の場合と同じものがあげられ、その配合量も前記と同じであり、この場合ゴム組成物としての良好な物性が発現する。
【0082】
本発明の第1の組成物は、第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)を、全組成物中20重量%以上、好ましくは25重量%以上の量で含有していることが望ましい。第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)の含有量がこの範囲にある場合、ゴム組成物としての良好な物性が発現する。
【0083】
本発明の第1の組成物は自動車工業部品、自動車用防振ゴム、工業用ゴム製品、電気絶縁材料、土木建材用品、ゴム引布などのゴム製品の原料として幅広く利用することができるが、特にシールゴム、グラスランチャネルゴム、ワイパーブレードゴム、ウェザーストリップスポンジゴムなどの押出成形体のゴム原料;型内発泡成形スポンジゴム、自動車のドアのシール用スポンジゴムなどの射出成形体またはトランスファー成形体のゴム原料等として好適に利用することができる。前記シールゴムの具体的なものとしては、後述する第2の組成物の場合と同じものがあげられる。
【0084】
本発明の第1の組成物を上記のようなシールゴム、グラスランチャネルゴム、ワイパーブレードゴム、ウェザーストリップスポンジゴム、型内発泡成形スポンジゴムの原料などとして用いた場合、ゴム弾性、耐候性、耐熱性、耐オゾン性、低温柔軟性などに優れたゴム製品を、高速加硫して高い生産性で得ることができる。例えば、ウェザーストリップスポンジゴムを製造する場合、押出成形体を短時間で加硫して生産性よく製造することができる。この場合、短時間で加硫しても加硫は十分に進行し、優れたゴム弾性を有するゴム製品が得られる。
【0085】
本発明の第1の組成物は、第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)用いること以外は後述する第2の組成物の場合と同じ調製方法によって調製することができる。
【0086】
本発明の第1の組成物の加硫物(加硫ゴム)は、上記のような未加硫のゴム組成物を、通常押出成形機、カレンダーロール、プレス、射出成形機またはトランスファー成形機などの成形機を用いた種々の成形法よって所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱するか、あるいは電子線を照射することにより加硫して得ることができる。発泡体の場合は、発泡剤を配合した未加硫のゴム配合物を上記のような方法で加硫することにより、加硫とともに発泡が進行し、発泡体が得られる。これらの方法も後述する第2の組成物の場合と同じである。
【0087】
上記のように成形・加硫された加硫ゴム、および加硫発泡体は、後述する第2の組成物の場合と同じ用途に用いることができる。
本発明の第1の組成物からなる成形品がシートまたはフィルムである場合、本発明の第1の組成物からなる層に、他のゴムまたは樹脂からなる他の層が1層以上積層されて複合化された積層体であってもよい。他の層の原料としては、前記共役ジエン系ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどがあげられる。
【0088】
また本発明の第1の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−1)はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂;AES、ABS等の樹脂などとブレンドし、樹脂組成物として使用することもできる。この場合のブレンド割合、使用できる他の柔軟成分なども後述する第2の組成物の場合と同じである。また使用できる架橋剤、架橋方法も後述する第2の組成物の場合と同じである。
【0089】
本発明の第1の共重合体の中でも、次の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体(I−2))、および第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体(I−3))が好ましい。
【0090】
本発明の第1の組成物の中でも、次の第2の組成物(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体組成物)、および第3の組成物(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体組成物)が好ましい。
【0091】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体(I−2))は、
エチレン(A−1)に由来する構造単位(UA-1)と、炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)と、前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)とを含む共重合体であって、
エチレン(A−1)に由来する構造単位(UA-1)と炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)とのモル比(UA-1/UA-2)が99/1〜30/70であり、デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜10dl/gであり、前記鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が0.1〜30モル%であるエチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体である。
【0092】
本発明の第2の組成物(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体組成物)は、前記エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体(I−2)と、加硫剤(II)および/または充填剤(III)とを含有するエチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体組成物である。
【0093】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体(I−3))は、
炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)70〜99.9モル%、炭素数2〜20のα−オレフィン(A−3)に由来する構造単位(UA-3)0〜30モル%、および前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)0.1〜30モル%を含む(ここで構造単位(UA-2)、(UA-3)および(UB-2)の合計量は100モル%である)共重合体であって、
デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜10dl/gであるα−オレフィン・トリエンランダム共重合体である。
【0094】
本発明の第3の組成物(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体組成物)は、α−オレフィン・トリエンランダム共重合体(I−3)と、加硫剤(II)および/または充填剤(III)とを含有するα−オレフィン・トリエンランダム共重合体組成物である。
【0095】
《第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)》
次に、本発明の共重合体の中で好ましい共重合体である第2の共重合体について説明する。
【0096】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を構成する炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)としては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどがあげられる。これらの中ではプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンなどの炭素数3〜8のα−オレフィンが好ましい。
【0097】
前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)の中では、R3およびR4がどちらもメチル基である化合物が好ましく、このような鎖状トリエン化合物(B−2)をモノマー原料として用いて得られる本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、加硫速度およびスコーチ特性のバランスに特に優れている。
前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)としては、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(以下、DMDTと略記する場合がある。)が好ましい。
【0098】
前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)は、通常立体異性構造(トランス体、シス体)を有しているが、モノマーとして用いる鎖状トリエン化合物(B−2)はトランス体およびシス体の混合物であってもよく、またトランス体単独またはシス体単独であってもよい。
【0099】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、エチレン(A−1)、炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)、および前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位が、それぞれランダムに配列して結合している。そして前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)に起因する不飽和結合を有している。本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)の主鎖は実質的に線状構造である。第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)が実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、共重合体(I−2)が有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。例えば、極限粘度〔η〕を測定する際に、共重合体(I−2)が135℃、デカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0100】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、エチレン(A−1)に由来する構造単位(UA-1)とα−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)とのモル比(UA-1/UA-2、以下エチレン/α−オレフィンと記載する場合もある)が99/1〜30/70、好ましくは90/10〜50/50である。このモル比が上記範囲にある場合、好適なゴム物性を示す本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)が得られる。
【0101】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、種々のゴム製品の原料や樹脂改質剤などの用途に利用することができるが、グラスランチャネル、ワイパーブレード、ウェーザーストリップスポンジなどの押出成形体用のゴム原料;型内発泡成形スポンジなどの射出成形体またはトランスファー成形体用のゴム原料等として好適に使用することができる。
【0102】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をグラスランチャネルゴム用の原料として使用する場合、エチレン/α−オレフィンのモル比は、特に85/15〜50/50、中でも80/20〜65/35であるのが望ましい。モル比が上記範囲にある場合、特にゴム弾性、低温柔軟性に優れたグラスランチャネルが得られる。
【0103】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をワイパーブレードゴム用の原料として使用する場合、エチレン/α−オレフィンのモル比は、特に80/20〜60/40、中でも80/20〜70/30であるのが望ましい。モル比が上記範囲にある場合、特にゴム弾性、低温柔軟性に優れたワイパーブレードが得られる。
【0104】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をウェザーストリップスポンジゴム用の原料として使用する場合、エチレン/α−オレフィンのモル比は、特に85/15〜60/40、中でも80/20〜65/35であるのが望ましい。モル比が上記範囲にある場合、特にゴム弾性、低温柔軟性に優れたウェザーストリップが得られる。
【0105】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を射出成形機またはトランスファー成形機を用いた型内発泡成形スポンジゴム用の原料として使用する場合、エチレン/α−オレフィンのモル比は、特に80/20〜60/40、中でも80/20〜70/30であるのが望ましい。モル比が上記範囲にある場合、特にゴム弾性、低温柔軟性に優れた型内発泡成形スポンジゴムが得られる。
【0106】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜10モル%である。鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が上記範囲にある場合、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れた本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)が得られる。
【0107】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をグラスランチャネルゴム用の原料として使用する場合、鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量は、特に0.5〜3.7モル%、中でも1.3〜3.3モル%であるのが望ましい。鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が上記範囲にある場合、特にゴム弾性、低温柔軟性に優れたグラスランチャネルが得られる。なお鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が上記範囲にある場合、ヨウ素価は通常10〜50、好ましくは20〜45の範囲にある。
【0108】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をワイパーブレードゴム用の原料として使用する場合、鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量は、特に0.3〜2.8モル%、中でも0.5〜2.8モル%であるのが望ましい。鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が上記範囲にある場合、特にゴム弾性、低温柔軟性に優れたワイパーブレードが得られる。なお鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が上記範囲にある場合、ヨウ素価は通常5〜40、好ましくは10〜40の範囲にある。
【0109】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をウェザーストリップスポンジゴム用の原料として使用する場合、鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量は、特に0.5〜3.7モル%、中でも1.3〜3.3モル%であるのが望ましい。鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が上記範囲にある場合、特にゴム弾性、低温柔軟性に優れたウェザーストリップが得られる。なお鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が上記範囲にある場合、ヨウ素価は通常10〜50、好ましくは20〜45の範囲にある。
【0110】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を射出成形機またはトランスファー成形機を用いた型内発泡成形スポンジゴム用の原料として使用する場合、鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量は、特に0.5〜3.7モル%、中でも1.3〜3.3モル%であるのが望ましい。鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が上記範囲にある場合、特にゴム弾性、低温柔軟性に優れた型内発泡成形スポンジゴムが得られる。なお鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)の含有量が上記範囲にある場合、ヨウ素価は通常10〜50、好ましくは20〜45の範囲にある。
【0111】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、135℃、デカリン中で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜10dl/g、好ましくは0.5〜5dl/gである。極限粘度〔η〕が上記範囲にある場合、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れた本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)が得られる。
【0112】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をグラスランチャネルゴム用の原料として使用する場合、極限粘度〔η〕は、特に1.2〜4.5dl/g、中でも2.0〜3.5dl/gであるのが望ましい。極限粘度〔η〕が上記範囲にある場合、特に加工性と強度とのバランスに優れたグラスランチャネルが得られる。
【0113】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をワイパーブレードゴム用の原料として使用する場合、極限粘度〔η〕は、特に0.7〜4.5dl/g、中でも1.5〜3.3dl/gであるのが望ましい。極限粘度〔η〕が上記範囲にある場合、特に加工性と強度とのバランスに優れたワイパーブレードが得られる。
【0114】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をウェザーストリップスポンジゴム用の原料として使用する場合、極限粘度〔η〕は、特に1.2〜5.0dl/g、中でも2.0〜4.5dl/gであるのが望ましい。極限粘度〔η〕が上記範囲にある場合、特に高充填率と強度とのバランスに優れたウェザーストリップが得られる。
【0115】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を射出成形機またはトランスファー成形機を用いた型内発泡成形スポンジゴム用の原料として使用する場合、極限粘度〔η〕は、特に0.5〜2.0dl/g、中でも0.7〜1.4dl/gであるのが望ましい。極限粘度〔η〕が上記範囲にある場合、特に型内での流動性に優れた型内発泡成形スポンジゴムが得られる。
【0116】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)においては、鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)は、実質的に下記式(2−a)で表される構造を有している。
【化31】
(式(2−a)中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基またはエチル基、R3およびR4はそれぞれ独立してメチル基またはエチル基である。)
【0117】
なお前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)が上記式(2−a)で示される構造を有していることは、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0118】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)にはエチレン(A−1)、炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)および前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)以外に、これらと共重合可能な化合物が他のモノマーとして共重合されていてもよい。他のモノマーとしては、非共役ジエン、環状オレフィンなどがあげられる。他のモノマーに由来する構造単位の含有量は、全モノマーに由来する構造単位に対する割合として30モル%以下、好ましくは0.5〜10モル%であるのが望ましい。
【0119】
上記他のモノマーとして用いる非共役ジエンとしては、炭素・炭素二重結合(C=C)のうち重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に2個存在する非共役ジエン、あるいは炭素・炭素二重結合のうち重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に1個のみ存在する非共役ジエンなどがあげれる。なお重合可能な炭素・炭素二重結合とは、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)の製造に用いる触媒により重合可能なことを意味する。
【0120】
非共役ジエンを共重合することにより、加硫速度の調節が可能である。また重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に2個存在する非共役ジエンを共重合した場合、長鎖分岐が導入され、成形性が向上する。
【0121】
他のモノマーとして用いる重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に2個存在する非共役ジエンの具体的なものとしては、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン等の5−アルケニル−2−ノルボルネン;2,5−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3,8−ジエン等の脂環族ジエン;1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のα,ω−ジエンなどがあげられる。これらの中では5−アルケニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、1,7−オクタジエンが好ましく、特に5−アルケニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエンが好ましい。
【0122】
他のモノマーとして用いる重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に1個のみ存在する非共役ジエンとしては、1個の炭素・炭素二重結合のみは分子末端にビニル基(CH2=CH−)として存在し、他の炭素・炭素二重結合は分子鎖(主鎖、側鎖を含む)中に内部オレフィン構造の形で存在している非共役ジエンが好ましい。重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に1個のみ存在する非共役ジエンとしては、脂肪族ジエン、あるいは1個の炭素・炭素二重結合を有する脂環部と、内部オレフィン結合(炭素・炭素二重結合)を有する鎖状部分とから構成される脂環族ジエンなどがあげられる。これらの中では脂環族ジエンが好ましい。
【0123】
他のモノマーとして用いる重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に1個のみ存在する上記脂肪族ジエンの具体的なものとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、
3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、
5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、
4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチル1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、
4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−ノナジエン、4−エチル−1,4−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエン、
5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−1,8−デカジエン、
6−メチル−1,6−ウンデカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジエンなどがあげられる。
【0124】
他のモノマーとして用いる重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に1個のみ存在する前記脂環族ジエンの具体的なものとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン等のノルボルネン誘導体;2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、2−エチル−2,5−ノルボルナジエン等のノルボルナジエン誘導体などがあげられる。これらの中では5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
他のモノマーとして用いる非共役ジエンは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0125】
他のモノマーとして用いる前記環状オレフィンとしては、下記式(7−1)または(7−2)で表される環状オレフィンなどがあげられる。
【化32】
[式(7−1)中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表し、R15とR16は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつこの単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。ここでqが0の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成する。
式(7−2)中、mは0または正の整数であり、hは0または正の整数であり、jおよびkは0、1または2であり、R7〜R15およびR17〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表し、R19〜R27は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる原子または基を表す。]
【0126】
前記式(7−1)において、R1〜R18ならびにRa、Rbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表す。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0127】
また炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基などをあげることができる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、へキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などをあげることができる。ハロゲン化アルキル基としては、上記のようなアルキル基を形成している水素原子の少なくとも一部がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基をあげることができる。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などをあげることができる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基およびナフチル基などをあげることができる。
【0128】
さらに前記式(7−1)において、R15とR16とが、R17とR18とが、R15とR17とが、R16とR18とが、R15とR18とが、あるいはR16とR17とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものをあげることができる。
【0129】
【化33】
なお上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、式(7−1)においてそれぞれR15(R16)またはR17(R18)が結合している炭素原子を表す。
【0130】
また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基などをあげることができる。
【0131】
前記式(7−1)の中で好ましい環状オレフィンとして、下記式(7−3)で表される環状オレフィンをあげることができる。
【化34】
上記式(7−3)において、n、m、R1〜R18は前記式(7−1)と同じものを表す。
【0132】
前記式(7−2)において、mは0または正の整数であり、hは0または正の整数であり、jおよびkは0、1または2である。また、R7〜R15およびR17〜R18は式(7−1)と同じものを表す。さらに、R19〜R27はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる原子または基を表す。
ここでハロゲン原子は、前記式(7−1)におけるハロゲン原子と同じである。
【0133】
また式(7−2)のR19〜R27の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基などをあげることができる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、へキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などをあげることができる。ハロゲン化アルキル基としては、上記のようなアルキル基を形成している水素原子の少なくとも一部がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基をあげることができる。
【0134】
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などをあげることができる。芳香族炭化水素基としては、アリール基およびアラルキル基などをあげることができ、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基などをあげることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などをあげることができる。
【0135】
ここで、R17およびR18が結合している炭素原子と、R21が結合している炭素原子またはR19が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R17およびR21で表される基が、またはR18およびR19で表される基が互いに共同して、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)またはトリメチレン基(−CH2CH2CH2−)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
【0136】
さらに、j=k=0のとき、R23とR20またはR23とR27とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多環の芳香族環の例としては、j=k=0のときR23とR20がさらに芳香族環を形成している以下に記載する基などをあげることができる。
【0137】
【化35】
上記式において、hは式(7−2)におけるhと同じものを表す。
【0138】
上記のような式(7−1)または(7−2)で表される環状オレフィンとしては、具体的には、
ビシクロ[2.2.1]へプト-2-エンまたはその誘導体、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンまたはその誘導体、
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-へプタデセンまたはその誘導体、
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,6.012,17]-5-ドコセンまたはその誘導体、
ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセンまたはその誘導体、
へプタシクロ-5-エイコセンまたはその誘導体、
へプタシクロ-5-へンエイコセンまたはその誘導体、
トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンまたはその誘導体、
トリシクロ[1.4.0.12,5]-3-ウンデセンまたはその誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,5.02,7.03,13]-4-ペンタデセンまたはその誘導体、
ペンタシクロペンタデカジエンまたはその誘導体、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセンまたはその誘導体、
へプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エイコセンまたはその誘導体、
ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]-5-ペンタコセンまたはその誘導体、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘキサデセンまたはその誘導体、
へプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-へンエイコセンまたはその誘導体、
ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコセンまたはその誘導体、
1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレンまたはその誘導体、
1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-へキサヒドロアントラセンまたはその誘導体、および
シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物などをあげることができる。
【0139】
前記式(7−1)または(7−2)で表される環状オレフィンは、シクロペンタジエン類と対応する構造を有するオレフィン類とのディールス・アルダー反応により製造することができる。
これらの環状オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合せて用いることができる。
【0140】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れるほか、耐候性、耐熱性、耐オゾン性などにも優れている。
【0141】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、未加硫のまま用いてもよく、また後述するような加硫方法により加硫して加硫状態で用いてもよいが、加硫状態で用いるとその特性が一層発揮される。加硫する場合には加硫速度は速いが、スコーチ時間は短くならない。
【0142】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、種々のゴム製品の材料または樹脂改質剤として特に好ましく用いられる。
ゴム製品としては自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品およびゴム引布などがあげられる。具体的なものとしては、グラスランチャネル、ワイパーブレード、ウェザーストリップ、スポンジ、ホース類、グロメット、タイヤサイドウォール、電線被覆材、ガスケットなどがあげられる。
【0143】
また本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を樹脂改質剤として用い、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリスチレンなどの樹脂に添加すると、樹脂の耐衝撃性および耐ストレスクラック性などが飛躍的に向上する。
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は単独で加硫してもよいし、他のゴム材料と共加硫してもよい。
【0144】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は加硫速度が速いので、加硫剤を多量に用いなくても従来の不飽和性のオレフィン系共重合体に比べて短い時間で、あるいは低温で加硫することができる。また本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)はスコーチ安定性に優れているので、発泡成形時の発泡倍率が安定し、発泡体を生産性よく製造することができる。すなわち、発泡体の発泡倍率は、原料樹脂の初期粘度と、成形中の粘度の上昇速度と、発泡剤の分解速度との微妙なバランスで決まり、粘度の上昇速度が大きいほど短時間に粘度が大きく変化するので発泡倍率の制御が難しくなるが、本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)はスコーチ安定性に優れているので発泡成形中の粘度上昇が小さく、このため安定した発泡倍率の発泡体を効率よく製造することができる。さらに本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)はスコーチ安定性に優れているので、加工時の取扱の安定性にも優れており、例えば押出機で加工する場合、押出機中で加硫が進行して粘度が上昇することに起因する吐出量の減少、モーター負荷の増大、またはシリンダーやダイの詰まり等、粘度上昇によるトラブルが防止される。
【0145】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は上記のような特性を有しながら、かつ耐熱老化性に優れることも特徴である。
【0146】
《第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)の製造》
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、エチレン(A−1)、炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)、前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)、および必要により共重合される他のモノマーを、触媒の存在下に共重合させることにより製造することができる。上記触媒としては、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)などの遷移金属化合物(G)と、有機アルミニウム化合物もしくは有機アルミニウムオキシ化合物(H)および/またはイオン化イオン性化合物(J)とからなる触媒などが使用できる。
【0147】
触媒の具体的なものとしては、
(1)固体状チタン触媒成分(g−1)と、有機アルミニウム化合物(h−1)とからなるチタン系触媒、
(2)可溶性バナジウム化合物(g−2)と、有機アルミニウム化合物(h−1)とからなるバナジウム系触媒、および
(3)周期表4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物(g−3)と、有機アルミニウムオキシ化合物(h−2)および/またはイオン化イオン性化合物(j−1)とからなるメタロセン系触媒などがあげられる。
【0148】
これらの中ではメタロセン系触媒が好ましい。メタロセン系触媒は活性が高く、また得られる第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は分子量分布および組成分布が狭く、さらに前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)の転化率も高い。
【0149】
前記固体チタン触媒成分(g−1)は、下記のようなチタン化合物、マグネシウム化合物、および電子供与体を接触させることにより調製される。
上記チタン化合物としては3価のチタン化合物または4価のチタン化合物が用いられるが、4価のチタン化合物が好ましい。4価のチタン化合物としては、例えばTi(OR)jX4-j(Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、0≦j≦4)で表される4価のチタン化合物をあげることができる。これらの中ではハロゲン含有チタン化合物が好ましく、さらにテトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。
【0150】
前記固体チタン触媒成分(g−1)の調製に用いるマグネシウム化合物は、還元性を有するマグネシウム化合物であってもよいし、還元性を有しないマグネシウム化合物であってもよい。還元性を有するマグネシウム化合物としては、マグネシウム・炭素結合およびマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物などをあげることができる。還元性を有しないマグネシウム化合物としては、上記還元性を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物、あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物などが使用できる。またこれらのマグネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物または他の金属化合物との混合物を使用することもできる。これらマグネシウム化合物は2種以上組み合せた混合物であってもよい。マグネシウム化合物としては還元性を有しないマグネシウム化合物が好ましく、さらにハロゲン含有マグネシウム化合物が好ましく、特に塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウムおよびアリロキシ塩化マグネシウムが好ましい。
【0151】
前記固体チタン触媒成分(g−1)の調製に用いられる電子供与体としては、有機カルボン酸エステルおよび多価カルボン酸エステルなどがあげられる。
固体チタン触媒成分(g−1)は、上記のようなチタン化合物、マグネシウム化合物(もしくは金属マグネシウム)、および電子供与体を接触させることにより製造することができる。固体チタン触媒成分(g−1)を製造するには、チタン化合物、マグネシウム化合物および電子供与体から高活性チタン触媒成分を調製する公知の方法を採用することができる。なお上記の成分は、例えばケイ素、リン、アルミニウムなどの他の反応試薬の存在下に接触させてもよい。
【0152】
チタン系触媒を形成する有機アルミニウム化合物(h−1)としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が使用できる。このような化合物としては、例えば式(8−1)
(R1)mAl(OR2)nHpXq …(8−1)
〔式(8−1)中、R1およびR2は炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互いに同一でも異なってもよい。Xはハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかもm+n+p+q=3である。〕
で表される有機アルミニウム化合物、あるいは式(8−2)
(M1)Al(R1)4 …(8−2)
〔式(8−2)中、M1はLi、NaまたはKであり、R1は式(8−1)のR1と同じである。〕
で表される周期表1族とアルミニウムとの錯アルキル化物などをあげることができる。
【0153】
チタン系触媒の調製には必要により電子供与体を用いることができる。このような電子供与体としては、下記式(9)または(10)で表される有機ケイ素化合物などがあげられる。
RnSi(OR’)4-n …(9)
SiR1R2 m(OR3)3-m …(10)
〔式(9)中、RおよびR’は炭化水素基、nは0<n<4を満たす数である。
式(10)中、R1はシクロペンチル基、またはアルキル基を有するシクロペンチル基、R2はアルキル基、シクロペンチル基、またはアルキル基を有するシクロペンチル基、R3は炭化水素基、mは0≦m≦2を満たす数である。〕
【0154】
上記式(10)において、R1のアルキル基を有するシクロペンチル基としては、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2-エチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基などをあげることができる。
【0155】
チタン系触媒を形成する触媒成分にはα−オレフィンが予備重合されていてもよい。予備重合の際、オレフィン重合用触媒1g当り、0.1〜500g、好ましくは0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの量でα−オレフィンを予備重合させるのが望ましい。予備重合は、不活性炭化水素媒体にα−オレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温和な条件下に行うことが好ましい。予備重合で使用されるα−オレフィンは、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)の重合で使用されるα−オレフィンと同一であっても、異なってもよい。
【0156】
前記バナジウム系触媒を形成する可溶性バナジウム化合物(g−2)としては、下記式(11)または(12)で表されるバナジウム化合物などがあげられる。
VO(OR)aXb …(11)
V(OR)cXd …(12)
〔式(11)および(12)中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子である。a、b、cおよびdはそれぞれ0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4を満たす。〕
【0157】
上記可溶性バナジウム化合物(g−2)としては、電子供与体を接触させて得られる可溶性バナジウム化合物の電子供与体付加物を用いることもできる。
バナジウム系触媒を形成する有機アルミニウム化合物(h−1)としては、前記チタン系触媒を形成する前記有機アルミニウム化合物(h−1)と同様のものを用いることができる。
【0158】
前記メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物(g−3)は、周期表4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的には下記式(13)で表される。
MLx …(13)
〔式(13)中、Mは周期表4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属Mの原子価、Lは配位子である。〕
【0159】
式(13)において、Mで示される遷移金属の具体的なものとしては、ジルコニウム、チタンおよびハフニウムなどがあげられる。
式(13)において、Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0160】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、i-、sec-またはt-ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などがあげられる。
上記シクロペンタジエニル骨格を有する基は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0161】
式(13)で表される化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0162】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3Ra)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、Raはアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、またはハロゲン原子もしくはアルキル基で置換されたアリール基である。)などがあげられる。
【0163】
配位子Lの炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基などがあげられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基およびドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフィル基等のアラルキル基などがあげられる。
【0164】
配位子Lのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基などがあげられる。アリーロキシ基としては、フェノキシ基などがあげられる。スルホン酸含有基(−SO3Ra)としては、メタンスルホナト基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基などがあげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
【0165】
前記式(13)で表されるメタロセン化合物は、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記式(14)で表される。
R2 kR3 lR4 mR5 nM …(14)
〔式(14)中、Mは式(13)の遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数、k+l+m+n=4である。〕
【0166】
以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物(g−3)を例示する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
上記の1,3-位置換シクロペンタジエニル基を1,2-位置換シクロペンタジエニル基に置換えた化合物を本発明で用いることもできる。
【0167】
またメタロセン化合物(g−3)としては、前記式(14)において、R2、R3、R4およびR5の少なくとも2個、例えばR2およびR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基はアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR4およびR5はそれぞれ独立に式(13)中で説明したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
【0168】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物(g−3)としては、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジク ロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどがあげられる。
【0169】
またメタロセン化合物(g−3)としては、下記式(15)で表される特開平4−268307号(対応米国特許No.5243001)記載のメタロセン化合物があげられる。
【化36】
式(15)において、M1は周期表の4族の金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムをあげることができる。
【0170】
式(15)において、R1およびR2は、水素原子;炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルコキシ基;炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基;炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリールオキシ基;炭素数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基;炭素数7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル基;炭素数7〜40、好ましくは7〜12のアルキルアリール基;炭素数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子である。R1およびR2は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0171】
式(15)において、R3およびR4は水素原子;ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子または臭素原子;ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基;炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基;−N(R10)2、−SR10、−OSi(R10)3、−Si(R10)3または−P(R10)2基である。上記R10はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R3およびR4は互いに同じでも異なっていてもよい。R3およびR4は特に水素原子であることが好ましい。
【0172】
式(15)において、R5およびR6は水素原子を除くR3およびR4と同様のものである。R5およびR6は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。R5およびR6は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基およびイソブチル基またはトリフルオロメチル基等があげられ、特にメチル基が好ましい。
【0173】
式(15)において、R7は
【化37】
=BR11、=AlR11、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR11、=CO、=PR11または=P(O)R11である。上記R11、R12およびR13は水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基;炭素数1〜10のフルオロアルキル基、好ましくはCF3基;炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基;炭素数6〜10のフルオロアリール基、好ましくはペンタフルオロフェニル基;炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルコキシ基、特に好ましくはメトキシ基;炭素数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基;炭素数7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル基;炭素数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニル基;または炭素数7〜40、好ましくは7〜12のアルキルアリール基である。「R11とR12」または「R11とR13」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。R11、R12およびR13は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0174】
上記M2はケイ素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。
式(15)において、R7は、=CR11R12、=SiR11R12、=GeR11R12、−O−、−S−、=SO、=PR11または=P(O)R11であることが好ましい。
【0175】
式(15)において、R8およびR9としては上記R11と同じものがあげられる。R8およびR9は互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(15)において、mおよびnはそれぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。mおよびnは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0176】
式(15)で表されるメタロセン化合物(g−3)としては、下記化合物などがあげられる。
rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、
rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド。
式(15)で表されるメタロセン化合物(g−3)は、公知の方法にて製造することができる(例えば、特開平4-268307号)。
【0177】
メタロセン化合物(g−3)としては、下記式(16)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【化38】
【0178】
式(16)において、Mは周期表4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどである。
式(16)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。
【0179】
R1およびR2の具体的なものとしては、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素数1〜20の炭化水素基;
前記炭化水素基にハロゲン原子が置換した炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基;
メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、
トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基、
などのケイ素含有基;
ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロ−キシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸素含有基;
前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などのイオウ含有基;
アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;
ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含有基などがあげられる。
【0180】
これらのうちR1は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。またR2は水素または炭化水素基が好ましく、特に水素、あるいはメチル、エチルまたはプロピルの炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0181】
式(16)において、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R3とR4、R4とR5、R5とR6のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR6が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0182】
式(16)のR3、R4、R5およびR6において、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記R1およびR2と同様のものがあげられる。
式(16)において、X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す。
【0183】
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基の具体的なものとしては、前記R1およびR2と同様のものが例示できる。
またイオウ含有基としては、前記R1、R2と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が例示できる。
【0184】
式(16)において、Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR7−、−P(R7)−、−P(O)(R7)−、−BR7−または−AlR7−(ただし、R7は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0185】
式(16)において、Yの具体的なものとしては、
メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1〜20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基などであり、
R7は、前記R1、R2と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0186】
これらの中では2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ましく、このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0187】
式(16)において、R3とR4、R4とR5、R5とR6のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含む、Mに配位する配位子としては、下記式(17)〜(19)で表されるものなどがあげられる。
【化39】
〔式(17)〜(19)中、Yは式(16)と同じである。〕
【0188】
メタロセン化合物(g−3)としては、また下記式(20)で表される遷移金属化合物を用いることもできる。
【化40】
〔式(20)中、M、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、前記式(16)と同じである。〕
【0189】
式(20)において、R3、R4、R5およびR6のうち、R3を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R3とR5、またはR3とR6がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R1、R2で例示した置換基があげられる。
【0190】
式(20)におけるR3、R4、R5およびR6のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの鎖状アルキル基および環状アルキル基;ベンジル、フェニルエチル、フエニルプロピル、トリルメチルなどのアリールアルキル基などがあげられ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0191】
また式(20)におけるR3、R4、R5およびR6は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、前記R1およびR2と同様のものがあげられる。
X1、X2およびYとしては、前記式(16)の場合と同様のものがあげられる。
【0192】
前記式(20)で表されるメタロセン化合物(g−3)の具体的な例を下記に示す。
rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド。
上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
上記遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0193】
式(20)で表されるメタロセン化合物(g−3)として、次のような化合物を使用することもできる。
R1としては炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
X1およびX2としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0194】
R3は、炭素数6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル(ペリナフテニル)、アセアントリレニルなどである。これらのうちフェニル、ナフチルであることが好ましい。これらのアリール基は、前記R1と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0195】
このような遷移金属化合物(メタロセン化合物)の具体的な例を示す。
rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4−フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
また上記化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0196】
またメタロセン化合物(g−3)として、下記式(21)で表される化合物を用いることもできる。
LaMX2 ・・・・(21)
〔式(21)中、Mは周期表4族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。Xはそれぞれ独立に水素、ハロゲンまたは20以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。〕
【0197】
式(21)で表される化合物の中では、下記式(22)で表される化合物が好ましい。
【化41】
【0198】
式(22)中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウム、Xは式(21)と同様である。CpはMにπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表4族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)、Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0199】
このような式(22)で表される化合物としては、
(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、
((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジクロリドなどがあげられる。
また上記メタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置換えた化合物をあげることもできる。
【0200】
式(21)または(22)で表されるメタロセン化合物(g−3)としては、中心の金属原子がジルコニウムであり、少なくとも2個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物が好ましく用いられる。
【0201】
またメタロセン化合物(g−3)としては、下記式(23)で表される周期表4族の遷移金属化合物を使用することもできる。
【化42】
式(23)中、Mは周期表4族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
【0202】
式(23)のR1は、互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個以上が炭素数11〜20のアリール基、炭素数12〜40のアリールアルキル基、炭素数13〜40のアリールアルケニル基、炭素数12〜40のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、あるいはR1で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場合、R1により形成される環はR1が結合する炭素原子を含んで全体として炭素数が4〜20である。
【0203】
式(23)のR1で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成した例としては、縮合したフェニル基、縮合したシクロヘキシル基、縮合したシクロペンタジエニル基、縮合したジヒドロシクロペンタジエニル基、縮合したインデニル基、縮合したテトラヒドロインデニル基、縮合したフルオレニル基、縮合したテトラヒドロフルオレニル基、縮合したオクタヒドロフルオレニル基などがあげられる。なお、これらの基は、鎖状アルキル基、環状アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基、アリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基またはリン含有基で置換されていてもよい。
【0204】
アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基および芳香族環、脂肪族環を形成しているR1以外のR1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
炭素数11〜20のアリール基としては、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルなどがあげられる。炭素数12〜40のアリールアルキル基としては、フェナントリルメチル、フェナントリルエチル、フェナントリルプロピルなどがあげられる。炭素数13〜40のアリールアルケニル基としては、ビニルフェナントリルなどがあげられる。炭素数12〜40のアルキルアリール基としては、メチルフェナントリル、エチルフェナントリル、プロピルフェナントリルなどがあげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などがあげられる。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニルなどがあげられる。
【0205】
ケイ素含有基としては、メチルシリル、フェニルシリル、ジメチルシリル、ジエチルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの基があげられる。
なお、上記のようなアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。
【0206】
式(23)においてR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数7〜40のアリールアルキル基、炭素数8〜40のアリールアルケニル基、炭素数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0207】
また、式(23)のR2で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。この場合、R2により形成される環はR2が結合する炭素原子を含んで全体として炭素数が4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR2以外のR2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0208】
なお、式(23)のR2で示される2個の基が、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成される基にはフルオレニル基が下式(24)のような構造となる態様も含まれる。
【化43】
【0209】
炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子としては、前記と同様の基および原子が例示できる。
炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル、ビフェニリル、α−またはβ−ナフチル、アントリル、フェナントリルなどがあげられる。炭素数7〜40のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェナントリルメチル、フェナントリルエチル、フェナントリルプロピルなどがあげられる。炭素数8〜40のアリールアルケニル基としては、スチリル、ビニルフェナントリルなどがあげられる。
【0210】
炭素数7〜40のアルキルアリール基としては、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、メチルナフチル、メチルフェナントリル、エチルフェナントリル、プロピルフェナントリルなどがあげられる。炭素数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどがあげられる。ケイ素含有基としては、前記と同様の基があげられる。酸素含有基としては、ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロキシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などがあげられる。
【0211】
イオウ含有基としては、前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基があげられる。
【0212】
窒素含有基としては、アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などがあげられる。
リン含有基としては、ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどがあげられる。
【0213】
これらのうちR2は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
このような置換基としてR2を有するフルオレニル基としては、2,7-ジアルキル-フルオレニル基が好適な例としてあげられ、この場合の2,7-ジアルキルのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基があげられる。
また、上述したR1とR2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0214】
式(23)のR3およびR4は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数7〜40のアリールアルキル基、炭素数8〜40のアリールアルケニル基、炭素数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
これらのうち、R3およびR4は、少なくとも一方が炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0215】
式(23)のX1およびX2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基であり、具体的には、ハロゲン原子、酸素含有基、イオウ含有基および窒素含有基としては、前記と同様の原子または基を例示することができる。
【0216】
炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリル、ベンジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルなどのアリール基などがあげられる。炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素数1〜20の炭化水素基にハロゲンが置換した基があげられる。
【0217】
X1とX2とから形成された共役ジエン残基としては、η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、η4-1,3-ブタジエン、η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、η4-1-フェニル-1,3-ペンタジエン、η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、η4-2,4-
ヘキサジエン、イソプレンなどがあげられる。X1とX2とから形成された共役ジエン残基としては、1,3-ブタジエン、2,4-ヘキサジエン、1-フェニル-1,3-ペンタジエン、1,4-ジフェニルブタジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。
これらのうち、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であることが好ましい。
【0218】
式(23)のYは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR5−、−P(R5)−、−P(O)(R5)−、−BR5−または−AlR5−〔ただし、R5は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基〕を示す。
【0219】
具体的には、メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1〜20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基などがあげられる。
【0220】
これらの2価の基のうちでも、式(23)で表される−Y−の最短連結部が1個または2個の原子で構成されているものが好ましい。
また、R5は、前記と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
これらのうちYは、炭素数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0221】
またメタロセン化合物(g−3)としては、下記式(25)で表される遷移金属化合物を用いることもできる。
【化44】
式(25)中、Mは周期表4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
【0222】
式(25)のR6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基であり、具体的には、
ハロゲン原子および炭素数1〜10のアルキル基としては、前記式(23)におけるR1と同様のものをあげることができ、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基としては、前記式(23)におけるR2と同様のものをあげることができる。
【0223】
炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル、α−またはβ−ナフチルなどがあげられる。炭素数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどがあげられる。
なお、上記のようなアルキル基およびアルケニル基は、ハロゲンが置換していてもよい。
【0224】
これらのうちR6は、アルキル基、アリール基または水素原子であることが好ましく、特にメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルなどのアリール基または水素原子であることが好ましい。
【0225】
式(25)のR7は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数7〜40のアリールアルキル基、炭素数8〜40のアリールアルケニル基、炭素数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基であり、具体的には、前記式(23)におけるR2と同様のものをあげることができる。
【0226】
なお、上記のようなアルキル基、アリール基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。
これらのうちR7は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルの炭素数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。
また、前記R6とR7は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0227】
式(25)のR8およびR9は、いずれか一方が炭素数1〜5のアルキル基であり、他方は前記式(23)におけるR2と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0228】
炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどがあげられる。
これらのうち、R8およびR9は、いずれか一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素数1〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが好ましい。
【0229】
式(25)のX1およびX2は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記式(23)におけるX1およびX2と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。
これらのうち、ハロゲン原子または炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0230】
式(25)のYは、前記式(23)におけるYと同様の炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR5−、−P(R5)−、−P(O)(R5)−、−BR5−または−AlR5−〔ただし、R5は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基〕を示す。
【0231】
これらのうちYは、炭素数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0232】
メタロセン化合物(g−3)は単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。またメタロセン化合物(g−3)は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。さらにメタロセン化合物(g−3)は、粒子状担体化合物と接触させて用いることもできる。
【0233】
メタロセン化合物(g−3)を担持させる担体化合物としては、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、ZnO、SnO2、BaO、およびThOなどの無機担体化合物;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、およびスチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの樹脂を用いることができる。これらの担体化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。
【0234】
次にメタロセン系触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(h−2)およびイオン化イオン性化合物(j−1)について説明する。
有機アルミニウムオキシ化合物(h−2)は、公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物(h−2)であってもよい。
【0235】
このような公知のアルミノオキサンは、具体的には下記式(26)または(27)で表される。
【化45】
〔式(26)および(27)において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。〕
【0236】
式(26)または(27)において、アルミノオキサンは式(OAl(R1))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R2))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位[ここで、R1およびR2はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R1およびR2は相異なる基を表す]からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
なお有機アルミニウムオキシ化合物(h−2)は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
【0237】
イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)(j−1)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
上記ルイス酸としては、BR3(Rはフッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合物があげられる。ルイス酸の具体的なものとしては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどがあげられる。
【0238】
前記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などがあげられる。イオン性化合物としてのトリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニウム塩としては、ジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0239】
前記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることもできる。
【0240】
前記ボラン化合物としては、デカボラン(9);ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などがあげられる。
【0241】
前記カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(9)、1,3-ジカルバノナボラン(8)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などがあげられる。
【0242】
上記のようなイオン化イオン性化合物(j−1)は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。また有機アルミニウムオキシ化合物(h−2)およびイオン化イオン性化合物(j−1)は、前記担体化合物に担持させて用いることもできる。
【0243】
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物(h−2)またはイオン化イオン性化合物(j−1)とともに、前記有機アルミニウム化合物(h−1)を用いてもよい。
【0244】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を製造するには、前記チタン系触媒、バナジウム系触媒またはメタロセン系触媒の存在下に、エチレン(A−1)、α−オレフィン(A−2)、前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)、および必要により共重合する他のモノマーを、通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。
【0245】
エチレン(A−1)、α−オレフィン(A−2)および鎖状トリエン化合物(B−2)は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で共重合されてもよい。共重合をバッチ法で実施するに際しては、前記触媒は以下のような濃度で用いられる。
【0246】
固体状チタン触媒成分(g−1)と有機アルミニウム化合物(h−1)とからなるチタン系触媒が用いられる場合には、固体状チタン触媒成分(g−1)は、重合容積1 liter当たり、チタン原子に換算して、通常約0.001〜約1.0ミリモル、好ましくは約0.005〜0.5ミリモルの量で用いられる。また有機アルミニウム化合物(h−1)は、固体状チタン触媒成分(g−1)中のチタン原子1モルに対して、有機アルミニウム化合物(h−1)中の金属原子として通常約10〜500モル、好ましくは20〜200モルとなるような量で用いられる。電子供与体を使用する場合は、有機アルミニウム化合物(h−1)中の金属原子1モル当たり、通常約0.001〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.05〜1モルとなるような量で用いられる。
【0247】
可溶性バナジウム化合物(g−2)と有機アルミニウム化合物(h−1)とからなるバナジウム系触媒が用いられる場合には、重合系内の可溶性バナジウム化合物の濃度は、通常0.01〜5ミリモル/liter(重合容積)、好ましくは0.05〜3ミリモル/literである。可溶性バナジウム化合物(g−2)は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。また有機アルミニウム化合物(h−1)は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子のモル比(Al/V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。
【0248】
可溶性バナジウム化合物(g−2)および有機アルミニウム化合物(h−1)は、通常前記炭化水素溶媒および/または液状のエチレンおよび前記鎖状トリエン化合物(B−2)で希釈されて供給される。この際、可溶性バナジウム化合物(g−2)は上記濃度に希釈されることが望ましいが、有機アルミニウム化合物(h−1)は重合系内における濃度の例えば50倍以下の任意の濃度に調整して重合系内に供給されることが望ましい。
【0249】
またメタロセン化合物(g−3)と、有機アルミニウムオキシ化合物(h−2)またはイオン化イオン性化合物(j−1)とからなるメタロセン系触媒が用いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物(g−3)の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/liter(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/literである。また有機アルミニウムオキシ化合物(h−2)は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0250】
イオン化イオン性化合物(j−1)の場合は、重合系内のメタロセン化合物(g−3)に対するイオン化イオン性化合物(j−1)のモル比(イオン化イオン性化合物(j−1)/メタロセン化合物(g−3))で、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0251】
また有機アルミニウム化合物(h−1)が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/liter(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/literとなるような量で用いられる。
【0252】
前記チタン系触媒の存在下に、エチレン(A−1)、α−オレフィン(A−2)および前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)などの単量体を共重合させる場合には、共重合反応は、通常温度が−20〜+150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0253】
前記バナジウム系触媒の存在下にエチレン(A−1)、α−オレフィン(A−2)、前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)などの単量体を共重合させる場合には、共重合反応は、通常温度が−50〜+100℃、好ましくは−30〜+80℃、さらに好ましくは−20〜+60℃で、圧力が0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて2.0MPa(20kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0254】
前記メタロセン触媒の存在下にエチレン(A−1)、α−オレフィン(A−2)、前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)などの単量体を共重合させる場合には、共重合反応は、通常温度が−20〜+150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0255】
共重合に際して、エチレン(A−1)、α−オレフィン(A−2)、前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)、および必要により用いられる他のモノマーは、前記特定組成の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)が得られるような量で重合系に供給される。また共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0256】
上記のようにしてエチレン(A−1)、α−オレフィン(A−2)および前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)を共重合させると、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)が得られる。
【0257】
上記のようにして得られる本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れるほか、耐候性、耐熱性、耐オゾン性などにも優れ、種々のゴム製品の材料や樹脂改質剤などの用途に利用できる。また、本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を加硫して得られる加硫ゴム製品は、耐候性、耐熱性および耐オゾン性に優れるとともに、ゴム弾性などにも優れている。本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を用いて加硫ゴム製品を製造する場合、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は高速加硫することができるので、加硫ゴム製品を高い生産性で得ることができる。
【0258】
本発明の第2の組成物は、前記本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)と、加硫剤(II)および/または充填剤(III)とを含む組成物である。このような本発明の第2の組成物は、加硫可能なゴム組成物であり、未加硫のままで用いることもできるが、加硫物として用いると、より一層優れた特性を発現させることができる。加硫は、加硫剤(II)を使用して加熱する方法、あるいは加硫剤(II)を用いずに電子線を照射する方法などにより行うことができる。充填剤(III)としては補強剤、軟化剤などがあげられる。
【0259】
本発明の第2の組成物を加硫して得られる加硫ゴム製品は、耐候性、耐熱性、耐オゾン性および耐動的疲労性に優れるとともに、ゴム弾性および低温柔軟性などにも優れている。本発明の第2の組成物を用いて加硫ゴム製品を製造する場合、本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)は高速加硫することができるので、加硫ゴム製品を高い生産性で得ることができる。また添加する加硫剤、加硫促進剤なども少量にすることができ、このためブルームの程度が小さく、外観のよい加硫ゴム製品を得ることもできる。
【0260】
本発明の第2の組成物を加熱により加硫する場合には、第2の組成物中に加硫剤(II)、加硫促進剤、加硫助剤などの加硫系を構成する化合物を配合することができる。
本発明の第2の組成物では、上記加硫剤(II)としては、イオウ、イオウ系化合物および有機過酸化物などを用いることができる。
【0261】
イオウの形態は特に限定されず、例えば粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどを用いるこができる。
前記イオウ系化合物としては、具体的には塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどがあげられる。
【0262】
前記有機過酸化物としては、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルヒドロペルオキシド等のアルキルペルオキシド類;t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシマレイン酸、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t-ブチルペルオキシフタレート等のペルオキシエステル類;ジシクロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド類などがあげられる。これらは2種以上組み合せて用いてもよい。
【0263】
これらの中では、1分半減期温度が130〜200℃である有機過酸化物が好ましく、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシドおよびt-ブチルヒドロペルオキシドなどが好ましい。
【0264】
本発明では、上記のような各種加硫剤(II)の中でも、イオウまたはイオウ系化合物、特にイオウを用いると優れた特性のゴム組成物を得ることができるため好ましい。
【0265】
加硫剤(II)がイオウまたはイオウ系化合物である場合は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で用いることができる。
【0266】
また加硫剤(II)が有機過酸化物である場合は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)100重量部に対して0.05〜15重量部、好ましくは0.15〜5重量部の量で用いることができる。
【0267】
加硫剤(II)としてイオウまたはイオウ化合物を用いる場合には、加硫促進剤を併用することが好ましい。
加硫促進剤としては、具体的にはN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2-(4'-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;亜鉛華などがあげられる。
【0268】
上記のような加硫促進剤は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の量で用いることが望ましい。
【0269】
加硫剤(II)として有機過酸化物を用いる場合には、加硫助剤を有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくはほぼ等モルの量で併用することが好ましい。
加硫助剤としては、具体的にはイオウ;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物に加えて、多官能性モノマー、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の(メタ)アクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;m-フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどがあげられる。
【0270】
本発明の第2の組成物において充填剤(III)として用いる補強剤としては、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック;これらのカーボンブラックをシランカップリング剤などで表面処理した表面処理カーボンブラック;シリカ、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、微粉タルク、タルク、微粉ケイ酸、クレー等の無機充填剤などがあげられる。
【0271】
補強剤の配合量は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)100重量部に対して300重量部以下、好ましくは10〜300重量部、さらに好ましくは10〜200重量部とするのが望ましい。
【0272】
このような量の補強剤を含有する組成物からは、引張強度、引裂強度および耐摩耗性などの機械的性質が向上された加硫ゴムが得られる。また加硫ゴムの他の物性を損なうことなく硬度を高くすることができ、さらにコストを引下げることができる。
【0273】
本発明の第2の組成物において充填剤(III)として用いる軟化剤としては、従来ゴムに配合されている軟化剤が広く用られる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油、ファクチス、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などがあげられる。これらの中では石油系軟化剤が好ましく、特にプロセスオイルが好ましい。
【0274】
軟化剤の配合量は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)100重量部に対して200重量部以下、好ましくは10〜200重量部、さらに好ましくは10〜150重量部とするのが望ましい。
【0275】
本発明の第2の組成物には、上記成分の他にも、他の成分として発泡剤、発泡助剤等の発泡系を構成する化合物、酸化防止剤(安定剤)、加工助剤、可塑剤、着色剤、他のゴム配合剤など、種々の薬剤などを配合することができる。他の成分は、用途に応じてその種類、含有量が適宜選択される。
【0276】
本発明の第2の組成物は、発泡剤、発泡助剤などの発泡系を構成する化合物を含有する場合には、発泡成形することができる。
発泡剤としては、一般的にゴムを発泡成形する際に用いられる発泡剤を広く使用することができる。具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などがあげられる。これらの中では、ニトロソ化合物、アゾ化合物、アジド化合物が好ましい。
【0277】
発泡剤は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)100重量部に対して0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の量で用いることができる。このような量で発泡剤を含有する組成物からは、見かけ比重0.03〜0.8g/cm3の発泡体を製造することができる。
【0278】
また発泡剤とともに発泡助剤を用いることもでき、発泡助剤を併用すると、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの効果がある。このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸等の有機酸、尿素またはその誘導体などがあげられる。
【0279】
発泡助剤は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の量で用いることができる。
【0280】
本発明の第2の組成物は、酸化防止剤を含有していると材料寿命を長くすることができて好ましい。この酸化防止剤としては、具体的にはフェニルナフチルアミン、4,4'-(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等の芳香族第二アミン系安定剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系安定剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系安定剤;2-メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系安定剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系安定剤などがあげられる。これらは2種以上併用することもできる。
【0281】
このような酸化防止剤は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)100重量部に対して5重量部以下、好ましくは3重量部以下の量で用いることができる。
【0282】
加工助剤としては、一般的に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の酸、これら高級脂肪酸の塩、例えばステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはエステル類などがあげられる。
【0283】
加工助剤は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)100重量部に対して10重量部以下、好ましくは5重量部以下の量で用いることができる。
【0284】
本発明の第2の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)以外の公知の他のゴムを含んでいてもよい。
このような他のゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の共役ジエン系ゴムおよび水素化NBRなどをあげることができる。さらに公知のエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムを配合することもでき、例えばエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体、例えばEPDMなどを配合することもできる。
【0285】
他のゴムの配合量は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)および他のゴムの合計に対して、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)の含有量が10重量%以上、好ましくは20重量%以上となる配合量が望ましい。第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)の含有量が上記範囲にある場合、ゴム組成物としての良好な物性が発現する。
【0286】
本発明の第2の組成物は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を、全組成物中20重量%以上、好ましくは25重量%以上の量で含有していることが望ましい。第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)の含有量がこの範囲にある場合、ゴム組成物としての良好な物性が発現する。
【0287】
本発明の第2の組成物は自動車工業部品、自動車用防振ゴム、工業用ゴム製品、電気絶縁材料、土木建材用品、ゴム引布などのゴム製品の原料として幅広く利用することができるが、特にシールゴム、グラスランチャネルゴム、ワイパーブレードゴム、ウェザーストリップスポンジゴムなどの押出成形体のゴム原料;型内発泡成形スポンジゴム、自動車のドアのシール用スポンジゴムなどの射出成形体またはトランスファー成形体のゴム原料等として好適に利用することができる。
【0288】
前記シールゴムの具体的なものとしては、液圧ブレーキにおけるブレーキマスターシリンダー用カップ、ブレーキホイルシリンダー用カップ、ブレーキ液圧制御用シール材およびブレーキ用O−リング;クラッチにおけるクラッチシリンダー用カップ;その他ガラスとサッシとの接合部におけるシール材、自動車用の窓枠のシール材、家庭用ジャーのパッキングなどがあげられる。
【0289】
本発明の第2の組成物を上記のようなシールゴム、グラスランチャネルゴム、ワイパーブレードゴム、ウェザーストリップスポンジゴム、型内発泡成形スポンジゴムの原料などとして用いた場合、ゴム弾性、耐候性、耐熱性、耐オゾン性、低温柔軟性などに優れたゴム製品を、高速加硫して高い生産性で得ることができる。例えば、ウェザーストリップスポンジゴムを製造する場合、押出成形体を短時間で加硫して生産性よく製造することができる。この場合、短時間で加硫しても加硫は十分に進行し、優れたゴム弾性を有するゴム製品が得られる。
【0290】
本発明の第2の組成物は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)および上記のような成分から、一般的なゴム配合物の調製方法によって調製することができる。例えばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックス等のインターナルミキサー類を用いて、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)および配合する成分を、80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、加硫剤(II)および必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤、発泡剤などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして通常リボン状またはシート状のゴム組成物(配合ゴム)が得られる。上記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、加硫剤(II)、加硫促進剤、発泡剤などを同時に混練することもできる。
【0291】
本発明の第2の組成物の加硫物(加硫ゴム)は、上記のような未加硫のゴム組成物を、通常押出成形機、カレンダーロール、プレス、射出成形機またはトランスファー成形機などの成形機を用いた種々の成形法よって所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱するか、あるいは電子線を照射することにより加硫して得ることができる。発泡体の場合は、発泡剤を配合した未加硫のゴム配合物を上記のような方法で加硫することにより、加硫とともに発泡が進行し、発泡体が得られる。
【0292】
上記ゴム組成物を加熱により加硫する場合には、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームまたはLCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽を用いて、150〜270℃の温度で1〜30分間加熱することが好ましい。
【0293】
また加硫剤(II)を使用せずに電子線照射により加硫する場合は、予備成形されたゴム組成物に、0.1〜10MeV、好ましくは0.3〜2MeVのエネルギーを有する電子線を、吸収線量が0.5〜35Mrad、好ましくは0.5〜10Mradになるように照射すればよい。
成形・加硫に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いないでもよい。金型を用いない場合には、ゴム組成物は通常連続的に成形・加硫される。
【0294】
上記のように成形・加硫された加硫ゴムは、ウェザーストリップ、ドアーグラスランチャンネル、窓枠、ラジエータホース、ブレーキ部品、ワイパーブレード、ブレーキキャップ、天井材、エアバッグカバー、インストゥルメントパネル、トリム、コントロールノブ、シートベルトカバー等の自動車工業部品;タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、エンジンマウント等の自動車用防振ゴム;ゴムロール、ベルト、パッキン、ホース等の工業用ゴム製品;アノードキャップ、グロメット、電線等の電気絶縁材;築用ガスケット、土木用シート、ルーフィングシート等の土木建材用品;その他にゴム引布、導電性ゴム、高硬度ゴム、表皮シートなどの用途に用いることができる。
また発泡剤を含有するゴム配合物を加熱発泡させて得られる加硫発泡体は、ウェザーストリップ、断熱材、クッション材、シーリング材などの用途に用いることができる。
【0295】
本発明の第2の組成物からなる成形品がシートまたはフィルムである場合、本発明の第2の組成物からなる層に、他のゴムまたは樹脂からなる他の層が1層以上積層されて複合化された積層体であってもよい。他の層の原料としては、前記共役ジエン系ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどがあげられる。
【0296】
また本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂;AES、ABS等の樹脂などとブレンドし、樹脂組成物として使用することもできる。この場合のブレンド割合は、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)および樹脂の合計に対して、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)の含有量が10重量%以上、好ましくは20重量%以上となる配合量が望ましい。ブレンドを行う際、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)、およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の樹脂に加えて、ブチルゴム、プロピレン系の柔軟成分、オイル、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、またはスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)などを加えることもできる。
【0297】
本発明の第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)をポリオレフィン樹脂などとブレンドした上記樹脂組成物においては、第2の共重合体(エチレン・α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−2)を架橋することにより、よりゴム組成物としての良好な物性が発現する。架橋剤としては、過酸化物、イオウ化合物、フェノール樹脂、キノイド化合物などが使用できる。架橋方法としては、押出機などを用いて、混練と同時に架橋を行う動的架橋方法が好ましい。
【0298】
《第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)》次に本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)について説明する。
【0299】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)を構成するα−オレフィンに由来する構造単位は、炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)と、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜20のα−オレフィン(A−3)に由来し、構造単位(UA-2)以外の構造単位(UA-3)からなる。
【0300】
構造単位(UA-2)および(UA-3)が由来するα−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどがあげられる。勿論、構造単位(UA-2)はエチレンに由来しない。
【0301】
構造単位(UA-2)および(UA-3)の好ましい組み合せとして、下記の(U−I)および(U−II)をあげることができる。
(U−I):構造単位(UA-2)がプロピレンまたは4−メチル−1−ペンテンに由来し、構造単位(UA-3)がエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンまたは炭素数7〜20のα−オレフィンに由来する組み合せ。この場合、構造単位(UA-3)の好ましいα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンがあげられる。ここで、構造単位(UA-3)のα−オレフィンとしては、直鎖状のものが好ましい。
(U−II):構造単位(UA-2)が炭素数6〜20のα−オレフィンに由来し、構造単位(UA-3)がエチレン、プロピレン、または4−メチル−1−ペンテンに由来する組み合せ。この場合、構造単位(UA-2)の好ましいα−オレフィンとして1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンがあげられる。ここで、構造単位(UA-2)のα−オレフィンとしては、直鎖状のものが好ましい。
【0302】
上記の構造単位(UA-2)と(UA-3)の組み合せが(U−I)の場合、高硬度で、しかも加硫の速い共重合体が得られる。
また、上記の構造単位(UA-2)と(UA-3)の組み合せが(U−II)の場合、低硬度で、しかも加硫の速い共重合体が得られる。
【0303】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、さらに前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)で構成されている。
前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)の中では、R3およびR4がどちらもメチル基である化合物が好ましく、このような鎖状トリエン化合物(B−2)をモノマー原料として用いて得られる本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、加硫速度およびスコーチ特性のバランスに特に優れている。
【0304】
前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)としては、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)が好ましい。
前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)は、通常幾何異性構造(トランス体、シス体)を有しているが、モノマーとして用いる鎖状トリエン化合物(B−2)はトランス体およびシス体の混合物であってもよく、またトランス体単独またはシス体単独であってもよい。
【0305】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、構造単位(UA-2)、構造単位(UA-3)、および構造単位(UB-2)が、それぞれランダムに配列して結合している。そして構造単位(UB-2)は、前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)に起因する不飽和結合を有している。
【0306】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)の主鎖は実質的に線状構造である。第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)が実質的に線状構造であって、実質的にゲル状架橋構造を含有しないことは、第3の共重合体が有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。例えば、極限粘度〔η〕を測定する際に、共重合体が135℃、デカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0307】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、構造単位(UA-2)を70〜99.9モル%、好ましくは75〜95モル%、構造単位(UA-3)を0〜29.9モル%、好ましくは1〜25モル%、そして構造単位(UB-2)を0.1〜30モル%、好ましくは0.2〜10モル%含有する。ここで、構造単位(UA-2)、(UA-3)、および(UB-2)の合計量は100モル%である。
【0308】
これらの構造単位の含有量が上記範囲にあると、好適なゴム物性を示す本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)が得られる。
【0309】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、種々のゴム製品の原料や樹脂改質剤などの用途に利用することができるが、グラスランチャネル、ワイパーブレード、ウェーザーストリップスポンジなどの押出成形体用のゴム原料;型内発泡成形スポンジなどの射出成形体またはトランスファー成形体用のゴム原料等として好適に使用することができる。
【0310】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)においては、鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位(UB-2)は、実質的に前記式(2−a)で表される構造を有している。なお前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)に由来する構造単位が上記式(2−a)で示される構造を有していることは、第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0311】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)にはα−オレフィンおよび前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)以外に、これらと共重合可能な化合物が他のモノマーとして共重合されていてもよい。他のモノマーとしては、非共役ジエン、環状オレフィンなどがあげられる。他のモノマーに由来する構造単位の含有量は、全モノマーに由来する構造単位に対する割合として30モル%以下、好ましくは0.5〜10モル%であるのが望ましい。上記他のモノマーとしては、前記第2の共重合体で例示したモノマーと同じものが使用できる。
【0312】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れるほか、耐候性、耐熱性、耐オゾン性などにも優れている。
【0313】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、未加硫のまま用いてもよく、また後述するような加硫方法により加硫して加硫状態で用いてもよいが、加硫状態で用いるとその特性が一層発揮される。加硫する場合には加硫速度は速いが、スコーチ時間は短くならない。
【0314】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、種々のゴム製品の材料または樹脂改質剤として特に好ましく用いられる。
ゴム製品としては自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品およびゴム引布などがあげられる。具体的なものとしては、グラスランチャネル、ワイパーブレード、ウェザーストリップ、スポンジ、ホース類、グロメット、タイヤサイドウォール、電線被覆材、ガスケットなどがあげられる。
【0315】
また本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)を樹脂改質剤として用い、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリスチレンなどの樹脂に添加すると、樹脂の耐衝撃性および耐ストレスクラック性などが飛躍的に向上する。
【0316】
構造単位(UA-2)と(UA-3)の組み合せが、前記した(U−I)の場合は、高硬度で加硫の速い共重合体が得られる。
一方、上記組み合せが、前記した(U−II)の場合は、低硬度で加硫の速い共重合体が得られる。
【0317】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は単独で加硫してもよいし、他のゴム材料と共加硫してもよい。
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は加硫速度が速いので、加硫剤を多量に用いなくても従来の不飽和性のオレフィン系共重合体に比べて短い時間で、あるいは低温で加硫することができる。また本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)はスコーチ安定性に優れているので、発泡成形時の発泡倍率が安定し、発泡体を生産性よく製造することができる。すなわち、発泡体の発泡倍率は、原料樹脂の初期粘度と、成形中の粘度の上昇速度と、発泡剤の分解速度との微妙なバランスで決まり、粘度の上昇速度が大きいほど短時間に粘度が大きく変化するので発泡倍率の制御が難しくなるが、本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)はスコーチ安定性に優れているので発泡成形中の粘度上昇が小さく、このため安定した発泡倍率の発泡体を効率よく製造することができる。さらに本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)はスコーチ安定性に優れているので、加工時の取扱の安定性にも優れており、例えば押出機で加工する場合、押出機中で加硫が進行して粘度が上昇することに起因する吐出量の減少、モーター負荷の増大、またはシリンダーやダイの詰まり等、粘度上昇によるトラブルが防止される。
【0318】
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は上記のような特性を有しながら、かつ耐熱老化性に優れることも特徴である。
【0319】
《第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)の製造》
本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、前記第2の共重合体の製造と同じ方法で製造することができる。すなわちエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、前記式(2)で示される鎖状トリエン化合物(B−2)、および必要により共重合される他のモノマーを、前記第2の共重合体の製造方法で例示したものと同じ触媒の存在下に、同じ条件で共重合させることにより製造することができる。
【0320】
上記のようにして得られる本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れるほか、耐候性、耐熱性、耐オゾン性などにも優れ、種々のゴム製品の材料や樹脂改質剤などの用途に利用できる。また、本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)を加硫して得られる加硫ゴム製品は、耐候性、耐熱性および耐オゾン性に優れるとともに、ゴム弾性などにも優れている。本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)を用いて加硫ゴム製品を製造する場合、第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は高速加硫することができるので、加硫ゴム製品を高い生産性で得ることができる。
【0321】
本発明の第3の組成物は、前記本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)と、加硫剤(II)および/または充填剤(III)とを含む組成物である。このような本発明の第3の組成物は、加硫可能なゴム組成物であり、未加硫のままで用いることもできるが、加硫物として用いると、より一層優れた特性を発現させることができる。
【0322】
本発明の第3の組成物を加硫して得られる加硫ゴム製品は、耐候性、耐熱性、耐オゾン性および耐動的疲労性に優れるとともに、ゴム弾性および低温柔軟性などにも優れている。本発明の第3の組成物を用いて加硫ゴム製品を製造する場合、第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)は高速加硫することができるので、加硫ゴム製品を高い生産性で得ることができる。また添加する加硫剤(II)、加硫促進剤なども少量にすることができ、このためブルームの程度が小さく、外観のよい加硫ゴム製品を得ることもできる。
【0323】
本発明の第3の組成物の加硫は、前記第2の組成物の場合と同じ方法により行うことができる。すなわち、前記第2の組成物の場合と同じ加硫剤(II)、加硫促進剤、加硫助剤などの加硫系を構成する化合物を配合して、前記第2の組成物の場合と同じ前記と同じ条件で加硫することができる。
【0324】
本発明の第3の組成物に配合する充填剤(III)としては、前記第2の組成物の場合と同じ補強剤および軟化剤があげられる。これらの補強剤および軟化剤の配合量も前記第2の組成物の場合と同じである。
【0325】
本発明の第3の組成物には、上記成分の他にも、他の成分として発泡剤、発泡助剤等の発泡系を構成する化合物、酸化防止剤(安定剤)、加工助剤、可塑剤、着色剤、他のゴム配合剤など、種々の薬剤などを配合することができる。他の成分は、用途に応じてその種類、含有量が適宜選択される。
【0326】
本発明の第3の組成物は、発泡剤、発泡助剤などの発泡系を構成する化合物を含有する場合には、発泡成形することができる。発泡成形も前記第2の組成物の場合と同じ方法で行うことができる。すなわち、使用する発泡剤、発泡助剤、これらの使用量は前記第2の組成物の場合と同じである。
【0327】
本発明の第3の組成物に他の成分として配合することができる酸化防止剤(安定剤)、加工助剤としては、前記第2の組成物の場合と同じものがあげられ、その配合量も前記と同じである。
【0328】
本発明の第3の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)以外の公知の他のゴムを含んでいてもよい。このような他のゴムとしては、前記第2の組成物の場合と同じものがあげられ、その配合量も前記と同じであり、この場合ゴム組成物としての良好な物性が発現する。
【0329】
本発明の第3の組成物は、第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)を、全組成物中20重量%以上、好ましくは25重量%以上の量で含有していることが望ましい。第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)の含有量がこの範囲にある場合、ゴム組成物としての良好な物性が発現する。
【0330】
本発明の第3の組成物は自動車工業部品、自動車用防振ゴム、工業用ゴム製品、電気絶縁材料、土木建材用品、ゴム引布などのゴム製品の原料として幅広く利用することができるが、特にシールゴム、グラスランチャネルゴム、ワイパーブレードゴム、ウェザーストリップスポンジゴムなどの押出成形体のゴム原料;型内発泡成形スポンジゴム、自動車のドアのシール用スポンジゴムなどの射出成形体またはトランスファー成形体のゴム原料等として好適に利用することができる。前記シールゴムの具体的なものとしては、前記第2の組成物の場合と同じものがあげられる。
【0331】
本発明の第3の組成物を上記のようなシールゴム、グラスランチャネルゴム、ワイパーブレードゴム、ウェザーストリップスポンジゴム、型内発泡成形スポンジゴムの原料などとして用いた場合、ゴム弾性、耐候性、耐熱性、耐オゾン性、低温柔軟性などに優れたゴム製品を、高速加硫して高い生産性で得ることができる。例えば、ウェザーストリップスポンジゴムを製造する場合、押出成形体を短時間で加硫して生産性よく製造することができる。この場合、短時間で加硫しても加硫は十分に進行し、優れたゴム弾性を有するゴム製品が得られる。
【0332】
本発明の第3の組成物は、第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)用いること以外は前記第2の組成物の場合と同じ調製方法によって調製することができる。
【0333】
本発明の第3の組成物の加硫物(加硫ゴム)は、上記のような未加硫のゴム組成物を、通常押出成形機、カレンダーロール、プレス、射出成形機またはトランスファー成形機などの成形機を用いた種々の成形法よって所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱するか、あるいは電子線を照射することにより加硫して得ることができる。発泡体の場合は、発泡剤を配合した未加硫のゴム配合物を上記のような方法で加硫することにより、加硫とともに発泡が進行し、発泡体が得られる。これらの方法も前記第2の組成物の場合と同じである。
上記のように成形・加硫された加硫ゴム、および加硫発泡体は、前記第2の組成物の場合と同じ用途に用いることができる。
【0334】
本発明の第3の組成物からなる成形品がシートまたはフィルムである場合、本発明の第3の組成物からなる層に、他のゴムまたは樹脂からなる他の層が1層以上積層されて複合化された積層体であってもよい。他の層の原料としては、前記共役ジエン系ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどがあげられる。
【0335】
また本発明の第3の共重合体(α−オレフィン・トリエンランダム共重合体)(I−3)はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂;AES、ABS等の樹脂などとブレンドし、樹脂組成物として使用することもできる。この場合のブレンド割合、使用できる他の柔軟成分なども前記第2の組成物の場合と同じである。また使用できる架橋剤、架橋方法も前記第2の組成物の場合と同じである。
【0336】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、新規かつ有用な鎖状トリエン化合物およびその製造方法が提供される。本発明の鎖状トリエン化合物は、α−オレフィンと共重合させると、耐候性、耐熱性および耐オゾン性に優れるとともに、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れたエチレン性不飽和共重合体を形成することができる。また本発明の鎖状トリエン化合物の製造方法によれば、上記鎖状トリエン化合物を簡単に、非常に収率よく製造することができる。
【0337】
また本発明によれば、新規かつ有用であり、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れたα−オレフィン・トリエンランダム共重合体が得られる。そして、本発明のα−オレフィン・トリエンランダム共重合体を加硫して得られる加硫ゴムは、耐候性、耐熱性および耐オゾン性などに優れるとともに、ゴム弾性に優れている。
【0338】
本発明の組成物は、上記共重合体と、架橋剤および/または充填剤とを含んでいるので、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れている。そして、本発明の組成物を加硫して得られる加硫ゴムは、耐候性、耐熱性および耐オゾン性などに優れるとともに、ゴム弾性にも優れている。
【0339】
本発明の成形体は、上記の組成物からなっているので、成形、加硫する際の加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れている。そして、加硫した成形体は、耐候性、耐熱性および耐オゾン性などに優れるとともに、ゴム弾性にも優れている。
【0340】
【発明の実施の形態】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。実施例において、原料である共役ジエン構造含有トリエン化合物の転化率は、反応に用いた原料共役ジエン構造含有トリエンの仕込みモル数をc0、反応後の共役ジエン構造含有トリエンのモル数をcとするとき、〔(c0−c)/c0〕×100(%)の式から求めた。また、目的物の収率は、目的とする生成物のモル数をpとするとき、(p/c0)×100(%)の式から求めた。
【0341】
実施例1−1
窒素雰囲気下、50ml容量のステンレス(SUS316)製オートクレーブに、チオシアン酸コバルト(II)0.257g(1.47ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン0.893g(2.93ミリモル)、トルエン5ml、および2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン7.56g(55.5ミリモル)を仕込み、室温で30分間攪拌した。次に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.95モル/リットル)15.5ml(14.4ミリモル)を加えて密閉した。
【0342】
この後、オートクレーブにエチレンボンベを直結してエチレンを導入し、オートクレーブ内を1MPa(10kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧し、80℃に加熱した。消費されたエチレンを間欠的に追加しながら、エチレン圧を0.9〜1MPa(9〜10kgf/cm2、ゲージ圧)に維持し、80℃で5時間反応を行った。
【0343】
反応終了後、オートクレーブを冷却した後開放し、得られた反応混合物を水50ml中に注いで、有機相と水相とに分離した。分離された有機相を、固形分をろ過して除去した後、ガスクロマトグラフで分析した。その結果、目的物である4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの収率は53%(2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエンの転化率は79%)であった。
上記の4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンを含有する有機相を30段の蒸留塔により精密減圧蒸留した。その結果、目的物である4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンが3.3g得られた。
【0344】
上記で得られた4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの分析結果を以下に示す。
吸収ピークを下記に示す。
ppm(δ)
1.55 (3H,doublet)
1.65 (6H,doublet)
2.05 (4H,multiplet)
2.75 (2H,doublet)
4.95 (2H,multiplet)
5.2 (2H,multiplet)
5.7 (1H,multiplet)
【0345】
得られた4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの構造式を下記式(28)に示す。
【化46】
【0346】
実施例1−2
窒素雰囲気下、50ml容量のステンレス(SUS316)製オートクレーブに、硝酸コバルト(II)六水和物0.128g(0.44ミリモル)、チオシアン酸カリウム0.082g(0.84ミリモル)、トルエン10ml、および2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン3.0g(22ミリモル)を仕込み、室温で30分間攪拌した。次に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.95モル/リットル)2.2ml(2.1ミリモル)を加えて密閉した。
この後、オートクレーブにエチレンボンベを直結してエチレンを導入し、オートクレーブ内を2MPa(20kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧し、80℃に加熱した。消費されたエチレンを間欠的に追加しながら、エチレン圧を1.9〜2MPa(19〜20kgf/cm2、ゲージ圧)に維持し、80℃で5時間反応を行った。
【0347】
反応終了後、実施例1−1と同様にガスクロマトグラフで分析した。その結果、目的とする4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの収率は72%(2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエンの転化率は97%)であった。
【0348】
実施例1−3
窒素雰囲気下、50ml容量のステンレス(SUS316)製オートクレーブに、コバルト(II)アセチルアセトナート二水和物0.123g(0.42ミリモル)、チオシアン酸カリウム0.082g(0.84ミリモル)、トルエン10ml、および2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン3.0g(22ミリモル)を仕込み、室温で30分間攪拌した。次に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.95モル/リットル)2.2ml(2.1ミリモル)を加えて密閉した。
【0349】
この後、オートクレーブにエチレンボンベを直結してエチレンを導入し、オートクレーブ内を1MPa(10kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧し、100℃に加熱した。消費されたエチレンを間欠的に追加しながら、エチレン圧を0.9〜1MPa(9〜10kgf/cm2、ゲージ圧)に維持し、100℃で5時間反応を行った。
【0350】
反応終了後、実施例1−1と同様にガスクロマトグラフで分析した。その結果、目的とする4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの収率は66%(2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエンの転化率は79%)であった。
【0351】
実施例1−4
窒素雰囲気下、50ml容量のステンレス(SUS316)製オートクレーブに、コバルト(II)アセチルアセトナート0.109g(0.42ミリモル)、チオシアン酸メチル0.059g(0.81ミリモル)、トルエン10ml、および2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン3.0g(22ミリモル)を仕込み、室温で30分間攪拌した。次に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.95モル/リットル)4.5ml(4.2ミリモル)を加えて密閉した。
【0352】
この後、オートクレーブにエチレンボンベを直結してエチレンを導入し、オートクレーブ内を1MPa(10kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧し、100℃に加熱した。消費されたエチレンを間欠的に追加しながら、エチレン圧を0.9〜1MPa(9〜10kgf/cm2、ゲージ圧)に維持し、100℃で1時間反応を行った。
【0353】
反応終了後、実施例1−1と同様にガスクロマトグラフで分析した。その結果、目的とする4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの収率は61%(2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエンの転化率は97%)であった。
【0354】
実施例1−5
窒素雰囲気下、50ml容量のステンレス(SUS316)製オートクレーブに、酢酸コバルト(II)四水和物0.0041g(0.016ミリモル)、アセトニトリル0.322g(7.84ミリモル)、トルエン10ml、および2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン3.0g(22ミリモル)を仕込み、室温で30分間攪拌した。次に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.95モル/リットル)1.38ml(1.31ミリモル)を加えて密閉した。
【0355】
この後、オートクレーブにエチレンボンベを直結してエチレンを導入し、オートクレーブ内を2MPa(20kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧し、110℃に加熱した。消費されたエチレンを間欠的に追加しながら、エチレン圧を1.9〜2MPa19〜20kgf/cm2、ゲージ圧)に維持し、110℃で6時間反応を行った。
【0356】
反応終了後、実施例1−1と同様にガスクロマトグラフで分析した。その結果、目的とする4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの収率は68%(2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエンの転化率は99%)であった。
【0357】
実施例1−6
窒素雰囲気下、50ml容量のステンレス(SUS316)製オートクレーブに、塩化コバルト(II)六水和物0.0124g(0.052ミリモル)、アセトニトリル0.064g(1.56ミリモル)、トルエン10ml、および2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン3.0g(22ミリモル)を仕込み、室温で30分間攪拌した。次に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.95モル/リットル)1.69ml(1.61ミリモル)を加えて密閉した。
【0358】
この後、オートクレーブにエチレンボンベを直結してエチレンを導入し、オートクレーブ内を2MPa(20kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧し、100℃に加熱した。消費されたエチレンを間欠的に追加しながら、エチレン圧を1.9〜2MPa(19〜20kgf/cm2、ゲージ圧)に維持し、100℃で17時間反応を行った。
【0359】
反応終了後、実施例1−1と同様にガスクロマトグラフで分析した。その結果、目的とする4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの収率は64%(2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエンの転化率は85%)であった。
【0360】
実施例1−7
窒素雰囲気下、50ml容量のステンレス(SUS316)製オートクレーブに、コバルト(II)アセチルアセトナート0.109g(0.42ミリモル)、ベンゾニトリル0.218g(2.11ミリモル)、トルエン10ml、および2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン3.0g(22ミリモル)を仕込み、室温で30分間攪拌した。次に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.95モル/リットル)4.5ml(4.2ミリモル)を加えて密閉した。
【0361】
この後、オートクレーブにエチレンボンベを直結してエチレンを導入し、オートクレーブ内を1MPa(10kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧し、80℃に加熱した。消費されたエチレンを間欠的に追加しながら、エチレン圧を0.9〜1MPa(9〜10kgf/cm2、ゲージ圧)に維持し、80℃で1時間反応を行った。
【0362】
反応終了後、実施例1−1と同様にガスクロマトグラフで分析した。その結果、目的とする4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの収率は34%(2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエンの転化率は71%)であった。
【0363】
実施例1−8
まずトルエンにメチルアルミノキサンをアルミニウム換算で0.75mM、rac−ジメチルシリレン−ビス〔1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)〕ジルコニウムジクロリドを0.0025mMの量で溶解し、重合用触媒溶液を調製した。
【0364】
これとは別に、充分窒素置換した容量2 literの撹拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で、実施例1−1で合成した4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)17ml、およびヘプタン883mlを装入した。このオートクレーブに、撹拌翼を回しながら、氷冷下にプロピレンを16Nliter装入した。次に、オートクレーブを50℃まで加熱し、さらに全圧が0.8MPa(8kgf/cm2、ゲージ圧)となるようにエチレンで加圧した。オートクレーブの内圧が0.8MPa(8kgf/cm2、ゲージ圧)になったところで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0mM/mlヘキサン溶液1.0mlを窒素で圧入した。続いて、予め調製しておいた前記重合触媒用溶液3mlを、窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。
【0365】
その後、30分間、オートクレーブを内温50℃になるように温度調整し、かつ圧力が0.8MPa(8kgf/cm2、ゲージ圧)となるように直接的にエチレンの供給を行った。重合開始30分後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを装入して重合を停止し、その後オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液に2 literのメタノールを撹拌しながら注いだ。得られた溶媒を含むゴム鞠状の重合体を130℃、13時間、80kPa(600torr)で乾燥し、エチレン・プロピレン・DMDT共重合体(以下、共重合体Aという)を得た。特性を表1−1に示す。
【0366】
この共重合体Aのエチレン/プロピレンのモル比は69/31、デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕は2.2dl/g、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)の含有量は1.5モル%であった。
【0367】
実施例1−9、1−10
α−オレフィンの種類、重合用触媒の種類および使用量を表1−1に示すように変更した以外は実施例1−8と同様にしてエチレン・プロピレン・DMDT共重合体(以下、共重合体Bという)、またはエチレン・1−オクテン・DMDT共重合体(以下、共重合体Cという)を得た。特性を表1−1に示す。
【0368】
比較例1−1、1−2
DMDTの代わりに表1−2に示すEMNDまたはENB(いずれの化合物も前記(1)のトリエン化合物には含まれない)を用いて、重合用触媒の種類および使用量を表1−2に示すように変更した以外は実施例1−8と同様にして共重合体Dまたは共重合体Eを得た。特性を表1−2に示す。
【0369】
【表1】
【0370】
【表2】
【0371】
表1−1および表1−2の注
*1:rac−ジメチルシリレン−ビス〔1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド
*2:メチルアルミノキサン
*3:〔ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン〕チタンジクロリド
*4:トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレート
*5 DMDT:4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン
EMND:4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン
ENB:5−エチリデンノルボルネン
【0372】
実施例1−11
実施例1−8で得られた共重合体Aを100重量部、酸化亜鉛2種を5重量部、ステアリン酸を1重量部、カーボンブラックN330(商品名:シースト3、東海カーボン(株)製)を80重量部、パラフィン系プロセスオイル(商品名:サンパー2280、日本サン石油(株)製)を50重量部、イオウを0.5重量部、加硫促進剤MBTを1.5重量部、および加硫促進剤TMTDを1.0重量部の割合で6インチロール(F/B=50/50℃)で混練して未加硫のゴムシートを得た。
【0373】
得られた未加硫のゴムシートについて、160℃におけるtc(90)およびt10を求めた。ここでtc(90)は、下記のようにして求められる加硫速度を示す指標であり、またt10は下記のようにして求められるスコーチ安定性を示す指標である。すなわち、JSRキュラストメーター3型(日本合成ゴム(株)製)を用いて160℃における加硫曲線を求め、それから得られるトルクの最低値MLと最高値MHとの差をME(MH−ML=ME)とし、90%MEに到達するまでの時間をtc(90)〔単位:分〕とした。このtc(90)は加硫速度を示す指標であり、この値が小さい(短い)ほど加硫速度が速いことを示す。また10%MEに到達するまでの時間をt10〔単位:分〕とした。このt10はスコーチ安定性を示す指標であり、この値が大きい(長い)ほどスコーチ安定性がよいことを示す。
【0374】
また上記未加硫のゴムシートを160℃でプレス加硫を行った。プレス加硫時間はtc(90)の時間+5分間に設定した。未加硫ゴムシートおよび加硫ゴムシートについて測定した物性を表1−3に示す。
【0375】
比較例1−3、1−4
実施例1−11において共重合体Aの代わりに、比較例1−1または1−2で得られた共重合体DまたはEを用いた以外は実施例1−11と同様に行った。結果を表1−3に示す。
【0376】
【表3】
【0377】
表1−3の結果から、実施例1−11はtc(90)が短く、かつtc(90)が短いにもかかわらずt10が長いことがわかる。このことは加硫速度が速く、かつスコーチ安定性に優れていることを示している。
これに対して比較例1−3はtc(90)が長く、かつt10が短く、実施例1−11に比べて加硫速度およびスコーチ安定性が悪いことがわかる。また比較例1−4はtc(90)が非常に長く、加硫速度とスコーチ安定性とのバランスが悪いことがわかる。
【0378】
表1−3では、実施例1−11と比較例1−3のt10の差は0.5分であるが、実用上の差は大きい。すなわち、ゴム加工用押出機の温度設定は一般に100℃前後であるので、このような温度では160℃で測定されたt10の0.5分の差はより大きな時間差となって現れる。このため、ゴム加工時に押出機中で早期加硫が進行して粘度が上昇することに起因するトラブル、例えば吐出量の減少、モーター負荷の増大、シリンダーやダイの詰まり等が防止されるなど、加工時の取扱の安定性が改善される。
【0379】
実施例1−1−1
《4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)》の合成
1500mlのステンレス製オートクレーブ中に、窒素雰囲気下、2,6−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン257g(1.89モル)、トルエン500ml、チオシアン酸コバルト6.18g(35.2ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン21.4g(70.4ミリモル)、および濃度1モル/literのトリエチルアルミニウム/トルエン溶液200ml(トリエチルアルミニウム200ミリモル)を加えて密閉した。次にオートクレーブにエチレンボンベを直結してエチレンを導入し、オートクレーブ内を1MPa(10kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧した。次に120℃に加熱して、消費されたエチレンを間欠的に追加しながら、合計5時間反応を行った。反応終了後にオートクレーブを冷却してから開放し、得られた反応混合物を500mlの水中に注いで、有機相と水相とに分離した。分離された有機相を、80段の蒸留塔で精製蒸留し、目的物である前記式(28)で示される4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン108gを得た(収率36%)。
【0380】
上記で得られた4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンの分析結果を以下に示す。
吸収ピークを下記に示す。
ppm(δ)
1.55 (3H,doublet)
1.65 (6H,doublet)
2.05 (4H,multiplet)
2.75 (2H,doublet)
4.95 (2H,multiplet)
5.2 (2H,multiplet)
5.7 (1H,multiplet)
【0381】
実施例2−1
まずトルエンにメチルアルミノキサンをアルミニウム換算で0.75mM、rac−ジメチルシリレン−ビス〔1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)〕ジルコニウムジクロリドを0.0025mMの量で溶解し、重合用触媒溶液を調製した。
【0382】
これとは別に、充分窒素置換した容量2 literの撹拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で、実施例1−1−1で合成した4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)17ml、およびヘプタン883mlを装入した。このオートクレーブに、撹拌翼を回しながら、氷冷下にプロピレンを16Nliter装入した。次に、オートクレーブを50℃まで加熱し、さらに全圧が0.8MPa(8kgf/cm2、ゲージ圧)となるようにエチレンで加圧した。オートクレーブの内圧が0.8MPa(8kgf/cm2、ゲージ圧)になったところで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0mM/mlヘキサン溶液1.0mlを窒素で圧入した。続いて、予め調製しておいた前記重合触媒用溶液3mlを、窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。
【0383】
その後、30分間、オートクレーブを内温50℃になるように温度調整し、かつ圧力が0.8MPa(8kgf/cm2、ゲージ圧)となるように直接的にエチレンの供給を行った。重合開始30分後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを装入して重合を停止し、その後オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液に2 literのメタノールを撹拌しながら注いだ。得られた溶媒を含むゴム鞠状の重合体を130℃、13時間、600torrで乾燥し、エチレン・プロピレン・DMDT共重合体(以下、共重合体2Aという)を得た。特性を表2−1に示す。
【0384】
この共重合体2Aのエチレン/プロピレンのモル比は69/31、デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕は2.2dl/g、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)の含有量は1.5モル%であった。また共重合体2Aの1H−NMR、13C−NMRを測定することにより、DMDTのポリマー中での構造が前記式(1−a)に示される構造であることを確認した。
実施例2−2、2−3
【0385】
α−オレフィンの種類、重合用触媒の種類および使用量を表2−1に示すように変更した以外は実施例2−1と同様にしてエチレン・プロピレン・DMDT共重合体(以下、共重合体2Bという)、またはエチレン・1−オクテン・DMDT共重合体(以下、共重合体2Cという)を得た。特性を表2−1に示す。
比較例2−1、2−2
【0386】
DMDTの代わりに表2−2に示すEMNDまたはENB(いずれの化合物も前記式(1)のトリエン化合物には含まれない)を用いて、重合用触媒の種類および使用量を表2−2に示すように変更した以外は実施例2−1と同様にして共重合体2Dまたは共重合体2Eを得た。特性を表2−2に示す。
【0387】
【表4】
【0388】
【表5】
【0389】
【0390】
実施例2−4
実施例2−1で得られた共重合体2Aを100重量部、酸化亜鉛2種を5重量部、ステアリン酸を1重量部、カーボンブラックN330(商品名:シースト3、東海カーボン(株)製)を80重量部、パラフィン系プロセスオイル(商品名:サンパー2280、日本サン石油(株)製)を50重量部、イオウを0.5重量部、加硫促進剤MBTを1.5重量部、および加硫促進剤TMTDを1.0重量部の割合で6インチロール(F/B=50/50℃)で混練して未加硫のゴムシートを得た。得られたゴムシートから160℃におけるtc(90)を下記のようにして求め、160℃でプレス加硫を行った。プレス加硫時間はtc(90)の時間+5分間に設定した。未加硫ゴムおよび加硫ゴムシートについて下記物性試験を行った。結果を表2−3に示す。
【0391】
《未加硫ゴムの物性試験(加硫速度評価、スコーチ安定性評価)》
加硫速度は、JSRキュラストメーター3型(日本合成ゴム(株)製)を用いて評価した。すなわち、160℃における加硫曲線から得られるトルクの最低値MLと最高値MHとの差をME(MH−ML=ME)とし、90%MEに到達するまでの時間〔以下、tc(90)という。単位:分〕をもって加硫速度の目安とした。このtc(90)が短いほど加硫速度が速いことを示す。また10%MEに到達するまでの時間〔以下、t10という。単位:分〕をもってスコーチ安定性の目安とした。このt10が長いほどスコーチ安定性がよいことを示す。
【0392】
《加硫物性》
JIS K6301に従い、破断点強度(TB)、破断点伸び(EB)、硬度を測定した。
【0393】
比較例2−3、2−4
実施例2−4において共重合体2Aの代わりに、比較例2−1または2−2で得られた共重合体2Dまたは2Eを用いた以外は実施例2−4と同様に行った。結果を表2−3に示す。
【0394】
【表6】
【0395】
表2−3の結果から、実施例2−4はtc(90)が短く、かつtc(90)が短いにもかかわらずt10が長いことがわかる。このことは加硫速度が速く、かつスコーチ安定性に優れていることを示している。
これに対して比較例2−3はtc(90)が長く、かつt10が短く、実施例2−4に比べて加硫速度およびスコーチ安定性が悪いことがわかる。また比較例2−4はtc(90)が非常に長く、加硫速度とスコーチ安定性とのバランスが悪いことがわかる。
【0396】
表2−3では、実施例2−4と比較例2−3のt10の差は0.5分であるが、実用上の差は大きい。すなわち、ゴム加工用押出機の温度設定は一般に100℃前後であるので、このような温度では160℃で測定されたt10の0.5分の差はより大きな時間差となって現れる。このため、ゴム加工時に押出機中で早期加硫が進行して粘度が上昇することに起因するトラブル、例えば吐出量の減少、モーター負荷の増大、シリンダーやダイの詰まり等が防止されるなど、加工時の取扱の安定性が改善される。
【0397】
実施例2−5
モノマーの種類および使用量ならびに反応条件を変更した以外は実施例2−1と同様にして、表2−4に示す共重合体2Fを得た。
この共重合体2Fを100重量部、亜鉛華第2種を5重量部、ステアリン酸2重量部、SRFカーボンブラック(旭カーボン製、旭#50、商標)90重量部、パラフィン系プロセスオイル60重量部、およびポリエチレングリコール1重量部を容量1.7 literのバンバリーミキサー(神戸製鋼所製)で6分間混練した。得られた混練物に、イオウ(加硫剤)1.5重量部、2−メルカプトベンゾチアゾール(加硫促進剤)0.8重量部、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(加硫促進剤)1.2重量部、ジンク−ジ−n−ブチルジチオカルバメート(加硫促進剤)2.0重量部、2−メルカプトイミダゾリン(加硫促進剤)1.0重量部、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(発泡剤)3.5重量部、および脱泡剤5.0重量部を加えて8インチロール(F/B=40/40℃)で15分間混練し、押出成形スポンジゴム用のゴム組成物(ゴム配合物)を調製した。次いで、このゴム組成物を、チューブ状ダイス(内径10mm、肉厚1mm)を装着した50mm押出機を用いて、ダイス温度80℃、シリンダー温度60℃の条件で押し出し、チューブ状に成形した。この成形体を220℃の熱空気加硫槽内で6分間加硫を行って、チューブ状の加硫スポンジゴムを得た。得られたスポンジゴム、および加硫を行う前の未加硫ゴムについて、下記物性試験を行った。結果を表2−5に示す。
【0398】
《未加硫ゴムの物性試験(加硫速度評価、スコーチ安定性評価)》
未加硫ゴムの物性試験は、JIS K6300に準拠して行い、加硫速度は、JSRキュラストメーター3型(日本合成ゴム(株)製)を用いて評価した。すなわち、180℃における加硫曲線から得られるトルクの最低値MLと最高値MHとの差をME(MH−ML=ME)とし、90%MEに到達するまでの時間〔以下、tc(90)という。単位:分〕をもって加硫速度の目安とした。このtc(90)が短いほど加硫速度が速いことを示す。また10%MEに到達するまでの時間〔以下、t10という。単位:分〕をもってスコーチ安定性の目安とした。このt10が長いほどスコーチ安定性がよいことを示す。
【0399】
《加硫物性》
JIS K6301に従い、破断点強度(TB)、破断点伸び(EB)、硬度(HS)を測定した。
《圧縮永久歪試験》
チューブ状の加硫スポンジゴム(押出成形スポンジゴム加硫物)を長さ30mmに切断して、スポンジゴム圧縮永久歪測定金型に入れ、スポンジゴムのチューブの高さ、すなわちチューブの径に対して50%圧縮し、次いで金型ごと70℃で100時間ギアオーブン中で熱処理した後、膨張ゴムの物理試験方法(SRIS−0101)に準拠して圧縮永久歪(CS)を求めた。
【0400】
《表面粗度》
スポンジゴムの表面粗度は、触針式表面粗さ測定器を用いて、スポンジゴムの上面の凹凸を数値化して表した。実際には、チューブ状の加硫スポンジゴムを長さ50mmに切断し、抜き取り部分の内で最高から10番目までの凸部分の高さの総和(h1)から、最低から10番目までの凹部分までの高さの総和(h2)を差し引いた値(h1−h2)を10で除して算出した値を、スポンジの表面粗度とした。
【0401】
実施例2−6〜2−8
モノマーの種類および使用量ならびに反応条件を変更した以外は実施例2−1と同様にして、表2−4に示す共重合体2G〜2Iを得た。
実施例2−5において、共重合体2Fの代わりに共重合体2G〜2Iを用いた以外は実施例2−5と同様に行った。結果を表2−5に示す。
【0402】
比較例2−5〜2−8
実施例2−5において、共重合体2Fの代わりに表2−4の共重合体2J〜2Mを用いた以外は実施例2−5と同様に行った。結果を表2−6に示す。
【0403】
【表7】
【0404】
【表8】
【0405】
【表9】
【0406】
実施例2−9
モノマーの種類および使用量ならびに反応条件を変更した以外は実施例2−1と同様にして、表2−7に示す共重合体2Nを得た。
この共重合体2Nを100重量部、亜鉛華第2種を5重量部、ステアリン酸2重量部、SRFカーボンブラック(旭カーボン製、旭#50、商標)60重量部、FEFカーボンブラック(旭カーボン製、旭#60、商標)30重量部、パラフィン系プロセスオイル60重量部および酸化カルシウム2重量部を容量1.7 literのバンバリーミキサー(神戸製鋼所製)で5分間混練した。得られた混練物に、イオウ(加硫剤)1.5重量部、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(加硫促進剤)2.5重量部、ジンク−ジ−n−ブチルジチオカルバメート(加硫促進剤)1.0重量部、テトラエチルチウラムジスルフィド(加硫促進剤)0.5重量部、エチレンチオ尿素(加硫促進剤)0.5重量部、アゾジカルボンアミド(発泡剤)7.0重量部、および尿素系発泡助剤2.0重量部を加えて8インチロール(F/B=40/40℃)で15分間混練し、型内発泡成形スポンジゴム用のゴム組成物(ゴム配合物)を調製した。次いで、このゴム組成物を、射出成形加硫機を用いて、180℃で4分間加硫を行い、内径11mm、外径15mm、長さ25cmのチューブ状の加硫スポンジゴムを得た。結果を表2−8に示す。
【0407】
《未加硫ゴムの物性試験(加硫速度評価、スコーチ安定性評価)》
実施例2−5と同じ。
《吸水率》
チューブ状の加硫スポンジゴム(型内発泡成形スポンジゴム加硫物)の上部から20mm×20mmの試験片を打ち抜き、試験片の重量を測定する。次に、吸引口の付いたデシケータに底から100mm以上の水を入れ、その中に試験片を沈める。この状態でデシケータ内部を減圧にし、635mmHgに保持する。3分後に減圧を解除し、さらに3分間保持する。その後、試験片をデシケータから取り出して表面の水滴を拭き取った後、重量を測定し、次の計算式で吸水率を算出する。
吸水率(重量%)=[(W2−W1)/W1]×100
W1:浸漬前の試験片の重量(g)
W2:浸漬後の試験片の重量(g)
【0408】
《圧縮永久歪試験》
チューブ状の加硫スポンジゴム(型内発泡成形スポンジゴム加硫物)の圧縮永久歪試験はJIS K6301に準拠して行った。70℃×100時間老化後の圧縮永久歪(CS)を求めた。
【0409】
実施例2−10
モノマーの種類および使用量ならびに反応条件を変更した以外は実施例2−1と同様にして、表2−7に示す共重合体2Oを得た。
実施例2−9において、共重合体2Nの代わりに共重合体2Oを用いた以外は実施例2−9と同様に行った。結果を表2−8に示す。
【0410】
比較例2−9、2−10
実施例2−9において、共重合体2Nの代わりに表2−7の共重合体2P、2Qを用いた以外は実施例2−9と同様に行った。結果を表2−8に示す。
【0411】
【表10】
【0412】
【表11】
【0413】
実施例3−1
(触媒の調製)
充分に窒素置換したガラス製フラスコに、rac−ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドを4.8mgを加え、そこへメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Witco社製メチルアルミノキサンを乾固し、トルエンに再溶解したもの(Al濃度:1.1モル/liter)2.8mlおよびトルエン4.8mlを添加することにより触媒溶液を調製した。
【0414】
(重合)
充分に窒素置換した内容積2literのステンレス製オートクレーブに、ヘキサン900ml、トリイソブチルアルミニウム1ミリモル、1−ブテン70gおよび前記実施例1−1−1で得たDMDT15mlを装入し、系内の温度を70℃に昇温した。引き続き上記で調製した触媒溶液2ml(Zrとして0.002ミリモル)をプロピレンで圧入することにより重合を開始した。その後プロピレンのみを連続的に供給することにより全圧を1.4MPa(14kgf/cm2、ゲージ圧)に保ち、70℃で30分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のモノマーをパージした。得られたポリマー溶液を大過剰のメタノールに投入することによりポリマーを析出させた。このポリマーを濾過により回収し、安定剤〔Irganox 1010(チバガイギー社製、商標)25mgおよびMark 329K(旭電化(株)製、商標)25mg〕を添加した後、80℃で減圧下に一晩乾燥した。
【0415】
上記のようにして、極限粘度〔η〕が2.3dl/gであり、プロピレン単位含量が87.6モル%であり、1−ブテン単位含量が10.9モル%であり、DMDT単位含量が1.5モル%であり、ヨウ素価が17であるプロピレン・1−ブテン・DMDTランダム共重合体(共重合体3A)23.6gが得られた。
【0416】
実施例3−2
(固体状チタン触媒成分の調製)
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン442mlおよび2−エチルヘキシルアルコール390.6gを130℃で2時間加熱反応を行って均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸21.3gを添加し、さらに130℃にて1時間撹拌混合を行い、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解させた。このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、溶液75mlを−20℃に保持した四塩化チタン200ml中に1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート5.22gを添加し、これより2時間同温度にて撹拌下に保持した。反応終了後、熱濾過して固体部を採取し、この固体部を275mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過して固体部を採取し、110℃のデカンおよびヘキサンにより、遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調製したチタン触媒成分はデカンスラリーとして保存した。この触媒成分の一部を触媒組成を調べる目的で乾燥した。このようにして得られた固体チタン触媒成分の組成はチタン2.5重量%、塩素65重量%、マグネシウム19重量%およびジイソブチルフタレート13.5重量%であった。
【0417】
(重合)
充分に窒素置換した内容積2リットルのガラス製オートクレーブにデカン560ml、1−オクテン400mlおよび前記実施例1−1−1で得たDMDT40mlを装入し、系内の温度を50℃に昇温した。次いで、水素を3L/hr、窒素を50L/hrの速度で流通させた。その後、トリイソブチルアルミニウムを3ミリモル、トリメチルエトキシシランを1ミリモルおよび上記で調製した触媒をチタン原子に換算して0.06ミリモル添加することにより重合を開始した。系内を50℃に保ち、30分間重合を行った後、少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を大過剰のメタノール中に投入することにより、ポリマーを析出させた。ポリマーを濾過により回収し、安定剤〔Irganox 1010(チバガイギー社製、商標)50mgおよびMark 329K(旭電化(株)製、商標)50mg〕を混合した後、120℃で減圧下に一晩乾燥した。
【0418】
このようにして、極限粘度〔η〕が5.0dl/gであり、1−オクテン単位含量が95.7モル%であり、DMDT単位含量が4.3モル%であり、ヨウ素価が21である1−オクテン・DMDT共重合体(共重合体3B)を41.6g得た。
【0419】
実施例3−3
(重合)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、ヘキサン900ml、DMDT20mlおよびトリイソブチルアルミニウム1ミリモルを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。引き続きエチレンを装入して0.25MPa(2.5kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧して、さらに実施例3−1で調製した触媒溶液1.5ml(Zrとして0.0015ミリモル)をプロピレンで圧入することにより重合を開始した。その後プロピレンのみを連続的に供給することにより全圧を0.8MPa(8kgf/cm2、ゲージ圧)に保ち、60℃で15分間重合を行った後は、実施例3−1と同様に行った。
【0420】
このようにして、極限粘度〔η〕が2.0dl/gであり、プロピレン単位が90.1モル%であり、エチレン単位が8.0モル%であり、DMDT単位が1.9モル%であり、ヨウ素価が22であるプロピレン・エチレン・DMDT共重合体(共重合体3C)が28.0g得られた。
【0421】
実施例3−4
(固体状チタン触媒成分の調製)
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン442mlおよび2−エチルヘキシルアルコ−ル390.6gを130℃で2時間加熱反応を行なって均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸21.3gを添加し、さらに130℃にて1時間攪拌混合を行ない、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解させた。このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、75mlを−20℃に保持した四塩化チタン200ml中に1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレ−ト5.22gを添加し、これより2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過して固体部を採取し、この固体部を275mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行なった。反応終了後、再び熱濾過して固体部を採取し、110℃デカンおよびヘキサンにて、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。
【0422】
以上の操作によって調製したチタン触媒成分はデカンスラリ−として保存したが、この内の一部を触媒組成を調べる目的で乾燥した。
このようにして得られた固体状チタン触媒成分の組成はチタン2.5重量%、塩素65重量%、マグネシウム19重量%およびジイソブチルフタレート13.5重量%であった。
【0423】
(重合)
充分に窒素置換した内容積1literのガラス製オートクレーブに4-メチル-1-ペンテン500ml、1-デセン10ml、DMDT10mlおよび水素1N−literを装入し、系内の温度を50℃に昇温した。トリエチルアルミニウムを1ミリモル、トリメチルメトキシシランを1ミリモルおよび上記で調製した触媒をTi原子に換算して0.005ミリモル添加することにより重合を開始した。系内を50℃に保ち、15分間重合を行った後、少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を大過剰のメタノール中に投入することにより、ポリマーを析出させた。ポリマーを濾過により回収し、安定剤〔Irganox 1010 (チバガイギー製)30mgおよびMark329K(旭電化製)30mg〕を混合した後、80℃で減圧下に一晩乾燥した。
【0424】
その結果、極限粘度〔η〕が2.5dl/gであり、4−メチル−1−ペンテン単位が94.7モル%であり、1−デセン単位が3.0モル%であり、DMDT単位が2.3モル%であり、ヨウ素価が13である4−メチル−1−ペンテン・1−デセン・DMDT共重合体(共重合体3D)を40.8g得た。
共重合体3A、3B、3Cおよび3Dの組成等を表3−1に示す。
【0425】
【表12】
【0426】
実施例3−5
実施例3−2で得られた共重合体3Bを100重量部、酸化亜鉛2種を5重量部、ステアリン酸を1重量部、カーボンブラックN330(商品名:シースト3、東海カーボン(株)製)を80重量部、パラフィン系プロセスオイル(商品名:サンパー2280、日本サン石油(株)製)を50重量部、イオウを0.5重量部、加硫促進剤MBTを1.5重量部、および加硫促進剤TMTDを1.0重量部の割合で6インチロール(F/B=50/50℃)で混練して未加硫のゴムシートを得た。得られたゴムシートから160℃におけるtc(90)を下記のようにして求め、160℃でプレス加硫を行った。プレス加硫時間はtc(90)の時間+5分間に設定した。未加硫ゴムおよび加硫ゴムシートについて下記物性試験を行った。結果を表3−2に示す。
【0427】
《未加硫ゴムの物性試験(加硫速度評価、スコーチ安定性評価)》
加硫速度は、JSRキュラストメーター3型(日本合成ゴム(株)製)を用いて評価した。すなわち、160℃における加硫曲線から得られるトルクの最低値MLと最高値MHとの差をME(MH−ML=ME)とし、90%MEに到達するまでの時間〔以下、tc(90)という。単位:分〕をもって加硫速度の目安とした。このtc(90)が短いほど加硫速度が速いことを示す。また10%MEに到達するまでの時間〔以下、t10という。単位:分〕をもってスコーチ安定性の目安とした。このt10が長いほどスコーチ安定性がよいことを示す。
《加硫物性》
JIS K6301に従い、破断点強度(TB)、破断点伸び(EB)、硬度を測定した。
【0428】
実施例3−6
実施例3−5において共重合体3Bの代わりに、実施例3−3で得られた共重合体3Cを用いた以外は実施例3−5と同様に行った。結果を表3−2に示す。
【0429】
比較例3−1
実施例3−5において、共重合体3Bの代わりにエチレン含量65モル%、プロピレン含量32モル%、エチリデンノルボルネン含量3モル%、〔η〕=2.2dl/g、ヨウ素価23のエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体(共重合体3E)を用いた以外は、実施例3−5と同様に行った。結果を表3−2に示す。
【0430】
【表13】
【0431】
表3−2の結果から、実施例3−5および実施例3−6はtc(90)が短く、かつtc(90)が短いにもかかわらずt10が長いことがわかる。このことは加硫速度が速く、かつスコーチ安定性に優れていることを示している。
Claims (22)
- 式(1)において、nが1であり、R4およびR5が水素原子である請求項1記載の鎖状トリエン化合物。
- 式(1)において、R6およびR7がそれぞれ独立してメチル基またはエチル基である請求項2記載の鎖状トリエン化合物。
- 式(1)で示される化合物が4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンである請求項1記載の鎖状トリエン化合物。
- 式(2)において、R 1 がメチル基、R 2 が水素原子、R 6 がメチル基、R 7 がメチル基である請求項5記載の鎖状トリエン化合物。
- 周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、式(3)
で示される共役ジエン構造含有トリエン化合物と、エチレンとを反応させて、式(1)
で示される鎖状トリエン化合物を製造する鎖状トリエン化合物の製造方法。 - 周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属のチオシアン酸塩(a−1)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる請求項7記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
- 周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、チオシアン化合物(d)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる請求項7記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
- 周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属のシアン化物(a−2)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる請求項7記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
- 周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、シアン化合物(e)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる請求項7記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
- 周期表8、9および10族からなる群から選ばれる遷移金属を含む遷移金属化合物(a)と、ニトリル化合物(e−1)と、有機アルミニウム化合物(c)とからなる触媒の存在下に、共役ジエン構造含有トリエン化合物とエチレンとを反応させる請求項7記載の鎖状トリエン化合物の製造方法。
- α−オレフィン(A)が2種以上のα−オレフィンからなる請求項13記載のα−オレフィン・トリエンランダム共重合体。
- α−オレフィン(A)がエチレン(A−1)と炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)とからなり、エチレン(A−1)に由来する構造単位(UA-1)/α−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)のモル比が99/1〜30/70である請求項13記載のα−オレフィン・トリエンランダム共重合体。
- α−オレフィン(A)が炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)と炭素数2〜20のα−オレフィン(A−3)とからなり(ただし、α−オレフィン(A−2)とα−オレフィン(A−3)との種類は異なる)、
炭素数3〜20のα−オレフィン(A−2)に由来する構造単位(UA-2)70〜99.9モル%、
炭素数2〜20のα−オレフィン(A−3)に由来する構造単位(UA-3)0〜29.9モル%、および
鎖状トリエン化合物(B−1)に由来する構造単位(UB-1)に由来する構造単位0.1〜30モル%
を含有(ここで構造単位(UA-2)、(UA-3)および(UB-1)の合計量は100モル%である)する請求項13記載のα−オレフィン・トリエンランダム共重合体。 - 請求項18記載の組成物からなる成形体。
- 成形体が押出成形体である請求項19記載の成形体。
- 成形体が射出成形体またはトランスファー成形体である請求項19記載の成形体。
- 成形体が発泡体である請求項19記載の成形体。
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