JP3852189B2 - 変性エチレン系共重合ゴム - Google Patents

変性エチレン系共重合ゴム Download PDF

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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変性エチレン系共重合ゴムおよびこれを用いたゴム組成物に関し、さらに詳細には、加工特性を改良したメタロセン触媒系ポリマーを変性してなり、加工性、接着性、塗装性、極性ポリマーや無機配合剤との相溶性に優れた変性エチレン系共重合ゴムおよびこれを用いたゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン/α−オレフィン/非共役ポリエン共重合ゴム(EPDM)は、各種成形性、機械的物性、耐候性、耐水性、耐熱性および耐薬品性などに優れた合成ゴムであり、その特性から、自動車部品や船舶部品、電線、ケーブル、さらには家電製品、家具、事務機器、日用品、建築といった幅広い分野に使用されており、その需要は高いものがある。
【0003】
また、近年、メタロセン触媒を用いたEPDMに関する提案がなされている。メタロセン触媒は、エチレン、α−オレフィン、非共役ジエンなどのコモノマーの共重合性に優れ、得られるポリマーの分子量分布が狭く、組成分布が均一であるなどの特徴を有する。また、メタロセン触媒は、従来のEPDMの触媒であるバナジウム系の触媒では重合が難しかったコモノマー(例えば、高級α−オレフィン)が容易に重合するなどの特徴を有する。
【0004】
例えば、特公平5−80493号公報では、エチレン、炭素数3〜10のα−オレフィンおよび非共役ジエンの各含有率、極限粘度、分子量分布(Mw/Mn)、結晶化度、α−オレフィン・エチレン連鎖のモル分率に関連するB値、沸騰酢酸メチル可溶部量をそれぞれ特定し、13C−NMRスペクトル中に隣接した2個の3級炭素原子間のメチレン連鎖に基づくαβおよびβγシグナルが観測されない低結晶性エチレン系ランダム共重合体が提案されている。
しかしながら、メタロセン触媒より得られるEPDMは、分子量分布が狭く、加工性に劣る問題点がある。
【0005】
これに対し、本発明者らは、特開平9−40718号公報において、1,9−デカジエンに代表されるα,ω−ジエンを用いることにより、エチレン/α−オレフィン/非共役ジエン系共重合体の加工性が改良されることを提案した。
しかしながら、元来、エチレン/α−オレフィン/非共役ジエン共重合体は、分子内に官能基を有しておらず化学的に不活性であるため、他の極性ゴムやシリカ、クレーなどの極性の高い充填剤との相溶性に乏しく、これらと配合した加硫物は、充分な物性が得られないという問題がある。また、被塗装性や接着性が悪く、従来、塗装や他のポリマーとの接着の際には、粗面化、脱脂、プライマー処理などの多くの前処理を必要とするという欠点を有している。上記公報では、極性基の導入に関しては、検討されていない。
【0006】
これに対し、特開平9−71616号公報では、メタロセン触媒で製造したエチレン系共重合体に、極性モノマーをグラフト重合させることを提案している。しかしながら、このような極性モノマーは高価であり、また不飽和結合を持つエチレン系共重合体をこの方法で変性した場合、得られる変性共重合体は、ゲル化が著しく、実用的には使用できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、加工性、接着性、親水性、極性ポリマーや無機配合剤との相溶性に優れた変性エチレン系共重合ゴムおよびこれを用いたゴム組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エチレン/α−オレフィン/非共役ポリエン共重合ゴム(以下「エチレン系共重合ゴム」ともいう)の非共役ポリエンに由来する不飽和結合に化学反応(ただし、グラフト重合を除く)によって官能基が導入された変性エチレン系共重合ゴムであって、(1)共重合ゴム100gあたり、0.01〜0.3モルの官能基を有し、(2)エチレンとα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が40/60〜95/5、(3)ムーニー粘度(ML 1+4 ,100℃)が15〜350、(4)GPCにより求めたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)とポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜15にあり、好ましくはこれに加えて(5)分岐度指数Bが0.60〜0.95の範囲にある。
また、上記官能基は、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基およびアミノ基の群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
次に、本発明は、上記の変性エチレン系共重合ゴムおよび必要に応じて用いられる他のポリマーの合計量100重量部に対し、ゴム用補強剤・充填剤を10〜200重量部含有する変性エチレン系共重合ゴム組成物を提供するものである。
次に、本発明は、エチレン系共重合ゴム中の非共役ポリエンに由来する不飽和結合に化学反応(ただし、グラフト重合を除く)によって官能基を導入することを特徴とする上記変性エチレン系共重合ゴムの製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の変性エチレン系共重合ゴムは、特定の分子構造を有するエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン系共重合ゴムの非共役ポリエンに由来する不飽和結合に官能基を導入することにより、加工性、接着性、塗装性、極性ポリマーや無機配合剤との相溶性などを改善したものである。
【0010】
ここで、エチレン系共重合ゴムを構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、5−エチル−1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ブテンなどが挙げられ、好ましくは1−ヘキセン、1−オクテンが用いられる。これらのα−オレフィンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0011】
また、非共役ポリエンとしては、通常用いられる全ての非共役ジエンを用いることができるが、生成共重合ゴムへの分岐鎖形成能の有無により2種類に分けることが便宜的である。
その1種は、生成共重合ゴムに分岐鎖を形成する非共役ジエンであり、その具体例としては、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンや、炭素数6〜20の脂肪族α,ω−ジエンを挙げることができる。この脂肪族α,ω−ジエンとしては、例えば、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエンなどが挙げられる。
【0012】
また、他の種の非共役ジエンとしては、生成共重合ゴムに分岐鎖を形成しない非共役ジエンであり、その具体例としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトリエン、6−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、2,2′−ジシクロペンテニル、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,4,7−オクタトリエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなど挙げられる。
【0013】
以上の非共役ポリエンは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできるが、上記2種類の非共役ポリエンを少なくとも1種ずつ使用することが好ましい。
これらの非共役ポリエンの中では、分岐鎖形成能を有するものでは、1,9−デカジエン、ジシクロペンタジエンが、また分岐形成能を有しないものでは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチル−1,6−オクタジエンが好ましい。
【0014】
上記エチレン系共重合ゴムに導入する官能基の例としては、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基およびアミノ基の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
(1)本発明の変性エチレン系共重合ゴム中の官能基含量は、この共重合ゴム100gあたり、0.01〜0.30モル、好ましくは0.02〜0.20モル、さらに好ましくは0.04〜0.15モルである。官能基含量が0.02モル未満では、本発明の効果が得られず、一方、0.30モルを超えると、極性分子の凝集力のため加工が困難となる。
【0015】
(2)本発明の変性エチレン系共重合ゴムにおけるエチレンとα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)は、40/60〜95/5、好ましくは、60/40〜85/15の範囲にある。この場合、上記モル比が40/60未満では、機械的強度が充分に発現されず、一方、95/5を超えると、ゴム弾性が損なわれる。
【0016】
(3)本発明の変性エチレン系共重合ゴムのムーニー粘度(ML + ,100℃)(以下「ムーニー粘度」ともいう)は、15〜350、好ましくは、20〜300の範囲にある。ムーニー粘度が15未満では、機械的強度に劣り、一方、350を超えると、加工性が劣る。
【0017】
(4)本発明の変性エチレン系共重合ゴムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比〔Mw/Mn(分子量分布)〕は、3〜15、好ましくは3.5〜10の範囲にある。Mw/Mnが3未満では、加工性に劣り、一方、15を超えると、機械的特性が損なわれる。
【0018】
(5)本発明の変性エチレン系共重合ゴムの分岐度指数Bは、0.60〜0.95、好ましくは、0.70〜0.92の範囲にある。
この分岐度指数Bの値は、粘度−GPC法〔倉田道夫、日本ゴム協会誌、(45)1972〕に準じて、分岐のないモデル共重合ゴムの極限粘度〔η〕とポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)により求めた粘度式〔η〕=KMw(ただし、Kは定数である)を用い、対象となる共重合ゴムのGPC測定により求めたMwから極限粘度〔η〕を算出し、次に対象となる共重合ゴムの実測〔η〕を上記粘度式より算出した〔η〕で除して、分岐度指数Bとする。ここで、〔η〕はo−ジクロロベンゼン中120℃で求めた〔η〕を用い、Mwはo−ジクロロベンゼン中120℃でGPC測定法で求めた値である。
この分岐度指数が0.60未満では、機械的強度が劣り、一方、0.95を超えると、加工性が劣る。
【0019】
なお、本発明の変性エチレン系共重合ゴムのヨウ素価は、好ましくは2〜45、さらに好ましくは10〜40の範囲である。ヨウ素価が2未満では、変性に供する二重結合が不足し、一方、45を超えると、ゴム弾性が損なわれる。
【0020】
本発明に用いられるエチレン系共重合ゴムは、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法などの適宜の方法により製造することができる。これらの重合操作は、バッチ式でも連続式でも実施することができる。
上記溶液重合法あるいはスラリー重合法においては、反応媒体として、通常、不活性炭化水素が使用される。
このような不活性炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの炭化水素溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、原料モノマーを炭化水素溶媒として利用することもできる。
【0021】
上記エチレン系共重合ゴムは、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物または該メタロセン化合物と反応してイオン性錯体を形成するイオン性化合物とからなるメタロセン系触媒によって製造される。
以下、メタロセン系触媒についてより具体的に説明するが、場合により下記以外の重合触媒を使用することもできる。
【0022】
上記メタロセン系触媒としては、例えば、下記成分(A)と成分(B)とからなる触媒、または下記成分(C)と成分(D)とからなる触媒が挙げられる。
成分(A)は、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物である。
R″s (C5 m ) p (R′n E)q MQ4-p-q ・・・・・(1)
式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C5 m ) はシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であるか、あるいは2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っており、Eは非結合電子対を有する原子であり、R′は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R″は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルケイ素またはジアルキルゲルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のとき、mは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のとき、mは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各R′は同一でも異なっていてもよく、また各R′は結合して環を作っていてもよく、Qは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜4の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
【0023】
成分(A)の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(3−t−ブチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,3,5−トリメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリレン(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(t−ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(t−ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(フェノキシ)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジエチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジt−ブチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(メチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(t−ブチルアミド)ジルコニウムジクロリドなどや、これらの化合物におけるジルコニウムを、チタニウムあるいはハフニウムに置換した化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記遷移金属化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
【0024】
また、成分(B)は、下記一般式(2) で表されるユニットを有するアルミノキサン化合物であり、その化学構造は未だ必ずしも明確ではないが、線状、環状またはクラスター状の化合物、あるいはこれらの化合物の混合物であると推定されている。
−〔Al(R)−O〕− ・・・・・(2)
式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基で、好ましくは、メチル基、エチル基、イソブチル基、特に好ましくは、メチル基である。
上記アルミノキサン化合物は、上記R基を少なくとも1個有する有機アルミニウム化合物と水との反応を経る公知の方法によって製造することができる。
上記成分(A)と成分(B)との使用割合は、遷移金属とアルミニウム原子とのモル比(遷移金属/アルミニウム原子)で、通常、1/1〜1/100,000、好ましくは、1/5〜1/50,000の範囲である。
【0025】
次に、成分(C)は、下記一般式(3)で表される遷移金属アルキル化合物である。
R″s (C5 m p (R′n E)q MR″′4-p-q ・・・・・(3)
式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C5 m )はシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であるか、あるいは2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っており、Eは非結合電子対を有する原子であり、R′は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R″は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルケイ素またはジアルキルゲルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のとき、mは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のとき、mは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各R′は同一でも異なっていても良く、また各R′は結合して環を作っていても良く、R″′は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜3の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
【0026】
成分(C)の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジエチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ{ビス(トリメチルシリル)メチル}、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジイソブチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−t−ブチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、ジメチルシリルビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2,3,5−トリメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、イソプロピリレン(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(t−ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレン(t−ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(フェノキシ)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ジメチルアミド)ジルコニウムジメチル、ビス(ジエチルアミド)ジルコニウムジメチル、ビス(ジt−ブチルアミド)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(メチルアミド)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(t−ブチルアミド)ジルコニウムジメチルなどや、これらの化合物中のジルコニウムを、チタニウムあるいはハフニウムに置換した化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記遷移金属アルキル化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
【0027】
上記遷移金属アルキル化合物は、予め合成して使用してもよいし、また上記一般式(3)におけるR″をハロゲン原子に置換した遷移金属ハライドと、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、トリイソブチルアルミニウム、メチルリチウム、ブチルリチウムなどの有機金属化合物とを、反応系内で接触させることにより形成させてもよい。
【0028】
また、成分(D)は、下記一般式(4)で表されるイオン性化合物である。
([L]k+p ([M′A1 2...n - q ・・・・・(4)
式中、[L]k+はブレンステッド酸またはルイス酸であり、M′は周期律表第13〜15族元素であり、A1 〜An はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜30のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数7〜40のアルカリール基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜40のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜20のアシルオキシ基または有機メタロイド基であり、kはLのイオン価で1〜3の整数であり、pは1以上の整数であり、q=(k×p)である。
【0029】
成分(D)の具体例としては、テトラフェニルほう酸トリメチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸メチル(ジ−n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニルほう酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニルほう酸メチルピリジニウム、テトラフェニルほう酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テトラフェニルほう酸メチル(4−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチル(ジ−n−ブチル)アンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチルピリジニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニルフェニル)ほう酸メチル(4−シアノピリジニウム)、テトラキス[ビス(3,5−ジ−トリフルオロメチル)フェニル]ほう酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニルほう酸フェロセニウム、テトラフェニルほう酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸フェロセニウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記イオン性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
上記成分(C)と成分(D)の使用割合は、モル比〔(C)/(D)〕で、通常、1/0.5〜1/20、好ましくは1/0.8〜1/10の範囲である。
本発明に用いられるエチレン系共重合ゴムを製造する際に使用される上記メタロセン系触媒は、それらの成分の少なくとも一部を適当な担体に担持して用いることもできる。担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体、および有機担体の何れも用いることができる。また、担持方法についても特に制限はなく、公知の方法を適宜利用してよい。
【0031】
上記エチレン系共重合ゴム中の非共役ポリエンに由来する不飽和結合に化学反応によって官能基を導入することにより、本発明の変性エチレン系共重合ゴムが得られる。その製造方法は特に制限されないが、通常、以下のようにして製造される。
【0032】
(i)エポキシ基の導入
エポキシ変性法としては、特に制限はないが、一般的には、ポリマー中のオレフィン性不飽和結合を直接酸化する方法が用いられる。例えば、(1)過酢酸、過安息香酸などの過酸で処理する方法、(2)過酸化水素とギ酸、酢酸などの有機酸で処理する方法、(3)ヘテロポリ酸と第4級アンモニウム塩との化合物を触媒として、過酸化水素で処理する方法、(4)マンガンのポリオレフィン錯体を触媒に、ヨードシルベンゼンまたは次亜塩素酸ナトリウムで処理する方法、(5)モリブデン錯体を触媒に、t−ブチルヒドロペルオキシドで処理する方法などが挙げられる。
【0033】
(ii)水酸基の導入
水酸基を導入する方法としては、特に制限はないが、(1)エチレン系共重合ゴムをエポキシ化したのち、加水分解する方法、(2)この共重合ゴムをハイドロボレーション反応を行ったのち、過酸化水素で酸化する方法、(3)この共重合ゴムに有機酸と過酸化水素との混合物を添加し酸化する方法などが挙げられる。
【0034】
(iii)カルボキシル基の導入
カルボキシル基を導入する方法としては、特に制限はないが、(1)ヒドロキシル化試剤(過マンガン酸カリウムなど)により酸化する方法、(2)アルキルリチウムなどのメタル化試剤との反応後の脱メタル化反応などで、アシル化を経てカルボキシル基を導く方法などが挙げられる。
【0035】
(iv)スルホン基の導入
スルホン基を導入する方法としては、特に制限はないが、無水硫酸、クロロスルホン酸、硫酸、発煙硫酸などの三酸化硫黄供与体と、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェンなどのルイス塩基とからなるスルホン化剤による方法が挙げられる。
また、スルホン基(−SO3 H)は、例えば、ナトリウム塩(−SO3 Na)の形のように中和されていてもよい。
【0036】
(v)ニトロ基の導入
ニトロ基を導入する方法としては、特に制限はないが、発煙硝酸、硝酸アセチルなどのニトロ化試剤で処理する方法が挙げられる。
【0037】
(vi)アミノ基の導入
アミノ基を導入する方法としては、特に制限はないが、上述の方法でニトロ基を導入したのち、還元することで容易にアミノ基を導入することができる。
【0038】
本発明の変性エチレン系共重合ゴムは、改質剤として、他のポリマーにブレンドして使用することができる。
ここで、他のポリマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、尿素樹脂、ポリカーボネート、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン6,6などが挙げられる。
また、本発明の変性エチレン系共重合ゴムは、他種のエチレン/α−オレフィン/非共役ポリエン共重合体や、エチレン/α−オレフィン共重合体を1種以上混合して使用することもできる。
【0039】
本発明の変性エチレン系共重合ゴムを加硫して加硫物を得るに際しては、この変性エチレン系共重合ゴムのほかに、意図する加硫物の用途、それに基づく性能に応じて、上述の他のポリマー、ゴム用補強剤・充填剤、軟化剤、受酸剤、老化防止剤の種類・配合量、さらには加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤などの加硫系を構成する化合物の種類・量、さらに加硫物を製造する工程が適宜選択される。
【0040】
本発明に使用できるゴム用補強剤・充填剤としては、例えば、SAFカーボンブラック、ISAFカーボンブラック、HAFカーボンブラック、FEFカーボンブラック、GPFカーボンブラック、SRFカーボンブラック、FTカーボンブラック、MTカーボンブラック、アセチレンカーボンブラック、ケッチェンブラック、重質炭酸カルシウム、胡粉、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、天然ケイ酸、合成無水ケイ酸、合成含水ケイ酸、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、カオリンクレー、焼成クレー、パイロフライトクレー、カオリン、シラン処理クレー、セリサイト、タルク、微粉タルク、ケイ酸カルシウム(ウォラスナイト、ゾーノトナイト、花弁状ケイ酸カルシウム)、ケイソウ土、ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、マイカ、ケイ酸マグネシウム、アスベスト、PFM(Processed Mineral Fiber)、セピオライト、チタン酸カリウム、エレスタダイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、フライアッシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、フェノール樹脂、尿素系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂などの有機系バルン、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維(チョップドストランド、ローピング、ミルドガラス繊維、ガラスフレーク)、カットファイバー、ロックファイバー、ミクロファイバー、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、タッキドファイアー、エボナイト粉末、木粉、セラミック、ゴム粉末、再生ゴム、ベンガラ、シアニングリーンなどが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
以上のゴム用補強剤・充填剤の配合量は、本発明の変性エチレン系共重合ゴムおよび必要に応じて用いられる他のポリマー(以下「ゴム成分」ともいう)の合計量100重量部に対して、通常、10〜200重量部、好ましくは10〜100重量部である。
【0041】
また、本発明に使用できる軟化剤としては、例えば、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系などの石油系軟化剤;ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろうなどの植物系軟化剤;黒サブ、白サブ、飴サブ;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂などの剛性高分子物質;あるいはジオクチルフタレートなどのポリエステル系可塑剤;そのほか、マイクロクリスタリンワックス、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。軟化剤は、ゴムの分子間力を弱め、加工を容易にするとともに、充填剤として配合するカーボンブラック、ホワイトカーボンなどの分散を助け、あるいは加硫ゴムの硬さを低下させ、柔軟性、弾性を増す目的で使用されるのである。
上記軟化剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
軟化剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、通常、10〜130重量部、好ましくは20〜100重量部である。
【0042】
本発明に使用できる受酸剤には、周期律表第IIA族金属の有機酸、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、マナセアイト、ハイドロタルサイト、エポキシ化大豆油、エポキシ系酸吸収剤などに加え、マグネシウム、鉛などの金属酸化物や、金属の水酸化物などが広く用いられる。
【0043】
本発明に使用できる老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体系、モノ,ビス,トリス,ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステル系、イミダゾール系、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系、リン酸系の老化防止剤などが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0044】
本発明の変性エチレン系共重合ゴム、またはそのゴム組成物から得られる加硫物は、通常の場合、一般のゴムを加硫するときと同様に、未加硫の配合ゴムを一度調製し、次いでこの配合ゴムを意図する形状に成形したのち、加硫を行うことにより製造される。
ここで、加硫剤としては、有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物、含硫黄有機加硫剤、トリアジン系化合物などが用いられるが、特に硫黄、硫黄化合物の使用が好ましい。
【0045】
上記有機過酸化物としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−アリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサネート、ジ(3−メチル−3−メチロキシブチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオヘキサネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサネート)、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,3,5−トリメチルヘキサネート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ヘキサン、ジ−イソプロピルベンゼン−ヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどが挙げられる。
【0046】
また、硫黄系加硫剤(硫黄・硫黄化合物)としては、粉末硫黄、硫黄華、高分散性硫黄、不溶性硫黄、沈降硫黄、表面処理硫黄、コロイド硫黄、塩化硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄などが挙げられる。
また、含硫黄有機加硫剤としては、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド類、チウラムジスルフィド、N,N′−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
さらに、トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジンなどが挙げられる。
以上の加硫剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0047】
これらの加硫剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0048】
なお、加硫剤として、有機過酸化物を使用する場合には、有機過酸化物と併用して、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N′−4−ジニトロアニリン、N,N′−m−フェニレンジマレイミド、ジペンタメチレンチウラムペンタスルフィド、ジニトロソベンゼン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアジンチオール、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジアリルメラミン、トリメタクリレート、ジメタクリレート、ジビニルアジペート、ビニルブチラート、ビニルステアレート、液状ポリブタジエンゴム、液状ポリイソプレンゴム、液状スチレン−ブタジエンゴム、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、マグネシウムジアクリレート、カルシウムジアクリレート、アルミニウムアクリレート、亜鉛アクリレート、スタナスアクリレート、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム、ジメタクリル酸亜鉛などの共架橋剤を配合することができる。
これらの共架橋剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。共架橋剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、通常、0.5〜20重量部である。
【0049】
また、加硫剤として、硫黄系加硫剤を使用する場合には、加硫促進剤を使用することができる。
このような加硫促進剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド・アンモニアなどのなどのアルデヒドアンモニア類;n−ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ブチルアルデヒド−モノブチルアミン縮合品、ヘプトアルデヒド−アニリン縮合物、トリクロトニリデン・テトラミン縮合物などのアルデヒドアミン類;ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、オルト・トリル・ビグアニド、ジカテコール・ほう酸のジオルト・トリル・グアニジン塩などのグアニジン塩類;2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4′−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホリノ−2−ベンゾテアジル・ジスルフィドなどのチアゾール類;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール・スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミドなどのスルフェンアミド類;チオカルバニド、エチレン・チオ尿素(2−メルカプトイミダゾリン)、ジエチル・チオ尿素、ジブチル・チオ尿素、混合アルキルチオ尿素、トリルメチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿素などのチオ尿素類;ジメチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチル・カルバミンン酸ナトリウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジル・ジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレン・ジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸テルル、ジエチル・ジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸銅、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉄、ジメチル・ジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチル・ジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレン・ジチオカルバミン酸ピペコリン、活性化ジチオカルバメートなどのジチオカルバミン酸塩類;テトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、活性テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、テトラブチルチウラム・ジスルフィド、N,N′−ジメチル−N,N′−ジフェニルチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・テトラスルフィド、混合アルキル・チウラム・ジスルフィドなどのチウラム類;イソプロピル・キサントゲン酸ナトリウム、イソプロピル・キサントゲン酸亜鉛、ブチル・キサントゲン酸亜鉛などのザンテート類;4,4′−ジチオジモルホリン、アミノジアルキルジチオホスフェート、亜鉛−o,o−n−ブチル・ホスホロジチオエート、3−メルカプトイミダゾリン−チオン−2、チオグリコール酸エステルなどが挙げられる。
これらの加硫促進剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部である。
【0050】
また、上記加硫剤および加硫促進剤に加え、必要に応じて、加硫促進助剤を添加することもできる。
このような加硫促進助剤としては、例えば、酸化マグネシウム、亜鉛華、活性亜鉛華、表面処理亜鉛華、炭酸亜鉛、複合亜鉛華、複合活性亜鉛華、表面処理酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、極微細水酸化カルシウム、一酸化鉛、リサージ、鉛丹、鉛白などの金属酸化物;ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウムなどの有機酸(塩)類などが挙げられ、特に亜鉛華、ステアリン酸が好ましい。これらの加硫促進助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
加硫促進助剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、通常、0.5〜20重量部である。
【0051】
本発明の変性エチレン系共重合ゴムや、そのゴム組成物には、そのほか、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性可塑剤、液状ゴム、官能基含有オリゴマー、着色剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、奪水剤、活性剤、ワックス、カップリング剤、素練り促進剤、抗菌剤、発泡助剤、加工助剤などを任意に配合することができる。
【0052】
本発明の変性エチレン系共重合ゴムを用いたゴム組成物を調製する際には、従来から公知の混練機、押出機、加硫装置などを用いることができる。
本発明の変性エチレン系共重合ゴムと混合される他のポリマーや、充填剤、可塑剤、加硫剤などの配合方法、配合順序としては特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサーなどを用いて、変性エチレン系共重合ゴム、充填剤、軟化剤などを混合したのち、ロールなどを用いて加硫剤などを加える方法が挙げられる。
【0053】
次に、通常の加硫ゴムの製造に供される手法で、例えば、上記ゴム組成物を金型内に入れて温度を高めることにより加硫を行うか、あるいは押出成形機を用いて任意の形状に成形したのち加硫槽内で加熱して加硫を行うことにより、加硫ゴムを製造することができる。
【0054】
本発明の変性エチレン系共重合ゴムは、塗装性、接着性、印刷性、極性ポリマーや無機配合剤との相溶性に優れ、各種自動車部品、防振ゴム、土木・建築資材、ゴムロール、各種ポリマーの改質剤などの用途に好適に使用することができる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
なお、実施例中の%および部は、特に断らない限り重量基準である。
また、実施例および比較例中の測定・評価は、以下の方法により実施した。
【0056】
α−オレフィン含量(モル%)
13C−NMR法により測定した。ただし、各実施例および比較例におけるエチレン、α−オレフィンの含量(モル%)は、これらの合計量を100モル%としたときの値を示す。
ヨウ素価
赤外線吸収スペクトル法により測定した。
ムーニー粘度(ML + ,100℃)
JIS K6300に準拠し、測定温度100℃、予熱1分、測定4分の条件で測定した。
Mw/Mn
o−ジクロロベンゼン中、135℃の条件で、GPCにより測定した。
分岐度指数B
o−ジクロロベンゼン溶媒を使用し、試料濃度0.15%、135℃でウオーターズ社製、150CV型GPCにより測定した。
【0057】
官能基含量
(1)エポキシ基含量Jay法〔R.R.Jay;Anal.Chem.,36,667(1964)〕に準じて、滴定により求めた。
(2)水酸基含量無水酢酸で水酸基をアセチル化したのち、過剰の無水酢酸を加水分解し、アルカリで逆滴定して求めた。
(3)カルボキシル基含量中和滴定により求めた。
(4)スルホン基含量ポリマーを燃焼して発生した二酸化硫黄ガス濃度を、赤外分光分析法により測定した。
(5)ニトロ基含量三塩化チタンでニトロ基を還元したのち、過剰の三塩化チタンを塩化第2鉄で逆滴定して求めた。
(6)アミノ基含量アミノ基を無水酢酸でアセチル化したのち、過剰の無水酢酸を加水分解し、アルカリで逆滴定して求めた。
【0058】
接触角および表面自由エネルギー
接触角は、エルマ光学(株)製、ゴニオメーター式接触角測定装置G−1型を用い、マイクロシリンジで液滴を加硫ゴム表面上に滴下し、直後の接触角を測定した。溶媒は、極性溶媒として水、非極性溶媒としてヨウ化メチレン(CH2 2 )を使用した。接触角は、10回測定して平均値を求めた。
表面自由エネルギーは、接触角の値を用いて、S.Wuの式(J.Polym.Sci.Par.C,38,19,1971)より求めた。
【0059】
ロール加工性
ロール加工性は、以下の5段階評価により判定した。
5;ゴムバンドがロールに完全に密着しており、バンクがスムーズに回転する。
4;ロールの頂点からバンクまでの間で、ゴムバンドがロール表面から時々離れる。
3;ロールの頂点からバンクまでの間で、ゴムバンドがロール表面からかなり離れる。
2;ロール表面にゴムバンドがよく密着せず垂れ下がり、ゴムバンドに手を添えないと、ロール加工ができない。
1;ロール表面にゴムバンドが全く密着せず垂れ下がり、ゴムバンドに手を添えないと、ロール加工ができない。
【0060】
引張試験
JIS K6301に準拠し、3号型試験片を用い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で、引張強さTB(MPa)、引張切断時伸びEB(%)を測定した。
硬さ試験
JIS K6301に準拠し、スプリング硬さHS(JIS A硬度)を測定した。
【0061】
参考例1(エチレン系共重合ゴムの製造)
充分に窒素置換した内容量3リットルのステンレス製オートクレーブに、精製トルエンを1.45リットル、1−オクテンを450ミリリットル、7−メチル−1,6−オクタジエンを120ミリリットル、1,9−デカジエンを1.7ミリリットル加え、30℃に昇温したのち、エチレンを14ノルマルリットル/分の速度で連続的に供給しつつ、容器内圧を5kg/cm2 に調整した。
これとは別に、充分に窒素置換し、磁気攪拌子を入れた内容量50ミリリットルのガラス製フラスコに、精製トルエン3.0ミリリットル中に溶解したイソプロピリレン(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを3.0μモル、精製トルエン6.0ミリリットル中に溶解したトリイソブチルアルミニウムを1.5ミリモル入れて、室温で30分攪拌して反応させた。次いで、精製トルエン7.2ミリリットル中に溶解したテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸ジメチルアニリニウムを3.6μモル加え、室温で20分攪拌して反応させて、重合触媒とした。
【0062】
この重合触媒を、上記オートクレーブに添加して、重合を開始させた。反応中は温度を30℃に保ち、連続的にエチレンを供給しつつ、容器内圧を5kg/cm2 に保持して、15分間重合を行った。次いで、少量のメタノールを添加して、反応を停止させたのち、スチームストリッピングで脱溶し、6インチロールで乾燥して、155gのポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量71.5モル%、1−オクテン含量28.5モル%、ヨウ素価41.0、ムーニー粘度45、Mw/Mn5.5、分岐度指数B=0.835のエチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「EODM(1)」ともいう)であった。
【0063】
実施例1(エポキシ変性エチレン系共重合ゴムの製造)
参考例1で得られたEODM(1)150gを、トルエン2.2リットルに溶解し、これを還流冷却器、攪拌機および温度計を備えたガラス製反応容器に仕込み、温度60℃に保ち攪拌した。これに、リンモリブデンヘテロポリ酸とトリオクチルメチルアンモニウムクロライドよりなる触媒3.9gを加えたのち、31%過酸化水素水溶液35mlを加え、70分間反応させた。反応後、有機相を分離し、アセトンを添加して共重合体を析出させたのち、50℃で20時間、真空乾燥して残留溶媒を除去した。
得られたポリマーを赤外分光分析法で測定したところ、3,040cm-1および890cm-1付近にエポキシ基の特性ピークが確認できた。
得られたポリマーは、ポリマー100gあたりエポキシ基含量0.08モル、エチレン含量71.5モル%、1−オクテン含量28.5モル%、ヨウ素価20.7、ムーニー粘度46、Mw/Mn5.4、分岐度指数B=0.841のエポキシ変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「EPOXY−EODM(1)」ともいう)であった。
【0064】
実施例2(水酸基変性エチレン系共重合ゴムの製造)
実施例1と同様の操作をして得た官能基含量0.05モルのエポキシ変性エチレン系共重合ゴム150gを、トルエン3リットルに溶解し、これを還流冷却器、攪拌機および温度計を備えたガラス製反応容器に仕込み、温度60℃に保ち攪拌した。これに、1N塩酸300mlを加え、120分間反応させた。反応後、有機相を分離し、メタノールを添加して共重合体を析出させたのち、50℃で20時間、真空乾燥して残留溶媒を除去した。
得られたポリマーを赤外分光分析法で測定したところ、3,300cm-1付近に水酸基の特性ピークが確認できた。
得られたポリマーは、ポリマー100gあたり水酸基含量0.10モル、エチレン含量71.5モル%、1−オクテン含量28.5モル%、ヨウ素価28.3、ムーニー粘度46、Mw/Mn5.4、分岐度指数B=0.840の水酸基変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「OH−EODM(1)」ともいう)であった。
【0065】
実施例3(カルボキシル基変性エチレン系共重合ゴムの製造)
参考例1で得られたEODM(1)150gを、トルエン2.2リットルに溶解し、これを還流冷却器、攪拌機および温度計を備えたガラス製反応容器に仕込み、温度120℃に保ち攪拌した。これに、酢酸50g、パラホルムアルデヒド9g、98%濃硫酸5mlの混合物を加えて、5時間還流しながら激しく攪拌した。反応後、20%水酸化ナトリウム/メタノール溶液で中和し、多量のメタノールで共重合体を析出させたのち、50℃で20時間、真空乾燥して残留溶媒を除去した。
得られたポリマーを赤外分光分析法で測定したところ、1,700cm-1付近にカルボキシル基の特性ピークが確認できた。
得られたポリマーは、ポリマー100gあたりカルボキシル基含量0.09モル、エチレン含量71.5モル%、1−オクテン含量28.5モル%、ヨウ素価18.3、ムーニー粘度47、Mw/Mn5.6、分岐度指数B=0.832のカルボキシル基変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「COOH−EODM(1)」ともいう)であった。
【0066】
実施例4(スルホン基変性エチレン系共重合ゴムの製造)
窒素置換した3リットルフラスコ中に、ジクロロメタン60mlおよびジオキサン15mlを加え、0〜5℃に冷却し、攪拌しながら徐々に無水硫酸を9.9g添加し、その後、室温で30分間攪拌し、無水硫酸/ジオキサン錯体がスラリー状に分散した反応混合物を得た。
この配合混合物に、参考例1で得られたEODM(1)150gをジクロロメタン1.5リットルに溶解したポリマー溶液を窒素気流下で、反応温度が10℃を超えないようにゆっくりと添加した。添加終了後、温度10℃付近でさらに1時間攪拌を続けたのち、0〜5℃に冷却し、無水硫酸に対して水酸化ナトリウム18g、水18gを添加した。次いで、反応物を30℃まで加温し、窒素下で4時間攪拌した。さらに、30%水酸化ナトリウム水溶液によって、PHを7〜8に調整したのち、有機相を分離し、多量のメタノールを添加して共重合体を析出させたのち、50℃で20時間、真空乾燥して残留溶媒を除去した。
得られたポリマーを赤外分光分析法で測定したところ、1,070cm-1および650cm-1付近にスルホン基の特性ピークが確認できた。
得られたポリマーは、ポリマー100gあたりスルホン基含量0.10モル、エチレン含量71.5モル%、1−オクテン含量28.5モル%、ヨウ素価15.6、ムーニー粘度51、Mw/Mn5.7、分岐度指数B=0.830のスルホン基変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「SO3 H−EODM(1)」ともいう)であった。
【0067】
実施例5(ニトロ基変性エチレン系共重合ゴムの製造)
参考例1で得られたEODM(1)150gをトルエン2.2リットルに溶解し、これを還流冷却器、攪拌機および温度計を備えたガラス製反応容器に仕込み、温度80℃に保ち攪拌した。これに、98%濃硫酸100mlと67%硝酸100mlを混合し、80℃で10分間攪拌した。反応終了後、30%水酸化ナトリウム/メタノール溶液で中和し、充分に洗浄したのち、多量のメタノールで共重合体を析出させたのち、50℃で20時間、真空乾燥して残留溶媒を除去した。
得られたポリマーを赤外分光分析法で測定したところ、1,560cm-1および1,350cm-1付近にニトロ基の特性ピークが確認できた。
得られたポリマーは、ポリマー100gあたりニトロ基含量0.08モル、エチレン含量71.5モル%、1−オクテン含量28.5モル%、ヨウ素価20.7、ムーニー粘度47、Mw/Mn5.7、分岐度指数B=0.831のニトロ基変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「NO2 −EODM(1)」ともいう)であった。
【0068】
実施例6(アミノ基変性エチレン系共重合ゴムの製造)
実施例5と同様にして得られたニトロ基変性エチレン系共重合ゴム150gをトルエン5.5リットルに溶解し、これを還流冷却器、攪拌機および温度計を備えたガラス製反応容器に仕込み、温度80℃に保ち、3時間攪拌した。反応終了後、30%水酸化ナトリウム/メタノール溶液で中和し、充分に洗浄したのち、多量のメタノールで共重合体を析出させたのち、50℃で20時間、真空乾燥して残留溶媒を除去した。
得られたポリマーを赤外分光分析法で測定したところ、3,400〜3,500cm-1付近にアミノ基の特性ピークが確認できた。
得られたポリマーは、ポリマー100gあたりアミノ基含量0.08モル、エチレン含量71.5モル%、1−オクテン含量28.5モル%、ヨウ素価20.6、ムーニー粘度48、Mw/Mn5.6、分岐度指数B=0.833のアミノ基変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「NH2 −EODM(1)」ともいう)であった。
【0069】
実施例7、比較例1
実施例1〜6により作製した変性エチレン系共重合ゴム、充填剤、加硫剤、およびその他の配合剤からなる表1の処方のゴム配合物を、6インチオープンロールを用いて、70℃で20分間混練りした。
混練りされたゴム配合物を、160℃で15分間プレス加硫して、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作製した。
このシートを用いて、20℃での接触角を測定し、また表面自由エネルギーを求めた。
また、比較例として、参考例1で得られた変性前のエチレン系共重合ゴムEODM(1)について、実施例7と同様に操作した。結果を表2に示す。
【0070】
【表1】
Figure 0003852189
【0071】
*1)旭カーボン(株)製、旭#60
*2)出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW−380
*3)ジフェニルグアニジン
【0072】
【表2】
Figure 0003852189
【0073】
表2において、実施例7は、本発明の変性エチレン系共重合ゴムを用いた組成物であり、未変性のエチレン系共重合ゴムを用いた比較例1に対し、接触角が小さく、表面自由エネルギーが大きくなっていることが分かる。
【0074】
実施例8
実施例1により作製したエポキシ変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム〔EPOXY−EODM(1)〕、充填剤、加硫剤、および安定剤からなる表3の処方のゴム配合物を、6インチオープンロールを用いて、70℃で20分間混練りした。
混練りされたゴム配合物を、160℃で15分間プレス加硫して、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作製した。
このシートを用いて、機械的特性を測定した。結果を表4に示す。
【0075】
【表3】
Figure 0003852189
【0076】
*1)日本シリカ(株)製、ニップシールLP
*2)三洋化成(株)製、PEG#4000
*3)ジベンゾチアジルジスルフィド
*4)ジ−o−トリルグアニジン
【0077】
実施例9
参考例1において、7−メチル−1,6−オクタジエンの代わりに、5−エチリデン−2−ノルボルネンを使用した以外は、参考例1と同様に操作しポリマーを得た。このポリマーは、エチレン含量72.0モル%、1−オクテン含量28.0モル%、ヨウ素価39.0、ムーニー粘度52、Mw/Mn5.4、分岐度指数B=0.845のエチレン/1−オクテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「EODM−(2)」ともいう)であった。
実施例1において、エチレン系共重合ゴムとしてEODM−(2)を使用した以外は、実施例1と同様に操作して、ポリマー100gあたりエポキシ基含量0.08モル、エチレン含量72.0モル%、1−オクテン含量28.0モル%、ヨウ素価19.0、ムーニー粘度53、Mw/Mn5.3、分岐度指数B=0.847のエポキシ変性エチレン/1−オクテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「EPOXY−EODM(2)」ともいう)を得た。
実施例8において、変性エチレン系共重合ゴムとして、このEPOXY−EODM(2)を使用した以外は、実施例8と同様に操作した。結果を表4に示す。
【0078】
比較例2
参考例1において、7−メチル−1,6−オクタジエンの代わりに、5−エチリデン−2−ノルボルネンを使用し、さらに1,9−デカジエンを使用しなかった以外は、参考例1と同様に操作しポリマーを得た。
このポリマーは、エチレン含量72.5モル%、1−オクテン含量27.5モル%、ヨウ素価39.5、ムーニー粘度45、Mw/Mn2.6、分岐度指数B=0.973のエチレン/1−オクテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(以下「EODM−(3)」ともいう)であった。
実施例1において、エチレン系共重合ゴムとしEODM−(3)を使用した以外は、実施例1と同様に操作して、ポリマー100gあたりエポキシ基含量0.08モル、エチレン含量72.5モル%、1−オクテン含量27.5モル%、ヨウ素価19.5、ムーニー粘度45、Mw/Mn2.6、分岐度指数B=0.975のエポキシ変性エチレン/1−オクテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(以下「EPOXY−EODM(3)」ともいう)を得た。
実施例8において、変性エチレン系共重合ゴムとして、このEPOXY−EODM(3)を使用した以外は、実施例8と同様に操作した。結果を表4に示す。
【0079】
【表4】
Figure 0003852189
【0080】
実施例8〜9は、本発明の変性エチレン系共重合ゴムを使用した例であり、加工性、機械的特性に優れている。これに対し、比較例2は、分岐の少ない変性ポリマーを使用した例であり、ロール加工性が劣っている。
【0081】
実施例10
実施例1において、過酸化水素水溶液を120mlとした以外は、実施例1と同様に操作して、ポリマー100gあたりエポキシ基含量0.14モル、エチレン含量71.5モル%、1−オクテン含量28.5モル%、ヨウ素価5.5、ムーニー粘度48、Mw/Mn5.7、分岐度指数B=0.825のエポキシ変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「EPOXY−EODM(4)」ともいう)を得た。
実施例8において、変性エチレン系共重合ゴムとして、このEPOXY−EODM(4)を使用した以外は、実施例8と同様に操作した。結果を表5に示す。
【0082】
実施例11
実施例1において、過酸化水素水溶液を27mlとした以外は、実施例1と同様に操作して、ポリマー100gあたりエポキシ基含量0.05モル、エチレン含量71.5モル%、1−オクテン含量28.5モル%、ヨウ素価28.3、ムーニー粘度46、Mw/Mn5.4、分岐度指数B=0.835のエポキシ変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「EPOXY−EODM(5)」ともいう)を得た。
実施例8において、変性エチレン系共重合ゴムとして、このEPOXY−EODM(5)を使用した以外は、実施例8と同様に操作した。結果を表5に示す。
【0083】
比較例3
実施例8において、変性エチレン系共重合ゴムの代わりに、未変性のエチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴムEODM(1)を使用した以外は、実施例8と同様に操作した。結果を表5に示す。
【0084】
【表4】
Figure 0003852189
【0085】
実施例8〜11は、本発明の変性エチレン系共重合ゴムを使用した例であり、加工性、機械的特性に優れている。これに対し、比較例3は、未変性のポリマーを使用した例であり、充填剤であるシリカの分散性が悪いため、硬度が高く、機械的特性に劣っている。
【0086】
比較例4
実施例2と同様にして、ポリマー100gあたりエポキシ基含量0.35モルの水酸基変性エチレン/1−オクテン/7−メチル−1,6−オクタジエン/1,9−デカジエン共重合ゴム(以下「OH−EODM(2)」ともいう)を得た。
得られた変性ポリマーは、ゲル化が著しく、ロールでの加工が困難であった。
【0087】
【発明の効果】
本発明の変性エチレン系共重合ゴムは、加工性、接着性、親水性、塗装性、極性ポリマーや無機配合剤との相溶性に優れ、各種自動車部品、防振ゴム、土木・建築資材、ゴムロール、各種ポリマー改質剤の用途に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. エチレン/α−オレフィン/非共役ポリエン共重合ゴムの非共役ポリエンに由来する不飽和結合に化学反応(ただし、グラフト重合を除く)によって官能基が導入された変性エチレン系共重合ゴムであって、(1)共重合ゴム100gあたり、0.01〜0.3モルの官能基を有し、(2)エチレンとα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が40/60〜95/5、(3)ムーニー粘度(ML + ,100℃)が15〜350、(4)GPCにより求めたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)とポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜15にあることを特徴とする変性エチレン系共重合ゴム。
  2. (5)分岐度指数Bが0.60〜0.95の範囲にある請求項1記載の変性エチレン系共重合ゴム。
  3. 官能基がエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基およびアミノ基の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の変性エチレン系共重合ゴム。
  4. 請求項1〜いずれかに記載の変性エチレン系共重合ゴムおよび必要に応じて用いられる他のポリマーの合計量100重量部に対し、ゴム用補強剤・充填剤を10〜200重量部含有する変性エチレン系共重合ゴム組成物。
  5. エチレン系共重合ゴム中の非共役ポリエンに由来する不飽和結合に化学反応(ただし、グラフト重合を除く)によって官能基を導入することを特徴とする請求項1記載の変性エチレン系共重合ゴムの製造方法。
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