JP6080191B2 - コク味を増強する調味料の製造方法 - Google Patents
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しかしながら、グルタミン酸含有酵母エキスを糖と加熱反応して、コク味を増強するという発想はない。
また、特許文献3には、5'-ヌクレオチド含有酵母エキス、グルタチオン含有酵母エキスに、単糖類、デキストリン及び食塩を添加し加熱する調味料の製造方法があるが、畜肉系の風味を有するため、魚介系の風味、特に、かつおだしのバランスを悪くする食品もあった。
すなわち本発明は、
(1)グルタミン酸をナトリウム塩換算で20重量%以上含有するグルタミン酸含有酵母エキス及び糖類を添加した水溶液もしくは水懸濁液、またはグルタミン酸をナトリウム塩換算で20重量%以上含有するグルタミン酸含有酵母エキスと糖類との粉体混合物を加熱処理することにより製造する調味料の製造方法、
(2)前記グルタミン酸含有酵母エキスの配合比が1〜99重量部、糖類の配合比が99〜1重量部であることを特徴とする、上記(1)記載の調味料の製造方法、
(3)前記グルタミン酸含有酵母エキスの配合比が40〜99重量部、糖類の配合比が60〜1重量部であることを特徴とする、上記(1)記載の調味料の製造方法
(4)前記水溶液もしくは水懸濁液が、前記グルタミン酸含有酵母エキスと糖類の合計量100重量部に対して、水を10〜120重量部添加してなるものである、上記(1)〜(3)に記載の調味料の製造方法、
を提供するものである。
本発明は、グルタミン酸含有酵母エキス、糖類を添加した水溶液又は水懸濁液、粉体混合物を加熱処理するものである。
エキスの抽出は、一般的に酵母エキスの製造で用いられる手法、例えば、加熱抽出法や酵素分解法、あるいは自己消化法のいずれでも可能である。抽出後、遠心分離等の方法により固形分を除去し、エキス分を得る。酵母エキス中のグルタミン酸濃度をさらに高める為に市販のグルタミナーゼをエキス抽出中、もしくはエキス分離後に作用させ、グルタミンからグルタミン酸へ変換させることにより得られる。
グルタミン酸含有酵母エキスはグルタミン酸をナトリウム塩換算で20重量%以上含有した酵母エキスであり、好ましくは30重量%以上含有したものである。グルタミン酸の含有量が少ないと、かつおだしのコクやバランスが悪いものとなる。
これらの配合比の違いにより風味の違いはあるが、いずれもコク味を増強する効果を呈する。
本発明において、他の成分として、食塩等無機塩類やデキストリンも添加することもできる。
添加量については、特に制限はなく、好みの濃度で使用可能であるが、一般的には、食品の種類等によっても異なるが、概ね食品に対して喫食時0.05〜1重量%程度添加することが望ましい。
グルタミン酸ナトリウム塩換算で20%以上のグルタミン酸含有酵母エキスは、特開2009-261253号公報実施例記載の方法で製造した。
(グルタミン酸含有酵母エキスの製造方法)
酵母エキスの試作には、キャンディダ・ウチリス変異株36D61株の連続培養液を用いた。供試菌株を予めYPD培地を含む 三角フラスコで種母培養し、これを5L容発酵槽に0.5〜1.5%植菌した。培地組成は、30Lバッチ培養と同様である。培養条件は、槽内液量2L、pH4.3(アンモニアによる自動コントロール)、培養温度30℃、通気1 vvm、撹拌 600rpmで行った。この時の比増殖速度は0.24〜0.25 hr-1であった。得られた菌体について分析した結果、遊離のグルタミン酸とグルタミンの総和は14.3重量%(グルタミン酸 5.0重量%、グルタミン 9.3重量%)、対糖菌体収率は56.1%であった。
連続培養液を氷冷しながら回収し、遠心分離により集菌し、湿潤酵母菌体を得た。これを水に再懸濁して、遠心分離し、乾燥重量として約21gの菌体を得た。
ここに得られた酵母に水を加え、全量を200mlとし、次いで,湯浴中で加熱し、90℃に逹温してから、90℃で2分間加熱した。この後直ちに流水中で冷却し、液温を50℃とした後、ツニカーゼ(天野エンザイム製細胞壁溶解酵素)の0.2gを少量の水に溶解後添加し、50℃で1hr撹拌しながら反応させた。反応後の液を遠心分離により不溶性固形分を除去しエキスを得た。このエキスに対して、グルタミナーゼ C100S 0.56gを添加し、40〜60℃で5時間、撹拌しながら反応させた。このエキスを90〜95℃で30分加熱し、冷却した後、遠心分離によりエキス中の不溶性固形分を再度除去した。次いでロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥を行い、粉末酵母エキス約11gを得た。エキス抽出率は約51%で、このエキス中の遊離グルタミン酸含量はナトリウム塩換算で 31.9重量%であった。
本製法を繰り返すことにより使用する量の酵母エキスを得た。
前述の方法によりグルタミン酸含有酵母エキス(グルタミン酸ナトリウム塩換算で31.9%)を製造し、当該酵母エキスを23.7重量部、キシロース1.3重量部を、水25重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応した。反応終了後、反応液を凍結乾燥にて乾燥し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造した。エキス抽出率もしくはデキストリンで調節することによりグルタミン酸ナトリウム塩換算で20.1%の酵母エキスを得た。当該酵母エキスを23.7重量部、キシロース1.3重量部を、水25重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応した。反応終了後、反応液を凍結乾燥にて乾燥し、調味料を得た。
酵母エキス(DSM製、GISTEX LS Powder AGGL、グルタミン酸ナトリウム塩換算で3.8%)23.7重量部、キシロース1.3重量部を、水25重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応した。反応終了後、反応液を凍結乾燥にて乾燥し、調味料を得た。
酵母エキス(DSM製、GISTEX LS Powder AGGL、グルタミン酸ナトリウム塩換算で3.8%)22.2重量部、グルタミン酸ナトリウム1.5重量部(グルタミン酸ナトリウム塩換算で10%に調整のため)、キシロース1.3重量部を、水25量部に溶解し、105℃、30分加熱反応した。反応終了後、反応液を凍結乾燥にて乾燥し、調味料を得た。
グルタミン酸含有酵母エキス(グルタミン酸ナトリウム塩換算で31.9%)23.7重量部、キシロース1.3重量部を、水25重量部に溶解し加熱反応せず、その液を凍結乾燥にて乾燥し、調味料を得た。
濃縮鰹だし(素だしJ-1:キリン協和フーズ株式会社製)を蒸留水で10倍に希釈した液に、実施例1、2、比較例1、2、3で得られた粉末状の調味料が喫飲時0.2%になるよう添加し、官能試験を行った。
官能試験は、パネラー10名を用い、対照区(調味料無添加)と比較して評価項目に対してそれぞれ下記の5段階数値で答えさせ、その平均値を表1に示した。
4:非常に強く感じる
3:強く感じる
2:少し感じる
1:わずかに感じる
0:まったく感じない
表2のようにめんつゆを作製し、4倍希釈した液に、実施例1、2、比較例1、2、3で得られた粉末状の調味料が、喫飲時0.1%になるよう添加し、官能試験を行った。
官能試験は、パネラー10名を用い、対照区(調味料無添加)と比較して評価項目に対してそれぞれ下記の5段階数値で答えさせ、その平均値を表3に示した。
4:非常に強く感じる
3:強く感じる
2:少し感じる
1:わずかに感じる
0:まったく感じない
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造し、当該酵母エキスを45重量部、グルコース5重量部を水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造し、当該酵母エキスを25重量部、グルコース25重量部を水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造し、当該酵母エキスを5重量部、グルコース45重量部を水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造し、当該酵母エキスを45重量部、DE値40のデキストリン(パインデックス#6:(株)松谷化学製)5重量部を水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造した。当該酵母エキスを25重量部、DE値40のデキストリン(パインデックス#6:(株)松谷化学製)25重量部を、水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造した。当該酵母エキスを5重量部、DE値40のデキストリン(パインデックス#6:(株)松谷化学製)45重量部を、水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造した。当該酵母エキスを45重量部、デンプン5重量部を、水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造した。当該酵母エキスを25重量部、デンプン25重量部を、水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造した。当該酵母エキスを5重量部、デンプン45重量部を、水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
実施例1と同様な方法でグルタミン酸含有酵母エキスを製造した当該酵母エキスを50重量部を、水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
グルコース50重量部を、水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
パインデックス#6(松谷化学製:DE40デキストリン)50重量部を、水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
デンプン50重量部を、水50重量部に溶解し、105℃、30分加熱反応し、調味料を得た。
濃縮鰹だし(素だしJ-1:キリン協和フーズ株式会社製)を蒸留水で10倍に希釈した液に、実施例3〜11、比較例4〜7で得られた液状の調味料が喫飲時固形分濃度0.1%になるよう添加し、官能試験を行った。
官能試験はパネラー10名を用い、対照区(調味料無添加区)と比較して、評価項目に対してそれぞれ下記の5段階数値で答えさせ、その平均値を表4、評価コメントを表5に示した。
4:非常に強く感じる
3:強く感じる
2:少し感じる
1:わずかに感じる
0:まったく感じない
また、比率に関してはグルタミン酸高含有酵母:糖質の比率50重量部:50重量部で最もカツオの肉感、だし感、コク味を増強させることがわかった。
Claims (1)
- グルタミン酸をナトリウム塩換算で20重量%以上含有するグルタミン酸含有酵母エキス及び糖類に水を配合し、加熱処理することにより製造する魚介風味増強用調味料の製造方法であって、前記グルタミン酸含有酵母エキスの配合比が1〜99重量部(5重量部未満及び95重量部より大きい部分を除く)、前記糖類の配合比が99〜1重量部(5重量部未満及び95重量部より大きい部分を除く)であり、かつグルタミン酸含有酵母エキスと糖類の固形分合計量100重量部に対して、水の配合量が10〜120重量部である、魚介風味増強用調味料の製造方法。
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