JP3731258B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のステアリング装置の自動操舵を含んだ自動運転を行なう車両用走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用走行制御装置としては、例えば、特開昭60−4428号、実開昭61−39636号等に記載された車両用定速走行制御装置がある。この従来の車両用定速走行制御装置は、車速センサで車速を検出し、これを運転者の意思によって設定された目標車速と比較してその偏差を算出し、予め設定されている制御演算式に代入して制御量を設定し、これに基づいてアクチュエータを駆動し、スロットル弁の開度を調節してエンジン出力を制御し、定速走行を実現するようにしたものである。
【0003】
このような従来の車両用定速走行制御装置では、装置に異常があると異常検出直後に作動が中止される構造となっている。
【0004】
一方、近年、高速道路などにおいて、自動車の自動運転に関する開発がなされている。自動運転とは、自動車のステアリング操作、アクセル、ブレーキ操作を走行環境情報などを入力した制御手段によるアクチュエータの制御により行なうものである。このうち自動操舵について更に説明すると、走行環境情報を入力した制御手段によるアクチュエータの制御により、前輪を自動操舵するものである。
【0005】
走行環境情報を測定する装置としては、例えば、画像に基づいて測定する装置(特開昭60−37011、特開平3−139706)、磁気ネイルを用いた装置(アメリカの「PATH」計画、日本国建設省が指導し2010年開通予定の第2東名を実現目標にしている自動化高速道路システム「AHS(Automated Highway System)」、電波を用いた装置(特願平4−267160)がある。
【0006】
まず、画像に基づくものでは、道路に沿って配置された案内線(例えば白線)を車載カメラによって撮影し、この撮影画像から走行車両の案内線に対する横位置及びヨー角などの車両状態量を測定する。
【0007】
磁気ネイルを用いたものでは、道路の案内線に沿って埋め込まれた磁気ネイルを車両の磁気センサで感知し、走行車両の案内線に対する横位置などの車両状態量を測定する。
【0008】
電波を用いたものでは、周波数の異なる2つの電波源から発信される電波を受信して、各電波源の方位を検出する手段と、電波源に対する走行車両の座標をGPSによって算出する手段とを備え、前記2つの電波源に対する方位と座標から案内線に対する状態量を推定する。
【0009】
例えば、特開昭60−37011号に記載されたものは、車両前方に向けられた車載カメラの画像から白線を認識し、車線に対する車両の横位置、ヨー角を計算して、ステアリング装置を駆動し前輪を操舵するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特開昭60−37011号に記載された自動操舵装置では、例えば、ステアリング装置に対する電流回路が断線すると、ステアリング駆動が不能になる可能性があり、自動操舵を含む自動運転では、かかる異常時に自動運転を中止する必要がある。
【0011】
しかしながら、前記従来の車両用定速走行制御装置のように、自動操舵の異常検出直後に自動運転を中止すると以下のような問題を招く恐れがある。
【0012】
即ち、自動操舵が行なわれているときには、アクチュエータによってステアリング装置が自動的に駆動され、運転者はステアリングホイールから手を離すことができる。従って、異常検出直後に運転者の運転操作意思にかかわらず、装置の作動を中止すると、運転者が手動運転へ移行する場合に違和感を感ずる恐れがある。そこで、本発明は、装置の異常検出時に運転者に違和感を招くことなく作動を中止することのできる車両用走行制御装置の提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴は、車両の進行方向を判定する進行方向判定手段と、該進行方向判定手段に基づいて操舵角を決定する操舵角決定手段と、該操舵角決定手段により決定された操舵角となるようにステアリング装置を自動操舵する断続可能な自動操舵手段と、該自動操舵手段を含む自動運転手段と、前記自動操舵手段の異常を検出する異常検出手段と、該異常検出手段が異常を検出したとき前記自動運転手段による自動運転を遮断する自動運転中止手段と、自動運転中止手段による遮断可否を判断する判断手段と、前記異常検出手段による異常検出の際に、前記判断手段が自動運転中止不可と判断してから自動運転中止可能と判断するまで前記自動運転中止手段に優先し前記自動操舵手段に代えた手段により規制を加えながら自動運転の継続を行なう継続手段と、前方車両との車間距離を検出する車間距離検出手段とを備え、前記継続手段は、前記車間距離検出手段が検出する車間距離に応じた制動制御により規制を加えることである。
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、進行方向判定手段による車両の進行方向判定に基づいて、舵角決定手段が操舵角を決定し、自動操舵手段がステアリング装置を自動操舵する。この自動操舵中に異常検出手段が自動操舵手段の異常を検出すると、自動運転中止手段が自動運転を遮断する。そして、この自動運転の遮断に際し判断手段が前記自動運転中止手段による遮断可否を判断し、異常検出手段による異常検出の際に判断手段が自動運転中止不可と判断してから自動運転中止可能と判断するまで前記自動運転中止手段に優先して自動操舵手段に代えた手段により規制を加えながら自動運転の継続を行なうことができる。また、車間距離検出手段が検出する車間距離に応じた制動制御により規制を加えながら自動運転の継続を行なうことができる。
【0015】
本発明の第2の特徴は、車両の進行方向を判定する進行方向判定手段と、該進行方向判定手段に基づいて操舵角を決定する操舵角決定手段と、該操舵角決定手段により決定された操舵角となるようにステアリング装置を自動操舵する断続可能な自動操舵手段と、該自動操舵手段を含む自動運転手段と、前記自動操舵手段の異常を検出する異常検出手段と、該異常検出手段が異常を検出したとき前記自動運転手段による自動運転を遮断する自動運転中止手段と、自動運転中止手段による遮断可否を判断する判断手段と、前記異常検出手段による異常検出の際に、前記判断手段が自動運転中止不可と判断してから自動運転中止可能と判断するまで前記自動運転中止手段に優先し前記自動操舵手段に代えた手段により規制を加えながら自動運転の継続を行なう継続手段と、前方車両との車間距離を検出する車間距離検出手段とを備え、前記継続手段は、前記舵角決定手段により決定された操舵角に基づいて車両の左右輪を独立に制動制御して規制を加え、且つ前記車間距離検出手段が検出する車間距離に応じた制動制御により規制を加えることである。
【0016】
本発明の第2の特徴によれば、進行方向判定手段による車両の進行方向判定に基づいて、舵角決定手段が操舵角を決定し、自動操舵手段がステアリング装置を自動操舵する。この自動操舵中に異常検出手段が自動操舵手段の異常を検出すると、自動運転中止手段が自動運転を遮断する。そして、この自動運転の遮断に際し判断手段が前記自動運転中止手段による遮断可否を判断し、異常検出手段による異常検出の際に判断手段が自動運転中止不可と判断してから自動運転中止可能と判断するまで前記自動運転中止手段に優先して自動操舵手段に代えた手段により規制を加えながら自動運転の継続を行なうことができる。また、舵角決定手段により決定された操舵角に基づいて車両の左右輪を独立に制動制御して規制を加えながら自動運転の継続を行なうことができる。更に、車間距離検出手段が検出する車間距離に応じた制動制御により規制を加えながら自動運転の継続を行なうことができる。
【0021】
前記進行方向判定手段は、走行環境情報を検出する走行環境検出センサの検出信号に基づいて前記進行方向を判定し、前記自動操舵手段は、決定された操舵角となるようにステアリング装置を操舵駆動するステアリングアクチュエータであってもよい。
【0022】
これにより、走行環境検出センサの検出した走行環境情報により進行方向判定手段は進行方向を判定し、ステアリングアクチュエータが決定された操舵角となるようにステアリング装置を操舵駆動する。
【0023】
車両用走行制御装置は、運転者が運転操作をしていることを検出する運転操作検出手段を更に備え、前記判断手段は、前記運転操作検出手段の検出に基づき運転者の意思を考慮してもよい。
【0024】
これにより、運転操作検出手段によりステアリング装置、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバーなどの運転操作の有無を検出することにより、乗員の運転操作に対する意思を確認することができ、これを考慮することによって判断手段は自動運転中止手段による遮断可否を判断することができる。
【0025】
車両用走行制御装置は、運転者により自動運転をキャンセルする自動運転キャンセルスイッチを更に備え、前記判断手段は、前記自動運転キャンセルスイッチの操作に基づき運転者の意思を考慮してもよい
【0026】
これにより、運転者が自動運転キャンセルスイッチの操作をしたか否かの確認によって運転者の運転操作に対する意思を確認することができ、これを考慮することによって自動運転中止手段による遮断可否を判断することができる。
【0027】
車両用走行制御装置は、運転者により自動操舵をキャンセルする自動操舵キャンセルスイッチを更に備え、前記判断手段は、前記自動操舵キャンセルスイッチの操作に基づき運転者の意思を考慮してもよい
【0028】
これにより、自動操舵キャンセルスイッチを操作したか否かによって運転者の運転操作に対する意思を確認することができ、これを考慮することによって自動運転中止手段による遮断可否の間断を行なうことができる。
【0029】
車両用走行制御装置は、前記異常検出手段が異常を検出したことにより警報を発する警報手段を更に備え、前記判断手段は、前記警報手段による警報後、設定時間が経過したか否かにより自動運転中止手段による遮断可否を判断してもよい
【0030】
これにより、異常検出手段が異常検出したことにより、警報手段が警報を発し、自動操舵手段の異常を運転者に知らせることができる。そして、警報後所定時間が経過したか否かによって自動運転中止可否を判断することができる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1の発明では、自動操舵手段に異常が検出されたときでも、自動運転中止手段によって直ちに自動運転を遮断するのではなく、乗員が運転操作を意識的に行なっていないなどと判断されたときに、規制を加えながら自動運転の継続を行なうことができ、自動運転の中止から乗員の意識的な運転操作に至るまで無理なく違和感のない制御を行なうことができる。また、車両を制動しながら自動運転の継続を行なうことができるため、より違和感のない且つ安全性の向上する制御を行なうことができる。更に、車間距離を維持しながら自動運転を継続することができ、無理なく違和感のない制御を行なうことができる。又、制動制御によって車間距離を維持するため、より安全性を向上させることができる。
【0032】
請求項の発明では、自動操舵手段に異常が検出されたときでも、自動運転中止手段によって直ちに自動運転を遮断するのではなく、乗員が運転操作を意識的に行なっていないなどと判断されたときに、規制を加えながら自動運転の継続を行なうことができ、自動運転の中止から乗員の意識的な運転操作に至るまで無理なく違和感のない制御を行なうことができる。また、決定された操舵角を維持するように自動運転の継続を行なうことができ、より無理なく違和感なく自動運転を行なわせることができる。しかも、制動制御によって操舵角を維持するため、安全性をより向上させることができる。更に、車間距離を維持しながら自動運転を継続することができ、無理なく違和感のない制御を行なうことができる。又、制動制御によって車間距離を維持するため、より安全性を向上させることができる。
【0035】
請求項の発明では、請求項1又は2のいずれかの発明の効果に加え、走行環境情報の検出により、ステアリングアクチュエータを介しステアリング装置を操舵駆動するため、確実な自動運転を行なわせることができる。
【0036】
請求項の発明では、請求項1〜のいずれかの発明の効果に加え、運転操作検出手段の検出によって乗員の運転操作意思を直接的に判断することができ、無理なく違和感のない制御を行なうことができる。
【0037】
請求項の発明では、請求項1〜のいずれかの発明の効果に加え、自動運転キャンセルスイッチの操作によって乗員が意識的に運転操作に入ることを推認することができ、無理なく違和感のない制御を行なうことができる。しかも、構造を簡単にすることができる。
【0038】
請求項の発明では、請求項1〜のいずれかの発明の効果に加え、自動操舵キャンセルスイッチの操作によって乗員の手動操舵を推認することができ、無理なく違和感のない制御を行なうことができる。しかも、構造を簡単にすることができる。
【0039】
請求項の発明では、請求項1〜のいずれかの発明の効果に加え、警報によって運転者に異常を知らせることができ、運転者の確実な異常認識により正確な対応を行なうことができる。しかも、警報から設定時間が経過したか否かによって自動運転中止可否を判断するため、構造が簡単である。
【0040】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図4は本発明の第1実施形態に係り、図1は車両用走行制御装置の概略全体ブロック図、図2〜図4はフローチャートである。
【0041】
まず、図1のように車両用走行制御装置は、マイクロコンピュータで構成されたコントローラ1を備えている。コントローラ1の入力ポートには白線検出センサ3、車間距離センサ5、車速センサ7、エンジン回転数センサ9、自動運転スイッチ11、自動操舵キャンセルスイッチ13、及び操舵トルクセンサ15が接続されている。
【0042】
前記白線検出センサ3は、例えば車載のCCDカメラで構成され、撮影した道路上の白線を認識し、車両前方の距離Ls の横ずれ量Y1 を出力するものである。前記車両前方の距離Ls は、車幅方向中央における車体前後方向の中心線上にあり、自動車が再操舵により車線の逸脱を回避できる前方の距離として設定している。本実施形態ではLs =15mとなっている。前記横ずれ量Y1 は距離Ls の位置における白線との横方向の距離である。前記車間距離センサ5は、例えばレーザレーダーで構成されており、前方車両との車間距離Lを検出して出力するものである。前記車速センサ7は車速Vを出力するものである。車速センサ7は前記白線検出センサ3と共に走行環境情報を検出する走行環境検出センサを構成している。そして、コントローラ1は白線検出センサ3、車速センサ7からの信号を走行環境情報として入力し、車両の進行方向を判定し、進行方向判定手段CL1を構成している。又、コントローラ1は、判定した進行方向に基づいて操舵角を決定し、操舵角決定手段CL2を構成している。
【0043】
前記エンジン回転数センサ9はエンジン回転数Neを出力する。前記自動運転スイッチ(自動運転SW)11は運転席のインストルメントやセンターコンソールなどに備えられ、自動運転を開始及び解除するためのスイッチであり、ON,OFF信号を出力する。前記自動操舵キャンセルスイッチ(自動操舵キャンセルSW)13は、運転席のインストルメントやセンターコンソールなどに備えられ、自動操舵をキャンセルするためのスイッチで、ON,OFF信号を出力する。前記操舵トルクセンサ15は運転者がステアリングホイールを操作するときの操舵トルクTrq θを出力する。これにより運転者がステアリングホイールを握っているか否かを検出することができ、操舵トルクセンサ15は運転操作検出手段を構成している。
【0044】
前記コントローラ1の出力ポート側には、ステアリングアクチュエータ17、スロットルアクチュエータ19、ブレーキアクチュエータ21、及び警報手段としての警報ブザー23が接続されている。
【0045】
前記ステアリングアクチュエータ17はモータ25と操舵角センサ27とを備えている。モータ25はステアリング装置を駆動し、手動操舵に代えて自動操舵を行なう。前記操舵角センサ27はステアリング装置のステアリングシャフト(図示せず)の回転角を検出して出力する。操舵角センサ27の出力はコントローラ1にフィードバックされる。従って、コントローラ1が舵角決定手段として機能し操舵角を決定すると、モータ25は、操舵角センサ27が決定された操舵角を検出するまでステアリング装置を操舵駆動し、コントローラ1及びステアリングアクチュエータ17は自動操舵手段CL3を構成している。
【0046】
前記スロットルアクチュエータ19はモータ29とスロットル開度センサ31とを備えている。前記モータ29はスロットルバルブを開閉駆動し、前記スロットル開度センサ31は開閉されたスロットルバルブのスロットル開度Athを検出して、前記コントローラ1へフィードバックするものである。
【0047】
前記ブレーキアクチュエータ21は右輪のブレーキ圧を制御する電磁弁33と、左輪のブレーキ圧を制御する電磁弁35とを備えている。
【0048】
そして、前記ステアリングアクチュエータ17、スロットルアクチュエータ19、ブレーキアクチュエータ21は、リレー37を介してバッテリ39に接続されている。リレー37にはコントローラ1からの駆動信号が入力され、リレー37の動作によりアクチュエータ17,19,21が選択的に駆動されるようになっている。
【0049】
そして前記コントローラ1、ステアリングアクチュエータ17、スロットルアクチュエータ19、及びブレーキアクチュエータ21は、自動運転手段CL8を構成している。
【0050】
また、前記コントローラ1は、自動操舵手段CL3としてのステアリングアクチュエータ17の異常を検出する異常検出手段CL4、異常検出手段CL4が異常を検出したとき自動運転を遮断する自動運転中止手段CL5、運転者の意思を考慮して自動運転中止手段CL5による遮断可否を判断する判断手段CL6を構成している。
【0051】
さらに、前記コントローラ1及びブレーキアクチュエータ21は前記異常検出手段CL4による異常検出の際に、前記判断手段CL6が自動運転中止不可と判断してから、自動運転中止可能と判断するまで前記自動運転中止手段CL5に優先し前記自動操舵手段CL3に代えた手段により規制を加えながら、自動運転の継続を行なう継続手段CL7を構成している。
【0052】
前記コントローラ1が異常検出手段CL4として機能するときは、コントローラ1がモータ25に出力したとき、モータ25によって操舵される操舵角がコントローラ1の出力する操舵角と異なっている場合に異常と判断するものである。前記コントローラ1が自動運転中止手段CL5として機能するときは、コントローラ1からモータ25へ出力を行なわないようにするものである。前記判断手段CL6として機能するときは、自動運転スイッチ11、自動操作キャンセルスイッチ13などが操作されているか、あるいは操舵トルクセンサ15からの信号によってステアリングホイールが操作されているかによって乗員の意思を考慮し、乗員の意思によって運転操作が行なわれていると判断された場合に自動運転中止可と判断するものである。前記継続手段CL7として機能するときには、自動運転中止不可と判断してから、自動運転中止可能と判断するまでコントローラ1からモータ25へは出力が行なわれないが、車速センサ7からの信号を入力することによって、スロットルアクチュエータ19のモータ29へは出力を行なうことにより設定車速で速度制御を継続し、自動運転を継続すると共に、ブレーキアクチュエータ21の電磁弁33,35へも出力して車両の制動制御を行ない、規制を加えながら自動運転の継続を行なうものである。
【0053】
次に、図2〜図4のフローチャートに基づき、作用を説明する。尚、本プログラムは図示しないオペレーティングシステム(OS)により所定時間毎に実行される。図2のフローチャートは全体のプログラムを示し、ステアリングアクチュエータ17に異常が検出されたときのプログラムを図3に示し、自動運転のプログラムの詳細を図4に示している。
【0054】
まず、図2のように、ステップS1では白線検出センサ3、車間距離センサ5、車速センサ7、エンジン回転数センサ9、自動運転スイッチ11、自動操舵キャンセルスイッチ13、操舵トルクセンサ15、操舵角センサ27、スロットル開度センサ31からの信号を読み取る。
【0055】
ステップS2では、自動運転スイッチ11がONかOFFかを判断し、OFFであればステップS3へ移行し、リレー37の全ての接点をOFFとし、アクチュエータ17,19,21の電源を切って終了する。自動運転スイッチ11がONであれば、ステップS4へ移行する。
【0056】
ステップS4では操舵アクチュエータ(ステアリングアクチュエータ17)が正常であるか否かが判断される。操舵アクチュエータが正常であれば、フラグflag−fail=0、異常ならばフラグflag−fail=1となっており、正常であればステップS5へ移行して通常の自動運転の制御が行なわれ、次いで、ステップS6の異常検出が行なわれる。ステップS4において異常と判断されれば、図3のステップS7へ移行する。
【0057】
すなわち、前記ステップS4はステップS6と共に異常検出手段CL4を構成すると共に、異常が検出されたとき自動運転を遮断する自動運転中止手段CL5を構成している。
【0058】
前記ステップS5の通常の自動運転については、図4によって後述する。
【0059】
前記ステップS6の異常検出は、まずステップS61にて操舵アクチュエータが異常か否かを判断する。本実施形態では、第1に図1の操舵角センサ27によって検出される操舵角θs が所定値θs0より大きい場合、第2に操舵角速度dθs/dtが所定値より大きい場合、第3に指令操舵角θs と、実操舵角θs の差が所定値以上となることが所定時間以上経過した場合の3つの場合に異常と判断し、ステップS62においてフラグflag−fail=1にセットすると共に、操舵アクチュエータ、ステアリングアクチュエータ17の電源のみOFFとし、上記3つの場合以外は正常と判断して、ステップS63においてフラグflag−fail=0にリセットし、終了する。
【0060】
前記ステップS4において異常と判断された場合は、自動運転を中止すべく図3のステップS7へ移行するが、ステップS7では装置全体の作動を中止してよいか、すなわち乗員の意思を考慮して自動運転中止可否を判断する。即ち、ステップS4は自動運転中止手段CL5を構成し、ステップS7は、後述するステップS10と共に判断手段CL6を構成している。
【0061】
ステップS7において、自動運転を中止して良い場合には、フラグflag−OK=1であり、ステップS8へ移行し、電源OFFとなる。即ち、図1においてコントローラ1からリレー37へ信号が送られ、全てのアクチュエータ17,19,21への電源供給が遮断される。従って、乗員はステアリング操作などの通常の手動運転を行なうことになる。
【0062】
ステップS7において自動運転の作動を中止できないと判断された場合には、ステップS9へ移行し、自動ブレーキが作動する。この自動ブレーキは、コントローラ1からブレーキアクチュエータ21の電磁弁33,35を同時に駆動して図示しないブレーキのホイールシリンダの圧力を高めることによって行なわれる。従って、自動ブレーキの作動によって自動操舵手段CL3の自動操舵による車両走行に制動による規制を加えながら、自動運転の継続を行なうことができ、ステップS7,ステップS9は判断手段CL6が自動運転中止不可と判断してから自動運転中止可能と判断するまで、自動運転中止手段CL5に優先して自動操舵手段CL3に代えた手段により規制を加えながら、自動運転の継続を行なう継続手段CL7を構成している。
【0063】
次いで、ステップS10においては、装置の作動中止OKの判断、即ち自動運転中止手段CL5による遮断可否の判断が行なわれる。即ち、ステップS101において運転者がステアリングホイールを握っているか否かの判断が行なわれる。この判断は、図1の操舵トルクセンサ15の出力Trq θが所定値以上か否かによって判断し、所定値以上であって運転者がハンドルを握っていると判断されれば、ステップS102へ移行し、フラグflag−OK=1とし、ステアリングホイールを握っていないと判断されれば、ステップS103へ移行して、フラグflag−OK=0にリセットされる。従って、ステップS10が、判断手段CL6として機能することにより、運転者が自らの意思によって手動操作に入ったか否かを考慮することができる。
【0064】
尚、前記図2のステップS5の通常の自動運転は、図4のフローチャートに基づいて行なわれる。即ち、ステップS11において車体前方Ls m先での横ずれ量Y1 と現在の車速Vとから目標操舵角θs を算出する。即ち、ステップS11は白線検出センサ3及び車速センサ7の出力信号に基づいて操舵角を決定する操舵角決定手段CL2を構成している。
【0065】
ステップS12では、車間距離Lと車速Vとから目標スロットル開度Ath 、目標ブレーキ圧Pを算出する。
【0066】
ステップS13では、操舵角センサ27によって検出される操舵角θs が目標操舵角θs となるように操舵アクチュエータ、即ちステアリングアクチュエータ17のモータ25に信号が出力され、ステップS13は自動操舵手段CL3を構成している。ステップS14では、スロットル開度センサ31によって検出されるスロットル開度Athが目標スロットル開度Ath となるようにスロットルアクチュエータ19のモータ29に駆動信号が出力される。更に、ステップS15において検出されるブレーキ圧Pが目標ブレーキ圧Pとなるように、ブレーキアクチュエータ21の電磁弁33,35に駆動信号が出力される。これによって、車両は運転者の意思にかかわらず、自動操舵及び自動速度制御により自動運転が行なわれる。従って、ステップS11からステップS15は自動運転手段CL8を構成している。
【0067】
このように、自動操舵及び自動速度制御による自動運転中に何らかの理由でステアリングアクチュエータ17が正常に作動しなくなった場合には、装置全体の電源を直ちに切って通常の運転状態に戻すのではなく、異常なステアリングアクチュエータ17の電源のみをOFFとし、運転者が手動操舵のためにステアリングホイールを握ったことを検出するまでは車両を速やかに減速又は停止させ、途中で運転者がステアリングホイールを握ったことを検出した場合には、その時点で通常の運転状態に戻すようにしたため、自動運転状態から運転者が自らの意思によって運転操作を行なう通常の運転状態への移行が極めて円滑であり、無理なく違和感のない制御を行なうことができる。
【0068】
尚、ステアリングアクチュエータ17に異常があったときは、警報ブザー23へ出力が行なわれ、警報によって運転者に異常を知らせることができる。運転者は警報を聞いたときに自動操舵キャンセルスイッチ13を操作することによって、ステアリングアクチュエータ17への電源を切ることができ、自らの意思によっても円滑に操作することができる。
【0069】
尚、前記ステップS10において、判断手段CL6として運転者の意思を考慮する場合、運転者がステアリングホイールを握っているか否かを判断したが、運転者が自動運転キャンセルスイッチ11を操作したか否か、自動操舵キャンセルスイッチ13を操作したか否か、更には警報ブザー23による警報からタイマカウンタにより設定時間が経過したか否かによってそれぞれ運転者の意思を考慮することもできる。自動運転キャンセルスイッチ11の場合は、運転者の手動操舵意思をより的確に反映させることができる。自動操舵キャンセルスイッチ13の場合は、自動運転キャンセルスイッチ11の場合と同様に、運転者の意思を適切に反映させることができると共に、自動操舵のみのキャンセルであるから車間距離制御型の車速制御による自動運転を継続できるという利点がある。警報ブザー23の作動後、所定時間が経過したか否かを判断する場合は、車両の動作が運転者に分かり易いという利点がある。
【0070】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、自動運転中止不可と判断された場合には、ステップS9において左右輪を均等に制動する自動ブレーキの制御を行なうようにしたが、図5のように左右輪を独立に制動制御することもできる。なお、第2実施形態において、全体的なブロック構成図は図1と同様であり、また全体的なフローチャートは図2、図3と略同一である。
【0071】
一方、この第2実施形態では、第1実施形態の図3のステップS9にかえて図5のフローチャートを採用している。即ち、図3のステップS7において装置の作動中止OKか否か、即ち、自動運転中止可能か否かの判断において、自動運転中止不可と判断された場合には、ステップS9において図5のフローチャートが実行される。この実行により、ステップS51では偏差eの算出が行なわれる。この偏差eは操舵角センサ27で検出される操舵角θs と目標操舵角θs との差であり、e=θs −θs で算出される。ステップS52では左右ブレーキ圧Pr ,Pl が算出される。このブレーキ圧Pr ,Pl は零より大きい値で、Pr =Kp eとして算出される。Kp はゲインである。
【0072】
ステップS53では、ステップS52で算出した目標のブレーキ圧Pr ,Pl となるように左右の電磁弁33,35に駆動信号を出力する。これによって、舵角決定手段CL2によって決定された操舵角を維持するように車両の左右輪が独立に制動制御され、自動運転の継続を行なうことができる。
【0073】
従って、第2実施形態においても、第1実施形態と略同様な作用効果を奏することができる。又、第2実施形態においては、左右輪の制動制御によって目標の操舵角を維持するようにしたため、乗員が自らの意思で手動操舵を行なうまでの自動運転の継続をより正確に行なうことができる。
【0074】
(第3実施形態)
図6は第3実施形態に係る要部のフローチャートを示しており、第2実施形態の図5のフローチャートと同様に、第1実施形態のステップS9の自動ブレーキの制御にかえて実行するものである。従って、全体的な構成などは図1〜図3に示すものと略同一である。
【0075】
一方、図3のステップS7において自動運転中止不可と判断されたときには、ステップS9において図6の車間距離に応じた自動ブレーキのフローが実行される。ステップS71からステップS73は図5のステップS51からステップS53に対応しており、ステップS71からステップS73の実行により、目標の操舵角を維持するように左右の電磁弁33,35の制御が行なわれる。そして、車間距離センサ5によって読み込まれた車間距離が近づいている場合には、減速度が大きくなるように電磁弁33,35の制御を行なわれ、前方車との車間距離に余裕を持たせることができるようにしている。
【0076】
従って、第3実施形態においても、第1実施形態,第2実施形態と略同様な作用効果を奏することができる。又、第3実施形態では、車間距離に応じて自動運転を行なわせることができ、より的確な制御を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る制御ブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係るフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係るフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係るフローチャートである。
【図6】第3実施形態に係るフローチャートである。
【符号の説明】
1 コントローラ
3 白線検出センサ(走行環境検出センサ)
5 車間距離センサ
7 車速センサ(走行環境検出センサ)
11 自動運転キャンセルスイッチ(運転操作検出手段)
13 自動操舵キャンセルスイッチ(運転操作検出手段)
15 操舵トルクセンサ(運転操作検出手段)
17 ステアリングアクチュエータ(自動操舵手段)
21 ブレーキアクチュエータ(継続手段)
23 警報ブザー(警報手段)
CL1 進行方向判定手段
CL2 操舵角決定手段
CL3 自動操舵手段
CL4 異常検出手段
CL5 自動運転中止手段
CL6 判断手段
CL7 継続手段
CL8 自動運転手段

Claims (7)

  1. 車両の進行方向を判定する進行方向判定手段と、
    該進行方向判定手段に基づいて操舵角を決定する操舵角決定手段と、
    該操舵角決定手段により決定された操舵角となるようにステアリング装置を自動操舵する断続可能な自動操舵手段と、
    該自動操舵手段を含む自動運転手段と、
    前記自動操舵手段の異常を検出する異常検出手段と、
    該異常検出手段が異常を検出したとき前記自動運転手段による自動運転を遮断する自動運転中止手段と、
    自動運転中止手段による遮断可否を判断する判断手段と、
    前記異常検出手段による異常検出の際に、前記判断手段が自動運転中止不可と判断してから自動運転中止可能と判断するまで前記自動運転中止手段に優先し前記自動操舵手段に代えた手段により規制を加えながら自動運転の継続を行なう継続手段と、
    前方車両との車間距離を検出する車間距離検出手段とを備え、
    前記継続手段は、前記車間距離検出手段が検出する車間距離に応じた制動制御により規制を加えることを特徴とする車両用走行制御装置。
  2. 車両の進行方向を判定する進行方向判定手段と、
    該進行方向判定手段に基づいて操舵角を決定する操舵角決定手段と、
    該操舵角決定手段により決定された操舵角となるようにステアリング装置を自動操舵する断続可能な自動操舵手段と、
    該自動操舵手段を含む自動運転手段と、
    前記自動操舵手段の異常を検出する異常検出手段と、
    該異常検出手段が異常を検出したとき前記自動運転手段による自動運転を遮断する自動運転中止手段と、
    自動運転中止手段による遮断可否を判断する判断手段と、
    前記異常検出手段による異常検出の際に、前記判断手段が自動運転中止不可と判断してから自動運転中止可能と判断するまで前記自動運転中止手段に優先し前記自動操舵手段に代えた手段により規制を加えながら自動運転の継続を行なう継続手段と、
    前方車両との車間距離を検出する車間距離検出手段とを備え、
    前記継続手段は、前記舵角決定手段により決定された操舵角に基づいて車両の左右輪を独立に制動制御して規制を加え、且つ前記車間距離検出手段が検出する車間距離に応じた制動制御により規制を加えることを特徴とする車両用走行制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用走行制御装置であって、
    前記進行方向判定手段は、走行環境情報を検出する走行環境検出センサの検出信号に基づいて前記進行方向を判定し、
    前記自動操舵手段は、決定された操舵角となるようにステアリング装置を操舵駆動するステアリングアクチュエータであることを特徴とする車両用走行制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の車両用走行制御装置であって、
    運転者が運転操作をしていることを検出する運転操作検出手段を備え、
    前記判断手段は、前記運転操作検出手段の検出に基づき運転者の意思を考慮することを特徴とする車両用走行制御装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の車両用走行制御装置であって、
    運転者により自動運転をキャンセルする自動運転キャンセルスイッチを備え、
    前記判断手段は、前記自動運転キャンセルスイッチの操作に基づき運転者の意思を考慮することを特徴とする車両用走行制御装置。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の車両用走行制御装置であって、
    運転者により自動操舵をキャンセルする自動操舵キャンセルスイッチを備え、
    前記判断手段は、前記自動操舵キャンセルスイッチの操作に基づき運転者の意思を考慮することを特徴とする車両用走行制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の車両用走行制御装置であって、
    前記異常検出手段が異常を検出したことにより警報を発する警報手段を備え、
    前記判断手段は、前記警報手段による警報後、設定時間が経過したか否かにより自動運転中止手段による遮断可否を判断することを特徴とする車両用走行制御装置。
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