JP4732739B2 - エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体、電子写真トナー用離型剤及び静電荷像現像用電子写真トナー - Google Patents

エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体、電子写真トナー用離型剤及び静電荷像現像用電子写真トナー Download PDF

Info

Publication number
JP4732739B2
JP4732739B2 JP2004340628A JP2004340628A JP4732739B2 JP 4732739 B2 JP4732739 B2 JP 4732739B2 JP 2004340628 A JP2004340628 A JP 2004340628A JP 2004340628 A JP2004340628 A JP 2004340628A JP 4732739 B2 JP4732739 B2 JP 4732739B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular weight
low molecular
group
ethylene polymer
weight ethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004340628A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005200632A (ja
Inventor
浩隆 宇於崎
英雄 豊田
邦彦 頼広
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2004340628A priority Critical patent/JP4732739B2/ja
Publication of JP2005200632A publication Critical patent/JP2005200632A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4732739B2 publication Critical patent/JP4732739B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、重合体鎖にオレフィン性不飽和結合を有する重合体にエポキシ基を導入することにより得られるエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体に関するものであり、より詳しくは、接着性、印刷性、ポリマーブレンドでの相溶性等に優れたエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体に関する。
また、本発明は、電子写真、静電印刷等において静電荷像を現像するために用いられる電子写真用トナー用離型剤及び電子写真用トナーに関する。
エチレン系重合体は、分子構造が非極性であり他物質との親和性に乏しいため、従来から該重合体に各種の官能基を導入することが試みられている。官能基の中でもエポキシ基は、反応性が高く、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物、酸ハロゲン基、エステル基、ハロゲン化炭化水素、メルカプト基、イソシアナト基等の種々の官能基と速やかに反応して対応する化学結合を生じるので、非常に有用である。これらの官能基との反応性を利用してポリオレフィンと他物質との接着性や、印刷性、ポリマーブレンドでの相溶性等を改良することができる。
これまでにエポキシ基をエチレン系重合体に導入した報告例としては特許文献1の液状エポキシ化変性エチレン系ランダム共重合体がある。しかしながら、この方法によるエポキシ体は液状という特徴を活かした使用分野では効果があるが、成形品としての実用的な機械的強度を有しておらず、使用領域が限られている。
一方、機械的強度を有するエチレン系重合体の酸素変性体が特許文献2において例示されているものの、エポキシ体については開示されてない。
また、特許文献3においては、(1)エチレンに由来する構造単位が81〜100モル%、α-オレフィンに由来する構造単位が0〜19mol%の範囲にあり、(2)GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が7000以下であり、(3)分子量分布(Mw/Mn)が1.1≦Mw/Mn≦2.5であり、(4)ビニルまたはビニリデン基を重合体主鎖末端に持ち、1H-NMRで測定したこれらの基の含有量が全片末端の90%以上であることを特徴とする低分子量エチレン系重合体のエポキシ化剤による酸素変性体について提案がなされている。この方法では、エポキシ基は重合体主鎖末端に存在するだけであり、重合体鎖1分子あたりのエポキシ基は多くても1分子あたり1個を越えることはなく、分子設計の際には依然として問題がある。
オフィスオートメーションの発展に伴い、電子写真法を利用した複写機やプリンターの需要は急激に増加しており、それらの性能に対する要求も高度化している。一般に、複写機やプリンターに於ける電子写真法は、光感光体上に静電気的潜像を形成し、ついで潜像を、トナーを用いて現像し、紙などの被定着シート上にトナー画像を転写した後、熱ロールで加熱圧着する方法(熱ロール定着方式)が行われている。この熱ロール定着方式においては、消費電力等の経済性の向上、複写速度の上昇、用紙等のカール防止等のため、より低温で定着可能な定着性の良好なトナーが要求されている。一方で、熱ロール定着方式においては、熱ロール表面とトナーが溶融状態で接触するため、トナーが熱ロール表面に付着転移し、次の被着シートにこれが再転移して汚す、所謂オフセット現象という問題が生じる。このオフセット現象を発生させないことも、重要なトナー性能への要求の一つである。さらには、複写機、プリンターの高速化に伴い、帯電部位の高性能化の要求も高まってきている。すなわちトナーに対し、より高度な耐久性が必要とされてきており、長期耐刷安定性が必要になりつつある。
このような要求に対して、従来技術では、トナー用バインダー樹脂の分子量や分子量分布を改良したもの等の提案がなされている。具体的には、結着樹脂を低分子量化し、定着温度を低くしようとする試みがなされた。しかしながら、低分子量化することにより融点は低下するが、同時に樹脂の凝集力も低下するため、定着ロールへのオフセット現象が発生する。この問題を防ぐため、高分子量の樹脂と低分子量の樹脂を混合使用して分子量分布を広くしたものを該バインダー樹脂として用いる方法や、あるいは、さらにバインダー樹脂の高分子量部分を架橋させたりすることなどが行われている。しかしながらこの方法においては、樹脂の粘度が上昇してしまい、逆に、定着性を満足させることが困難となる。
上記手法を用いたトナー用バインダー樹脂としては、一般に、スチレン-アクリル系樹脂やポリエステル樹脂やポリオール樹脂等が主として用いていられている。
しかしながら、これらの方法では、熱定着ロールからの熱量が十分に伝わり難い高速複写機や小型複写機では十分な効果が得られていない。すなわち、オフセット現象を防止する目的で、重量平均分子量の高いものや、架橋を施したものを使用すると樹脂の粘度が高くなり、定着性が悪化する。
このような要求を達成するためにトナー中にパラフィンワックス、低分子量ポリオレフィン等を離型剤として添加する方法がある。スチレン系の結着樹脂を使用する場合には特許文献4等の技術が開示されている。しかしながら、オフセット現象を改善する反面、耐ブロッキング性を悪化させたり、現像性が悪化したりしていた。さらに、ポリエステル樹脂の場合には、同上の離型剤を適用しても効果は少なく、使用量を多くすると現像剤の劣化が早いことも確認されている。このようなトナーは、トナー粒子の表面にポリオレフィンワックスの露出が多くみられる。そのため、ポリオレフィンがトナー粒子から脱離し、容易に現像ロールや感光体やキャリア等に移行するため、これらの汚染が生じやすくなり、現像剤としての信頼性が低下するという問題がある。さらに、混練法によるトナーではポリオレフィンのような離型剤は、離型剤の分散状態の制御が困難である。
このような状況のもと、特許文献5には、離型剤の存在下において重合することを特徴とするトナーの製造方法が開示されている。しかしながらこのような離型剤は、重合トナー製造に際して用いる重合性単量体中で、均一に分散されて使用されるが、分子量の高いオレフィン系の離型剤は分散が困難である。一方、低分子量のパラフィン等の離型剤は単量体に加熱溶解されて、均一に分散されるが、トナー粒径の単量体液滴を安定して製造するのが困難であり、こうした種々の問題は小粒径の重合トナーほど大きな問題となっている。
また、粒子の形状および表面組成を意図的に制御したトナーを製造する手段として、特許文献6や特許文献7において乳化重合凝集法が開示されている。しかし、乳化重合凝集法において離型剤を内添する場合、離型剤の粒径が小さすぎると定着性の効果がなく、逆に大きすぎるとトナー表面へ露出して熱や圧力によって粉体特性が悪化する。さらに大きい場合には凝集工程で凝集粒子中に内包されない、あるいは、融着工程で離型剤粒子が脱落してしまう問題が生じていた。
このように、充分な定着性、オフセット性を持ち、なおかつ、高画質の複写画像を提供することが可能な現像剤を提供するためには、上述の現像剤に十分な電子写真特性を付与する必要があり、現在までに、複写画像の高画質,高精細化を図るために、種々の手法が試みられてはいるものの、特に上述した欠点を全て改善することができる手段は現在までのところ得られていなかった。
特公平7−91338号公報 特開2001−2731号公報 特開2003−73412号公報 特開昭49−65232号公報 特開昭56−87051号公報 特開昭63−282749号公報 特開平6−250439号公報
本発明の課題は、前記した従来の問題点を解決した、各種のインク、塗料、またはアルミニウムその他の金属との接着性等が優れた電子写真用トナーの改良剤及び電子写真用トナーの離型剤を提供することであり、また、改良された電子写真用トナーを提供することである。
即ち、本発明は、
(a)エチレン及び少なくとも1種以上のジエンから導かれる構成単位、又は(b)エチレン、炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン及び少なくとも1種以上のジエンから導かれる構成単位からなり、密度が870〜970kg/m、融点が70℃〜140℃、及び数平均分子量(Mn)が400〜4,500である低分子量エチレン系重合体(A)の重合体鎖にエポキシ基を含み、
(i)密度が870〜1,050kg/m
(ii)融点が70〜130℃、
(iii)数平均分子量が(Mn)400〜5,000
であるエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)とカルボン酸化合物とから得られる変性低分子量エチレン系化合物(C)を含む電子写真トナー用離型剤、及び前記変性低分子量エチレン系化合物(C)を含む静電荷像現像用電子写真トナーである。
本発明によるエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体は、分子中に反応性の高いエポキシ基を含むために種々の特徴ある性質、例えば、各種のインク、塗料、またはアルミニウムその他の金属との接着性が優れたものである。また、本発明によるエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体は、エポキシ基の含有量を幅広い範囲にて設計できるため、用途に応じた要求性能を満たす分子設計が容易となる。
また、原料の低分子量エチレン系重合体は高価なモノマーを使用せず、エポキシ化変性においても、方法を限定すれば経済的に優れたものである。
本発明のトナー用離型剤およびトナーは、上述のように構成されており、定着性、耐オフセット性、現像耐久性に優れている。
したがって、この発明のトナー用離型剤およびトナーによれば、複写機およびプリンターの高速化、低温定着化など、近年高まっている要求に充分に対応することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
(低分子量エチレン系重合体(A))
低分子量エチレン系重合体(A)の製造に用いられるオレフィンとしては、エチレンおよび/または炭素原子数3〜12のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンが挙げられる。炭素原子数3〜12のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜10のα-オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3〜8のα-オレフィンであり、特に好ましくはプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンである。
ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、2-メチル-1,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエンなどが挙げられる。
これらのなかでは、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ブタジエン、イソプレン、2-メチル-1,4-ヘキサジエンまたは2-メチル-1,6-オクタジエンが好ましい。
また、非共役ジエンとしては、エチリデンノルボルネン、テトラヒドロインデン、ビニルノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ビシクロ-(2,2,1)-ヘプタ-2,5-ジエン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどが挙げられる。
低分子量エチレン系重合体(A)は、上記のようなオレフィンとジエンとを共重合して得られるが、低分子量エチレン系重合体(A)としては、エチレンとジエンとの共重合体またはエチレンと炭素原子数3〜12のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとジエンとの共重合体であることが好ましい。
本発明に係る低分子量エチレン系重合体(A)は、後述するようなメタロセン触媒を用いオレフィンとジエンとを共重合して得られたものが好ましい。
低分子量エチレン系重合体(A)は、ジエンから導かれる構成単位を通常0.01〜4.0モル%、好ましくは0.01〜2.0モル%、より好ましくは0.1〜0.7モル%の割合で含有することが望ましい。
低分子量エチレン系重合体(A)がジエンから導かれる構成単位を上記の範囲の割合で含有すると、重合活性も適度に高く、かつ、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
低分子量エチレン系重合体(A)がエチレン系共重合体である場合には、エチレンから導かれる構成単位は通常80〜99モル%、好ましくは86〜99モル%、より好ましくは90〜99モル%の範囲で含有されることが望ましい。低分子量エチレン系重合体(A)がエチレン共重合体であり、エチレンから導かれる構成単位が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
低分子量エチレン系重合体(A)は、不飽和基含有量が通常、平均で0.1〜4.0個/分子、好ましくは0.1〜3.0個、より好ましくは1.0〜2.0個/分子の範囲にあることが望ましい。
低分子量エチレン系重合体(A)中の不飽和基含有量が上記範囲内にあると、すべての低分子量エチレン系重合体(A)にエポキシ基を含有できるため、少ない低分子量エチレン系重合体(A)で効果を得ることができる。
なお、低分子量エチレン系重合体(A)中の不飽和基含有量は、以下のようにして測定される。
13C-NMRにより、不飽和部分の炭素のピーク面積と全炭素のピーク面積を比較することで得られる。それにより、1,000炭素あたりの不飽和基数Mを得ることができる。1分子あたりの不飽和基含有量は、数平均分子量(Mn)×M/14,000により得ることができる。1,000炭素あたりの不飽和基数Mは、1.4〜140個、好ましくは2.8〜35個、より好ましくは4〜30個が望ましい。
低分子量エチレン系重合体(A)は、密度勾配管法で測定した密度が870〜970kg/m、好ましくは870〜950kg/m3、より好ましくは870〜920kg/m3、さらにより好ましくは880〜920kg/cm3の範囲にあることが望ましい。
低分子量エチレン系重合体(A)の密度が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
低分子量エチレン系重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が70℃〜140℃、好ましくは80〜120℃、より好ましくは90〜110℃の範囲にあることが望ましい。
低分子量エチレン系重合体(A)の融点が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
低分子量エチレン系重合体(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が通常0.04〜0.47dl・g-1、好ましくは0.05〜0.47dl・g-1、より好ましくは0.07〜0.20dl・g-1、さらにより好ましくは0.10〜0.18dl・g-1の範囲にあることが望ましい。
低分子量エチレン系重合体(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
低分子量エチレン系重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜4,500、好ましくは800〜4,500、より好ましくは1,000〜3000、さらにより好ましくは1,500〜2,500の範囲にあることが望ましい。
低分子量エチレン系重合体(A)の数平均分子量(Mn)が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
低分子量エチレン系重合体(A)は、GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が通常4.5以下、好ましくはMw/Mnが4.0以下、より好ましくは3.5以下であることが望ましい。なお、分子量分布の下限は1.0である。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値であり、GPCによる測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行われる。
低分子量エチレン系重合体(A)は、通常、針入度が15dmm以下、好ましくは10dmm以下、より好ましくは3dmm以下、さらにより好ましくは1dmm以下であることが望ましい。針入度はJIS K2207に準拠して測定することができる。
低分子量エチレン系重合体(A)の針入度が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として適度な硬さを持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
上述したような低分子量エチレン系重合体(A)は、例えば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
(メタロセン化合物)
メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
1Lx …(1)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属M2の原子価、Lは配位子である。M1で示される遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムなどがある。Lは遷移金属M1に配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であって、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、i-、sec-またはt-ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子の水素は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
上記のメタロセン化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルフォン酸含有基(-SO31)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
(メタロセン化合物の例-1)
上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物が、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
2 k3 l4 m5 n1 …(2)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4及びR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
1がジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物の例を次に挙げる。ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
上記の化合物の中で、1,3-位置換シクロペンタジエニル基を1,2-位置換シクロペンタジエニル基に置き換えた化合物も用いることができる。
またメタロセン化合物の別の例としては、上記一般式(2)において、R2、R3、R4及びR5の少なくとも2個、例えばR2及びR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR4及びR5は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
(メタロセン化合物の例-2)
またメタロセン化合物の例としては、下記一般式(3)で表される特開平4-268307号公報記載のメタロセン化合物が挙げられる。
Figure 0004732739

ここで、M1は周期表第4族遷移金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
11及びR12は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のアリーロキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数7〜40のアルキルアリール基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子であり、R11及びR12は、塩素原子であることが好ましい。
13及びR14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;-N(R20)2、-SR20、-OSi(R20)3、-Si(R20)3または-P(R20)2基である。
ここで、R20はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R13及びR14は、特に水素原子であることが好ましい。
15及びR16は、水素原子が含まれないことを除きR13及びR14と同じであって、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。R15及びR16は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル等が挙げられ、特にメチルが好ましい。
上記一般式(3)において、R17は次の群から選ばれる。
Figure 0004732739

=BR21、=AlR21、-Ge-、-Sn-、-O-、-S-、=SO、=SO2、=NR21、=CO、=PR21、=P(O)R21など。M2はケイ素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。ここで、R21、R22及びR23は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のフルオロアリール基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;または炭素原子数7〜40のアルキルアリール基である。「R21とR22」または「R21とR23」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。また、R17は、=CR2122、=SiR2122、=GeR2122、-O-、-S-、=SO、=PR21または=P(O)R21であることが好ましい。R18及びR19は互いに同一でも異なっていてもよく、R21と同じものが挙げられる。m及びnは互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
上記一般式(3)で表されるメタロセン化合物の例としては、次の化合物が挙げられる。rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライドなど。これらのメタロセン化合物は、例えば、特開平4-268307号公報に記載の方法で製造することができる。
(メタロセン化合物の例-3)
また、メタロセン化合物としては、下記一般式(4)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
Figure 0004732739

式(4)中、M3は、周期表第4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどである。R24及びR25は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子〜3のアルキル基であることが好ましい。R25は水素原子または炭化水素基が好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチルもしくはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。R26、R27、R28及びR29は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を形成する基以外に、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2個以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR29が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素原子含有基またはイオウ原子含有基を示すYは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR30-、-P(R30)-、-P(O)(R30)-、-BR30-または-AlR30-(ただし、R30は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
式(4)において、R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含み、M3に配位する配位子としては、次式で表されるものなどが挙げられる。
Figure 0004732739

(式中、Yは前式に示したものと同じである。)
(メタロセン化合物の例-4)
メタロセン化合物としては、また下記一般式(5)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
Figure 0004732739

式(5)中、M3、R24、R25、R26、R27、R28及びR29は、上記一般式(4)と同じである。R26、R27、R28及びR29のうち、R26を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R26とR28、またはR28とR29がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R24、R25で例示した置換基が挙げられる。R26、R27、R28及びR29のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。またR26、R27、R28及びR29は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、上記R24及びR25と同様のものが挙げられる。X1、X2及びYとしては、上記と同様のものが挙げられる。
上記一般式(5)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
これらの化合物において、ジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
(メタロセン化合物の例-5)
メタロセン化合物として、下記一般式(6)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
Figure 0004732739

式(6)中、M3、R24、X1、X2及びYは、上記一般式(4)と同じである。R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R25は、炭素原子数6〜16のアリール基を示す。R25はフェニル、ナフチルであることが好ましい。アリール基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。X1及びX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
上記一般式(6)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。またこれら化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
(メタロセン化合物の例-6)
またメタロセン化合物として、下記一般式(7)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
LaM43 2 …(7)
ここで、M4は周期表第4族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M4活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。X3は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数20以下の炭化水素基、20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下のゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
この化合物の中では、次式(8)で示される化合物が好ましい。
Figure 0004732739

式(8)中、M4は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。X3は上記一般式(7)で説明したものと同様である。CpはM4にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第4族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)である。Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成していてもよい。このような式(8)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジクロリドなど。またこのメタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換えた化合物を挙げることもできる。
(メタロセン化合物の例-7)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(9)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
Figure 0004732739

式(9)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R31は互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素原子数12〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数12〜40のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、またはR31で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場合、R31により形成される環は、R31が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基及び芳香族環、脂肪族環を形成しているR31以外のR31は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。R32は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。また、R32で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。この場合、R32により形成される環は、R32が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR32以外のR32は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。なお、R32で示される2個の基が、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成される基にはフルオレニル基が次式のような構造になる態様も含まれる。
Figure 0004732739

32は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。このような置換基としてR32を有するフルオレニル基としては、2,7-ジアルキル-フルオレニル基が好適な例として挙げられ、この場合の2,7-ジアルキルのアルキル基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、R31とR32は、互いに同一でも異なっていてもよい。R33及びR34は互いに同一でも異なっていてもよく、上記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R33及びR34は、少なくとも一方が炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。X1とX2とから形成された共役ジエン残基としては、1,3-ブタジエン、2,4-ヘキサジエン、1-フェニル-1,3-ペンタジエン、1,4-ジフェニルブタジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。X1及びX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR35-、-P(R35)-、-P(O)(R35)-、-BR35-または-AlR35-(ただし、R35は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。これらの2価の基のうちでも、-Y-の最短連結部が1個または2個の原子で構成されているものが好ましい。また、R35は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。Yは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
(メタロセン化合物の例-8)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(10)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
Figure 0004732739

式(10)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R36は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基及びアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。R36はこれらのうち、アルキル基、アリール基または水素原子であることが好ましく、特にメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基、フェニル、α-ナフチル、β-ナフチルなどのアリール基または水素原子であることが好ましい。R37は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。R37はこれらのうち、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルの炭素原子数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。また、上記R36とR37は、互いに同一でも異なっていてもよい。R38及びR39は、いずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、他方は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R38及びR39は、いずれか一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR40-、-P(R40)-、-P(O)(R40)-、-BR40-または-AlR40-(ただし、R40は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。これらのうちYは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
以上に説明したメタロセン化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。またメタロセン化合物は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。
(有機アルミニウムオキシ化合物)
有機アルミニウムオキシ化合物は、公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。このような公知のアルミノオキサンは、具体的には次式で表される。
Figure 0004732739

ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。
アルミノオキサンは式(OAl(R’))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位及び式(OAl(R''))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R'及びR''はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R'及びR''は相異なる基を表す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
(イオン化イオン性化合物)
イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物及びカルボラン化合物を例示することができる。ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合物が挙げられる。ルイス酸の具体的なものとしては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
上記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などが挙げられる。イオン性化合物としてのトリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニウム塩としては、ジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
上記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
上記ボラン化合物としては、デカボラン(9);ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
上記カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(9)、1,3-ジカルバノナボラン(8)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
このようなイオン化イオン性化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物及び/またはイオン化イオン性化合物とともに、以下のような有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
(有機アルミニウム化合物)
必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl-炭素結合を有する化合物が使用できる、このような化合物としては、例えば下記一般式(11)で表される有機アルミニウム化合物、
(R6)m Al(OR7)np4 q …(11)
(式中、R6及びR7は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基である。X4はハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかもm+n+p+q=3である。)及び下記一般式(12)で表される第1属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などが挙げられる。
(M5)Al(R6) …(12)
(式中、M5はLi、NaまたはKであり、R6は上記一般式(11)のR6と同じである。)
(重合)
本発明で用いられるポリエチレン(A)は、上記メタロセン系触媒の存在下に、エチレンを通常液相で単独重合するか、またはエチレンおよびα-オレフィンを共重合させることにより得られる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α-オレフィンを溶媒として用いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは、前述した通りである。
重合方法は、ポリエチレン(A)がヘキサン等の溶媒中に粒子として存在する状態で重合する懸濁重合、溶媒を用いないで重合する気相重合、そして140℃以上の重合温度で、ポリエチレン(A)が溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の両面で好ましい。
重合反応は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに際しては、前記の触媒成分は次に説明する濃度下で用いられる。
重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
イオン化イオン性化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で表して、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
重合反応は、通常温度が-20〜+200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは70〜180℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
重合に際して、エチレンおよび必要に応じて用いられるα-オレフィンは、前記した特定組成のポリエチレン(A)が得られるような量割合で重合系に供給される。また重合に際しては、水素などの分子量調節剤を添加することもできる。
このようにして重合させると、生成した重合体は通常これを含む重合液として得られるので、常法により処理するとポリエチレン(A)が得られる。
重合反応は、特に(メタロセン化合物の例-6)で示したメタロセン化合物を含む触媒の使用が好ましい。
(エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B))
本発明のエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、(a)エチレン及び少なくとも1種以上のジエンから誘導された構成単位、又は(b)エチレン、炭素数3〜12のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィン及び少なくとも1種以上のジエンから誘導された構成単位からなる低分子量エチレン系重合体(A)から導かれ、エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)のエポキシ基は前記低分子量エチレン系重合体(A)に含有されるジエンに由来する不飽和基を変性することにより形成される。
本発明では、低分子量エチレン系重合体(A)をエポキシ化してエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)を製造する。エポキシ基の導入量(含有量)は通常、低分子量エチレン系重合体(A)の全不飽和結合の30%〜100%、好ましくは50%〜100%、更に好ましくは70%〜100%である。1H-NMRについては、測定サンプル管中で重合体を、ロック溶媒と溶媒を兼ねた重水素化-1,1,2,2-テトラクロロエタンに完全に溶解させた後、120℃において測定した。ケミカルシフトは、重水素化-1,1,2,2-テトラクロロエタンのピークを5.92ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)の全不飽和基のエポキシ変性率は1H-NMRによって決定される。例えば、エチレンのみからなる低分子量エチレン系重合体(A)をエポキシ化して得られたエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)の場合、エポキシ基付け根の3プロトン分のピーク(D)が1プロトンずつ2.3〜2.4ppm、2.6〜2.7ppm、2.8〜2.9ppmに観測される。エポキシ変性が十分でない場合は、不飽和結合の3プロトン分のピーク(E)が4.85〜5.0ppmに2プロトン、5.5〜5.8ppmに1プロトン観測される。各ピーク(D)および(E)のピーク面積を各々SおよびSとすれば、エポキシ基含有率(Ep%)は下記式にて算出される。
(%)=S/(S+S)×100
(エポキシ化方法)
低分子量エチレン系重合体(A)の不飽和結合にエポキシ基を導入する方法は特に限定されないが、例として(1)過ギ酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸による酸化、(2)チタノシリケートおよび過酸化水素による酸化、(3)メチルトリオキソレニウム等のレニウム酸化物触媒と過酸化水素による酸化、(4)マンガンポルフィリンまたは鉄ポルフィリン等のポルフィリン錯体触媒と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化、(5)マンガンSalen等のSalen錯体と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化、(6)マンガン-トリアザシクロノナン(TACN)錯体等のTACN錯体と過酸化水素による酸化、(7)タングステン化合物などのVI属遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化を挙げることができる。これら酸化反応の中では、活性面で(1)過ギ酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸による酸化、(7)タングステン化合物などのVI属遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化が好ましい。
また、高融点の重合体をエポキシ化する場合は、反応温度が過酸分解温度以上になるケースがあるため、(1)の過酸による酸化は活性が低下する。そのため、(7)タングステン化合物などのVI属遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化が好ましい。高融点の重合体とは、融点が100℃以上の重合体、好ましくは融点が110℃以上の重合体のことである。
以下、(1)過ギ酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸による酸化、(7)タングステン化合物などのVI属遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化について説明する。
(1)の方法において低分子量エチレン系重合体(A)の不飽和結合1モルに対し有機過酸化物の添加量は通常1〜10モル、好ましくは1〜5モルの範囲にある。また、反応の温度は通常0〜150℃、好ましくは10〜100℃であるが、使用する過酸の分解温度以下に設定する必要がある。また、過酸によっては爆発性を示すため温度設定には注意を要する。反応に要する時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間の範囲である。さらに、ポリマー濃度としては、5〜400g/l、好ましくは10〜300g/lの範囲である。末端エポキシ基含有重合体を製造する際に用いる溶媒としては、酸化反応に影響を受けない溶媒ならばどのようなものでも良いが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒を挙げることができる。
また、過酸を反応系内で発生させる方法として、硫酸などの酸性触媒および硫酸ナトリウムなどの塩類存在下、酢酸などのカルボン酸および過酸化水素による酸化を用いても良い。
(7)の方法について詳細に説明する。VI族の遷移金属触媒はタングステン酸、タングステン酸塩またはタングステン錯体であり、例えば、タングステン酸、タングステン酸アルカリ、タングステン酸アンモン、三酸化タングステン、三硫化タングステン、六塩化タングステン、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、ホウタングステン酸等を挙げることができる。特に好適なタングステン酸塩は酸化状態がII、IVおよびVIのタングステン酸塩であり、Na2WO4または(NH42WO4の使用が最も好適である。タングステン酸類は単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。
相間移動触媒としては、第4級アンモニウム塩類、窒素環含有第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩、大環状ポリエーテル類等が挙げられるが、第4級アンモニウム塩類または窒素環含有第4級アンモニウム塩類が好ましい。第4級アンモニウム塩類の具体例として、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルエチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルアンモニウムクロライド、トリカプリルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。また、これらのブロマイド、ヨーダイド、亜硫酸塩または硫酸塩でもよい。また、窒素環含有第4級アンモニウム塩類としては、窒素環がピリジン環、ピコリン環、キノリン環、イミダゾリン環またはモルホリン環などからなる第4級アンモニウム塩類が挙げられるが、ピリジン環からなる第4級アンモニウム化合物が好ましく、具体例として下記のものが挙げられる。アルキル(炭素数8〜20の直鎖または分岐のアルキル、以下同様)ピリジニウム塩(例えば、N-ラウリルピリジニウムクロライド、N-セチルピリジニウムクロライドなど)、アルキルピコリウム塩(例えばN-ラウリルピコリニウムクロライドなど)、アルキルキノリウムクロライド、アルキルイソキノリウムクロライド、アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンクロライド、アルキルヒドロキシモルホリンクロライドなどであり、これらのブロマイド、ヨーダイドまたは硫酸塩でもよい。相間移動触媒は単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。
本発明の方法で使用する過酸化水素の濃度は3質量%〜90質量%、好ましくは5質量%〜70質量%、更に好ましくは10質量%〜50質量%である。過酸化水素の使用量は原料の低分子量エチレン系重合体(A)に含有される不飽和基1モルに対し0.5モル〜10モル、好ましくは0.8モル〜8モル、更に好ましくは1.0モル〜5モルである。
本反応において、反応を促進する目的で、リン酸化合物を添加してもよい。リン酸化合物としては、リン酸、α-アミノメチルホスホン酸類を挙げることができる。α-アミノメチルホスホン酸類のアミノ基はアルキル基、アリール基等で置換されていてもよいが、α-アミノメチルホスホン酸類の中でも特に窒素上に少なくとも1つの水素原子を残しているα-アミノメチルホスホン酸類が有用である。α-アミノメチルホスホン酸類の具体例としては、アミノメチルホスホン酸、α-アミノエチルホスホン酸、α-アミノプロピルホスホン酸、α-アミノブチルホスホン酸、α-アミノペンチルホスホン酸、α-アミノへプチルホスホン酸、α-アミノヘキシルホスホン酸、α-アミノヘプチルホスホン酸、α-アミノオクチルホスホン酸、α-アミノノニルホスホン酸、α-アミノ-α-フェニルメチルホスホン酸などが挙げられる。これらのα-アミノメチルホスホン酸およびリン酸は単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。
本発明の製造方法においては、一般的には、タングステン酸類、相間移動触媒およびリン酸類のそれぞれの使用量は低分子量エチレン系重合体(A)に含有される不飽和基に対して通常、0.01〜10モル%、より好ましくは0.1〜5モル%、最も好ましくは0.5〜2モル%使用される。
反応溶媒としては、低分子量エチレン系重合体(A)、過酸化水素および生成したエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)に対して不活性なものが使用でき、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエタン、パークロルエタン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。産業的見地からは、原料の低分子量エチレン系重合体(A)がその溶媒に対して不溶でない限り、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
本発明の一般的な実施態様は、反応器に、タングステン酸類、相間移動触媒、リン酸類、片末端二重結合含有エチレン系重合体を入れて混合し、均一に溶解するまで昇温する。反応温度にした後、過酸化水素水をゆっくり滴下する。反応温度は用いる低分子量エチレン系重合体(A)が溶融する温度が好ましいが通常、25℃から150℃、好ましくは50℃〜110℃、更に好ましくは80〜100℃である。100℃以上で反応する場合、過酸化水素の滴下により突沸する恐れがあるため、オートクレーブ等適切な反応装置を選択する。過酸化水素の滴下速度は、反応速度と反応熱の除去速度にあわせて、徐々に滴下する。本発明の方法では、反応混合物のpHを調製して反応を行ってもよい。pHは通常、1.0〜4.0の間、好ましくはpH1.5〜2.5の間、特に好ましくはpH2.0程度である。
反応混合物のpHは硫酸、燐酸等の酸の水溶液を添加することにより調整できる。
反応時間は使用する触媒の量、反応温度、オレフィン類の反応性等の反応条件により変わるが、通常数分から50時間である。本発明の製造方法では、副生物の生成が少なく、反応後は晶析操作、洗浄等の簡単な操作により、過剰の過酸化水素、触媒、水、反応溶媒を除いて目的とするオレフィン類のエポキシ化合物を得ることができる。
エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、密度勾配管法で測定した密度が870〜1,050kg/m、好ましくは870〜1,020kg/m3、より好ましくは880〜1,000kg/m3、さらにより好ましくは900〜1,000g/cm3の範囲にあることが望ましい。
エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)の密度が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
低分子量エチレン系重合体(A)は、ジエンから導かれる構成単位を通常0.01〜4.0モル%、好ましくは0.01〜2.0モル%、より好ましくは0.1〜0.7モル%の割合で含有することが望ましい。
低分子量エチレン系重合体(A)がジエンから導かれる構成単位を上記の範囲の割合で含有すると、重合活性も適度に高く、かつ、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、エチレンから導かれる構成単位を通常80〜99モル%、好ましくは90〜99モル%の範囲で含有することが望ましい。エチレンから導かれる構成単位が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が70℃〜130℃、好ましくは80〜120℃、より好ましくは90〜110℃の範囲にある。
エポキシ基低分子量エチレン系重合体(B)の融点が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
エポキシ基低分子量エチレン系重合体(B)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、好ましくは0.04〜0.50dl・g-1、より好ましくは0.05〜0.50dl・g-1、さらに好ましくは0.07〜0.20dl・g-1、最も好ましくは0.10〜0.18dl・g-1の範囲にある。
エポキシ基低分子量エチレン系重合体(B)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
エポキシ基低分子量エチレン系重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したMnが400〜5,000、好ましくは800〜5,000、より好ましくは1,000〜3000、さらにより好ましくは1,500〜2,500の範囲にある。
エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)のMnが上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は通常、GPCで測定した分子量分布Mw/Mnが5.0以下、好ましくはMw/Mnが4.5以下、より好ましくは4.0以下である。なお、分子量分布の下限は1.0である。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値であり、GPCによる測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行われる。
エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は通常、針入度が15dmm以下、好ましくは10dmm以下、より好ましくは3dmm以下、さらにより好ましくは1dmm以下である。針入度はJIS K2207に準拠して測定することができる。
エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)の針入度が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として適度な硬さを持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
本発明のエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、密度が870〜1,050kg/m3、融点が70〜130℃、数平均分子量(Mn)が400〜5,000である。
本発明によるエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、重合体にエポキシ基を持つために特徴ある性質を示す。例えば、各種印刷インク、塗料の接着性が優れ、染色性が付与される。銅その他金属との接着性が優れ、他樹脂との接着性も優れる。他樹脂との接着性が優れていることから、これを非相溶性樹脂間のバインダーとして使用すると有利であり、特にポリオレフィン系樹脂とエポキシ基との反応性のある官能基を持つ樹脂との界面強度の向上に寄与するものとして有用である。また、エポキシ基の反応性を利用して、例えば酸化防止性、紫外線吸収性、防曇性、感光性、発色性、キレート性などの官能基を持つ化合物を導入することによって樹脂添加剤としての作用を付与することも可能である。
(変性低分子量エチレン系重合体(C))
本発明の変性低分子量エチレン系重合体(C)は、公知の方法で製造することが出来る。例えば、無溶剤あるいは溶剤中でエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)にカルボン酸化合物をラジカル反応を用いて付加する方法や、ルイス酸の存在下でカルボン酸化合物を付加する方法や、高温下でカルボン酸化合物を付加する方法などが挙げられる。反応温度は20℃〜300℃であり、特に120℃〜250℃が好ましい。エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)の融点は120℃程度なので、反応温度を120℃以上とすることが、反応系を均一にする意味で好ましい。
本発明の変性低分子量エチレン系重合体(C)は、エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)に不飽和カルボン酸化合物をラジカル反応させるか、又は、少なくともエポキシ基含有エチレン系重合体(B)と1価以上のカルボン酸とからの付加反応等で得られる。上記の1価以上のカルボン酸としては、モノカルボン酸、2価のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルから選ばれる酸成分、3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。
ここでいうモノカルボン酸としては、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノカルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和モノカルボン酸、安息香酸やナフタレンカルボン酸などの芳香族モノカルボン酸が挙げられ、分岐していても、不飽和基を有していてもよい。
2価のカルボン酸としては、具体的には例えばテレフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類、これらジカルボン酸の無水物或いは低級アルキルエステルなどを挙げることができる。ポリカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。また、分子量を調整する目的で2価のカルボン酸及び三価以上のポリカルボン酸を用いることもできる。
(トナー用離型剤)
本発明のトナーに使用されるバインダー樹脂としては、下記のバインダー樹脂の使用が可能である。例えば、ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタレン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニール、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、上記樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、架橋されたスチレン系共重合体などの樹脂が挙げられる。好ましい結着物質としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
本発明に用いられているトナー用バインダー樹脂のTgは通常40〜70℃である。40℃未満ではトナーがブロッキングと呼ばれるとトナー粒子の凝集を起こし好ましくなく、70℃より高いと定着性が悪化して好ましくない。
本発明に用いられているトナー用バインダー樹脂は、そのテトラヒドロフラン(THF)可溶部をGPCで評価したときのMw/Mnが、4〜100であることが好ましく、6〜60であると、より好ましい。4未満では耐オフセット性が不足し好ましくない。100より大きくなると、定着性が悪化し、好ましくない。
本発明に用いられているトナー用バインダー樹脂は、THF可溶部をGPCで評価したときのピーク分子量が1000〜30000であることが好ましいが、1000〜20000がより好ましく、更に好ましくは2000〜15000である。1000未満では耐オフセット性や機械的耐久性が悪化し好ましくなく、30000より大きいと、定着性が悪化し、好ましくない。
本発明に用いられているトナー用バインダー樹脂に含まれるTHF不溶分が、樹脂組成物中、0〜40重量%であることが好ましい。40重量%より大きいと、定着性が悪化し、好ましくない。
本発明のトナー用バインダー樹脂の低温定着特性、耐オフセット性を更に改善する必要がある場合には、以下のようなワックスを併用してもよい。ワックスとしてポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスを使用しても良い。上記ポリオレフィンワックスに相当するものの具体的商品名としては、三井化学社製ハイワックス800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805等を例示することができる。また、セラミックワックス、ライスワックス、シュガーワックス、ウルシロウ、密鑞、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックスを含有しても良い。上記ワックスの添加量は、トナー用樹脂組成物中に0〜20重量%の範囲であることが好ましい。
ワックスを併用する方法としては、トナー用バインダー樹脂の製造時、又は製造後、さらには後述する静電荷像現像用電子写真トナーを製造する時点等、いかなる段階でも用いることができる。
離型剤粒子分散液は少なくとも離型剤と、分散液との混合液を、離型剤の融点以上に加熱した後、下記の高圧タイプの乳化機を用いて乳化し、その後冷却して離型剤微粒子を固化することにより得られる。離型剤粒子分散液は必要に応じて、アニオン系、カチオン系、両性イオン系、ノニオン系の界面活性剤を用いてもよい。離型剤の他、着色剤や帯電制御剤粒子、内添粒子などを加えてもよい。乳化には、ホモミキサーなどの撹拌装置を用いて、十分に撹拌する。なお、この撹拌時間としては、10分間以上が好ましい。撹拌時間が短すぎるとシャープな粒径分布が得られないためである。
アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン-オキシプロピレンブロックポリマー等がある。
両性イオン系界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
離型剤を分散させる場合の界面活性剤の含有量は、0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。含有量が0.01重量%未満では、凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じるなどの問題があり、また、10重量%をこえると粒子の粒度分布が広くなったり、粒子径の制御が困難になったり、トナーの耐湿性が悪くなったりするおそれがある。
(電子写真トナー)
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーは、上記のトナー用バインダー樹脂と荷電制御剤、着色剤、磁性体などとからなる。
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーに用いる事が出来る荷電制御剤としては、公知の荷電制御剤を単独でまたは併用して用いることができる。荷電制御剤は、トナーを所望する荷電量とするに必要な量であればよく、例えば樹脂100質量部に対して0.05〜10質量部程度とするのが好ましい。正荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などが挙げられる。また、負荷電制御剤としては、Cr、Co、Al、Feなどの金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物などが挙げられる。
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーにおいて用いることができる着色剤としては、従来トナーの製造において用いられることが知られた着色剤がいずれも使用可能であり、これら着色剤の例としては、脂肪酸金属塩、種々のカーボンブラック、フタロシアニン系、ローダミン系、キナクリドン系、トリアリルメタン系、アントラキノン系、アゾ系、ジアゾ系などの染顔料があげられる。着色剤は、単独で或いは2種以上を同時に使用することができる。
また、本発明の静電荷像現像用電子写真トナーにおいて用いることができる磁性体としては、従来磁性トナーの製造において使用されている強磁性の元素を含む合金、化合物等何れのものであってもよい。これら磁性体の例としては、マグネタイト、マグヘタイト、フェライト等の酸化鉄または二価金属と酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金、及びこれらの混合物があげられる。これらの磁性体は、平均粒径が0.1〜2μm、更には0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。
また、磁性体のトナー中の含有量は、結着材樹脂100質量部に対して、通常約20〜200質量部、好ましくは40〜150質量部である。また、トナーの飽和磁化としては、15〜35emu/g(測定磁場 1キロエルステッド)が好ましい。
本発明のトナーは、さらに必要に応じて滑剤、流動性改良剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等のトナーの製造に当たり使用されている公知の添加剤を内添、あるいは外添することができる。これら添加剤の例としては、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、流動性改良剤としては、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタンなどが、研磨剤としては酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウムなどが、導電性付与剤としてはカーボンブラック、酸化スズなどが挙げられる。また、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好ましいものである。
本発明にかかる静電荷像現像用電子写真トナーは、従来から公知の方法を用いて製造することができる。例えば、前述したようなトナー用バインダー樹脂などのトナー構成材料を、ボールミル、ヘンシェルミキサーなどの混合機により充分混合した後、熱ロールニーダー、一軸あるいは二軸のエクストルーダーなどの熱混練機を用いてよく混練し、冷却固化後、ハンマーミルなどの粉砕機などを用いて機械的に粗粉砕し、次いでジェットミルなどにより微粉砕した後、分級する方法により製造することができる。
分散剤中に樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、分散剤中に着色剤粒子を分散させた着色剤分散液と、分散剤中に離型剤粒子を分散させてなる離型剤粒子分散液とを混合する混合工程と、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成する凝集工程と、該凝集粒子を加熱することによって融合する融合工程とを含む方法により製造することもできる。
重合性単量体、着色剤、離型剤、荷電制御剤等からなる組成物を重合させる工程を含む方法により製造することもできる。
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーは、キャリアと混合して二成分または一.五成分現像剤としても用いることができるし、トナー中に磁性粉を含有させた磁性一成分現像剤、もしくはキャリアや磁性粉を使用しない非磁性一成分現像剤、あるいはマイクロトーニング現像剤として用いることができる。本発明のトナーが二成分または一.五成分現像剤として用いられる場合、キャリアとしては、従来公知のキャリアがいずれも使用できる。使用することができるキャリアとしては、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のような磁性粉体やガラスビーズ等、あるいはこれらの表面を樹脂などで処理したものが挙げられる。キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、フッ素含有樹脂、シリコン含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂など、あるいはこれらの混合物が挙げられる。これらの中では、スペントトナーの形成が少ないため、フッ素含有樹脂、シリコン含有樹脂が特に好ましい。
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーの重量平均粒子径は、10μm以下であるが、3〜10μmであることが現像特性の面で好ましく、さらには5〜10μmであることが現像特性の面で好ましい。トナーの重量平均粒子径は、10μmを越える場合、微細な画像を発現させることが難しくなる等、現像特性の面で好ましくない。なお、トナーの粒度分布測定は、例えばコールターカウンターを用いて測定することができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚,特に断らない限り,以下に記載する「%」は「質量%」を意味する。
[合成例1]
(低分子量エチレン系重合体の合成)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 1000ml、ビニルノルボルネン(5-vinylbicyclo[2,2,1]hept-2-ene)50mlを装入し、水素を0.3MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。
以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基含量が11.8個、ビニルノルボルネン含有量が10.3重量%(不飽和基含量(平均)=1.1個/分子)であり、密度が956kg/m3であり、融点が117℃であり、針入度が1以下であり、Mnが1,300であり、Mwが3,700であり、Mw/Mnが2.8である低分子量エチレン系重合体(A-1)を得た。
[合成例2]
(低分子量エチレン系重合体の合成)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン950mlおよびプロピレン 50ml、イソプレン70mlを装入し、水素を0.2MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびプロピレンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。
以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基含量が6.0個、イソプレン含有量が2.4重量%(不飽和基含量(平均)=1.5個/分子)であり、密度が915kg/m3であり、融点が104℃であり、針入度が4であり、Mnが3,500であり、Mwが5,600であり、Mw/Mnが1.6である低分子量エチレン系重合体(A-2)を得た。
[合成例3]
(低分子量エチレン系重合体の合成)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 980ml、プロピレン20ml、ビニルノルボルネン(5-vinylbicyclo[2,2,1]hept-2-ene)80mlを装入し、水素を0.3MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。
以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基含量が23.0個、ビニルノルボルネン含有量が20.0重量%(不飽和基含量(平均)=1.8個/分子)であり、密度が943kg/m3であり、融点が112℃であり、Mnが1,100であり、針入度が3であり、Mwが3,400であり、Mw/Mnが3.1である低分子量エチレン系重合体(A-3)を得た。
500mlセパラブルフラスコに低分子量エチレン系重合体(A-1) 100gとトルエン300g、NaWO4 0.85g(2.6mmol)、CH3(nC817)3NHSO4 0.60g(1.3mmol)、りん酸 0.11g(1.3 mmol)を仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶融させた。内温を90℃にした後、30%過酸化水素水 37g(326mmol)を3時間かけて滴下した後、内温90〜92℃で3時間撹拌した。その後、90℃に保ったまま25%チオ硫酸ナトリウム水溶液34.4g(54.4mmol)を添加し、30分撹拌した。過酸化物試験紙で反応系内の過酸化物が完全に分解されたことを確認した。内温90℃でジオキサン200gを加え、生成物を晶析させ、固体をろ取しジオキサンで洗浄した。得られた固体を室温で、50%メタノール水溶液中で撹拌、固体をろ取しメタノールで洗浄した。更に当該固体をメタノール400g中で撹拌して、ろ取しメタノールで洗浄した。室温、1〜2hPaの減圧下乾燥させることにより、密度が991kg/m3であり、融点が116℃であり、針入度が1以下であり、Mnが1,500であり、Mwが5,000であり、Mw/Mnが3.3である低分子量エチレン系重合体(A-1)を得た。エポキシ基含有エチレン重合体(B-1)の白色固体96.3gを得た(収率99%、オレフィン転化率100%)。
実施例1において低分子量エチレン系重合体(A-1)を(A-2)に変更した以外は同様の操作を行い、密度が982kg/m3であり、融点が107℃であり、針入度が1であり、Mnが3,900であり、Mwが7,000であり、Mw/Mnが1.8であるエポキシ基含有エチレン系重合体(B-2)の白色固体97.2gを得た(収率99%、オレフィン転化率100%)。
実施例1において低分子量エチレン系重合体(A-1)を(A-3)に変更した以外は同様の操作を行い、密度が1,012kg/m3であり、融点が115℃であり、針入度が1以下であり、Mnが1,300であり、Mwが4,400であり、Mw/Mnが3.4であるエポキシ基含有エチレン系重合体(B-3)の白色固体96.8gを得た(収率99%、オレフィン転化率100%)。
[比較例1]
実施例1において過酸化水素、相間移動触媒、リン酸の代わりに、m-クロロ過安息香酸を原料の低分子量エチレン系重合体に含有する不飽和基1モルに対し5モル使用した以外は同様の操作を行ったところ、対応するエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体の収率は0%であった。
本発明におけるトナー用樹脂組成物の分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
検出器:SHODEX RI-71S
溶剤 :テトラヒドロフラン
カラム:KF-G + KF-807L × 3 + KF800D
流速 :1.0 ml/分
試料 :0.25 %THF溶液
本発明におけるワックスの分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
装置 :Waters社製 (150C-ALC/GPC)
溶剤 :o-ジクロルベンゼン
カラム:東ソー社製(CMタイプ)
流速 :1.0 ml/分
試料 :0.10 %o-ジクロルベンゼン溶液
温度 :140℃
本発明におけるガラス転移点(Tg)は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC-20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgを-20℃から100℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブのベースラインと吸熱ピークの傾線の交点よりTgを求める。この昇温測定の前に、一旦樹脂を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、即座に常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一することが望ましい。
本発明における融点(Tm)は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC-20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgを-20℃から200℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブの吸熱ピークを融点として求める。この昇温測定の前に、一旦樹脂を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、即座に常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一することが望ましい。
本発明における酸価は、樹脂1gを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数をいう。
また、以下に本発明で行ったトナーの評価方法を記載する。
(1) 定着性
市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置を用いて定着させた。熱ロールの定着速度は300mm/secとし、熱ローラーの温度を5℃ずつ変化させてトナーの定着を行った。得られた定着画像を砂消しゴム(トンボ鉛筆社製)により、0.5kgの荷重をかけ、10回摩擦させ、この摩擦試験前後の画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定した。各温度での画像濃度の変化率が70%以上となった最低の定着温度をもって最低定着温度とした。なお、ここに用いた熱ローラ定着装置はシリコーンオイル供給機構を有しないものである。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
表示 ○:最低定着温度 ≦ 170℃
△:190℃ ≧ 最低定着温度 > 170℃
×:最低定着温度 > 190℃
(2) 耐オフセット性
耐オフセット性の評価は、上記最低定着温度の測定に準ずるが、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で当該熱ローラ定着装置に送って転写紙上にトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
○:オフセット発生温度 ≧ 240℃
△:240℃ > オフセット発生温度 ≧ 220℃
×:220℃ > オフセット発生温度
(3)現像耐久性
市販の複写機(東芝製、プレシオ5560)により連続して100,000枚にわたる実写テストを行った後、画像濃度、画質が劣化し始める枚数により評価した。
○:7万枚以上でも劣化しない
△:5〜7万枚で劣化
×:5万枚以下で劣化
(4)耐ブロッキング性(保存性)
温度50℃、相対湿度50%の環境条件下に48時間放置後、150メッシュのふるいに5gのせ、パウダーテスター(細川粉体工学研究所)の加減抵抗機の目盛りを3にして、1分間振動を加える。振動後の150メッシュのふるいの上に残った重量を測定し、残存重量比を求めた。
○:20%より小さい
△:20%以上35%以下
×:35%より大きい
(変性低分子量エチレン系重合体(C‐1)の製造例)
撹拌装置、温度計、N2導入口、冷却管付セパラブルフラスコに、上記エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B-1)300g、アジピン酸36.5gを加えた。N2雰囲気下で160℃まで昇温し、10%水酸化ナトリウム水溶液0.12gを添加した。160℃の反応温度で6〜9時間反応させて、変性低分子量エチレン系重合体(C-1)318.3gを得た。
1H-NMRの測定により、エポキシ基に起因するピークが観察されないことを確認した。
(樹脂分散液1の製造)
5リットルの四つ口フラスコに還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計及び撹拌装置を取り付け、イオン交換水47.6質量部、スチレン 37.0質量部、n‐ブチルアクリレート 3.0質量部、アクリル酸0. 6質量部、ドデカンチオール 2.4質量部、4臭化炭素 0.4質量部、ネオペックスF-25(花王社製)4.0質量部をフラスコに投入し、フラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム0.4質量部を溶解したイオン交換水5.0質量部を投入し、窒素置換を行った。フラスコを攪拌しながら70℃にて、5時間乳化重合を行った。これにより、中心径155nm、ガラス転移点59℃、Mw12000の低分子量樹脂分散液1を得た。
(着色剤分散液の製造)
カーボンブラック(MA-100・三菱化学社製)20.0質量部、ネオペックスF-25(花王社製)5.0質量部、イオン交換水75.0質量部を混合し、本田電子(株)製超音波洗浄機W-113にて発振周波数28kHzで10分間分散して着色剤分散液を得た。このサンプルの粒度分布を堀場製作所(株)製粒度測定装置LA-700で測定したところ体積平均粒径は150nmであり、また1μmの粗大粒子は観察されなかった。
(離型剤分散液1の製造)
変性低分子量エチレン系重合体(B‐1)20.0質量部、ネオペックスF-25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水77.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA-700で測定したところ体積平均粒径は140nmであり、また0.8μm以上の粗大粒子は5%以下であった。
(離型剤分散液2の製造)
低分子量エチレン系重合体(A‐1)20.0質量部、ネオペックスF-25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水77.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA-700で測定したところ体積平均粒径は365nmであり、また1.0μm以上の粗大粒子は13%であった。
樹脂分散液1 180g
樹脂分散液2 80g
着色剤分散液 30g
離型剤分散液1 30g
サニゾールB50(花王社製) 1.5g
以上を丸型フラスコ中でホモミキサーで混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると約5.9μmの凝集粒子が生成していることが確認された。その後、ここにネオペックスF-25 9.0gを追加した後、フラスコを密閉して、攪拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、コールターカウンターで粒径を測定すると6.0μmであった。次いで、上記トナ-100質量部に対して、疎水性シリカ(R-972、アエロジル社製)を0.5質量部となる割合で外部から添加して、これをヘンシェルミキサーにより混合してトナ-を得た。このトナー粒子を用いて、定着性、耐オフセット性、現像耐久性、耐ブロッキング性を調べた。定着性、耐オフセット性、現像耐久性、耐ブロッキングともに良好であり○であった。
[比較例2]
実施例4において、離型剤分散液1を離型剤分散液2に変更した以外は同様の操作を行い粒径5.8μmのトナーを得た。定着性、耐オフセット性は、○であったが、現像耐久性、耐ブロッキングは×であった。
本発明によるエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体は、各種のインク、塗料、またはアルミニウムその他の金属との接着性等が優れたものであり、エポキシ基の含有量を幅広い範囲にて設計できるため、用途に応じた要求性能を満たす分子設計が容易となる。
また、原料の低分子量エチレン系重合体は高価なモノマーを使用せず、エポキシ化変性においても、方法を限定すれば経済的に優れたものである。
本発明のトナー用離型剤およびトナーは、定着性、耐オフセット性、現像耐久性に優れている。
従って、本発明のトナー用離型剤およびトナーによれば、複写機およびプリンターの高速化、低温定着化など、近年高まっている要求に充分に対応することができる。

Claims (12)

  1. 水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体、着色剤、離型剤を縣濁させ、重合開始剤を用いて縣濁重合することによって得られるトナー粒子を有するトナーにおいて、該離型剤に、
    (a)エチレン及び少なくとも1種以上のジエンから導かれる構成単位、又は(b)エチレン、炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン及び少なくとも1種以上のジエンから導かれる構成単位からなり、密度が870〜970kg/m、融点が70℃〜140℃、及び数平均分子量(Mn)が400〜4,500である低分子量エチレン系重合体(A)の重合体鎖にエポキシ基を含み、
    (i)密度が870〜1,050kg/m
    (ii)融点が70〜130℃、
    (iii)数平均分子量が(Mn)400〜5,000
    であるエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)とカルボン酸化合物とから得られる変性低分子量エチレン系重合体(C)を含む電子写真トナー用離型剤。
  2. 前記エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、エチレンから導かれる構成単位を80〜99モル%含む請求項1に記載の電子写真トナー用離型剤。
  3. 前記エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、エポキシ基の含有量が、低分子量エチレン系重合体(A)の全不飽和結合の30%〜100%である請求項1に記載の電子写真トナー用離型剤。
  4. 前記エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下及び針入度が15dmm以下である請求項1に記載の電子写真トナー用離型剤。
  5. 前記エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、ジエンが、分岐した構造のジエンである請求項1に記載の電子写真トナー用離型剤。
  6. 前記エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、ジエンがビニルノルボルネン(5-vinylbicyclo[2,2,1]hept−2−ene)であり、密度及び融点がそれぞれ下記の(i)’及び(ii)’である請求項1に記載の電子写真トナー用離型剤。
    (i)’密度が900〜1,050kg/m
    (ii)’融点が100〜130℃
  7. 前記エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、低分子量エチレン系重合体(A)と過酸化水素とを、VI属遷移金属触媒および相間移動触媒の存在下で反応させて得られる請求項1に記載の電子写真トナー用離型剤。
  8. 前記エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)は、低分子量エチレン系重合体(A)が、メタロセン触媒を用いて製造された重合体である請求項1に記載の電子写真トナー用離型剤。
  9. トナー用バインダー樹脂、着色剤、ポリオレフィンワックス及び天然ワックスから選ばれる少なくとも1種のワックス、並びに請求項1に記載のエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)とカルボン酸化合物とから得られる変性低分子量エチレン系重合体(C)からなる静電荷像現像用電子写真トナー。
  10. トナー用バインダー樹脂、着色剤、及び請求項1に記載のエポキシ基含有低分子量エチレン系重合体(B)とカルボン酸化合物とから得られる変性低分子量エチレン系重合体(C)を含む静電荷像現像用電子写真トナー。
  11. 変性低分子量エチレン系重合体(C)を含む離型剤粒子を分散した離型剤分散液を混合する工程を少なくとも含む製造方法により製造される請求項9または10に記載の静電荷像現像用電子写真トナー。
  12. トナー中に変性低分子量エチレン系化合物(C)を1〜20質量部含むことを特徴とする請求項9または10に記載の静電荷像現像用電子写真トナー。
JP2004340628A 2003-12-17 2004-11-25 エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体、電子写真トナー用離型剤及び静電荷像現像用電子写真トナー Active JP4732739B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004340628A JP4732739B2 (ja) 2003-12-17 2004-11-25 エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体、電子写真トナー用離型剤及び静電荷像現像用電子写真トナー

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003419576 2003-12-17
JP2003419576 2003-12-17
JP2004340628A JP4732739B2 (ja) 2003-12-17 2004-11-25 エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体、電子写真トナー用離型剤及び静電荷像現像用電子写真トナー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005200632A JP2005200632A (ja) 2005-07-28
JP4732739B2 true JP4732739B2 (ja) 2011-07-27

Family

ID=34829222

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004340628A Active JP4732739B2 (ja) 2003-12-17 2004-11-25 エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体、電子写真トナー用離型剤及び静電荷像現像用電子写真トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4732739B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006342290A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Mitsui Chemicals Inc 変性低分子量エチレン系重合体及びその用途
JP2008024731A (ja) * 2006-07-18 2008-02-07 National Institute Of Advanced Industrial & Technology エポキシ化ポリマーの製造方法
US7745544B2 (en) * 2006-11-30 2010-06-29 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Catalytic epoxidation and hydroxylation of olefin/diene copolymers
JP2010180362A (ja) * 2009-02-06 2010-08-19 Asahi Kasei Corp 多官能エポキシポリマーの製造方法
JP5457102B2 (ja) * 2009-08-08 2014-04-02 株式会社ダイセル エポキシ化ポリエン樹脂の製造方法
JP5961483B2 (ja) * 2012-08-20 2016-08-02 株式会社ブリヂストン 共重合体の製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0782323A (ja) * 1993-09-17 1995-03-28 Idemitsu Kosan Co Ltd エチレン系不飽和共重合体及びこれを用いた変性共重合体
JPH1036439A (ja) * 1996-07-19 1998-02-10 Daicel Chem Ind Ltd エポキシ化共重合ポリマーおよびその用途
JPH11140249A (ja) * 1997-11-10 1999-05-25 Jsr Corp 変性エチレン系共重合ゴム
JP2000187352A (ja) * 1998-12-24 2000-07-04 Konica Corp 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP2003073412A (ja) * 2001-06-20 2003-03-12 Mitsui Chemicals Inc オレフィン重合用触媒、オレフィンの重合方法、該方法によって得られるエチレン系重合体およびその用途
JP2003331652A (ja) * 2002-05-10 2003-11-21 Nippon Unicar Co Ltd 通信ケーブル用エチレン系樹脂組成物、及びそれからなる被覆絶縁層を有する通信ケーブル

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0782323A (ja) * 1993-09-17 1995-03-28 Idemitsu Kosan Co Ltd エチレン系不飽和共重合体及びこれを用いた変性共重合体
JPH1036439A (ja) * 1996-07-19 1998-02-10 Daicel Chem Ind Ltd エポキシ化共重合ポリマーおよびその用途
JPH11140249A (ja) * 1997-11-10 1999-05-25 Jsr Corp 変性エチレン系共重合ゴム
JP2000187352A (ja) * 1998-12-24 2000-07-04 Konica Corp 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP2003073412A (ja) * 2001-06-20 2003-03-12 Mitsui Chemicals Inc オレフィン重合用触媒、オレフィンの重合方法、該方法によって得られるエチレン系重合体およびその用途
JP2003331652A (ja) * 2002-05-10 2003-11-21 Nippon Unicar Co Ltd 通信ケーブル用エチレン系樹脂組成物、及びそれからなる被覆絶縁層を有する通信ケーブル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005200632A (ja) 2005-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5118704B2 (ja) カラートナー用バインダー樹脂およびこれを用いるカラートナー
JP4732739B2 (ja) エポキシ基含有低分子量エチレン系重合体、電子写真トナー用離型剤及び静電荷像現像用電子写真トナー
JP4356212B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
CN104252105B (zh) 调色剂和调色剂制造方法
JP3949526B2 (ja) 画像形成用トナー及び画像形成方法並びに画像形成装置
US7754407B2 (en) Toner for developing electrostatic charge images
US20070111126A1 (en) Epoxidized low-molecular-weight ethylene polymer, release agent for electrophotographic toner, and electrophotographic toner for developing electrostatic charge image
CN104246619B (zh) 调色剂用粘合剂树脂及调色剂
TWI288309B (en) Toner for electrostatically charged image development
JP3750798B2 (ja) オイルレストナー
KR20030094045A (ko) 토너용 바인더수지 및 토너
JP2001092182A (ja) 電子写真用トナーバインダー組成物及びトナー組成物
JP2001034005A (ja) 静電荷像現像用トナー用添加剤およびトナー
KR100715263B1 (ko) 토너용 바인더 수지 및 그 수지를 사용한 정전하상 현상용 전자 사진 토너
JP2004347918A (ja) 電子写真トナー用離型剤および該離型剤を用いた静電荷像現像用電子写真トナー
JP4322594B2 (ja) 電子写真トナー用離型剤及び該離型剤を用いた静電荷像現像用電子写真トナー
JP4019612B2 (ja) トナー用添加剤、静電荷像現像用トナーおよび静電荷像現像剤
JP5800987B2 (ja) 電子写真用トナー
JP4023037B2 (ja) 静電荷像現像用トナー用添加剤およびトナー
JPH01289972A (ja) 静電像現像トナー
JP2006330202A (ja) トナー組成物
JP2003280243A (ja) 電子写真トナー用離型剤及びトナーバインダー組成物
JP2010139648A (ja) トナー
JP2000231219A (ja) フルカラートナーセットおよびフルカラートナーセットの製造方法、フルカラー画像形成方法
JP2003035972A (ja) オイルレストナー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070709

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20080414

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101022

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110308

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110419

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110421

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4732739

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250