JP3632251B2 - 低結晶性エチレン系ランダム共重合体およびその組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、低結晶性エチレン系ランダム共重合体およびその組成物に関し、さらに詳しくは低温特性に優れ、かつ力学特性、耐熱性等にも優れた低結晶性エチレン系ランダム共重合体およびその組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、低結晶性のエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムは、耐熱性、耐オゾン性、耐候性の特性に優れており、自動車のシール部材等の用途に広く使用されている。しかし、近年における環境問題やコストダウンといった要求から、自動車用ゴム部品に特にスポンジを用いることにより使用材料を減量化することへの要求が高まり、このゴムスポンジ材に対する機械的強度や圧縮永久歪の改良が望まれている。自動車用ゴムスポンジ材の機械的強度を改良するために、ポリマー主鎖中にエチレン連鎖による結晶性を付与する方法が提案されているが、この方法では低温特性に悪影響を及ぼすことが多い。また、圧縮永久歪はポリマー構造中のジエン成分の含量を上げることにより改良されうるが、このような方法では機械的強度は改良されず、またその他の物性においても悪影響を及ぼすことがある。したがって、従来のゴムスポンジ材より機械的強度と圧縮永久歪を改良し、他の物性においても満足できる材料の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ゴムスポンジ材として機械的強度、圧縮永久歪等の力学特性、耐熱性が優れ、かつ低温特性にも優れる新規な低結晶性エチレン系共重合体およびその加硫・架橋用組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
下記成分(a)および成分(b)からなる触媒、もしくは下記成分(c)および成分(d)からなる触媒を用いる重合により得られるエチレン(A) とプロピレンおよび/または1−ブテン(B) と1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−デセンの群から選ばれるα−オレフィン(C) と非共役ジエン(D) からなる低結晶性エチレン系ランダム共重合体であって、
(1)成分(A) と成分(B) とのモル比が99/1〜50/50の範囲にあり、
(2)成分(A) および成分(B) の合計量と成分(C) とのモル比が97/3〜10/90の範囲にあり、
(3)よう素価が0.5〜50の範囲にあり、
(4)ムーニー粘度(ML1+4, 100℃) が10〜400の範囲にあり、
(5)X線回析法で求めた結晶化度が0〜25%の範囲にあり、
(6)シクロヘキサンを良溶媒、イソプロピルアルコールを貧溶媒として用いる溶媒分別法による組成分布パラメーター(s)が0〜3モル%の範囲にあることを特徴とする低結晶性エチレン系ランダム共重合体、並びに
前記エチレン系低結晶性ランダム共重合体と加硫剤および/または架橋剤とを含有してなる低結晶性エチレン系ランダム共重合体組成物が所期の効果を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
成分(a):下記の一般式[I]で表される遷移金属化合物。
R '' s (C 5 R m ) p (R’ n E) q MQ 4-p-q ... [I]
式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C 5 R m ) はシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であるか、あるいは2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っており、Eは非結合電子対を有する原子であり、R’は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R '' は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルけい素、またはジアルキルゲルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のとき、mは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のとき、mは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各R’は同一でも異なっていてもよく、また各R’は結合して環を作っていてもよく、Qは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜4の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
成分(b):下記一般式 [II] で表される線状アルミノキサン化合物および/または下記一般式 [III ]で表される環状アルミノキサン化合物。
R 2 Al−O−〔Al(R)−O〕 n −AlR 2 ... [ II ]
〔Al(R)−O〕 n+2 ... [III]
式中、各Rは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、nは2〜50の整数である。
成分(c):下記一般式[ IV ]で表される遷移金属アルキル化合物。
R '' s (C 5 R m ) p (R ' n E) q MR ''' 4-p-q ... [ IV ]
式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C 5 R m ) はシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であるか、あるいは2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っており、Eは非結合電子対を有する原子であり、R ' は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール 基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R '' は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルけい素またはジアルキルゲルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のとき、mは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のとき、mは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各R ' は同一でも異なっていても良く、また各R ' は結合して環を作っていても良く、
R ''' は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜3の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
成分(d):下記一般式[V]で表されるイオン性化合物。
([L] k+ ) p ([M’A 1 A 2 ... A n ]ー ) q ... [ V]
式中、[L] k+ はブレンステッド酸またはルイス酸であり、M’は周期律表第13〜15族元素であり、A 1 〜A n はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜30のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数7〜40のアルカリール基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜40のハロゲン置換炭化水素基、炭素数2〜20のアシルオキシ基または有機メタロイド基であり、kはLのイオン価で1〜3の整数であり、pは1以上の整数であり、q=(k×p)である。
【0005】
本発明の低結晶性エチレン系ランダム共重合体(以下、単に「エチレン系ランダム共重合体」という。)は、エチレン(A) とプロピレンおよび/または1−ブテン(B) と1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−デセンの群から選ばれるα−オレフィン(以下、「高級α−オレフィン」という。)(C) と非共役ジエン(D) からなるが、該共重合体中のエチレンとプロピレンおよび/または1−ブテンとのモル比は、99/1〜50/50、好ましくは95/5〜75/25の範囲にある。
本発明のエチレン系ランダム共重合体に使用される高級α−オレフィンとしては、好ましくは1−ヘキセン、1−オクテンが用いられる。これらのα−オレフィンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体中のエチレンとプロピレンとの合計量と高級α−オレフィンとのモル比は、97/3〜10/90、好ましくは95/5〜20/80、さらに好ましくは95/5〜40/60の範囲にある。
本発明のエチレン系ランダム共重合体に使用される非共役ジエンとしては、通常用いられる全ての非共役ジエンを用いることができるが、具体的には、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1, 4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1, 5−ヘキサジエン、1, 6−ヘプタジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1, 7−オクタジエン、1, 8−ノナジエン、7−メチル−1, 6−オクタジエン、1, 9−デカジエン、4−メチル−1, 4−ヘキサジエン、5−メチル−1, 4−ヘキサジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン等が挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンが用いられる。これらの非共役ジエンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、本発明のエチレン系ランダム共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で、共重合可能な他の単量体を含有してもよい。このような他の単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロロスチレン等の(置換)スチレン類;シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等の環状オレフィン類等が挙げられる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体のよう素価は、0.5〜50、好ましくは5〜40の範囲にある。
本発明のエチレン系ランダム共重合体のムーニー粘度(ML1+4, 100℃) (以下、単に「ムーニー粘度」という。)は、10〜400、好ましくは30〜350の範囲にある。
本発明のエチレン系ランダム共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、通常、10万〜180万、好ましくは20万〜150万の範囲にあり、またMw/Mn(但し、Mnは数平均分子量)が、通常、1.5〜10、好ましくは2.0〜5.0の範囲にある。
さらに、本発明のエチレン系ランダム共重合体は低結晶性であり、そのX線回折より求めた結晶化度は、0〜25%、好ましくは0〜10%の範囲にある。
また、本発明のエチレン系ランダム共重合体は、高級α−オレフィン含量の組成分布が狭く、組成分布パラメーター(s)が0〜3モル%の範囲にあることが好ましい。ここで、組成分布パラメーター(s)とは、シクロヘキサンを良溶媒、イソプロピルアルコールを貧溶媒として用いる溶媒分別法によって、下記式により算出した値を意味する。
s=(Σxi2/n−(Σxi)2 /n2 )1/2
但し、x i は溶媒分別法によって分別した各フラクションの高級α−オレフィン含量、nはフラクション数である。
本発明のエチレン系ランダム共重合体は、通常のエチレン−プロピレン−非共役ジエン3元共重合体に比べて、機械的強度、圧縮永久歪等に優れる特徴をもち、またエチレン−高級α−オレフィン−非共役ジエン系3元共重合体に比べて、低温特性に優れる特徴をもつ。
【0006】
本発明のエチレン系ランダム共重合体は、気相重合、溶液重合、スラリー重合等の適宜の方法により製造することができる。これらの重合操作は、バッチ式でも連続式でも実施することができる。
重合が溶液中あるいはスラリー状で行われる場合は、反応媒体として、不活性炭化水素を用いることができ、また反応温度において液状の反応原料を用いることもできる。
前記不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。これらの不活性炭化水素媒体のうち、特に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。
本発明のエチレン系ランダム共重合体を製造する際に用いられる重合触媒は、前記成分(a)および成分(b)からなる触媒、もしくは前記成分(c)および成分(d)からなる触媒である。
成分(a)の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(第3級ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(3−第3級ブチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,3,5−トリメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(第3級ブチルアミド)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(第3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(第3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(フェノキシ)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(oーフェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジエチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジ第3級ブチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(メチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(第3級ブチルアミド)ジルコニウムジクロリド等や、これらの化合物におけるジルコニウムを、チタニウムあるいはハフニウムに置換した化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの遷移金属化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
【0007】
一般式 [II] および一般式 [III ]中、各Rは、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、nは、好ましくは4〜30の整数である。これらのアルミノキサン化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
前記(a)成分と(b)成分との使用割合は、遷移金属とアルミニウム原子とのモル比で、通常、1:1〜1:100000、好ましくは1:5〜1:50000の範囲である。
【0008】
成分(c)の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジエチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ{ビス(トリメチルシリル)メチル}、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジイソブチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(第3級ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−第3級ブチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、ジメチルシリルビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2,3,5−トリメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(第3級ブチルアミド)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(第3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレン(第3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(フェノキシ)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ジメチルアミド)ジルコニウムジメチル、ビス(ジエチルアミド)ジルコニウムジメチル、ビス(ジ第3級ブチルアミド)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(メチルアミド)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(第3級ブチルアミド)ジルコニウムジメチル等や、これらの化合物中のジルコニウムを、チタニウムあるいはハフニウムに置換した化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの遷移金属アルキル化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
前記遷移金属アルキル化合物は、予め合成した後使用してもよいし、また前記一般式[IV]におけるR''' をハロゲン原子に置換した遷移金属ハライドと、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、トリイソブチルアルミニウム、メチルリチウム、ブチルリチウム等の有機金属化合物とを反応系内で接触させることにより形成させてもよい。
【0009】
成分(d)の具体例としては、テトラフェニルほう酸トリメチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸メチル(ジ−n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニルほう酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニルほう酸メチルピリジニウム、テトラフェニルほう酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テトラフェニルほう酸メチル(4−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチル(ジ−n−ブチル)アンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチルピリジニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニルフェニル)ほう酸メチル(4−シアノピリジニウム)、テトラキス[ビス(3,5−ジ−トリフルオロメチル)フェニル]ほう酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニルほう酸フェロセニウム、テトラフェニルほう酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸フェロセニウム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらのイオン性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
前記(c)成分と(d)成分の使用割合は、モル比で、通常、1:0.5〜1:20、好ましくは1:0.8〜1:10の範囲である。
【0010】
本発明のエチレン系ランダム共重合体を製造する際には、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができる。担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体、および有機担体のいづれも用いることができる。また担持方法についても特に制限はなく、公知の方法を適宜利用してよい。
前記のようなメタロセン系触媒を用いて得られるエチレン系ランダム共重合体は、ランダム性が良好で、組成分布パラメーター(s)が狭く、結晶性が低い特徴を有する。
また、前記メタロセン系触媒を用いて重合を行う際に、水素を適当圧力で導入することにより、得られるランダム共重合体の分子量を調節することができる。本発明のエチレン系ランダム共重合体を製造する重合は、通常、約20〜200℃、好ましくは30〜100℃の温度範囲で行われる。また、重合時の圧力は、0kg/cm2 を越え100kg/cm2 以下、好ましくは0kg/cm2 を越え50kg/cm2 以下の範囲である。
【0011】
本発明のエチレン系ランダム共重合体組成物は、前述したエチレン系ランダム共重合体と加硫剤および/または架橋剤(以下、これらをまとめて「加硫・架橋剤」という。)とを含有してなるものである。
加硫・架橋剤としては、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化イオウ、セレン、テルル等の無機系加硫剤;モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、チウラムジスルフィド類、ジチオカルバミン酸塩等の含硫黄有機化合物;1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼンなどの有機過酸化物類等が挙げられる。
加硫・架橋剤の配合量は、例えば、硫黄の場合、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の割合であり、また有機過酸化物の場合、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部の割合である。
硫黄を加硫・架橋剤として用いる場合は、必要に応じて加硫促進剤、加硫促進助剤を併用することができる。
前記加硫促進剤としては、例えばヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒドアンモニア類;ジフェニルグアニジン、ジ(o−トリル)グアニジン、o−トリルーピグアニド等のグアニジン類;チオカルバニリド、ジ(o−トリル)チオウレア、N,N’−ジエチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジラウリルチオウレア等のチオウレア類;メルカプトベンゾチアゾ−ル、ジベンゾチアゾールジスルフィド、2−(4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)−メルカプトベンゾチアゾ−ル、(N,N’−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール類;N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム類;ジメチルチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルチオカルバミン酸テルル、ジメチルチオカルバミン酸鉄等のカルバミン酸塩類;ブチルチオキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸塩類等が挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
加硫促進剤の配合量は、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合である。
前記加硫促進助剤としては、例えば酸化マグネシウム、亜鉛華、リサージ、鉛丹、鉛白等の金属酸化物や、ステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛等の有機酸類が挙げられ、特に亜鉛華、ステアリン酸が好ましい。これらの加硫促進助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
加硫促進助剤の配合量は、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部である。
また、有機過酸化物を加硫・架橋剤として使用する場合には、架橋助剤として、硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の硫黄化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、メタフェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド等の多官能性モノマー;p−キノンオキシム、p,p’−ベンゾイルキノンオキシム等のオキシム化合物等を用いることができる。これらの架橋助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
架橋助剤の配合量は、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部である。
【0012】
さらに、本発明のエチレン系ランダム共重合体組成物には、所望により、充填剤、軟化剤、発泡剤や、可塑剤、滑剤、粘着付与剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等の他の各種添加剤を配合することもできる。
前記充填剤としては、例えばSRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック;微粒子ケイ酸、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク等の無機充填剤;あるいはハイスチレン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、石油樹脂などの有機充填剤が挙げられる。これらの充填剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
前記軟化剤としては、例えば通常ゴムに用いられるアロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイル;ヤシ油等の植物油等が挙げられる。これらの軟化剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記発泡剤としては、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、無水硝酸ナトリウム等の無機発泡剤;ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3’−ジスルホンヒドラジドジフェニルスルホン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスホルムアミド等の有機発泡剤が挙げられ、またこれらの発泡剤に共に、尿素系、有機酸系、金属塩系等の発泡助剤を併用してもよい。これらの発泡剤および発泡助剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
さらに、本発明のエチレン系ランダム共重合体組成物には、ブチルゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンーブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、他のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等の他のゴムおよび/または樹脂の一種以上を混合して使用することもできる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体組成物を調製する際には、従来から公知の混練機、押出機、加硫装置等を用いることができる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体と混合される加硫・架橋剤、充填剤、軟化剤、発泡剤等の配合方法、配合順序としては、特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサー等を用いて、エチレン系ランダム共重合体、充填剤、軟化剤等を混合した後、ロール等を用いて加硫・架橋剤、発泡剤、発泡助剤等を加える方法が挙げられる。
次に、通常の加硫ゴム製造に供される手法で、例えば、エチレン系ランダム共重合体組成物を金型内に入れて温度を高めることにより発泡、加硫を行うか、あるいは押出成形機を用いて任意の形状に成形したのち、加硫槽内で加熱して加硫を行うことにより加硫ゴムを製造することができる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体およびエチレン系ランダム共重合体組成物は、各種電線、電気絶縁部品、ルーフィング、チューブ、ベルト、土木建築資材、ロール、スポンジ製品、自動車部品としてウェザーストリップ、ラジエーターホース、ヒーターホース、ブレーキホース、プロテクター、マフラーハンガー、ラジエーターパッキング、ブレーキカップ、ランプ用パッキング、バンパー等に好適に使用することができる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
実施例および比較例中の測定・評価は、以下の方法により実施した。
(イ)α−オレフィン含量および高級α−オレフィン含量(モル%)13C−NMR法により測定した。
(ロ)よう素価
赤外線吸収スペクトル法により測定した。
(ハ)ムーニー粘度(ML1+4, 100℃)
JISK6300に準拠し,測定温度100℃、予熱1分、測定4分にて測定した。
(ニ)MwおよびMw/Mn
トリクロロベンゼン溶媒を使用し、135℃で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
(ホ)引張り試験
JISK6301に準拠し、3号型試験片を用い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で、引張強さTB(MPa)および引切断時伸びEB(%)を測定した。
(ヘ)硬さ試験
JISK6301に準拠し、スプリング硬さ(JIS−A硬度)を測定した。
(ト)圧縮永久歪試験
JISK6301に準拠し、100℃×70時間の条件で測定した。
(チ)低温ねじり試験
JISK6301に準拠し、T2(℃)、T5(℃)、T10(℃)を測定した。
(リ)組成分布パラメーター(s)の測定
▲1▼ 共重合体5gをシクロヘキサン200ミリリットルに溶解したのち、攪拌下でイソプロピルアルコールを滴下し、溶液が白濁しかけたら滴下を停止して、沈澱を分離、乾燥し、そのα−オレフィン含量を測定する。
▲2▼ 前記▲1▼の溶液相に対してさらにイソプロピルアルコールを滴下し、同様の操作を行なって、α−オレフィン含量を測定する。
▲3▼ 前記▲2▼の操作を繰り返す。このような溶媒分別により、共重合体は通常4〜6フラクションに分別でき、各フラクションのα−オレフィン含量から、組成分布パラメーター(s)を前記式により算出する。
実施例1
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
充分に窒素置換した2リットルのステンレス製オートクレーブに、精製トルエンを800ミリリットル、1−ヘキセンを200ミリリットル、5−エチリデン−2−ノルボルネン7.0ミリリットル、精製トルエン4ミリリットル中に溶解したアルミニウム原子換算で6ミリモルのメチルアルミノキサンを加え、40℃に昇温したのち、エチレンを400リットル/時、プロピレンを100リットル/時の速度で連続的に供給しつつ、容器内圧を4kg/cm2 に調整した。次いで、トルエン1.2ミリリットル中に溶解したジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド1.2μモルを添加して、重合を開始させた。重合中は温度を40℃に保ち、容器内圧が4kg/cm2 を保持するように、連続的にモノマーを供給しつつ、20分間反応を行った。反応終了後、ポリマー溶液を多量のメタノール中に投入して、ポリマーを析出させ、このポリマーをろ取し、減圧下で乾燥して、68gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量82.7モル%、プロピレン7.5モル%、1−ヘキセン含量9.8モル%で、エチレンとプロピレンとのモル比約91.6/8.4、エチレンとプロピレンとの合計量と1−ヘキセンとのモル比約90.2/9.8であり、よう素価14、ムーニー粘度38.5、Mw24.7万、Mw/Mn2.3、結晶化度0.8%、組成分布パラメーター(s)1.5モル%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用い、表1に示された成分から加硫剤成分を除いた各成分を、ラボプラストミル(内容量250ミリリットル)を用い、回転数60rpm、100℃の温度で200秒間混練して、コンパウンドAを得たのち、コンパウンドAに加硫剤成分を加え、50℃に保持した10インチロールで5分間混練して、コンパウンドBを得た。
次いで、このコンパウンドBを、170℃に加熱した熱プレスにより、プレス圧150kgf/cm2 の圧力下で15分加熱して、120×120×2mmの加硫シートおよび圧縮永久歪試験用サンプルを作成し、各種特性を評価した。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、力学特性および低温特性が優れていた。評価結果を表2に示す。
【0014】
実施例2
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドの代わりにエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを用いた以外は、実施例1と同様にして、76gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量80.6モル%、プロピレン含量8.4モル%、1ーヘキセン含量11.0モル%で、エチレンとプロピレンとのモル比約90.6/9.4、エチレンとプロピレンとの合計量と1−ヘキセンとのモル比約89.0/11.0であり、よう素価17、ムーニー粘度63.5、Mw37.2万、Mw/Mn2.3、結晶化度0%、組成分布パラメーター(s)0.75モル%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、力学特性および低温特性が優れていた。評価結果を表2に示す。
【0015】
実施例3
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
5−エチリデン−2−ノルボルネンの代わりにジシクロペンタジエンを用いた以外は、実施例2と同様にして、74.5gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量80.9モル%、プロピレン含量8.2モル%、1−ヘキセン含量10.9モル%で、エチレンとプロピレンとのモル比約90.8/9.2、エチレンとプロピレンとの合計量と1−ヘキセンとのモル比約89.1/10.9であり、よう素価14.5、ムーニー粘度56.5、Mw34.5万、Mw/Mn2.4、結晶化度0.5%、組成分布パラメーター(s)0.78モル%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、力学特性および低温特性が優れていた。評価結果を表2に示す。
【0016】
実施例4
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
1−ヘキセンの代わりに1−オクテンを用いた以外は、実施例2と同様にして、77.2gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量81.1モル%、プロピレン含量8.7モル%、1−オクテン含量10.2モル%で、エチレンとプロピレンとのモル比約90.3/9.7、エチレンとプロピレンとの合計量と1−オクテンとのモル比約89.8/10.2であり、よう素価が16、ムーニー粘度59.5、Mw33.1万、Mw/Mn2.3、結晶化度0%、組成分布パラメーター(s)0.83モル%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、力学特性および低温特性が優れていた。評価結果を表2に示す。
【0017】
実施例5
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
5−エチリデン−2−ノルボルネンの代わりにジシクロペンタジエンを用いた以外は、実施例4と同様にして、73.6gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量81.5モル%、プロピレン含量8.7モル%、1−オクテン含量9.8モル%で、エチレンとプロピレンとのモル比約90.4/9.6、エチレンとプロピレンとの合計量と1−オクテンとのモル比約90.2/9.8であり、よう素価14.5、ムーニー粘度57.5、Mw32.3万、Mw/Mn2.4、結晶化度1.6%、組成分布パラメーター(s)0.87モル%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、力学特性および低温特性が優れていた。評価結果を表2に示す。
【0018】
実施例6
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
1−ヘキセンの代わりに1−デセンを用いた以外は、実施例2と同様にして、74.3gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量82.1モル%、プロピレン含量8.7モル%、1−デセン含量9.2モル%で、エチレンとプロピレンとのモル比約90.4/9.6、エチレンとプロピレンとの合計量と1−デセンとのモル比約90.8/9.2であり、よう素価16、ムーニー粘度58、Mw34.3万、Mw/Mn2.3、結晶化度0%、組成分布パラメーター(s)0.95mol%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、力学特性および低温特性が優れていた。評価結果を表2に示す。
【0019】
実施例7
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
プロピレンの代わりに1−ブテンを用いた以外は、実施例2と同様にして、70.5gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量81.4モル%、ブテン含量8.2モル%、1−ヘキセン含量10.4モル%で、エチレンと1−ブテンとのモル比約90.8/9.2、エチレンと1−ブテンとの合計量と1−ヘキセンとのモル比約89.6/10.4であり、よう素価16、ムーニー粘度60.5、Mw32.3万、Mw/Mn2.3、結晶化度0%、組成分布パラメーター(s)=0.78モル%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、力学特性および低温特性が優れていた。評価結果を表2に示す。
【0020】
比較例1
(共重合体の合成)
充分に窒素置換した2リットルのステンレス製オートクレーブに、精製トルエンを800ミリリットル、1−ヘキセンを200ミリリットル、5−エチリデン−2−ノルボルネン7.0ミリリットル、精製トルエン4ミリリットル中に溶解したアルミニウム原子換算で6ミリモルのメチルアルミノキサンを加え、40℃に昇温したのち、エチレンを400リットル/時の速度で連続的に供給しつつ、容器内圧を4kg/cm2 に調整した。次いで、トルエン1.2ミリリットル中に溶解したエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド1.2μモルを添加して、重合を開始させた。重合中は温度を40℃に保ち、容器内圧が4kg/cm2 を保持するように、連続的にモノマーを供給しつつ、20分間反応を行った。反応終了後、ポリマー溶液を多量のメタノール中に投入して、ポリマーを析出させ、このポリマーをろ取し、減圧下で乾燥して、78.8gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量89.1モル%、1−ヘキセン含量10.9モル%、よう素価16、ムーニー粘度70、Mw33.3万、Mw/Mn2.2、結晶化度0.8%、組成分布パラメーター(s)=1.2モル%の共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、実施例2の組成物に比べて、特に低温特性において劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0021】
比較例2
(共重合体の合成)
充分に窒素置換した2リットルのステンレス製オートクレーブに、精製トルエンを800ミリリットル、5−エチリデン−2−ノルボルネン7.0ミリリットル、精製トルエン4ミリリットル中に溶解したアルミニウム原子換算で6ミリモルのメチルアルミノキサンを加え、40℃に昇温したのち、エチレンを400リットル/時、プロピレンを250リットル/時の速度で、常圧にて連続的に供給しつつ、容器内圧を4kg/cm2 に調整した。次いで、トルエン1.2ミリリットル中に溶解したエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド1.2μモルを添加して、重合を開始させた。重合中は温度を40℃に保ち、容器内圧が4kg/cm2 を保持するように、連続的にモノマーを供給しつつ、20分間反応を行った。反応終了後、ポリマー溶液を多量のメタノール中に投入して、ポリマーを析出させ、このポリマーをろ取し、減圧下で乾燥して、88gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量75.5モル%、プロピレン量24.5モル%、よう素価16、ムーニー粘度75、Mw36.3万、Mw/Mn2.1、結晶化度1.5%の共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、実施例2の組成物に比べて、特に力学特性において劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】
本発明の低結晶性エチレン系ランダム共重合体は、ゴムスポンジ材として、機械的強度、硬さ、圧縮永久歪等の力学特性に優れ、しかも低温特性にも優れている。したがって、本発明の低結晶性エチレン系ランダム共重合体およびその組成物は、電子・電気部品、機械部品、土木建築資材、自動車部品等の幅広い分野において、極めて好適に使用することができる。
Claims (2)
- 下記成分(a)および成分(b)からなる触媒、もしくは下記成分(c)および成分(d)からなる触媒を用いる重合により得られるエチレン(A) とプロピレンおよび/または1−ブテン(B) と1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−デセンの群から選ばれるα−オレフィン(C) と非共役ジエン(D) からなる低結晶性エチレン系ランダム共重合体であって、
(1)成分(A) と成分(B) とのモル比が99/1〜50/50の範囲にあり、
(2)成分(A) および成分(B) の合計量と成分(C) とのモル比が97/3〜10/90の範囲にあり、
(3)よう素価が0.5〜50の範囲にあり、
(4)ムーニー粘度(ML1+4, 100℃) が10〜400の範囲にあり、
(5)X線回析法で求めた結晶化度が0〜25%の範囲にあり、
(6)シクロヘキサンを良溶媒、イソプロピルアルコールを貧溶媒として用いる溶媒分別法による組成分布パラメーター(s)が0〜3モル%の範囲にあることを特徴とする低結晶性エチレン系ランダム共重合体。
成分(a):下記の一般式[I]で表される遷移金属化合物。
R '' s (C 5 R m ) p (R’ n E) q MQ 4-p-q ... [I]
式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C 5 R m ) はシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であるか、あるいは2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っており、Eは非結合電子対を有する原子であり、R’は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R '' は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルけい素、またはジアルキルゲルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のとき、mは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のとき、mは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各R’は同一でも異なっていてもよく、また各R’は結合して環を作っていてもよく、Qは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜4の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
成分(b):下記一般式 [II] で表される線状アルミノキサン化合物および/または下記一般式 [III ]で表される環状アルミノキサン化合物。
R 2 Al−O−〔Al(R)−O〕 n −AlR 2 ... [ II ]
〔Al(R)−O〕 n+2 ... [III]
式中、各Rは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、nは2〜50の整数である。
成分(c):下記一般式[ IV ]で表される遷移金属アルキル化合物。
R '' s (C 5 R m ) p (R ' n E) q MR ''' 4-p-q ... [ IV ]
式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C 5 R m ) はシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であるか、あるいは2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っており、Eは非結合電子対を有する原子であり、R ' は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R '' は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルけい素またはジアルキルゲルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のとき、mは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のとき、mは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各 R ' は同一でも異なっていても良く、また各R ' は結合して環を作っていても良く、
R ''' は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜3の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
成分(d):下記一般式[V]で表されるイオン性化合物。
([L] k+ ) p ([M’A 1 A 2 ... A n ]ー ) q ... [ V]
式中、[L] k+ はブレンステッド酸またはルイス酸であり、M’は周期律表第13〜15族元素であり、A 1 〜A n はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜30のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数7〜40のアルカリール基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜40のハロゲン置換炭化水素基、炭素数2〜20のアシルオキシ基または有機メタロイド基であり、kはLのイオン価で1〜3の整数であり、pは1以上の整数であり、q=(k×p)である。 - 請求項1記載のエチレン系低結晶性ランダム共重合体と加硫剤および/または架橋剤とを含有してなる低結晶性エチレン系ランダム共重合体組成物。
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