JP3742584B2 - 調味料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好なミートフレーバー様の風味を有する調味料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミートエキスは天然の調味料の中でも独特の豊かな風味を有する調味料であり、各種スープの原料等として用いられている。しかしながら、供給量が限られていること、微生物により汚染を受けやすいこと、品質が一定しにくいこと、高価であることなどの欠点がある。
そのため、アミノ酸あるいは蛋白質、還元糖を前駆物質とするいわゆるメイラード反応型の、ミートフレーバー様の風味を有する調味料が開発されてきた。
【0003】
例えば、特公昭42−22194号公報には、システイン及び(又は)グルタチオンと単糖類の1つとその他の少なくとも1種のアミノ酸、必要に応じて乳酸塩、を水中で高温で反応させたフレーバー添加剤が、特公昭49−35149号公報、特開昭49−109561号公報には、シスチン、システイン及び(又は)グルタチオン、単糖類、1種のアミノ酸及び還元性物質(アスコルビン酸、エルソルビン酸、等)を添加し加熱した食肉風の風味を強く有した缶詰等の製造方法が、特開平4−66069号公報には、グルタチオン等の含硫化合物を一定量含有する酵母エキスに糖類、必要に応じてアミノ酸を添加し加熱する調味料の製造方法が、更に、特公昭43−15799号公報には、酵母抽出物と核酸関連物質と動物性油脂を混合加熱する調味料の製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらはいずれもミートフレーバー様の風味を有するものの、こげ等による酸味を呈したり、旨味、コク味に欠けたものであり、さらなる改善が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究の結果、5’−ヌクレオチド含有酵母エキス、グルタチオン含有酵母エキス、単糖類に、デキストリン及び食塩を添加し加熱することにより、優れたミートフレーバー様の風味を有するとともに、酸味を感じることなく、優れた旨味、コク味を呈する調味料が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)5’−ヌクレオチド含有酵母エキス、グルタチオン含有酵母エキス、単糖類、デキストリン及び食塩を含有した水溶液あるいは水懸濁液を加熱することを特徴とする、調味料の製造方法、
(2)5’−ヌクレオチド含有酵母エキスが、5’−ヌクレオチドを20重量%以上含有したものである、上記(1)記載の調味料の製造方法、
(3)グルタチオン含有酵母エキスが、グルタチオンを3重量%以上含有したものである、上記(1)記載の調味料の製造方法、
(4)水溶液あるいは水懸濁液が、水100重量部に、5’−ヌクレオチド含有酵母エキス5〜30重量部、グルタチオン含有酵母エキス20〜70重量部、単糖類2〜10重量部、デキストリン5〜20重量部、食塩10〜50重量部を添加したものである、上記(1)乃至(3)記載の調味料の製造方法、
を提供するものである。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる5’−ヌクレオチド含有酵母エキスは、酵母を温熱水で抽出した抽出物、あるいは酵母に蛋白質分解酵素、細胞壁溶解酵素などを添加して得られた抽出物、を、核酸分解酵素、必要に応じてアデニル酸分解酵素を作用させることにより得られた、5’−ヌクレオチド類、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−ウリジル酸ナトリウム、5’−シチジル酸ナトリウムあるいは5’−アデニル酸ナトリウム、を含有したもので、含有量は、5’−ヌクレオチドを合計で4重量%以上、好ましくは20重量%以上含有したものが望ましい。
5’−ヌクレオチド含有量が少ないと、旨味、コク味に劣る。
【0007】
本発明で用いられるグルタチオン含有酵母エキスは、グルタチオン含有酵母を、温熱水で抽出する方法、蛋白質分解酵素、細胞壁溶解酵素などを添加して抽出する方法、酵母中の酵素を利用して自己消化により抽出する方法、等で得られた、グルタチオンを1重量%以上、好ましくは3重量%以上含有しているものをいう。
グルタチオンの含有量が少ないと、ミートフレーバー様の風味に欠ける。
【0008】
5’−ヌクレオチド含有酵母エキス、グルタチオン含有酵母エキスに用いられる酵母としては、食品あるいは食品添加物として用いられている酵母で、例えば、パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母などを挙げることができる。
【0009】
本発明で用いられる単糖類としては、還元性単糖類が望ましく、具体的にはキシロース、リボース、グルコース、フルクトース等を挙げることができる。
【0010】
本発明で用いられるデキストリン及び食塩は、食用に供されるものであれば特に制限はない。デキストリンを添加しないと、こげ臭が目立ち、良好なビーフ臭がでず、また食塩を添加しないと、こげ等による酸味を呈する。
【0011】
調味料は、5’−ヌクレオチド含有酵母エキス、グルタチオン含有酵母エキス、単糖類、デキストリン及び食塩を、水に添加し、加熱することによって製造される。
添加されるそれぞれの成分の添加量は任意であるが、水100重量部に対して、5’−ヌクレオチド含有酵母エキス5〜30重量部、グルタチオン含有酵母エキス20〜70重量部、単糖類2〜10重量部、デキストリン5〜20重量部、食塩10〜50重量部が好ましい。
加熱反応は70〜180℃、好ましくは90〜120℃、加熱時間は10分から2時間程度で十分である。
【0012】
加熱反応終了後、調味料は、そのままあるいは濃縮してペースト状として、あるいは乾燥、例えばスプレードライヤー等、して粉末状として容易に取得することができる。
【0013】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
5’−ヌクレオチド含有酵母エキス(興人製、酵母エキスアロマイルド、5’−ヌクレオチド含有量36%)7重量部、グルタチオン含有酵母エキス(興人製、酵母エキスアロマイルドU、グルタチオン含有量8%)19重量部、キシロース2.5重量部、粉末デキストリン(三和澱粉工業製、サンデック#70)7重量部及び食塩14.5重量部を水50重量部に加え、105℃65分間加熱した。反応終了後、反応液をスプレードライヤーにて乾燥し、調味料を得た。
得られた調味料及びビーフエキス(ホクヨー製、ビーフエクストラクト)を用いて、表1に記載のデミグラスソース及び表3に記載のオニオンコンソメスープを作製し官能評価を行った。
官能評価は、パネラー10人を用い、各試験区を比較官能し、最も強くあるいは好ましく感じた試験区を挙げることにより行った。
評価結果を、表2(デミグラスソース)及び表4(オニオンコンソメスープ)に示す。なお、表中の数字はパネラーの人数である(以下、同様)。
【0014】
【表1】
Figure 0003742584
【0015】
【表2】
Figure 0003742584
【0016】
【表3】
Figure 0003742584
【0017】
【表4】
Figure 0003742584
【0018】
実施例2
5’−ヌクレオチド含有酵母エキス(興人製、酵母エキスアロマイルド、5’−ヌクレオチド含有量36%)7重量部、グルタチオン含有酵母エキス(興人製、酵母エキスアロマイルドU、グルタチオン含有量8%)19重量部、液糖(糖組成:キシロース40〜50%、アラビノース18〜22%、キシロビオース13〜17%、ヘキソース10〜15%)4.1重量部、粉末デキストリン(三和澱粉工業製、サンデック#70)7重量部及び食塩14.5重量部を水48.4重量部に加え、105℃55分間加熱した。反応終了後、反応液をスプレードライヤーにて乾燥し、調味料を得た。
得られた調味料及びビーフエキス(ホクヨー製、ビフエクストラクト)を用いて、表5に記載のデミグラスソース及び表7に記載のオニオンコンソメスープを作製し官能評価を行った。
官能評価は、パネラー10人を用い、各試験区を比較官能し、最も強くあるいは好ましく感じた試験区を挙げることにより行った。
評価結果を、表6(デミグラスソース)及び表8(オニオンコンソメスープ)に示す。
【0019】
【表5】
Figure 0003742584
【0020】
【表6】
Figure 0003742584
【0021】
【表7】
Figure 0003742584
【0022】
【表8】
Figure 0003742584
【0023】
比較例1
5’−ヌクレオチド含有酵母エキス(興人製、酵母エキスアロマイルド、5’−ヌクレオチド含有量36%)7重量部、キシロース2.5重量部、粉末デキストリン(三和澱粉工業、サンデック#70)7重量部及び食塩14.5重量部を水69重量部に加え、105℃90分間加熱した。反応終了後、反応液をスプレードライヤーにて乾燥し、比較調味料を得た。
得られた比較調味料及び実施例1で得られた調味料を、それぞれ1重量%溶液とし、パネラー15人を用い、2点比較官能を行った。
評価結果を、表9に示す。
【0024】
【表9】
Figure 0003742584
【0025】
比較例2
5’−ヌクレオチド含有酵母エキス(興人製、酵母エキスアロマイルド、5’−ヌクレオチド含有量36%)7重量部、グルタチオン含有酵母エキス(興人製、酵母エキスアロマイルドU、グルタチオン含有量8%)19重量部、キシロース2.5重量部及び粉末デキストリン(三和澱粉工業製、サンデック#70)7重量部を水64.5重量部に加え、105℃90分間加熱した。反応終了後、反応液をスプレードライヤーにて乾燥し、比較調味料を得た。
得られた比較調味料及び実施例1で得られた調味料を、それぞれ1重量%溶液とし、パネラー15人を用い、2点比較官能を行った。
評価結果を、表10に示す。
【0026】
【表10】
Figure 0003742584
【0027】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によると、優れたミートフレーバー様の風味を有するとともに、酸味を感じることがなく、優れた旨味、コク味を有し、味に厚み、深みのある調味料の製造方法が提供される。

Claims (4)

  1. 5'−ヌクレオチド含有酵母エキス、グルタチオン含有酵母エキス、単糖類、デキストリン及び食塩を含有した水溶液あるいは水懸濁液を90〜120℃で加熱することを特徴とする、メイラード反応型の調味料の製造方法。
  2. 5'−ヌクレオチド含有酵母エキスが、5'−ヌクレオチドを20重量%以上含有したものである、請求項1記載の調味料の製造方法。
  3. グルタチオン含有酵母エキスが、グルタチオンを3重量%以上含有したものである、請求項1記載の調味料の製造方法。
  4. 水溶液あるいは水懸濁液が、水100重量部に、5'−ヌクレオチド含有酵母エキス5〜30重量部、グルタチオン含有酵母エキス20〜70重量部、単糖類2〜10重量部、デキストリン5〜20重量部、食塩10〜50重量部を添加したものである、請求項1乃至3記載の調味料の製造方法。
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