JP3725360B2 - 弾性表面波素子の製造方法 - Google Patents

弾性表面波素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性表面波(SAW)素子の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、SAW素子の高耐電力性を有する電極を反応性イオンエッチングにより信頼性よく形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
SAW素子を構成する電極に高パワーの電極が印加されると電極がマイグレーションを生じフィルタ特性を劣化させる。この対策として、耐電力性を上げるためにAl合金やAl層を含む積層体を使用することが知られている(例えば、特開平7-122961号公報、特開平10−135767号公報参照)。この電極は、通常反応性イオンエッチングのようなドライエッチングで形成される。エッチングには、BCl3とCl2のようなハロゲンを含む混合ガスが一般に使用されている(例えば、特開平8−264508号公報、特開平9−181553号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ドライエッチングにおいて、電極に含まれるAl以外の成分が、Ti、Pd、Si等のハロゲン化物の蒸気圧が高い物質である場合、残渣なくエッチングを行うことが可能である。ところが、Cu、Mg等のようにハロゲン化物の蒸気圧が低い金属を含む場合、ハロゲン化物が残渣として残りアフターコロージョンを誘発したり、特にこれら金属を2重量%以上の高濃度に含む場合、エッチング自体が進行しないという問題があった。
【0004】
また、SAW素子では、一般にLiNbO3、LiTaO3、Li247等からなる圧電基板が使用されるが、エッチングに使用されるガスに含まれるハロゲンと、圧電基板に由来するリチウムの化合物も残渣として残り、アフターコロージョンの発生を更に増長するという問題もあった。
希ガスによるスパッタリングのような物理的エッチングにより、残渣を低減しつつ、ハロゲン化物の蒸気圧が低い金属とAlを含む層のエッチングレートを上げることも考えられるが、物理的エッチングではサイドウォールが厚さ方向に逆テーパー状に傾斜するという問題があった。更に、エッチング残りを除去するために所定時間続けてエッチング(オーバーエッチング)が行われるが、物理的エッチングは選択性が劣るため、この時に圧電基板もエッチングされてしまい、SAW素子の特性が悪化するという問題もあった。
【0005】
また、SAW素子について言及はされていないが、ハロゲンを含むガスとHeとの混合ガスでAlを含む層をエッチングする方法が特開昭61−147532号公報で報告されている。この公報では、Heが、層の冷却効果とプラズマの安定化を目的として、800sccm以上の高流量で使用されている。ところがこのような高流量でHeを使用すると、ガス圧を下げることができないため、電極とエッチングにマスクとして使用するレジストとの選択性を上げることができないという問題があった。
【0006】
反応性イオンエッチングではなく、ECRエッチングを用い、Cl2とHeの混合ガスを用いたAlを含む層のエッチング方法が、特開平6−333883号公報に示されている。
ECRエッチングは、反応性イオンエッチングに比べて、装置が高価であること、超高真空排気が必要であるためスループットが悪くなること等の問題がある。更に、低圧高密度プラズマが使用されるため、原理的に電子密度が、反応性イオンエッチングに比べて、2〜3桁高く、圧電基板を使用するSAW素子がチャージし、それに由来する欠陥や不良が発生する問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
反応性イオンエッチングは、ECRエッチングに比べ、入射イオンエネルギーが高いため、選択性が劣り、下地である圧電基板に損傷を生じさせやすいと考えられていた。ところが本発明者等は、Cl2とHeの混合ガスからなるエッチングガスを使用し、0.1〜3Paのガス圧下でエッチングを行えば、ハロゲン化物の蒸気圧が低い金属とAlを含む電極を、実用的な選択比で形成できることを意外にも見出し本発明に至った。
【0008】
かくして本発明によれば、圧電基板上に1〜30重量%の他の金属を含むAl電極を備えた弾性表面波素子の製造方法であって、該電極がレジストマスクを用いた反応性イオンエッチングによるパターニングにより形成され、反応性イオンエッチングがCl2とHeの混合ガスからなるエッチングガスを使用し、0.1〜3Paのガス圧下で行われることを特徴とする弾性表面波素子の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のSAW素子の製造方法を説明する。
まず、SAW素子は、通常基板上に所定形状の電極を備えている。ここで、基板としては、SAW素子に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、LiNbO3、LiTaO3、Li247等の単結晶からなる圧電基板が挙げられる。
次に、圧電基板上には所定形状の電極が形成されている。本発明において電極は、Alと他の金属を含んでいる。ここで、他の金属が、Mg、Cu、Mn等のハロゲン化物の蒸気圧が低いものである場合に、本発明のSAW素子の製造方法は、特に残渣やアフターコロージョンの発生を抑制することができるという効果を奏する。この内、他の金属としては、Mgが特に好ましい。
【0010】
また、電極中の他の金属の含有割合は、1重量%以上が好ましく、1〜30重量%がより好ましい。1重量%未満の場合は、マイグレーション耐性が劣るため好ましくない。なお、他の金属の含有量を多くすると、一般に、耐電力性は向上するが、電極の抵抗が上昇することが知られている。この観点から、他の金属の含有割合は、2〜10重量%が特に好ましい。
【0011】
更に、電極の構成は、例えば、Alと他の金属との合金層の単一層、Al層と他の金属層との積層体、Al層と合金層の積層体、他の金属の含有割合を変化させた合金層の積層体等が挙げられる。積層体は、2層以上であれば、その層数は限定されない。但し、ボンディングワイヤ用金属との相性を考慮すると、最上層はAlを含む層であることが好ましい。特に、積層体は、Al層又はAl合金層/Mg層/Al層又はAl合金層との組み合わせであることが好ましい。
【0012】
電極の厚さは、SAW素子の設計に応じて重さを基準にして、電極の抵抗、マイグレーション耐性等を考慮して適宜設定される。
上記電極は、基板上に電極形成用の金属層を積層した後、反応性イオンエッチングによるパターニングにより形成される。
金属層の形成方法は、特に限定されず、例えば、スパッタ法のような公知の方法をいずれも使用することができる。
【0013】
次に、反応性イオンエッチングによるパターニングに先立って、通常所定パターンの電極を形成するためのマスクが金属層上に形成される。このマスクは、例えば、金属層上にレジスト層を塗布することにより形成した後、フォトリソグラフィ法により所定形状にパターニングすることにより形成することができる。この所定形状にパターニングされたレジスト層を、レジストパターンと称する。
次いで、レジストパターンをマスクとして、反応性イオンエッチングによるパターニングにより電極が形成される。
ここで、本発明では、反応性イオンエッチングが、Cl2とHeの混合ガスからなるエッチングガスを使用し、0.1〜3Paのガス圧下で行われることを特徴の1つとしている。
【0014】
一般にAl合金のドライエッチングでは、Al合金のエッチングレートの増大を目的として、Cl2ガスが使用され、更に、自然酸化膜を除去するために、還元性のBCl3、CCl4、SiCl4等のガスが加えられる。また、Cl2ガスに添加されるハロゲンを含むガスは、側壁保護膜の成分となって、サイドエッチを防止する役割も果たす。
しかし、ハロゲン化物の蒸気圧が低い他の金属をAl電極が含む場合、残渣が発生したり、エッチング自体が進行しない。これは塩素ラジカルが電極の表面に付着しても、純Alの電極と異なり、活性化エネルギーが高いため、反応が進行しないためである。
【0015】
そこで、本発明では、Heを使用することにより、Heの原子半径が小さいことを利用して、平均自由工程を大きくとることができるため、基板に垂直に入射することができ、その結果活性化エネルギーを小さくすることができる。ここで、平均自由工程λは、λ=3.11×10-24×T/(P×σ2)(式中、Tは温度(K)、Pはガス圧(Pa)、σは粒子の直径(m)を意味する)で表される。ここで、ガス圧を上記範囲で行うことにより、Heの散乱を抑え、平均自由工程を所定程度に大きく取ることができる。なお、上記した特開昭61−147532号公報では、Heの流量が大きいためガス圧が高く、平均自由工程を大きく取ることができない。
【0016】
更に、ガス圧が3Paより大きい場合、平均自由工程が小さくなると共に散乱も増加することとなる。一方、ガス圧が0.1Pa未満の場合、安定なプラズマ放電を得ることが困難である。なお、このようなガス圧の範囲であれば、図1に示すように、電極とレジストとの選択性を向上させることができる。なお、電極には、Al(2000Å)/Mg(300Å)/Al(2000Å)の積層膜を用いた。
【0017】
Heの混合割合は、流量比で70%以上であることが好ましく、80〜98%であることがより好ましい。また、混合ガスの全流量は、10〜100sccm程度である。流量比を70%以上とすることにより、
・平均自由工程を大きく取ることができ、
・必要な量のCl2のみ使用するので、基板に由来する不揮発性のリチウムの塩化物の発生を抑制することができ、
・アフターコロージョンの発生を防止することができ、
・図2に示すように、電極とレジストとの選択性を向上させることができる。
ここで、電極の構成は図1の場合と同じである。
【0018】
なお、本発明では上記エッチング条件で、実用的なエッチングレートで自然酸化膜も除去することができる。また、自然酸化膜を含めた電極に使用される金属と塩素ラジカルの反応の活性化エネルギーは、基板と塩素ラジカルの活性化エネルギーより小さいので、基板と電極との選択性を十分確保することができる。
反応性イオンエッチングのRFパワーは、30〜120Wであることが好ましい。RFパワーが30W未満の場合、実用的なエッチングレート及び選択比が得られないので好ましくなく、120Wより大きい場合、レジスト及び基板にダメージが生じるので好ましくない。
ここで、電極が、Al層又はAl合金層と他の金属(特にMg)層との積層体からなる場合、他の金属層の部分でエッチングレートが劣化する場合がある。この場合、100〜300℃で金属層をアニール処理することにより、他の金属がAl中に拡散し固溶体となり、エッチングレートの劣化を防ぐことができる。
【0019】
また、近年SAW素子の高周波数化が進み、電極のパターンの微細化が進む傾向にある。SAW素子が高周波化されるほど、弾性表面波の波長が短くなり、ドライエッチング時(特にオーバーエッチング時)の圧電基板表面へのダメージに対して敏感になり、例えば素子の損失が増加する。そこで、反応性イオンエッチングを2段階に分け、後半のエッチング時に、RFパワーを下げる及び/又はガス圧を上げることにより、圧電基板表面のダメージを軽減することができる。後半のエッチング時間は全エッチング時間の10〜40%であることが好ましい。ここで、後半のエッチングは、オーバーエッチングであることが好ましい。
【0020】
RFパワーを下げる程度は、前半のRFパワーに対して、後半のRFパワーが50%以上100%未満であることが好ましく、60〜95%であることがより好ましい。
ガス圧を上げる程度は、前半のガス圧に対して、後半のガス圧を1.5〜3倍程度にすることが好ましく、2〜3倍であることがより好ましい。
【0021】
本発明により製造されたSAW素子は、一般に2つの反射電極と1組の櫛形の励振電極とから構成される。SAW素子の一例を図3に示す。図3は、SAW素子の概略平面図である。図中、A及びBは1組の櫛形の励振電極であり、C及びDは反射電極である。Yは開口長を、λは電極の周期を意味する。なお、図3の構成は単なる例示であって、本発明により形成されるSAW素子はこの構造に限定されない。
【0022】
このSAW素子は、フィルタ、共振器、遅延線、発振器、マッチドフィルタ、音響光学装置、コンボルバー等に使用することができる。例えば、フィルタに使用する場合、SAW素子を直列腕と並列腕に所望数配置することにより形成されたラダー型の構造が挙げられる。この構造以外にも公知の構造をいずれも採用することができる。
【0023】
【実施例】
次に本発明の具体的形態を実施例により説明するが、これらの実施例により本発明は何ら制限を受けるものでない。
(実施例1)
LiTaO3の単結晶からなる圧電基板上に、厚さ400nmのAl層、Al中にMgを2重量%含む合金層(以下、Al−2%Mg合金層、以下同じ意味で使用)及びAl−4%Mg合金層を形成し、Al層及び合金層上に1.2μmルールの櫛形電極形成用のレジストパターンをフォトリソグラフィ法により形成した。この後、レジストパターンをマスクとして、以下の条件で、前記層を反応性イオンエッチングによりドライエッチングに付した。
・エッチング条件
エッチングガス:Cl2とHeの混合ガス(流量比1:9)
ガス圧:1Pa
RFパワー:70W
エッチング後、アッシャー室でO2によりレジストパターンをアッシングし、アフターコロージョン対策としてのSF6によるポストエッチング、溶液処理、水洗を施した。
【0024】
Al−2%Mg合金層及びAl−4%Mg合金層のいずれにおいても、Al層と同程度のシャープさで電極を形成することができた。なお、レジストと、Al層、Al−2%Mg合金層及びAl−4%Mg合金層との選択比は、それぞれ1.9、1.5及び1.2であった。
【0025】
(実施例2)
36°YカットX伝播のLiTaO3の単結晶からなる圧電基板1(図4A)上に、厚さ430nmのAl−3%Cu合金層2をスパッタ法で形成し(図4B)、その上に800MHz帯用フィルタの櫛形電極形成用のレジストパターン3をフォトリソグラフィ法により形成した(図4C)。この後、レジストパターン3をマスクとして、以下の条件で、オーバーエッチング時間を種々変更しつつ、合金層2を反応性イオンエッチングによりドライエッチングすることにより、電極4を形成した(図4D)。
・エッチング条件
エッチングガス:Cl2とHeの混合ガス(流量比0.5:9.5)
ガス圧:2Pa
RFパワー:60W
【0026】
エッチング後、アッシャー室でO2によりレジストパターンをアッシングし(図4E)、アフターコロージョン対策としてのSF6によるポストエッチング、溶液処理、水洗を施した。
得られたフィルタのオーバーエッチング時間に対する中心周波数及び最小挿入損失との関係を図5及び6に示す。図から分かるように、オーバーエッチング時間を変動させても、中心周波数及び最小挿入損失の変動は低く抑えることができた。このことは、上記エッチング条件が、圧電基板へ与えるダメージは、問題にならないレベルであることを示している。
【0027】
(実施例3)
以下の手順で、帯域が1920〜1980MHzのフィルタを作製した。
36°YカットX伝播のLiTaO3の単結晶からなる圧電基板上に、スパッタ法により、下からAl層(850Å)、Mg層(140Å)及びAl層(850Å)の積層体を形成した。形成後、真空中で1時間、200℃でアニール処理した。
積層体上に所定形状のレジストパターンをフォトリソグラフィ法により形成した。この後、レジストパターンをマスクとして、以下の条件で、前記積層体を反応性イオンエッチングによりドライエッチングした。
・エッチング条件
エッチングガス:Cl2とHeの混合ガス(流量比1:9)
ガス圧:1Pa
RFパワー:最初70Wで、オーバーエッチング時(全エッチング時間の %)に50Wに下げる
【0028】
エッチング後、アッシャー室でO2によりレジストパターンをアッシングし、アフターコロージョン対策としてのSF6によるポストエッチング、溶液処理、水洗を施した。
得られたフィルタは、図7の等価回路図に示すように、正規型一端子対弾性表面波共振器(SAW素子)が、直列腕に3つ(S1、S2、S3)、並列腕に2つ(P1、P2)配置された構成のラダー型フィルタである。なお、直列腕の弾性表面波共振器を直列共振器、並列腕の弾性表面波共振器を並列共振器と称する。直列共振器は、電極の周期1.94μm、開口長30μm、励振電極の対数165、反射電極の対数80とした。並列共振器P1は、電極の周期2.03μm、開口長55μm、励振電極の対数100、反射電極の対数78とし、P2は反射電極の対数を39とすること以外はP1と同一とした。
【0029】
得られたフィルタは、残渣やアフターコロージョンも発生せず、良好なパターンの電極を有していた。更に、フィルタの通過特性を図8に示す。この図には、ほぼシュミレーション通りのフィルタ特性が得られることが示されていることから、圧電基板へのエッチングによるダメージはないものと考えられる。
更に、RFパワーを70Wのままで、ガス圧を最初1Paで、オーバーエッチング時に3Paに上げること以外は、上記と同様にしてフィルタを作製した。得られたフィルタは、上記と同様に良好な電極を有し、通過特性もほぼシュミレーション通りの結果が得られた。
【0030】
(比較例1)
エッチング条件を下記のように変更すること以外は実施例1と同様にして、Al層、Al−2%Mg合金層及びAl−4%Mg合金層をエッチングした。
・エッチング条件
エッチングガス:BCl3とCl2の混合ガス(流量比1:1)
ガス圧:5Pa
RFパワー:50W
【0031】
実施例1と同様にして後処理した。Al層の場合は、マスクの形状を反映したシャープな電極を得ることができた。Al−2%Mg合金層の場合は、エッチングは最後まで進行したものの、Mg、Cl、C及びOの成分からなる残渣が多数圧電基板上に残ると共に、アフターコロージョンも多く見られた。更に、Al−4%Mg合金層の場合、約150nmの厚さまでエッチングが進んだものの、これ以上エッチングは進まなかった。また、アフターコロージョンも多く見られた。
【0032】
(実施例4)
Mgの含有割合を0〜5重量%に変動させること以外は、実施例1と同様にして電極を形成した。得られた電極のMgの含有割合に対する電極とレジストの選択性を図9に示す。
また、Mgの含有割合を0〜5重量%に変動させること以外は、比較例1と同様にして電極を形成した。得られた電極のMgの含有割合に対する電極とレジストの選択性も図9に示す。
図9から、本発明のエッチング条件によれば、Mgの含有割合が増えても、選択性が維持されていることが分かる。
【0033】
(比較例2)
エッチング条件を下記のように変更すること以外は実施例1と同様にして、Al−5%Cu合金層をエッチングした。
・エッチング条件
エッチングガス:BCl3とCl2とHeの混合ガス(流量比BCl3+Cl2:He=1:9、BCl3とCl2の添加割合を変化させた)
ガス圧:2Pa
RFパワー:100W
【0034】
実施例1と同様にして後処理した。図10にBCl3とCl2の添加割合に対する合金層のエッチングレートを示す。図10から明らかなように、BCl3の添加量が増加するに従って、エッチングレートが減少し、BCl3の添加が逆効果であることが分かった。
【0035】
【発明の効果】
本発明のSAW素子の製造方法によれば、ハロゲン化物の蒸気圧が低い他の金属とAlとを高濃度に含む電極を反応性イオンエッチングでパターニングすることにより形成するに際して、アフターコロージョンの発生を抑制し、電極下の基板の掘れを生じないエッチングを実現することができる。
本発明の製造方法により、高耐電力性の電極を用いたSAW素子の製造が容易となり、SAW素子を用いたアンテナ分波器のような装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス圧と選択比の関係を示すグラフである。
【図2】混合ガス中のHeの割合と選択比の関係を示すグラフである。
【図3】SAW素子の概略平面図である。
【図4】実施例2のSAW素子の製造方法の概略断面図である。
【図5】実施例2のSAW素子のオーバーエッチング時間と中心周波数の関係を示すグラフである。
【図6】実施例2のSAW素子のオーバーエッチング時間と最小挿入損失の関係を示すグラフである。
【図7】実施例3のSAW素子の等価回路図である。
【図8】実施例3のSAW素子の通過特性を示すグラフである。
【図9】実施例4のMgの含有割合と選択比の関係を示すグラフである。
【図10】比較例2のBCl3とCl2の添加割合と合金層のエッチングレートの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 圧電基板
2 合金層
3 レジストパターン
4 電極
P1、P2 並列共振器
S1〜S3 直列共振器
A、B 励振電極
C、D 反射電極
Y 開口長
λ 電極の周期

Claims (8)

  1. 圧電基板上に1〜30重量%の他の金属を含むAl電極を備えた弾性表面波素子の製造方法であって、該電極がレジストマスクを用いた反応性イオンエッチングによるパターニングにより形成され、反応性イオンエッチングがCl2とHeの混合ガスからなるエッチングガスを使用し、0.1〜3Paのガス圧下で行われることを特徴とする弾性表面波素子の製造方法。
  2. 他の金属がCu、Mg又はその両方である請求項1に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  3. 電極が、Al層又はその合金層とMg層との積層体である請求項2に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  4. Heが、全混合ガス中に、流量比で70%以上含まれる請求項1〜3のいずれかに記載の弾性表面波素子の製造方法。
  5. パターニング前に、電極形成用の金属層がアニール処理に付される請求項1〜4のいずれかに記載の弾性表面波素子の製造方法。
  6. アニール処理が、100〜300℃の温度下で行われる請求項5に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  7. 反応性イオンエッチングが2段階からなり、後半のエッチング時のRFパワーが、前半に比べて50%以上100%未満となる請求項1〜6のいずれかに記載の弾性表面波素子の製造方法。
  8. 反応性イオンエッチングが2段階からなり、後半のエッチング時のガス圧が、前半に比べて1.5〜3倍高い請求項1〜7のいずれかに記載の弾性表面波素子の製造方法。
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