JP3684626B2 - エチレン系ランダム共重合体およびその組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なエチレン系ランダム共重合体およびその組成物に関し、さらに詳しくは、力学特性と加工特性とのバランスに優れたエチレン系ランダム共重合体および該共重合体を含有する加硫・架橋用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体は、耐熱性、耐老化性、耐薬品性等に優れ、天然ゴム、あるいはポリブタジエン、ポリイソプレン等の通常の合成ゴムに比べて特別の性能を有し、自動車部品を始めとして幅広い工業分野で実用化されている。
前記合成ゴムの製造方法としては、例えばチタン化合物と有機アルミニウム化合物からなるチタン系触媒や、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物からなるバナジウム系触媒を使用し、エチレン、α−オレフィンおよび非共役ジエンを共重合する方法が知られている。しかしながら、前記チタン系触媒により得られた共重合体は、一般にランダム共重合性に劣るため組成分布が広く、力学的特性が十分とはいえない。また、前記バナジウム系触媒の場合も、ランダム共重合性が向上して組成分布が狭くなり、力学的特性はある程度改善されるが、未だ十分とはいえない。
一方、前記従来の触媒に代わるものとして、遷移金属化合物とアルミノキサンからなる触媒が提案されており、例えば特公平4−12283号公報には、下記式
(Cp)2MR1X
(式中、Cpはシクロペンタジエニル基、R1は炭素数1〜6のアルキル基またはハロゲン原子、M はジルコニウムまたはチタン、X はハロゲン原子を示す。)で表される遷移金属化合物および下記式
(R2)2AlO[Al(R2)O-]n Al(R2)2 または [Al(R2)O-] n+2
(式中、nは4〜20の整数、R2はメチル基またはエチル基)で表されるアルミノキサンからなる触媒の存在下で、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法が記載されている。
また、特公平5−80493号公報には、共役π電子を有する基を配位子としたジルコニウムヒドリド化合物とアルミノキサンとからなる触媒の存在下で、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンと炭素数5〜20の非共役ポリエンとを共重合することによって、分子量分布(Mw/Mn)が1.97〜2.15の共重合体を製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの先行文献の方法によって得られる共重合体は、力学特性と加工特性とのバランスが不十分であり、さらに性能の改善されたエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体の開発が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、力学特性および加工特性の両面で優れた新規なエチレン系ランダム共重合体および該共重合体を含有する加硫・架橋用組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
下記成分(A)および成分(B)からなる触媒、もしくは下記成分(C)および成分(D)からなる触媒を用いる重合により得られるエチレン、炭素数6〜20のα−オレフィンおよび非共役ジエンからなるエチレン系ランダム共重合体であって、前記非共役ジエンが生成共重合体に分岐鎖を形成する非共役ジエンの少なくとも1種と生成共重合体に分岐鎖を形成しない非共役ジエンの少なくとも1種との混合物からなり、
(1)前記α−オレフィンに由来する繰返し単位の含量が5〜95重量%の範囲にあり、(2)よう素価が0.5〜50の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)が30,000〜300,000の範囲、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義される分子量分布が3.5〜20の範囲にあり、
(4)X線回析法による結晶化度が0〜20%の範囲にあり、
(5)シクロヘキサンを良溶媒、イソプロピルアルコールを貧溶媒として用いる溶媒分別法により組成分布パラメーター(s)が0〜5重量%の範囲にあることを特徴とするエチレン系ランダム共重合体、並びに
前記エチレン系ランダム共重合体と加硫剤および/または架橋剤とを含有するエチレン系ランダム共重合体組成物が所期の効果を達成することを見い出し、本発明を完成するに至った。
成分(A):下記一般式[I]で表される遷移金属化合物。
【化1】
式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C5 Rm ) はシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であるか、あるいは2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っており、Eは非結合電子対を有する原子であり、R’は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R''は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルけい素またはジアルキルゲルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のとき、mは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のとき、mは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各R’は同一でも異なっていてもよく、また各R’は結合して環を作っていてもよく、Qは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜4の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
成分(B):下記一般式[II]で表される線状アルミノキサン化合物および/または下記一般式[III]で表される環状アルミノキサン化合物。
【化2】
式中、各Rは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、nは2〜50の整数である。
成分(C):下記一般式[IV]で表される遷移金属アルキル化合物。
【化3】
式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C5 Rm )はシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であるか、あるいは2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っており、Eは非結合電子対を有する原子であり、R' は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R''は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルけい素またはジアルキルゲルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のとき、mは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のとき、mは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各R' は同一でも異なっていても良く、また各R' は結合して環を作っていても良く、
R''' は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜3の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
成分(D):下記一般式[V]で表されるイオン性化合物。
【化4】
式中、[L]k+はブレンステッド酸またはルイス酸であり、M’は周期律表第13〜15族元素であり、A1 〜An はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜30のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数7〜40のアルカリール基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜40のハロゲン置換炭化水素基、炭素数2〜20のアシルオキシ基または有機メタロイド基であり、kはLのイオン価で1〜3の整数であり、pは1以上の整数であり、q=(k×p)である。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のエチレン系ランダム共重合体に使用される炭素数6〜20のα−オレフィン(以下、「α−オレフィン」という。)としては、具体的には、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく用いられる。これらのα−オレフィンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体中のα−オレフィン成分に由来する繰返し単位の含量(以下、「α−オレフィン含量」という。)は、該共重合体を構成する全繰返し単位の5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%の範囲にある。この場合、α−オレフィン含量が5重量%未満では、ゴム弾性が劣り、また95重量%を超えると、力学特性が劣る。
また、エチレン系ランダム共重合体に使用される非共役ジエンとしては、通常用いられる全ての非共役ジエンを用いることができるが、生成共重合体への分岐鎖形成能の有無により2種類に分けることが便宜的である。
その一種は、生成共重合体に分岐鎖を形成する非共役ジエンであり、その具体例としては、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエンや、炭素数6〜20の脂肪族α,ω−ジエンを挙げられる。該脂肪族α,ω−ジエンとしては、例えば1, 5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1, 7−オクタジエン、1, 8−ノナジエン、1, 9−デカジエン等が挙げられる。
また、他の種の非共役ジエンは、生成共重合体に分岐鎖を形成しない非共役ジエンであり、その具体例としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1, 4−ヘキサジエン、4−メチル−1, 4−ヘキサジエン、5−メチル−1, 4−ヘキサジエン、7−メチル−1, 6−オクタジエン等が挙げられる。
前記非共役ジエンは、前記2種類の非共役ジエンを少なくとも1種づつ使用する。
本発明のエチレン系ランダム共重合体のよう素価は、0.5〜50、好ましくは5〜35の範囲にある。この場合、よう素価が0.5未満では、加硫物性が劣り、また50を超えると、力学特性が損なわれる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)は、30,000〜300,000の範囲にある。この場合、数平均分子量(Mn)がこの範囲外では、力学特性あるいは加工特性に問題を生じ、また共重合体の製造も困難となる。
また、本発明のエチレン系ランダム共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布(Mw/Mn)は、3.5〜20の範囲であり、力学特性と加工特性のバランスの観点から4.5〜10の範囲が好ましい。この場合、分子量分布(Mw/Mn)が3.5未満では、加工特性が劣り、20を超えると、力学特性が損なわれるおそれがある。
さらに、本発明のエチレン系ランダム共重合体のX線回析法による結晶化度は0〜20%の範囲にある。この場合、結晶化度が20%を超えると、力学特性および加工特性に好ましくない影響を与える。
なお、本発明のエチレン系ランダム共重合体のムーニー粘度(ML1+4 100 ℃)(以下、「ムーニー粘度」という。)は、特に限定されないが、好ましくは5〜200、さらに好ましくは20〜150の範囲である。
また、本発明のエチレン系ランダム共重合体は、α−オレフィン含量の組成分布が狭く、組成分布パラメーター(s)が0〜5重量%の範囲にあることが好ましい。ここで、組成分布パラメーター(s)は、シクロヘキサンを良溶媒、イソプロピルアルコールを貧溶媒として用いる溶媒分別法により、下記式によって算出した値を意味する。
s=(Σxi 2)/n−(Σxi 2 /n2 )1/2
但し、xi は溶媒分別法によって分別した各フラクションのα−オレフィン含量、nはフラクション数である。
【0006】
本発明のエチレン系ランダム共重合体を製造するための重合反応は、通常、不活性な炭化水素溶媒中で行なわれる。
このような不活性炭化水素溶媒としては、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。これらの炭化水素溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、原料モノマーも炭化水素溶媒として利用することができる。
【0007】
本発明のランダム共重合体を製造する際に使用される重合触媒は、前記成分(A)および成分(B)からなる触媒、もしくは前記成分(C)および成分(D)からなる触媒である。
成分(A)の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(第3級ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(3−第3級ブチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,3,5−トリメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(第3級ブチルアミド)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(第3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(第3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(フェノキシ)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(oーフェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジエチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジ第3級ブチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(メチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(第3級ブチルアミド)ジルコニウムジクロリド等や、これらの化合物におけるジルコニウムを、チタニウムあるいはハフニウムに置換した化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの遷移金属化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
【0008】
また、成分(B)を表す一般式 [II] および一般式 [III ]中、各Rは、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、nは、好ましくは4〜30の整数である。
これらのアルミノキサン化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
前記(A)成分と(B)成分との使用割合は、遷移金属とアルミニウム原子とのモル比で、通常、1:1〜1:100000、好ましくは1:5〜1:50000の範囲である。
【0009】
さらに、成分(C)の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジエチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ{ビス(トリメチルシリル)メチル}、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジイソブチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(第3級ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−第3級ブチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、ジメチルシリルビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2,3,5−トリメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(第3級ブチルアミド)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(第3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレン(第3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(フェノキシ)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ジメチルアミド)ジルコニウムジメチル、ビス(ジエチルアミド)ジルコニウムジメチル、ビス(ジ第3級ブチルアミド)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(メチルアミド)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(第3級ブチルアミド)ジルコニウムジメチル等や、これらの化合物中のジルコニウムを、チタニウムあるいはハフニウムに置換した化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの遷移金属アルキル化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
前記遷移金属アルキル化合物は、予め合成した後使用してもよいし、また前記一般式[IV]におけるR''' をハロゲン原子に置換した遷移金属ハライドと、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、トリイソブチルアルミニウム、メチルリチウム、ブチルリチウム等の有機金属化合物とを反応系内で接触させることにより形成させてもよい。
【0010】
また、成分(D)の具体例としては、テトラフェニルほう酸トリメチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸トリブチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸メチル(ジブチル)アンモニウム、テトラフェニルほう酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニルほう酸メチルピリジニウム、テトラフェニルほう酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テトラフェニルほう酸メチル(4−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチル(ジブチル)アンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチルピリジニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニルフェニル)ほう酸メチル(4−シアノピリジニウム)、テトラキス[ビス(3,5−ジ−トリフルオロメチル)フェニル]ほう酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニルほう酸フェロセニウム、テトラフェニルほう酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸フェロセニウム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらのイオン性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
前記(C)成分と(D)成分の使用割合は、モル比で、通常、1:0.5〜1:20、好ましくは1:0.8〜1:10の範囲である。
本発明のエチレン系ランダム共重合体を製造する際には、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができる。担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体、および有機担体のいづれも用いることができる。また担持方法についても特に制限はなく、公知の方法を適宜利用してよい。
【0011】
本発明のエチレン系ランダム共重合体組成物は、前述したエチレン系ランダム共重合体と加硫剤および/または架橋剤(以下、これらをまとめて「加硫・架橋剤」という。)とを含有してなるものである。
加硫・架橋剤としては、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化イオウ、セレン、テルル等の無機系加硫剤;モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、チウラムジスルフィド類、ジチオカルバミン酸塩等の含硫黄有機化合物;1,1−ジ第3級ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ第3級ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、第3級ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3級ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(第3級ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼンなどの有機過酸化物類等が挙げられる。
加硫・架橋剤の配合量は、例えば、硫黄の場合、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の割合であり、また有機過酸化物の場合、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部の割合である。
硫黄を加硫・架橋剤として用いる場合は、必要に応じて加硫促進剤、加硫促進助剤を併用することができる。
前記加硫促進剤としては、例えばヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒドアンモニア類;ジフェニルグアニジン、ジ(o−トリル)グアニジン、o−トリルーピグアニド等のグアニジン類;チオカルバニリド、ジ(o−トリル)チオウレア、N,N’−ジエチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジラウリルチオウレア等のチオウレア類;メルカプトベンゾチアゾ−ル、ジベンゾチアゾールジスルフィド、2−(4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)−メルカプトベンゾチアゾ−ル、(N,N’−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール類;N−第3級ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム類;ジメチルチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルチオカルバミン酸テルル、ジメチルチオカルバミン酸鉄等のカルバミン酸塩類;ブチルチオキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸塩類等が挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
加硫促進剤の配合量は、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合である。
前記加硫促進助剤としては、例えば酸化マグネシウム、亜鉛華、リサージ、鉛丹、鉛白等の金属酸化物や、ステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛等の有機酸類が挙げられ、特に亜鉛華、ステアリン酸が好ましい。これらの加硫促進助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
加硫促進助剤の配合量は、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部である。
また、有機過酸化物を加硫・架橋剤として使用する場合には、架橋助剤として、硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の硫黄化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、メタフェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド等の他官能性モノマー;p−キノンオキシム、p,p’−ベンゾイルキノンオキシム等のオキシム化合物等を用いることができる。これらの架橋助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
架橋助剤の配合量は、エチレン系ランダム共重合体100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部である。
【0012】
さらに、本発明のエチレン系ランダム共重合体組成物には、所望により、充填剤、軟化剤、発泡剤や、可塑剤、滑剤、粘着付与剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等の他の各種添加剤を配合することもできる。
前記充填剤としては、例えばSRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック;微粒子ケイ酸、重質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク等の無機充填剤;あるいはハイスチレン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、石油樹脂などの有機充填剤が挙げられる。これらの充填剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
前記軟化剤としては、例えば通常ゴムに用いられるアロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイル;ヤシ油等の植物油等が挙げられる。これらの軟化剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
前記発泡剤としては、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、無水硝酸ナトリウム等の無機発泡剤;ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3’−ジスルホンヒドラジドジフェニルスルホン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスホルムアミド等有機発泡剤が挙げられ、またこれらの発泡剤に共に、尿素系、有機酸系、金属塩系等の発泡助剤を併用してもよい。これらの発泡剤および発泡助剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
さらに、本発明のエチレン系ランダム共重合体組成物には、ブチルゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンーブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、他のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等の他のゴムおよび/または樹脂の一種以上を混合して使用することもできる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体組成物を調製する際には、従来から公知の混練機、押出機、加硫装置等を用いることができる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体と混合される加硫・架橋剤、充填剤、軟化剤、発泡剤等の配合方法、配合順序としては、特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサー等を用いて、エチレン系ランダム共重合体、充填剤、軟化剤等を混合した後、ロール等を用いて加硫・架橋剤、発泡剤、発泡助剤等を加える方法が挙げられる。
次に、通常の加硫ゴム製造に供される手法で、例えば、エチレン系ランダム共重合体組成物を金型内に入れて温度を高めることにより発泡、加硫を行うか、あるいは押出成形機を用いて任意の形状に成形したのち、加硫槽内で加熱して加硫を行うことにより加硫ゴムを製造することができる。
本発明のエチレン系ランダム共重合体およびエチレン系ランダム共重合体組成物は、各種電線、電気絶縁部品、ルーフィング、チューブ、ベルト、土木建築資材、ロール、スポンジ製品、自動車部品としてウェザーストリップ、ラジエーターホース、ヒーターホース、ブレーキホース、プロテクター、マフラーハンガー、ラジエーターパッキング、ブレーキカップ、ランプ用パッキング、バンパー等に好適に使用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
各実施例および比較例中の測定・評価は、以下の方法により実施した。
(イ)α−オレフィン含量(重量%)
13C−NMR法により測定した。
(ロ)よう素価
よう素滴定法により測定した。
(ハ)数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)
WATERS社製150C型ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置を用い、o −ジクロロベンゼンを溶媒として、120℃で測定した。
(ニ)ムーニー粘度(ML1+4 100℃)
JIS K 6300に準拠し,測定温度100℃、予熱1分、測定4分にて測 定した。
(ホ)ロール加工性
ロール加工性は、以下の5段階評価により判定した。
5:ゴムバンドがロールに完全に密着しており、バンクがスムーズに回転する。
4:ロールの頂点からバンクまでの間で、ゴムバンドがロール表面から時々離れる 。
3:ロールの頂点からバンクまでの間で、ゴムバンドがロール表面からかなり離れ る。
2:ロール表面にゴムバンドがよく密着せず垂れ下がり、ゴムバンドに手を添えな いと、ロール加工ができない。
1:ロール表面にゴムバンドが全く密着せず垂れ下がり、ゴムバンドに手を添えな いと、ロール加工ができない。
(ヘ)引張り試験
JIS K 6301に準拠し、3号型試験片を用い、測定温度25℃、引張速 度500mm/分の条件で、引張強さTB(MPa)および引切断時伸びEB(%)を 測定した。
(ト)硬さ試験
JIS K 6301に準拠し、スプリング硬さ(JIS−A硬度)を測定した 。
(チ)圧縮永久歪試験
JIS K 6301に準拠し、100℃×70時間の条件で測定した。
(リ)防振特性試験
防振特性は、岩本製作所(株)製粘弾性スペクトロメータを用い、測定温度25 ℃、静的歪率5%、動的歪率1%の条件で測定を行ない、周波数25Hz における 損失正接tanδを測定し、さらに周波数1Hz におけるE'(f=1Hz)、周波数 70Hz におけるE'(f=70Hz)を測定し、静動比E'(f=70Hz)/E'(f= 1Hz)を求め、tanδおよび静動比の大小により評価した。
(ヌ)組成分布パラメーター(s)の測定
i) 共重合体5gをシクロヘキサン200ミリリットルに溶解したのち、攪拌下 でイソプロピルアルコールを滴下し、溶液が白濁しかけたら滴下を停止して、 沈澱を分離、乾燥し、そのα−オレフイン含量を測定する。
ii) 前記i)の溶液相に対してさらにイソプロピルアルコールを滴下し、同様の 操作を行なって、α−オレフイン含量を測定する。
iii) 前記ii) の操作を繰り返す。このような溶媒分別により、共重合体は通常4 〜6フラクションに分別でき、各フラクションのα−オレフイン含量から、組 成分布パラメーター(s)を前記式により算出する。
【0014】
【実施例】
実施例1
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
充分に窒素置換した内容量2リットルのステンレス製オートクレーブに精製トルエン800ミリリットル、1−ヘキセン200ミリリットル、ジシクロペンタジエン5ミリリットル、5−エチリデン−2−ノルボルネン7ミリリットル、精製トルエン4ミリリットル中に溶解したアルミニウム原子換算で6ミリモルのメチルアルミノキサンを加え、40℃に昇温したのち、エチレンで加圧して、エチレン分圧を4kg/cm2 とした。
次いで、精製トルエン1.2ミリリットル中に溶解したジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド1.2μモルを添加して、重合を開始させた。反応中は温度を40℃に保ち、エチレン分圧が4kg/cm2 に保持されるように連続的にエチレンを供給しつつ、20分間反応を行った。反応終了後、ポリマー溶液を2リットルのメタノール中に投入してポリマーを析出させ、このポリマーをろ別し、減圧下で乾燥して、96gのポリマーを得た。
このポリマーは、1−ヘキセン含量が14.8重量%、よう素価が14、数平均分子量(Mn)が92,000、分子量分布(Mw/Mn)が4.8、結晶化度が7.3%、ムーニー粘度が42、組成分布パラメーター(s)が3.30重量%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用い、表1に示された成分から加硫剤成分を除いた各成分を、ラボプラストミル(内容量250ミリリットル)を用い、回転数60rpm、100℃の温度で200秒間混練して、コンパウンドAを得た。次いで、コンパウンドAに加硫剤成分を加え、50℃に保持した10インチロールで5分間混練して、コンパウンドBを得た。また、この混練過程で、組成物のロール加工性を評価した。
次いで、このコンパウンドBを、170℃に加熱した熱プレスにより、プレス圧150kgf/cm2 の圧力下で15分加熱して、120×120×2mmの加硫シートおよび圧縮永久歪試験用サンプルを作成し、各種特性を評価した。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、ロール加工性および力学特性の両面で優れていた。評価結果を表2に示す。
【0015】
実施例2
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドの代わりにエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを用いた以外は、実施例1と同様にして、117gのポリマーを得た。
このポリマーは、1−ヘキセン含量が22.3重量%、よう素価が21、数平均分子量(Mn)が95,000、分子量分布(Mw/Mn)が5.4、結晶化度が2.2%、ムーニー粘度が60、組成分布パラメーター(s)が1.09重量%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、ロール加工性評価、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、ロール加工性および力学特性の両面で優れていた。評価結果を表2に示す。
【0016】
実施例3
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
充分に窒素置換した内容量2リットルのステンレス製オートクレーブに精製シクロヘキサン800ミリリットル、1−オクテン200ミリリットル、1,7−オクタジエン20ミリリットル、5−エチリデン−2−ノルボルネン7ミリリットルを加え、60℃に昇温したのち、エチレンで加圧して、エチレン分圧を4
kg/cm2 とした。
別に、充分に窒素置換した内容量100ミリリットルのガラス製フラスコに、精製トルエン5ミリリットル中に溶解したエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド1.2μモル、精製トルエン1.2ミリリットル中に溶解したトリイソブチルアルミニウム1.2ミリモル、精製トルエン1.2ミリリットル中に溶解したテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸ジメチルアニリニウム1.5μモルを順次加え、25℃で20分反応させて、重合活性種を生成させた。
この重合活性種の全量を前記ステンレス製オートクレーブに加えて、重合反応を開始させ、反応中は温度を60℃に保ち、エチレン分圧が6kg/cm2 に保持されるように連続的にエチレンを供給しつつ、20分間反応を行った。反応終了後、ポリマー溶液を2リットルのメタノール中に投入してポリマーを析出させ、このポリマーをろ別し、減圧下で乾燥して、93gのポリマーを得た。
このポリマーは、1−オクテン含量が27.3重量%、よう素価が23、数平均分子量(Mn)が89,000、分子量分布(Mw/Mn)が5.0、結晶化度が1.7%、ムーニー粘度が47、組成分布パラメーター(s)が1.14重量%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、ロール加工性評価、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、ロール加工性および力学特性の両面で優れていた。評価結果を表2に示す。
【0017】
実施例4
(エチレン系ランダム共重合体の合成)
充分に窒素置換した内容量2リットルのステンレス製オートクレーブに精製トルエン800ミリリットル、1−デセン200ミリリットル、1,9−デカジエン20ミリリットル、5−エチリデン−2−ノルボルネン5ミリリットルを加え、60℃に昇温したのち、エチレンで加圧して、エチレン分圧を4kg/cm2 とした。
別に、充分に窒素置換した内容量100ミリリットルのガラス製フラスコに、精製トルエン5ミリリットル中に溶解したジメチルシリルビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル1.5μモル、精製トルエン1.2ミリリットル中に溶解したテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸ジメチルアニリニウム1.8μモルを順次加え、25℃で20分反応させて、重合活性種を生成させた。
この重合活性種の全量を前記ステンレス製オートクレーブに加えて、重合反応を開始させ、反応中は温度を60℃に保ち、エチレン分圧が6kg/cm2 に保持されるように連続的にエチレンを供給しつつ、20分間反応を行った。反応終了後、ポリマー溶液を2リットルのメタノール中に投入してポリマーを析出させ、このポリマーをろ別し、減圧下で乾燥して、88gのポリマーを得た。
このポリマーは、1−デセン含量が32.7重量%、よう素価が16、数平均分子量(Mn)が91,000、分子量分布(Mw/Mn)が4.5、結晶化度が0.9%、ムーニー粘度が38、組成分布パラメーター(s)が0.31重量%のエチレン系ランダム共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記エチレン系ランダム共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、ロール加工性評価、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、ロール加工性および力学特性の両面で優れていた。評価結果を表2に示す。
【0018】
比較例1
(共重合体の合成)
ジシクロペンタジエンを用いず、5−エチリデン−2−ノルボルネンの添加量を10ミリリットルとした以外は、実施例1と同様にして、101gのポリマーを得た。
このポリマーは、1−ヘキセン含量が16.1重量%、よう素価が15、数平均分子量(Mn)が90,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.9、結晶化度が9.4%、ムーニー粘度が38、組成分布パラメーター(s)が3.24重量%の共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、ロール加工性評価、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、特にロール加工性が劣っており、また圧縮永久歪も不十分であった。評価結果を表2に示す。
【0019】
比較例2
5−エチリデン−2−ノルボルネンを用いず、1,7−オクタジエンの添加量を50ミリリットルとした以外は、実施例3と同様にして、95gのポリマーを得た。
このポリマーは、1−オクテン含量が27.3重量%、よう素価が16、結晶化度が0.9%、ムーニー粘度が113のゴム状共重合体であった。但し、該共重合体は、o−ジクロロベンゼンに不溶であるため、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)が測定できず、また分別溶媒にも不溶であるため、組成分布パラメーター(s)も測定できなかった。
(組成物の調製と評価)
前記共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、ロール加工性評価、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、特にロール加工性および機械的強度がともに劣っており、また圧縮永久歪も不十分であった。評価結果を表2に示す。
【0020】
比較例3
(共重合体の合成)
充分に窒素置換した内容量2リットルのステンレス製オートクレーブに精製ヘキサン1リットル、ジシクロペンタジエン5ミリリットル、5−エチリデン−2−ノルボルネン7ミリリットルを加えて、温度を20℃に設定したのち、エチレン4.4ノルマルリットル/分、プロピレン5.6ノルマルリットル/分、水素0.5ノルマルリットル/分の速度で、モノマーを連続的に供給しつつ、容器内圧を4kg/cm2 に調整した。
次いで、精製ヘキサン6ミリリットル中に溶解したエチルアルミニウムセスキクロリド6ミリモル、精製ヘキサン1ミリリットル中に溶解した四塩化バナジウム0.3ミリモルを加えて、重合を開始させた。反応中は温度を20℃に保ち、エチレン、プロピレンおよび水素を当初の流量で供給しつつ、容器内圧を4kg/cm2 に保持して、30分間反応を行った。反応終了後、ポリマー溶液を2リットルのメタノール中に投入してポリマーを析出させ、このポリマーをろ別し、減圧下で乾燥して、105gのポリマーを得た。
このポリマーは、プロピレン含量が28.0重量%、よう素価が20、数平均分子量(Mn)が93,000、分子量分布(Mw/Mn)が5.0、結晶化度が4.2%、ムーニー粘度が51、組成分布パラメーター(s)が10.91重量%のゴム状共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、ロール加工性評価、各種特性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、特に防振特性が劣り、かつ機械的強度および圧縮永久歪も不十分であった。評価結果を表2に示す。
【0021】
比較例4
ジシクロペンタジエンの代わりに7−メチル−1,6−オクタジエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、90gのポリマーを得た。
このポリマーは、1−ヘキセン含量が18.9重量%、よう素価が26、数平均分子量(Mn)が106,000、分子量分布(Mw/Mn)が2.2、結晶化度が8.4%、ムーニー粘度が54、組成分布パラメーター(s)が3.41重量%のゴム状共重合体であった。
(組成物の調製と評価)
前記共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンパウンドAおよびコンパウンドBの調製、コンパウンドBのロール加工性評価、加硫シートおよび圧縮永久歪試験用サンプルの各種物性評価を行なった。
その結果、この共重合体を用いた組成物は、特にロール加工性が劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】
本発明のエチレン系ランダム共重合体は、加硫・架橋剤を含有する組成物として、ロール加工性、機械的強度、硬度、圧縮永久歪、防振特性等の力学的特性の両面に優れた加硫・架橋物をもたらすことができる。
したがって、本発明のエチレン系ランダム共重合体およびその組成物は、電子・電気部品、機械部品、土木建築資材、自動車部品等の幅広い分野において、極めて好適に使用することができる。
Claims (3)
- 下記成分(A)および成分(B)からなる触媒、もしくは下記成分(C)および成分(D)からなる触媒を用いる重合により得られるエチレン、炭素数6〜20のα−オレフィンおよび非共役ジエンからなるエチレン系ランダム共重合体であって、前記非共役ジエンが生成共重合体に分岐鎖を形成する非共役ジエンの少なくとも1種と生成共重合体に分岐鎖を形成しない非共役ジエンの少なくとも1種との混合物からなり、
(1)前記α−オレフィンに由来する繰返し単位の含量が5〜95重量%の範囲にあり、(2)よう素価が0.5〜50の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)が30,000〜300,000の範囲、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義される分子量分布が3.5〜20の範囲にあり、
(4)X線回析法による結晶化度が0〜20%の範囲にあり、
(5)シクロヘキサンを良溶媒、イソプロピルアルコールを貧溶媒として用いる溶媒分別法による組成分布パラメーター(s)が0〜5重量%の範囲にあることを特徴とするエチレン系ランダム共重合体。
成分(A):下記一般式[I]で表される遷移金属化合物。
R’は同一でも異なっていてもよく、また各R’は結合して環を作っていてもよく、Qは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜4の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
成分(B):下記一般式[II]で表される線状アルミノキサン化合物および/または下記一般式[III]で表される環状アルミノキサン化合物。
成分(C):下記一般式[IV]で表される遷移金属アルキル化合物。
R' は同一でも異なっていても良く、また各R' は結合して環を作っていても良く、
R''' は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜3の整数であり、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
成分(D):下記一般式[V]で表されるイオン性化合物。
- ムーニー粘度(ML1+4 100 ℃)が20〜150の範囲にある請求項1記載のエチレン系ランダム共重合体。
- 請求項1または請求項2記載のエチレン系ランダム共重合体と加硫剤および/または架橋剤とを含有してなるエチレン系ランダム共重合体組成物。
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