JP3540475B2 - ワイパーブレード用ゴム組成物およびそのワイパーブレードゴム成形体 - Google Patents
ワイパーブレード用ゴム組成物およびそのワイパーブレードゴム成形体 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、ワイパーブレード用ゴム組成物およびそのワイパーブレードゴム成形体に関し、さらに詳しくは、耐環境老化性(耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性)に優れるとともに、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)に優れた寿命の長いワイパーブレードゴム成形体を提供することができるワイパーブレード用ゴム組成物およびそのワイパーブレードゴム成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
自動車、電車、航空機、船舶などの乗物のワイパーブレードに使用されるゴム製品(ワイパーブレードゴム成形体)は、常時、日光や風雨に曝されるため、優れた耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性を有することが必要とされている。
【0003】
従来、上記のようなワイパーブレードゴム成形体は、その原料として、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)などのゴムが使用されてきた。
【0004】
しかしながら、ワイパーブレードゴム成形体は、近年のメンテナンスフリーの要請と相俟って、その長寿命化が要求されるようになった。
そこで、耐環境老化性に優れたエチレン・プロピレンゴム(EPDM)のワイパーブレードへの利用を実現させようと、種々の試みがなされている。
【0005】
しかしながら、従来のEPDMを使用したワイパーブレードゴム成形体は、振動の特に激しい、いわゆる動的な条件下では疲労して破断し易いという問題があった。
【0006】
したがって、従来より、耐環境老化性に優れるとともに、耐動的疲労性に優れた、寿命の長いワイパーブレードゴム成形体を提供することができるワイパーブレード用ゴム組成物およびそのワイパーブレードゴム成形体の出現が望まれている。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、耐環境老化性(耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性)に優れるとともに、耐動的疲労性に優れた、寿命の長いワイパーブレードゴム成形体を成形することができるワイパーブレード用ゴム組成物およびそのワイパーブレードゴム成形体を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係るワイパーブレード用ゴム組成物は、
エチレン、炭素原子数3〜14のα- オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)を含有してなるゴム組成物であり、
該エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、
メタロセン系触媒の存在下に、エチレンと、炭素原子数3〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとをランダム共重合させることにより得られ、
(1) (a)エチレンから導かれる単位と
(b)炭素原子数3〜14のα- オレフィンから導かれる単位とを、
40/60〜80/20[(a)/(b)]のモル比で含有し、
(2) ヨウ素価が1〜50であり、
(3) 135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が1〜5dl/gである
ことを特徴としている。
【0009】
本発明に係るワイパーブレード用ゴム組成物としては、次のようなゴム組成物(1)、(2)が好ましい。
(1)エチレン、炭素原子数4〜14のα- オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)を含有してなるゴム組成物であり、
該エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、
メタロセン系触媒の存在下に、エチレンと、炭素原子数4〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとをランダム共重合させることにより得られ、
(1) (a)エチレンから導かれる単位と
(b)炭素原子数4〜14のα- オレフィンから導かれる単位とを、
40/60〜80/20[(a)/(b)]のモル比で含有し、
(2) ヨウ素価が1〜50であり、
(3) 135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が1〜5dl/gであり、(4) 上記(3) で測定される極限粘度[η]と、これと同一重量平均分子量(光散乱法による)であるエチレン含量が70モル%の直鎖エチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]blank との比[gη*(=[η]/[η]blank)]が
0.95を超える値である。
【0010】
前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、
(5) 13C−NMRスペクトルおよび下記の式から求められるB値が、1.00〜
1.50であることが好ましい。
【0011】
B値=[POE]/(2・[PE ]・[PO ])
(式中、[PE ]は、ランダム共重合体ゴム中の(a) エチレンから導かれる
単位の含有モル分率であり、
[PO ]は、ランダム共重合体ゴム中の(b) α- オレフィンから導
かれる単位の含有モル分率であり、
[POE]は、ランダム共重合体ゴムにおける全ダイアド(dyad)連
鎖数に対するα- オレフィン・エチレン連鎖数の割合である)。
(2)エチレン、炭素原子数3〜14のα- オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)を含有してなるゴム組成物であり、
該エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、
メタロセン系触媒の存在下に、エチレンと、炭素原子数3〜14のα- オレフィンと、炭素・炭素二重結合のうち当該触媒で重合可能な炭素・炭素二重結合が、1分子内に1個のみ存在する非共役ポリエンとをランダム共重合させることにより得られ、
(1) (a) エチレンから導かれる単位と
(b) 炭素原子数3〜14のα- オレフィンから導かれる単位とを、
40/60〜80/20[(a)/(b)]のモル比で含有し、
(2) ヨウ素価が1〜50であり、
(3) 135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が1〜5dl/gであり、かつ、
(4) 上記(3) で測定される極限粘度[η]と、これと同一重量平均分子量(光散乱法による)であるエチレン含量が70モル%の直鎖エチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]blank との比[gη*(=[η]/[η]blank)]が
0.2〜0.95である。
【0012】
本発明に係るワイパーブレードゴム成形体は、上記のような本発明に係るワイパーブレード用ゴム組成物の加硫物であることを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るワイパーブレード用ゴム組成物およびそのワイパーブレードゴム成形体について具体的に説明する。
【0014】
本発明に係るワイパーブレード用ゴム組成物は、特定のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)を含有してなる。
また、本発明に係るワイパーブレードゴム成形体は、本発明に係るワイパーブレード用ゴム組成物を架橋(加硫)して得られる。
【0015】
エチレン・α - オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとをランダム共重合させることにより得られる。
【0016】
上述した、本発明に係る好ましいワイパーブレード用ゴム組成物(1)を構成するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、直鎖状の分子構造を有しており、また、本発明に係る好ましいワイパーブレード用ゴム組成物(2)を構成するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、長鎖分岐型の分子構造を有している。
【0017】
[α- オレフィン]
上記炭素原子数3〜14のα- オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、3-メチル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、3-エチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ペンテン、4-エチル-1- ヘキセン、3-エチル-1- ヘキセン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセンおよびこれらの組合わせが挙げられる。
【0018】
これらのうち、直鎖状のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)を構成するα- オレフィンとしては、耐屈曲疲労性および耐摩耗性の観点から炭素原子数4〜10のα- オレフィンが好ましく、特に1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどが好ましく用いられる。
【0019】
また、長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)を構成するα- オレフィンとしては、炭素原子数3〜10のα- オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが好ましく用いられる。
【0020】
[非共役ポリエン]
直鎖状のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)を構成する非共役ポリエンとしては、脂肪族ポリエン、脂環族ポリエンなどが挙げられる。
【0021】
脂肪族ポリエンとしては、具体的には、
1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,13- テトラデカジエン、1,5,9-デカトリエン、
3-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-メチル-1,4- ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-エチル-1,4- ヘキサジエン、3-メチル-1,5- ヘキサジエン、3,3-ジメチル-1,4- ヘキサジエン、3,4-ジメチル-1,5- ヘキサジエン、
5-メチル-1,4- ヘプタジエン、5-エチル-1,4- ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5- ヘプタジエン、5-エチル-1,5- ヘプタジエン、3-メチル-1,6- ヘプタジエン、4-メチル-1,6- ヘプタジエン、4,4-ジメチル-1,6- へプタジエン、4-エチル-1,6- ヘプタジエン、
4-メチル-1,4- オクタジエン、5-メチル-1,4- オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4- オクタジエン、5-メチル-1,5- オクタジエン、6-メチル-1,5- オクタジエン、5-エチル-1,5- オクタジエン、6-エチル-1,5- オクタジエン、6-メチル-1,6- オクタジエン、7-メチル-1,6- オクタジエン、6-エチル-1,6- オクタジエン、6-プロピル-1,6- オクタジエン、6-ブチル-1,6- オクタジエン、
4-メチル-1,4- ノナジエン、5-メチル-1,4- ノナジエン、4-エチル-1,4- ノナジエン、5-エチル-1,4- ノナジエン、5-メチル-1,5- ノナジエン、6-メチル-1,5- ノナジエン、5-エチル-1,5- ノナジエン、6-エチル-1,5- ノナジエン、6-メチル-1,6- ノナジエン、7-メチル-1,6- ノナジエン、6-エチル-1,6- ノナジエン、7-エチル-1,6- ノナジエン、7-メチル-1,7- ノナジエン、8-メチル-1,7- ノナジエン、7-エチル-1,7- ノナジエン、
5-メチル-1,4- デカジエン、5-エチル-1,4- デカジエン、5-メチル-1,5- デカジエン、6-メチル-1,5- デカジエン、5-エチル-1,5- デカジエン、6-エチル-1,5- デカジエン、6-メチル-1,6- デカジエン、6-エチル-1,6- デカジエン、7-メチル-1,6- デカジエン、7-エチル-1,6- デカジエン、7-メチル-1,7- デカジエン、8-メチル-1,7- デカジエン、7-エチル-1,7- デカジエン、8-エチル-1,7- デカジエン、8-メチル-1,8- デカジエン、9-メチル-1,8- デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、
6-メチル-1,6- ウンデカジエン、9-メチル-1,8- ウンデカジエンなどの脂肪族ポリエン、
ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、2,5-ノルボルナジエン、
1,4-ジビニルシクロヘキサン、1,3-ジビニルシクロヘキサン、1,3-ジビニルシクロペンタン、1,5-ジビニルシクロオクタン、1-アリル-4- ビニルシクロヘキサン、1,4-ジアリルシクロヘキサン、1-アリル-5- ビニルシクロオクタン、1,5-ジアリルシクロオクタン、1-アリル-4- イソプロペニルシクロヘキサン、1-イソプロペニル-4- ビニルシクロヘキサン、1-イソプロペニル-3- ビニルシクロペンタンなどが挙げられる。
【0022】
また、芳香族ポリエンとしては、具体的には、
ジビニルベンゼン、ビニルイソプロペニルベンゼンなどが挙げられる。
本発明では、これらのうちでも炭素原子数が7以上である非共役ポリエンが好ましく、たとえば7-メチル-1,6- オクタジエン等のメチルオクタジエン(MOD)、5-エチリデン-2- ノルボルネン等のエチリデンノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCPD)などが好ましく用いられる。
【0023】
これらの非共役ポリエンは、単独で、あるいは2種以上組合わせて用いることができる。
また、長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)を構成する非共役ポリエンは、炭素・炭素二重結合のうち、メタロセン系触媒で重合可能な炭素・炭素二重結合が、1分子内に1個のみ存在する非共役ポリエンである。このような非共役ポリエンには、両末端がビニル基である鎖状ポリエンは含まれない。2個以上のビニル基のうち、1個が末端ビニル基である場合には、他のビニル基は末端ではなく内部オレフィンの構造をとるものが好ましい。
【0024】
このような非共役ポリエンとしては、脂肪族ポリエン、脂環族ポリエンが挙げられる。
このような脂肪族ポリエンとしては、具体的には、
1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-メチル-1,4- ヘキサジエン、5-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-エチル-1,4- ヘキサジエン、3-メチル-1,5- ヘキサジエン、3,3-ジメチル-1,4- ヘキサジエン、
5-メチル-1,4- ヘプタジエン、5-エチル-1,4- ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5- ヘプタジエン、5-エチル-1,5- ヘプタジエン、
1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4- オクタジエン、5-メチル-1,4- オクタジエン、4-エチル-1,4- オクタジエン、5-エチル-1,4- オクタジエン、5-メチル-1,5- オクタジエン、6-メチル-1,5- オクタジエン、5-エチル-1,5- オクタジエン、6-エチル-1,5- オクタジエン、6-メチル-1,6- オクタジエン、7-メチル-1,6- オクタジエン、6-エチル-1,6- オクタジエン、6-プロピル-1,6- オクタジエン、6-ブチル-1,6- オクタジエン、
4-メチル-1,4- ノナジエン、5-メチル-1,4- ノナジエン、4-エチル-1,4- ノナジエン、5-エチル-1,4- ノナジエン、5-メチル-1,5- ノナジエン、6-メチル-1,5- ノナジエン、5-エチル-1,5- ノナジエン、6-エチル-1,5- ノナジエン、6-メチル-1,6- ノナジエン、7-メチル-1,6- ノナジエン、6-エチル-1,6- ノナジエン、7-エチル-1,6- ノナジエン、7-メチル-1,7- ノナジエン、8-メチル-1,7- ノナジエン、7-エチル-1,7- ノナジエン、
5-メチル-1,4- デカジエン、5-エチル-1,4- デカジエン、5-メチル-1,5- デカジエン、6-メチル-1,5- デカジエン、5-エチル-1,5- デカジエン、6-エチル-1,5- デカジエン、6-メチル-1,6- デカジエン、6-エチル-1,6- デカジエン、7-メチル-1,6- デカジエン、7-エチル-1,6- デカジエン、7-メチル-1,7- デカジエン、8-メチル-1,7- デカジエン、7-エチル-1,7- デカジエン、8-エチル-1,7- デカジエン、8-メチル-1,8- デカジエン、9-メチル-1,8- デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、
6-メチル-1,6- ウンデカジエン、9-メチル-1,8- ウンデカジエンなどが挙げられる。
【0025】
また、脂環族ポリエンとしては、1個の不飽和結合を有する脂環部分と、内部オレフィン結合を有する鎖状部分とから構成されるポリエンが好適であり、たとえば5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2- ノルボルネン、6-クロロメチル-5- イソプロペニル-2- ノルボルネンなどを挙げることができる。
【0026】
また、2,3-ジイソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-エチリデン-3- イソプロピリデン-5- ノルボルネン等のトリエンなどを挙げることができる。
これらの非共役ポリエンのうちでも、5-エチリデン-2- ノルボルネン、1,4-ヘキサジエンなどが特に好ましい。
【0027】
これらの非共役ポリエンは、単独で、あるいは2種以上組合わせて用いることができる。
[直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム
(A1)の特性]
本発明で好ましく用いられる直鎖状のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)は、下記のような特性を有している。
(1) エチレン/α- オレフィン成分比
本発明で用いられる直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)は、(a) エチレンから導かれる単位と、(b) 炭素原子数4〜14のα- オレフィン(以下、単にα- オレフィンということもある)から導かれる単位とを、40/60〜80/20、好ましくは40/60〜75/25、特に好ましくは50/50〜75/25[(a)/(b)〕のモル比で含有している。
【0028】
このようなエチレン成分/α- オレフィン成分比の直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、低温柔軟性および耐熱性のいずれにも優れている。なお、直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、このエチレン/α- オレフィン成分比が80/20を超えると、低温柔軟性が低下し、一方、40/60未満であると、耐熱性が低下する傾向にある。(2) ヨウ素価
直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)の非共役ポリエン成分量の一指標であるヨウ素価は、1〜50、好ましくは5〜40である。
【0029】
この特性値は、本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムをイオウあるいは有機過酸化物を用いて架橋(加硫)する場合の目安となる。
(3) 極限粘度[η]
直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)の135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]は、1〜5dl/g、好ましくは1.5〜5dl/g、さらに好ましくは1.5〜4dl/gである。
【0030】
この特性値は、本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの分子量を示す尺度であり、他の特性値と結合することにより、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性などの性質に優れた共重合体ゴムを得るに際して役立っている。
(4)gη* 値
上記のような直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)の極限粘度[η]から求められるgη* 値は、0.95を超えている。
【0031】
このgη* 値は、次式により定義される。
gη* =[η]/[η]blank
(ここで、[η]は、上記(3) で測定される極限粘度であり、
[η]blank は、その極限粘度[η]のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムと同一重量平均分子量(光散乱法による)を有し、かつエチレン含量が70モル%の直鎖エチレン・プロピレン共重合体の極限粘度である。)上記のような特性を有する直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムからは、機械強度、耐候性、耐オゾン性に優れ、しかも低温柔軟性にも優れたワイパーブレードゴム成形体を提供することができるゴム組成物が得られる。
【0032】
さらに、この直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)は、下記のようなB値を有していることが好ましい。
(5) B値
直鎖状エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)は、13C−NMRスペクトルおよび下記の式から求められるB値が1.00〜1.50であることが望ましい。
【0033】
B値=[POE]/(2・[PE ]・[PO ])
(式中、[PE ]は、ランダム共重合体ゴム中の(a) エチレンから導かれる単位
の含有モル分率であり、
[PO ]は、ランダム共重合体ゴム中の(b) α- オレフィンから導かれる単位の含有モル分率であり、
[POE]は、ランダム共重合体ゴムにおける全ダイアド(dyad)連鎖数
に対するα- オレフィン・エチレン連鎖数の割合である。)
このB値は、共重合体ゴム中におけるエチレンとα- オレフィンとの分布状態を表わす指標であり、J.C.Randall (Macromolecules, 15, 353(1982))、J.Ray(Macromolecules, 10,773 (1977)) らの報告に基づいて求めることができる。
【0034】
上記のB値が大きいほど、エチレンあるいはα- オレフィンのブロック的連鎖が短くなり、エチレンおよびα- オレフィンの分布が一様であり、共重合体ゴムの組成分布が狭いことを示している。なおB値が1.00よりも小さくなるほど共重合体ゴムの組成分布は広くなり、このような共重合体ゴムは、組成分布の狭い共重合体ゴムと比べて、たとえば架橋した場合には強度などの物性を充分に発現しないことがある。
【0035】
なお、本発明では、後述するように特定の第IVB族メタロセン系触媒を用いてエチレンとα- オレフィンと非共役ポリエンとを共重合させることにより、上記B値が1.00〜1.50であるランダム共重合体ゴムを得ているが、たとえばチタン系非メタロセン系触媒の存在下に、エチレンとα- オレフィンと非共役ポリエンとを共重合させても、上記範囲のB値を有するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを得ることはできない。
【0036】
[長鎖分岐型エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム
(A2)の特性]
一方、本発明で好ましく用いられる長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)は、下記のような特性を有している。
(1) エチレン/α- オレフィン成分比
本発明で用いられる長鎖分岐型エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)は、(a) エチレンから導かれる単位と、(b) 炭素原子数3〜14のα- オレフィン(以下、単にα- オレフィンと称することもある)から導かれる単位とを、40/60〜80/20、好ましくは45/55〜75/25、特に好ましくは50/50〜75/25[(a)/(b)]のモル比で含有している。なお、長鎖分岐型エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、このエチレン/α- オレフィン成分比が80/20を超えると、低温柔軟性が低下し、一方、40/60未満であると、耐熱性が低下する傾向にある。
(2) ヨウ素価
長鎖分岐型エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)のヨウ素価は、1〜50、好ましくは5〜40である。
【0037】
上記のようなヨウ素価を有する長鎖分岐型エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、加硫速度が速く、高速加硫が可能である。
(3) 極限粘度[η]
長鎖分岐型エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)の135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]は、1〜5dl/g、好ましくは1.5〜5dl/g、さらに好ましくは1.5〜4dl/gである。
(4) gη* 値
長鎖分岐型エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)のgη* 値は、0.2〜0.95、好ましくは0.4〜0.9、さらに好ましくは0.5〜0.85である。このgη* 値は、上述した方法により求められる。
【0038】
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムのgη* 値が0.95以下であると、分子中に長鎖分岐が形成されていることを示す。
[エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム
(A)の調製方法]
上記のような直鎖状または長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、特定のメタロセン系触媒の存在下に、エチレンと、炭素原子数3〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとをランダム共重合させることにより製造される。
【0039】
本発明で用いられるメタロセン系触媒は、メタロセン化合物[A]を含有すること以外は特に限定されず、たとえばメタロセン化合物[A]と、有機アルミニウムオキシ化合物[B]および/またはメタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物[C]とから形成されてもよい。また、メタロセン化合物[A]と、有機アルミニウムオキシ化合物[B]および/またはイオン対を形成する化合物[C]とともに有機アルミニウム化合物[D]とから形成されてもよい。
【0040】
以下に本発明において、メタロセン系触媒を形成する際に用いられる各成分について説明する。
メタロセン化合物[A]
まず、上記直鎖状のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A1)の調製に際して用いられるメタロセン化合物[A]としては、下記の一般式[I]で示される化合物が挙げられる。
【0041】
MLx ・・・[I]
式[I]中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属であり、具体的にはジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価である。
【0042】
Lは、遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0043】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえば、
シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニル基などのアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、さらに
インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
【0044】
これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
これらのうちでは、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
【0045】
式[I]で示される化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレンなどの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0046】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、水素原子またはスルホン酸含有基(−SO3 Ra )[ここで、Ra はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。]などが挙げられる。
【0047】
炭素原子数1〜12の炭化水素基としては、メチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0048】
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などが挙げられる。
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などが挙げられ、
スルホン酸含有基(−SO3 Ra )としては、メタンスルホナト基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基などが挙げられる。
【0049】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
上記式で表わされるメタロセン化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には、下記式[II]で表わされる。
【0050】
R2 kR3 lR4 mR5 nM ・・・[II]
式[II]中、Mは上記遷移金属であり、R2 はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R3 、R4 およびR5 は、それぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有する基または上記一般式[I]中のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0051】
Mがジルコニウムであり、かつ、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物としては、たとえば
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)
などが挙げられる。このようなメタロセン化合物の他の例示は、本願出願人に係る特願平7−164362号特許出願明細書に記載されている。
【0052】
上記の1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置換えた化合物を本発明で用いることもできる。
また上記式[II]において、R2 、R3 、R4 およびR5 の少なくとも2個すなわちR2 およびR3 がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基はアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を例示することもできる。このとき、R4 およびR5 はそれぞれ独立に式[I]中で説明したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。
【0053】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、たとえば
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル- フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
などが挙げられる。このようなブリッジタイプのメタロセン化合物の他の例示は、本願出願人に係る特願平7−164362号特許出願明細書に記載されている。
【0054】
さらに、下記式[A]で示される特開平4-268307号公報に記載のメタロセン化合物が挙げられる。
メタロセンが式[A]:
【0055】
【化1】
【0056】
[式[A]中、M1 は、周期律表の第IVB族の金属であり、具体的には、例えば、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムを挙げることができる。
R1 およびR2 は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリールオキシ基、炭素原子数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数7〜40、好ましくは7〜12のアルキルアリール基、炭素原子数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子である。
【0057】
R3 およびR4 は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子または臭素原子、ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基、−NR10 2 、−SR10、−OSiR10 3 、−SiR10 3 または−PR10 2 基であり、その際R10はハロゲン原子、好ましくは塩素原子、または炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基、または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。
【0058】
R3 およびR4 は、特に水素原子であることが好ましい。
R5 およびR6 は、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じであり、R5 およびR6 は、水素原子でないという条件のもとでR3 およびR4 について記載した意味を有する。R5 およびR6 は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的には、メチル基が好ましい。
【0059】
R7は、下記:
【0060】
【化2】
【0061】
=BR11、=AlR11、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、
=SO2、=NR11、=CO、=PR11 または=P(O)R11であり、その際、R11、R12およびR13は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基、炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基、好ましくはCF3 基、炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10のフルオロアリール基、好ましくはペンタフルオロフェニル基、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4のアルコキシ基、特に好ましくはメトキシ基、炭素原子数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、または炭素原子数7〜40、好ましくは7〜12のアルキルアリール基であるか、またはR11とR12またはR11とR13とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0062】
M2 は珪素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくは珪素またはゲルマニウムである。
R7 は、=CR11R12、=SiR11R12、=GeR11R12、−O−、−S−、=SO、=PR11または=P(O)R11であることが好ましい。
【0063】
R8 およびR9 は、互いに同じであっても異なっていてもよく、R11について記載したと同じ意味を有する。
mおよびnは、互いに同じであっても異なっていてもよく、0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0064】
上記条件を充たす特に好ましいメタロセン化合物を下記(i)〜(iii) に示す。
【0065】
【化3】
【0066】
[上記式(i)、(ii)及び(iii) 中、M1 はZrまたはHfであり、R1 およびR2 はメチル基または塩素原子であり、R5 およびR6 はメチル基、エチル基またはトリフルオロメチル基であり、R8 、R9 、R10およびR12が上記の意味を有する。]
このようなメタロセン化合物の製造方法については、従来より公知の方法にて製造することができる(例:特開平4-268307号公報参照)。
【0067】
本発明では、下記式[B]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0068】
【化4】
【0069】
式[B]中、Mは周期律表第IVB族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムである。
R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。
【0070】
炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基などが挙げられる。
炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基は、前記炭化水素基にハロゲン原子を置換した基である。
【0071】
ケイ素含有基としては、モノ炭化水素置換シリル基、ジ炭化水素置換シリル基、トリ炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シリルのシリルエーテル基、ケイ素置換アルキル基、ケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0072】
酸素含有基としては、ヒドロオキシ基、アルコキシ基、アリロキシ基、アリールアルコキシ基などが挙げられる。
イオウ含有基としては、前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などが挙げられる。
【0073】
窒素含有基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
リン含有基としては、フォスフィノ基などが挙げられる。
【0074】
これらのうちR1 は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またR2 は水素、炭化水素基が好ましく、特に水素、あるいはメチル、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0075】
R3 、R4 、R5 およびR6 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、このうち水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって単環の芳香族環を形成していてもよい。
【0076】
また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR6 が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0077】
ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基として、具体的には、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
【0078】
R3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含む、Mに配位する配位子としては以下に示すようなものが挙げられる。
【0079】
【化5】
【0080】
これらのうち上記式(1)で示される配位子が好ましい。
前記芳香族環は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0081】
前記芳香族環に置換するハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
【0082】
X1 およびX2 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には、
前記R1 およびR2 と同様のハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基が例示できる。
【0083】
イオウ含有基としては、前記R1 、R2 と同様の基、およびスルフォネート基、スルフィネート基などが挙げられる。
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR7 −、−P(R7)−、−P(O)(R7)−、−BR7 −または−AlR7 −[ただし、R7 は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す。具体的には、アルキレン基、アリールアルキレン基などの炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基;上記炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;2価のケイ素含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基などであり、
R7 は、前記R1 、R2 と同様のハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0084】
このうち2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ましく、このうち特にアルキルシリレン基、アルキルアリールシリレン基、アリールシリレン基であることが好ましい。
【0085】
以下に上記式[B]で表される遷移金属化合物の具体的な例を示す。
【0086】
【化6】
【0087】
【化7】
【0088】
【化8】
【0089】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
前記遷移金属化合物は、通常ラセミ体としてオレフィン重合用触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0090】
このような遷移金属化合物のインデン誘導体配位子は、たとえば下記の反応ルートで、通常の有機合成手法を用いて合成することができる。
【0091】
【化9】
【0092】
本発明で用いられるこの遷移金属化合物は、これらインデン誘導体から既知の方法、たとえば特開平4−268307号公報に記載されている方法により合成することができる。
【0093】
本発明においては、また下記式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0094】
【化10】
【0095】
式[C]中、M、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 およびR6 としては、前記式[B]の場合と同様なものが挙げられる。
R3 、R4 、R5 およびR6 のうち、R3 を含む2個の基が、アルキル基であることが好ましく、R3 とR5 、またはR3 とR6 がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。また、このアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R1 、R2 で例示した置換基が挙げられる。
【0096】
R3 、R4 、R5 およびR6 で示される基のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。
炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、鎖状アルキル基および環状アルキル基;アリールアルキル基などが挙げられ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0097】
またR3 、R4 、R5 およびR6 から選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。
ハロゲン原子として、具体的には、前記R1 およびR2 と同様の基が例示できる。
【0098】
X1 、X2 、YおよびR7 としては、前記式[B]の場合と同様のものが挙げられる。
上記式[C]で示されるメタロセン化合物(遷移金属化合物)としては、たとえば
rac-ジメチルシリレン- ビス(4,7-ジメチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4- フェニルエチル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(i- プロピル) シリレン- ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ( シクロヘキシル) シリレン- ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン- ビス(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド
などが挙げられる。このようなメタロセン化合物の他の具体例は、本願出願人に係る特願平7−164362号出願明細書に記載されている。
【0099】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
上記遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0100】
このような遷移金属化合物のインデン誘導体配位子は、たとえば前記と同様の反応ルートで、通常の有機合成手法を用いて合成することができる。
また上記の式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)は、これらインデン誘導体から既知の方法、たとえば特開平4−268307号公報に記載の方法により合成することができる。
【0101】
本発明においては、上記のようなメタロセン化合物のうち、特に下記の一般式[III] または[IV]で示される化合物が好ましく用いられる。一般式[III] で示されるメタロセン化合物は、上記式[C]で示される化合物の一部であり、また、一般式[IV]で示されるメタロセン化合物は、上記式[B]で示される化合物の一部である。
【0102】
【化11】
【0103】
式中、Mは、周期律表第IVB族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
R 11 およびR 12
R11およびR12は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基であり、
炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基などが挙げられる。
【0104】
これらの炭化水素基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基などの有機シリル基で置換されていてもよい。
【0105】
酸素含有基としては、ヒドロオキシ基、アルコキシ基、アリロキシ基、アリールアルコキシ基などが挙げられる。
イオウ含有基としては、前記酸素含有基の酸素をイオウに置換した置換基、スルフォネート基、スルフィネート基などが挙げられる。
【0106】
窒素含有基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
リン含有基としては、具体的には、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基などが挙げられる。
【0107】
R11は、これらのうちでも炭化水素基であることが好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基の炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またR12は、水素原子、炭化水素基であることが好ましく、特に水素原子、あるいはメチル基、エチル基、プロピル基の炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0108】
R 13 およびR 14
R13およびR14は、上記に例示したような炭素原子数1〜20のアルキル基である。
【0109】
R13は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。
R14は、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
X 1 およびX 2
X1 およびX2 は、水素原子、ハロゲン原子、上記に例示したような炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基であり、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0110】
Y
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR15−、−P(R15)−、−P(O)(R15)−、−BR15−または−AlR15−[ただし、R15は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基]である。
【0111】
炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリールアルキレン基などが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基としては、上記炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0112】
2価のケイ素含有基としては、アルキルシリレン基、アルキルアリールシリレン基、アリールシリレン基、アルキルジシリル基、アルキルアリールジシリル基、アリールジシリル基などが挙げられる。
【0113】
2価のゲルマニウム含有基としては、上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基などが挙げられる。
R15は、前記と同様のハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0114】
これらのうち、Yは、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン基、アルキルアリールシリレン基、アリールシリレン基であることが特に好ましい。
【0115】
上記一般式[III] で表わされるメタロセン化合物としては、たとえば
rac-ジメチルシリレン- ビス(2,7-ジメチル-4-i- プロピル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2,7-ジメチル-4-sec- ブチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2,7-ジメチル-4- フェニルジクロルメチル-1-
インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(i-プロピル)シリレン- ビス(2,7-ジメチル-4-i- プロピル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(シクロヘキシル)シリレン- ビス(2,7-ジメチル-4-i- プロピル-1-
インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン- ビス(2,7-ジメチル-4-i- プロピル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン- ビス(2,7-ジメチル-4-t- ブチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド
などが挙げられる。このようなメタロセン化合物の他の具体例は、本願出願人に係る特願平7−164362号出願明細書に記載されている。
【0116】
このようなメタロセン化合物は、4位にi-プロピル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基などの分岐アルキル基を有する化合物が特に好ましい。
本発明では、通常、前記遷移金属化合物のラセミ体がオレフィン重合用触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0117】
上記のような遷移金属化合物は、インデン誘導体から既知の方法たとえば特開平4−268307号公報に記載されている方法により合成することができる。本発明で好ましく用いられる下記式[IV]で示される化合物は、EP−549900号およびカナダ−2084017号の明細書に記載されている。
【0118】
【化12】
【0119】
式中、Mは、周期律表第IVB族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
R21は、互いに同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子または塩素原子、
ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、
炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基、
−NR2、−SR、−OSiR3、−SiR3 または−PR2 基(ただし、Rはハロゲン原子、好ましくは塩素原子、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基)である。
【0120】
R22〜R28は、同一でも異なっていてもよく、R21と同様の原子または基であり、これらR22〜R28のうち隣接する少なくとも2個の基は、それらの結合する原子とともに、芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。
【0121】
X3 およびX4 は、互いに同じでも異なっていてもよく、
水素原子、ハロゲン原子、OH基、
炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基、
炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルコキシ基、
炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基、
炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリールオキシ基、
炭素原子数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基、
炭素原子数7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル基、
炭素原子数7〜40、好ましくは7〜12のアルキルアリール基、
炭素原子数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニル基である。
【0122】
【化13】
【0123】
−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR29、=CO、=PR29 または=P(O)R29である。
ただし、R29およびR30は、互いに同一でも異なっていてもよく、
水素原子、ハロゲン原子、
炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、特に好ましくはメチル基、
炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基、好ましくはCF3 基、
炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基、
炭素原子数6〜10のフルオロアリール基、好ましくはペンタフルオロフェニル基、
炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4のアルコキシ基、特に好ましくはメトキシ基、
炭素原子数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基、
炭素原子数7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル基、
炭素原子数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、
炭素原子数7〜40、好ましくは7〜12のアリールアルキル基である。
【0124】
またR29とR30とは、それぞれ、それらの結合する原子とともに環を形成してもよい。
M2 は、珪素、ゲルマニウムまたはスズである。
【0125】
上述のアルキル基は、直鎖状のまたは枝分かれしたアルキル基であり、ハロゲン(ハロゲン化)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、特に好ましくはフッ素原子または塩素原子である。
【0126】
このような式[IV]で示される化合物のうちでも、
Mは、ジルコニウムまたはハフニウムであり、
R21は、互いに同じであり、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、
R22〜R28は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基であり、
X3 およびX4 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜3のアルキル基またはハロゲン原子であり、
【0127】
【化14】
【0128】
(M2 はケイ素であり、R29およびR30は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリー
ル基である。)
である化合物が好ましく、
置換基R22およびR28は、水素原子であり、R23〜R27は、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子である化合物がより好ましい。
【0129】
さらには、Mは、ジルコニウムであり、
R21は、互いに同一で炭素原子数1〜4のアルキル基であり、
R22およびR28は、水素原子であり、
R23〜R27は、同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であり、
X3 およびX4 は、いずれも塩素原子であり、
【0130】
【化15】
【0131】
(M2 は、ケイ素であり、R29およびR30は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリ
ール基である。)
である化合物が好ましく、特に、
Mは、ジルコニウムであり、
R21は、メチル基であり、
R22〜R28は、水素原子であり、
X3 およびX4 は、塩素原子であり、
【0132】
【化16】
【0133】
(M2 は、ケイ素であり、R29およびR30は、互いに同一でも異なっていてもよく、メチル基またはフェニル基である)である化合物が好ましい。
このような式[IV]で示されるメタロセン化合物としては、たとえば
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4,5- ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4,5- アセナフトシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド
などが挙げられる。このようなメタロセン化合物の他の具体例は、本願出願人に係る特願平7−164362号出願明細書に記載されている。
【0134】
また、上記のような化合物中のジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウムに代えた化合物を挙げることもできる。
本発明では、通常式[III] または[IV]で示されるメタロセン化合物のラセミ体が触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0135】
上記のようなメタロセン化合物は、2種以上組合わせて用いることもできる。次に、本発明で好ましく用いられる長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)の調製に際して用いられるメタロセン化合物[A]としては、下記の一般式[V]で示される化合物が挙げられる。
【0136】
【化17】
【0137】
式中、Mは、周期律表第IVB族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
置換基R 1
R1 は、炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、アルキル基、アルケニル基などが挙げられる。
【0138】
これらのうち、インデニル基に結合した炭素が1級のアルキル基が好ましく、さらに炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基およびエチル基が好ましい。
【0139】
置換基R 2 、R 4 、R 5 、R 6
R2 、R4 、R5 、R6 は、それぞれ同一または相異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子またはR1 と同様の炭素原子数1〜6の炭化水素基である。
【0140】
ここでハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。
置換基R 3
R3 は、炭素原子数6〜16のアリール基である。このアリール基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、有機シリル基で置換されていてもよい。
【0141】
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基が好ましい。
また、このアリール基の置換基である炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基などが挙げられる。
【0142】
また、有機シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。
X 1 およびX 2
X1 およびX2 は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基である。具体的には、前記と同様のハロゲン原子および炭化水素基が挙げられる。
【0143】
また、酸素含有基としては、ヒドロオキシ基、アルコキシ基、アリロキシ基、アリールアルコキシ基などが挙げられる。
イオウ含有基としては、前記酸素含有基の酸素をイオウに置換した置換基、スルフォネート基、スルフィネート基などが挙げられる。
【0144】
これらのうち、X1 およびX2 は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
Y
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR7 −、−P(R7 )−、−P(O)(R7 )−、−BR7 −または−AlR7 −(ただし、R7 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)である。
【0145】
炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリールアルキレン基などが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基としては、上記炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化した基が挙げられる。
【0146】
2価のケイ素含有基としては、アルキルシリレン基、アルキルアリールシリレン基、アリールシリレン基、アルキルジシリル基、アルキルアリールジシリル基、アリールジシリル基などが挙げられる。
【0147】
2価のゲルマニウム含有基としては、上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基などが挙げられる。
R7 は、前記と同様のハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0148】
これらのうち、Yは、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン基、アルキルアリールシリレン基、アリールシリレン基であることが特に好ましい。
【0149】
上記一般式[V]で表わされるメタロセン化合物としては、たとえば
rac-ジメチルシリレン- ビス(4-フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(p- クロロフェニル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(p- ビフェニル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジシクロヘキシルシリレン- ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン- ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド
などが挙げられる。このようなメタロセン化合物の他の具体例は、本願出願人に係る特願平7−164362号出願明細書に記載されている。
【0150】
また、上記のような化合物中のジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに代えた化合物を挙げることもできる。
本発明では、通常、上記メタロセン化合物のラセミ体が触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0151】
本発明では、上記のようなメタロセン化合物を2種以上組合わせて用いることができる。
このようなメタロセン化合物は、Journal of Organometallic Chem.288(1985)、第63〜67頁、ヨーロッパ特許出願公開第0,320,762 号明細書に準じて製造することができる。
【0152】
また、上記一般式[V]で示されるメタロセン化合物のほかに、下記一般式[VI]で示されるメタロセン化合物が挙げられる。
LaMX2 ・・・[VI]
(Mは、周期率表第IV族またはランタニド系列の金属であり、
La は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または20以下の炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。)
このような式[VI]で示される化合物のうちでも、具体的に、下記式[VII] で示される化合物が好ましい。
【0153】
【化18】
【0154】
Mは、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、上記と同様である。
Cpは、Mにπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基またはその誘導体である。
【0155】
Zは、酸素、イオウ、ホウ素または周期率表第IVA族の元素であり、
Yは、窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、
ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0156】
このような式[VII] で表わされる化合物としては、たとえば
(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、
((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)-1,2- エタンジイル)ジベンジルチタン、
((フェニルホスフィド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)メチレン)ジフェニルチタン、
(ジメチル(フェニルホスフィド)−(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)シラン)ジベンジルチタン、
(2-η5-(テトラメチル- シクロペンタジエニル)-1- メチル- エタノレート(2-))ジメチルチタン
などが挙げられる。このようなメタロセン化合物の他の具体例は、本願出願人に係る特願平7−164362号出願明細書に記載されている。
【0157】
本発明では、上記のような式[VI]で表わされるメタロセン化合物は、2種以上組合わせて用いることもできる。
上記説明においては、メタロセン化合物としてチタン化合物について例示したが、チタンを、ジルコニウムまたはハフニウムに置換えた化合物を例示することもできる。
【0158】
これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)の調製に際し、上述したメタロセン化合物の中でも、上記一般式[V]で示されるメタロセン化合物が好ましく用いられる。
【0159】
有機アルミニウムオキシ化合物[B]
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物[B]は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0160】
メタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物[C]
本発明で用いられるメタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物[C]としては、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US−547718号公報などに記載されたルイス酸、イオン性化合物およびボラン化合物、カルボラン化合物を挙げることができる。
【0161】
ルイス酸としては、Mg含有ルイス酸、Al含有ルイス酸、B含有ルイス酸などが挙げられ、これらのうちB含有ルイス酸が好ましい。
ホウ素原子を含有するルイス酸としては、具体的には、下記一般式で表わされる化合物を例示することができる。
【0162】
BR1 R2 R3
(式中、R1 R2 およびR3 は、それぞれ独立して、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基、またはフッ素原子を示す。)
上記一般式で表わされる化合物としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンが特に好ましい。
【0163】
本発明で用いられるイオン性化合物は、カチオン性化合物とアニオン性化合物とからなる塩である。
本発明においては、有機ホウ素化合物アニオンを有するイオン性化合物が好ましい。
【0164】
なお、上記のようなメタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物[C]については、本願出願人に係る特願平7−164362号出願明細書に詳細に記載されている。
【0165】
有機アルミニウム化合物[D]
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物[D]は、たとえば下記一般式 (a) で示すことができる。
【0166】
R5 nAlX3-n ・・・(a)
(式中、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。)
上記式(a) において、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基である。
【0167】
本発明では、有機アルミニウム化合物は、2種以上組合わせて用いることもできる。
なお、本発明で用いられる有機アルミニウム化合物[D]については、本願出願人に係る特願平7−164362号出願明細書に詳細に記載されている。
【0168】
本発明で用いられる特定のメタロセン系触媒は、上記のようなメタロセン化合物[A]を含んでおり、たとえば上記したようにメタロセン化合物[A]と、有機アルミニウムオキシ化合物[B]とから形成することができる。また、メタロセン化合物[A]と、メタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物[C]とから形成されてもよく、さらにメタロセン化合物[A]とともに、有機アルミニウムオキシ化合物[B]とメタロセン化合物[A]とが反応してイオン対を形成する化合物[C]とを併用することもできる。また、これらの態様において、さらに有機アルミニウム化合物[D]を併用することが特に好ましい。
【0169】
本発明では、上記メタロセン化合物[A]は、重合容積1リットル当り、遷移金属原子に換算して、通常、約0.00005〜0.1ミリモル、好ましくは約0.0001〜0.05ミリモルの量で用いられる。
【0170】
また有機アルミニウムオキシ化合物[B]は、遷移金属原子1モルに対して、アルミニウム原子が、通常、約1〜10,000モル、好ましくは10〜5,000モルとなるような量で用いることができる。
【0171】
メタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物[C]は、遷移金属原子1モルに対して、ボロン原子が、通常、約0.5〜20モル、好ましくは1〜10モルとなるような量で用いられる。
【0172】
さらに有機アルミニウム化合物[D]は、有機アルミニウムオキシ化合物[B]中のアルミニウム原子またはイオン対を形成する化合物[C]中のボロン原子1モルに対して、通常、約0〜1,000モル、好ましくは約0〜500モルとなるような量で必要に応じて用いられる。
【0173】
上記のようなメタロセン系触媒を用いて、エチレンと、炭素原子数3〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとを共重合させると、優れた重合活性でエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを得ることができる。
【0174】
なお、バナジウム系触媒などの第VB族遷移金属化合物系触媒を用いて、エチレンと、炭素原子数3〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとを共重合させても十分な重合活性で共重合体ゴムを得ることができない。
【0175】
また、第VB族遷移金属化合物系触媒を用いて、たとえばEPDMなどを製造する際には、非共役ポリエンの種類もENBなどのノルボルネン環含有ポリエン類に限定される場合が多い。
【0176】
一方、本発明のようにメタロセン系触媒を用いると、非共役ポリエンは、ノルボルネン環含有ポリエン類に限定されることがなく、前述したような各種ポリエン、たとえば7-メチル-1,6- オクタジエン等のメチルオクタジエン(MOD)などの鎖状非共役ポリエン類も共重合させることができる。
【0177】
本発明では、エチレンと、炭素原子数3〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとを共重合させる際に、メタロセン系触媒を構成する上記メタロセン化合物[A]、有機アルミニウムオキシ化合物[B]、イオン対を形成する化合物[C]、さらには有機アルミニウム化合物[D]をそれぞれ別々に重合反応器に供給してもよいし、また予めメタロセン化合物[A]を含有するメタロセン系触媒を調製してから共重合反応に供してもよい。
【0178】
またメタロセン系触媒を調製する際には、触媒成分と反応不活性な炭化水素溶媒を用いることができ、不活性炭化水素溶媒としては、具体的には、
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を用いることができる。これらの炭化水素溶媒は、単独で、あるいは組合わせて用いることができる。
【0179】
上記メタロセン化合物[A]、有機アルミニウムオキシ化合物[B]、イオン対を形成する化合物[C]および有機アルミニウム化合物[D]は、通常−100〜200℃、好ましくは−70〜100℃で混合接触させることができる。
【0180】
本発明では、エチレンと、炭素原子数3〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとの共重合は、通常40〜200℃、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは60〜120℃で、大気圧〜100kg/cm2 、好ましくは大気圧〜50kg/cm2 、特に好ましくは大気圧〜30kg/cm2 の条件下で行なうことができる。
【0181】
この共重合反応は、種々の重合方法で実施することができるが、溶液重合により行なうことが好ましい。この際重合溶媒としては、上記のような炭化水素溶媒を用いることができる。
【0182】
共重合は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができるが、連続式で行なうことが好ましい。さらに重合を反応条件を変えて2段以上に分けて行なうこともできる。
【0183】
また、本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、上述したような方法により得られるが、この共重合体ゴムの分子量は、重合温度などの重合条件を変更することにより調節することができ、また水素(分子量調節剤)の使用量を制御することにより調節することもできる。
【0184】
ワイパーブレードゴム成形体
本発明に係るワイパーブレードゴム成形体は、上記のようなエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの加硫物から構成されるが、加硫反応に際して使用される助剤、たとえば金属活性化剤、オキシメチレン構造を持つ化合物、スコーチ防止剤を含有していてもよい。
【0185】
また、本発明に係るワイパーブレードゴム成形体に、ゴム用補強剤、充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤などの添加剤を含有させると、ワイパーブレードゴム成形体としての性質がさらに向上する。したがって、本発明においては、上記のような添加剤を用いることが好ましい。
【0186】
ワイパーブレードゴム成形体の製造方法
本発明に係るワイパーブレードゴム成形体は、たとえば以下のような方法で製造することが好ましい。
【0187】
すなわち、上記のようなエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムに加硫剤を加えて加硫を行なうことにより、本発明に係るワイパーブレードゴム成形体を得ることができる。
【0188】
加硫は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムに加硫剤を加えて行なうが、加硫剤の添加は成形する前に行なうのがよい。
また、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの加硫方法としては、硫黄加硫、有機過酸化物加硫が有効である。
【0189】
硫黄加硫の際に使用されるイオウ系化合物としては、具体的には、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられる。なかでもイオウが好ましく用いられる。
【0190】
イオウ系化合物は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で用いられる。
【0191】
また加硫剤としてイオウ系化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、具体的には、
N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;
2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4- モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;
ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;
アセトアルデヒド- アニリン反応物、ブチルアルデヒド- アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド- アンモニア系化合物;
2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;
チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;
テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;
ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;
亜鉛華などの化合物を挙げることができる。
【0192】
これらの加硫促進剤は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の量で用いられる。
【0193】
有機過酸化物加硫の際に用いられる有機過酸化物としては、通常ゴムの過酸化物加硫に使用される化合物であればよい。たとえば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- モノ(t-ブチルパーオキシ)- ヘキサン、α,α’- ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。なかでも、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。これらの有機過酸化物は、1種または2種以上で使用され、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100gに対して、0.0003〜0.05モル、好ましくは0.001〜0.03モルの割合で使用されるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0194】
加硫剤として有機過酸化物を使用するときは、加硫助剤を併用することが好ましい。加硫助剤としては、具体的には、硫黄;p- キノンジオキシムなどのキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレートなどのメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物;その他マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような加硫助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して、0.5〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
【0195】
また、本発明に係るワイパーブレードゴム成形体の製造の際には、さらに金属活性化剤、オキシメチレン構造を持つ化合物、スコーチ防止剤などの加硫助剤を併用するのが好ましい。
【0196】
金属活性化剤としては、具体的には、酸化マグネシウム、亜鉛華、炭酸亜鉛、高級脂肪酸亜鉛、鉛丹、リサージ、酸化カルシウムなどが挙げられる。これらの金属活性化剤は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、3〜15重量部、好ましくは5〜10重量部の量で用いられる。
【0197】
また、多様なゴム加工工程に対処するためには、オキシメチレン構造を持つ化合物およびスコーチ防止剤を添加することが望ましい。
本発明で用いられるオキシメチレン構造を持つ化合物としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらのオキシメチレン構造を持つ化合物は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の量で用いられる。
【0198】
スコーチ防止剤としては、公知のスコーチ防止剤を用いることができ、具体的には、無水マレイン酸、サリチル酸などを挙げることができる。これらのスコーチ防止剤は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、0.2〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部の量で用いられる。
【0199】
本発明に係るワイパーブレードゴム成形体は、ゴム用補強剤、充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤などの添加剤を含有させると、ワイパーブレードゴム成形体としての性質がさらに向上する。これらの添加剤は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムに加硫前または加硫後適宜混合すればよい。
【0200】
ゴム用補強剤としては、具体的には、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MTなどの各種カーボンブラック、微粉ケイ酸、およびガラス短繊維、綿短繊維、ポリエステル短繊維、ナイロン短繊維、アラミド短繊維等の各種短繊維などが挙げられる。
【0201】
充填剤としては、具体的には、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカなどが挙げられる。
これらのゴム補強剤および充填剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、配合量は、通常エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0202】
軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;
トール油;
サブ;
蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;
石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジテート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤などを挙げることができる。これらの軟化剤の配合量は、加硫物の用途により適宜選択できるが、その配合量は、通常エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、最大150重量部、好ましくは最大100重量部である。
【0203】
また、老化防止剤としては、通常ゴムに用いられる老化防止剤を、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部の量で使用すればよい。
【0204】
加工助剤としては、通常ゴムに使用される加工助剤を、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは1〜5重量部の量で使用すればよい。
【0205】
また、本発明においては、ワイパーブレードゴム成形体用組成物中に、本発明の目的を損なわない範囲で、天然ゴム、SBR、IR、BRなどのジエン系ゴム、EPDMなどの他種のゴムを配合することもできる。
【0206】
本発明に係るワイパーブレードゴム成形体は、たとえば、次のような方法でゴム配合物を調製して成形することによって得られる。
すなわち、バンバリーミキサーのようなミキサー類によりエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、補強剤、充填剤、軟化剤などの必要な添加剤を、80〜170℃の温度で約3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類を使用して、加硫剤、必要に応じて加硫促進剤または加硫助剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しし、リボン状またはシート状の配合ゴムを調製する。
【0207】
あるいは、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムおよび上記の添加剤を約80〜100℃に加熱された押出機に直接供給し、滞留時間を約0.5〜5分間とることにより、ペレット状のゴム配合物を調製することもできる。
【0208】
次いで、上記のようにして調製された配合ゴムを、一般にプレス成形機、トランスファー成形機、射出成形機などを用いて、成形と加硫を行ないワイパーブレードゴム成形体を成形する。
【0209】
なお、上記のようなゴム配合物単独でワイパーブレードゴム成形体を製造する方法の他に、従来使用されていた材料と貼り合わせることによる複合化によって長寿命なワイパーブレードゴム成形体を得ることもできる。また、ワイパーブレードゴム成形体を製造する場合、たとえば、ワイパーブレードゴム成形体の表面を塩素化、臭素化、フッソ化したり、ポリエチレン等の樹脂で被覆したり、あるいはワイパーブレードゴム成形体の表面に短繊維を植毛するなどの処理を施して、摩耗係数を低減させてさらに高性能な製品にすることもできる。
【0210】
【発明の効果】
本発明に係るワイパーブレード用ゴム組成物は、エチレンと、炭素原子数3〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとのランダム共重合体であり、かつ、エチレンから導かれる単位と炭素原子数3〜14のα- オレフィンから導かれる単位とのモル比、ヨウ素価および極限粘度[η]が特定の範囲にあるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを含有しているので、耐環境老化性(耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性)に優れるとともに、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)に優れ、寿命が長いワイパーブレードゴム成形体を提供することができる。
【0211】
また、本発明に係るワイパーブレードゴム成形体は、上記のような本発明に係るワイパーブレード用ゴム組成物の加硫物であるので、耐環境老化性(耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性)に優れるとともに、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)に優れ、寿命が長いという効果がある。
【0212】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0213】
【参考例1】
ジルコニウム化合物とメチルアルモキサンとの予備接触、触媒溶液の調製
【0214】
【化19】
【0215】
所定量の上記式で表わされるジルコニウム化合物と、メチルアルモキサンのトルエン溶液(アルミニウム原子に換算して1.2ミルグラム原子/ml)とを、暗所において室温下、30分間攪拌することにより混合して、ジルコニウム化合物とメチルアルモキサンとが溶解されたトルエン溶液を調製した。このトルエン溶液のZr濃度は0.004ミリモル/mlであり、メチルアルモキサン濃度はアルミニウム原子に換算して1.2ミリグラム原子/mlである。
【0216】
次いで、このトルエン溶液に、トルエンに対して5倍の溶液のヘキサンを攪拌下に添加して、下記のようなZr濃度およびメチルアルモキサン濃度の触媒溶液を調製して、これを重合反応用触媒として用いた。
【0217】
Zr濃度:0.00067ミリモル/ml
(=0.67ミリモル/リットル)
メチルアルモキサン濃度(Al原子に換算して):
0.20ミリモル/ml(=200ミリモル/リットル)
重 合
攪拌翼を備えた15リットル容量のステンレス製重合器を用いて、連続的にエチレンと、1-ブテンと、5-エチリデン-2- ノルボルネン(以下ENBともいう)との共重合を、上記の重合反応用触媒の存在下に行なった。
【0218】
すなわち、まず重合器上部から重合器内に、脱水精製したヘキサンを毎時3.185リットル、上記の触媒溶液を毎時0.015リットル、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度17ミリモル/リットル)を毎時0.3リットル、ENBのヘキサン溶液(濃度0.02リットル/リットル)を毎時1.5リットルそれぞれ連続的に供給した。
【0219】
また、重合器上部から重合器内に、エチレンを毎時150リットル、1-ブテンを毎時150リットル、それぞれ連続的に供給した。この共重合反応は、50℃で、かつ平均滞留時間が1時間(すなわち重合スケール5リットル)となるように行なった。
【0220】
次いで、重合器下部から抜き出した重合溶液にメタノールを少量添加して、重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて共重合体を溶媒から分離した後、100℃、減圧(100mmHg)の条件下に、24時間乾燥した。
【0221】
上記のようにして、エチレン・1-ブテン・ENB共重合体ゴム[共重合体(1)]が毎時90gの量で得られた。
得られた共重合体(1)は、エチレンから導かれる単位と1-ブテンから導かれる単位とのモル比(エチレン/1-ブテン)が62/38であり、ENBに基づくヨウ素価が13であった。
【0222】
また、この共重合体(1)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が2.3dl/gであり、B値が1.1であり、gη* 値が0.97であった。
結果を第1表に示す。
【0223】
【参考例2】
参考例1において、重合条件を変えて共重合反応を行なった以外は、参考例1と同様にしてエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[共重合体(2)]を製造した。
【0224】
この共重合体(2)の、エチレンから導かれる単位とα- オレフィンから導かれる単位とのモル比、ヨウ素価、極限粘度[η]、B値、およびgη* 値を第1表に示す。
【0225】
【参考例3】
参考例1において、ジルコニウム化合物として下記化合物を用い、重合条件を変えて共重合反応を行なった以外は、参考例1と同様にして、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[共重合体(3)]を製造した。
【0226】
【化20】
【0227】
この共重合体(3)の、エチレンから導かれる単位とα- オレフィンから導かれる単位とのモル比、ヨウ素価、極限粘度[η]、B値、およびgη* 値を第1表に示す。
【0228】
【表1】
【0229】
【実施例1】
参考例1にて製造されたエチレン・1-オクテン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(共重合体(1))を第2表に従い配合し、未加硫の配合ゴムを得た。
【0230】
すなわち、上記の共重合体(1)、亜鉛華、ステアリン酸、FEFカーボンブラックおよびプロセスオイルを、1.7リットル容量のバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で5分間混練した後、室温下で1日放置した。このようにして得られた混練物にオープンロールで加硫剤および加硫助剤を加えて混練し配合ゴムを分出しし、厚さ約2mmの配合ゴムシートを得た。この際のロール表面温度は、前ロールが50℃、後ロールが50℃であった。
【0231】
【表2】
【0232】
この配合ゴムを160℃に加熱されたプレスにより30分間加熱し加硫シートを作製し、下記の試験を行なった。試験項目は以下の通りである。
(試験項目)
引張試験、硬さ試験、老化試験、耐オゾン試験、屈曲試験、耐候性試験
(試験方法)
引張試験、硬さ試験、老化試験、耐オゾン性試験および屈曲試験は、それぞれJIS K 6301に従って行なった。
【0233】
引張試験では、引張強度(TB )、伸び(EB )、引き裂き強度(TR )を測定し、硬さ試験では、JIS A 硬度(HS )を測定した。
老化試験は、100℃で70時間空気加熱老化試験を行ない、老化前の物性に対する保持率、すなわち引張強度保持率AR(TB)、伸び保持率AR(EB)を求めた。
【0234】
耐オゾン性試験は、オゾン試験槽内で行ない(オゾン濃度:50pphm、伸長率:20%、温度:40℃、時間:200時間、静的試験)、クラック発生までの時間を測定した。
【0235】
屈曲試験は、デマッチャー試験機で亀裂成長に対する抵抗性を調べた。すなわち、亀裂が15mmになるまでの屈曲回数を測定した。また、120℃で70時間空気加熱老化した試験片についても同様に屈曲試験を行なった。
【0236】
耐候性試験は、JIS B 7753に準拠し、サンシャインウエザロメーター1000時間暴露後の引張強度保持率AR(TB)、伸び保持率AR(EB)を求めた。
【0237】
結果を第4表に示す。
【0238】
【実施例2、参考実施例】
実施例1において、共重合体(1)の代わりに、参考例2の共重合体(2)、参考例3の共重合体(3)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0239】
結果を第4表に示す。
【0240】
【比較例1】
実施例1において、共重合体(1)の代わりに、天然ゴム(RSS#3)およびクロロプレンゴム(商品名 ネオプレンTM WRT、デュポン社製)を用い、第3表に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様に行なった。
【0241】
結果を第4表に示す。
【0242】
【表3】
【0243】
【表4】
【0244】
【実施例3】
実施例1と同様にして得た配合ゴムをワイパーブレードの形状に押出成形して、圧力6.5kg/cm2 のスチーム中で30分加硫し、ワイパーブレードゴム成形体を得た。
【0245】
得られたワイパーブレードゴム成形体について、摩擦特性および耐オゾン性を下記方法にて評価した。
結果を第5表に示す。
[試験方法]
(1)摩擦特性
a)摩擦係数
平板ガラス板を用いて次の条件で拭き耐久性試験を行ない、ドライ時の摩
擦係数を測定した。
【0246】
ワイパーブレードゴム長さ:100mm
アーム荷重 :155g
ストローク長さ :150mm
速度 :45往復(毎分)
散水サイクル :1分間散水4分間止水
b)耐候性試験後の摩擦係数
サンシャインウエザロメーター1000時間暴露後の試験片について、上
記a)の方法と同じ方法で測定した。
【0247】
【実施例4】
実施例1と同様にして得た配合ゴムを用いて、二層押出成形にて比較例2のワイパーブレード用配合ゴムの表面を被覆したワイパーブレードを作製し、圧力6.5kg/cm2 のスチーム中で30分加硫し、ワイパーブレードゴム成形体を得た。
【0248】
得られたワイパーブレードゴム成形体について、実施例3と同様にして評価した。結果を第5表に示す。
【0249】
【比較例2】
実施例4において、比較例1のワイパーブレード用配合ゴムを用いて、二層押出成形にて実施例1と同様にして得た配合ゴムの表面を被覆したワイパーブレードを作製した以外は、実施例4と同様に行なった。
【0250】
結果を第5表に示す。
【0251】
【表5】
Claims (4)
- エチレン、炭素原子数4〜14のα- オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)を含有してなるゴム組成物であり、
該エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、
エチレンと、炭素原子数4〜14のα- オレフィンと、非共役ポリエンとをランダム共重合させることにより得られ、
(1) (a)エチレンから導かれる単位と
(b)炭素原子数4〜14のα- オレフィンから導かれる単位とを、
40/60〜80/20[(a)/(b)]のモル比で含有し、
(2) ヨウ素価が1〜50であり、
(3) 135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が1〜5dl/gであり、
(4) 上記(3) で測定される極限粘度[η]と、これと同一重量平均分子量(光散乱法による)であるエチレン含量が70モル%の直鎖エチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]blank との比[gη*(=[η]/[η]blank)]が0.95を超える値である
ことを特徴とするワイパーブレード用ゴム組成物。 - 前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、
(5) 13C−NMRスペクトルおよび下記の式から求められるB値が、1.00〜1.50であることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード用ゴム組成物;
B値=[POE]/(2・[PE ]・[PO ])
(式中、[PE ]は、ランダム共重合体ゴム中の(a) エチレンから導かれる単位の含有モル分率であり、
[PO ]は、ランダム共重合体ゴム中の(b) α- オレフィンから導かれる単位の含有モル分率であり、
[POE]は、ランダム共重合体ゴムにおける全ダイアド(dyad)連鎖数に対するα- オレフィン・エチレン連鎖数の割合である)。 - 前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)が、メタロセン系触媒の存在下に得られることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード用ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のワイパーブレード用ゴム組成物の加硫物であることを特徴とするワイパーブレードゴム成形体。
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