WO2022203034A1 - 畜肉風味付与剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、幅広く利用可能で容易に製造でき、畜肉素材を含まずに畜肉風味を付与し得る組成物及びその製造方法を提供することを目的とし、詳細には、粗製糖及びシ ステイン又はその塩を加熱することを含む、畜肉風味付与剤の製造方法ならびに粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を含む畜肉風味付与剤を提供する。

Description

畜肉風味付与剤
 本発明は、食品に簡便に適用できる畜肉風味付与剤及びその製造方法に関する。また、本発明は、畜肉風味が付与された食品、並びにそれらの製造方法さらに畜肉風味付与方法に関する。
 食品の「おいしさ」を決める要素としては、触覚や視覚、聴覚で感じることができる食感や色、音などの物理的な要因や、味覚や嗅覚で感じることができる風味などの化学的要因が挙げられる。特に香りの刺激は、おいしさに影響を与えることはよく知られている。なかでもポーク・チキン・ビーフなどの各種畜肉の風味や呈味、ならびに各畜肉素材からじっくり炊出したエキス、出汁及びスープの風味や呈味は、おいしさに影響し食欲を増加させる効果が知られている。
 通常の畜肉風味付与素材は畜肉を原料としており、例えば、骨付き畜肉片から抽出して得る畜肉エキスが濃厚で風味豊かなコクや旨味を有することが知られている(特許文献1)。
 一方、近年畜肉の摂取には、宗教上の理由や、ベジタリアンやヴィーガンなどの食嗜好、さらにはサステナビリティへの取り組みなどから、畜肉そのものの摂取だけでなく畜肉素材により風味付けされた食品についても摂取できないケースが増えている。
 例えば、畜肉原料を使用しない畜肉のフレーバーとしては、システインとリボースやイノシン酸とのリアクションによる生成される2-メチル-3-フランチオールなどの香気成分(非特許文献1)、システイン高含有天然食品素材と還元糖を加えることにより得られる食品の風味増強剤やミートフレーバーが報告されている(特許文献2)。
 しかし上記のような畜肉原料を使用しないフレーバーでは、畜肉風味付与の再現度は低く、確実に畜肉風味が付与できるアニマルフリーの畜肉風味付与素材の開発が求められている。
特開2014-103888号公報 特開2001-321118号公報
Flavor of Meat, Meat Products and Seafood, F. Shahidi, Springer, Section 5 (46-47, 84-87), 1998
 本発明は、畜肉材料を使用しないで畜肉風味を簡便に付与することができる組成物を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、粗製糖、特に黒糖とシステインを含む食品素材を共加熱して得た生成物がリアクションフレーバーとして畜肉風味を付与するだけでなく肉の呈味も付与し得ることを見出し、さらに研究を重ねることによって本発明を完成するに至った。
 即ち、本発明は、以下の通りである。
[1]粗製糖及びシステイン又はその塩を加熱することを含む、畜肉風味付与剤の製造方法。
[2]粗製糖が黒糖である、[1]に記載の製造方法。
[3]システインがシステイン含有原料由来システインである、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]システイン含有原料が、グルタチオン、グルタチオン含有酵母エキス、システイン含有酵母エキス、シスチン及びシステイン高含有食品からなる群から選択される、[3]に記載の製造方法。
[5]グルタチオンが酵素処理されている、[4]に記載の製造方法。
[6-1]粗製糖1重量部に対してシステイン又はその塩0.001~10重量部を加熱する、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[6-2]粗製糖1重量部に対してシステイン又はその塩0.0005~50重量部を加熱する、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7-1]加熱温度が、80~150℃である、[1]~[6-2]のいずれかに記載の製造方法。
[7-2]加熱温度が、60~170℃である、[1]~[6-2]のいずれかに記載の製造方法。
[8-1]加熱時間が、30~180分間である、[1]~[7-2]のいずれかに記載の製造方法。
[8-2]加熱時間が、15~200分間である、[1]~[7-2]のいずれかに記載の製造方法。
[9]畜肉風味付与剤が、アニマルフリー食品用である、[1]~[8-2]のいずれかに記載の製造方法。
[10]粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を有効成分とする、畜肉風味付与剤。
[11]粗製糖が黒糖である、[10]に記載の付与剤。
[12]システインがシステイン含有原料由来システインである、[10]又は[11]に記載の付与剤。
[13]システイン含有原料が、グルタチオン、グルタチオン含有酵母エキス、システイン含有酵母エキス、シスチン及びシステイン高含有食品からなる群から選択される、[12]に記載の付与剤。
[14]グルタチオンが酵素処理されている、[13]に記載の付与剤。
[15-1]加熱前の粗製糖とシステイン又はその塩の重量比が1:0.001~10である、[10]~[14]のいずれかに記載の付与剤。
[15-2]加熱前の粗製糖とシステイン又はその塩の重量比が1:0.0005~50である、[10]~[14]のいずれかに記載の付与剤。
[16]食品に対する付与剤の喫食時の濃度が10~100,000ppmである、[10]~[15-2]のいずれかに記載の付与剤。
[17]アニマルフリー食品用である、[10]~[16]のいずれかに記載の付与剤。
[18]粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を食品に添加することを含む、畜肉風味付与方法。
[19]粗製糖が黒糖である、[18]に記載の方法。
[20]システインがシステイン含有原料由来システインである、[18]又は[19]に記載の方法。
[21]システイン含有原料が、グルタチオン、グルタチオン含有酵母エキス、システイン含有酵母エキス、シスチン及びシステイン高含有食品からなる群から選択される、[20]に記載の方法。
[22]グルタチオンが酵素処理されている、[21]に記載の方法。
[23-1]加熱前の粗製糖とシステイン又はその塩の重量比が1:0.001~10である、[18]~[22]のいずれかに記載の方法。
[23-2]加熱前の粗製糖とシステイン又はその塩の重量比が1:0.0005~50である、[18]~[22]のいずれかに記載の方法。
[24]食品に対する加熱物の添加濃度が10~100,000ppmである、[18]~[23-2]のいずれかに記載の方法。
[25]食品がアニマルフリー食品である、[18]~[24]のいずれかに記載の方法。
[26]粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を添加することを含む、食品の製造方法。
[27]粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を含有する食品。
[28]粗製糖及びシステイン又はその塩を食品に添加すること、及び添加された食品を加熱することを含む、畜肉風味付与方法。
[29]粗製糖及びシステイン又はその塩を食品に添加すること、及び添加された食品を加熱することを含む、食品の製造方法。
 本発明の畜肉風味付与剤を利用することにより、畜肉材料を一切使用せずに、畜肉風味を食品に付与することができる。
 本発明によれば、畜肉摂取が制限されている人のためのアニマルフリー食品を提供することができる。
 本発明は、粗製糖及びシステイン又はその塩を加熱することを含む、畜肉風味付与剤の製造方法を提供する(以下本発明の製造方法と略することもある)。
 本発明において「畜肉風味」とは、畜肉(例、牛肉、豚肉、鶏肉等)や畜肉エキス(例、牛肉エキス、豚肉エキス、鶏肉エキス等)等の畜肉由来食材から感じられる特有の風味を意味し、特に畜肉を加熱等の調理に供した時に香る風味をいう。
 また畜肉風味の「付与」とは、畜肉の含有の有無によらず食品に畜肉風味を与えることを意味し、畜肉由来食品にあってはその風味を増強することも含む概念である。畜肉風味の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
 本発明で用いられる風味とは、香気、呈味、マウスフィール全体の官能品質を意味する。
 本発明で用いられる香気とは、鼻から直接香る香り(オルソネーザルフレーバー)及び飲食時の口腔内から鼻に抜ける香り(レトロネーザルフレーバー)を意味する。
 本発明で用いられる呈味とは、飲食時の口腔内で感じる五味(甘味・塩味・苦味・酸味・うま味)の強さを意味する。
 本発明で用いられるマウスフィールとは、口腔内で捉えることができる感覚を意味する。特に、味細胞で感知される化学感覚を除くものであり、例えば、あつみ、広がり、持続感などである。
 砂糖は、その製法により、原料となる植物を絞って得られる粗製糖(含蜜糖)と糖分をさらに精製して得られる精製糖(分蜜糖)に分けられる。また原料の植物としては、サトウキビ、テンサイ、サトウカエデ、オウギヤシ(サトウヤシ)、スイートソルガム(サトウモロコシ)などが挙げられ、その産地や由来は特に限定されない。
 本発明における粗製糖とは、前記植物の絞り汁を煮詰めて作る砂糖(含蜜糖)であり、通常サトウキビの絞り汁を煮詰めて作る砂糖を意味し、例えば黒糖(黒砂糖)、白下糖、カソナード(赤砂糖)、和三盆、ソルガム糖、メープルシュガーなどが挙げられる。なかでも精製度が低く、不純物を多く含有することが望ましいとの観点から、黒糖、加工黒糖、黒糖蜜が好ましく、黒糖がより好ましい。
 黒糖(黒砂糖)の組成は、四訂食品成分表(女子栄養大学出版部、70~73頁)などに記載のとおり、ショ糖を80%程度含み、カルシウム、カリウム、銅や亜鉛などのミネラル分やビタミンBやBやナイアシンなどのビタミン類も含まれる。
 本発明における粗製糖とは、慣用の方法によって製造されたものであっても市販品であってもよい。例えば、収穫したサトウキビ等を押しつぶしてジュースを絞り、そのジュースから必要に応じて不純物を取り除いて、煮詰めることによって製造される。
 本発明において使用するシステインは、L-体、D-体、これらの混合物(例えば、ラセミ体)の何れも使用可能であるが、好ましくは、L-体が用いられる。
 システインの塩としては、酸付加塩又は塩基付加塩の何れでもよい。酸付加塩としては、たとえば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸との塩;ギ酸、酢酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類との塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、たとえば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N-ベンジル-β-フェネチルアミン、1-エフェナミン、N,N′-ジベンジルエチレンジアミンなどの含窒素有機塩基との塩を挙げることができる。なかでも食品添加物として入手しやすいという観点から、塩酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムとの塩が好ましく、塩酸塩がより好ましい。
 またシステイン又はその塩は、未溶媒和型のみならず、水和物や溶媒和物としても存在することができ、その水和物又は溶媒和物は製造条件により任意の結晶形として存在することができる。
 本発明におけるシステイン又はその塩は、慣用の有機合成方法、酵素若しくは微生物を用いた生化学的手法、又はこれらを組み合わせた方法によって製造されたものであっても市販品であってもよい。
 本発明におけるシステインとしては、システイン又はシステイン含有原料由来システインが挙げられる。
 システイン含有原料としては、システイン、グルタミン酸及びグリシンからなるトリペプチドであるグルタチオン、グルタチオン含有酵母又はそのエキス、システイン高含有酵母又はそのエキス、シスチン、システイン高含有食品、又はそれらを含む素材などが挙げられ、これらのシステイン含有原料は単独で又は組み合わせて使用することができる。
 グルタチオン由来のシステインとは、システインの起源がグルタチオンであり、グルタチオンから得られたシステインを意味する。他も同様である。
 システイン高含有食品としては、システインを含有する植物、動物、菌類又はその加工物が挙げられ、例えば、レバーなどの肉類、魚類、鶏卵、にんにく、たまねぎ、ブロッコリー、芽キャベツなどが挙げられ、なかでも、たまねぎ、ニンニク、レバー等が好ましい。
 上記酵母、酵母エキスや素材はそのままで使用しても抽出・精製などの処理や酵素処理によって得られたものを使用してもよい。
 なかでも効果の得られやすさや扱いやすさの観点から、グルタチオン由来のシステイン、グルタチオン含有酵母エキス由来のシステイン、システイン高含有酵母エキス由来のシステイン、シスチン由来のシステイン、システイン高含有食品由来のシステインが好ましく、グルタミナーゼやペプチダーゼなどの酵素で処理したグルタチオン由来のシステイン、グルタチオン含有酵素処理酵母エキス由来のシステイン、ならびにシステイン高含有酵母エキス由来のシステインがより好ましい。
 本発明において、酵母エキスとは酵母の中の内容物を抽出して得られる液体、またはその液体をさらに乾燥して得られる粉末の総称である。システイン又はその塩を含有する酵母エキスとしては、Saccharomyces cerevisiae等のSaccharomyces属、Schizosaccharomyces pombe等のSchizosaccharomyces属、Candida utilis等のCandida属に属する酵母由来の酵母エキスが通常使用され、Saccharomyces属又はCandida属に属する酵母由来の酵母エキスが好ましい。
 本発明の製造方法において、システイン又はその塩として、グルタチオン由来のシステインやグルタチオン含有酵母又はそのエキスを使用する場合、加熱工程の前にそれらにグルタミナーゼ及びペプチダーゼなどの酵素を添加して酵素処理をする工程を含んでもよい。原理上、これらの酵素の反応によって、基質であるグルタチオンが分解され、グルタチオン由来システインを得ることができる。
 酵素処理としては、慣用の方法に基づいて行うことができる。酵素処理におけるシステイン及びシステイン含有素材の濃度、及び酵素の添加量は、酵素の種類など諸条件に応じて適宜設定することができる。例えば、システイン含有素材と酵素を混合後、pHを通常5~9、好ましくは6~7に調整する。pH調整後の混合物を、通常20~60℃、好ましくは40~55℃で、1~3時間の条件で酵素処理を行う。必要に応じて酵素の失活のため加熱工程や冷却工程を含んでもよい。
 本発明の製造方法において、加熱する粗製糖及びシステイン又はその塩の割合は、通常粗製糖1重量部に対して、システイン又はその塩は0.001~10重量部であり、適切な効果の得られやすさの観点から、好ましくは0.01~1重量部であり、より好ましくは0.05~0.5重量部である。システイン含有素材を用いる場合、システインの含有量(濃度)や添加量は、特記しない限り、当該素材中のシステインそのものの量に基づいて算出されるものとする。
 別の態様では、本発明の製造方法において、加熱する粗製糖及びシステイン又はその塩の割合は、適切な効果の得られやすさの観点から、粗製糖1重量部に対して、システイン又はその塩は通常0.0005重量部以上、好ましくは0.0008重量部以上、より好ましくは0.001重量部以上、さらに好ましくは0.01重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上である。上限は、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。システイン含有素材を用いる場合、システインの含有量(濃度)や添加量は、特記しない限り、当該素材中のシステインそのものの量に基づいて算出されるものとする。
 粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱方法は特に制限されず、例えば、粗製糖及びシステイン又はその塩の混合物を直接に加熱するものであってよく、あるいは、当該混合物を例えば溶媒、分散媒等の媒体に、溶解又は分散させた後、これを加熱するものであってもよい。当該混合物を媒体中で加熱する場合、静置条件下で加熱してよく、又はオイルバス、ニーダーのような加熱撹拌装置などを使用して、適宜、撹拌しながら加熱してもよい。
 媒体中で加熱する場合、本発明の方法においては、水、食用油、調味液などの媒体が使用され、不純物の少なさや扱いやすさの観点から、水が好ましく使用される。
 粗製糖及びシステインを媒体中に溶解した溶液のpHは、食品添加物規格の塩酸および水酸化ナトリウムなどを用いて、通常pH3~9、好ましくはpH4~8に調整する。
 別の態様では、粗製糖及びシステインを媒体中に溶解した溶液のpHは、食品添加物規格の塩酸および水酸化ナトリウムなどを用いて、通常pH2以上、好ましくはpH3以上、より好ましくはpH4以上であり、上限はpH9以下、好ましくはpH8以下に調整する。
 粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱温度は、加熱時間等に応じて適宜調整してよいが、適切な効果の得られやすさの観点から、通常80~150℃であり、好ましくは95~130℃であり、より好ましくは、95~120℃である。
 別の態様では、粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱温度は、加熱時間等に応じて適宜調整してよいが、適切な効果の得られやすさの観点から、通常60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは95℃以上であり、上限は、通常170℃以下、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。
 粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜調整してよいが、適切な効果の得られやすさの観点から、通常10~480分間であり、好ましくは20~300分間であり、より好ましくは30~180分間であり、特に好ましくは60分~120分間である。
 別の態様では、粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜調整してよいが、適切な効果の得られやすさの観点から、通常15分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上であり、上限は、通常200分以下、好ましくは190分以下、より好ましくは180分以下である。
 粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱は、常圧下で行ってよく、又は加圧下で行ってもよい。
 粗製糖及びシステイン又はその塩を媒体中で加熱した後、得られた加熱物は、媒体から分離して用いられてよく、または、例えば加熱に用いた媒体が食品材料として使用され得るもの等である場合は、得られた加熱物を媒体から分離せずに、当該媒体ごと用いられてもよい。さらに粗製糖及びシステイン又はその塩を食品中(例えば食肉のパテへの練りこみや食品の表面への塗布)で加熱することにより得られた加熱物は、食品から分離することなく用いることができる。
 本発明の製造方法においては、通常の畜肉風味付与素材において用いられる慣用の工程、例えば他の添加剤を添加する工程、濃縮工程、製剤化工程などが適宜加えられてもよい。
 本発明の製造方法においては、畜肉風味付与剤は食品全体に使用することができ、特に畜肉風味が要求される食品であれば特に限定されない。なかでも畜肉素材を使用していないことからアニマルフリー食品用として使用することができる。「アニマルフリー食品」とは、動物性の食材を使わない食品を意味し、例えば宗教上の理由や食嗜好などの食の制限に対応する食品などを意味する。
 本発明の別の態様として、粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を有効成分とする、畜肉風味付与剤(本明細書中、単に「本発明の付与剤」と称する場合がある)も挙げられる。
 本発明において用いられる「粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物」とは、粗製糖及びシステイン又はその塩を共加熱して得られる物質をいう(単に本発明における加熱物と略することもある)。
 粗製糖及びシステイン又はその塩の定義及び好適範囲は既述に準じる。
 加熱前の粗製糖とシステイン又はその塩の重量比は、畜肉風味や呈味を高めるという観点から、通常1:0.001~10、好ましくは1:0.01~1、より好ましくは1:0.05~0.5である。例えば当該割合の混合物を本発明の製造方法で述べた条件で加熱して本発明における加熱物は得られる。
 別の態様では、加熱前の粗製糖とシステイン又はその塩の重量比は、畜肉風味や呈味を高めるという観点から、通常1:0.0005~50、好ましくは1:0.0008~30、より好ましくは1:0.001~10、さらに好ましくは1:0.01~1である。例えば当該割合の混合物を本発明の製造方法で述べた条件で加熱して本発明における加熱物は得られる。
 本発明の付与剤の形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等が挙げられる。
 本発明の付与剤は、本発明における加熱物のみからなるものであってよく、本発明の付与剤の形態等に応じた慣用の基剤をさらに含有することもできる。
 本発明の付与剤の形態が液体状の場合の基剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。
 本発明の付与剤の形態が固体状の場合の基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロース及びグルコース等の各種糖類、蛋白質、ペプチド、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、及びそれらの混合物、また酵母菌体や各種の粉末エキス類等が挙げられる。
 本発明の付与剤は、本発明の目的を損なわない限り、本発明における加熱物に加えて、例えば、賦形剤、pH調整剤、酸化防止剤、増粘安定剤、甘味料(例、砂糖類等)、酸味料、香辛料、着色料等を更に含有してよい。
 本発明の付与剤の製造は、前記本発明の製造方法に準じて行い得る。本発明の付与剤は、例えば、濃縮処理、乾燥処理、脱色処理等を、単独で又は組み合わせて施されてもよい。
 本発明の付与剤は、食品の総重量に対して喫食時の濃度は、食品の種類や形態によって適宜変更されるが、通常1~100,000ppm、好ましくは10~10,000ppm、より好ましくは100~5,000ppmである。
 本発明において、喫食時の濃度とは、食品の調理後の喫食時点での濃度を指すが、加工食品など、喫食前に製品説明書に従って調理される食品にあっては、調理後の濃度を指すことを意図している。本発明において、食品には飲料及び各種調味料も含まれる。調味料の喫食時の濃度は、調味料が実際に食品に添加される濃度を勘案して計算される。
 本発明の付与剤の食品への混合時期に特に限定はなく、食品の製造前の原料としてだけでなく、製造中、完成後、喫食直前、喫食中など、いつ混合しても、食品に畜肉風味や呈味を付与する効果を得ることができる。
 本発明において、畜肉風味が付与される食品は特に限定されない。本発明の付与剤を使用する際は、調味料形態として食品への添加や、水や溶媒を用いて希釈してからの食品への添加、固形調味料、液体調味料の原料としての混合、加工食品、畜肉素材を全く含まない畜肉加工食品への原料としての混合等、利用形態に特に制限はない。
 具体例としては、畜肉風味が付与されることを所望されるものが好ましく、例えば、コンソメスープ(例、チキン、ポーク、ビーフ等)、洋風スープ、中華風スープ、カレー風味スープ、クリームスープ、オニオンスープ、ラーメンスープ、お吸い物、味噌汁等のスープ(乾燥スープを含む);ハム、ソーセージ、餃子、焼売、ハンバーグ、唐揚げ、とんかつ等の食肉加工食品;バター等の乳製品;チャーハン、ピラフ、カレー等の米飯加工食品;天然系調味料、風味調味料、メニュー用調味料、ドレッシング、ソース(例、デミグラスソース、中濃ソース、ホワイトソース、チーズソース、カルボナーラソース等)等の調味料;麺類、グラタン、コロッケなどのその他の加工食品;冷凍食品(上述の食品(例、餃子、焼売、チャーハン、ハンバーグ、唐揚げ、グラタン、とんかつ、コロッケ等)の冷凍品等)等、代替肉(例えばステーキ、焼き肉等)又は代替肉食品(上述の食品(例、餃子、焼売、チャーハン、ハンバーグ、唐揚げ、グラタン、とんかつ、コロッケ等)の畜肉を代替肉に置き換えた食品等)が挙げられる。
 代替肉とは、畜肉ではなく、大豆などの豆類やコメなどの植物性原料を使い肉の味や食感を再現して作られた、肉の替わりとなる植物ベースの食品を指す。
 また、魚介風味の付与もしくは増強されることを所望されるものも好ましく、例えば魚介スープ(例、ブイヤベース)、ソース(例、ペスカトーレ)、洋風スープ、中華風スープ、カレー風味スープ、ラーメンスープ、お吸い物、味噌汁等のスープ(乾燥スープを含む)、魚介のすり身等、代替魚介又は代替魚介食品(例、ツナ、魚介のすり身等)が挙げられる。
 更に、卵風味の付与もしくは増強されることを所望されるものも好ましく、洋風ソース(マヨネーズ等)、洋菓子(プリン、カステラ等)、代替卵又は代替卵食品(例、JUST Egg(JUST社))が挙げられる。
 本明細書中、「天然系調味料」とは、天然物を原料として、抽出、分解、加熱、発酵等の手法によって製造される調味料をいい、その具体例としては、鶏肉エキス、牛肉エキス、豚肉エキス、羊肉エキス等の各種畜肉エキス類;鶏がらエキス、牛骨エキス、豚骨エキス等の各種がらエキス類;オニオンエキス、白菜エキス、セロリエキス等の各種野菜エキス類;ガーリックエキス、唐辛子エキス、胡椒エキス、カカオエキス等の各種香辛料エキス類;酵母エキス類;各種タンパク加水分解物;醤油、魚醤、蝦醤、味噌等の各種発酵調味料等やその混合物、加工品(例、めんつゆ、ポン酢醤油等の醤油加工品等)等が挙げられる。「風味調味料」とは、食品に風味原料の香気、風味、味を付与するために用いられる調味料をいい、例えば、天然系調味料に砂糖類、食塩等を加えること等によって製造できる。風味調味料の具体例としては、鶏風味調味料、牛風味調味料、豚風味調味料等の各種畜肉風味調味料;各種香辛野菜風味調味料等が挙げられる。「メニュー用調味料」とは、特定のメニュー(中華メニュー等)の調理に適した調味料をいい、その具体例としては、中華合わせ調味料、合わせ調味料、汎用ペースト調味料、鍋物調味料、混ぜご飯の素、チャーハンの素、スパイスミックス等が挙げられる。
 上記食品のなかでも本発明の付与剤は、アニマルフリー食品にも好ましく適用される。例えば代替肉や代替肉食品に本発明の付与剤を使用することで、宗教上の理由や食嗜好上の制限を有する人へも食品を提供することができる。
 本発明の別の態様として、粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を食品に添加することを含む、畜肉風味付与方法(本明細書中、単に「本発明の付与方法」と称する場合がある)も挙げられる。
 本発明の付与方法において、粗製糖やシステイン又はその塩の定義及び好適範囲は既述に準じる。
 また粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物の定義及び好適範囲も既述に準ずる。
 本発明の付与方法において、食品に対する本発明における加熱物の添加濃度は、食品の総重量に対する喫食時の濃度と同じであることが望ましく、通常1~100,000ppm、好ましくは10~10,000ppm、より好ましくは100~5,000ppmである。
 本発明の付与方法において、付与する食品の定義及びその好適範囲は既述に準ずる。
 本発明の別の態様として、粗製糖及びシステイン又はその塩を食品に添加すること、及び添加された食品を加熱することを含む、畜肉風味付与方法も挙げられる(第2の付与方法とも称する)。
 上記食品中に粗製糖及びシステイン又はその塩を添加後加熱することにより食品全体に畜肉風味が付与される。例えば粗製糖及びシステイン又はその塩を代替肉のパテなどに練りこむことや代替肉や食品の表面に塗布してから加熱することにより食品に畜肉風味を付与することができる。食品としては上記に挙げた食品であれば特に限定されないが、代替肉又は畜肉を代替肉に置き換えた代替肉食品等が好ましい。
 第2の付与方法において、食品を加熱する加熱温度は、加熱時間等に応じて適宜調整してよいが、適切な効果の得られやすさの観点から、通常60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは95℃以上であり、上限は、通常300℃以下、好ましくは260℃以下、より好ましくは240℃以下、さらに好ましくは170℃以下、特に好ましくは160℃以下、最も好ましくは150℃以下である。
 食品の加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜調整してよいが、適切な効果の得られやすさの観点から、通常1分以上、好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上、さらに好ましくは15分以上、特に好ましくは20分以上、最も好ましくは30分以上であり、上限は、通常200分以下、好ましくは190分以下、より好ましくは180分以下、さらに好ましくは40分以下、特に好ましくは30分以下、より特に好ましくは20分以下、最も好ましくは10分以下である。
 食品の加熱は、常圧下で行ってよく、又は加圧下で行ってもよい。
 第2の付与方法において、食品に対する粗製糖及びシステイン又はその塩の合計の添加濃度は、通常1~100,000ppm、好ましくは10~10,000ppm、より好ましくは100~5,000ppmである。
 第2の付与方法において、粗製糖やシステイン又はその塩の定義及び好適範囲、食品の定義及びその好適範囲は既述に準ずる。
 本発明の別の態様として、粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を添加することを含む、食品の製造方法(本明細書中、単に「本発明の食品の製造方法」と称する場合がある)も挙げられる。
 本発明の食品の製造方法において、粗製糖やシステイン又はその塩の定義及び好適範囲は既述に準じる。
 また粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物の定義及び好適範囲も既述に準ずる。
 本発明の食品の製造方法において、食品に対する本発明における加熱物の添加濃度は、食品の総重量に対する喫食時の濃度と同じであることが望ましく、通常1~100,000ppm、好ましくは10~10,000ppm、より好ましくは100~5,000ppmである。
 本発明の食品の製造方法において、製造する食品の定義及びその好適範囲は既述に準ずる。
 本発明の別の態様として、粗製糖及びシステイン又はその塩を食品に添加すること、及び添加された食品を加熱することを含む、食品の製造方法も挙げられる(第2の製造方法とも称する)。
 上記食品中に粗製糖及びシステイン又はその塩を添加後加熱することにより畜肉風味が付与された食品を製造することができる。例えば粗製糖及びシステイン又はその塩を代替肉のパテなどに練りこむことや代替肉や食品の表面に塗布することにより添加してから加熱することにより畜肉風味が付与された食品を製造することができる。
 第2の製造方法において、粗製糖やシステイン又はその塩の定義及び好適範囲、粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱条件の定義及び好適範囲、食品に対する粗製糖及びシステイン又はその塩の合計の添加濃度、ならびに食品の定義及びその好適範囲は第2の付与方法に準ずる。
 本発明の別の態様として、粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を含有する食品(本明細書中、単に「本発明の食品」と称する場合がある)も挙げられる。
 本発明の食品において、粗製糖やシステイン又はその塩の定義及び好適範囲は既述に準じる。
 また粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物の定義及び好適範囲も既述に準ずる。
 本発明の食品において、食品中の本発明における加熱物の濃度は、食品の総重量に対する喫食時の濃度と同じであることが望ましく、通常1~100,000ppm、好ましくは10~10,000ppm、より好ましくは100~5,000ppmである。
 本発明の食品において、食品の定義及びその好適範囲は既述に準ずる。
 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の実施範囲はこれらの例によってなんら限定されるものではない。尚、本明細書において、「%」及び「ppm」と記載されている場合は、特に断りのない限りそれぞれ「重量%」及び「重量ppm」を意味する。
[実施例1]
1.畜肉エキス(ボイルチキンエキス)の調製
(1)1/4にカットした丸鶏(株式会社新倉から購入)を灰汁取りしながら強火で2分間下茹でした後、流水で血合いを除去した。
(2)下茹でした丸鶏4.0kgと水6.5Lを寸胴鍋に投入した。
(3)沸騰するまで灰汁と脂を適宜除きながら、強火で加熱した。
(4)沸騰したら微沸騰を保ち、灰汁と脂を適宜除きながら4時間煮込んだ。
(5)煮込み後、クッキングペーパーを挟んだシノワで鶏だしを濾過した。
(6)室温冷却後、上層の脂を除去し、ボイルチキンエキスとした。
2.酵素処理グルタチオンの調製
(1)グルタチオン含有酵母エキス(Angel Yeast Co., Ltd.)、グルタミナーゼ及びペプチダーゼ(いずれも天野エンザイム(株))を表1に示す配合割合で各原料をビーカーに計量した。
(2)スターラーおよびスターラーバーを用いて撹拌混合・溶解した。
(3)食品添加物規格の塩酸および水酸化ナトリウムを用いてpH7.0に調整した。
(4)遠沈管に移して蓋をした後、50℃で2時間湯煎加熱を行い、酵素処理グルタチオン含有酵母エキスとした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
3.各評価試験区の調製
(1)表2に示す配合割合で各原料をビーカーに計量した。
(2)スターラーおよびスターラーバーを用いて撹拌混合・溶解した。
(3)食品添加物規格の塩酸および水酸化ナトリウムを用いてpH5.0に調整した。
(4)耐熱バイアルに移して密閉し、オイルバスを用いて95℃で2時間加熱を行った。
(5)流水冷却後、各評価試験区サンプルとした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
4.官能評価
(1)表2の各評価サンプルを65℃の湯に1.0重量%溶かした。
(2)5名の専門パネルにより以下の基準で官能評価を行った。
 肉の呈味・マウスフィール(肉の甘味、酸味、うま味、あつみ)、肉の香気(肉の獣臭さ、焦げ香、ボイル肉香)、総合的な畜肉風味(肉の呈味・マウスフィールと肉の香気が共に付与されている状態)について、5名の専門パネルにて官能評価を実施した。調製した畜肉エキス(ボイルチキンエキス)をポジティブコントロールとし、ポジティブコントロールの畜肉エキスとの品質が遠い「-」、やや近い「+」、近いを「++」とした。5名の専門パネルの評価の平均を以下の表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 黒糖×システイン、および黒糖×酵素処理グルタチオンの試験区では、すべての項目において畜肉風味が肉に近い品質となった。
 一方、糖質としてキシロースを使用した試験区では効果が得られなかった。
[実施例2]
1.畜肉エキス(ボイルチキンエキス)の調製
 実施例1と同じ方法でボイルチキンエキスを調製した。
2.各評価試験区の調製
 表4に示す配合割合で実施例1と同様の方法で各評価試験区サンプルを調製した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
3.官能評価
(1)表4の各評価サンプルを実施例1と同様に65℃の湯に1.0重量%溶かした。
(2)5名の専門パネルにより、実施例1と同様の基準で官能評価を行った。5名の専門パネルの評価の平均を以下の表5に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 効果強度の違いはあるが、いずれの黒糖・加工黒糖においても畜肉感付与の効果があることを確認した。
[実施例3]
1.畜肉エキス(ボイルチキンエキス)の調製
 実施例1と同じ方法でボイルチキンエキスを調製した。
2.各評価試験区の調製
(1)表6に示す配合割合で各原料をビーカーに計量した(黒糖は三井製糖社製「黒砂糖」、システイン(Cys塩酸塩)は日本プロテイン社製「システイン塩酸塩」を用いた)。
(2)スターラーおよびスターラーバーを用いて撹拌混合・溶解した。
(3)食品添加物規格の塩酸および水酸化ナトリウムを用いて、表6に記載の通りにpHを調整した。
(4)耐熱バイアルに移して密閉し、オイルバスを用いて、表6に記載の通りの温度・時間で加熱を行った。
(5)流水冷却後、各評価試験区サンプルとした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
3.官能評価
(1)表6の各評価サンプルを実施例1と同様に65℃の湯に1.0重量%溶かした。
(2)5名の専門パネルにより、実施例1と同様の基準で官能評価を行った。総合的な畜肉風味(肉の呈味・マウスフィールと肉の香気が共に付与されている状態)の結果を下表に示す。5名の専門パネルの評価の平均を以下の表7~13に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
 本発明によれば、畜肉材料を使用しないで食品に畜肉風味を効果的かつ簡便に付与しうる組成物が提供される。
 本出願は日本で出願された特願2021-051775を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (29)

  1.  粗製糖及びシステイン又はその塩を加熱することを含む、畜肉風味付与剤の製造方法。
  2.  粗製糖が黒糖である、請求項1に記載の製造方法。
  3.  システインがシステイン含有原料由来システインである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4.  システイン含有原料が、グルタチオン、グルタチオン含有酵母エキス、システイン含有酵母エキス、シスチン及びシステイン高含有食品からなる群から選択される、請求項3に記載の製造方法。
  5.  グルタチオンが酵素処理されている、請求項4に記載の製造方法。
  6.  粗製糖1重量部に対してシステイン又はその塩0.0005~50重量部を加熱する、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7.  加熱温度が、60~170℃である、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8.  加熱時間が、15~200分間である、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9.  畜肉風味付与剤が、アニマルフリー食品用である、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10.  粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を有効成分とする、畜肉風味付与剤。
  11.  粗製糖が黒糖である、請求項10に記載の付与剤。
  12.  システインがシステイン含有原料由来システインである、請求項10又は11に記載の付与剤。
  13.  システイン含有原料が、グルタチオン、グルタチオン含有酵母エキス、システイン含有酵母エキス、シスチン及びシステイン高含有食品からなる群から選択される、請求項12に記載の付与剤。
  14.  グルタチオンが酵素処理されている、請求項13に記載の付与剤。
  15.  加熱前の粗製糖とシステイン又はその塩の重量比が1:0.0005~50である、請求項10~14のいずれか1項に記載の付与剤。
  16.  食品に対する付与剤の喫食時の濃度が1~100,000ppmである、請求項10~15のいずれか1項に記載の付与剤。
  17.  アニマルフリー食品用である、請求項10~16のいずれか1項に記載の付与剤。
  18.  粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を食品に添加することを含む、畜肉風味付与方法。
  19.  粗製糖が黒糖である、請求項18に記載の方法。
  20.  システインがシステイン含有原料由来システインである、請求項18又は19に記載の方法。
  21.  システイン含有原料が、グルタチオン、グルタチオン含有酵母エキス、システイン含有酵母エキス、シスチン及びシステイン高含有食品からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
  22.  グルタチオンが酵素処理されている、請求項21に記載の方法。
  23.  加熱前の粗製糖とシステイン又はその塩の重量比が1:0.0005~50である、請求項18~22のいずれか1項に記載の方法。
  24.  食品に対する加熱物の添加濃度が1~100,000ppmである、請求項18~23のいずれか1項に記載の方法。
  25.  食品がアニマルフリー食品である、請求項18~24のいずれか1項に記載の方法。
  26.  粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を添加することを含む、食品の製造方法。
  27.  粗製糖及びシステイン又はその塩の加熱物を含有する食品。
  28.  粗製糖及びシステイン又はその塩を食品に添加すること、及び添加された食品を加熱することを含む、畜肉風味付与方法。
  29.  粗製糖及びシステイン又はその塩を食品に添加すること、及び添加された食品を加熱することを含む、食品の製造方法。
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