JP3741631B2 - 基板処理装置のスケジュール作成・実行方法及びそのプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウエハや液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に基板と称する)に所定の処理を施す基板処理装置のスケジュール作成・実行方法及びそのプログラムに係り、特に、コンピュータ・シーケンサ間で通信を行ないつつ制御を行なう技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の基板処理装置のスケジュール作成・実行方法として、ある処理工程が完了したことを受けて次の処理工程を行なうというイベント駆動型が挙げられる。つまり、純水洗浄処理部や搬送機構などのリソースを直接制御するシーケンサと、このシーケンサを制御するコンピュータとが通信を行ないながら、レシピに基づき先の処理が完了したことを受けて次の処理を行なうようにして順次に基板に処理を施してゆく。
【0003】
例えば、純水洗浄処理部において純水洗浄処理を終えた基板がある場合には、純水洗浄処理が終わったことを示す処理の完了報告がシーケンサからコンピュータに伝えられる。これを受けたコンピュータはレシピを参照し、乾燥処理部に対する準備開始コマンドをシーケンサに対して発行する。すると、シーケンサは、その指示に基づき乾燥処理部での処理に備えた準備を開始する。そして、乾燥処理部の準備が完了した場合には、シーケンサからコンピュータに準備完了の報告がなされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の方法は、処理の完了報告がシーケンサからコンピュータに伝えられ、これを受けたコンピュータが次のコマンドをシーケンサに対して発行するまでに時間を要する。この時間が待ち時間となってスループットを低下させるという問題がある。なお、この待ち時間は短いものであるが、一般的にレシピには多くの処理工程が含まれているので蓄積することで長い待ち時間となる。したがって、待ち時間を抑制することは重要な課題である。
【0005】
さらに、上記の待ち時間は、コンピュータとシーケンサの間における通信時間及びコンピュータにおける処理時間に依存している。そのためこれらは変動することがあり、ロット毎に待ち時間が揺らぐことになるのでプロセスの再現性が低くなる恐れがある。
【0006】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、予め作成したタイムテーブルに基づき処理を実行することにより待ち時間を抑制するとともに、補正時間を付加することにより揺らぎを吸収してプロセスの再現性を向上することができる基板処理装置のスケジュール作成・実行方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、各リソースを制御するシーケンサと、このシーケンサを制御するコンピュータとを備え、これらの間でコマンド発行及びコマンドに対応する完了報告を含む通信を行ないつつ各リソースを使用して基板に対する処理を行なう基板処理装置のスケジュール作成・実行方法において、前記コンピュータは、基板に対する処理を実際に開始する前に、各リソースの使用タイミングを予めタイムテーブルとして作成するとともに、前記コンピュータは、前記タイムテーブルについて、コンピュータ・シーケンサ間における通信時間を見込んでリソースの処理工程に係るコマンドの発行タイミングを早め、かつ、リソースの処理工程のうち、処理済みの基板を待機させることができる許容時間を有する処理工程に対して、実行タイミングのズレを吸収する予め決められた補正時間を付加しておき、 前記タイムテーブルに基づき実際に処理を実行する際に、通信時間及びリソースの処理工程の実行時間に起因するタイムテーブルとのずれを前記補正時間を用いて調整することを特徴とするものである。
【0008】
(削除)
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の基板処理装置のスケジュール作成・実行方法において、前記リソースの処理工程は純水洗浄処理工程を含んでおり、純水洗浄処理工程の後に補正時間が付加されることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、各リソースを制御するシーケンサと、このシーケンサを制御するコンピュータとを備え、これらの間でコマンド発行及びコマンドに対応する完了報告を含む通信を行ないつつ各リソースを使用して基板に対する処理を行なう基板処理装置のスケジュール作成・実行プログラムにおいて、基板に対する処理を実際に開始する前に、各リソースの使用タイミングを予めタイムテーブルとして作成するとともに、前記コンピュ ータは、前記タイムテーブルについて、コンピュータ・シーケンサ間における通信時間を見込んでリソースの処理工程に係るコマンドの発行タイミングを早め、かつ、リソースの処理工程のうち、処理済みの基板を待機させることができる許容時間を有する処理工程に対して、実行タイミングのズレを吸収する予め決められた補正時間を付加しておき、前記タイムテーブルに基づき実際に処理を実行する際に、通信時間及び処理工程の実行時間に起因するタイムテーブルとのずれを前記補正時間を用いて調整するようにコンピュータを制御することを特徴とするものである。
【0011】
【作用】
請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。
すなわち、コンピュータは、コンピュータ・シーケンサ間の通信時間の遅れを見込んでコマンドの発行タイミングを早め、かつ処理済みの基板を待機させることができる許容時間を有する処理工程に対して、実行タイミングのズレを吸収する予め決められた補正時間を付加して、各リソースの使用タイミングを規定したタイムテーブルを基板に対する処理前に作成する。予めタイムテーブルを作成することにより、どの時点でリソースの処理工程の準備を開始しておけばよいかがわかるので、処理工程の準備作業とその前の処理工程とを重複させて配置可能である。実際にタイムテーブルに基づき処理を行なうと、通信時間の遅れや処理工程の実行時間に揺らぎに起因して、タイムテーブルと実際の実行タイミングがずれてくる。このずれを補正時間によって吸収するので、補正時間の後の処理工程はタイムテーブルと同期がとられた状態となる。
【0012】
なお、リソースとは、例えば、基板を搬送する搬送機構、オゾンを含んだ処理液で基板を洗浄する純水洗浄処理部、加熱した純水を供給する温水ユニット、薬液を含んだ処理液で基板を洗浄する薬液処理部、基板を加熱する加熱処理部などを含むものである。
【0013】
(削除)
【0014】
請求項2記載の発明によれば、処理後に純水中で基板を待機させることが可能な純水洗浄処理工程を許容時間を有する処理工程とし、その後に補正時間を付加することで、純水洗浄処理の後の処理工程はタイムテーブルに同期した状態となる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、プログラムとして上記の請求項1と同様の作用を生じる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明する。
図1及び図2はこの発明の一実施例に係り、図1は実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図であり、図2はそのブロック図である。
【0017】
この基板処理装置は、例えば、基板Wに対して薬液処理及び純水洗浄処理及び乾燥処理を施すための装置である。基板Wは複数枚(例えば25枚)がカセット1に対して起立姿勢で収納されている。未処理の基板Wを収納したカセット1は、投入部3に載置される。投入部3は、カセット1を載置される載置台5を二つ備えている。基板処理装置の中央部を挟んだ投入部3の反対側には、払出部7が配備されている。この払出部7は、処理済みの基板Wをカセット1に収納してカセット1ごと払い出す。このように機能する払出部7は、投入部3と同様に、カセット1を載置するための二つの載置台9を備えている。
【0018】
投入部3と払出部7に沿う位置には、これらの間を移動可能に構成された第1搬送機構11が配置されている。第1搬送機構11は、投入部3に載置されたカセット1ごと複数枚の基板Wを第2搬送機構13に対して搬送する。
【0019】
第2搬送機構13は、収納されている全ての基板Wをカセット1から取り出した後、第3搬送機構15に対して全ての基板Wを搬送する。また、第3搬送機構15から処理済みの基板Wを受け取った後に、基板Wをカセット1に収容して第1搬送機構11に搬送する。
【0020】
第3搬送機構15は、基板処理装置の長手方向に向けて移動可能に構成されており、上述した第2搬送機構13との間で基板Wの受け渡しを行なう。上記第3搬送機構15の移動方向における最も手前側には、乾燥処理部17が配備されている。この乾燥処理装置17は、例えば、低圧のチャンバ内に基板Wを収納して乾燥させる。
【0021】
第3搬送機構15の移動方向であって上記乾燥処理部17に隣接する位置には、第1処理部19が配備されている。この第1処理部19は、複数枚の基板Wに対して純水洗浄処理を施すための純水洗浄処理部21を備えているとともに、複数枚の基板Wに対して薬液処理を施すための薬液処理部23を備えている。
【0022】
第1副搬送機構25は、第1処理部19内での基板搬送の他に、第3搬送機構15との間で基板Wを受け渡しする。純水洗浄処理部21の上方に位置する非処理位置では、第3搬送機構15との間で基板Wを受け渡す動作が行なわれる一方、薬液処理部23の上方に位置する非処理位置では、基板Wの受け渡しは行なわれない。また、基板Wを処理する際には、純水洗浄処理部21や薬液処理部23の槽内に位置する処理位置にまで下降する。第2副搬送機構53は、上記の第1副搬送機構25と同様の機能を有し、純水洗浄処理部49と薬液処理部51を備えた第2処理部47内での基板搬送等を行なう。
【0023】
第1搬送機構11と第2搬送機構13に隣接する位置には、バッファ装置71が配備されている。このバッファ装置71は、第2搬送機構13と基板Wを受け渡しする機能を備え、スケジュールの対象外である複数枚の基板W(以下、ロットと称する)を一時的に収容する。そして、そのロットがスケジュールの対象となった時点で第2搬送機構13によって受け取られて搬送される。
【0024】
上記のように構成されている基板処理装置は、図2のブロック図に示すようにシーケンサ73及びコンピュータ74によって統括的に制御される。
【0025】
シーケンサ73(あるいはプログラマブル・コントローラとも呼ばれる)は、CPU等を含み、コンピュータ74と通信しつつその指示に基づき上述した各構成を制御する。また、コンピュータ74からの指示は、処理工程に係る「コマンド発行」という形で行なわれ、この指示に基づきシーケンサ73は各構成のリソースを制御する。そして、その制御が完了したことは、シーケンサ73からコンピュータ74に対して「完了報告」という形でなされる。コンピュータ74とシーケンサ73との間の通信には「通信遅れ時間」が存在し、しかもその時間には「揺らぎ」が存在しており、常に同じ通信遅れ時間になるとは限らない。
【0026】
コンピュータ74は、以下に説明するスケジュール作成プログラムに相当する手順に基づき、レシピに応じて各リソースの使用タイミングを「タイムテーブル」という形で予め決定する。その後、実際にロットを処理するにあたり、作成されたタイムテーブルに基づき各リソースを使用してレシピに応じた処理をロットに対して施す。処理工程は、レシピに応じて予め決まっているので、ある処理工程を実施する際には何時何分何秒に処理が開始されれば、その何分何秒後には処理が完了するかがわかる。しかしながら、実際には処理工程にも「揺らぎ」が存在する。例えば、搬送工程においては、第3搬送機構15の移動が通常よりも長くかかったり、純水洗浄工程においては、純水洗浄処理部21における排水が通常よりも長くかかったりすることがある。
【0027】
コンピュータ74は、上記の通信遅れ時間を見込んで早めにコマンド発行を行なうとともに、処理工程及び通信遅れ時間の揺らぎによってタイムテーブルと実際のタイミングとのずれを同期させるために、タイムテーブルに補正時間を付加する点が特徴的となっている。処理にあたっては、補正時間を用いて「ずれ」を吸収して補正する。その補正時間は、処理済みのロットを待機させることができる「許容時間」を有する処理工程に対して付加することが好ましい。例えば、純水洗浄工程では、洗浄処理後にロットを純水中で待機させることができるので、その間に補正時間を用いて補正することができる。
【0028】
記憶部75には、この基板処理装置のユーザによって予め作成され、ロットをどのようにして処理するかを規定した複数種類のレシピと、スケジュール作成プログラムと、作成されたスケジュールと、スケジュールを実行する処理プログラム等が予め格納されている。
【0029】
図3及び図4に示すタイムテーブルの一部を示すタイムチャートを参照しながらスケジュール作成プログラムに相当する手順について説明するが、理解を容易にするためにレシピの一部を例に採って説明する。
【0030】
<例1>
図3を参照する。
この例に示すレシピの一部は、ロットを純水洗浄した後に、第3搬送機構15で乾燥処理部17に搬送して乾燥処理を施すというものである。
【0031】
まず、純水洗浄処理のために時間t0〜t4の間、ステップS1でリソースとしての純水洗浄処理部21が使用されるように計画する。このステップS1には、t4〜t7にわたってステップS1aが補正時間として付加されている。この補正時間は、例えば、5秒程度である。
【0032】
また、このステップS1の後には、第3搬送機構15による搬送が控え、さらに乾燥処理部17による乾燥処理が控えていることがレシピから分かるので、乾燥処理部17による処理に必要な準備を並行して実施するように計画する。つまり、時間t3〜t4の間、ステップS2で乾燥処理部17の準備が行なわれるように配置する。このステップS2には、ステップS1の補正時間であるステップS1aと同様に、補正時間としてステップS2aが付加されている。
【0033】
このように処理が計画されるとともに、乾燥処理部17の準備を開始したい時間t3に間に合うように、予め通信時間の遅れを見込んだ時間t2でコンピュータ74からシーケンサ73に対して準備開始コマンドC1が発行されるように計画される。なお、ステップS2bは、乾燥処理部17のリソースが他のロットに使用されないように予約するといった意味合いで、準備開始コマンドC1の発行タイミングより少し前から配置される補正時間である(時間t1〜t3)。
【0034】
これにより、準備開始コマンドC1の発行により乾燥処理部17が準備を開始し、準備が整うはずである時点t4においてシーケンサ73から準備完了報告R2がコンピュータ74に対してなされるとともに、純水洗浄処理が完了する時点t4において処理完了報告R1がなされる。
【0035】
時間t7〜t10には、ステップS3がリソースとしての第3搬送機構15を使用するように配置される。このステップS3の前には、時間t7で第3搬送機構15が動作開始できるように、通信時間の遅れを見込んだ時間t6で搬送コマンドC2が発行されるように計画される。ステップS3aは、第3搬送機構15が他のロットに使用されないように予約するといった意味合いで、搬送コマンドC2の発行タイミングより少し前から配置される補正時間である(時間t7〜t10)。
【0036】
第3搬送機構15による搬送が時間t10に終わる予定であるので、時間t10にて搬送完了報告R3がシーケンサ73からコンピュータ74に対してなされる。続いて、時間t10〜t14にわたって乾燥処理部17を使用するように乾燥処理のためのステップS4を配置する。
【0037】
また、基板に対しての乾燥処理部17における直接的な処理である乾燥処理作業に付随する動作をブランチリソースとして定義している。このブランチリソースは、ステップS4に付随する動作として、時間t10〜t12にわたってステップS5で使用されるように配置する。さらに、他のロットに使用されないように、補正時間としてステップS5aを時間t9〜t10に配置し、補正時間としてステップS5bを時間t12〜t13に配置する。このブランチリソースの使用タイミングにあわせ、通信遅れ時間も見込み、時間t9でシーケンサ73に対してコマンドが届くように時間t8で処理コマンドC3を発行する。
【0038】
このようにして作成されたタイムテーブルは記憶部75に格納され、コンピュータ74によってスケジュールとして実行される。実際にこのスケジュールが実行される際には、準備コマンドC1に係る通信遅れ時間やステップS1,S2の実行時間に揺らぎが生じることがあるので、常にタイムテーブル通りに実際の処理が進むとは限らない。例えば、ステップS1,S2がタイムテーブルよりも遅れたとする。そのような場合でも補正時間S1a,S2a,S3aによって吸収することができ、ステップS3の開始時点t7にて同期をとることができる。
【0039】
なお、ステップS3,S4等においても揺らぎに起因するタイムテーブルに対する遅れなどが生じることがあるが、上記のような処理工程を複数有するレシピの中に数カ所の上記補正時間を設けるようにすれば、「ずれ」が蓄積することを防止できる。
【0040】
このようにコマンドの発行タイミングを早めるとともに補正時間を処理工程に付加したタイムテーブルを予め作成するので、処理工程の準備作業であるステップS2とその前の処理工程であるステップS1とを重複させて配置可能である。そのため待ち時間を抑制あるいはなくすことができる。
【0041】
また、上述したようなタイムテーブル方式で処理を行なうと、通信遅れ時間や処理工程の実行時間に揺らぎに起因してタイムテーブルと実際の実行タイミングがずれてくるが、補正時間S1a,S2a,S3aによって吸収することにより補正時間の後の処理工程であるステップS3をタイムテーブルに対して同期させることができる。そのため揺らぎの影響を抑制することができ、各処理工程をほぼタイムテーブル通りに実行できるので、プロセスの再現性を向上できる。
【0042】
<例2>
図4を参照する。
この例に示すレシピの一部は、ロットを純水洗浄した後に、第1副搬送機構25で薬液処理部23に搬送して薬液処理を施す、その後に純水洗浄処理を施すというものである。
【0043】
まず、時間t0〜t1にわたってステップS10でリソースとしての純水洗浄処理部21が使用される。このステップS10の後には、補正時間S10aが時間t1〜t5にわたって付加される。時間t1には、シーケンサ73からコンピュータ74に対して、処理完了報告R11がなされるとともに、コンピュータ74からシーケンサ73に対して時間t2において処理コマンドC11が発行される。なお、説明の都合上、ステップS10に対するコマンド発行は省略してある。
【0044】
第1副搬送機構25は、時間t5〜t6にわたってステップS11で使用されるように計画され、その前にリソースの予約の意味合いで補正時間としてステップS11aが配置される。さらに、第1副搬送機構25が時間t5にて動作開始されることに先だって、時間t3においてシーケンサ73に対して搬送コマンドC12が発行される。
【0045】
第1副搬送機構25による基板の搬送が完了する時間t6において薬液処理部23の処理が開始されるように、時間t6〜t9にわたってリソースとしての薬液処理部23が使用されるステップS12が配置される。さらに、第1副搬送機構25が使用されるステップS13が時間t9〜t11にわたって配置され、純水洗浄処理部21が使用されるステップS14が時間t11〜t13にわたって配置される。また、薬液処理部23の処理完了報告R12は時間t9にて行なわれ、第1副搬送機構25の搬送完了報告R13は時間t11にて行なわれる。純水洗浄処理部21への処理開始コマンドC13は、時間t7にて前もって発行するように配置する。
【0046】
このようにして作成されたタイムテーブルに従って実際に処理を実行し、補正時間S10a,S11aにて同期をとるようにする。これにより例2に示すレシピの一部であっても、上述した例1と同様に、待ち時間を抑制するとともに補正時間により揺らぎを吸収してプロセスの再現性を向上することができる。
【0047】
<従来例との比較>
従来例と実施例(例1)を比較した図5のタイムチャートを参照する。これは、上述した例1と同様のレシピの一部であり、例1については二点鎖線で示している。
【0048】
従来例では、時間t0〜t1でステップS30を実行し、時間t1で純水洗浄処理部21における処理が完了するので、この時点で処理完了報告R31がコンピュータ74に対して送られる。これを受けたコンピュータ74は、レシピを参照して次の処理に応じた乾燥処理部17の準備開始コマンドC31をシーケンサ73に対して与える。つまり、時間t1〜t4は待ち時間となる。時間t4〜t5でステップS31を実行し、乾燥処理部17の準備が完了した時点t5にて準備完了報告R32を行なう。これを受けたコンピュータ74は、時間t7にて搬送コマンドC32の発行を行い、時間t8〜t9にてステップS32を実行する。そして、第3搬送機構15による搬送が完了した時点t9にて搬送完了報告R33を行なう。次に、コンピュータ74は処理開始コマンド発行C33を発行する。これにより時間t12〜t14にわたりステップS33でリソースとしての乾燥処理部17を使用するとともに、時間t12〜t13にわたってステップS34でブランチリソースを使用する。
【0049】
このような動作を行なう従来例では、ハッチングで示した待ち時間が処理ごとに生じてしまい、スループットを低下させていることがわかる。その一方、二点鎖線で示す本発明によると、同じ処理を行なっているにもかかわらず、タイムテーブル方式の採用により待ち時間が抑制され、従来例に比較して処理が時間T分早く完了することがわかる。また、補正時間を付加することで揺らぎを吸収するので、プロセスの再現性も向上する。
【0050】
なお、上記の説明においては理解の容易のために、レシピの一部の処理工程だけを例に採って、単一のロットを処理するものとして説明した。本発明は、予め処理の前にスケジュールを作成してから実際の処理を行なうのであれば適用可能であるが、複数のロットを並行して処理する場合には次のようなスケジュール作成方法が好ましい。
【0051】
すなわち、基板に処理を施すための処理部を複数個備えた基板処理装置によって複数のロットを処理するにあたり、複数の処理工程を含むレシピに基づいて各々のロットを各処理部で順次に処理するために各ロットの処理順序を決定する基板処理装置のスケジュール作成方法において、いずれかのロットについて最初の処理工程を配置した後、各ロットの次なる処理工程のうち、各々の前の処理工程における終了予定時刻が最も早いロットに対する処理工程を次の処理工程として配置するのである。
【0052】
この方法における処理工程とは、例えば、純水洗浄処理部21における処理と、第3搬送機構15における処理と、乾燥処理部17における処理とを含む工程などのことである。
【0053】
この方法によれば、予めスケジュールすることで前の処理工程の後作業と、その後の処理工程の前作業とを重複させて配置することができるとともに、配置可能な処理工程のうち前の処理工程が早く終わるロットの処理工程を次の処理工程として選択して配置することで、次の処理工程が終了するまでの時間を短縮することができる。したがって、基板処理装置の処理部を有効利用することができるので、待機時間を抑制して稼働率を向上することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、コマンドの発行タイミングを早めるとともに補正時間をリソースの処理工程に付加したタイムテーブルを予め作成するので、処理工程の準備作業とその前の処理工程とを重複させて配置可能である。したがって、待ち時間を抑制あるいはなくすことができる。
【0055】
また、タイムテーブル方式で処理を行なうと、通信時間の遅れや処理工程の実行時間に揺らぎに起因してタイムテーブルと実際の実行タイミングがずれてくるが、補正時間によって吸収することにより補正時間の後の処理工程をタイムテーブルに対して同期させることができる。そのため揺らぎの影響を抑制することができ、各処理工程をほぼタイムテーブル通りに実行できるので、プロセスの再現性を向上させることが可能である。
【0056】
(削除)
【0057】
請求項2に記載の発明によれば、純水洗浄に係る処理工程の後に補正時間を付加することで、純水洗浄処理の後の処理工程をタイムテーブルに同期させることができる。
【0058】
請求項3に記載の発明によれば、プログラムとして請求項1と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図である。
【図2】 実施例に係る基板処理装置の概略構成を示したブロック図である。
【図3】 スケジュール例のタイムテーブルの一部を示すタイムチャートである。
【図4】 スケジュール例のタイムテーブルの一部を示すタイムチャートである。
【図5】 従来例と比較したタイムチャートである。
【符号の説明】
W … 基板
1 … カセット
11 … 第1搬送機構
13 … 第2搬送機構
15 … 第3搬送機構
17 … 乾燥処理部
19 … 第1処理部
21 … 純水洗浄処理部
23 … 薬液処理部
25 … 第1副搬送機構
47 … 第2処理部
49 … 純水洗浄処理部
51 … 薬液処理部
53 … 第2副搬送機構
73 … シーケンサ(スレーブ)
74 … コンピュータ(マスター)
75 … 記憶部
S1a … ステップ(補正時間)
Claims (3)
- 各リソースを制御するシーケンサと、このシーケンサを制御するコンピュータとを備え、これらの間でコマンド発行及びコマンドに対応する完了報告を含む通信を行ないつつ各リソースを使用して基板に対する処理を行なう基板処理装置のスケジュール作成・実行方法において、
基板に対する処理を実際に開始する前に、各リソースの使用タイミングを予めタイムテーブルとして作成するとともに、
前記コンピュータは、前記タイムテーブルについて、コンピュータ・シーケンサ間における通信時間を見込んでリソースの処理工程に係るコマンドの発行タイミングを早め、かつ、リソースの処理工程のうち、処理済みの基板を待機させることができる許容時間を有する処理工程に対して、実行タイミングのズレを吸収する予め決められた補正時間を付加しておき、
前記タイムテーブルに基づき実際に処理を実行する際に、通信時間及びリソースの処理工程の実行時間に起因するタイムテーブルとのずれを前記補正時間を用いて調整することを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成・実行方法。 - 請求項1に記載の基板処理装置のスケジュール作成・実行方法において、
前記リソースの処理工程は純水洗浄処理工程を含んでおり、純水洗浄処理工程の後に補正時間が付加されることを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成・実行方法。 - 各リソースを制御するシーケンサと、このシーケンサを制御するコンピュータとを備え、これらの間でコマンド発行及びコマンドに対応する完了報告を含む通信を行ないつつ各リソースを使用して基板に対する処理を行なう基板処理装置のスケジュール作成・実行プログラムにおいて、
前記コンピュータは、基板に対する処理を実際に開始する前に、各リソースの使用タイミングを予めタイムテーブルとして作成するとともに、
前記コンピュータは、前記タイムテーブルについて、コンピュータ・シーケンサ間における通信時間を見込んでリソースの処理工程に係るコマンドの発行タイミングを早め、かつ、リソースの処理工程のうち、処理済みの基板を待機させることができる許容時間を有する処理工程に対して、実行タイミングのズレを吸収する予め決められた補正時間を付加しておき、
前記タイムテーブルに基づき実際に処理を実行する際に、通信時間及び処理工程の実行時間に起因するタイムテーブルとのずれを前記補正時間を用いて調整するようにコンピュータを制御することを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成・実行プログラム。
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